strange 公演情報 ニットキャップシアター「strange」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    イスタンブールの子どもたち
    今年は青組、グリクル、デスロック、サンプル、地点、伏兵コードなど・・
    最初から印象的な公演を観る機会に恵まれたけれど
    (無名な劇団が少ないのは毎年1~2月は海外のアーティストの来日が続くので自分もそれにつられて・・(苦笑
    個人的には、観ていて一番背筋がゾクゾクする瞬間を感じたのはやっぱり
    ニットキャップシアターかな、と感じた。

    京都のヒラカタ・ノートを観たときから、構成の上手さは感じたけれど
    (・・いや、良く考えると巧みではないけれど、それを観客に納得させるだけの手腕をその頃から持っていた、ということなのかな?
    途中のアゴラのあたりから、イメージの豊潤さが前面に出始めて、
    今回はそれに、シンプルでありながら太い線が
    時間と空間と心の深度とを5次元的に走っているようで

    個人的に感じたテーマ(とでも呼ぶべきものがあるならば
    は、サンプルを思い起こさせ(死と再生
    構成の巧みさ、洗練さはデスロック、
    素材の黒さは伏兵コード、
    軽やかさは地点。

    それでいながら、
    今回はあえて少し色彩を落として(といっても人物の周囲の色彩を落としたということで
    心の闇の中に深く沈みながら、
    アフタートークのごま氏の言葉を借りるなら、
    「河の澱みに漂うボールに、流されながら途中で近づいて、また流れるうちに離れていく」
    ように、被写体となった素材に微かに触れて、
    また水の表面に戻っていくような。


    ネタバレBOX

    この物語のラストシーンは、
    ばらばらになった仮面(心)が、奥さんと思われる女性によって、
    紐で一つに結ばれるところから始まっているのだけれど、
    結び合わされた仮面に自分の心を投影するとき、
    仮面の持ち主である主人公の男性が、
    かろうじて蜘蛛の糸のように一本の紐で現実につなぎ合わされると同時に、
    その瞬間、
    ごま氏が想像力の翼を広げて、
    時空と心の距離を飛び越え、
    深淵のなかのこちらの姿を認め、
    また水面に浮上していく姿が見えたような・・(笑


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    ごく一般的な感覚として、
    仮面は、自分の心を映す鏡であることは分かってもらえると思います。

    役者の顔じゃなく、仮面をかぶった役者の身体が登場するということは、
    観客の心が仮面に投影されるということです。

    ダンスなどにおいて仮面をかぶるか、かぶらないかというのは、
    非常に重要なファクターで、
    劇などでこのように仮面を非常に巧く使いこなすということは
    非常に稀だし、
    自分ももっとこういう作品を観たいと常々思っていました(苦笑

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    この物語は、ごま氏が知り合いの男性が失踪していたときのことを
    想像しながら作ったとのことです。

    自分ではなく、
    他人の心の闇を想像するというのは非常に難しいし、
    根気がいる作業だと思います。

    それを、こんなにも豊潤に
    (色彩豊かというよりかは豊潤と言った方が近いように思う
    形作るというのは非常に素晴らしい。

    京都やその近辺には、
    ギャラリー宮脇(そういえば先週行ってきたばかり)やNOMAといったような、
    心の闇?(分裂とかそういったものをそう呼ぶならば)を傑出した美の一部として
    提示してくれる場所が多いけれど(通常の作家の作品が霞むような
    この舞台作品も、
    溢れる想像力という点においては、それらに全く劣らない(ただ、構成などの面でも通常の作家の遥か上を行っているようで


    あと、ごま氏は今回、ダンスの振付や音楽、能や狂言の要素など、
    色々な要素を取り入れているものの、
    背骨が全くぶれないで豊潤なままでいられるところが素晴らしい。

    そういうえばこの公演を観た後、代官山でトルコのアーティストたちのライブをみたんだけれど、
    そのライブの最後で
    ステージ上のゲストの日本人の女性ダンサーが
    「アルバニア人・・」から読み上げて(トルコ人たちも自分のコトバで読み上げる)
    色んな人種を読み上げて最後に
    「イスタンブールの子供たちは虹のよう」
    と歌っていたのだけれど、
    ああ、なんかこの作品もイスタンブールかもな、と思ったりした(行ったことないんだけど(苦笑



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    2013/02/02 12:35

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