落ちる紫陽花
張ち切れパンダ
サンモールスタジオ(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/18 (月)公演終了
満足度★★★★
イヤーな感じ(笑)満載
奇人・変人・ダメ人間大集合!な陣容で紡ぐいかにも「イマドキ」(ごく一部例外アリ?)な物語。
かなり早い段階から「基礎工事が明らかに手抜きですぐに崩壊しそうなビルの建設が徐々に進んで行くのを見ている」ようなスリル…もとい、イヤーな感じ(笑)満載。
なので精神的に不安定な場合は避けた方がイイかもなぁ…とか言いながら個人的にはエピローグなしの方が好みかも?(爆)
また、かなりリアルな古いアパートを再現させた舞台美術も見事で、下手の台所の窓が程よく透けて中の様子がうっすら見えるなんざニクい。
それにしても最近ここで上演される女性作家(かつ主宰)作品のインパクトと言ったら!(笑)
15 Minutes Made Volume11(ご来場ありがとうございました!!)
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2012/06/07 (木) ~ 2012/06/11 (月)公演終了
満足度★★★
掘り出し物あり
6団体中、Mrs.dictionsとMCRは観たことがあり、他は初見でした。初見の中ではあやめ十八番が良かった。根本宗子は普通。梅棒は悪くないが僕としては苦手。ピャーは何だかよく分からなかった。
『宮本武蔵』
五反田団
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2012/06/08 (金) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
カジュアルな時代劇
一言で表現すれば「カジュアルな時代劇」で、オフビートな笑いも随所にあるが、斬ったり斬られたりが日常の世界で刀を持つ者の心情が語られたりすることで従来的な時代劇と一線を画する…ってか虚構性が薄れる(←「リアルな」とは微妙に違う)感じ? ゆえに武蔵の「戦法」も納得。
なお、冒頭のシーンから「七人の侍」の一場面を連想。
「ギブミーテンエン~昭和29年のクリスマス~」(6月)
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
レトロなムードがよかったです
最初から最後までほとんど笑いの無い、ド・シリアスなお芝居。
却って新鮮でした。
昭和のムードと、男と女。昔の少女漫画(森川久美あたり)を見ている気分で堪能しました。
私には、クサい台詞を聞くと自分が恥ずかしくなってお尻がムズムズしたり、照れ隠しにヘケモラホニョニョロとか意味不明の呪文を心の中でつぶやいたりするところがあるのですが、こちらのお芝居では役者の皆さんがハマッていたので、そういうこともありませんでした。
とにかく、役者の皆さんが達者だった。それに尽きます。
ネタバレBOX
ただ、後半、あまりに銃撃が続き、バンバン人が撃たれていくのには焦りました。
トーキー役の女の子が可愛かったです。
あと、社長役の妹尾伸一さんと刑事役の土屋兼久さんが、キャスト紹介の写真と全然違うので、やっぱり役者ってすごいなと思った次第です。
落ちる紫陽花
張ち切れパンダ
サンモールスタジオ(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/18 (月)公演終了
満足度★★★★
役者陣、あっぱれ!
役者陣、上手い!すぐ物語の中へ惹き込まれた。
軸を固めるメンバー、皆自然であり、セリフを自分の言葉のように
話しており、とても良かった!
私は観ていて、嬉しくなった。イライラなんて全然しなかった。
だってみんな上手いから、物語も面白いから。
キャラクターも少し個性を強調しているに過ぎないと思える。
物語は脚本家の梨澤慧以子さんが書いており、
観終わって、女性視点ならではの作品にも思えた。
劇団初見であったが、強烈な印象を持った。
座席は舞台向かって、左側が良い。
ちゃぶ台に座って話すシーンが多いので、その正面近く。
オススメしたい作品だが、結婚前のカップルでみるのは、ちょっと・・かな。
上演時間100分。
ネタバレBOX
あるカップルの結婚前の物語。
2人の出会いが、出会い系なんて、まさにイマドキ。
結婚前の修羅場を潜り抜け、やがて2人の結びつきは強くなった。
それまでを描いた作品。
結婚も悪くないという、幻想??を描けるかもしれない(笑)。
役者陣は皆さん上手いが、特に湯川草太役の沖田祐樹さんは非常に良かった!まさに適役!もしかしたら普段からあんな感じなのかな?(笑)
木村紫役の薩川朋子さんも凄かった!
いじらしい感じもでていたが、とっくみ合いの喧嘩は迫力あった。
皆さんのこと書きたいがあと一人だけ。
及川未央役の八木菜々花さん。美貌でありながら、不幸な女、良かったなあ。遊んでいるようで、遊ばれちゃうタイプ。
えっ~、NHKの集金役って梨澤慧以子さんが演じていたのか。
コミカルで笑ってしまった。存在感ありあり(笑)。
劇野郎が来る!
ヨーロッパ企画
福岡女学院大学(福岡県)
2012/06/15 (金) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
想像以上!!
ファンタジー不条理劇か?とちらしで想像。まさしくその通り!!
それにしても、こんな豪華メンバーでこの値段はありでしょうか?
ネタバレBOX
永野さんっていったい何者?って感じの作品。ヨーロッパ企画より面白かったかもw みんな人形使いも上手だった。操りながらセリフ言ってるのに噛まない。プロだな~~望月さんの声も良かったけど、ものすごく美人!!カーテンコールで見とれてしまった。
たすけて!青春ピンチヒッター!!
WET BLANKET
ぽんプラザホール(福岡県)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかった~♪
初日だからと固くなることもなく、みんな楽しそうに大暴れ。
舞台は学園でもメイクと立ち回りはWETだったね~
おちゃらけているようでしっかりした脚本で大串くんの力を感じました。
ネタバレBOX
体型の違う2人をヒーロー変身前後に使ったのは笑えた。
コハルちゃんに萌えw
汚れた世界
無頼組合
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2012/06/15 (金) ~ 2012/06/18 (月)公演終了
満足度★★★★
青春直滑降
新宿のシアターミラクルはぎっしりの人で、補助椅子目いっぱい出しての公演となった。
ハスに構えた劇団名とは裏腹に、青春の疑問符が対象に向かって
直滑降で疾走する舞台だった。
テーマや緊張気味の舞台挨拶に、この劇団の純粋な姿勢が表れていて好感度大。
ネタバレBOX
黒一色の壁に赤いラインが不規則に走る。
黒い椅子が2つあるだけのシンプルな舞台。
地球上の資源が枯渇する中、偶然アフリカで新エネルギー資源が発見される。
それまで民族紛争に悩むその国を見て見ぬふりしていた大国は
一転してその資源目当てに軍隊を送りこんで来る。
「人道主義」を掲げて、この国も徴兵制度を復活させ戦争は拡大の様相を見せている。
そんな中赤紙を受け取った、殺され専門の自称三流役者グン(滝澤信)は
「NOと言わないこと」に疑問を感じ、異議を唱えて徴兵を拒否、
刑事、高級娼婦、テロリスト集団、公安を巻き込んでの逃走劇が始まる。
バイクや車での追跡シーンが、無対象ながら迫力があった。
間違えればコントになりかねない場面だが、緊張感があってとても面白かった。
上の方で意志決定されることに疑問を抱かず、抱いてもあきらめて何も言わない
東電も原発も消費税も、戦争だってきっとこんな風に始まるのだろう。
飼いならされた私たちに「それでいいのか、オレは死んでも嫌だ!」と叫ぶグン。
あまりにストレートな青春疑問符疾走雄叫びロードムービーが
やけに新鮮なのは今の時代と重なるからか、自分と重なるからか。
自身の無理解から妻を死なせてしまった刑事クガを演じる酒井秀人さんの台詞に
深い理解と味わいがあって、この人の他の芝居も観てみたいと思った。
テロリスト集団アシタバのメンバー、ムロイ役の
筏“ジャック”道彦さん(不思議な名前だ)、大阪弁の飄々としたキャラがユニーク。
テロリストに絶妙なリアリティを与える“潜伏感”があった。
女性陣の台詞がまだ“台詞台詞”していて“言葉”になりきれていないのが惜しい。
必要悪の秘密クラブ(?)の女主人マリア(芝山えり子)とアテナ(堀江麗奈)の
身勝手な理屈が狂気と化しているあたり、面白いキャラでとても頑張っているが
公演後半でもう1ステージ上がったら素晴らしいと思う。
グン役の滝澤信さん、グンの持ち前の素直さ・明るさが
未来を断ち切られようとした時を境に怒りに変わるところが良かった。
途中短いダンスシーンに目を見張るものがあって“踊る人なのか”と感心した。
青臭いほど直球なストーリーを引っ張るのはこの人の雄弁な表情が大きい。
一人ひとりのモノローグに説明を頼り過ぎている感じもあるが
場面の切り替えがスピーディーに運ぶのはこのスタイルの効用かもしれない。
グン、殺され専門の三流役者なんてとんでもない。
あの死に方、一流だったぜ!
GO HOME
サスペンデッズ
吉祥寺シアター(東京都)
2012/06/15 (金) ~ 2012/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★
これは芸術的な良作である
人間の一生を、鮭の一生と重ねて描いた作品。
芸術的な作品でありながら、とても分かり易く描かれている。
これはオススメしたい作品。
特に観劇初心者が、ステップアップする作品としてもオススメできる。
舞台美術も工夫に溢れており、目を惹いた。
上演時間1時間50分。
ネタバレBOX
脚本家の言いたいことがダイレクトに感じとれた(気がする)。
「鮭は川で生まれ、死んだ親を食べ、成長したら川を下って海へ行き、
そして川へ戻って、イクラを生んで死ぬ。」
これを繰り返し、繰り返し、行うことで子孫繁栄を行っている。
人も人と出会い、結婚して子供を産み、育て、そして死んでいく。
そして、大事な親族、仲間が志半ばで死んだとしても、
残った者は最後まで生を全うしなければならない。
それを、当作品の物語・エピソードを通して、語っているように思えた。
物語の設定として、どこにでもありそうなところも好感を持てた。
自分の身近なこととして、捉えられる。
敢えて細かいことは書かないが、それは自分で観て感じ取った方が
良いと思えるからである。これは体感した方が良いだろう。
脚本/演出の早船聡さんの作品は初見であったが、
名前はしっかり記憶に留めた。
土地/戯曲
FOURTEEN PLUS 14+
西鉄ホール(福岡県)
2012/06/05 (火) ~ 2012/06/07 (木)公演終了
満足度★★★★
なるほど
永山ワールドでした。演出もユニークで、途中あらあら。。と思ったけど、
いろいろやってみて反応を観るのもありかな。
寺田さんは好きな役者さんなので、上手いな~とほれぼれ。
でも今回のマイMVPは手島さんです。
THE BEE Japanese Version
NODA・MAP
水天宮ピット・大スタジオ(東京都)
2012/04/25 (水) ~ 2012/05/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
まさに高密度!!
片時も目が離せなく、気が抜けなかった。
自分の知能では理解がついていけないことも多い野田作品の中では、非常にわかり易かったことも嬉しい。
それから宮沢りえ。
年々、素敵な女性になっていくなぁ。
月の岬
青年団
座・高円寺1(東京都)
2012/06/08 (金) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしかった!
濃密な感情を奥に凝縮させた静かな演技。
青年団の役者さんはほんとにうまいなぁ。
主演をやっていた客演の方もとても良かった。
持ち合わせがなかったので断念したのですが、戯曲を買いたかった。
今度書店で購入します。
何度でも観たい作品だし、戯曲も何度でもじっくり読みたい。
カフカの猿~フランツ・カフカ「ある学会報告」より~
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2012/05/02 (水) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
あ、猿がいる
評判が良かったので、楽日に当日券で行ってみました。幕が開いて、第一声がとても低くて、あれこの俳優は女じゃなかったのだっけ?と戸惑っていると、学会発表の最中に突然お猿になっちゃって、猿が突然舞台に出現した、という感じで、それからは猿になる瞬間を見逃さない様に見つめていたのだけれど、種の解らないマジックを観ているみたいにじっと見続けていても、何故そんなことが起きるのか解らず、以前本当に猿だった人が目に前にいるのかも、と思った方が自然な感じがして、「ある学会報告」そのものに参加した気分になったのでした。
ネタバレBOX
途中、かなりキツイ体勢にも関わらず、やすっやすとやってのけている様に見えるというシーンがあったのですが、会場がざわめき、こ、これは凄いぞ!という感じで、ガラスの仮面(笑)の姫川亜弓の一人芝居にも似たようなシーン、、、架空のベンチに腰掛けて小鳥と戯れ、その身体能力に会場がざわめく、、、というのがあるのを思い出し、一人芝居は演技力だけじゃなくて、ちょっとサーカスみたいな身体能力を試されるところもあるのかな、などと感じてしまったのでした。
「ギブミーテンエン~昭和29年のクリスマス~」(6月)
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
確かに異色作かも
これまで観た6番シードの作風とは異なり,観劇後感はしっくりとはこない。とはいえ,芝居自体は十分な出来で,さすが6番シード,最初から最後まで途切れることなくストーリーの中に引き込まれてしまった。リアルな時代感と切なさがたまらない一作であった。6か月連続公演のまだまだ続く,最後まで頑張ってください。次の公演も期待しています。
落ちる紫陽花
張ち切れパンダ
サンモールスタジオ(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/18 (月)公演終了
満足度★★★★
恣意的なラフさからの本音の抽出
個々のキャラクターの心情など
かなり細かく作り込まれて居る感じがあって。
そこに、恣意的にラフな展開をかぶせて
しだいに抽出していくようなタッチを生みだし
観る側を飽きさせず、
物語やそれぞれの内心を追わせていく。
作り手は男女の機微を、したたかに掌に載せている感があって。
おもしろく、まるっと観てしまい、
男女の関係の綾のようなものまで
受け取り、
得心してしまいました。
ネタバレBOX
冒頭にモノクロっぽく差し込まれたシーンも
後半にしっかり生きて、
どこか突飛な物語構成であっても
観る側を次第に招き入れるような説得力があって。
わちゃわちゃした部分も、
いろんな過去の時間とのしがらみも、
全体でみるとどこかうそっぽい男女の関係も、
一つずつのエピソードとしてシーンの重なりをみると
きちんと作り込まれていて
観ていて不思議にそのうそっぽさが感じられなくなってしまう。
キャラクターたちの描き方もうまいのですよ。
隣の住人の嫉妬深さと料理のうまさにしても、
そのヒモの話にしても、
先生に惚れる女子中学生にしても、
ダメな部分はベタに薄っぺらく、
まっとうな部分は一歩踏み込んで現れるように
表裏が作られていて、
それが、物語が進むにつれて、
男女の機微の奥行きとして機能していく。
主役には、それらを束ねていく存在感があって、
押えて耐えて最後に包丁を持ち出すまでの積み重ねが
しっかりと貫かれていて、
心が揺らいでもぶれない芯を描きだす力があるから、
観る側も舞台のカオスに巻き込まれることなく、
その先にあるものを垣間見ることができるのです。
ちょっと言葉をためらう出会い方をした
主人公たち、
育ちも価値観も違うふたりが心を通わせるためには
包丁の一本も出てこなければいけないのかなぁなどと
妙に納得したり・・・。
すっと浮かぶ嫉妬心や横恋慕の質感の作り方も
とてもナチュラルで・・・。
観終わって
その近さとめんどうくささをしっかりと残す
作り手の男女の描き方に感心したことでした。
破壊ランナー
劇団PASTRY STORE
雲南市木次経済文化会館 チェリヴァホール(島根県)
2012/06/16 (土) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★
熱くて暑い芝居だった
この芝居、もう20年近く前に東京でピスタチオによる初演を観た。
その時もド迫力の「パワーマイム」に圧倒されたものだったが、今回の芝居もそれに負けないぐらいの迫力で演じられていた。
主役の豹二郎の熱演はもちろん素晴らしかったが、なんといってもこの芝居の最大の魅力というか魔力のような吸引力を持つのはフランク黒川だろう。
オリジナルのピスタチオでは保村大和が怪演していたが、今回の舞台でもそれに迫るかのような勢いのある役者の演技が観れてとても面白かった。
総じて良好だったこの上演時間約2時間の芝居だが、問題点があるとすれば健闘しているとはいえまだまだ場面展開に緩さが散見されたところと、リンコと豹二郎との関係性の描写に薄さを感じてしまったところだろう。
また芝居の内容ではないが演出の都合上で空調を切っていたため、会場の室温がかなり上がってしまっていたことは、鑑賞の集中力を些か減退させる結果となってしまっていた。
久しぶりに観た「破壊ランナー」は、やはりとても面白い作品だった。
南部高速道路
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2012/06/04 (月) ~ 2012/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
今年一番
劇場に入ると、円形型のスタイルで、それに舞台と客席が段差ない席で、すごく新鮮。段差のある席も上から俯瞰してみれるので、それはそれで、この南部高速道路だからこその人の動きを俯瞰して見れる面白さがあるように思います。
あと、季節がわかるときに空調も変わった感じがしたので、少しはおるものがあると寒くなくていいと思います。
ネタバレBOX
物語は高速が渋滞するところから始まりますが、その渋滞中に、ひとつのコミュニティがうまれ、いらいらと不安と、のどの渇きや空腹などを共有していくことで、仲間意識や連帯感のようなものが作られていく。
それぞれがそれぞれの役割を果たし、助け合って生きていく、非日常のようで、どっぷり日常的な世界がある。そして季節も移ろいで行き、その空間が心地よくも感じるようになっていく。
やがて渋滞は解消され、スピードがあがり、さっきまであんなに仲間意識のあった人たちとの繋がりも、急速に薄れていく。自分のスピードに精いっぱいで、誰が誰かわからなくなっていく。
なんだか渋滞中のほうが楽しいのではないか。嬉しかったんじゃないか。
早いこと効率のいいことは得なようで、つまらないことかもしれない。そんなことを感じました。原作は読んでませんが、読んでみたくなりました。
季節の移り変わり、花火の演出、傘の使い方、子供の出現、クリスマスのダンス、誰かの行為にみんな乗っかるとこ、面白いシーンも多々あり、飽きない、複数回見たくなるお芝居で、僕の中で今年一番のクオリティでした。
演者さんは、江口のりこさん、赤堀雅秋さん、加藤敬さん、黒沢あすかさんが、個人的によかったです。真木よう子さんも、全体の中になじんでいる場面と、そうでない場面があり、それは長塚さんの狙いなのかもしれませんが、渋滞、つまり時を止める感じを出しているのかなと深読みかもしれませんが、そう感じました。時計をなくして、時計がみつかるのも真木さんでしたしね。
調和しすぎると、単調になるので、個人的には真木さんがスパイスでした。
so complex semi-normal
拘束ピエロ
プロト・シアター(東京都)
2012/06/16 (土) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
劇的なことなんてそんなに無いよね
群れになったバッタが黒く変色して凶暴になるような感じというか。
ネタバレBOX
青年たちが過去の思い出を語ろうとする話。幸せなことはあまり幸せと感じないものの、不幸なことは強く印象に残るのでどうしても不幸自慢みたいになりがちで、かと言ってそもそもそんなに劇的な思い出がないので、不幸な思い出を捏造したりしているうちに、個ではおとなしかったバッタが群れになって黒く変色し凶暴になるような感じのパフォーマンスでした。
銘々が勝手に動いているようで、台詞が重なるところや、生演奏というか効果音がピタっと合うところなど良かったです。
なんちゃって、って、ネツだと言いながら、阪神淡路大震災の話は本当のような気もしています。
「ギブミーテンエン~昭和29年のクリスマス~」(6月)
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/17 (日)公演終了
満足度★★★
私が不真面目なのかもしれないが
劇団6番シードさん初観劇。よいシーンもあったし、グッとくる場面もありましたが、気になるところもあってやや辛口の評価にさせてもらいました。ネタバレを含めた感想は別枠で。
ネタバレBOX
とにかく気になったのがドンパチシーンのコント感。
例えば、頭を平手で叩いたら、相手はグーで叩く。スリッパで叩いたら、一斗缶で叩き返して、上から金たらいが落ちてきたら、最後は消火器を振り回してみんなで粉まみれ。往年のドリフのコントでよくあるシーンです。
乱闘シーン・銃撃シーンでどうもそうした面影を見てしまって、終盤、パン、パン、という銃声のあと「ズキューン」という銃声とともにライフルを抱えた男が入ってきた時には「おまえ、ソレどっから持ってきたんだ」と思わず心の中でツッコミをいれてしまった。ライフルを奪い合っている間、もし次にバズーカ砲を担いだ奴が乱入してきたら…なんて雑念まで芽生えてしまった。それくらい私にはあのシーンが軽く映ったのです。
せっかく戦争を生き抜いた人たちが一発の銃弾で命を落とす。それは、哀しくもあり、空しくもあり、時には滑稽でさえあるのかもしれないが、あのシーンに関しては、ベクトルが滑稽の方向に向き過ぎているという印象を持ちました。
ラストシーンで主要人物がみんな死んでしまう話は、気持ちが乗り切らないと付いていけないので、今回は、感動の半歩手前で振り落とされてしまったというのが正直な感想です。長文失礼しました。
落ちる紫陽花
張ち切れパンダ
サンモールスタジオ(東京都)
2012/06/13 (水) ~ 2012/06/18 (月)公演終了
満足度★★★
紫陽花
面白い。セットの細かいところまでしっかりしてた。
ネタバレBOX
出会い系サイトで知り合って一年、一年後に結婚を約束した紫(薩川朋子)と神経質な彼・草太(沖田祐樹)は、紫のゆかりのボロアパートで生活をはじめる。Hもまだで、敬語で接する二人の生活に、母と同居中の紫の妹・真琴(鬼頭理沙)や草太の弟で受験生の良(小島ことり)、草太の友人で麻薬めいたものを捌いている吉田(數間優一)、紫の同級生で不特定多数と関係をもつ及川(八木菜々花)、アパートの隣人で水商売をしている曜子(野原由理)とそのヒモ・坂本(深井邦彦)らが、ズカズカ入り込んできて、紫の心労は積もるばかり…。
草太が、視野が狭いというか自己中というか結構なクズって印象なので、そっちでひと悶着かななんて思ってたら、意外とありふれたような展開だった。むしろ安心したというべきか。
演出が上手いのか、主演の薩川が良かった。前回もそうだったけど、不幸な女性の描き方が上手い。料理作ちゃうんだけど、台無しにされてさらにどん底に落とされるとかなんかいじらしい。その紫と、紫がいない間に草太と関係をもとうとした及川(実際は草太からのアクションだけど)の、言い合いのシーンが一番好き。及川の美人さに対して、怒りとか妬みとかを口から吐き続ける紫がかわいい。及川もある意味不幸な女性なんだろうけどね。
真琴と良の妊娠騒動はなんか笑える。ほのぼのというか。中学生らのくだりは、やや不明瞭な印象。紫らの苦労のために存在したのかななんて気もした。
全体的に人物の背景が薄いというか、そんな印象。話は悪くないし、惹かれたんだけど。上向きエンドも嫌いじゃない。