満足度★★★★★
信じてもらう仕事
あのトレーラー、本物じゃないの?
道路を走ったりしないの?
って今でも思っちゃうくらいリアルなトレーラーが素晴らしい。
その内部が立てこもり事件の交渉ブース、という設定がまた面白い。
見た目のインパクトと自由な発想の演出・美術に対して
人の心理を突いた脚本は手堅く安定感抜群。
宇田川美樹さんの豊かな表現力で、交渉人の婆さんが実に魅力的だった。
「誰も信じない」犯人に「信じてもらう」ことが交渉人の仕事なら、まさに天職の人だろう。
そしてもう一人、立てこもり犯の青年を演じた藤堂瞬さん、
電話の声だけでこれだけ惹きつける人が、どんな風に舞台に登場するのだろうと思ったら
素晴らしく繊細な表情で振り向き、交渉人と最後に顔を合わせるシーンには
予想していた場面にもかかわらず思わず涙がこぼれた。