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KEEP OUT!

KEEP OUT!

トライフルエンターテインメント

テレピアホール(愛知県)

2011/06/11 (土) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

いつもと違う食材で。
私が観劇したのは名古屋千秋楽なので、湯沢さんが出演されてるバージョンです。
DVDに入るのは東京公演版なので、湯沢さんは本編にいらっしゃいません。でも、映像特典にはいらっしゃるらしいです。
えっと……それは湯沢さん目当ての人的には本編の湯沢さんのシーンとか入れてもらった方が嬉しいんじゃないかなあ……映像特典は名古屋公演への移動中に撮影した映像らしいです。自分的には沢井ちゃんがいないので心惹かれはしないかな……まあ、興行的には基本あのへんの俳優さんメインの公演だから致し方ございません。あ、でも、お芝居本編での沢井ちゃんの扱いは良かったので良いのですよ。ほんまに可愛かったわ……沢井ちゃんのお写真があれば買ったのに!!!(まあ当然ですが、男性陣のしかなかったのでございますよ)

制作的には若干残念クオリティでした。
だって、開演前にめっちゃ堂々とステージの写真撮ってるお客放置なんだもの……っていうか、多分、客席側にスタッフいなかったんと違うかな(これは私が見なかっただけかもですが、いてあれなら、それはそれで……)直近のお芝居がマツケンさまでその辺の対応はパーフェクトクオリティだったので余計に気になりました。
よっぽど注意しようかと思ったんですが、男性やったし、開演前にもめるのも嫌なんで、とりあえずアンケートに席番書くだけに留めました。チキンで申し訳ない……あんなん当日に抑えないと意味ないしな。
ステージもセットの担当の人の著作物扱いになるので撮影とか駄目絶対駄目なはずですけどね……ていうかあれ、下手したら客も映ってるだろ……もにょもにょ。

ちゃんと西永さんの作品で、ちゃんと西永さんの作品じゃなかったです。
それが本当に本当に素敵でした。

これ大事、すっごい大事!!
今回は脚本が西永さんではないのでどうかなーとは思っていたのです。
でもまあ、名古屋なら東京よりはかなり安価で行けるし、沢井ちゃんも出るし、他の出演陣もそこまで熱心ではないにしても観てみたい気はある子達が出るので思い切ってみたわけなのです。
だからまあ、観劇前はお芝居の内容自体は好みじゃなかったりする場合もあるかもなって思っていたのです。
私は今までは西永さんの作品は一番最初のアンラッキーディズ以外は完全に西永さんの作品が好きだから観に行っていた感じだったので(なので、逆に作演出の作品であれば、キャストは関係なしに行きたいわけです)自分のいつも期待しているものはないかもなって。
でも、それはプロのお仕事なので作品として破綻していたりしていなければ、いいんですけどね。後から「だって俺が脚本書いたんじゃないもん」的なこと漏らしたりしなきゃね。

結果として、本当に素敵でした。
脚本を担当された方の他の作品を存じていないので、どれくらい手を加えられているかとかわからないんですが。
キャラクター的にも「ああこういう子、よく出てくるよね」みたいな印象も強かったです。別にそれが悪いとかじゃなくて。
多分、脚本と演出の相性が凄くいいんだと思います。もしかしたら、脚本の方も西永さんが演出することを前提に書かれたのかもしれないけど。
今まで観劇した西永さんの作品と比べると、光の割合が強い印象の作品。本当にすっごい元気。いつもの作品はもっと影の印象も強くてヒリヒリとした切り裂かれるような感じがあって、それはそれで大好きなんですが。でも、それこそ、それをやろうとしてたりしたら、破綻しちゃうんじゃないかなと思います。
食材は違えど、料理人が同じみたいな感じですかね。ってツイッターで書かれていたんですが、ちゃんとその料理人さんはいつもと違う食材を大事にして、ちゃんとその食材に合わせて且つ、自分の味もちゃんと残したお料理をしてらっしゃるのです。
あ、これに関しては自分の味を殺して、食材を生かすのもアリだと思います。それはそれでプロのお仕事だと思います。最低なのは食材殺して自分を生かそうとするパターンですよね……だったら、全部最初から自前でやれよとか関係のない毒を若干混ぜ込んでみたりします(苦笑)
でも、本当、自分の元から好きな作品の演出とかしてくれたら、素直にすっごい嬉しいと思う。逆に頼むから私の好きなものに関わらないでくれ……って方もいますからね。個人&団体として。
作品としても、すっごい観やすかったと思います。いつもの西永さんの作品だとわりと時間軸を巻き戻して視点を変えて繰り返して解いていくみたいな感じが多いんですが、時間軸はそのまま進んでいくお芝居なので混乱なく見れると思う。
勘違いとすれ違いの嵐で進んでいく作品。キャラクターも全員すごく個性的。

沢井ちゃんの演じた女の子はすっごい元気でした。
平凡な生活にうんざりしてるOL…みたいな設定だったわけですが、ああもうアンタみたいな可愛い子、周りが放っておくわけなくて、平凡とかありえんわ!!!って感じでしたね……本当、かわいすぎた……私、リアルに動いてる沢井ちゃんはせらむんぶりだったんですが……いやもう本気で可愛いです。ていうか、せらむん組はきっと今でもリアルで観たら死ねると思います……あ、あくまで女性陣限定です。勿論、ベリル様も含みます。
本当、本気でかわいすぎて辛い………沢井ちゃんは可愛い女の子が好きな女の子が好きな可愛さだと思うんだ……
沢井ちゃんとこまっちゃんは是非ともニチアサに参戦していただきたかとです。
沢井ちゃんのしずかちゃんは最高でした。ていうか、あのシーン、DVDとか大丈夫なのかな……藤子プロ的に………

そんな感じでした。
何も伝わらない感じの感想でスミマセン><。

ミエナイ家族のハロー・マイ・ゴースト

ミエナイ家族のハロー・マイ・ゴースト

空飛ぶ猫☆魂

小劇場 楽園(東京都)

2013/09/25 (水) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

一緒に。
今回は『家族物』でした。
前作の『サヨナラ誘拐犯のパーフェクト・ストーリー』も家族の要素が強かったので、事前に「初の家族モノです」的な記述を見て、「前回もじゃなかったっけ??」と思ったりもしたのですが(前回のはカテゴライズ的には「誘拐物」とのことでした)
そして、今回の冒頭のシーンが完全にバカップルだったので、「家族物???」と思ってしまったのですが、終わってみれば、本当に家族の話でした。

ネタバレBOX

「ご飯、食べたくない?」
「食べたい。でも、食べれない」

恋人の作った料理が食べたい。でも、食べれない。
満腹だからでも、体調が悪いでもなく、
幽霊だから。

恋人と結婚の約束をしていた女性。
叶わぬまま、事故で亡くなってしまった恋人。

その設定の記述はパンフレット等にもされてたのですが、私はなんでだか頭の中から飛ばして観劇していたので、ちょっとだけ本気で「なんだこのやりとり」的に観てました。
本当、若干、イラッ☆とするくらいのラブラブバカップルでした。
素で見たら、片方が幽霊だなんて思えないくらいの。
でも、2人でいて、お互いがお互いには見えていているのだから、それは当たり前なんでしょう。
だから、本気で「幸せだよ」とも言える。

でも、2人だけで生きているわけでなくて、他の人とも関わっていて、他の人には彼は見えないし、言葉も聞こえない。
2人だけなら、問題はない。
2人だけじゃないから、大問題。
それでも、2人でいたいから「幽霊と結婚します」と宣言しようとするし、してしまう。
今回の話の軸はそんな感じでした。

2人だけだった彼女の部屋に、共通の友人がやってくる。
その友人は彼女のことが好き。多分、恋人のことは忘れてほしい。
なのに、彼は彼女にしか見えなかった恋人のことが条件付きで見えてしまう。
その為、彼女が家族に恋人を紹介することに協力することになってしまう。
「好きなら協力してよ!」って言ってしまう彼女は凄いと思います。でも、それで協力しちゃう彼もいいヤツですよね。とんでもなく頭が弱い感じでしたが。
その友人役が西興一郎さんで、↑であげたリストの作品でも4作、今回で5作目だったんですが……回を重ねるごとに扱いの酷い役になってる気がですね………とてもとても素敵だと思います(なんだそりゃ)
「simple」は本当、1人で芸能人!!って感じもあったので……お客様感がなくなった感じと言うか。
昨年の夏の公演の終盤で関西弁で気持ちを吐露するシーンはとても素敵でした。

そういえば、昨年の夏公演はずっと話題としては恋人が出てくるけど、実際には一切、出てこなくて(死んだ恋人の四十九日に元彼が集まるという話だったので。実際には死んではいなかったんですが)
でも、今年はずっと一緒にいる話でしたね。
昨年は実際には生きていて、今年は実際には死んでしまってるわけですが。
探偵さんはマリアさんと幸せになれたんでしょうか。
演じられたのが佐々木さんで、今回の幽霊役も佐々木さんなので被るモノもありました。
(でもって、昨年の楽日に佐々木さんはカーテンコールでプロポーズされて新婚ホヤホヤです。他人さまのプロポーズを目の前で観たのも昨年の観劇の思い出です)

友人が彼のことを見える条件が携帯の着メロでした。
鈴木亜美の「BE TOGETHER」をはじめとするTKメドレー。
他の人の曲じゃ駄目。小室さんの曲でも曲によってはぼんやりしたりする。純度の違い?
でも、メインでかかるのが亜美ちゃんの「BE TOGETHER」なので、それはそれで、それがメジャーなのはわかっちゃいるけど純正ではないよね……とも思ったりもしました。
「BE TOGETHER」って曲が大事なのかな。一緒にって意味だしね。
そして、イントロ1音でわかってしまう自分。
ちょうど昨年の夏公演時にえんえん頭の中を巡ってた曲でした。
同時期にやっていたaccessのツアーでカヴァーを披露していたので。
なので、「BE TOGETHER」がかかる度に頭をよぎって、ちょっとだけ邪魔でした。ええもうめっさ上機嫌で歌い踊ってるのが……帰宅してから動画を見直し、今もこの感想を打ちつつ聴いております。
音楽っていっぱいあるものなのに、それで被る?のはなんだか不思議な感じでしたね。まあ世代的にね!!ってのもありますね。多分。

友人の名前は零(レイ)君。
恋人のことは見えない彼女の家族。(父、弟、兄)

「紹介します。霊です」
そう言って、友人と一緒に幽霊の恋人を実家で父親に紹介する彼女。
友人が恋人だと勘違いしてしまう彼女の父親。
以降、いろんな勘違いやすれ違いが混ざり合って進んでいくストーリー。

絡めて絡めて絡めて、ぐっちゃんこになりかけた感じを解いていく感じが好きです。
観劇している側は全部、見えてる。
でも、舞台の上で生きているキャラクターにとってはそうじゃない。全部が見えてるわけじゃない。
だから、見てる側は「どうやってバラすの?」みたいな感じでドキドキするのです。
シーンを重ねて重ねて、時間の感覚がいい意味でなくなりかける。
観劇中は携帯を切ってしまっていて時間がわからなくて、どれだけ経過してるかわからないので、「今、どのあたり?」みたいな気分になるんです。話がギュッとなっていて、実際の経過時間よりも長い時間、観てる気になる。(いい意味で!!)

バラバラになっていた家族の距離が戻っていく話、でした。
多分、普通のセオリー通りの話なら、幽霊の彼は成仏してしまって、彼女は現実世界で生きて行くのが妥当な展開でしょう。
でも、彼は「でも、ずっと、そばにいます」と言い切る。
それしか、出来ない。
でも、
それは出来る。
それが、彼女の幸せ。
普通なら否定される。それでも、それが、彼女の幸せ。

「家族が増えた」

そう言って、閉じられるストーリー。
解釈によっては何も解決してません。
家族の関係は修復されたかもですが、幽霊と結婚するとか言い続けてしまってる彼女。
普通なら、問題が残りまくりです。
それでも、そういう『普通』じゃなくてもいい。
そういうお話でした。
ちょっと普通からは外れてしまってるかもですが、それでも彼女はとてもとても素敵で、とてもとても幸福だと思います。

恋人が幽霊だったら、
他の人から認めてもらうことを望んだりしなければ、普通よりも幸福だったりするかもしれません。
出来ないこと、いっぱい発生しそうですけど、せずにすむこともいっぱいありそうですから。
ずっと一緒にいてくれる。自分とだけ一緒にいてくれる。
それは、ある意味では理想的かもしれません。
一緒にいることが出来る。
一緒にいることしか出来ない。
それじゃ恋愛関係は成立しなくなってしまうかもしれない。
でも、『家族』みたいにずっと一緒にいられるかもしれません。


日替わりゲストさんのシーンも凄かったです。
本当に話の終盤に出てきはるので……というか、「ゲスト出るんじゃなかったっけ??」みたいな感じで物語の大半が締められた感じになってからの登場だったので。
劇団本公演との一番の違い、なんでしょうね。もう本当に、嵐、みたいな。
今回は千秋楽のみの観劇だったんですが、他の方の回も観たかったです!!!!
昨年の夏は2ステージ観たのですが、もう全然違うシーンのようでしたから。

全体を通して、温かい作品でした。
家族物、ですもんね。
重い要素もいろんな所に散りばめられてましたが。
そして、冷静に考えると、そのどれもが根本的な解決にはなってない気もするのですが。
それでも、最後にちゃんと前を向いている作品でした。

簡単に解決なんてしない。でも、それでいい。
それをしっかり抱えて、進んでく。抱えたままでいい。
そんな感じが、します。
希求の果て

希求の果て

男〆天魚

劇場MOMO(東京都)

2014/01/21 (火) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

プレゼントをいただきました。
き‐きゅう【希求/冀求】 [名](スル)強く願い求めること。「平和を―する精神」

もしも、願いが一つだけ叶うなら、
選ぶのは自分以外の、自分の大切な人の願いを叶えることかもしれません。

多分、作品の根幹の思いはそんな感じな気がします。
誰かが、誰かのために願ってる、その繰り返し、巡り合わせ。


ネタバレBOX

羽を奪われた3人のおっさん天使が課題を与える。
課題を達成しなければ、元に戻れない。
(なんでそうなったかは忘れてしまったわけです。作中で出てたかな……)
「困った人を助けなさい」
その課題を達成するために街に出る。

まずは困った人を探さなければならない。
困った人なんて、いくらでもいる。不幸じゃない人間なんていない。
でも、『不幸』の判断が難しい。
死や病気、あからさまな『不幸』はわかりやすい。
でも、その人にとっての『不幸』はわかりにくい。
課題を達成するには『幸福』にしなければいけないので、『不幸』は選ばなければならない。
そんな言いあいをしながら、困った人を探すために街に出る。

3人のおっさんは各々、困った人をみつけて、自分のターゲットにします。

・好きな人に好きになってもらえなかった女。
・身体に病気を抱えた男。
・ひきこもりで若年性痴ほう症の、恋人のいない男。

女は病気の男の妹でした。何年も会えてませんでしたが、病気のことを知った兄貴分が探してきてくれたのです。

女の好きな人は、ひきこもりの男の友人でした。その友人は男の為に、彼女と会わせました。彼に恋人を作る為に。
女は男と恋人にはなりませんが、友人になりました。

病気の男の兄貴分は、男に手術を受けさせるために事務所のお金を盗みました。その為にその身が危うくなりました。

各々に自分の願いと、自分の大切な相手の為の願いを抱えます。

・自分の病気を治したい。死にたくない。
・自分の友人の病気を治したい。
・自分の兄の病気を治したい。命を助けたい。

・自分の恋を叶えたい。好きな人に好きになってもらいたい。
・自分の好きな人の恋を叶えたい。好きな人に好きになってもらって幸せになって欲しい。

・自分の命を助けてくれた相手の命を助けたい。

叶えてもらえる願いは一つだけ。
天使が鐘を鳴らせば、願いが叶う。
でも、願いを叶えた代償として、誰かの願いを叶えたら、その誰かは自分を忘れてしまう。

それでもいい。

そう言って、自分の大切な人の願いを叶えます。

自分の大切な人が、自分の知らないうちに自分の願いを叶えてくれるのです。
でも、その人を忘れてしまう。その大切な人を忘れてしまうのです。

願いを叶えたんだ。だから、幸福になるはずなんだ。
おっさん天使達は叫びます。
幸福になってなければ、課題を達成することにならず、元に戻れない。
なのに、自分が願いをかなえた人達は不幸になってるように見える。

・女は好きな人が好きになってもらえた。兄の病気も治せた。
 だけど、自分の願いを叶えてくれた友人のことは忘れてしまい、自分の兄には忘れられてしまう。
・病気の男は病気が治った。自分の兄貴分を助けることが出来た。
でも、自分の願いをかなえてくれた妹のことを忘れてしまい、兄貴分には忘れられてしまう。自分を助けてくれようとしていた人が自分に敵意を向けてくる。
・ひきこもりの男は好きな人の恋を叶えることが出来た。
でも、その人に忘れられてしまう。自分は忘れてしまうのが得意なんだから平気なんだと思ってた。でも、彼女が好きだ、忘れたくないんだ、その気持ちが残ってしまう。
彼女は自分を忘れている。自分も彼女を忘れている。でも、自分は彼女が好きなんだと思う。

自分の願いを、自分以外の誰かが叶えてくれたはずなのに、幸福にはなれていない。
幸福には見えない。
元に戻した方がいいんじゃないのか。でも、天使には元に戻す力はない。
そこに神様が現われる。
ずっと天使と人間の周りにいて、天使を見ていた神様が。

天使は神様に元に戻してほしいとお願いします。
神様は天使に
願いを叶えても人間は幸福にはならなかっただろう?それがわかればいい。
そう言います。
自分は人間の願いを叶えたことはないと、
ある人の願いを叶えると、別の人は不幸になる。
それどころか、自分さえも更に不幸になることもある。

代償を受けるのなら、元に戻してあげよう。神様は天使に言います。
天使は代償を受けても、元に戻すことを選びます。

神様の力で、忘れていた人間達は思い出します。
自分を大切に思ってくれていた、自分の大切な人のことを。


不幸はなくならない。
でも、だから、不幸でも幸福になれる。


神様は願いを叶えてはくれない。
でも、神様は雨を降らせてくれる。雨は神様のプレゼントなんだ。
雨が降らなければ、人間は生きていけない。神様のプレゼントで人間は生きていくことが出来る。


そんな話、でした。
相変わらず、伝えきれません。
でもでも、伝えたいなって思う舞台でした。ほんの少しの欠片でも、伝わればいいなと思います。


どれだけ強く強く心を揺さぶられても、
それでも全てを覚えてはいられない。忘れてしまう。
でも、だから、何度も劇場に行くんだと思います。
素敵なものをどれだけ受け取っても、どうしても零れ落ちて行ってしまう。
でも、だから、素敵なものを補充するために劇場に行くんだと思います。
劇場は素敵な人達が、素敵なものを作ってる、素敵な場所です。本当に素敵。

本気で私の感想文などでは何も伝わらないと思うので、機会があれば劇場に行ってみてください。
素敵な作品に関わった人達の関わるものはきっと素敵です。
この感想文を書いた舞台は終わってしまいましたが(あ、今回のはDVDも出ますよ!!)
関わった人達のこれから関わる作品もきっと素敵だと思います。
そうやって、出会って行くのが好きなのです。そうやって出会いをくれる人が好きです。



グッドファーザー

グッドファーザー

合同会社シザーブリッツ

サンモールスタジオ(東京都)

2014/01/21 (火) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★

面白かったですよ。
ストーリーは悪くないです。
テンポも良く、コミカルでかなり笑えますけど、
ちょっとドタバタし過ぎですな。
好みの問題かな。

日付のないカレンダー

日付のないカレンダー

トライフルエンターテインメント

ザ・ポケット(東京都)

2013/12/21 (土) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★★

Aエンドの感想です。
今回、私は1回のみの観劇だったのでAエンドしか観れなかったのですが、Cエンドを観劇した友人に感想を聞く機会がありました。
わりと早い段階で友人は『ループもの』とわかったと感想に書いてたのですが、
私は『ループもの』と判断するのに時間がかかりました。
劇中で登場人物が気づく描写が入るまで『回想シーンを積み重ねる』演出かもしれない。どっち???みたいな


結果、ループだったわけですが、この辺は白紙の状態で観る人の方が素直に観れるのかな?って気もしました。
今回のお芝居は時間軸も時間の経過どおりだったので、かなり観やすかった気がします。
舞台では先にとあるシーンを見せて、その後でそのシーンの根拠になるシーンを入れる…みたいな演出も多いので、観慣れないとわかりにくい気がするので。
なので、今回の作品は難解さもあるけど、わかりやすいお芝居だったように思います。

以下、ちょっことだけ友人の感想を書き記しておきます。
あ、友人は普段は観劇をしない方です。
(諸事情により私の手元に余りチケットがあったので観劇しに行ってもらったのです)

アニメだと、ループはフィルムを使いまわして節約をする。
演劇の凄いところは、尺を調整したり、見せたい部分の表現を強めてく。

凄いと感じるのが凄いと思ってしまった私です。
私は冒頭のループ箇所ではあまりにも今までの作風と違って笑いの要素がどこにもないので、なんだかよくわからない心配にかられてしまっていたのでした。
だって、前の作品なんて幽霊と結婚するとか大真面目に言ってたわけですよ。

でも、シーンを積み重ねるごとに、笑いのなさにゾクゾクしました。
同じ人が、これを描くんだ。あの人が、これを描くんだって。

ネタバレBOX

登場人物は5人、ざっくりと設定を書くなら

・何かトラウマを抱えてるであろう、平凡な男←主人公
・物語を書いているであろう男
・研究に携わっているであろう男
・過去に何かやらかしてるであろう男(元犯罪者)
・幼児退行しているであろう主人公の兄

の5人です。
あと、『アリス』と呼ばれているカナリア。

見ようによっては、緩やかに時間の流れる幸福な空間。
起きて、挨拶をして、一緒に朝食をとりながら、他愛もない話をする。
ただ、『おはよう』って言ったばかりのはずなのに、『おやすみ』と全員が退室して行く。
「あれ?」って感じの3回のループ。
おかしい事に気づいてしまった主人公。ハッキリさせよう、ハッキリさせようと足掻く。

『今日って、5日ですよね?』

その台詞が何度も繰り返される。少しづつ変化の加えられていくシーンの繰り返しの中で。
多分、『5日』は『いつか』なんでしょう。

1時間40分の上演時間の中で曖昧にされている部分は多々あります。
でも、それは舞台の上で登場人物のぶつかり合いを描くには不要な部分なんでしょう。

戦争がおこって、シェルターに避難している。
戦争がおこってるらしいことさえ伝われば、その戦争に関する情報はいらないわけです。
逆にその情報を入れてしまうとリアリティを殺してしまう気がします。その辺は観た人の想像の想定でかまわない。

人と人とのぶつかり合い、なんだと思います。

どちらが正しいか。

「俺とあいつとどちらが正しい!!??」

終盤近くの激しいシーンで、主人公は問われます。

「どちらも正しいです」

押し殺すように主人公は答えます。

「それでいい」

激しく主人公を問い詰めた男は、そう答えます。

自分は悪くない。
でも、相手も悪くない。
それは、わかってるんですよね。
でも、ぶつかるしかない。

『自分の家族が大事』

何度もその台詞が出てきます。

自分の家族が大事。
誰かの家族を傷つけることになっても、自分の家族を守りたい。
誰かの家族を傷つけたいわけじゃない。でも、自分の家族を守りたい。

それは仕方ないよねって、他愛もない話のひとつとしての会話がありました。
でも、実際にそういうシーンになってしまうと、痛々しくて、たまらない。
ああ、こういうことなんだよね。みたいな。

1人の男には奥さんがいました。アリスという名前の。
6人で一緒に過ごしていました。
だけど、今は5人の男だけで過ごしています。

引き離されたくない、一緒にいるんだ。男は叫びました。
それは、その男にとっては当たり前のことです。だって、アリスはその男の家族ですから。

でも、他の男たちにとってはアリスの存在は自分の家族を危険にさらすものでした。
だから、男をアリスと引き離しました。それも、当たり前のことです。

だけど、そのために男は狂ってしまいました。
自分の家族を守ろうとした男は、どちらも狂ってしまったのです。

狂うことによって、バランスを保っていた。
なのに、狂っていることに気づいてしまった。

狂ったままでいた方がいいのではないか、
狂ったままではいけないのではないか、

ぶつかって、ぶつかって、繰り返します。

もしかしたら、戦争は終わってるかもしれない。
もう狂わなくてもいいのかもしれない。

シェルターの扉を開けるか開けないかで男たちはぶつかります。
もしかしたら、『扉を開けない』という選択肢も存在したのかもしれません。

私が観た回のラストは(今回のお芝居のラストは4パターンです)

主人公は扉を開けます。

扉の外には何もありませんでした。アリスさんもいませんでした。
(アリスは隣の女性用のシェルターにいると劇中では説明されていますが、それが真実かどうかは描かれていません)

主人公は絶望します。
扉を開ければ、希望があるかもしれない。でも、開けてみたら、そこにあるのは何もない世界。

男たちは再び薬を飲みはじめます。
再び狂って、他愛もない日々の繰り返しに戻るために。
繰り返し続けてるうちに、なんとかなるかもしれない。
でも、なんとかならなければ、食料も尽きて、その時が死ぬ時だ。

主人公は絶望して、致死量の薬を飲んでしまいます(……と思われます)
主人公はその場で眠りにつきます。(多分、死んでると思われます)

そして、外から扉を叩く音が鳴り響きます。

……で、幕です。

ヤムアキさんが観た回はびっくりするほどのハッピーエンドだったらしいです。
もう本当、私の観た回は救いゼロですよ!!!!
でも、その分、カーテンコールでの笑顔を観たりすると役者さん凄い!!怖い!!!とか思ってしまうわけです。
しかも、私の観た回はアフタートークがあって(ヤムアキさんの回はお見送り会でした)そりゃあまあ、なごやかだったわけです。
お誕生日のお祝いしたり、裏話したり、もうその落差が凄いわけです。

笑いの要素が全然ないかもしれないと思ったと書きましたが、終盤で笑えたシーンはありました。
そこで、ああ西永さんの作品だ。とか、思ってしまったわけです。

「人間も鳥みたいに飛べたらいいのにな」
「人間も人間にしか出来ないことが出来たらいいのにな」
「人間は、笑える」
「笑うと、どうなるの?」
「笑えば、幸せになれる」

きびしめのシーンの中に挟まれた、一連の平和なほっこりするやりとり。
だけど、ぶつかってしまう。

「笑ってよ!!」
「人間になってよ!!」

異常な環境の中で、人間じゃなくなってしまう。
そんな、ぶつかり合いの物語でした。
多分、文章じゃ伝わりません。
重要なのはお話の内容ではないから(と書くとかなり語弊がありますが)

感情と感情が、ぶつかる。
それを観て、感情を揺さぶられる。
誰に感情移入するかも人によって全然違うでしょう。きっと、その人の状況によっても感じ方は違う。

舞台は
演出家と役者の勝負であり、
役者と役者の勝負であり、
役者と観客の勝負であり、
……なんだと思います。ぶつかりあって生まれてくもの。

「演劇は風に書いた文字である」

鴻上尚史さんの名言です。
劇場に来て、実際に観劇してみないと、どうしても伝わらない。
劇場に来ないと伝わらないんです。

でも、劇場に来れば、伝わる。
舞台の上にいる人達が伝えてくれる人達なら。
演出家さんが舞台の上にいる人達に伝えてくれる人なら。
ロストマン ブルース

ロストマン ブルース

GENKI Produce

笹塚ファクトリー(東京都)

2014/03/11 (火) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

ぱこか
美形が多いのが何よりでした。

ネタバレBOX

交通事故だけが記憶障害の原因ではないということが分かって少し快方に向かい、妻を認識することができるようになって本当に良かったです。

一晩寝るとその日の記憶を失くしてしまうという病気に、『MIDSUMMER CAROL~ガマ王子vsザリガニ魔人~』、『Paco~パコと魔法の絵本~』かと思いました。

それにしても、1992年から22年は長いですね。友人については老けたと感じていたのに、朝起きて鏡で自分の顔を見て何も感じなかったのでしょうか。
舞台『サイコメトラーEIJI~時計仕掛けのリンゴ』

舞台『サイコメトラーEIJI~時計仕掛けのリンゴ』

講談社

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

雨が、少し好きになりました。
 観劇したのは3月2日の夜公演の千秋楽です。
やっと原作を読んだので観劇感想です。
原作……過去に読んだかどうか微妙な感じなのです。
どこかしらからは読んでいる記憶はあるんですが、今回の『時計仕掛けのリンゴ』は初期のエピソードなので漫画では読んでいないかもしれません。(単行本なら2,3巻。ドラマ版では1期の2話です)

1997年、17年前の作品です。
今さら何故に舞台化感は否めない気はしもしました。(今、続編やってますが)
観劇前に原作を読み返そうかとも思ったんですが、バタバタしていて観劇前には読めませんでした。

読んだらオチがわかってしまうだろう。
……というのはテレビドラマを同じでキャストが出た時点で犯人の目星は付くのであまり問題はないのです。
むしろ、頭が追いつかないので前情報は入れておきたい派です。

今回なら、読まずに観劇して→原作を読んで→再度観劇……くらいがよかった気がします。
行ったのが千秋楽なのでどうしようもありませんね。

原作を読んでからの感想として、原作と完全に一致するのは2割程度な気がします。
おおまかな話の流れは原作と同じです。
でも、原作にあるエピソードをざっくり切って、残したエピソードを膨らませてるみたいな印象でした。

以下、原作を手元に置いて打ってはいないので間違ってる点があったりするかもしれません。
そして、舞台版に関しても観劇から半月近く経過しているので相違があったりするかもしれません。
でも、書きとめておきたいので、書きます。

ネタバレBOX

メインの登場人物は8名。
なので、原作と違って容疑者は4名、主人公の英児の友人は1名で舞台版は透流君です。ドラマ版には出てなかったらしいです。
キャストのビジュアルとかから考えれば、友人を1人に絞るなら透流君な気はするので妥当だと思います。
原作では章吉君の方がこのエピソードでは存在感が強い気はしたんですが、舞台版では作中の爆弾テロ事件で彼の彼女が巻き込まれて死亡した…というくだりはなくなっています。
(遺留品として『被害者女性が握りしめていたカバンの持ち手』は出てきます)

舞台の冒頭の場面はパレットタウン。
原作では妹の恵美ちゃんは爆破事件には巻き込まれずにすんだのですが、舞台版では巻きこまれます。
舞台版はキャストの佐野ひなこちゃんの印象もあってか、原作よりもブラコン色が強かった気がします。
事件に巻き込まれる形にしたのは『友人の彼女を巻き込んだ』っていうエピソードの代替なのかな?
舞台版はなんだかんだで妹に振り回されてるいいお兄ちゃんな印象でしたね。
なので、『事件が起こることがわかっていたのに妹を助けられなかった』後悔に説得力が出る気がします。
あ、巻き込まれたって言っても生き死にに関わるレベルじゃないです。

舞台版と原作版の一番の違いは容疑者側の描き方だと思います。
原作を読んでみて、『あのシーンの場面なかったんですけど!!』みたいなシーンが大量にありました。
なので、原作を読んで舞台に……という方との感想と私の感想はかなり違ってしまうと思います。

おそらく、今回の舞台のターゲットは10代後半から30代前半くらいの女性な気がします。
あ、主演の小澤君の劇団EXILEの客層がわからないのであれなのですが。
でもまあ、イケメンヒーロー出身役者さんの舞台に観劇に行く層がメインターゲットかと思われます。
なので、完全に原作とは客層が違うのだと思います。
でも、そのあたりの人達は(更に絞り込むなら20代後半くらいが一番メインな気がします)原作やドラマの記憶がうっすらある世代な気もします。

舞台版での夏目比美子の描写は凄く痛々しい気がしました。
描き方が酷い、とかではなく(まあ、ある意味ではそれでも間違ってないかも)
あ、気持ちがわかるなって、そうだよねって、
劇中での彼女や西巻君の叫びは本当に痛い。
苦しくて、どうしようもない、

「あんたに何がわかるのよ!!」
そう言う側も、言われた側も、痛くて苦しい。
そうやって感情をぶつけ合う。
痛くて痛くてたまらないけど、凄く好きなシーンでした。
西永さんの作品のこういう所が好きなのです。
不器用で、ひねくれてて、でも、ある意味でまっすぐで、一生懸命で、そいう女の子の描き方が凄く好き。
それは多分、女子独特の感想な気がします。
男性はとりあえず、共感……ではない気がします。

そして、原作を読み返したら、そのあたりのシーンはざっくり存在してなかったです。
原作では比美子さんと西巻君はつきあっててSMやってるらしいぜ。くらいの描写です。ざっくり言うと。
舞台版ではその辺を膨らませた感じでした。
『こうだからだったんじゃないの?』みたいな。
原作を読んでからだと、膨らませるのはここなの!?みたいな印象も持ったりしたかもしれません。
でもまあ、その辺はキャストを見せることが優先な感じとかはあると思うので、善し悪しを語るところではない気がします。

1時間50分駆け抜けて行った感じでした。
ドラマ版が1時間であることを考えれば、倍近い尺がある、それでも原作のボリュームを考えたら、原作通りでは出来ない。
時間だけでなく、舞台では舞台ではできない縛りが大量にある。
でも、逆に『舞台だから出来ること』もたくさんある。

生身の人間が目の前で、身体を、声を、感情を、ぶつけあう。
それは舞台特有のもので、多分、劇場にいた人にしかわからないことも大量にあるんだと思います。
それはきっと、DVDで観ても、伝わらないことな気がします。

舞台版は仕上がりとして、とてもとても『いい話』でした。
痛々しいシーンが痛ければ痛いほど、温かいシーンで温かさが伝わる。

私はラストのシーンが一番好きでした。
原作を読み返す前の観劇直後に
このシーンは原作にはないシーンだろうな。という感じはしました。
約2時間、その場に一緒にいたから、伝わるシーンな気がします。
ああ、この子なら、こういうことを言うね。みたいに。

空から降ってきた天気雨に手をのばして、
雨を降らせている神様の気持ちをサイコメトリーする。
雨は神様からのプレゼントですから。ね。


素敵な雨のシーンがある作品を続けて観て、雨が少し好きになった気がします。

3月2日の観劇後も雨が降っていて、
天気雨でもなんでもなく、普通の雨だったわけですが、それでも、なんだかウキウキしてしまったのです。
S高原から

S高原から

こまばアゴラ演劇学校“無隣館”

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/03/06 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

【Aチーム】観劇
日常と非日常のいつものパターンでした。

ネタバレBOX

サナトリウムで暮らす患者たちと見舞いに来た人たちに医者と職員が加わっての群像劇。

普段馴染みのない場所における人々の日常生活に、ちょっと不思議な非日常のエピソードを一つ加えたストーリー。

退屈な生活の中での見舞客の存在はありがたいものですが、徐々に弱って死が近づいている男性患者と別れない恋人もいれば、相手が元気なのに別れようとする恋人がいたり、自ら婚約者と別れようとする患者もいたりと恋愛関係に多様性を持たせていました。

非日常の方は、酔っ払って電車に乗って目が覚めたら持っていた傘が変わっていたという、超常現象か単なる酔っ払って傘を間違えただけなのか、しょぼい話でした。

俳優としては、絵描き役の無隣館前原瑞樹さんの目が良かったです。
『ThE 2VS2』

『ThE 2VS2』

ThE 2VS2

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2014/02/21 (金) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

中学生の笑いがそのまま大人になったような
懐かしい感じがする お笑い 下ネタも 中学生の笑いがそのまま大人になったような、 ドリフの笑いにも似てるように感じた。 面白い、好きな感じのお笑いです。 

ごきげん!?アキラ

ごきげん!?アキラ

骸骨ストリッパー

ザ・ポケット(東京都)

2014/03/06 (木) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかくパワフル!
内容はおぽんちだが、細かいところまで計算された笑い。個性あふれる役者たちがその魅力を遺憾なく発揮。音楽、照明のレベルの高さは見逃せない。細部にまでこだわった、客を巻き込んでの演出もニクイ。さらに・・・麗子さんの動きは怖すぎて笑えるという不思議な感覚を味わわせてくれた。今回が旗揚げということだが、次はどんな手ごまを出してくるのか、大いに期待したい。

ある冬の朝、Kは

ある冬の朝、Kは

タテヨコ企画

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/02/26 (水) ~ 2014/03/10 (月)公演終了

満足度★★★

八百屋丸見えの位置で観劇
大学時代のテニスサークルのメンバーの死によって集まる当時の仲間たち…な物語。
抽象舞台が瞬時に具象に換わる(場所設定も含む)鮮やかな冒頭でツカミはオッケー、以降、現在と学生時代を往き来する展開に引き込まれる。
後半にやや中弛み感もあるが、最後に主人公が復縁した妻に言う「時々“貴方は生きている”と言って欲しい。自分も言うから」という台詞(大意)が胸を打つ。
しかし三方客席のうち、横から観る位置にしたら八百屋で演ずる役者がモロ見えで、その苦労が偲ばれたのは良かったような良くなかったような…。

ゴーストライターズ!!

ゴーストライターズ!!

企画演劇集団ボクラ団義

SPACE107(東京都)

2014/02/28 (金) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★

傑作ふたたび
笑いとハラハラドキドキの配分が絶妙。
また、一件落着の後にもう一波乱ある…と言うよりむしろそちらがキモで、実はそれまでは入念に伏線をはっていた、な構造が鮮やか。
ボクラ団義を初めて観たのが本作(の初演)ということによる刷り込みもあり、今まで観た中で一番好きな作品かもなぁ。

「カレー屋の女」 2013→2014ツアー

「カレー屋の女」 2013→2014ツアー

ココロノキンセンアワー演劇部

タイニイアリス(東京都)

2014/03/10 (月) ~ 2014/03/11 (火)公演終了

満足度★★★★★

片道切符
 離島には、女ばかりが住んでいる。登場する女達は、カレー屋を営む一家の祖母、カレー屋のお上とその姉、お上の娘3人と舞台上には出て来ないが、姉の娘、店員らだ。今作で最も大切な要件は、この島は孤立しているということだ。そして、基本的にこの話は、3.11とも3.12とも繋がりは無い。原作は、和歌山県沖の島を舞台にしていると聞いた。然し、どういうわけか、東北の方々が演じると3.11、3.12が色濃く出ているように感じられたのである。同じシナリオなのに何故、こうも違うのか? (追記2014.3.18)

ネタバレBOX

 初演の舞台を拝見しているわけではないのでハッキリしたことは分からない。然し、3.11の後、川崎に住む自分は、3.12(福島第一原発人災)をより深刻な問題として考えて来た。放射性核種が実際に飛来して来たということもある。食物連鎖最上位に位置する人間の一員として、様々なレベルで汚染された食物の最終摂取者として、生体の体内濃縮のことも考え乍ら摂取する必要があるということもある。(御用学者は、このような見解を認めていない)
 然し、我々は既に知っている。この「国」では、本当のことを言うとパージされる。だから出回っている情報は、情報源が、政府だとか、一流のレッテルを貼られた大企業の場合は、嘘であるか加工されていると考えてよいということを。被災地の方々は、日々、このような体験をなさっている。自分が、2011年3月16日頃までには大筋を総て把握していたので、メルトダウンが起こっている可能性を含めて、身の周りの人間には、放射能の拡散予測データをメールに添付して拡散していた。無論、拡散データは、スピードによって得られたものではない。フランス在住の友人が、ヨーロッパで核に反対している物理学者、医師、市民団体などの予測データを送ってくれたのである。3月13日か14日には、そのメールが自分の下に届いていたので、原子力研究室などのデータ、議論を含めて自分なりに情報を収集後、拡散したのである。
 だから、政府関係者や、大手マスコミの発表より、爆発直後に現地入りした知り合いのジャーナリストからの情報や、普段から情報が正確な人々からのデータだけをコアに、また仙台で地元の人達の脱出を開始した研究者から、齎される生情報などを頼りにして来ている。新聞社では東京新聞の記事を基本にしている。何故なら、一番まともな記事を書き、読者が知りたいまともな質問をした為に、記者クラブを抜けることになったからである。この後、国税庁が徹底的に経理方面から東京新聞をいびった、という話も聞いている。ことほどさように、この「国」の民主(・・)主義(・・)というのは、実体を持たない偽物である。
 このような経緯を含めて、情報そのものを疑う必要が、あるのである。実は、3年後の現在迄に起こるだろうと予測したことの大筋は、残念乍ら、総て的中している。被災者の難民化と二重、三重の分断と差別である。無論、被災地へ帰ろう、帰れの大合唱も、人々の被ばく等歯牙にもかけない官僚や政治屋しかいない「国」のことであるから、頼るだけ無駄というのが、これも残念なことではあるが覚悟しておくべき原点である。水俣やカドミウム汚染、御嵩町産業廃棄物に纏わる事件等々、上げればきりが無い。薬剤エイズ事件などでもBSE問題などでも、国や担当官庁の無責任な対応はみての通りである。基本は、国など一切信用するな、である。実情を知っている倫理的人間なら、殆ど、総ての人が、自分の意見に賛成してくれるであろう。そのような闇を照らす作品である。


新しい等高線

新しい等高線

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2014/03/11 (火) ~ 2014/03/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

これからのこの国の姿
 ほぼ、大東亜戦争の時代を描いたハズの今作が、自分には、これからのこの国の歩みのように見えて仕方が無かった。

ネタバレBOX

 戦前の治安維持法より悪質な秘密保護法と言う名の情報隠蔽法が強行採決されたばかりで、今年は、共謀罪も狙っている自民党だから、当然、こういう懸念も出てくるわけだ。実際、この「国」の為政者ときたら、何らパースペクティブもないまま、阿保としか言いようのない選択を平気でしておきながら、一切、知らぬふりでしゃあしゃあとしているわけだから、また国民をミスリードすることは大いにあり得ることだ。その好例が原発再稼働へ舵を切っていることである。公約など最初から守る気もないことは、今迄の安倍や石破、菅らの発言を観ていれば明らかである。
 日独伊三国同盟を締結後の1940年11月から敗戦を迎えた1945年8月迄の足掛け6年間を地図出版社・色彩堂の動向を中心に捉えた作品。長引く対中国戦線で、日本は、かなり疲弊していたが、1941年8月のアメリカの対日石油輸出禁止などの動きは、硬直化した政治、軍に対英米の戦争を選ばせた。敵性言語の禁止とかで、ゴールデンバットの名も金鵄に変わり、野球などでも英語が排除されてゆく。これも阿保な話だ。孫子を持ちだす迄もなく、本当に勝つつもりなら、どんどん、英語を学んでその思考法のプラス・マイナス、特徴などを分析することが先決だろうに。対米英開戦反対派を押し切り、宣戦布告もせぬまま12月8日には、真珠湾攻撃が為され終に大東亜戦争が始まる。然し日本軍は緒戦を制したのみで翌1942年6月初旬ミッドウェー海戦で大敗を喫して以降、急速に制海権、制空権を失い、物資の調達や輸送さえまんろくに行えなくなった。戦死兵の数も日本軍は、戦闘による死者より病気や飢えで亡くなった兵の方が多いと言われる程だった。状況は悪化の一途を辿ったのである。1943年2月初めにはガダルカナルからも撤退。内務省は3月、本土決戦を見越してか単なる物資不足からか地図会社統合を要請、国家統制をどんどん強めていった。4月には山本 五十六も戦死。以後、連戦連敗。犬死にする為だけに万歳突撃などを繰り返し(1945年2月硫黄島での戦闘を除く)、1944年7月サイパンが陥落してからは、B29 の航続範囲に東京も入り、連日のように空爆に遭うようになる。
 社員の永井は、広島で一人暮らす母から弟を奪った赤紙の理不尽に天皇のばか、と手紙に記し、書き送った件で不敬罪を適用され特高に引っ張られた。それも、父亡き後、本人は、出征して障害者となり、最後に残っていた弟迄、赤紙一枚、一銭五厘で招集されたのが原因であった。郷里広島の実家は、母一人で守らねばならなかったのである。優しい彼は、それを怒ったのだ。その結果の不敬罪であったが、特高に連れていかれた当初、誰が、彼を連れ去ったのか、何があったのかも分からず、住み込み社員やお手伝いの純子らが、探し回って見付けられなかったのみならず、特高に引っ張られたと判じた後も、罪状すら分からなかったのである。
 秘密保護法という名で情報隠蔽法が強行採決された後、これからの日本は、総動員法が施工されていた頃の日本にそっくりという不気味な予測をしながらの観劇であった。
「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より4編

「CHERRY BLOSSOM FRONT345」より4編

宮城教育大学演劇部

Quarter Studio(クォータースタジオ)(宮城県)

2014/03/01 (土) ~ 2014/03/03 (月)公演終了

満足度★★★★

お疲れ様でした!
もう十日もたったんですねー。おもしろかったです!
3月3日ということでひなあられでも陣中に送ろうとしたのに、近くの西友で売ってなくて、残念(笑)
全編通して脚本の面白さがすごい伝わってきました。謎の作家のところをもう少しすっきりさせてもよかったかもですが。
ジョンさんはじめ、卒業される方は、おめでとうございます! お世話になりました!
(とんぺーの男ヨリ)

Jack moment.

Jack moment.

バンタムクラスステージ

萬劇場(東京都)

2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

分相応の人生を!
音楽や銃声などの効果がとてもリアル加えて照明の技術が素晴らしい!
ストーリーの組み立て良く、しかも深みがあり面白かったです。
シカゴの利権をめぐってギャング内抗争は息をのむほど迫力がありました。
一瞬は輝いても、時期が来たら元の木阿弥。
死んだら何にも残らない、人生は儚い!

風雲!チキン野郎城2

風雲!チキン野郎城2

ポップンマッシュルームチキン野郎

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2014/02/18 (火) ~ 2014/02/18 (火)公演終了

満足度★★★★

今更だけど
楽しかった・・・・!日帰り強行でしたけど全然苦にならなかったですね。
久しぶりにお腹が痛くなるくらい笑いました。まじめにふざける皆さんが大好きです!!!前回の短篇集でされた1作品もやってくださって、思わず泣きそうになりました。ほんの10分前までひどくふざけてたのに・・・!
次回の短篇集が楽しみでなりません!

「カレー屋の女」 2013→2014ツアー

「カレー屋の女」 2013→2014ツアー

ココロノキンセンアワー演劇部

タイニイアリス(東京都)

2014/03/10 (月) ~ 2014/03/11 (火)公演終了

満足度★★★★

天国か地獄か?
面白く観劇できました。
ブラックコメディは余韻を残すので良いですね。
東京ではなかなか観られない作風で興味深かったです。
アフタートークの東北地区の演劇事情も聞けて良かったです。

ネタバレBOX

カレー大好きですが、さすがに人間の内臓入りは勘弁!
世話好きの女たちの家畜になり蚊の餌食になるか、厳しい現実に戻るか悩ましいです、ハイ((笑)

Jack moment.

Jack moment.

バンタムクラスステージ

萬劇場(東京都)

2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

見応えはありますが
バンタムクラスステージさんは前作のCCCに続いて2作目。そして『Jack moment』の初演は特に観ていないため、この物語は初見です。
確かにハードボイルドでかっこよく、見応えはあったのですが、詰め込みすぎかなぁという感じは否めませんでした。
照明の使い方や、音響に関してはとても好みです。

ネタバレBOX

物語の中での場面の切り替わりが凄く多かったように思えました。
登場人物が多いため、描かなくてはならないことが多くいのでしょうか。しかし、その割に結局あまり目立つわけでもなく死んでしまうキャラも多い気がします。
個人的に、ボクサー周りの三人が少し使い捨てのように感じられて残念。
場面の切り替わりが多い故に場転で暗転しないのかなぁ。
この物語は、いっそそれこそ映画にしたほうが良くなるのでは…なんてと思ったりもしてしまいました。演劇ならではの良さをそこまで感じることが出来なかったです。

それと、これは私の知識不足でも有りますが、事前の予備知識が必要だなぁと…。
映画監督名だったり役者名だったり、既存の戯曲の内容だったり(今回は「ゴドーを待ちながら」とか)…。
知らなくても物語にはあまり差し支えないですが、ピンと来ないのはなんだか寂しいですね。観る側としても、もっと勉強します。

良かったところもありました。
特に、フロッグ(土屋兼久さん)と彼の父親(ガラかつとしさん)二人のシーンが三回位合ったのですが、そこは素晴らしかったです。グッと来ました。
☆2にしようかとも思ったのですが、ひとつは土屋さんに。
ちなみにマッデン(徳永健治さん)が個人的に凄く好き。

銃器はやっぱり素晴らしいです。
それと、蛍光灯のような照明などを使い、場面に合わせていろいろと使い分けていたのはとても好みです。
トンボイ!!

トンボイ!!

劇団ヘロヘロQカムパニー

シアターサンモール(東京都)

2014/03/13 (木) ~ 2014/03/18 (火)公演終了

満足度★★★★

初ヘロQさん。
上演時間二時間強、長さを感じさせない、上手く構成された舞台だったと思う。
初日ということで、多少のカタさ、セリフの噛みはあったけど、ベテラン俳優陣の渋い演技が良かった。

作品の話ではないが、前の観客が、頭をひっきりなしに左右に動かすので、視界が遮られて、見えない箇所が多々あった。私も無意識にそんなことをしていないか、自分の観劇マナーを省みようと思う。

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