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4人の被疑者

4人の被疑者

劇団ヨロタミ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★

お初は“いつもの”
初めての劇団で“らしくない作品やっちゃいましょうよ企画!”は少々引っかかったけど、縁あって観劇。全体的に上手いとは思いますが、やはり初見は“いつもの”でいくべきであったと反省してます。

朝日一家の挑戦状

朝日一家の挑戦状

はらぺこペンギン!

吉祥寺シアター(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

ほのぼの
障害者と家族が力強く生きる姿が印象的でした。亡くなった次兄と大天使が現世に蘇るシーンが笑えました。

ネタバレBOX

障害を持って生まれた人や家族に対する世間の目として、黄色いTシャツのテレビ局を登場させた点が良かったと思います。デフォルメも風刺が効いていて、面白かったです。

天界の描き方も面白く、下界に戻る条件付けなどの設定も良く出来ていたと思います。魂の入れ替わりが大声とアクションで分かりやすく、照明効果も抜群でした。終盤の次々に入れ替わるシーンも、良く伝わりました。

ラストもとても良かったです。両家の先祖が集まっているのは予想外で、ほのぼのしました。お爺ちゃんが若い女性になったり、お父さんだけ分裂してしまったり、オチも楽しかったです。劇中では触れられませんでしたが、天界で課長とデキていた天使が、実はお爺ちゃんだったのがツボでした。

演技では、主演の二人が素晴らしかったです。終始、障害者になりきって演じ続けており、本当に障害のある人のようでした。最後の挨拶で、演技だったと確信出来た位です。あとは、リーさんと大天使が好きでした。リーさんの手品はスゴかったし、変な日本語や中国ネタも笑えました。大天使のカラオケも選曲の古さが良かったです。お母さんが好きっぽい曲を入れても良かったと思います。

全体的に滑舌が甘い場面が散見しましたが、サオリ役は声がイメージに合いませんでした。多分、体調不良だと思いますが、飛沫等で感染する病気でしたら、マスクを配布したり劇場内の湿度を上げるなど、心遣いがあると嬉しかったです。音響は、天界のシーンでせせらぎが聞こえたのが印象的でした。思いの外、良く合っていました。

開演時間が遅いので、もう少し短いと助かります。後ろの中高年男性が疲れたのか、途中でいびきをかいて寝ていたのが困りました。観客に年齢が高い方も多かったので、早めに終わった方が良いと思います。

受付の女性はちょっと怖かったですが、スタッフの案内などは良かったです。特にAブロックは席番号がわかりづらかったので、助かりました。「奥が若い番号」とアナウンスされましたが、加えて「手前が17番」と教えて貰えれば、探しやすくなると思います。
作品を拝見して、温かい気持ちになりました。



地下室

地下室

サンプル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/01/24 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

「地下室」再演
サンプル+青年団となって再演。既にそこにあるアブノーマル(?)な世界、が、たまんない面白さ!俳優も良かった!初演より遠慮なく笑えてしまった。

ある高い完成度に達してる小劇場演劇だと思うので、演劇になじみのない方も挑戦してみてもいいのでは、と思います。

ネタバレBOX

さいごにママさんが「外に出たって汚いものしかない」「目をつぶってなさいよ」と言うが、初演より刺さった。(セリフは正確ではありません)
strange

strange

ニットキャップシアター

ザ・スズナリ(東京都)

2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

イスタンブールの子どもたち
今年は青組、グリクル、デスロック、サンプル、地点、伏兵コードなど・・
最初から印象的な公演を観る機会に恵まれたけれど
(無名な劇団が少ないのは毎年1~2月は海外のアーティストの来日が続くので自分もそれにつられて・・(苦笑
個人的には、観ていて一番背筋がゾクゾクする瞬間を感じたのはやっぱり
ニットキャップシアターかな、と感じた。

京都のヒラカタ・ノートを観たときから、構成の上手さは感じたけれど
(・・いや、良く考えると巧みではないけれど、それを観客に納得させるだけの手腕をその頃から持っていた、ということなのかな?
途中のアゴラのあたりから、イメージの豊潤さが前面に出始めて、
今回はそれに、シンプルでありながら太い線が
時間と空間と心の深度とを5次元的に走っているようで

個人的に感じたテーマ(とでも呼ぶべきものがあるならば
は、サンプルを思い起こさせ(死と再生
構成の巧みさ、洗練さはデスロック、
素材の黒さは伏兵コード、
軽やかさは地点。

それでいながら、
今回はあえて少し色彩を落として(といっても人物の周囲の色彩を落としたということで
心の闇の中に深く沈みながら、
アフタートークのごま氏の言葉を借りるなら、
「河の澱みに漂うボールに、流されながら途中で近づいて、また流れるうちに離れていく」
ように、被写体となった素材に微かに触れて、
また水の表面に戻っていくような。


ネタバレBOX

この物語のラストシーンは、
ばらばらになった仮面(心)が、奥さんと思われる女性によって、
紐で一つに結ばれるところから始まっているのだけれど、
結び合わされた仮面に自分の心を投影するとき、
仮面の持ち主である主人公の男性が、
かろうじて蜘蛛の糸のように一本の紐で現実につなぎ合わされると同時に、
その瞬間、
ごま氏が想像力の翼を広げて、
時空と心の距離を飛び越え、
深淵のなかのこちらの姿を認め、
また水面に浮上していく姿が見えたような・・(笑


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ごく一般的な感覚として、
仮面は、自分の心を映す鏡であることは分かってもらえると思います。

役者の顔じゃなく、仮面をかぶった役者の身体が登場するということは、
観客の心が仮面に投影されるということです。

ダンスなどにおいて仮面をかぶるか、かぶらないかというのは、
非常に重要なファクターで、
劇などでこのように仮面を非常に巧く使いこなすということは
非常に稀だし、
自分ももっとこういう作品を観たいと常々思っていました(苦笑

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この物語は、ごま氏が知り合いの男性が失踪していたときのことを
想像しながら作ったとのことです。

自分ではなく、
他人の心の闇を想像するというのは非常に難しいし、
根気がいる作業だと思います。

それを、こんなにも豊潤に
(色彩豊かというよりかは豊潤と言った方が近いように思う
形作るというのは非常に素晴らしい。

京都やその近辺には、
ギャラリー宮脇(そういえば先週行ってきたばかり)やNOMAといったような、
心の闇?(分裂とかそういったものをそう呼ぶならば)を傑出した美の一部として
提示してくれる場所が多いけれど(通常の作家の作品が霞むような
この舞台作品も、
溢れる想像力という点においては、それらに全く劣らない(ただ、構成などの面でも通常の作家の遥か上を行っているようで


あと、ごま氏は今回、ダンスの振付や音楽、能や狂言の要素など、
色々な要素を取り入れているものの、
背骨が全くぶれないで豊潤なままでいられるところが素晴らしい。

そういうえばこの公演を観た後、代官山でトルコのアーティストたちのライブをみたんだけれど、
そのライブの最後で
ステージ上のゲストの日本人の女性ダンサーが
「アルバニア人・・」から読み上げて(トルコ人たちも自分のコトバで読み上げる)
色んな人種を読み上げて最後に
「イスタンブールの子供たちは虹のよう」
と歌っていたのだけれど、
ああ、なんかこの作品もイスタンブールかもな、と思ったりした(行ったことないんだけど(苦笑



サロメvsヨカナーン【CoRichグランプリ受賞後第一作!】

サロメvsヨカナーン【CoRichグランプリ受賞後第一作!】

FUKAIPRODUCE羽衣

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/02/01 (金) ~ 2013/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

アイドルに糸井幸之介さんの歌を歌って欲しい
初日。ワイルド(野獣)系の街の水槽(海)で、生まれて死ぬまでの愛に溺れ、満たされ、早い段階で涙腺決壊。前作よりエロ多いが(直接的な猥語苦手なのですが)原作「サロメ」の愛、性、死を糸井流に表す必然だった。俳優の成熟が完成度に貢献。

同じ回を観てた知人から「泣き過ぎだろ、何歳なんだ!(いい年して!)」と愛あるお叱りも受けました(笑)。でもその人も、あの“ゾロ目の歌”は、良いと。背後で響く幾つものすすり泣きと共鳴しつつ、私だけの甘い、苦い思い出と未来を引き寄せて、羽衣の愛に甘える時間。

eyes plusのキャッチコピー「いつもと違う、をプラスする」はバッチリですね。性描写ありますし刺激強いですが、できれば、ふだん舞台に馴染みのない方にも体験して欲しいなと思いました。

ネタバレBOX

チュッパチャップス(飴)は雨、ワイルド系の町は原作のオスカー・ワイルドから、といったダジャレ多数。
朝日一家の挑戦状

朝日一家の挑戦状

はらぺこペンギン!

吉祥寺シアター(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

最初?--最後!!
幕が開いてしばらくは意味が分からないような展開に・・・・?ところが物語が進むうちに、「なるほど、うまい」となり、最後は泣けてきた。最後の「挑戦状」はいい台詞でした。初見の団体だったが、これからは気になる劇団だ。

君と世界と僕

君と世界と僕

Oi-SCALE

駅前劇場(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/04 (月)公演終了

満足度★★★

桃太郎
チケットプレゼントにて鑑賞。導入語りが笑えた。

ネタバレBOX

事故で失明したメイジ(林灰二)が盲導犬・チロル(成田沙織)と出会い別れ、その寂しさを描く。

学生時代、いじめっ子軽部(古川憲太郎)の妙なカラミで江崎(神嶌ありさ)の犬を川に流したこと、その報いを受けたこと、その江崎とのこと、いじめられっ子の金房(矢部太郎)のこと、チロルの心とか色々詰まってたけど、胸に来るでもじんわり来るでもなかった。つまらなくないけど。

古川と矢部のシーンが印象に残っている。
コーンの照明はキレイだった。
最初の目をつむる演出はワクワクもしたし、よいと思ったけど。
朝日一家の挑戦状

朝日一家の挑戦状

はらぺこペンギン!

吉祥寺シアター(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

泣きました。
この目から出る汗はいったい何かと思ったら涙でした。

ネタバレBOX

いわゆる障害者っていうんでしょうか。ああいった人達を描いた時点で挑戦的だと思いました。

ああいう人達ってなんなんでしょうか。子供みたく純粋で、悲しいだの嬉しいだの、そのあたりを素直に表すところにとても感動してしまいましたし、それを演じた役者さん達がまたうまいなと思いました。

途中で泣いたのですが、最後、もっと泣けることを期待しながら見ていたのでちょっとすかされた感じですが、泣くための芝居でもないので、それはそれでまぁ、うん、いいかなと。
この世とあの世は旅籠から

この世とあの世は旅籠から

カン劇cockpit

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2012/12/08 (土) ~ 2012/12/10 (月)公演終了

満足度★★★

原作の原型はほぼないけども
初めてのカン劇cockpitさんでした。
なので、辻野加奈恵さん以外たぶん初めてだと思いますが。
役者さんみなさんスキルの高い方ばかりやな~と。

しかし、見せ場の長台詞の噛みかたが惜しすぎる。
特に旅館オーナーの噛み方は、ひと呼吸毎に噛むレベルで、残念至極。

幽霊トリオの掛け合いがおもしろかった。
死んでなお、こんな風に友人できたら死ぬのも怖くないな~なんて。

霊能者の辻野さんの魔女っ子衣装がラブリーすぎ。
あれ手作りですよね~、たくさん縫い付けられたプチぬいぐるみ、ステッキ、凝ってる凝ってる。
せっかくあれだけ衣装可愛いのだから…もうちょい、ぶりっ子キャラを強めに押し出してもよかった。
出だしだけで、後はふつーだったので。

幽霊が各自自身の話をする場面なのですが。
ここは涙を誘う感動の場面。
しかし音響が、あまりに無粋。
独白を始めると同時にピタッと音楽が流れ、終わると同時にブツっと途切れる。
これを繰り返されては…今からえぇこと言いますよ~、はい終わりましたよ~ってな感じで…。
音量操作で自然なフィードインアウトしたほうが、情緒がある。

キャストの衣装が白色で揃えられている時点で、ひっかかってはいたけども。
やはりやはりなタネ明かしで、腑に落ちる。
主に演出面で思うところは多々あれど、おもしろく観させていただきました。

14番目の月

14番目の月

junkiesista×junkiebros.

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★

楽しかった
このお芝居を観ると14番目の月の意味がわかります。脚本の内容初めからわかってしまいそうですがそれなりに楽しめたお芝居です。渋ゲキのホールもきれいで観やすかったです。

14番目の月

14番目の月

junkiesista×junkiebros.

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

大満足
芝居の内容ではないところで大満足です。抽選会,スポンサーさん大盤振る舞いですね。奥様も化粧品がお土産となり大満足していました。芝居の内容としては,少女マンガの世界かなぁ。まぁ,気楽に楽しめましたんで,突っ込みはなしとしましょう。ただ,Junkie Sistaのメンバーがやったならば,ミュージカルの完成度はダンチなものになったんだろうなぁ。

朝日一家の挑戦状

朝日一家の挑戦状

はらぺこペンギン!

吉祥寺シアター(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

観なきゃ損するぜ!
最初のつかみが少々不安であったが、どんどん話しが面白くなっていく。
すごいのが、めっちゃ緊張感のあるシーンの中で、笑いの要素をぶち込んでくるのが素晴らしかった!
二時間という上演時間が短く感じました。
泣いて、笑える、余韻がすごく残る舞台でした!!!

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地

シアタートラム(東京都)

2013/01/24 (木) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

身近に感じられなかった
逃げてばかりの人達の話だと思いました。
別に「逃避」が悪いという話ではないのだけど、この手の
テーマは過去に数多くの作品が生み出されているので、
新機軸が欲しかったです。あと、全体的に演出過多。
滑稽を狙っていたのかもしれないけど、かえって作品の
雰囲気を壊している気がしてもったいないな、と思いました。

ネタバレBOX

亡くなってずいぶん経つ恋人の幻影にとらわれ、一歩も前に
進めないイラストレーターの男と、相手に過度に依存し、結果、
どうしようもない男ばかり拾ってしまう、普通にいそうな感じの妹、

それに、本人は自由人らしい生き方を貫いているようにうそぶいても
人からはどこか逃げているようにしかみえない、タイ在住で日本一時
帰国中の男、

エロアニメ声優で、自分のつくっている作品の意味や意義について
密かに思い悩んでいる、妹の腐れ縁、

の4人が主要人物ですね。この中では一番、妹の腐れ縁の清水が
一番理解しやすかったかも。どんな状況でも、何をやっていても、
たとえ自分がそれを選んでいても、誰かに認められて、存在の
意義を感じて欲しい、というのはありますよね。

でも、清水を含めて、みんなあまりに自分のことだけしか
考えてないので、後半、なかなかに単調で。一人くらい
変化の移り変わりを出していって、そこで他の3人との
対立点みたいなのをつくり出していった方が面白かったのでは。

主人公の男の恋人が、男が理想化し、自分だけを見てくれている、と
いう思い込みとは違って、実際は誰とでも簡単に寝るような女性だった、
っていうのはなかなかキツさが効いていて、ここは結構掘り起こせそうな
ネタだと思ったけど、

意外と妹とのエピソードも大きく絡んでくるので、主題が分散して
なんだかよく分かんなかった。

妹が海外に行って、人に左右されて気疲ればかりしていた頃から
打って変って、自分の生に気付いて兄に話しかける、という結末も
後で考えると空虚ですよね。演出はそれを狙っていた可能性も
あるけど、やっぱりありきたり過ぎる気がしました。

作・演出がほぼ同年代なので、どうしても作る世界観や主張に
世代特有の未成熟感が色濃く漂っていて、さすがにこの手の
作品はなかなか今の自分の歳では厳しくなってきたな、って
いうのが正直な感想です。
朝日一家の挑戦状

朝日一家の挑戦状

はらぺこペンギン!

吉祥寺シアター(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

観てよかった。
ネタバレで。

ネタバレBOX

脚本に関しては、傑作に手の届くところまでいっていたと思う。

あとわずかで、強烈なカタルシスが出来ただろう。

いずれにしろ、ちょっとの推敲で傑作になる戯曲だと感じた。

題材、設定、構造。

重層な構造がとにかく良い。

全体をあと2割切れば、と思った。


演出に関してはこなれてて上手い。特に転換でそれを思う。


役者、非常にレベル高い。

特に、双数姉妹の女優さん。素晴らしい。

あと劇団員の方々。



やわらかいヒビ【ご来場ありがとうございました!!】

やわらかいヒビ【ご来場ありがとうございました!!】

カムヰヤッセン

シアタートラム(東京都)

2013/01/17 (木) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

生まれ変わった「やわらかいヒビ」
本作品は、2010年に三鷹市芸術文化センター「星のホール」で
初演されたものの再演となる、劇団の代表作であり、また初の
シアタートラム進出作品でもあります。

私は2年前の初演も観ているのですが、当時相当の衝撃を受け、
以来、「カムヰヤッセン」という劇団名が脳裏に刻まれるなど、
本当に想い出深い作品です。今回の再演でも変わりません。

むしろ、ある部分では、再演の方が深く切り込んでいるかもしれない。

ネタバレBOX

本作品『やわらかいヒビ』ですが、

舞台は近未来の日本。そこでは数々の社会問題に対応する為に
各分野の頭脳を集めた施設「アカデミー」があり、主人公、牧の妻、
上谷はその中でも圧倒的な才能を発揮し、空間輸送用ブラックホール
開発に日々精魂を傾けていた。

ところが、本人の研究以外に周囲を顧みる事の一切無い性格や、
妬みから、同僚の計略でアカデミーを追放された上谷の体に、
原因不明の不調が起こる…

といったもの。ジャンルでいうと…一種のディストピアSFですね。

初演では、主演の板倉チヒロの絶叫し、時には鼻水涙を
まき散らしながら泣き叫ぶ渾身の演技、

裏切り、妬み、嘘、偽善といった負の感情・要素が一体で
襲いかかってくる、ラストの破局に向かって突き進んでいく、
一切の希望無しの絶望的なストーリー展開、

そしてその悲しみと余りの美しさが一部で「伝説」になっている
ラストシーンが大いに話題を集めた作品なのですが、

今回、再演に当たって、大幅に脚本が直されています。
重要な役割を果たす人物も新たに加えられて、作者の
言う通り、「まったく別の作品」に生まれ変わりましたね。
劇団員も入れ替わって、役者も大幅に替わっています。

観ていて感じたのが、この劇団特有の人間の酷さ、残酷さ、
非情さを示すような台詞、演出、展開は書き改められて
よりトラムに相応しい「広がり」を覚える作品になったな、と。
初演では確か用いられる事のなかった音楽が、ここでは
より深く感情を揺さぶる効果をもたらしています。

夫婦の息子、慧吉と牧の関西弁を介してのやり取りが
コミカルで、緊迫感が大分緩和されているのもあるけど
初演ではほぼ無かった、「まだ見ぬ未来への可能性」を
今回は強く感じられるようになってて。

劇中、牧と上谷、二人の夫婦のきずなが問われる場面が
あるのですが、初演では、それは先に待ち受ける悲劇を
より強める効果にしかなっていなかった気がします。

今作では、初演のエモーショナルさはそのままに、一層
台詞が身に入って来る感じ。

アカデミーを追放されて絶望する科学者の妻に向かって、
牧が言った「m+1の公式はmが0なら成り立たない。+1は
mという今があるからこそ、出来るんだ」「あなたは…俺より
頭が良いんだから理解出来るはずだ」と必死に訴える、
あの場面、

初演では全然来なかったけど、今回は目頭が痛くなりました。

伝説のラストシーンは今回削除され、より未来の希望を
感じさせる終わり方になっていました。ここは賛否両論
あると思いますが、初演のはどうにもならない悲劇の上に
咲いた、美しい一輪の華のようなものなので、

より「人間を、未来の可能性を信頼する」ようになった、
今回の上演では無くて良かったのかもしれません。

最後に、本作は本当に傑作で、シアタートラムも良い劇場です。
カムヰヤッセンが現在激推しの劇団であることを差し置いても
この作品は観て損が無いと、私は確信を持って言えますね。
私の嘘、僕の嘘

私の嘘、僕の嘘

Z団jr.

千本桜ホール(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/04 (月)公演終了

満足度★★★★

ダークマタ-
 我々は、生きている中で様々なもの・ことをネグレクトする。ネグレクトされた者・物は、宇宙で言えばダークマターのように、溜まっていよう。濾過され人前に出ても格好がつけられる他所行きより遥かに量も多いのに、納得のゆく解を得られることは少なかろう。そのような暗く、穢れた世界に身を置いてこそ見えてくるもの・ことがある。いわば表通りの世界から見放され無いと看做されて無視された世界である。だが、量から言っても、宇宙の構造から言っても、明らかに光を凌駕するのは闇の世界だ。嘘は、恐らくそこから養分を得ている。危機の時代に表現する者の多くが、善よりは、悪に惹かれるのもその為である。

strange

strange

ニットキャップシアター

ザ・スズナリ(東京都)

2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★

épave

 今回32回目の公演になる劇団のようだが、評価するか否かがはっきり別れる劇団ではないだろうか。作・演出を担当している“ごまのはえ”氏は、韜晦を旨としているように感じる。例えば、仮面の使用法では、実在と感じる者に仮面をつけさせるといった具合だ。 
 作品は三部構成になっている。第Ⅰ部が垂直移動編、第Ⅱ部が平面移動編そして第Ⅲ部がⅠ部Ⅱ部の交差する直角交差編である。一応、始まりと終わりがある。然し乍ら、何か強烈に主張したいものやことがあるという具合に、作家は意識していない。いわばépaveとして自らの周りにあるもの・ことに注意を巡らし、納得するか否か、パースペクティブがあるか否かをアプリオリに知った上で行動するという方式を採らないのである。方向性はあるが、取捨選択は情況との関係で決まると言ってよかろう。その分、不確定要素が多く、解釈は多様になる。一方、主張なりテーマなりがハッキリした形を取り難い為、分かり難さが観客の好奇心をそそるのだ。
 今回の公演では、原始的な楽器や唯の箱、チューブなどが人工音と併用されているが、音楽的な広がりや深さは、épaveがépaveとして漂うことに符号していた。

ヒューイ

ヒューイ

Amrita Style

小劇場 楽園(東京都)

2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

ウンウン
ギャンブラーには切実な話だったようで、納得!

ネタバレBOX

エリー・スミスというチンケなギャンブラーは常宿のフロントマンであるヒューイ相手に小銭でイカサマギャンブルをし、ホラを吹いて、自信を付けてニューヨークの街に出掛けていたんだとさ。

ヒューイ亡き後、自信を付ける手段が無くなったため気弱になって街で負け続けていたので、口から出るのは愚痴ばかり。

ところが、とっつきにくいと思った新しいフロントマンのヒューズが大物ギャングでギャンブラーのアーノルド・ロススタインに憧れていることを知るや、ヒューズ相手にまたまたイカサマギャンブルをしたり、ホラを吹くことができるようになり、明日からまたギャンブラーとしてやっていけると確信しましたとさ。

1時間15分ほどの二人芝居の大半は、エリー・スミスがヒューイのことを延々と話すシーンに費やされましたが、ギャンブルには如何に自信が大切かということで、その理由が分かれば納得です。ま、何事についても言えるのかもしれませんが。

エリーの酔っぱらい振りは見物でした。

この翌年1929年は大恐慌の始まり、うら悲しいですね。

ところで、開演前に当時のアメリカ映画を床面に映し出し、雰囲気に浸ることができてとても良かったと思います。ただ、お芝居が始まってから説明のために映像を流したのはかえって邪魔だと思いました。しかも、コンピュータの関係か、映像が流れる前に左上部分に前触れの光が流れるのがうざったかったです。
Angel Fang~天使の牙~

Angel Fang~天使の牙~

激富/GEKITONG

ABCホール (大阪府)

2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

テンポがよくて・・・
ストーリー展開がよく、場面がポンと変わっていくのですが、話が途切れず、
違和感なく、入ってきました。
しっかり、伝わってきました。
演出すごいなあと思いました。
説明では卑弥呼中心のようでしたが、もっと深いところの話でおもしろかったです。
最初、音響がうるさすぎて、セリフや演技が入ってきにくかったのですが、
笑いが入ってきた頃から、気にならなくなり、おもしろくなりました。




ネタバレBOX

「4人が死んで、愛を知り、神になれる。」ということでいいのでしょうか。
最後の戦いは、ちょっと理解できませんでした。
どの場面で、あの人が、どういう立場だったのかが、整理しきれてなかったからだと思うのですが、
闘ったとき、過去に愛していたが、今は敵として闘う必然があったのか、
愛しているけれど、神となるため、あえて敵として闘かったのか。
愛しているのに、敵でもないのに、必然のために闘ったのか。
一番大事なところなのに、消化しきれなくて、申し訳ないなあと思いました。

朝日一家の挑戦状

朝日一家の挑戦状

はらぺこペンギン!

吉祥寺シアター(東京都)

2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

一人では生きていけない
支えが必要、誰だったそうなのですね。

ネタバレBOX

知的障害者の二人の結婚式に小学校時代のクラスメートが誰も出席してくれないのは挑戦状のせい。招待状を挑戦状と書き間違えるというのはギャグとして昔からあるのでしょうか。以前、確かル・デコでも観たような記憶があります。

あの世でも上下関係厳しく仕事をしている…、この世の人たちを見ていてくれる…、特別に来てほしい時は煙を焚けば来てくれる…、この世の人には直接見えたりはしませんが、亡くなった家族があの世から来てくれて二人の結婚式がスムーズに行われるように尽力してくれました。

ただこれは、亡くなった家族に結婚式を見てほしいと願う無垢な二人がストーリーを作り作画した絵本の中の世界でした。しかし、実際もそうなのかもしれないと思わせる話でした。

書いていることが本当になるような、あるいは本当のことが見通せているようなストーリーは良くできているのですが、結局は幽霊物、しかも直接言葉にして発信できるという一番安直な憑依物でした。

もしあの世があんな風だとすると、自分を起点にして累々と連なったご先祖様たちがいる大家族制の許では落ち着いて過ごしてはいられませんね。

この二人はきっと絵本作家として大成し、親の心配をよそに親よりも稼げるくらいに自立することでしょう。そんな二人の演技は素晴らしかったです。

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