最新の観てきた!クチコミ一覧

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成れの果て

成れの果て

elePHANTMoon

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/02/26 (水)公演終了

満足度★★★

劇団としての名作
人の「業」のようなモノを描いてきたこの劇団の再演。

いつも見ているものなのでさしずめ新しいモノは感じられませんでしたが、役者さんの熱演には共感。

あうろらの君

あうろらの君

ヅカ★ガール

秋葉原アトリエ「ACT&B」(東京都)

2014/02/20 (木) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

■まるで「雪の結晶」のように美しき作品。
 はじまりからして驚かされた。[敬称略で書く]あらかじめ配役表を見ないで、いきなり舞台を観ていた。すると、いつもは勢いのある役柄や穏やかな支え役を見事にこなす佐野綾が「老婆」役で登場した。その声色や振る舞いが、まさに老婆そのもので、「こういう役柄も、たやすくこなせてしまう役者だったのか」と。

 そして、追い打ちをかけるかのように、照明ライトの数々が舞台の上を照らしはじめると、雪の世界が一挙に立ち現れた。その巧みな舞台藝術にも度肝を抜かれた。冷え冷えとして美しい銀世界。巨大な椅子の他は何も置かれていないにもかかわらず、カーテンと床だけで氷点下の世界を一瞬にして浮かび上がらせたのだから脱帽ものである。しかも、その空間は、そのまま茶の間に早変わりしたりする。

 6人の役者たちが何回か舞台上に静止する場面があるのだが、その場面も左右対称に綺麗に立つわけで、その振る舞いそのものが美しく、さまになっていて、役者たちの息がぴったりで、構成的に素晴らしいと、観ていて思わず、うなりました。こうやって考えていくと、作者・演出の飯塚未生の才能の高さが明らかとなる。美しい雪の結晶のような作品を生み出す才能には、感心させられる。今後も期待している。

 「雪の女王」役の上埜すみれの威厳と慈愛の点滅するかのような転換の演技や繊細な感情表現さらには存在感が圧倒的で、堂々としていたのも印象に残っている。「ウツギトワコ」役もこなしており、普通の庶民の感覚を普通に演じており、人情の機微の巧みな表現も奥深かった。しかも、役者仲間や観客に感謝しながら一生懸命演技している様子が伝わってくるので、皆をまきこんで勇気づけてしまうという稀有な才能の持ちぬしなのだろう。

 「ザラメ」役のことうじゅんの役柄は、これまでのヅカ★ガールの諸作品の系譜と連続するかのような凛々しさと勇ましさを再び体現していたのだが、演技表現上の自己コントロールの「抑え」の効かしかたが緻密であり、知性的で、純粋さが増していたので、冷え冷えとした雪の世界の近衛隊長としてのキャラクターの面白さ(一本気な忠誠心と真剣な必死さが可笑しみを呼び覚ます)を最大限に表現していた。ダンスも洗練されていて、無駄のない動きの連続であり、素晴らしい。

 「アラレ」役と「少女」役を披露した木村海香の演技は初めて観たが、無機質な雪の世界の住人の動きと同時に妖精的な可憐さをも見事に演じきっていて、つまり矛盾する要素をいともたやすく一身に表現できてしまうという離れわざには驚嘆させられた。軽快なふりつけの舞踊や歌のユニークさも印象に残った。

 「山賊」役と「モリ先生」役の寿里のダイナミックな動きと控えめな動きの揺れ幅の大きさが主役級の活躍ぶりを見せていて、考えさせられた。まるっきり表情や振る舞いが変化していながらも、本人の天性の格好よさをも垣間見せる演技となっており、まるで三つ役をこなしているかのようで、見ごたえがあった。役者としての演技の多様さをとおして一貫した個性をも見せる高度な技術には心から拍手を送りたい。

 「ブチイヌ」・「警官」・「男」を演じた岡村惇裕の表現力の幅は格段に広がりつつも、一貫して他の役者たちを丁寧に見守りながら支える思慮深さに満ちていた。それゆえに、その「男気」というか「頼もしさ」には感銘をおぼえた。相手を支えて、自分は目立たないように謙虚に振る舞いながらも確固とした実力を備えてきた新境地の役者として今後が楽しみである。ドイツ文学や思想にも造詣が深く、作劇や演出や監督もこなす創造性豊かな岡村の活躍に大いに期待している。

 ほんとうに素晴らしい作品に感謝している。

バイバイ フレーバー

バイバイ フレーバー

チャーミーゴリラ

シアター711(東京都)

2014/02/20 (木) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

良かった!
笑いも感動もある私が好きな種類の舞台です。
話としてはよくある話ですが、
それをおもしろくできるのがすごい。
それぞれの役者さんのキャラが立っていて良かったです
見に行って損はないと思います。

少年十字軍

少年十字軍

Studio Life(劇団スタジオライフ)

シアターサンモール(東京都)

2014/02/08 (土) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

宗教の不条理が胸に痛い
高校時代、歴史で十字軍のことを習った時が、自分が、キリスト教に懐疑的な思いを抱いた最初の瞬間だった記憶があります。

それでいながら、息子達は、キリスト教の幼稚園や学校に通わせたのですが…。

どんな宗教にも、表向きな崇高さと、内実の、汚れた権力争いなどが、相反して存在するのだと思います。

そういった、宗教世界の不条理が、少年十字軍の子供達の体験を通して、冒険ファンタジーのような味わいで、舞台化された作品でした。

私は、大好きな山本芳樹さんがガブリエルを演じるFluctusチームの方を観劇しましたが、サルガタナス役を演じた松本慎也さんと、二役交互のダブルキャストの意味が、後半で合点が行き、こういうキャスティングのアイデアも含め、大変よく練られた作品だと感心しました。

ただ、ストーリー展開が、前半、冗長だったことと、一部の役者さんの滑舌が悪く、台詞が不明瞭な部分が見受けられたことは残念でした。

エティエンヌ役の藤森さんに、、少年十字軍を率いるリーダーとしての透明無垢な存在感があり、まるで、羽生選手のような爽やかさだと、観ていて、気持ち良さを感じました。

松本さんのサルガタナスにも、凄味があり、良い役者さんに成長されたなと嬉しくなる思いがありました。

ベテランの役者さんには、曽世さん初め、安定感があり、若い役者さんには、将来性があり、この劇団は、今後も安泰だろうと感じさせられました。

ネタバレBOX

前半なかなかガブリエルが登場せず、お預けを食ったような気持ちになりましたが、藤森さんや田中さん、宇佐見さん等、若手の役者さんの健闘ぶりが、爽やかで、芝居自体に厭きることはありませんでした。

「神はおわさぬ」と悟ったガブリエルは、最初、虚無的ですが、少年達のひたむきさに打たれ、やがて、自分の居場所をみつけるような終盤のストーリー展開が、やや感動的でした。

彼は、きっと作者がハムレットをモチーフにして造形したのだと思うのですが、せっかく、それまでは、戦いに否定的だったのに、最終的には、王国を取り返すためには戦いも厭わないと変心する流れで、これにはちょっと抵抗を感じてしまいました。何だか、積極的平和主義の宣言に似ていて…。

自分はもう歳だからと言うフルクの台詞に、「40代は歳か?」とカドック役の曽世さんが突っ込むのは、葛西選手の活躍を想起させる遊び心の演出でしょうか?そうだったら、さりげない挿入で、センスが良いなと感じたのですが…。

松本さんのガブリエルの方も、拝見してみたくなりました。
少年十字軍

少年十字軍

Studio Life(劇団スタジオライフ)

シアターサンモール(東京都)

2014/02/08 (土) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

悲しくて、美しい夢
Fluctusで観劇いたしました。劇場をフルに使った演出に、作品世界と調和した衣装、美術、そして照明音響の技術の素晴らしさもあいまって、あり合わせが横行する小劇場で何もかも一際美しいです。観ているだけで美しく、さらに耽美で巧い役者様達に酔い、ああこれが演劇だと、夢だと毎回感嘆する次第です。

話の骨格を見るならば前半はやや冗長。ですが後半は泣いてしまいました。少年版ひめゆりの塔ともいえる本作。原作・脚本の素晴らしさも胸を打ちます。

ネタバレBOX

通路に役者様が出てくる演出でした。通路側で役者様を至近距離で眺めることが出来たのですが、ただ役柄の人物がそのままそこにいる迫真の存在感でした。
「r 」

「r 」

日本演劇連盟

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2014/02/15 (土) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★

スタンス次第?
注目しているレビュワー様が揃って「観たい」を投稿されていた本団体。団体ネーミングの妙。作者の評価の落差の激しさ(9人が☆5を付けた同作演出の昨年末舞台(別団体)と、同人物が昨年初めに手がけた日本演劇連盟第一回公演の☆平均1)、新しいスタイルとしての「コント演劇」等、関心を誘うに十分であったと思います。

拝見して「笑い」そのものは上手いと思いました。所謂「変人に挾まれて困惑する人」「突っ込む人」は間を外さず、よくお稽古されているのだと思います。ファンの方、何回も観ていらっしゃる方のコメントを見る限り、私とほぼ同じ感想ですし、他の作品だったら、私もその方同様☆を5つつけるほど面白いものがあるのかもしれません。光る部分はあったように思うのです。

しかし申し訳ないのですが、椅子はパイプ、一人一人のスペースも狭い小劇場で、コントだけを90分観ることは出来ません。起承転結がきちんと無いストーリー、コントが断続的に連続するような無意味な展開を見続けるのは苦しかったです。休憩があってほっとしました。

芸術性を追求する作品に似て、観客が劇場で何を楽しみに短くない上演時間を過ごすのか、という視点が弱い作品だったのかと思います。好みでは無かったと言えばそれまでなのですが・・。

ネタバレBOX

私個人は、観劇する際には必ず好きになるキャラクターが居ます。でも今回は嫌いだなあと思うキャラクターはいても、好きになれるキャラクターがいませんでした。それは台本の問題もあると思いますし、そもそも役者さん自身の吸引力の問題もあるのではないかと思います。
客に嫌われることを意図したキャラであれば良いのですが、作品を観る限りその必然性は感じませんでした。それは嫌われるように演じてしまった役者自身の問題もあるように思うのです。

この人を観るためにお金を払って良かったと思える方がいないのです。これはトリックスターが浮いている、ヒーローやヒロインがいない、というコメントと同じ感想かと思います。深く誰かに共感するような作風では無いかもしれませんが、奇人は奇人なりの「リアリティ」があり、そこをを失えば、客は話について行けません。

わざとキャラクターに合わせて仰々しい演技をされているのだと思いますが、遊園地の女性客の小屋のサイズと合わない発声が耳障りでした。大劇場風に見せたいのであれば、小屋のサイズに合わせて「風」に見せる発声法はあります。技術が未熟な役者さんだったのだと思いますが、女優の場合、声のコントロールをあやまると公害になりますので、お稽古はきちんとされたほうが良いと思います。
ゴシップ好きの同僚も、何か惜しい感じがしました。現実味が無いキャラクターですが、上手い役者がやれば凄く観客に好かれた役だったのでは無いかと・・。店員の女性もそうですが、客に好かれる演技では無いのが残念でした。
燃ゆる

燃ゆる

ノアノオモチャバコ

「劇」小劇場(東京都)

2014/02/15 (土) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★

表層的
「血の呪縛と伝統」「科学技術の進歩」と言った面白くなりそうな破片は沢山あるのです。でも断片は断片として提示されるだけで話が拡散して終わってしまいます。客にゆだねる趣旨だとしても、あまりにも詰め込みすぎというか、テーマが拡散しすぎておもしろみに欠けました。

群舞的というか、キャラクターの心情や人間関係が全然掘り起こされていないので、何も胸に迫ってこないのです。原子力発電所の事故を扱いたいのでしょうが、事故が起きた現在、科学技術と人間の幸福、伝統がまさに火花を散らす被災地が存在している以上、人間不在のきれい事は大変空虚です。

ネタバレBOX

物語上、キーとなる水野の役が大変弱かった。台本の問題なのか、役者の暗喩的な能力が弱いのかわかりませんが、表層をなでるような役作りが目立ったように思います。流石に演技力は平均的に高いと思ったのですが、役作りが浅く、人間を感じないことが、このようなテーマでは致命的な欠陥となったように思います
熱海殺人事件 Battle Royal

熱海殺人事件 Battle Royal

RUP

紀伊國屋ホール(東京都)

2014/02/15 (土) ~ 2014/03/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

先ずはKENCHIバージョンから
EXYLEのKENCHIが、木村伝兵衛に挑戦。初めての伝兵衛としては、十分合格点の取れる演技でした。正直なところ馬場バージョンの前にお手並み拝見というつもりで観に行ったのですが、相当な稽古を積んだのだろうと思わせる熱演でした。昨年に続いて二度目のこの公演となった大谷英子さんの水野婦警、本当に適役でした。最初の二回は長谷川京子だったのですが、断然大谷さんの方が良い。最後にばら撒かれたティッシュも大谷さんバージョンのものでした。ラッキー!
そして本公演のアナウンスにはかかせない久保田創、この回の爆弾を勤めましたが、あれって毎回アドリブなのだそうですね。この人が出ると、一層熱海らしくなります。次はまた日曜日に馬場バージョン、楽しみにしています。

セントエルモの灯は揺らめく

セントエルモの灯は揺らめく

劇団みどり

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/01/18 (土) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

瑕もあるが総じて珠で満足
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の少年たちを男女高校生に置き換えた作品。
原作から部分を抜粋したリーディング風な冒頭に続く「地上パート」は原作を巧みに翻案して見事で(←ザネリによるイジメとかバイト先とか)期待が膨らむ。
がしかし、銀河鉄道内のパートは(割愛はあるものの)原作に忠実で、人物を置き換えたことが全く活かされていないのが残念と言うか勿体ない。
せっかくなのだから車内で出逢う人物たちも翻案すれば良かったのに。(←幼い命を救うために自らの命を犠牲にした人物とか自殺した高校生とか)
さらに冒頭の下校時の電車にしても銀河鉄道にしても「走っている車輛内」に思えないのが惜しい。
(余談だが「銀河鉄道の夜」の舞台化でゴトンゴトンというS.E.を使うことが多いが、幻想四次空間を走る鉄道もそんな音を立てるのだろうか?(笑))
そうして迎えるラスト、原作では「止め」にあたるカムパネルラの父の語りがなく、どう着地させるのかと案じていたら卒業式の日に飛び、灯籠を流して和解するジョバンニとザネリで締め、これまた見事。これ、ある意味原作の補完じゃん?
あと、銀河鉄道内の鳥捕りを見てジョバンニが「(バイト先の)店長に似ている」言う楽屋落ち的なところも実は好み。

…と、以上のように観ている時点で好きなところと個人的に「勿体ない」ところとがじゃんじゃん涌いてきて我ながらビックリ。
そんな風にいろいろ考えながら観ることができたので、その意味では大変面白く、次回公演も観たいと思わせて頂けたワケさ。

眠る羊

眠る羊

十七戦地(2026年1月31日に解散)

LIFT(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

凡庸な悪
政治家(特に二世議員)や官僚の中にある「凡庸な悪」を描いた作品だと思った。
おそらくこの芝居で描かれているような構造で、為政者は国を動かしているのだろう。とてもリアルに感じた。
硬いテーマだが、随所にユーモアがあるのもよい。
風刺的でありながらも、一つの立場から主義主張を提示している作品ではないので、その感覚もとてもよかった。

ネタバレBOX

ハンナ・アーレントは、ナチスが行ったホロコーストの実行責任者アドルフ・アイヒマンを、命令に従っただけで何処にでもいる普通の役人でしかないとし、その本質を「凡庸な悪」とした。

私が『眠る羊』を観て思ったのはこのことだった。
二世議員で衆議院議員の次男:智志は、周りの人間が動いてくれることの上に胡坐をかき、自分の主張を述べているだけで、全く悪意はない。だが、母は彼を担ぎ上げるために多額の金を使っていた。その資金のために、企業から献金を受けていた。

防衛省装備施設本部の長男:宗介:は、自分の行為に無自覚で、自分の好きなオペラへの寄付金捻出のため、友人である軍需産業企業の社長から寄付を受けていた。その社長の助言を受け、自衛隊が購入する装備品(軍用艦のエンジンだったかな?)の発注をドイツの会社からアメリカの会社に変えさせた。実はそのアメリカの会社は、友人の社長の企業と提携しているところだった。

防衛省海上幕僚監部広報室の三男:衝太は、「匿名兵士の黙示録」というブログで、身元を隠しながらも政府見解と異なる(次男の考えとも異なる)憲法9条の改正や国防軍保持、徴兵制導入などの主張を声高に訴えていた。

これらはすべて、大きな悪意があって行われていることではない。自分の知らぬところで行われていたこと。なんとなく無自覚的にやっていたことなどである。それが大きな構造の中では、法律違反であり、倫理的にも悪となったと言えよう。

おそらく、この国で動いている力学の中心はこのようなものなのではないか。明確な悪意に基づいて行動している人もいるだろうが、それを構造的に支えているのはこのようなものなのではないか。
よく政治家や官僚への批判を耳にする。実際、本当に悪意を持った人間もいるだろが、その多くは、たいした悪意もなく、自分の信念を心から正義だと思い込んでいたり、既に以前からある権益をそのまま享受しているだけだったりするのではないか。

また、主人公が与党の衆議院議員であり、護憲の立場でありながら、武器輸出三原則を改訂しようとしていたり、同じく政治家であった彼の父が死ぬ前には憲法改正の立場に変わっていたなど、単純な権力批判をしている物語でもなく、多様な解釈ができるところもよかった。

ラストシーンで、清志郎(主人公の父)の秘書であり愛人であった常盤美咲は、国民を羊に例え、憲法改正に意見を変えた清志郎の意識こそ、自分が羊の群の一匹であるということを自覚していたということであり、次男智志(主人公)は国民に九条という柵を作ることで統率しようとしていると言う。つまり、次男智志は上から目線だと言っているのだ。
このラストシーンの面白さは、様々な形で、正義が引き裂かれているところにある。作者の主張が透けて見えるようなツマラナイ話にはなっていない。癒着には関わっていなかった主人公は、彼の信念に関してはとても清廉潔白であるかのように見える。だが、その正義を秘書がひっくり返す。それに、そもそも、主人公は武器輸出三原則を改訂しようとしている立場であり、完全な理想主義者でもない。「平和を実行する市民の会」というNGOに参加している一番下の妹の存在が彼の理想主義をも相対化している。では、秘書並びに、父の主張が正義なのかというと、そんなことはない。現実的にそれが正義だと父が主張していたに過ぎない。
観客は、では何が正義なのか、逡巡することになる。このバランスが素晴らしい。特に、末の妹を物語の中心に介入させなかったことで、このバランスが成り立っていると言える。

主人公を演じた北川義彦さんは、私が観た他の芝居では、線が細く繊細な役者さんという印象だったが(←そういうものとして素晴らしかった)、今作では政治家の図太い貫録を演じられていたと思う。素晴らしかった。

また、主人公の次男が辞職を覚悟し、議員バッチを置く場面での、公設第一秘書役真田雅隆さんの演技がとても良かった。自分が育ててきたお坊ちゃんの無念を我がこととして思っているというのがとてもよく伝わってきた。

総じて、とても面白く拝見したが、厳しく言えば、物語内で語られる人物は、ひねってあるとはいえ、想定できる政治家像、官僚像であって、驚きには欠けた部分がある。
また、政治的なテーマのため仕方がない部分もあるが、割と知的(観念的)な面白さが先行していて、演劇としてのダイナミズムは少なかったように思う。ただ、これは、以前観た十七戦地の芝居と比べてという意味なので、これが初見の劇団だったら、演劇としてのダイナミズムもあると感じただろう。

厳しいことも書いたが、とても面白かった。
世迷言

世迷言

柿喰う客

サンケイホールブリーゼ(大阪府)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/15 (土)公演終了

満足度★★★★

想像力が必要
東京で本痴気→乱痴気とマチソワで観て大阪3公演観ました。

まず1度目を観た時は少し物足りなく感じました。
テーマが前回の「無差別」と被る部分もあり、イメージも似ていることから新鮮さに欠けていると思いました。

今から思うと1度目はストーリーを追うことばかりで
頭がついていってなかったのかなと思います。

自分の感情が揺さぶられるというかそこまで達してなく
ポカンとしてたんだと思います。

大阪で改めて観て会場の雰囲気も本多とは違いブラックボックスで
よりあの世界に入り込めたしより集中出来た気がします。

そして漸くそれぞれの心の奥の思いも自分で感じたり、想像したりして
作品を楽しめたような思いです。

ネタバレBOX

篠井さんの存在は最初の一言から表れていて
歌舞伎や能の発声の仕方みたいな言葉の流れで一気に柿喰う客のお芝居の格が上がる気がしました。

橋本さんの猿の動きも良く乱痴気で大村さんがやられた猿とは全然違い少し色気を感じました。
それぞれの良さがありました。

七味さんと深谷さんが登場するとパワフルで
一気に柿色に染まります。
帝と妹はこのお話の中で好きな人物でしたし妹の生きざまはかっこ良かった。

柿喰う客のこの雰囲気に慣れてきたのか、
「無差別」の時みたいにガツンとこなかったけど何回も観て登場人物のそれぞれの感情に寄り添いしみじみと感じる作品だったなぁと思います。

相変わらず皆声が良く、舞台美術、衣装、照明、ステージング、諸々私の好みでした。





真田十勇士

真田十勇士

日本テレビ

梅田芸術劇場メインホール(大阪府)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/19 (水)公演終了

満足度★★★

映像ふんだんに。
堤さん演出だし映像は使われるだろうと思ってましたが
ふんだんに使われてました。

場転はその分早いし展開が面白かったけど
これもらしいのですが無駄な笑いの演出(劇中でも言われてましたが)とワイヤーアクションがスピードを止めてしまい
せっかくの殺陣の凄さも打ち消されてしまうような思いでした。

全体的にはエンターテイメントとして創られていて
初めて舞台を観る方にはワクワクするような仕上がりだったと思います。

中島かずき脚本の真田十勇士も観て少し物足りなさを感じましたが
ストーリーの流れは中島かずき脚本の方が個人的には好きです。

勘九郎さんは歌舞伎の見得をきるようなところも有り
そこへ「中村屋」とおお向こうがかかって舞台に華を添えてました。
前半観に行った時にはこのおお向こうはなく中日あたりの時にありましたし、勘九郎さんのアドリブも増えていたので
より後半の方が楽しめました。


ネタバレBOX

加藤和樹さんの殺陣がとても良かった。
福士誠治さんの二役、特に根津甚八のキャラが生意気だけど憎めなくて似合ってました。

真田大助役の方は前半特に台詞がこちらに入ってこないような話し方で残念でした。


面白かったのですが…心に残らない…
薄っぺらさを少々感じパンフレットも珍しく購入しませんでした。
頭痛肩こり樋口一葉

頭痛肩こり樋口一葉

演劇企画室ベクトル

広島市東区民文化センター・ホール(広島県)

2014/02/08 (土) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★

山口氏の演出は安心して観れる。
戯曲が良くて、演出が山口氏なら、安心して舞台が観れます。  
今回は、そこへB-LUCKS♪さんたち他、若いスタッフ(多分‥)が加わり、ひじょうにバランスの良いチームになってたと思います。  
これが井上ひさしの世界なのでしょうね。
展開も面白かったし、ほんと良かったです。  

役者さんは、6人すべて良かったですが、
今回は、花蛍を演じてた川井さんのなめらかな台詞としなやかな動き、  
八重役山川さんのからだを張った熱演  
に好感が持てました。

果てしなく5に近い満足度4.

ネタバレBOX

終わったのち、出演者の正座による挨拶は、
泣きそうで、まともに観れなかったです。

派手ではないけど、井上さんの芝居、役は今回の舞台には不可欠。  
ラストで、なんでこの役が立花さんなのか、分かったような気がする。
最初は緊張気味だったようにも思うが、ラストが近づくにつれてひじょうに良くなっていった森木さん。  
もう嫌になるくらい、むかしの母親ってこういう感じだよな‥‥って思いながら観てた志賀さん。

6人の組み合わせが、ほんとよかったぁ。
新説・とりかへばや物語

新説・とりかへばや物語

カムヰヤッセン

ウイングフィールド(大阪府)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

☆★巧みに構成されたお芝居★☆
なかなか巧みに構成されたお芝居!
福岡公演を控えているので詳しくは書きませんが
現代と過去の話を繕っていくような
重なる話しが組み込まれていてる展開が面白い♪

役者さんも丁寧に演じて展開されるので見応えあります
自然な演技が本当の噺家のようにも見えました!
中でも北川竜二さん、笠井里美(アマヤドリ).工藤さやさんの
ベテラン?の役者さんのガッツリとした演技が目を引きます♪

男女が入れ替わってから得意な部分が強調されたらもっと説得力が感じたかも⁈

舞台のセットからキャスティングまで魅せ方や構成はなかなか計算されたお芝居!


☆印象に残った役者さん
貫禄の演技の笠井里美(アマヤドリ)

☆印象的なシーン
男女が入れ替わる場面


PS:残念だったのは劇場の座席が狭くて
後半、隣の人がこちらに寄ってきて気になり集中切れてしまった(ーー;)

こりす池のともぞう

こりす池のともぞう

コトリ会議

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/09 (日)公演終了

満足度★★★★

コトリ会議「こりす池のともぞう」観ました
 名古屋でもミソゲキ等でおなじみのコトリ会議、やっと本公演を観れました。会場で、名古屋・オレンヂスタ主宰とバッタリw
 (仙台の知り合いは、大雪で飛行機が欠航、こちらに来られず…)



 ナレーションや兼役など、舞台の約束事を逆手に取って、軽快に切れ味よく展開を運ぶ楽しい演出。

 大規模かつシンプルな舞台上を運動会のように駆け回る役者が、その勢いを体内に持ちながら会話劇へ即移行。そしてまたドタバタと動き回り、絵本のような様々な絵を作る。

 激しい運動量で、バカバカしい事を真剣に。ぶれないあり方、演技。


 いちおう時代劇だけど、ちょっとSF的設定が難しい?敵方の目的がよく分からなかった…
 ただ、この世界で何を描きたいのかはっきりしているので、それほど気にはならず。


 優しさと笑いと悲しみと愛。
 人によって異なるいのちの重み、死生観。

 ともぞうさんがつばめさんと二人で選んだあのラストを、大人にも子供にも、大切に受け止めてほしい。



 終演後お話した出演者の室屋さんは、「ふだんのコトリ会議とは違う舞台でした」と言ってたけれど、これまでに接した脚本・山本さんの作品(仙台・若伊達プロジェクト、大阪・インディペンデント)と共通した、柔らかい肌触りを感じました。

のにさくはな

のにさくはな

桃園会

AI・HALL(兵庫県)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/10 (月)公演終了

満足度★★★★

桃園会「のにさくはな」観ました
 集合住宅という日常の舞台と重なり侵食する古典物語の世界に、ニットキャップシアターを連想。不確かな手触り、薄皮一枚で隔てられた異界。

 歌のシーンで、(特に流山児事務所での)天野天街さん演出の舞台を思い出した。元が野外劇と聞いて納得。

 シンプルで可変的な美術も好き。ちょっと第七劇場を連想。アイホールの広いブラックボックスならではの、深い闇の中井を往来する人々。


 話はよく呑み込めなかったけれど(汗)、創り手の確固たる意志が感じられる、自信を感じる舞台でした。


 出演されていた知り合いの朝日山裕子さん(雲の劇団雨蛙)とは、この二日後の大阪・芸創CONNECTや、六日後の横浜・TPAMでニアミスの連続(笑) この後東京方面で新しいチャレンジをされる模様、がんばってください!

許して欲しいの

許して欲しいの

劇団競泳水着

高田馬場ラビネスト(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★

【俳優バージョン】観劇
雰囲気は好きでしたが、内容的には作家さんってそうですかー、そうなんですねーって思えた程度でした。

ネタバレBOX

性欲が頭に充満しているときは作品のアイデアは出て来ない。性欲は創作意欲の敵だ。創作に悩んでいるとき、別にアイデアを得ようと言うわけでもないが、誰かと話をして、相手に話を聞いてもらうと気持ちが落ち着く。他人から作品のネタになる話を聞いた場合、参考にはするが内容は変えてしまう等々、そうですかーっ、そうなんですねー。

アイデアがなく、締切期限をすっぽかした漫画家が、父親違いの妹から母親の思い出話を聞いて触発され、不倫漫画を連載し、連載終了後も次の作品に向けて意欲的に取り組もうとする話でしたが、出版社が良く連載を認めてくれたなという思いと、作家だった母親の生き様を聞いたせいかもしれませんが、心構えや生活態度が立派になった理由が今一つ分かりませんでした。

妹の変貌振りは想定内ではありますが、素敵でした。

アイデアが思い浮かばず、モヤモヤした気持ちを編集者とのセックスで解消していたという衝撃的なスタートの割には、押し掛けアシスタントがゲイだったというのは、これ以上余計な男女間のゴタゴタを描くのを避けようとする逃げだったように思えました。

三人の女性が登場、三人娘だったら誰がどの役だったかなと考えました。
あの世界

あの世界

MCR

OFF・OFFシアター(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

ガチだった
有川さんのレスリング出身という設定にほのかなリアリティを感じた(笑)
飛鳥ちゃん、次のMCRにも出るそうだ。
どうなってるんだ!つきあってんのか?
お兄ちゃんは許さないぞ!

妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

うりんこ劇場(愛知県)

2014/02/07 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

うりんこ「妥協点P」観ました
 物語に飲み込まれていく現実、ループや上書きのメタ構造の中での、互いの精神の帰結点を賭けた真剣勝負。

 建前と現実の矛盾の前に、もがく人間性と、それを冷酷に見つめる視点。
 渦中の女子高生は、翻弄される教師たちに、もはや人間の領域を超えた位置から語りかける。台風の目、ブラックホールの特異点。
 真剣を喉元に突きつけるような、学校という枠も超えた、私たち全ての問題。


 物語が進むにつれ、独特の美術の中に置かれてイメージされる世界が、具象から抽象へシフトして見える。
 展開と共に馴染んでいく美術の概念性、それをサポートする繊細な照明。



 前衛的な手法は、あくまでもオーソドックスな舞台づくりに貢献。
 コテコテの笑いと、安易な逃げを許さない問題意識の両立した、質の高い舞台でした。これから全国ツアーもあります!



 ちなみに私は、美術を担当した杉原邦生さんがトークゲストの初日に行きました。客席には、木ノ下歌舞伎の木ノ下先生のお姿も。
 何かの手違いで、おーじ×先生・トーク一時間コースになるのではと、内心ヒヤヒヤ…(笑)

眠る羊

眠る羊

十七戦地(2026年1月31日に解散)

LIFT(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題1006(14-045)
19:30の回(晴)。ドアのガラスに「受付開始、開場までもう少しお待ちください」、ポストイット。19:00受付、会場は地階。「花と魚(2011/7@バビロン」からで5回目になります。此処は3回目(「獣のための倫理学:2013/2」、「AFTER shock:2013/12」)。

客席は入口側、奥(前列は椅子、後列は木製ベンチ)の対面式、奥側にはエアコンがあるので奥へ、入口側は上演中の出入りあり。左右の壁沿いにテーブル、椅子、錆びた鳥かご…調度品、みな茶系統で此処の備品なのでしょうか、座席後方にも。

19:26前説(柳井さん)、19:32開演〜ひとり入ってくる〜20:52終演。

決して広くはない空間に濃密な空気が満ちてくるようでした。

ネタバレBOX

お話は「説明」にあるとおり。但し、チラシにあるような「いかにも」な世界などどこにもなく、あるのは腐臭を放つ底なし沼。少しずつ剥げ落ちてゆく面の皮、家/一族、政治家としての矜持、裏の裏、表と思っていたその先にあったもの、役者さん10名、それを観客が挟み込む配置、いつの間にか自分も「そこ」にいるように感じていました。これは「獣」の時にも感じました。

もしかして、今回、台本あったのでしょうか…すぐ出てきたので未確認。

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