キシノ味
味わい堂々
ギャラリーがらん西荻(東京都)
2012/07/28 (土) ~ 2012/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
楽しい企画公演
笑って笑って少しホロリ。
手作りの温かみがあって、楽しい時間だった。
3本目がとても良かった。泣いた。
第3弾ミヤモト味も期待!
ポンポン お前の自意識に小刻みに振りたくなるんだ ポンポン
ハイバイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/07/18 (水) ~ 2012/08/01 (水)公演終了
満足度★★★★
懐かしい
ハイバイらしく、笑えて心に何かが残るお芝居。
細かい所も良く出来ていて引き込まれた。
市民劇団のくだりが実在しそうで可笑しい。
国民の生活
ミナモザ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
良かったです!
リアルだから、共感できて、おもしろかったです。
また、次も観てみたいカンパニーです!
カンガルー
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
Space早稲田(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★
不条理の最北端
別役先生のは他にも観たり関わったことはありますが、このカンガルーは流石に難解でよくわからないところも多かったです。会話の掛け合いのテンポでは好きな箇所、訳のわからない空気を楽しめるところもありますが、謎過ぎて観ていて「?」だったり。良く思えるところ、うーんというところが主観では差がある舞台に思えました。お芝居自体も短編の多い中で長かったと思います。
ネタバレBOX
会場は手狭感があり、暑い日だったので少し息苦しさもありました。
セットは街灯にベンチがポツンとしていて、波止場の雰囲気がありました。ワンシーンが長いので、もっとコンパクトにしていった方が僕には観やすかったように思えます。男の断末魔、棺のそれぞれ役者がのろりと動くところは非常に良かった。語尾が聞き取りにくいのがそこそこあった。娼婦の横澤さん動きのキレは凄いですが、ヒステリーな声が耳にキツかったところもあったので、静かでありながらもコロっと変わる謎さも混ぜたらより魅せれると思います。老人の小林達雄さん、舎弟の小川さんの雰囲気が素敵でした。
ものにはウラがある。ウラには犬がいる。これは物事には裏があって、その裏にはナニカの番犬とも言える黒幕が潜んでいるのだ。的なニュアンスもあり内側には入って来ます。犬よりも、ウラでは縁側に猫が寝転がって手招きしているかもしれないと思う。など自分で考えたり、必死で頭を働かすか、ひたすら何となく観ている時間だったようにも思えます。
組曲『回廊』
空想組曲
OFF OFFシアター(東京都)
2012/07/19 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
ダブルカーテンコール率90%
拝見したうち、カーテンコールが拍手喝さいで、ダブルカーテンコールになったのが90%でした。もう、どう言い表そうとしても、言葉が追いつきません。
【吸血木】 は幻想的に毒々しく美しく、
【LEVEL9】 は勢いで押しまくる楽しさ、
【どひゃあ】 は、気心知れた友人との安心した笑い
【グレイス夫人の晩餐】 は、わかっているオチにいつどう来るかというスリル
【作家たちの語らい】 は作中作をトークで魅せる落語風面白さ
【スイーツ・シスターズ】 は根源的な不安をあおるホラー
【恋愛論、りょうの】 は、軽いノリの口上でじっくり魅せる芸
【真夜中のゲーム】 は、乾いたリアルを徹底したショートサスペンス
【グレイス夫人の晩餐】 は、猟奇的なのにどこかほのぼのとした純粋さ
【ブラザーズ・フェスタ】 は、激しい動きで魅せるほのぼの家族
と、これだけ日替わり短編ががらりとイメージが違うのに、毎回芯がぶれない、のに、日々少しずつ芝居の表情が違って見えて、それが毎回好評を博しているという、少しどころではない不思議。
ゴドー氏の仕事
演劇組織KIMYO
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2012/07/28 (土) ~ 2012/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
星の女子さん×演劇組織KIMYO「ゴドー氏の仕事」観ました
ベケット「ゴドーを待ちながら」に触発された一つの新作戯曲を、二人の演出家が演出、連続上演。5人の男を女が演じた渡山博崇(星の女子さん)演出の方が、むしろナチュラルに不条理ものの原典を思わせるという舞台の妙。宮谷達也(演劇組織KIMYO)演出は独特のスタイリッシュな方向へ。ドーナツ舞台の使い方や役者の身体、テンポ等、もっと追求できそう(役者は死ぬかも)。何を置いても、実は「ゴドー」をほぼ読まずに書いたという、平塚直隆(オイスターズ)台本が強烈…。入れ替えのきく小道具、続々動く関係性に万物流転のイメージ。5人の待ちは、役柄を入れ替えて永遠に続くのかもしれない…
「累-かさね-」
少年王者舘
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2012/08/09 (木) ~ 2012/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
少年王者舘「累‐かさね‐」観ました
物語と演劇(と舞台の外)の間で繰り返される「私とは何か」の問いかけ。客演の効果か、メタ描写ははじめは割と普通の芝居の印象。しかし何度も練り返し、そのたびに重ねられる幻覚、妄想が舞台上での凄惨な現実に。反復のもたらす印象は、マームとジプシーが鉛筆で薄く何度も下書きしているようならば、少年王者舘は絵の具の厚塗り。というかドロッピング?構造的にはかなり分かりやすいかも(汗)。ちなみに、当日パンフを手元に置いておくと、公演中に楽しめるかも(笑)。
東京裁判
パラドックス定数
pit北/区域(東京都)
2012/07/31 (火) ~ 2012/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
1時間50分をノンストップで疾走していく、いい戯曲と演出で役者が輝く舞台
演劇好きはもちろん、東京裁判好き(!)ならば、絶対に観たほうがよい舞台。
今回は再々演だが、前回再演時に観ている。再演を観ているにもかかわらず、今回もエキサイティングな観劇体験ができた。
次に再々々しても観るんじゃないかと思うほどの傑作舞台。
ネタバレBOX
2009年の再演を観ている。
それを観てパラドックス定数のファンになったと言っていい。
(http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=53259#divulge)
1度観ているのにもかかわらず、同じ感動、感激があった。
とにかく台詞がうまい。
単に台詞の「文章」がうまいということではなく、役者が発する「台詞」としてのうまさがあるのだ。「役者の台詞」となって、言葉が「生きてくる」。生きた、人の言葉となってぐいぐいと伝わる。それぞれの登場人物たちがかかえている気持ちが、ストレートに伝わってくる。
台詞には、演出が伴ううまさがあると言っていい。もちろん作・演が同一ということもある。また、それに応えられる役者うまさもある。
役者は1時間50分をノンストップで疾走していく。
前につんのめったり、足踏みしたり、畳み掛けたり、重ねてみたりと、あらゆるテクニックを使い、スピード感と熱量たっぷりに舞台は進む。
まさに役者が輝く舞台だったと言っていいだろう。
口から飛ばす唾だってキラキラ輝いている(笑)。
前回の自分の感想を見ると上演時間は1時間35分程度だったようだが、今回は1時間50分にバージョンアップしていた。
記憶になかった台詞があったことから、ちょっとした台詞の追加や演出を変えたことで、さらに作品を濃くしていったようだ。
前にも増して、各キャラクターが少しくっきりしたような気もする。
東京裁判における主任弁護人たち5人が主人公。彼らがここにいる理由と、それぞれの想いが、物語が進行するにつれて明らかになっていく。
それらが、「なるほどそういう理由だったのか」と、ともすれば、何かの答えや、単なる理由なりそうなものを、そうはしなかったところに、この戯曲のうまさがある。
「東京裁判」というテーマが抱えている、さまざまな問題点や要素を彼らの存在によって、さらにわかりやすく伝えていく。
それとともに、史実への虚構のプラスの仕方や、例えば、水越の父親の名前がストレートに台詞として出てこなかったりなどの、微妙な塩梅もうまい。
しかも、裁判における検事側の台詞は舞台上では一切聞こえないという、演劇ならではの仕掛けで、登場人物たちへの、観客のフォーカスがさらに強まるのだ。だから、柳瀬が語る、短いが、強い、彼が体験した広島での語りは、胸に迫ってくるのだ。余計な修飾や描写を排し、シンプルだが強く印象的な台詞だ。
それと、いちいち裁判用語の説明などしないところもいい。普通だと、法律に詳しくない登場人物がいて(今回も専門家でない登場人物がいたが)、例えば、「罪状認否って何ですか?」みたいな台詞から用語説明をすることが多いだろうが、この舞台ではそれはない。戯曲への信頼と、観客への信頼があるからだろう。そういうもたもたしたやり取りがないから、スピードを感じるのだ。
登場人物5人のそれぞれのキャラクターがしっかりしており、それが最初から最後まで崩れることはなく、そのキャラクターが台詞1つひとつにしっかりと支えられている。
行き交うメモや資料類、水差しやコップなどの細かい小道具類もとてもいい。
微妙に光の雰囲気を変えてくる照明もいい。
本当に素晴らしい作品だと思う。
歴史的な事実を知っていることで、この舞台の面白みは倍増するのだが、知らなくても、観劇後、東京裁判では、何が、どう裁かれたのか、を調べてみるのもいいだろう。28人の被告とは誰だったのかや、裁判の結果はどうなったのか、あるいは検事たちにはどのような人がいて、どのような立場であったのか、結局何が問題点だったのか、などをだ。そうすることによって、「ああ、あの台詞はそういうことだったのか」と合点がいくであろう。
パラドックス定数は、小劇場の劇団にしては、再演が多い劇団ではないかと思う。それは「レパートリー化」を目指しているからではないだろうか。
何度上演しても劣化しない脚本があり、それを支える役者がいるからこそ、それができるのだろう。
『東京裁判』は、また上演してほしい作品ではあるが、さらにレパートリー化できる素晴らしい作品をどんどん生み出してほしいと思う。
話は変わるが、毎回、諸注意のアナウンスを主宰の野木萌葱さんが行う。その都度思うのだが、この方の「男らしい」(失礼・笑)諸注意は素晴らしいと思う。上演中に気分が悪くなったりして外に出る際には、どこにどう通路があり、どこが出口であるかをきちんと説明し、さらに「ここに私がおりますので」と力強く、「だから安心してください」というメッセージを発してくれるのだ。「私がここにいます」というのは、本当に力強いと思う。もしものときにどうしたらよいのかを知るだけでも、観客は安心できる。
とかく満席の上に、当日券を出し、いざというときの避難通路になる、劇場内の通路さえも潰してしまう劇団が多い中(来た人を帰したくないという気持ちはわかるのだが)、観客の安全を考え、安心させてくれる劇団というのは貴重だと思う。
そういう姿勢も好きな劇団なのだ。
ついでに言うと、毎回早めに申込みをすると、オマケがもらえる。いつも公演内容に合わせたちょっとした物だ。今回は、劇中にも登場するチョコレート。真夏に板チョコは厳しいものがあるが(笑)、それでも「楽しんでもらおう」という劇団側の意図はわかる。
板チョコ1枚であっても、ただというわけではないので、公演の費用がかさむことになり、本当はなくてもいいとは思うのだが、その心意気が好きなので、喜んで頂戴している。
実際、オマケがなくても早めに申し込みたい劇団になっているのだが。
あと、チケットや当パンもそれなりに凝っている。チケットは「PM」だし、当パンは「藁半紙」、そしてアンケートは「最終弁論」になっていたし(ただし、アンケートにはいろいろ書いてあったけど、出してしまうので手元には残らないのだが・笑)。こういう遊び心もいいなと思う。
少女仮面
劇団俳小
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
綺麗!
豪華絢爛、美しい。
ネタバレBOX
加納幸和さんの演出のためか、春日野八千代はド派手で歌舞伎風な着物姿でした。黄色い足袋など素敵でした。
奇妙な地下空間、男を女が演じ、女を男が演じるなど面白い作品ではありますが、SMめいたという部分が感じられなかったため、当初抱いていたこんなの観てもいいかしら感は全くありませんでした。
満州で活躍していた頃から24年、甘粕大尉との思い出から24年、戦後24年として昭和44年頃の設定でしょうか。愛と肉体にこだわり続ける春日野ですが、満州時代のファンの少女からは肉体は届けられず、現在の醜悪な顔を突きつけられました。
しかし、現在なら50過ぎで活躍されている宝塚出身の女優さんも多いわけで失礼な話ですね。
春日野に突きつけた顔は写真を拡大して切り抜いただけのお面というか平板な紙で、再現ドラマでも見ているようで何とも陳腐でした。春日野は歌舞伎風な化粧をしていたのですから、立体感のあるお面に白粉を塗ったりして作った方がインパクト、アングラ感があったのではないかと思いました。
ボーイ主任の宝塚風容貌と演技や、腹話術師と人形の関係など素晴らしかったです。人形がドスの利いた男言葉に変貌したりするところは秀逸でした。
アイーダ
劇団四季
四季劇場 [秋](東京都)
2012/04/14 (土) ~ 2012/08/12 (日)公演終了
満足度★★★
この程度か
期待外れ。歌唱力不足。ちなみにアイーダは朴さん。悪くはない。しかし素晴らしくもない。
カミサマの恋
劇団民藝
ももちパレス(福岡県)
2012/07/24 (火) ~ 2012/07/31 (火)公演終了
満足度★★★★
“けっぱる”東北の神武たち
奈良岡朋子の津軽弁芝居を堪能できる舞台。
何のこっちゃと思われる方もあろうが、「方言芝居」で成功している例は決して多くはないのだ。コトバはもちろんイキモノであるのだが、地方の土俗と密接に絡んでいる方言は、たとえその地方出身の俳優の発声であっても、文化に対する深い理解がなければ、演技として昇華されたものにはならない。その巧拙は、喋りが自然であるかわざとらしい部分がないか、他地方の人間が観てもそれと気付くものなのだ。
奈良岡朋子は東北出身の俳優ではない。しかし父君(洋画家・奈良岡正夫)が津軽出身で、戦時中、弘前に疎開した経験がある。慣れぬ田舎暮らしに馴染むため、彼女は必死で弘前弁を習得した。それが今回の舞台に生かされている。
大滝秀治が舞台に立つことが困難になっている近年の劇団民藝は、奈良岡朋子一人で持っている印象がある。中堅どころに実力がないわけではないから、奈良岡朋子一人が突出していると言った方がよいだろうか。その結果、奈良岡朋子が袖に引っ込んだ時には、「舞台が持たない」状況も生まれてしまうこともしばしばであった。勢い、外部から奈良岡に拮抗しうる役者を招聘するしか手はなかったわけだが、彼女も既に82歳。後継が育たなければ、いずれ民藝は、屋台骨が倒壊する危険に晒される。
畑澤聖悟に戯曲を依頼したのは、作品の面からも「新しい血」を注ぐ必要があるとの判断ゆえだろう。青森を拠点とし、地方と伝統文化を見直しつつ、中央に打って出る畑澤氏の姿勢は、「演劇の温故知新」と呼ぶに相応しい。
今回の舞台で驚いたのは、「カミサマ」という超自然的な存在が、東北の日常に何の違和感もなく存在していることだった。誰も「カミサマなんてインチキだ」とは言わない。信仰と言うよりは習俗である。
「神降ろし」を行う道子(奈良岡朋子)は、「カミサマ」を媒介して相談者にアドバイスを与えるが、新興宗教のような金儲けに走るわけではない。その役割は町のカウンセラーであり、鋭い人間観察力がなければ、到底やりおおせるものではない。
津軽のその町に、「カミサマ」を中心とした小さなコミュニティが作られていることはその通りなのだが、これは閉鎖的なムラ社会とは根本的に性格を異にしている。「カミサマ」はその地の人々にとっては「故郷」の象徴である。日ごろは遠きにありて思うもの、つまりは非日常であるが、いったんそこに帰れば懐かしき我が家であり、心を休めることが出来る。そして、相談者は再び「日常」という名の「戦場」に戻っていく。
彼らに道子がかける「けっぱれ」という津軽弁。これを「頑張れ」と直訳しても、そのニュアンスは決して伝わらない。「頑張れ」はともすれば無責任な放言となり、相手にプレッシャーを与えるだけの暴言ともなる。しかし奈良岡朋子は、この言葉を相手の「魂」に向けて問い掛けている。相手が「けっぱれる」ことを信じている。そしてその判断は間違ってはいない。
だから観客もまた舞台から「力」をもらえる。劇場という非日常の空間から、「現実」へ立ち戻るための力をである。
津軽弁でなければ成立しない舞台、それがこの『カミサマの恋』なのだ。
ネタバレBOX
「カミサマ」遠藤道子の下へ相談にやってくる人々による群像劇。
小さな悩み相談事はいくつもあるが、大きなものは三つ、一つは工藤家の嫁姑問題、久米田家の離婚問題、そして道子自身の家族の問題である。
「カミサマ」が実在しないことは、物語の途中で観客には見当が付くようになっている。全ては道子による「演技」なのだ。神託のように見せかけてはいるが、道子は相談者たちの状況を詳しく聞き出し、人間関係を掴み、問題解決の糸口を探っている。そして最も適切なアドバイスを与える。それが“外れない”から、相談者たちは「カミサマの言うことに間違いがない」と納得する。たまにアドバイスに失敗することもあるが、その時は相談者は「自分が悪い」と言って、決して道子を責めようとはしない。道子はいつだって真摯だ。その誠実さが「カミサマ」を「カミサマ」たらしめている最大の根拠となっているのだ。
時には、道子はいかにも「カミサマ」風に大仰な「演技」もしてみせる。
工藤家の嫁姑の問題については、だらしない婿に「蛇が憑いている」と言って、嫁姑を慌てさせ、仲違いを中断させてしまう。そして婿には「二人の話をただ聞いてやりなさい」と、それだけで問題が解決することを示唆してみせる。
いくら東北とは言え、蛇憑きだの狐憑きだの狸憑きだのを信じる人間がこうもたくさんいるものなのだろうか、と疑問には思うが、非現実から現実へと回帰する道子=奈良岡朋子の真摯な演技が、最終的にはこのわざとらしい小芝居にも説得力を与えることになっている。
久米田家の問題はいささか厄介だ。
娘を死産した玲子(飯野遠)は、夫との仲を修復できず、テレビで紹介されていた道子の下に弟子入りを懇願する。既に弟子が一人いる道子はこれを拒むが、思い込みが激しいタイプの玲子は頑として帰ろうとはしない。
そこで道子は、ある条件を出して、彼女を家に住み込ませることになるが、ここから問題は道子自身の家族とも深く関わっていくことになる。
道子の養子・銀治郎(千葉茂則)は、病気で余命わずかの宣告を受けていた。死別した妻との再会を望む彼は、治療を受けないことを「カミサマ」に告白する。“本当はカミサマではない”道子は、その事実を知り狼狽する。そして、玲子に頼むのだ。「死んだ嫁の“生まれ変わり”を演じてくれ」と。
玲子のウソを信じた銀治郎は、妻に再会できたことを喜び、治療も受けるようになる。しかし玲子は、自身の思い込みの激しさゆえに、“本当に自分が銀治郎の妻の生まれ変わりである”と信じ込むようになる。さらには、玲子の夫が、玲子を連れ戻しに現れて、道子の計画は次第に崩壊していく。
道子は、所詮は人間である。「カミサマ」にはなれない。彼女の浅知恵が、かえって銀治郎の心を傷つけることにもなった。「カミサマの声を聴く」という行為が、全ての人の心を救えるわけではない、と熟知しているのは、道子自身なのだ。それでも道子は、「カミサマ」に頼ることでしか生きられない人々がいることもまた知っている。
彼女が弟子を取りたがらない理由はここにあるのだろう。この二律背反の矛盾の中で生きていくことは、いかに「けっぱる」道子とても、安らぐ間のない過酷なことなのだ。
最終的に、道子は「人間としての言葉」を銀治郎に投げかけて、彼の自暴自棄をたしなめる。「死ぬな」という「母」の言葉に、放蕩の限りを尽くしてきた銀治郎は、ようやく「家族」を意識して、死の淵から立ち直る。彼を救ったのはまさしく「人間」なのだが、ついさっきまで神託を無邪気に信じていた体の銀治郎が、簡単に「人間の側」に戻っていけたのは、彼もまた“自分をあえて騙していた”ことの証左である。
人間は、自分に都合のいいことだけを信じる。その心理が「カミサマ」に実効を与えていたのだ。それが巧く行ったケースが工藤家の場合で、虚は実となった。そうは問屋が卸さなかったのが道子たちの場合で、虚は結局は虚でしかなかった。
「信じること」が全て正しいわけではない。「信じたこと」に裏切られる場合もある。「こんな自分にでも、何かできることがあるなら」、それが道子が生きていた原動力であるが、それもまた「思い上がり」であることを、「現実」は彼女に冷徹に示してきたのである。
ラストの意外な展開は、苦悩の人生を送ってきた道子への「救い」であるが、作劇的には蛇足と見なす批評氏もいるだろう。
和解した道子と銀治郎だが、突然、銀治郎に、死んだ道子の夫が憑依する。道子を残して早世したことを侘び、息子を立派に育てた道子に感謝し、「けっぱって」生きてきた彼女を慰労する。
単純に考えれば、「カミサマ」なんていないのだから、これは銀治郎の演技だ。しかし二人だけの過去を知っているのだから、これだけは真実の「神降ろし」なのかもしれない。どちらとも取れるように、というのが畑澤聖悟の意図だろう。しかし演者の千葉茂則の演技が「どっちつかず」だったために、「どちらともとれない」中途半端な印象のラストになってしまった。
その演技のまずさを置いておくとしても、このタイミングで道子に「救い」を与えるというのは戯曲の時点で既に安易な方法であったように思う。奇跡はそう簡単に起こらない。仮に奇跡が起きたとしても、それは「人間の努力が起こしてこそ」価値があることなのではないか。
「奇跡」がなくとも、道子は充分に価値ある生き方をしてきたのだ。安手のドラマにありがちな結末を付けることは、かえって道子の人生をないがしろにすることになっているように見える。
畑澤聖悟の創作力がある一定のレベルに達していることは確認できたが、情熱が勝るあまり、まだまだ自作に抑制を利かせる域には達していない。奈良岡朋子に助けられていなければ、かなりつまらない印象で終わっていただろう。今後はもう「思い上がった」戯曲は書かないよう、願うばかりである。
東京裁判
パラドックス定数
pit北/区域(東京都)
2012/07/31 (火) ~ 2012/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
日本人ならば是非一度は。
一階席、検察側にて鑑賞。
検察、判事側のセリフは無く、
役者の演じる弁護団のセリフのみで進んでゆく。
勝ってよいのか。この、裁判に。
とにかく面白いです。
日本人ならば是非一度は見て頂きたいです。
ミラかな姉妹夏のツアー
Limited_Spice
自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)
2012/07/14 (土) ~ 2012/07/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
大阪公演
まずは大阪公演。
二人芝居「映画に出たいっ」
ミラっちょの本気がみれて、大満足です。
ジャムコントはいつものメンバーに加えて、
ガバメンツの舞台に出演されている役者さんが
ほんとにいい味出してました。
ネタバレBOX
もどかしいのは、お客さんの少なさ。
これだけおもしろいイベントを
なんで見に来ないんだろう。
宣伝告知が足りない???
ポンポン お前の自意識に小刻みに振りたくなるんだ ポンポン
ハイバイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/07/18 (水) ~ 2012/08/01 (水)公演終了
満足度★★★
笑えたし、面白かったけど
不思議と刺さってくるものは少なかったかなあ・・・。
(こういうこと言うのもなんだけど)3000円強を払うほどかっていうと・・・。
・・・あれか、自分に小学校の頃、友達とかいなかったからか!><
Nobody is Perfect
劇団ガバメンツ
自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)
2012/07/12 (木) ~ 2012/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
オシャレコメディ
7月14日12時と16時、15日16時、16日16時の
計4公演を拝見いたしました。
何度見ても面白いんです。
初めて見たときには気付かなかったことも、
2回目に気付いて、なるほどと思ったり、
役者さんもみんな個性的で素敵でした。
東京公演も観に行きます!
ネタバレBOX
ネタバレというか、あえて一言。
今のままでも面白いんですけど、
シュガーのところと
まりこのところの
繰り返しのシチュエーションは
もう少し短くして、
テンポあげたい気がしました。
国民の生活
ミナモザ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/06 (月)公演終了
満足度★★★
お箸の国の人だもの
キャスティングがハマってるので楽しく観れちゃう。
ただね、限界を感じたなぁ。
これはもう頭打ちじゃないかな。
演劇じゃなくてもいいと思うんだよね。
ネタバレBOX
なんだかね、
ラストのデモの話なんてブログにでも書きゃあいいんじゃないの
と思ったんだよね。
我ながら荒んでますわ。
カンガルー
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
Space早稲田(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
カンガルー然り、ゴキブリ然り、
分からないけど、分からないなりに面白かったです。
ネタバレBOX
牛のような動物は気ままに動くので危険が伴います。二本足で立った者はリスクに気付くようになります。そんな知恵を付け始めたら殺さなくてはなりません。
港で刺し、家に押し掛けては刺し、とにかく攻撃は最大の防御なのです。知恵が付くと弔いみたいなことも始めます。人類の存続のためには、知恵を付け始めたカンガルーは邪魔なのです。
芸能界然り、出た芽は摘んでしまうか、自分が出ずっぱりになって他人の入り込む余地が無いようにしておかなければなりません。
突如舞台に登場したゴキブリも然りです。役者よりも注目を浴びるなどといったことがあってはなりません。男はロンドンオリンピック柔道女子57キロ級松本薫選手金メダルの新聞でパシっと殺しました。娼婦がビックリしてキャッと声を上げていましたが、男の臨機応変な対応、そしてその後の進行はお見事でした。
保険のパンフレットは色画用紙を使って抽象的な表現をしていましたが、新聞は具体的過ぎました。新聞紙も抽象的な表現にしてほしいと思いました。
人間なんてラララのラ
劇団だるま座
アトリエだるま座(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/10 (金)公演終了
満足度★★★
死神って
悪のイメージがあるけれど、実は面倒見の良い神なんですよね。 一方、人間なんてあらら、のら・・・。 個人的には黒死神K1にクリソツな知り合いがいて、笑い×2でした。
イッセー尾形のこれからの生活2012 in 小倉
森田オフィス/イッセー尾形・ら(株)
J:COM北九州芸術劇場 中劇場(福岡県)
2012/07/28 (土) ~ 2012/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
感無量
たった3回しか観ていないけど、ほんとにイッセー尾形さんは
万人に優しかったし厳しかった。いろんな観方ができるだろうと思うけど、
テーマがちくちく刺さってくるのは私たちへのメッセージだと思っていた。
だけど、本当に優しいと思った。ダメでもいいんだよ、口べたでもいいんだよ。
うまく伝わらんくてもいいんだよ。と。
ネタバレBOX
東京公演のネタ?をカーテンコールでちょっとばらしてもらって感激。
この反響で決めました。とは泣けるものだ。
イムズ公演を観れないのは残念だけど、小倉に行けて本当に良かった。
国民の生活
ミナモザ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2012/08/01 (水) ~ 2012/08/06 (月)公演終了
無題431(12-174)
19:30の回(晴、やや暑)。18:50会場着、受付、そのまま開場まで待ちます。19:03開場、正方形の舞台、コの字の座席(椅子+座布団2枚)。コの字型の|側が正面、開いている面には、本棚、衣装掛け、TV、PC、机に冷蔵庫、バスケット、急須…女性の部屋の様相。会場反対側の角にも衣装。舞台は膝くらいの高さ、最前列との間が狭いので、誰かが通るたび体をねじらなくてはなりません。本棚に目を凝らすも遠くて見えません…かろうじて手塚治虫漫画全集、1Q84、つかこうへい。単行本、雑誌、新書に文庫、辞書、CD…、終演後、近づいて眺めてしまいました。「幼年期の終わり」「火星年代記」、「千夜一夜」なんかも。ふたり芝居短編集。ときどきく「くすっ」と笑う場面がありましたが、全編通じて、なんとなく…でした。本作で3作目。
19:33予定時間を過ぎての前説(やけに短い)〜ところがここからが長すぎ〜19:40開演、なんの動きもないままじっと待つのみ、すみません、私、ここで退屈感がでてきました。初日だったからでしょうか。21:08終演。
初めは丸いテーブルと椅子(2脚)、これはチラシのものと同じでしょうかね。
ネタバレBOX
お話の組み合わせ、意味があるんだろうなと考えつつ、わからず。ブラッドベリはそうかもしれないけど、お芝居でみるお話としてはどうかな、普通すぎないかな。
ウクレレみたいなのは…あとで調べてみましょう…禁じられた遊びですね。※「6弦ウクレレ」ですね。
当パンをみると、オノマリコさん、小栗剛さん、モスクワカヌさん、林弥生さん..ほかにも沢山の方。
座席と舞台との間が狭いので、もう少し誘導をうまくやれば(机がある側を通ってもらうなど)いいのにと思いました。
「生活」「資本主義」「罪」「勇気」、PPTを聞いたらヒントがあったかも…