最新の観てきた!クチコミ一覧

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一緒にいれば敵なし

一緒にいれば敵なし

パセリス

シアターシャイン(東京都)

2014/02/21 (金) ~ 2014/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★

企画力高し
 パセリス+めがね堂+ファルスシアター+Niceplan都合4団体による対バン公演、無論、オムニバス形式である。別に起承転結を狙ったわけではないだろう。唯、この企画の立て方自体が、様々に観客を刺激する、そうではないか? (4団体総てが出る日時の回を拝見)

ネタバレBOX

 小劇場での上演時間は、凡そ、2時間。椅子やスペース、訴えたいことを充分に伝える為に必要な分量から、また、観客の集中力の持続可能性からこのくらいの公演が多い。4団体が出演しても、この原則は、基本的に変わらない。従って、各団体に許されるのは、30分。
 30分で、舞台装置や場面転換がスムースに行われ、次の劇団が過不足なく気分一新した舞台を勤められるようにバトンタッチしなければならない。無論、交代時には、暗転するから、明転した際には場見していた通りの位置取りで控えていなければならない。役者には基本中の基本と笑われるかも知れないが、真っ暗な中で、良く間違いない位置取りをする、と観客の多くは内心感心しているのではあるまいか? 
 まあ、ざっと挙げただけでも以上のような気配りやら何やらが、必要なのが、舞台芸術なのだ。これらの要求にキチンと応える為には、裏回りに余裕の在るスペースが欲しいのだが、小劇場に、そんな余裕を要求する方が、酷という場合も多々ある。だから、舞台道具は、可能な限りシンプルで抽象性に富み、何にでも見える、何にでも使える形態やサイズでなければならない。同時に、ユニットとして単体でも使え、組めば応用が効くというものが良い。今回、このような意味で、用いられたのは、直方体の蓋が開く箱である。これなら椅子にも机にもなる。組めば更に様々に用いられる。移動や構築が楽であるからスピーディーな場面転換や展開にも対応が効く。想像力の助けを借りれば、そこに何が表されているかの類推も容易である等々様々な利点がある。無論、劇団の持ち物である場合には、遠距離の移動も楽だから、余計な手間が掛からない。これくらいにしておこう。ざっと挙げただけでも、これだけのことが、演劇上演の前提となる。而もタイムスケジュールは決まっているから、基本的には動かせない。客入れ迄に裏回りは、スタンバイできていなければならない。だから、段取りが必要で、段取りがしっかりできれば、作業の半分は片付いたと言っても過言ではないのである。段取りとは、論理である。時間・空間と人の動きをマッチングさせる技術と言っても良いかも知れぬ。
 各団体とも作品の上演時間が限られる為、劇団の特徴を凝縮したようなエッジの利いた作品を出している。劇場のキャパや裏回りの関係で舞台上で用いられる道具類も殆ど共有、無駄が省かれ、或る程度の抽象度を保って何にでもなり、何にでも見えることが必要な為、シナリオ、演技、演出と照明や音響は、かなり微妙な調整をしつつ、コラボレイトしなければならないが、役者達は、素をキチンと守って奇を衒うようなことがなく、バランス感覚に優れた浅海氏の演出で極めて自然でありながらエッジの利いた作品群に仕上がっている。音楽も邪魔にならないように雰囲気を盛り上げ、照明は照らし出す対象に適確に当たることで、照明自体の呼吸が聞こえるような感覚を持った。
 作品配列に於いても、一作目に、作家、ライター、編集者間での締め切り間際の慌しく緊迫感に満ちたスッタモンダを見事な落ちとエスプリの利いたシニックな笑いを鏤めた佳作で引きずり込み、二話では、OLと占い師の二人芝居で、この国の悪弊、建前社会と本音の矛盾を対決させず、結果、何時まで経っても進歩のない社会の遣る瀬なさを、哲学の欠如と取り、逆手にとって文明批評と言っても良いような、自らの頭で考えられた知恵によって腑分けしてゆくような作品に結晶化した。第三話では、観客を一旦ファルスの世界に遊ばせて凝りをほぐし、四話に流して行く。当然、ファルスは継承しつつ、人生の機微を造物主に語らせるのだが、神は一人ではなく三人。総て女神で合議制を採って多数決でことを決めていることが面白いだけでなく、三は、弁証法を示唆している点も興味深い。
 ところで、神々の最後の科白が揮っている。「最近の人間は、俯いて画面ばかり覘き込むようになって面白くない。滅ぼしてしまおうか」と判断したり、更に面白い被造物を作ればよい、と考えていることが示されていることで、地球上の現在の支配者であるヒトに対する極めて真っ当な意見がさりげなく盛られている点も良い。
エリカな人々 -この愛らしい、恥さらしな世代へ-

エリカな人々 -この愛らしい、恥さらしな世代へ-

東京マハロ

駅前劇場(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/04 (火)公演終了

満足度★★★★

この国の体育会
 エリカと聞いて、ひょっとしたら、と思っていたら、矢張り神保町の喫茶、“エリカ”のことであった。自分は、小学校時代から古本屋街に通い、当時、隆盛だった「いもや」でてんぷら定食を食べ、古本屋の臭いを嗅ぎ、時に上野に足を延ばして美術館や科学技術館に通う生意気なガキ時代を過ごして以来、何度も神保町時代を過ごしている。編集者時代は無論のこと、ライターとして仕事をしていた時代、フランス語を学びに行っていた時期等々、様々な時期、縁のある町なので、もしや、と思ったのだ。小屋で配られたリーフレットに目を通すと、然り、あのエリカであった。確かに朝6時には開店していると。徹夜仕事開けに飲む珈琲はまた格別。暖かいストーブの焚かれたカウンター席に腰掛けて、余り話さないマスターの温和な表情を見ながら飲む珈琲は至福の時である。実は、弟さんが近くで矢張り喫茶店のマスターをなさっているので、自分は、両方の店に出入りしていた。
 ところで、実在のエリカとこの物語は無関係である。エリカの作りは舞台上のものと違うし、窓から外を走る人の姿が見える作りにはなっていない。興味のある方は神保町界隈をうろついて実際のエリカを発見なさるとよろしい。雰囲気のある良い店である。(念のため付け加えておく)

ネタバレBOX

 本題に入ろう。高校球児の話である。基本的には15年後、松坂が、エースの噂を聞いて練習試合を申し込んで来、2年の時にはプロのスカウトが来るほどの大器、将来を嘱望されたエースを抱えた球児が溜まる、ちょっと大人びた神聖な世界、それが喫茶・エリカであった。練習試合の中で、エースは、味方の選手がフライを取りに来た際、突っ込んできた選手と衝突、大怪我を負うが、その選手に負担をかけまいと当日、動けず怪我も酷いものであったのだが、無理を押して翌日には、選手達の溜まり場であったエリカの窓から、自分のランニング姿が見えるように走り、医者にも行かなかった。結果、後遺症で野球は止めざるを得ず、学校も転校、皆と合わなくなって15年が過ぎた。15年後、エースと付き合っていた緑子は、彼の転校にも付き合い、その後結婚もしていたが高校時代の野球部部員に連絡をつけて来た。彼が亡くなったというのである。通夜の席でも詳細は語られない。集まった関係者は、自分達の置かれた現状を愚痴ったり、近況を知らせ合ったりして時を過ごすが、運動部の常として、先輩・後輩関係は、この国の特殊性を露骨に表して面白い。
 さて、当初露骨には、表されなかった、この国の人間関係の作り方の綻びや矛盾が、この狭い範囲の人間関係内の浮気問題や、香典の額の多寡、エースを球界から去らせることになった事故への各々の位置、対人関係に於ける人気・不人気等々の差から綻びを見せて行く。その果てに見えてきたものは、このような曖昧化が齎す結果であり、責任者の不在であり、それを誤魔化す為に行われる儀式であるが、儀式を行わなければ、八分に会ったであろう、この社会の歪な特徴である。
 エースは大津波に攫われて行方不明になっていた。後遺症で杖をつき、片足は殆ど麻痺していて神経も充分機能しないような状態であった。彼は、妻の目の前数メートルで津波に呑まれていったのだが、野球部の誰をも怨んでいなかった。それを含めて残された妻は、野球部の面々を呪っていたのである。
  
心の中、翼ひろげて

心の中、翼ひろげて

夏色プリズム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

泣きました
私には刺激が強過ぎましたが社会性のあるテーマの中で深く考えさせられました。出演者さん達も皆素敵でクライマックスの所では涙がでました。色々なことが頭を駆け巡った作品。

心の中、翼ひろげて

心の中、翼ひろげて

夏色プリズム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

満足度★★★

いい話
例えば、難病モノの恋愛ドラマとか好きな人は楽しめるんじゃないですか。俺は「幸せ」とか「笑顔」なんて台詞が出る度に興醒めしちゃう口なんですけど。

心の中、翼ひろげて

心の中、翼ひろげて

夏色プリズム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

無題1016(14-055)
19:30の回(雨)。18:45受付(整理券あり)、19:00開場。舞台前(&全)面に白い布があり様子がわかりませんが、最前列と舞台との間が狭く、隣りともちょっと窮屈、満席の様子。19:28前説(95分)、19:33開演~21:12終演。

異色の作品で、どう感じたらよいのか...拒絶する部分と普通に観劇している部分とが分離したまま終了。前の方のコメントにあるように「普通」の部分はラブストーリーですが、「そうでない部分」はどうでしょうね。そもそもこういった「設定」は架空の物語の中とはいえありえるのでしょうか…ありとして、さてどうみたらよいのやら。

ネタバレBOX

ウィキペディアで「セックスボランティア」という項目をみると、河合香織著「セックスボランティア」、大森みゆき著「私は障害者向けのデリヘル嬢」の2冊が紹介されています。私はどちらも読んでいるのですが(随分前のことで詳細は忘れました)、お芝居を観ながらかなり違和感を感じるのでした。「性産業」の存在を否定するとかではなく、本公演への組み込み方(意図)がよくわかりませんでした。

この施設は「公認(あるいは暗黙)」の性介助施設でもあり、介助行為というのは、両者の合意があれば「何をしてもよい」という設定になっています。この設定を受け入れるかどうか。場所を選ばず...だから盗撮までされる施設…かかってくる無言電話…運営している夫婦はただの善人なのか...

私にはよくわかりませんでした…ボランティアで、結婚後も(夫の了解があれば)この「仕事」を続けることができるし、誰の子かわからずとも産むという意思…

妹がそのために妊娠し激怒したはずの兄も最後は受け入れてしまう。

この枠組みを入れることによって何が見えてくるのでしょう。

「生」と「性」の2本の糸の織り方が違うような気がしてなりませんでしたが、そんなことは承知のうえのことでしょうし、どういう意図で「性介助」というものを採りあげたのか...そこを知りたいと思いました。

子供を産むことができないから…だけでは…このことをもっと深く掘り下げることだってできただろうに。
蜜月の獣

蜜月の獣

小西耕一 ひとり芝居

RAFT(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

満足度★★★★

こんなテイスト好きです
☆4.3
キャスト、空間、演出、音響等どれも良く、最後まで楽しめました。昨年も同様のテイストの作品を他劇団公演で幾つか観ているが、やっぱりこんなん好きです。

もっと泣いてよフラッパー

もっと泣いてよフラッパー

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2014/02/08 (土) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★

うーん! 当時は受けたの???
「上海バンスキング」にしても、私は、人気絶頂の時に見逃しているので、当時観たら、印象も違っていたかもしれませんが、今、この時代に観ると、どうも、心身無反応で、久しぶりに、お尻が痛くなる観劇でした。

キャストの皆さんは、とても魅力的なのですが、何せ、テンポが悪い。話の流れが冗長。

主要出演者が多いせいか、誰かが登場しても、次にその人が登場するまでにあまりにも時間が掛かり、エピソードもあまり関連づけがないので、一体あの人はどうなったのか?とか、どうかすると、その人が出演者の一人であることすら忘れるくらい、時が経過してからの再登場で、ストーリー展開の構成が、ひどく雑に感じられました。

でも、フラッパー達、女優陣は、皆それぞれ、個性的で、コケテッシュな魅力があり、特に、松さんの歌唱はさすがでした。

この大勢の役者さんの中では、松尾スズキさんにダントツの存在感があり、彼の人気の秘密をようやく理解できた感がありました。

石丸さんのスタンスはやや残念でした。昔取った杵柄で、演奏の方では、大活躍でしたが…。

ネタバレBOX

昔よくあったブロードウエイミュージカル風な味付けの、場末のキャバレーの恋愛模様的なストーリー展開でしたが、各人の心情描写がお手軽なので、これだけ登場人物がいるにも関わらず、その内の誰か一人にでも、感情移入するまでには到達せず、終始、舞台の世界に気持ちを揺り動かされる瞬間がないまま、客席に座り続けていました。

特に、1幕は、惰性で舞台が進むのをただ黙認していた感じで、羽生の演技なんかを思い出しながら、ボーっと観てしまいました。

誰も、串田さんに、もっとこうした方がいいのでは?と意見を言う人はいなかったのかしら?とか、舞台と関係ない思考がずっと脳裏で浮遊していました。

ショーのシーンは、素敵だから、眠くはならなかったのですが。

もっと、狭い猥雑な舞台で観たら、印象は大分違う気もしますが、何にしろ、もう少し、話を整理して、各人物を浮き立たせる脚本に推敲すべきだったのではないでしょうか?

終盤、ようやく、人物の哀感が感じられるストーリー展開になるのですが、それまでが、あまりにも岐路が長過ぎる!

最後の「もっと泣いてよフラッパー」の歌は、耳馴染みの良い曲で、劇場を出てもしばらく、耳にリフレインしていました。
アルトナの幽閉者

アルトナの幽閉者

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★

力が入る舞台
硬質で怒張したセリフのやり取りを聞いていたら、多少身体がぐったりしそうになる、見ているだけで痩せそうになったw
戦時下に犯した行為をキッカケに、生と死の二面が常に付きまとい正気なのか狂気なのか危うい精神を保ったまま部屋に引きこもる男、それを世話する妹、夫婦仲がぎくしゃくしてくる弟夫婦、終盤の父の生きる為に行なった行為と息子の受難多き会話を聞いていると見ているこちら側にも厳しさが沁みてくる。
それぞれの愛国心と家族愛が見え隠れした、静かに重い舞台でした。
吉本さんが裏ヒロイン。休憩込の約3時間20分。

舞台『サイコメトラーEIJI~時計仕掛けのリンゴ』

舞台『サイコメトラーEIJI~時計仕掛けのリンゴ』

講談社

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

ビジュアルとテンポ
ビジュアルとテンポが良し。

「珍獣ピカリノウスの法則」「コタツのある風景」

「珍獣ピカリノウスの法則」「コタツのある風景」

劇団桟敷童子

西新宿成子坂劇場(東京都)

2014/02/25 (火) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★

MJ
面白い。95分。

ネタバレBOX

「珍獣ピカリノウスの法則」
孤独な人に寄生するピカリノウスを探しにラブホの廃墟にやってくる、一郎と守と小劇場女優の雫。雫だけでなく、ラブホの土地所有者のヨシコ、守の母で孤独不感症のMJもピカリノウスに寄生されてしまう…。
孤独が愛すること等を生み出す土壌になってるって孤独礼賛な話。孤独を知らないMJも息子を想い寄生され幸せを感じる。愛することに努力した守も、人生の哀しさを実感し寄生される。孤独の芳醇さと愛することとの同一性を描いた作品で、短いながらも充実の舞台だった。

「コタツのある風景」
彼氏・卓也のオナニーを見てしまった菜月がケンカしながら菜月の部屋に戻ってくると、菜月の同僚が鍋やろうとドカドカ入ってくる。ローマの休日見たかった菜月もしぶしぶ参加する。そんな折、窓の向こうの道で女性が事故にあって雪が血で染まっていた…。
ピカリノウスとの比較でだけど、キャラのシャープさがもうちょい欲しかった。経理のおばちゃんは良かったけど。
人が傷ついているにも関わらず(結局死んだ)バカ騒ぎして寝ている面々を背に、近所の猫おばさんと語らい近しさを感じる菜月が、子供のときの不思議な現象に一時の願いを込めるちょっと不思議な作品。ラストシーンの別世界が現れたような演出に集約するようなものがいまひとつ感じられなかった。45分楽しめたけど。
幸福レコード

幸福レコード

Bobjack Theater

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/17 (月)公演終了

満足度★★★★

Aチーム
多少粗い作りながらも、最後に心の中に温かいモノを残してくれました。

ネタバレBOX

芝居ならではの設定、世界の終わりのコトよりも、明日をも見えない病気の人にとっては、今の方がすべてなのですよね!? レイブ魔になった元警官のその後や、世界の終わりを聞いた看護婦の描写が気になったのと、作家宮坂と若手編集者とのその後の絡みなども少し触れられたら良かったように思いました。
心の中、翼ひろげて

心の中、翼ひろげて

夏色プリズム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

ラブストーリー?
チラシの説明などを見て、ラブストーリーを期待して行ったので、ホントにそれこそちゃぶ台をひっくり返したい気分です。
怒鳴り合いもただ不愉快なだけでした。
あんなにキツキツな座席じゃなかったら、私も帰りたかったです。
何の感動もなく、時間を返してほしいと思いました。
まったく、腹立たしい。
それが狙いなんですかね?

心の中、翼ひろげて

心の中、翼ひろげて

夏色プリズム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

衝撃作
1時間40分弱。休憩なし。
これは見る人を選ぶ作品。実際、途中退席された方もいらっしゃった(それが退席の本当の理由かは分かりかねますが)。賛否両論であろうことが予測できる作品。
しかし、これがきちんとした取材をした上での作品であるならば、そうであるならば、うん…衝撃的な作品である。
劇作家が、何故そこを舞台に脚本を書こうとしたのかはわからないが、なかなか他の誰かが取り扱おうとしないだろう題材を取り上げたことを評価したい。
小劇場の舞台だからできる題材であり、だからこそ許さ
れる表現も散見される(昨今のTVでやったらご意見が沢山来そうなちょっとツッコミたい訂正したい部分がある)。

それぞれの登場人物の立場、そこから派生する「普通の」考え方。
健常者と障害者・孕んだ者と子を宿せない者と流れてしまった者・入居者と従業員、それぞれの意志や考え方は、立場が違えば考え方も異なるのだが、各々きちんと筋が通っていて、それぞれに共感できる。
それだけ役者各人がキャラクターを作り込んで演じてくれた。

観劇後、今改めてチラシを見ると、なかなか思う所がある。
「アナタを想えば想うほど
 アナタの真っ直ぐな気持ちが痛い
 …大切なヒトはいますか?
 …大切なヒトを理解していますか?
 …大切なヒトをどこまで理解しようと思いますか?」

中身の濃い1時間40分を過ごさせて頂いた。
受け付けない、拒否反応が出る方でないのなら、是非最後まで観てほしい。

ネタバレBOX

障害者の入居する施設が舞台。
入居者達は四肢に障害があるだけで、その他は健常者と変わらない。人を好きになる気持ちも、性欲も。キーワードは「性介助」。
この施設で働いていた従業員の兄が、施設の責任者に詰め寄っているところから物語は始まる。
施設を運営する拓郎&久美子夫婦、上記兄松井、入居者の青年明人、従業員裕子&由香&健二(隻腕)、新しく働き始めた女性従業員聡子とその婚約者隆司、そして舞台上に姿は見せないが、松井の妹ハルカによって物語は紡がれる。

脚本は起承転結がはっきりしている。実際、作品全体が四部に別れており、間に暗転を挟む。
物語全体はきれいにまとまっている。
承ラスト~結の聡子&隆司の展開はベタといえばベタであり、この施設が舞台である必要はないような気はする。
自分としてはもっと泣きたかったが、客席からは鼻をすする音も聞こえてきた。
自分が一番泣いたのは明人が由香に誤解されるシーンでした。

車椅子の青年二人は、本当にそういう人みたいだった。
車椅子の扱い方や、あの足の置き方!すっかり騙されました(誉め言葉ですw)
終演の挨拶で普通に歩いていらっしゃってびっくり(・д・)

個人的にもう少し掘り下げて欲しかったのは、裕子の職業に対するプライドと、聡子がこの施設で働くことを選んだ理由。
カルディアの鷹

カルディアの鷹

OSK日本歌劇団

心斎橋パルコ「SPACE14」(大阪府)

2014/02/22 (土) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

贅沢なコスチュームプレイ
架空の国を舞台に、漫画やアニメ、ゲームの中でしかないような物語が描かれる。

それでいて、コスチュームも凝っていて、役者の腕も確か。
そして舞台がとても近い。

こんなに美しいものをこの距離で観るなんて、そんな贅沢があっていいのでしょうか。

桜×心中

桜×心中

BLACK★TIGHTS

世界館(大阪府)

2014/02/20 (木) ~ 2014/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

すごかった・・・
ブラック★タイツさんの舞台はDVDでマスケラを観たことがあっただけなんですが、今回初めてナマで観て、鳥肌がたちました。
オープニングのプロジェクションマッピングで感動して、ストーリー入り込む前から涙目。
ストーリーも個人的にすごく好みで、どんどん桜×心中の世界に魅き込まれていきました。
途中、ちょっとマッピングの演出がくどいかな?と思う部分もあったけど、全体的にすごく綺麗で、勢い、雰囲気、ばっちりな舞台でした。
ダンスもすごくかっこよかったし楽しかった(笑)

そして、上野淑子さんの歌声がとても好きです!
武隈さんの歌声もすごく好きです!
ラストの「♪桜×心中」は、本当に、心臓鷲掴みされたような衝撃を受けました。鳥肌と涙が止まらなかった(笑)

もう一度観たいと思いつつ、機会がなく観れませんでしたが、とても魅了される舞台でした。
あれからCDエンドレスで聞いて、いまだに余韻醒めやらぬ( ´∀` )
素敵な舞台、ありがとうございました!

蜜月の獣

蜜月の獣

小西耕一 ひとり芝居

RAFT(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

笑いのシリアスさの絶妙な匙加減
今まで以上に笑いとシリアスさのギャップが激しく、前半はお腹を抱えて笑っていたのに後半で一気に重い展開になって身に詰まされました。
その前半部分も単に笑いを取ることだけを目的としたパートではなく、登場人物(特に主役)の闇の部分を顕していたのだと後半になって気付かされ、なるほど!と構成の巧さに唸りました。

ネタバレBOX

今回小西さんは脇に回って、河西さんがこれまでの作品で小西さんが担っていた役割を演じることで開いた作品に、よりパブリックなものになっていたのがとても良かったです。

あと、男性がお好きなDVDのパッケージをああいう風に加工していたのはウケを狙ったのか女性客への配慮かは分りませんが(笑)、いずれにせよああいうことを出来る小西さんはとても品のある方だな~と思いました。
眠る羊

眠る羊

十七戦地

LIFT(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

緊迫した会話劇
濃密なワンシチュエーションの会話劇で、ぐいぐい引き込まれて観劇しました。
クライマックスの緊迫感、空気の流れが止まるような感覚を肌で感じられる、そんな演劇の醍醐味を存分に味わえました。
面白かったです。

ネタバレBOX

始まり方と終え方がすっとしてていいですね。
照明もなく、また作り込んだようなセットもなく、その場所自体をそのまま舞台装置として用いているのでリアリティが増しました。

証人喚問のリハーサルがストーリーの柱なのですが、導入から中盤までは説明の多さと単純な進行にややだれました。
そこをなんとか補ってくれたのが、一つめが笑いで、個人的にはもっと前半のコメディ要素が強くてもいいと思いました。
その分後半のシリアスさが際立つと思うのですが。
(12人の優しい日本人のような感じを想像)
今回は笑わせたいのかそうでないのかが曖昧だったなと感じます。
二つめが、智士と父の愛人とのやりとりで一番最初に引っかかりを作って後への興味を引いてくれたこと。
まだ何かあるな、と思わせるところで後半の展開を期待させてくれました。
真相が明らかになる流れ、さらに隠されていた謎、で、どんでん返し。
最後まで観終えて、巧みな脚本を脚本書かれる方だなぁと敬服しました。


初めて行った劇場でしたが、白い空間にやや古めかしい置き道具が芝居にマッチしていたと思います。
惜しむらくは少し狭すぎるかと…。
観客席の狭さもあるのですが空間全体がとにかく狭いので、役者に近すぎて逆に見づらい部分が多かったです。
桜×心中

桜×心中

BLACK★TIGHTS

世界館(大阪府)

2014/02/20 (木) ~ 2014/02/24 (月)公演終了

満足度★★★★

とにもかくにも豪華
絢爛豪華とはこのことか、といわんばかりにいろんな意味で華やかな舞台でした。3時間越えでも飽きさせない構成はさすが。シンプルなストーリーながら登場人物のキャラがたってるのでとても入り込みやすかったです。初日のプレビュー公演で見にくいな、と感じていた映像パートの文字が次の日には変えられていたことにいたく感動しました。歌モノには苦手意識のあるわたくしですが、圧巻のクオリティで大変楽しくみることが出来ました。エンタメ芝居が好きな方にはたまらない作品だったと思います。

かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

【Bチーム】観劇
まさに『かもめ』でした。

ネタバレBOX

あまりにも『かもめ』で、どこが中二かと思いましたが、大人は忍耐力、あるいは、商売は商いと申しまして、毎日飽きないで仕事を継続することが大切なのですと理解して実践しているのが大人ということかと考えてみました。

そして、当日パンフレットを読み返して、そういうことか、チームBは原作に忠実、チームAは中二的に翻案した舞台になっているのではないかと気付きました。両方観ないと始まりません。

それにしても、中田顕史郎さんには大人の色気があります。緒川たまきさんに似た色白で清楚なお嬢さんなんてまさにイチコロ、ボロボロにされてもそれでも愛していると言わしめるだけの力量がないと最後に繋がりません。正統派『かもめ』を理解する上で的確な配役だと思いました。
かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

かもめ~21世紀になり全面化しつつある中二病は何によって癒されるのか、あるいはついに癒しえないのか、に関する一考察~

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

両バージョン観劇がお勧め
Aは、原作が透けて見えるような作り、Bは、役者の解釈をより多く取り込んだ作り と作り分けることによって、現代日本を起点に見たチェーホフの新たな読み込みの可能性・多様性を堪能できる。(受付で販売しているアロッタ版「かもめ」を楽しむための12の証言も参考にするとより面白かろう。追記後送)

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