カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★
日本の情況でどう生き残るか
構成としては現代に視点を置き強調したい点があっての現在を過去の物語が包み込むような二重構造になっている。女子大生、咲が銃で脅され、廃ホテルに人質として監禁されたのが発端だが、犯人は凶悪には見えない。咲きは彼に事情を訊ねる。彼が話したのは、メリメの名作、「カルメン」に似た情熱的な話だった。
ネタバレBOX
時間軸にずれがあるが、もう少し落ち着いたら、内部から声が上がるだろう。さて、彼、ドン・ホセの話した内容である。時代は19世紀半ばのスペイン。ホセは元騎兵である。但し、カルメンが人を殺めた時、彼女を逮捕しそこなって3カ月謹慎させられた後、上官であった中尉の門衛に任命されて働くことになった。が、カルメンは中尉とできており、ホセがカルメンを口説いている席に中尉が現れた為、カルメンにのぼせ上っていたホセは中尉を殺し、追われる身となった。成り行き上、カルメンの紹介で彼女の属する密輸グループに加わることになるが、殆どのメンバーがジプシーなのに、ホセが仲間になることを認められたのは、ルーマニアで奴隷として遇されていた彼らが解放され、パイロ(ジプシーから見てジプシー以外の人々)との関係が改善されつつあったことに関係がある。後半のストーリー展開は観てのお楽しみ。
原作を強調した部分に愛と自由、信と不信や宗教などのテーマが目についたのでちょっと気をつけて観ていると、若いメンバーで構成されているこのグループにあっては、今、殊に此処で生きるに当たって喫緊の課題は不信であろうと気付いた。
企業は嘘ばかりついて、実際にはこき使い、おまけに使い捨てを歯牙にもかけず、それを問題にしようともせぬばかりか、政治と結託している。その証拠に、日夜仲間と食事会やゴルフに現をぬかして「国家」を私物化しているにも拘わらず、真反対の明日に夢を持てるような社会づくりなどと嘘しかつかないことに、己自身が気付かない程の阿保を首相に据えて恥を知ることもない大手産業会及びマスコミとそれに踊らされていい気になっている愚集ばかり見せつけられれば、どんなに鈍感であっても、若いというだけで信じられないということだけはわかるハズだからである。
このように乱れ切った現代日本を19世紀中葉の矢張り乱れ切ったスペインに置くことで、其処に生きる不信感そのものの被差別民の持つ、不完全との認識すら持てずに求める自由と、彼らの自由にすら至りつけなかった哀れなスペイン旧社会の真面目さが哀しいまでに滑稽な普通の青年のドラマを演じてみせたのだ。無論、このドラマを悲劇とするか喜劇とするかは観客の判断に委ねられている。
ところで、カルメンの至り着いた自由は、ほんの一歩目に過ぎない。第1、男に頼るという所から一歩も出ていない訳だし。完全自由が何を意味するのかを考えたこともない女として描かれていることも事実である。
また、上演に当たっては口立てで舞台の科白をつけ、出演者達の素を引き出すよう努めたという。演劇の専門大学があり、基礎訓練をきちんとしている国々と日本はその辺り、根本的に事情が異なるので、本質勝負を掛けてきたわけだが、そうであったも、演技のタメは最低限必要だ。科白は観客に届けば良い。が鳴りたてたり、叫んだりする必要は、基本的にはない。それが必要な場合は物語の展開状況が要請するのである。呼吸法などによる身体制御も無論必要だ。以上挙げた点が舞台上で実行できなければ、役者の存在そのものを舞台上に曝け出せなければ、観客を引きずり込み、熱狂の坩堝に叩きこむことはできない。作家、演出家は、ここ迄考えておく必要があるのは当然のことである。高い物を目指すのであれば尚更だ。今後に期待している。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★
カルメンごっこ
終始カルメンごっこだったように感じました。
殺陣のシーンはすごく頑張っていたけど、真面目に演じているのか
コントなのか意味が理解できない部分もあって、少し残念な気がしました。
カルメンが歌って踊ってくれれば、もっと良かったかも。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★★
無題962(14-001)
19:30の回(晴)。18:46会場着、受付。19:03開場、此処は2回目(前回、日本女子大の学生さんが客演する作品)で受付後、座って待つよう案内あり。受付の際もそうですが、終演後も外で対応しているスタッフのみなさんの対応はとてもよかったです。
席に着くと「レジュメ」を渡され、見回すと、グレーの舞台...床、奥に設置された家具類、ベンチ、どこでもドア(?)、アナログプレーヤー、椅子、箒・モップ・デッキブラシ、霧吹き、ノート...、正面の大きい円をくり抜いたもの。その外側は会場そのもので黒...
中央にホワイトボードがあり、手前のプロジェクターが「なぜドン・ホセはカルメンを殺してしまったのか」慶応大学総合政策学部(サイトをみると「総合政策学部は、21世紀の世界の問題を発見し、問題を解決して社会を先導する『問題解決のプロフェッショナル』を育成します、と)3年 松本咲、とあります。
開演前から役者さんたちは舞台に、19:25前説、19:30プレゼンに入るということで開演~21:01終演、その後アフターイベント。
松本さん開始の挨拶、堀口研究会(?)のプロジェクトメンバー、演りつつ動機を探る、6人メンバー紹介、誘拐され廃ホテルに連れられ、カルメンを殺すに至った話を聞くことになった松本さん...どうする。
2年前の「ミュージカル地獄八景亡者戯(片倉さん、曽原さん、中川さん、松本さん)」とはガラッと変わった内容でした。
プレゼンという('客観的な)形式が終盤崩れ、個々の感情(身に着けているものを手渡す行為によって?)が表に現れたのかやや唐突感を感じました。
どこまでが大きな枠組みで、どこからが役者に任せられた部分なのか、1回だけではつかみきれず...永遠の謎。
叶わぬ想い(あるいは一方的な感情、はたまた根本的な思い違い)に突き動かされ殺してしまう...のは今でも起きていているので、研究発表として関連づけることができたのではないかと思いました。
ネタバレBOX
初めてみるプレゼンという型式、役者さんが後方で眺めているところなどリラックスした雰囲気が新鮮でした。なので、逆に終盤で感情が乗ってくるあたりから???(もともとこういう進み方だったのかな?)と思ってしまいました。
チラシの表...さりげなく、スペイン/マドリードの案内図。手にしているのは、るるぶのスペインあたりか...演出者名が駐車禁止とは意味深。
廃ホテル=Hi Hotelかと思いました。
ちょっと間が空いてしまうシーンが気になりました。
新年工場見学会2014
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/04 (土)公演終了
満足度★★★
遺産相続
面白い。休憩込み190分。
ネタバレBOX
五反田団「クリィミー☆チカ」
黒田(黒田大輔)の彼女・平田(平田ハルカ)が、ピノピノ(前田司郎)から魔法の手鏡を貰ってクリィミー・チカ(内田慈)に変身するが…。
紅午会「親子舞」
休憩
ハイバイ「大衆演劇のニセモノ」
隠れキリシタンの十字郎(用松亮)が、惨殺された家族の復讐を誓い、幕府方の暗殺を始める。天宮(平原テツ)と山中(岩瀬亮)は十字郎と戦うが…。
ザ・プーチンズ「今年の電磁波」
ポリスキル
黒田大輔が警官に職質される。
昨年の同見学会と比べて爆笑は少なかったけど、なんだかんだ楽しめる。五反田団のゴチャっとしたバカバカしさとか、B級な味わいとか好き。ハイバイの大衆演劇は、本家を観たことないけど、役者名の掛け声?演出は思わず笑ってしまう。何気にプーチンズが面白かった。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★
カルメンに魔性が感じられず
「なぜドン・ホセはカルメンを殺したか」このテーマで学会にてプレゼンをする女子大生が聴衆にカルメンという物語を知ってもらうため、そして自身が考えるヒントを得るため学友たちに同作を演じてもらう、という趣向。
プレゼンの一環ゆえ演劇的完成度はさほど求められないということなのか、演じながら役者が素で笑ったり、ギャグがてんこ盛りだったりと、このカルメンはかなり自由。
そこが面白味となっているのだが、カルメンまでがふざけているのはどうかと思った。
カルメンは幾多の男を虜にする魅惑的な女であり、殺された背景にはこの魔性が大きく関わっているのであってみれば、プレゼンのための資料演劇として見た場合、カルメンはもっと魅力的な女として描かれるべきである。なのに、ああもふざけてばかりでは色気の“い”の字も感じられず、そんなカルメンにホセが惚れたこと自体が嘘くさく思えてくるし、少なくともバルブはあのカルメンには決して惚れない。
カルメンがあんな風ではそれも当然、という気もするが、カルメンへのホセの愛があまり伝わってこないのも問題。“ホセがカルメンを殺した理由”を探るための資料演劇として見た場合、カルメンに対するホセの愛の深さも、やはりきちんと描かれるべきである。
ネタバレBOX
ホセによるカルメン殺害の「暖かな真相が、いま明かされる」と釣り書きにあるのに、結局明かされないのも残念。
手放しでは褒めづらい一作だったが、“プレゼンの一環として演じられる”などの工夫を盛り込み、カルメンをストレートに舞台化しなかった点には大学生らしい野心が感じられ、好感を持った。
数あるギャグの中では、ホセの告解を聴く修道僧が教会の経営難から“イエスさん人形”(でしたっけ?)なるオモチャを売り歩くシーンがお気に入り。お腹を押すとピコピコサンダルのような音がする可愛いキリスト人形からはキリストが備えるべき権威が根こそぎ奪われていて妙におかしく、クスクスと声を立てて笑ってしまった。
新年工場見学会2014
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/04 (土)公演終了
満足度★★★★
完成度を持ったぐたぐたさ
3日ソワレを拝見。
まずは、新年早々満杯の客席で、それだけでも縁起がよい。
ここ何年かお正月の楽しみになっていて、
今年も例年に違わず、いや、例年以上に
たっぷりと楽しませていただきました。
ネタバレBOX
3時間の中味が年を追うごとに
良い意味で型にはまりつつ洗練されてきているような気がします。
昔感じた間延び感はまったくなく、
ぐたぐた感も発生してしまうのではなく、
作り手の掌の中で、じっくり練りこまれ作られていく感じ。
二つの演劇それぞれに、
ベースの雰囲気の作りこみや
役者の力量を感じることができたし、
単にアイデアを押し込んだということだけではない、
ショー的な部分や歌舞き方の洗練にちゃんと引き込まれた。
そりゃ、五反田団、ハイバイとそれぞれの本公演のような
幾重にも重なり研がれた舞台の企みまではないにせよ、
これで厄落としになるのか心配になるような
いろんな充実を感じることができました。
昔のようなルーズな感じがないので、
獅子舞も舞台により映えたし、
プーチンズ、ポリスキルとも観る側をそれぞれの世界に
しっかりととりこんでくれた。
ちなみに、終演後セットで購入した
プーチンズとクリィーミー☆チカのCDも、とても良い出来でありました。
購入時に役者さんの衣装のままでの握手サービスがあり
かなりどきどきした。
また、織り込まれていたhula-hooperのチラシの
なにげに凝ったつくりにびっくり。
これ、そんなに部数を作れるとも思えず、
捨てられないなぁと感心。
本編も、諸々も、口上とは異なりいろんな秀逸さがあってとても満たされたお正月のひと時でありました。
四畳半ベンチプレス
小松台東
OFF OFFシアター(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
苛立ちと自己嫌悪
中高生だった、あの頃に感じていた、言葉にできない、そういう「何か」をうまくトレースして見せていた。
自分自身の「何かわからないモノ」に対して苛立ってしまっている。
視野の狭い世界にいるからだ。
今だから、それがよくわかる。
小松台東、凄くいい!
ネタバレBOX
「宮崎の不良でも優等生でも孤独でもない高校生のぼく」が主人公の物語。
つまり、大多数の「普通」の高校生の話。
まさにそれに尽きる。
煙草は「今まで吸ってなかったのだから、今吸うともったいない」という主人公の誠人の感覚が好ましい。別に優等生だから吸っていないわけではないのだ。
中高生の頃は、うまく言葉にできない、変なモヤモヤを抱えていた。
多くの人が、たぶんそうだったのではないかと思う。
就職・進学という進路も決めなくてはならない。
漠然とした「夢」はある。
主人公の誠人にも、叶うはずのないレスラーへの夢がある。「身長が足りない」など理由をつけて自分で諦めている。
しかし、諦めているのに、「進学か? 就職か?」と聞かれれば、夢のほうも顔を出してしまう。
「どするのか」とせかされ、母親からは「大学に行け」と言われる。
そんな不安定な時期、「言葉にできない」そういう空気を舞台の上に表現していたと思う。
誠人の一番仲の良い友人の正憲は、どうやらイジメを受けているようだ。
身体のアザや汚れたシャツがそれを示している。
彼は、誠人とは話はできるのだが、ほかの人とはうまく話すことができない。
学校から近いということで、たまり場にしようとしていたクラスメイトの剛士も、嫌なヤツかと思っていたら、実は誕生日に家族もいない自分の家には帰れず、誠人の部屋に転がり込み、泊めてほしいと言う。煙草は自分を隠すためのものだったのではないだろうか。
家が近いから、というよりは、「普通」の誠人にシンパシーのようなものを感じていたのかもしれない。
そして、誠人と母のやり取りに、自分が手に出来ていない家庭を見てしまったのだろう。
その剛士を好きな浩子は、友だちがいないことを認めたくない。
浩子が友だちだと言う1コ下の早苗は、実はみんなと同じ年齢で、訳あり。
それぞれにそれぞれが不安定になる、微妙な背景がある。
しかし、それをクローズアップして見せるわけでもないし、自ら言い出すわけでもない。
誠人を含め、だれもが自分の頭の上のハエを追うのが精一杯なのだ。
その、一杯一杯の感じがよくわかる。
今思い出せばなんのことはない出来事や状況であったとしても、その時には、本当に大変なことだったからだ。
そのもどかしい感じが舞台の上に溢れていた。
誠人の苛立ちは、ホントによくわかる。
自分の部屋をたまり場にしてしまった同級生たちに対して苛立っているのではなく、本当は自分自身の「何かわからないモノ」に対して苛立ってしまっているのだ。
視野の狭い世界にいるからだ。
だから、後で落ち込んでしまう。
自己嫌悪というやつだ。
たぶん彼ら全員がそれを纏っていたのではないだろうか。
そのモヤモヤに風を送り込むのは、誠人の母の存在。
誠人の母の台詞や動きは、いちいち染みて泣けてくる。
「あんな感じのこと、中高生の頃に言われた」と。
前回に引き続き、異儀田夏葉さんが演じる母親がいい。
台詞も演技も「母」であり、息子(たち)への愛情を感じる。
子ども役の役者さんたちと年齢的には同じぐらいなのにね。
そして、正憲役の佐藤達さんの高校生もいい。
背中を汚されて誠人の部屋にやって来る表情や誠人とふざけ合っているときの表情はたまらない。前に小学生を演じていて、そのときも泣かされた。ホントにうまい人だ。
浩子役の墨井鯨子さんの、不器用な女子高生もいいし、誠人役の松本哲也さんの普通の高校生もなかなか。
就職とか進学にはまったく関係ない、息子・誠人のやりたいこと、を認めた母の愛情をラストに感じ、さらに母のそういう性格を受け継いだような誠人のところには、以前のように、また人が集まってくるのだ。
彼らは今抱えている問題は何ひとつ解決していないのだが、「居場所」と「友だち」を得たことが、先につながるようで、とても後味は良かった。
剛士もきっと誠人の部屋にやって来るのではないかな。マルボロ持って。
ホチキス最新作「天才高校〜デスペラード〜」
ホチキス
サンモールスタジオ(東京都)
2013/11/23 (土) ~ 2013/12/04 (水)公演終了
満足度★★★★
面白至上主義!
もうこれは、笑うだけでいいやつだ。
クスクスもワハハも、苦笑いも含めて、とにかく笑う。
どの役者さんも、熱くキャラを演じていた。
ホチキス役者さん、特に男優さんたちは、よその公演で見るときは、かなりハードボイルドな感じが多い。あるいしシリアスな。
しかし、そういう役者さんたちが、笑いのために作り上げたキャラクターを全身全霊で演じる。
それが気持ちいい。
もちろん女優さんたちも同じ。
設定も衣装もジングルも、きちんと整理され、コントロールされているからこそ、の面白みがある。
アフターイベントもgood!
ずぶ濡れの物売り
カトリ企画ANNEX
atelier SENTIO(東京都)
2013/05/24 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
意味のなさが不気味
ハーマン・メルヴィル短編小説をもとにしたひとり芝居。
カトリ企画の作品はいつもこちらが試されているような感覚に陥る。
ネタバレBOX
今回強く感じたの「空回り」。
あるいは、こちらから言えば「置いてけぼり」。
それは登場人物の1人とも重なるのだが、演出や役者の意識が先へ先へと行きすぎたのではないだろうか。
どういう意識で演じていたのかが気になった。
小菅鉱史さんは、「身体」を強烈に観客へ押し付けてくる。
裸になって、ぐいぐい来る。
張りのある肉体が舞台の上でそそり立つ。
時折、ちょっとニヤついたような表情を見せたりするので、恐いし気持ち悪い。
そもそもこのストーリーが意味不明で不気味さがあり、気持ち悪いので、小菅鉱史さんがそれを助長するというシカケになっている。
すべての行為に意味があるのかないのかわからない。
カツラを被ったり脱いだりと、まったく意味不明で、めまいがする。
ぐいぐい引き込まれているのは確かだ。
完全に役者と演出の手中に落ちたと言っていい。
冒頭に、誰かわからないが、人が袋に押し込められて、舞台に運ばれてくる。
まさに、観客がその袋の中にいたのだ。
終演後のイベントは、黒岩三佳さんによる『お岩』。
尻上がりに引き込まれて行ったのだが、エンディング間際に、一言、痛恨のミスが。
拝啓ライトフライヤー号!
劇団赤鬼
ABCホール (大阪府)
2013/12/20 (金) ~ 2013/12/24 (火)公演終了
満足度★
とても残念な気持ちになりました
まったく感情移入ができないままの2時間でした。
ネタバレBOX
老人が島を出ようとしなかった本当の理由を聴いてあぜんとしました。
何か大事な訳があって、新たな展開を期待していたのに
「海が怖い」って・・・。船が怖いから、飛行機作るって・・・。
なんじゃそりゃ。
BGMも、しんみりムードでは毎回同じ曲。
ボリューム調整が上手くなく、台詞が聞きにくい場面がありました。
感情移入ができていないので、正直うんざりしました。
犬役の人が、おもちゃの犬を動かして、
それがかわいいのか、会場が少し沸きましたが、
ストーリーとはまったく関係の無いこの場面が一番盛り上がってるなんて
なんか情けなかったです。
犬が進行役だったのですが、みんなから愛されているはずなのに、
「犬」って呼ばれていました。「こっちおいで、犬。かわいいね、犬」ってな具合に。普通、愛されていたら名付けられるでしょって思いました。
劇団赤鬼さんを期待して、飛行機に乗ってまで観に行ったのに、
本当に残念な舞台でした。
新年工場見学会2014
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/04 (土)公演終了
満足度★★★★
見納め?
いつもながらに新年会のような力の抜けた雰囲気が楽しかった。1年ぶりなので「かげ」ネタが前回のものであることに気づくのに時間がかかった。相続税が大変なようだが、気持ちよく新年を迎えることのできる素晴らしい企画なので、たとえ会場が変わっても続けてほしい。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★
熱演ではある
一生懸命な気持ちは伝わってきたが、大声と怒鳴り声は使い分けてほしい。悲劇の中でのコント風ののりが軽薄に感じた。
カルメン
シアターカンパニー 象の城
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/01/04 (土) ~ 2014/01/06 (月)公演終了
満足度★★★★
カルメンの紛い物は、
思ったよりもちゃんとカルメンしてました。個人的には、愛だの情熱だのというより、時代に弄ばれ差別を受ける者たちの普遍的な物語の印象。また、ポストドラマをデフォルトで装備している世代(ですよね?)だと思いますが、ドラマとの向き合い方が誠実で好感を持ち待ちした。
Second of Life
劇団TipTap
上野ストアハウス(東京都)
2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★
概ねの人は感動すだろうが
この作品を観て概ねの人は感動するだろう。
わりと、感動を誘うようなストーリーだし、何よりも役者が素晴らしいパフォーマンスをしている。
役者の発するなにか熱いものに触発されるものはある。
ただし、演劇としの完成度としては若干疑問が残る。
ネタバレBOX
心を病んだ主人公の恋人の中の二つの人格が、
「今カノ」と「元カノ」として「容器」としての彼女の体を奪い合う。
端的に表現するとそんな物語だ。
主人公は「今カノ」を看病するために、「元カノ」と過ごした部屋で暮らしている。
かつてはミュージシャンを志してはいたが、
今は生活のために夢を諦め、音楽系の出版社で働いている。
「今カノ」は躁鬱を煩い、それが自分自身であることを解せずに、
部屋に残る「元カノ」の影に時に怯えながら暮らす。
平舞台の中央に一段上がった主人公の部屋は、四方に柱を備え、
おそらく「部屋」自体が「容器として彼女」そのものを表現していると思われる。
作家として伝えたいこと、演出家として挑戦したいことがたくさんあるのだと思う。
ただ、「Next to Normal」にオマージュしすぎなのではということを別にしても
せっかく自分の書いた物語の核を、自身の演出の野心でないがしろにしてしまうのはもったいない気がする。
例えば、演出家を別におくなり、ドラマターグを配するなりしてみると、きっともっと面白い作品になるのではないだろうか。
以下、もったいないと思った点をいくつか。
私的見解なのでお目汚しかと思いますが。
・マルチマンの扱い
大学路ミュージカルに見られるようなマルチマンに挑戦したいのだろうと思う。
しかしやはり、そういったものをやるのであればやはり20役くらいやらないと面白みに欠けるし、なにより観客が「マルチマン」だと解さないのではないか?
・部屋の扱い
おそらく、部屋自体が「容器としての彼女」そのものの喩えであったと思うが、
そうなのであれば、やはり彼と二人の彼女以外がその聖域ともいえる場所に入るべきではなかったのではないか?
舞台上でのサイズやブロッキングでより象徴的にすることは可能だと思う。
そうすることによってラストの鏡に閉じ込める演出もいきてくるのではないか?
・ミュージカルナンバーの構成について
各々楽曲は今風のミュージカルとしてとても素晴らしいと思います。
ただしミュージカルナンバーは全幕を通しての楽曲の構成も大切なので、
ナンバーの組立を考えることによってより引き立つのではないでしょうか。
・「Second」の意味
おそらく限りなく私小説的な作品なのではと思います。
主人公が第二の人生を歩み出すまでの物語です。
ただし、彼女の選択は「第一の人生」の再生です。
彼女にとっての「第二の人生」とは何なのか?という問題について
現実を離れてフィクションとして読み解くことによって
作品としての深みが増すのではないでしょうか?
と モロ ライブVol.1
劇団 と モロ
うまいもん屋 So(東京都)
2014/01/03 (金) ~ 2014/01/03 (金)公演終了
満足度★
ライブ???
チラシで、読み取れるのは
劇団の名前と、出演者の名前、そして 「ライブ」っと言う事
ひとまず行って見た
会場は、バーを借り切った所で、客席も30席あったか?無いか?
舞台のスペースは、人が一人立てばギリギリ
なので、終演時に全員が、横一列に並ぶ事は、難しかった。
列の後ろの方が、客席に降りるしかない程、狭い舞台だった
しかし、基本的に一人一人が、個人で舞台に立つので、この会場を
選択したのは、悪くなかったかもしれない。
会場には、モニターが、2個あり、バーの店員が映し出して居て
上演中にモニターが切れて、ただのパソコン画面に戻ってしまったのは
気がかりな、チョイミスだと思います。
後は、ネタバレで
ネタバレBOX
劇団 とモロ っと言う事らしい説明が、少々入り、モロ師岡さんが
しきりと言って居た事は
「俺は、教える立場なのに生徒たちの、前座を!!!やってるんだ!!
可笑しいだろ?!」
その後、生徒の一人が舞台に立ち、一人芝居をしたり、コントをやったり、
中には、落語をやってくれた人も居た。
他の人も言う様に、練習不足である事は、良く解る。
ライブっと言うには、当てはまらない内容だと思います。
他のタイトルを付けて欲しい物です。
全体的に、つかみどころの無い物で、まとまりも無く薦められないを
付けるのは、初めての事になりました。
無理に、銀座で3000円も取らずに、都心より離れた会場で1000円位でやって欲しい
っと言うのが、正直な感想です。
2500円オーダー制の筈が、入場時にドリンクチケットを渡され、3000円
集められました。
チラシ通りに、やって欲しかったです。
いなづま
梅パン
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しめました
話の筋がみえてくるまではとどまいましたが、中盤あたりから面白くなってきましたね。ちょっと盛りだくさんの気もしますが、サイコな愛憎劇楽しめました。
ワーディゲートパークの沈黙
メガバックスコレクション
ART THEATER かもめ座(東京都)
2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★★
お見事!
いつもメガバの芝居には唸らされるけど、今回は(も?)すっかり騙されてしましました。ストーリーは二転三転、終盤での感涙も束の間、驚愕のラスト。確かにサイコでしたね。
輪舞 ラ・ロンド
シアターオルト Theatre Ort
スタジオ空洞(東京都)
2013/12/26 (木) ~ 2013/12/30 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しめました
演出の倉迫氏の前説によると、2時間かかる芝居を70分にまとめたとのこと。確かにダイジェスト感はあるけれど、オリジナル未見なのであまり気にならない。かえってこれくらいのテンポの方が飽きずに楽しめます。力量のある役者さん二人の会話劇はお見事!の一言。しかし女優さん実に艶っぽい。
治天ノ君
劇団チョコレートケーキ
駅前劇場(東京都)
2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了
すごく細かいことですが
気になったことが一つ。
皇后役の方が手を組んでいることが多かったのですが、ずっと右手を上に重ねていたのです。
普通は、右手は攻撃の手なので、左手を上に重ねます。 もしかして私が知らないだけで皇室の方はそうなのか?と思い後で調べましたが、やはり左手を上に重ねていました。
皇室の方は特にマナーやしきたりを厳しく学ばれていると思いますので、私にとってはそこから劇空間が綻んでしまったような気がします。
本当に細かいことですみません。ただ、そういうことが気になる客もいるのだと今後の参考にしていただければ。
キエフ・バレエ『新春特別バレエ』
光藍社
ゆうぽうとホール(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/03 (金)公演終了
満足度★★★
チャイコフスキー3大バレエ
チャイコフスキーの3大バレエをパ・ド・ドゥだけでなく舞台美術付きで1幕毎に上演する公演で、作品毎に異なるダンサーがメインを踊るのを比較しながら観ることが出来て楽しめました。
『くるみ割り人形 第2幕』
『アラビアの踊り』の男性(何故かキャスト表から抜け落ちていて名前が分かりませんでした)の中性的な色気が魅力的でした。『ロシアの踊り』は本場のステップなのか、普段見る動きと雰囲気が異なっていて興味深かったです。
クララを踊ったオリガ・ゴリッツァさんが体の芯がぶれず、動きの止め方が美しかったです。デュオや群舞等、複数で同じ振付を踊ると意外とバラバラで精密さがなかったもののダイナミックさを感じました。
『白鳥の湖 第1幕2場』
アンサンブルによる白鳥達の群舞は綺麗に揃っていて美しかったです。4人で踊る2曲も動きや形は合っていたものの立ち位置の間隔がアンバランスになりがちだったのが残念でした。
オデットを踊ったナタリア・マツァークさんは細かい表現が印象的で、連続ターンの時は抑え目でしたがそのことによって気品が感じられました。オディールとの演じ分けをどう表現するかも観たかったです。
『眠りの森の美女 第3幕』
オーロラ姫を踊ったエレーナ・フィリピワさんが技術的にも表現的にも充実していて素晴らしかったです。白い猫を踊ったカテリーナ・タラソワさんがコケティッシュで魅力的でした。
人数が少なかったせいか、最後のマズルカにあまり盛り上がりが感じられず、中途半端だったのがもどかしかったです。
平面的な書き割りの舞台美術でしたが安っぽくなく見栄えのするもので美しかったです。
オーケストラ(ウクライナ国立歌劇場管弦楽団)は所々にミスがあったものの、ロシアのオーケストラならではの響きがしていて、チャイコフスキーの音楽に合っていました。