最新の観てきた!クチコミ一覧

112621-112640件 / 189811件中
始発電車は君の街へ

始発電車は君の街へ

ロリポップチキン

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/04 (木)公演終了

満足度★★★★★

もっと俗悪に、もっと過剰に
ドン・キホーテの店内を連想した。いろいろなアイディアが過剰に、いささか無秩序に詰め込まれている。その過剰さを通して、「愛」「死」「生」という根源的で古典的なテーマに到達しようともがき続けているような舞台だった。

熱くて、切ない。主人公は聾唖の少女。彼女は兄に監禁され、外界に触れることなく、無垢の状態で、成長してきた。兄だけが彼女の世界だった。兄は監禁によって独占的で完全な愛を手にしていた。しかし彼女は外の世界の人間と出会い、彼に恋される。それは兄の同級生だった。彼は彼女の美しさ、何もしらないという無垢さ、そして障碍者であるという欠落ゆえに、彼女に惹かれる。

極端で陳腐な道具立てのなかで、「愛」と「死」の定型的な物語が展開する。問題はこの古典的な枠組みをいかに提示するかである。仮面の使用およびそれを使った場面での様式的な動き、クラシック音楽を効果的につかった選曲のセンスのよさ、激しいダンス、時系列の断片化と組み替え、作者は思いつくあらゆる手段を使ってこの定型的な主題に近づこうとしてもがいているように思えた。しかし過剰な演出手段が作り出す混沌のなかで、この主題は真夏の逃げ水のように、到達できない。そのもどかしさ、切なさがとてもいい。中二病的なせりふが示す登場人物たちの世界のとらえ方の狭さが、ときおりその狭さと陳腐さゆえに、美しい詩情を生み出していた。

俳優たちの演技・演出はみなすばらしい。女優二人はとてもかわいらしかったし。緑の髪の毛の俳優のマリオネットぽい動きが特に印象に残っている。

作・演出家は自分の分身のような役柄を自ら演じ、そのモノローグが作品にメタ構造を作り出していた。当日パンフで「一緒に愛を育んで、長生きして、笑顔で死のうねっ☆」と言ってくれるような彼女が欲しいと作・演出家は書いている。しかし彼に今、切実に必要なのは、ぼんやりと生きているけれど、頼まれたら嫌といえない気の弱さと人のよさを持つ、あまり幸せそうには見えない女性を口説いて彼女にして、その彼女とぐだぐだの少々退廃した恋愛生活を送ることだろう。こうした「愛」と「死」と「生」という陳腐な物語に説得力を与えるには、やはり己というものをもっと思い切って、大胆につきつめ、作品のなかで暴露させる必要があるかもしれない。

つまらない洗練を目指さないで欲しい。ごつごつとしたリアリティのある作品を今後も不器用に作り続けて欲しい。べたべたの使い古された主題や表現の通俗性も突き詰めていけば、新鮮な驚きと気付きを観客に提示できるはずだ。

不思議の国のアリスより

不思議の国のアリスより

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/07/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

感謝
МもRも拝観致しました。
最近ブレブレで迷って悩んで焦っていた毎日に光が差し込んだような心持です。
ひたすらに、感謝。

ことほぎ

ことほぎ

文月堂

「劇」小劇場(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

とても
面白かったです! アパートを巡る群像劇?みたいな。 今でもこんな感じの下宿?てあるのかなぁ。 最近流行りのシェアハウスとかがこんな感じなのでしょうか。 コメディチックなところやほのぼのしたところは普通に楽しかったし、設定やラストの方はともかくも、それぞれの役のキャラやライフヒストリーにリアリティを感じました。 それに、なかなかに人生の重みを感じさせるドラマだなぁ、とか思ったり。 ある意味王道的とも言えるかもしれませんが、とてもいい作品だと思いました! あと、どうでもいいことですが、ケータイ大喜利に選ばれるのは普通にスゴいと思いまっす!笑。


ことほぎ

ことほぎ

文月堂

「劇」小劇場(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★

今日があるから明日がある
毎日いろいろなことがある。自分も他人も。
そして明日が来る。明日はどうなるかわからない。
でも、きっといいことがある。そんな気持ちにさせてくれた芝居であった。

少年王マヨワ

少年王マヨワ

ニットキャップシアター

座・高円寺1(東京都)

2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★

難解でした
演出や音はすごく良かったです。圧倒されました。ただ、ストーリーはちょっと難解でした。終演後にシアタートークがある回に見に行けば、また違った印象だったのかもしれませんが、自分での解釈が追いつかないうちに物語が進んでいってしまい、分からないまま終わってしまった印象がありました。

♯$%・・・MOZIBAKE・・・&!♯

♯$%・・・MOZIBAKE・・・&!♯

劇団 野風増

自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)

2013/06/28 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

レイは妹   面白かった 最後の展開
私はあなたを、盗聴 盗撮 ガス自殺の時助けられたのも、だからだよ。 レイは妹 

 面白かった 最後の展開が、ぞっとします、一人一人を、きっちりと描き、 歌 ダンス 笑も有り、とても観やすく分り易い 良く出来たお芝居です。次も観たいです 楽しみです。

ネタバレBOX


 面白かった 最後の展開が、ぞっとします、一人一人を、きっちりと描き、 歌 ダンス 笑も有り、とても観やすく分り易い 良く出来たお芝居です。次も観たいです 楽しみです。
 

キーボードぱちぱち コンビニ タバコ 電車で体が当たる 道聞く ツイート 文字が見える 半年前から きっかけは、 ネットはほとんど会話がない。 仕事は? 病気 もじもじ病 防衛心 文字のフィルター 増えている患者。  ありがとう心の声を出す、カスとしゃべっても時間のむだだ、カス医者 医者のくせにカス、見える文字 カス人間としゃべる時に見える 文字のスタンドか? 情報くれ MOZIBAKE 一晩で夢を何年も 寝ながらヘルメット ネットで話す5人 オープニング ディスクに名前をかいて役者紹介。
 
 僕はシステムの管理者だ ようこそ 翔平 動物占いは、像だよ。どうでもいいよ ソファーのカエル白い腹にMOZIBAKEの文字 プログラムは文字の集合体 ここでは言いたくない事は言わなくていい トラウマを共有する。 恐くないよ 同じ病気 風が変わった。 来るよ 初めまして ドンキーで買った そしてココに来た 楽駿 落語が趣味 ただの引きこもりニート。 風が変わった。 憧れてた 関西弁 似非と言われる ブランコの音 あの時間のブランコ 押した 動かない 黙っていれば 分らない あのとき夕日に夢中になれた 死ねばいいのに 僕が殺した 京阪のトラウマが始まる 京阪は男でも女 アタル兄ちゃんはそんなんが良いの 京阪は女になりました 舞妓のしゃべりも、 すまん女とは住めん。 京阪はココを真直ぐ グイッと。 京阪は、ココを真直ぐ グイッと!!  一休のトラウマ 寺へ帰って キリスト ヒンズーの考えを入れる 教え 宗教や神にとらわれない教えを、 人には人の乳酸菌 袋の中はTENGA ?? 出してはいけない、見せてはいけない!! 
人から見たら小さい事 翔平はトラウマを克服した、こだわりません ヘルメットかぶれ 気付けてなー 変な夢 みんな文字ばかり ネットすべてやめた お前のおかげで回復 結婚する。カスは、妹は、自殺 もう良いじゃん 妹はブランコでおした あなたが、ネットで死ねと書き込み、妹は死んだ 殺してくれた。 私婚姻届を出してきた。私はあなたを、盗聴 盗撮 ガス自殺の時助けられたのも、だからだよ。 レイは妹 私嘘は嫌い 色んな人の命をしょっている。
『太平洋食堂』

『太平洋食堂』

メメントC+『太平洋食堂』を上演する会

座・高円寺1(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

天皇の人間宣言が全て
医者の思い、僧侶の思いが伝わってきました。

ネタバレBOX

横一線にテーブルを並べ、新平民と呼ばれた人、議長、僧侶、警察署長、芸者などが座って食事をする風景に医者の心意気が伝わって来ました。

一日で天下を取る方法は無いと思うべしですね。理想を実現するためには何をしてもいいというのは行き過ぎです。ましてや人を殺してまでして実現しようとするのは正当ではありません。

医者が言ったように、私たちは常に理想を持ち、主張して、そして人間の一生は短いですから次の世代、さらに次の世代に期待するのが、まどろっこしいようではありますが、法治国家、民主主義社会での生き方のように思えます。

僧侶の、現世利益を否定して、普通にまともなことを考え行動し、それでいてふと思ってしまう自分もいて、苦悩する姿は素晴らしかったです。

幸徳秋水も医者も、期待した次世代の暴走に足をすくわれた感がありました。天皇の人間宣言を引き出すためとはいえ、爆弾に手を出しちゃあいけませんねって思いました。毅然としていてほしかったです。
Call me Call you

Call me Call you

劇団6番シード

吉祥寺シアター(東京都)

2013/06/27 (木) ~ 2013/07/04 (木)公演終了

満足度★★★★★

イイ!!
お初です。劇場入り口にSITの隊員役の男の子たちが立っている。この立ち姿からキリッとしてイイ!!これは期待しても・・・期待どころかそれ以上の面白さでした。脚本がよく書かれていると思う。思い切ったセット、そして何より動けて、間合いのいい出演者!!あっという間で実際かかった時間より短く感じてしまった。

いい日、エールを。

いい日、エールを。

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★

なんかいい・・・
シリーズ3、4と続けて見せて頂きました。どちらも人の温かみ間のあるいい舞台でした。女優陣に期待して観に行ったのですが、おじ様たちの頑張り、特にラストはじわっと心に浸みてくるものが・・・いい舞台でした。

始発電車は君の街へ

始発電車は君の街へ

ロリポップチキン

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/04 (木)公演終了

満足度★★★★

耽美派
独特の兄妹愛なんすかね。

ネタバレBOX

耳の聞こえない妹を溺愛するアキラ、生まれてすぐに障害が分かったのか親も出生届を出さなかったようで、名前もその存在すら秘匿されていたような感じ。妹が20歳になったとき、綺麗な音色のオルゴールを贈り、次は完璧な子として生まれようと兄妹は列車に轢かれて心中。

今度は目の見えない琴美を溺愛する兄、二人は心中した兄妹の生まれ変わりか、妹が20歳になったとき、綺麗な絵画を贈り、次は完璧な子として生まれようと兄妹は心中。

先の心中ではアキラの同級生の一人が駅のホームで目撃、ニ番目では同級生たちが列車の窓から目撃するような形でしょうか、同級生を絡ませて膨らみを持たせた印象でした。

ところで、開場時から役者さんたちは舞台上に座って瞑想するような雰囲気でスタンバイしていました。私はいつも開演までの30分が退屈なのですが、若い役者さんにとっては私の50分ほどにも感じる時間を何もせずにじっとさせる苦行を強いているようにしか思えませんでした。

可哀想だから止めたらと思いました。
『RADIO KILLED THE RADIO STAR』

『RADIO KILLED THE RADIO STAR』

*pnish*

俳優座劇場(東京都)

2013/06/26 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

衝撃的!
サイコホラー。確かに怖い!
序盤の和やかな場面から一転、ラジオ局が恐怖に変わります。
怖いと言うより衝撃的!!思わず、「ひっ」と声が出ます。
最初の衝撃が強烈で、それが後を引き、次の衝撃がいつどんな感じで起こるか、手に汗握り見入ります。
「リアリティ」あります。どうせ、舞台の作り物でしょって、思えない空気感出してます。だから恐いです。その場で体験してこその衝撃の恐怖。

ネタバレBOX

ラジオ局の人々が次々に殺されていきます。最初の殺害方法は衝撃的。
犯人により、ラジオ局に監禁状態になるスタッフ達。
犯人の殺害動機がわからない。だから次に誰が殺されるのか?
いつどのようにして殺されるのか?全く先が読めない。
その緊張感(恐怖感)が半端ないです。
殺人が行われる中、ラジオ放送が続き、そのラジオ内容のお題が「怖い話」この事件を知らないリスナーのTwitterに答える犯人の言葉が伏線になっていて次の殺害方法や殺害を決行する動機(殺害動機は別)にも繋がって。る。
舞台印象は殺人という衝撃部分が残りやすいが、しっかり台詞を聞いていくと伏線だらけ。まぁ、リアリティ追求で説明ゼリフが入れれないので、伏線と言うか説明部分を入れないといけませんからね。
佐世保バーガーズ

佐世保バーガーズ

東京パイクリート

劇場MOMO(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

よさげ♪
とても面白かったです!個人的に笑いのツボをガンガン突かれました!
帰りに佐世保バーガーのお店にも行きました。舞台の内装の再現率がとても高かったんだなあと感じました。

いい日、エールを。

いい日、エールを。

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★

大切なもの・・
友達の存在は大切だなぁと再認識した舞台でした。ストーリー自体は、よくありがち(?)な感じでしたが、登場人物の一人一人の個性があって面白かったです。切ないシーンもありましたが、命の大切さや、今を大切にしなくてはいけないな・・と感じたり、いろいろ感じる部分がありました。最後は、突然上手くまとまりすぎという印象がありましたが、ほんわか温かい良い舞台だったと思います。

狂っても大好き

狂っても大好き

村松利史プロデュース

駅前劇場(東京都)

2000/06/21 (水) ~ 2000/06/28 (水)公演終了

満足度★★★★

面白かった。勢いで思わずレイトショーまで観てしまった
※実際の公演期間は1995年6月21日(水)〜6月28日(水)です。こりっちさんでは1999年以前の公演情報は登録できないので現在できる一番古い日付にしました。

ネタバレBOX

で、実際観たのは1995年6月27日。物騒な言葉を呟きながら車椅子で登場するシナリオライター、ロッカーに入っていた深浦加奈子さんが印象深いブラックホラーコメディー。面白かったです。なのに、結構空き空きの座席。レイトショーになると更に空き空きで・・・座席は椅子と桟敷があったのですが桟敷は特に。カーテンコールで村松さんが「明日は千秋楽なんですが・・・ごろりと横になって観られる芝居があります、とどうぞお友達に宣伝してください」と言っていたのを憶えてます。
サスペンスオムニバス

サスペンスオムニバス

PureMarry

三越劇場(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/03 (水)公演終了

満足度★★★★

ちょっと古めかしいですが
アガサクリスティーらしさは堪能できました
しっかし高齢者の多い観客層でした→ヒロインのせいかなぁ(^^)

(50分×2本+20分休憩)

ネタバレBOX

えーほんとにザックリ話のオチばらしますので、
知りたい人だけ読むようにしてくださいねー。

最後のディナーは、ルークのであった新しい浮気相手が、先のブロンド美女連続殺人犯の妻であり。ほんとはその美女達殺したのも妻であったと。油断してコーヒーに一服盛られたルークは、「君主にふさわしい皿に盛られたバター」という旧約聖書の中の一節である原題のように=Jael(ヤエル)がSisera(シセラ)の頭をカナヅチと釘で殺すというエピソード=そのままに真犯人である女が金槌と釘を手に近づいていって・・暗転→終劇です。
そのディナーシーンをキリストの最期の晩餐風に多人数で演出して見せてくれました。面白かった。

フェイからの電話は、じつはジェームス氏は妻となった女性を事故と見せかけて殺していた殺人犯で。警察が前回死亡した先の妻の母に娘を装って電話をかけさせてボロを出すのを待っていた・・というオチ。おびえた氏は先の妻同様に駅のホームから転落し死亡します。が、どうやら先の妻は霊となって実母に乗り移り今の妻となったパムを助けてくれたらしいとわかります。
『太平洋食堂』

『太平洋食堂』

メメントC+『太平洋食堂』を上演する会

座・高円寺1(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

脚本が素晴らしい
正直、評価が難しいです。(★5は脚本に対するものです)

優れた脚本(言葉)があり、それを演出・演技で舞台化していくという極めて古典的(新劇的)な在り方の芝居。
これは、脚本自体に依るものか、演出や演技に依るものかはわかりませんが、役者の身体や演技よりも、言葉が舞台の中心にある。舞台は言葉で満たされている。
そういう芝居が(も)好きだ、という人にはとてもお薦めですが、
個人的には、3時間の芝居を、言葉に意識を集中させ続けるのは辛かったです。

ですが、逆に言えば、それだけ優れた脚本、言葉の強さであったという証拠。

これだけの強い批評意識を持って、歴史モノを再構築できる力量は凄いことだと思いました。それも、過去を扱いながら、現在の社会を問うている。憲法が改定されるかもしれない、国防軍さえ作られるかもしれない今日の社会状況下で、この作品が上演されることの意味は大きい。このような批評意識の強い作家は現代では稀有であり、とても重要な存在だと思います。

また、女性の脚本家だけあって、女性に向ける視線、特に主人公の妻〈大星ゑい〉への視線が強く印象に残りました。私の中では、彼女が主人公なんじゃないかとさえ思われる位に。その点も素晴らしかった。

文学作品のように舞台を(脚本を)考えるなら、とても力があり、本当に素晴らしい作品だと思いました。
ですが、もう一方で、ならば文学として脚本を読めば良いのではないかとも思ってしまいました。

ただ、私が観たのが「プレビュー公演」だったために、舞台としての強度が完全には高まっていなかっただけなのかもしれません。

Call me Call you

Call me Call you

劇団6番シード

吉祥寺シアター(東京都)

2013/06/27 (木) ~ 2013/07/04 (木)公演終了

満足度★★★★★

信じてもらう仕事
あのトレーラー、本物じゃないの?
道路を走ったりしないの?
って今でも思っちゃうくらいリアルなトレーラーが素晴らしい。
その内部が立てこもり事件の交渉ブース、という設定がまた面白い。
見た目のインパクトと自由な発想の演出・美術に対して
人の心理を突いた脚本は手堅く安定感抜群。
宇田川美樹さんの豊かな表現力で、交渉人の婆さんが実に魅力的だった。
「誰も信じない」犯人に「信じてもらう」ことが交渉人の仕事なら、まさに天職の人だろう。
そしてもう一人、立てこもり犯の青年を演じた藤堂瞬さん、
電話の声だけでこれだけ惹きつける人が、どんな風に舞台に登場するのだろうと思ったら
素晴らしく繊細な表情で振り向き、交渉人と最後に顔を合わせるシーンには
予想していた場面にもかかわらず思わず涙がこぼれた。
                                   

ネタバレBOX

雑居ビルの中にあるダンススクールで立てこもり事件が発生する。
犯人はスクールの生徒4人と講師を人質に立てこもり、
「ダミー」と名乗って警察に電話をかけて来た。
県警捜査一課とSIT(特殊捜査部隊)、それにプロファイラーが指揮権を争う中、
新たな人物が派遣されてくる。
生活安全課(少年係?)の遠山弥生(宇田川美樹)である。
小学校の同級生だった県警本部長の命令で拉致されて来たという遠山は
スーパーの袋を両手に提げた関西のオバちゃんみたいなキャラだ。
一同の冷たい視線を気にも留めず、犯人からの電話に出たりすぐ切っちゃったり…。
しかし確実に犯人情報につながる彼女のアプローチは次第に事件の核心に迫って行く。

舞台いっぱいに置かれたリアルなトレーラーが素晴らしい。
タイヤやホイールの質感、重量感などあまりの出来の良さに目が釘付け。
ここを交渉ブースとして犯人とのやり取りが繰り広げられる。
また冒頭からSITの制服がカッコ良くて惹きつけられる。
良く訓練されたスピードとキレのある動き、滑舌のよい早口で緊張感ありまくり。
6番シードお得意の分野だと思われるがそれにしても、観ていて気持ちが良い。

遠山弥生のとぼけたようでいて計算された話術、根底にある温かい人柄が魅力的。
宇田川美樹さんはいたずらに老けたしゃべりはしないが、キャラを活かし
テンポや語尾などに工夫があって、長丁場を隙なく“老婆”になり切った。
犯人に電話をかけるよう指示する「コール!」という台詞、
犯人に呼びかける「大丈夫よ」という台詞、
共に何度も繰り返されるが、その都度色合いが変わり微妙に変化する。
その繊細な変化から遠山の誠実さと事態の緊迫感が伝わってくる。

立てこもり犯を演じた藤堂瞬さん、
少しの障害があることでいじめられ、ひきこもりになって
社会や人と上手く繋がれない孤独な青年を、ずっと声だけで演じて来た。
思いこみが激しく、人の真意を計ることも、人を見る目も無かったこの青年が
この結果にどれほど傷ついたかしれないが、遠山の存在が救いだった事は確か。
ラスト、逮捕されて初めて舞台に登場し
遠山とすれ違ったときの表情が素晴らしかった。
私はこれで、藤堂さんのファンになりました…。
6番シードらしいスローモーションの演出が、たっぷりドラマチックで良かった。
わかってたシーンなのに、涙が止まらない。

千秋楽のこの日はいつまでも拍手が鳴りやまず、トリプルコールとなった。
6番シード、脚本・演出・役者、それにスタッフがそろった素晴らしい劇団だと思う。
これからも毎回斬新な舞台を観せてください。
佐世保バーガーズ

佐世保バーガーズ

東京パイクリート

劇場MOMO(東京都)

2013/07/03 (水) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★

何が言いたいの? この作品で
 シナリオは、何を最も訴えたかったのか? その辺りの詰めが甘い。役者陣は結構頑張っていたし、力もあると思うのだが、シナリオ創作の基本中の基本が、弱いのではどうにもなるまい。セットはきちんと作り込んであるし、演技も悪くない、というレベルで観客に満足感を与えられないのは、この辺りのことが原因だろう。脚本家は、もっと訴求力のあるシナリオを書いて欲しい。

断色~danjiki~

断色~danjiki~

ヴィレッヂ

青山円形劇場(東京都)

2013/06/14 (金) ~ 2013/07/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

灰色な母と子
面白い。DVD出たら買いたい。

ネタバレBOX

北(ジジババばかりで子の生まれない荒れた地域で保や刈谷の生まれたとこ)・中央(栄えてる)・南(保の菜園がある)という呼ばれる地区割りのできた近未来設定。クローン技術も確立されてる。
保(堤真一)の母・朝子(麻生久美子)が死に、(移植のために作られた?)そのクローン・夕子(麻生)を「解放」することにした保。借金チャラのため、借金取りと寝ては淋病伝染される夕子に戸惑いながらも、クローン会社の刈谷(田中哲司)とともに、父や朝子と暮らした実家へ移る保だったが…。

保…色盲。実はクローンであるが、夕子が死んで思い出した。酒飲みの父から「クローン」と蔑まれ殺されかけたところを朝子に助けられる。父の記憶や朝子の記憶が定まっていなかった。実際の保は、朝子の絵を描いた健常者。
朝子…保の母。乳がんを患い、夕子から移植を受けた。保(クローン)を守るため父を殺した。産業医とデキていた。母であり女であった。
夕子…朝子のクローン。殺されるために生きてきたが、「解放」されたことにより「生(性)」に目覚める。下ネタが豊富。保の母にはなれないと知りつつ、借金取りと寝たり刈谷と寝たりし、保との生活を守ろうとする。保をオカズにシテいる。女であり母であった。
刈谷…クローン会社勤務。北出身のラストチルドレン。貧しい地域で生まれ、親からの愛情も乏しかったのか歪んでいる。

クローンである保の記憶障害の効果もあってか、朝子夕子の切り替えが絶妙。子を守る母と、母との思い出にすがる子の描き方が秀逸。クローンって設定とか、舞台には現れぬ父の存在とか、研ぎ澄まされた効果がビシビシ響いてくる。

舞台設定で名言されていないけど、転換時の黒子の衣装が放射能防護服でもあり、放射能事故での社会の崩壊が示唆され、そこから派生した貧困による家庭の崩壊と人間が生まれ持ったサガのドロッとした感触が伝わってくる作品だった。

3人ともいい演技だった。麻生の美人さがハンパでなく、女性性と母性が溢れるような演技が冴えてた。田中のマッドな演技もいい。
チラシイラストのように気味悪い話でもあるが、クローンという非人間を配置し、ナマの人間を浮かび上がらせ、そこに光を当てるような(そう希望を持ちたくなるような)舞台だった。
始発電車は君の街へ

始発電車は君の街へ

ロリポップチキン

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/04 (木)公演終了

満足度★★★★

メルヘンと狂気
メルヘンと狂気が絶妙な割合でミックスされて不思議な雰囲気を醸し出していました。シーンを過激にしようと思えばそうすることも出来たと思うが、狂気をメルヘンやオシャレな衣装でコーティングしていたところが、この劇団の美学なのかも。

このページのQRコードです。

拡大