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パンゲア【アンケート即日公開】

パンゲア【アンケート即日公開】

劇団バッコスの祭

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2014/05/15 (木) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

台詞が好き
台詞がとても綺麗だった。言い回しも好き。
個人的に感動する演出も多々あって見応えありました。

迷迷Q

迷迷Q

Q

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/04/24 (木) ~ 2014/05/01 (木)公演終了

満足度★★★★

タブーの陳列から命の理を導き出す戯曲
 こまばアゴラ劇場を通常の状態で使うプロセニアムの舞台で、床はコンクリートが露出した灰色、壁は黒色、ロフトの手すり等のパイプ部分は白色に塗られています。舞台下手には洗濯機、中央には閉ざされた箱型の部屋があって、部屋の中も屋根の上も演技スペースになります。

 ガーリーと言って差し支えない風貌の若い女優さんが4人登場し、可愛らしい仕草でギョっとするようなことを言い続けます。独白が多くてあまり会話劇にならないのは、人と人との交流が観たいと思うタイプの私には物足りなかったですが、演出意図だろうと思うので不満はありません。むしろ潔さが痛快なぐらいです。

 2013年2月に横浜で上演された『いのちのちQ』も、扱われる題材とその提示方法が衝撃的でした。観劇後しばらく経って冷静になってから整理してみるまで、私は重要なテーマに気づかなかったんです。『迷迷Q』もまた、観終わった時は「ヤバいものを観た!」という興奮でいっぱいいっぱいでした。こうやって文章にする段階でやっと、戯曲にあらわされていた意味をじっくり考えることができます。獣姦や異種交配は今までにも取り上げられていましたが、今回は人間について、命について、さらに踏み込んだ内容になっていると思いました。

 母を演じた吉田聡子さんは身体と声の力強さも生かしきって、いつもながらのド迫力でした。ただ、自分から発するものは大きくても、相手役や観客からはあまり受け取っていないように見えました。また、Qの公演でもマームとジプシーの公演でもあまり変化がないのはもったいない気がします。吉田さんであることに気づかないぐらいの演技も観てみたいです。
 犬のフランシーちゃんを演じた吉岡紗良さんは、大きな目を開きながら、相手役と観客に対して心も開いてコミュニケーションをされているように見えて、他の共演者とは少し違う存在感があり、私は好感を持ちました。

ネタバレBOX

 夫と犬のような性交をして子供をわんさか産んできた母は、11人分のごはんを作る毎日。公園では野良犬とともに野グソをして、犬にお尻を舐めさせて「(温かくて)温泉みた~い♪」と喜び、そして犬は母が落とした便を食べる。…強烈なエログロが混濁して、目も耳も覆うべきじゃないかと思うような場面ですが、若い女優さんが躊躇なく元気に語るので見入ってしまいます。飲食、排泄、性交、出産、死といった人間の原始的な営みを、動物、昆虫、魚等の生き物全般のそれと同列に陳列していくような、斬新奇抜な戯曲でした。

 娘の園子は上半身が人間で下半身が馬のケンタウルスに山で犯されましたが、ピルを常飲しているので妊娠することはありません。園子はケンタウルスを連れて帰って自分の部屋で飼い、他人を襲わないように自慰を教えたところ、ケンタウルスは自慰にふけって弱っていき、やがて死んでしまいました。ケンタウルスの精子で汚れた無数のティッシュは部屋中に転がり、薬のせいで妊娠しない園子の存在と相まって、人工的な不妊という不毛のイメージを形成します。それは気の向くままに性交して出産し続ける母とは対照的です。

 園子とケンタウルスは白米とタラコを食べていました。タラコを“孵化できなかった卵の集合体”だと考えると、それはティッシュに包まれて受精できなかった精子と同じですから、やはり不毛の象徴になります。そういえば、一度に10匹以上生まれる犬の赤ちゃんのことが話題にのぼりました。出産時に薄い粘膜に包まれている点ではタラコと似ていますが、子犬は育ってまた子犬を産む可能性がありますから、これもまた対照的です。タラコと精子を園子の世界、犬を母の世界だととらえると、ここにも知性重視の園子と、本能的に生きる母との違いがあらわれているように思いました。

 舞台中央に設置された箱の中は園子とケンタウルスが暮らす部屋で、「飼育小屋」と呼ばれていました。「飼育小屋」の中での演技は外から直接は見えません。ビデオカメラを通して部屋の外壁に大きく映写する方法で生中継されます。また、園子がほぼ初対面の若い女性たちとエスニック料理店で食事をする場面も映写されました。ナチュラル志向を気取る若い女性たちはやたら「素晴らしいわっ」と連呼し、上っ面ばかりで中身のない女子トークで盛り上がります(園子以外)。そして彼女らの中の1人のfacebookのタイムラインも壁いっぱいに写し出されました。グルメ写真や友人との幸せそうな集合写真で埋め尽くされたタイムラインからは、日常の空虚さがにじみ出ており、そこにもまた不毛な空気がありました。差しさわりのない関係しかつくらず、インターネットのSNSで見栄を張る若者の生活は味気ないです。他の場面と違って映像のみで表現されるのは、今どきの若者が埋没するネット世界の閉塞感を象徴しているように感じました。

 母は園子のお友達ののんちゃんが飼ってる犬のフランシーちゃんを誘拐してきて、自分専用のバター犬にしますが、やがて犬は夫に肛門を犯されて死んでしまいます。犬の遺体は母の手で料理され、から揚げになって一家の食卓へ。フランシーちゃんは居なくなったけど、園子たちの血肉になりました。そんなワイルドすぎる母が亡くなると、彼女のお葬式には子供や孫たちが大勢集まり、みんなが悲しんで泣きました。母は居なくなったけど、たくさんの子孫の心の中にくっきりと残っていたんですね。また母は、後産で出てくる自分の胎盤をお刺身にして子供たちと食べていたとも言っていました。つまり母は子供たちの心だけでなく、肉体にも残っていたのです。他人に迷惑をかけずひっそり生息する園子よりも、動物的な母の方が人間という種として幸せなのではないか…そんな思いがよぎりました。

 そういえば、フランシーちゃんの元飼い主ののんちゃんが引っ越す時に言っていました。「私はいなくなるけど、園子ちゃんの中にいる私のことをよろしくね」と。人間は生殖して自分のDNAを後世に残すだけでなく、出会った誰か・何かとかかわりを持つことで、自分の部分を相手の心身の中に残していきます。そう考えると、「話す/聞く」「作品を作る/鑑賞する」「食べる/食べられる」といった行為も、性交であり生殖であると解釈できるのではないか…。この舞台に散らばっていた無数の要素が一気につながったように感じました。

 ケンタウルスの死後、園子は大河ドラマを見ます。どうやら武将が登場するエピソードのようで、馬のいななきが聞こえました。ケンタウルスが数百年前の日本で駆け回る姿を想像し、現在と過去がつながりました。また、順序は違いますが、死んだ母と園子が語る場面もあったのです。想像は未来にもどんどん広がって、地球上の生態系や仏教的な生命のめぐりなど、壮大なイメージがつながって、ぐるりと円を描くような感覚が得られました

 開幕してすぐに床にポップコーンがまき散らされ、女優さんが拾って食べることがありました。犬のフランシーちゃん(誘拐後はハワイちゃんに改名)の肉で作ったから揚げも、舞台中央に1切れ転がっていました。それらは果たしてゴミなのか食べ物なのか、線引きができません。フランシーちゃんの体で繁殖するノミやダニの話もありました。寄生虫にとってはフランシーちゃんの体が世界の全てで、彼らはそこで生まれて死んでいきます。舞台の床の上と犬の体表で起こる食物連鎖を想像しました。

 人間と動物(の差異)をテーマにしている現代劇作家というと、すぐに思い浮かぶのは飴屋法水さんと平田オリザさんです(平田さんは人間とアンドロイドへと移っていますが)。また、人肉食は野田秀樹さんが長年取り扱われているテーマです。作・演出の市原さんは若くして、その両方をさらりと俎上に載せているのです。将来どういう方向に進まれるのか私には見当が付きませんが、見逃せない劇作家であることは間違いないと思います。

 前述しましたが、このお芝居はほぼ独白ばかりで構成されていました。ほんの少しの会話があったとしても、俳優同士の生々しい意見の対立やドキドキするような心の交流は、全くと言っていいほどありませんでした。市原さんがそんなものは求めていないからだと思います。でも私はそこが観たいと思う観客なので、いつかそういう方向性も選択肢の1つに加えていただけたらなぁと、小さな野心を表明しておきます。

 ※引用したセリフは正確ではありません。
しゃっふる

しゃっふる

ソラリネ。

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/05/20 (火) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

しゃっふ
『羨望と嫉妬は友情のスパイス』『世界で一番曖昧な存在は自分』観て来ました♪順番は羨望→曖昧。演出が両チーム面白かったなぁ。はーとは一度で二度美味しい演出でだいやは照明を上手く使って表現しているのが好き。

ネタバレBOX

はーとは正に番外公演の本領発揮といったところかな?非常に分かりやすい演出だったと思います。オープニングで部活動のミーティングと言う人間関係を観せ、本編内で周りが主人公に人間関係の本音を語っていて、エンディングでまたオープニングを観せる。なのでミーティング時の先輩への言葉使いや後輩への思いやりの言葉、それにスルーしていた事の裏でそんな事思ってたのか!と初めに観た時と印象が変わって面白かったです。一番好きなのは主人公の印象と部長の言葉、主人公は地味、確かに地味だったのでそれがこの演出にはとてもマッチしていたと思います。
だいやは狂気ってのがぴったりだったなぁ。それと存在って自分で認識している所と他人から認識されている所があってどちらかが変わると軋轢や摩擦になるのかなぁ?ちょっと俺には難しかったです(汗
タカナシ家、明日は晴れ

タカナシ家、明日は晴れ

Gフォース

Gフォース アトリエ(東京都)

2014/05/18 (日) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

ほのぼの
ほのぼのした大変面白い舞台でした。
忘れかけてた何かを思い出させてくれる作品です。

55Av(Fifty-Fifth Avenue)の戦慄

55Av(Fifty-Fifth Avenue)の戦慄

メガバックスコレクション

ART THEATER かもめ座(東京都)

2014/05/17 (土) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★

面白かった!
トンネル崩落事故現場に見立てた舞台セットは見事だった。薄暗いから細部までは見えないが、劇団員総出の作業だったと上演後に聞いた(鈴木優美サン)。
さて、本題だが、なぜ主人公がその現場まで連れてこられたのか、そして本人がその理由を知るまでに相当の歳月を要したのか?そのプロローグ、エピローグがわかり難い。よく用いられるシチュエーションであるが、キャスト数からすれば違和感ない描き方だと思う。しかし、極限状態に陥った場合の演出…経験していないから難しいとは思うが、もう少し狂気を強調してほしかった。「正・邪」「善・悪」という短絡的な表現は面白みを半減させるだろう。だが本公演では、あえてメリハリを付けて感情移入をさせてほしかった。それによって、タイトルにある「戦慄」が倍加したに違いないと思う。
公演全体としては見応えあったが、密閉空間での緊張・緊迫感に緩みが見えたのは残念だった。

人狼の王子様☆2nd season

人狼の王子様☆2nd season

GFA

上野ストアハウス(東京都)

2014/04/29 (火) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★

人狼舞台初体験
好きな俳優さんが出ていたので行きました。人狼舞台初体験で、そもそも意味が分かるのか不安でしたが、観客には配役を明かした練習編もあり、たのしく参加することができました(本番では客も配役を予想するなどゲームに参加する面があります)。

一応、大帝の屋敷に招かれた王子たちとかなんとか物語とか設定があり、俳優さんたちもいくつか演技はしますが、人狼ゲーム中は素に近い部分でわちゃわちゃとなんかやってるという感じなので、演劇作品として見るのはしんどい気がします。好きな俳優が出ていれば全然楽しめます。2回見ました。

わたしを離さないで

わたしを離さないで

ホリプロ

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2014/04/29 (火) ~ 2014/05/15 (木)公演終了

満足度★★★

4時間でも飽きませんでした
原作未読でしたが映画も好評らしいのではじめてさいたま芸術劇場行きました。素敵な劇場でした。

3幕4時間で長いなと思ったけど実際みている分には全く退屈な部分はありませんでした。

1幕は学園モノ、2幕は三角関係、3幕で核心部が明かされ、政治的なテーマが現れます。それはとても残酷な現実であり、1幕2幕でくどくどと当事者の「実存」を描いてきた分だけその残酷さは際立ちます。

SF作品ですが、現実にも存在する不条理に重ねあわせて考えてみるような政治性があるように感じました。が、その一方、残酷でかなしい核心に向けて構築された箱庭という印象もあり、なんだか醒めてしまう気持ちもありました。これが原作に起因するのか、演出のためかはわかりません。

ネタバレBOX

海辺でもないのに放置されている船が登場したり、また海岸の堤防と思われるシーンでは本物の水しぶきを使ったりと、海・水へのこだわりがあり、これは3年前の津波への言及なのかとか思いましたが、よくわかりませんでした。
紙風船文様5

紙風船文様5

カトリ企画UR

あさくさ劇亭(東京都)

2014/05/15 (木) ~ 2014/05/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鎌田さん回
入場すると舞台には便器だけが。トイレの室内で「紙風船」をやるのだろうかとか、開演までの時間も期待がふくらみました。(以下ねたばれBOXへ)

ネタバレBOX

「便器に指輪を落としたから取ろうとしたら腕が抜けなくなった。抜くのを手伝ってほしい」と言う妻と、それを信じず、手伝いもしないが、完全に放置するわけではない夫との会話劇として進行します。

途中「そうやって嘘のディテールを積み重ねるのはやめろ」とか、昨年暮れに同じあさくさ劇亭であった「ホテル・アムール」を思い出すような場面があり、そういえば「ホテル・アムール」自体が「紙風船」ぽいのかも?? などと思いながら見てました。そして同時に、ナカゴーの作品でよくある、いきなり怨霊が出てくるみたいな唐突な飛躍も、岸田戯曲の電車に乗って旅する場面みたいなものだったのか、とかそういう気づきも。

いずれにせよ、ぱっと見ではかなり違うことをやっているようで、しっかりと「紙風船」なのだな、と思えるようにはできていておもしろかったです。

さらに、演出の中でメタな要素がいくつかあり、それもいろいろ考えさせるような、考えさせること自体を粉砕するような感じでした。例えば、戯曲では最後の最後に決め手となる小道具である紙風船が、かなり序盤にものすごく唐突に出てきて、夫によってあっという間に叩き割られます。これだけなら、戯曲での紙風船を使った物語の落とし方を拒否したのだ、とかいろいろ言えそうですが、さらに時間が過ぎた後に、夫が「あれ、ここで紙風船割るんだっけ? 段取りまちがえたか?」みたいな独り言を唐突に言う場面もあり、「紙風船」をめぐる議論が「段取りまちがえた」でひっくり返されて、全く別の地平でやってるんだ、みたいなことにも思えて興奮しました。最後の着地点も異常にあっさりしていて「え?」みたいな。
「エッちゃん愛してる」 公演終了。ありがとうございました!

「エッちゃん愛してる」 公演終了。ありがとうございました!

Sky Theater PROJECT

劇場MOMO(東京都)

2014/05/20 (火) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★

シナリオ、演出に徹底性が欲しい
 フライヤーに惹かれて観に行った。エッちゃん役の女優さんが、普通の女の子の恋を好演している。

ネタバレBOX

 シナリオにそんなに新味があるわけでもない。内容的に時代に切り込むような問題意識があるわけでも無い。そういう作品を演じて、尚且つ残って行く為には、余程、しっかり作り込むか、良い演技で観客に食い込むか以外には難しかろう。キャスティングに関しては、良く探したな、との思いを持ったが、2日目で、オープニングの演技はちょっと気になった。10分程で持ち直したものの、芝居を見慣れていて超のつく程忙しい人間なら、ファーストシーンで帰る。エッちゃん役の主演女優の出て来た辺りから俄然、良くなったものの、それ迄は、死神も何であんなファッションをする必要があるのか、余り必然性を感じないのは、喜劇というコンセプトに徹底しているわけでもなく、コテコテのメロドラマに徹しているでもなく、シリアスに徹しているでもないことへの意識化が足りないせいだと思う。それは、脚本を書いた作家にも、また、それを指摘してはいないであろう演出家にも言える甘さである。出鼻のつまずきを除けば、役者の力不足ではないと思う。
 どんなに遅くてもゲネで、出だしの、余りに不自然な演技は是正しておくべきであろう。また、鍬次郎の作り方であるが、老人役で出て来た時のあの鬘はないだろう。春子が妊娠している状態で酒を飲ませない判断を的確にする彼は、中々鋭い判断力を持つ。従って、老いても不良をやっている彼は、世間を馬鹿にする程度の知性と知恵を兼ね備えていると見るべきだろう。そんな男が、あんな馬鹿げたヘアスタイルをするとは信じがたい。更に、隈取りのような化粧も余りにあざとく白けさせるだけである。リーフレットには日常のドラマを丁寧に描きたいと記されているが、丁寧に描くとは、このようなことではあるまい。羽生 えつこを演じた白鈴 ももかが、全般的に普通のちょっと可愛い女の子を演じて自然であった。えくぼが出るのも、可愛らしさ、親しみやすさ、愛らしさを示してグー。
【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】

【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】

ロ字ック

サンモールスタジオ(東京都)

2014/05/14 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

小野寺ずるの神演技が光る傑作!
客演陣では堂本佳世さんとレベッカさんがとりわけ魅力的。2人の演じるキャラクターとヒロインとの皮肉な巡り合わせをこの上ない生々しさで描き出し、ハンパない切迫感で観る者を圧倒する凄まじい舞台でした。
胸に痛い青春の劇としても、一種の心理ホラー作品としても出色の出来映え!!


それにしても小野寺ずるさんは凄い。
観に来てくれた知り合いと終演後にしゃべっている姿なんかを見ると、気さくで明るい普通の娘さんなのに、舞台に立つと神がかる。
もし小劇場界にそういうものがあるのなら、今作での演技は本年度主演女優賞モノ。
役が憑依したようなリアル度120%の演技に震撼させられた。。。

ネタバレBOX

ずるさんってどれだけ芸域が広いのか?
前作で篠原ともえを彷彿させる陽気な天然少女を演じたかと思ったら、今作では真逆のイメージの自閉的マンガヲタ少女を怪演。

今作は、このずるさんをはじめとする女優勢の優れた演技が、ただでさえ深みのある物語にさらなる奥行きを与えていた印象。

小野寺ずる扮するクラスの日陰者・ショーコと共作マンガを手がけるモジャ髪のヲタ少女・百瀬を演じた山田佳奈さんも、演じ手が山田さんだと終演後に配役表を見てようやく気づいたくらい役になりきっていたし、大森茉莉子さんの悪女役もとても板についていた。

そして何より、堂本佳世さんとレベッカさん。
いじめられっ子のショーコに優しく接する担任・水野先生役に癒し系のムードあふれる堂本さんはぴったり。
心身の不調から体育をサボったショーコに堂本さん扮する担任教師が菩薩さながらの慈悲深い笑みを浮かべて話しかけるくだりは本作一の名シーン。
そんな優しい先生が痴情沙汰に巻き込まれて水死させられる羽目に陥るなんて悲しすぎます。。。
レベッカさんは、クラス一かわいくて華やかな反面、家庭環境からくる影を隠しきれない女生徒役を妙演。
宗教狂いのイカれた母に虐待されている彼女が「神様なんていない!」と世を呪うショーコにシンパシーを感じてお近づきになろうとするくだりはレベッカさんの迫真の演技が生きて、並々ならぬ説得力がありました。
このレベッカさん扮するシオリが、ショーコにとって光であるシオリが、母と愛人二人に監禁されたすえ殺されたと判った時の戦慄たるやありませんでした。。。

長じて母校の教師となった10数年後のショーコを演じた円山チカさんの演技も秀抜。
殺された水野先生に己の境遇が似てきていることに気づき、戦々兢々とする女教師をじつに生々しく演じていました。
【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】

【無事終演しました】荒川、神キラーチューン【ご来場ありがとうございました!】

ロ字ック

サンモールスタジオ(東京都)

2014/05/14 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

古傷
始めから、ハイテンションの女の子達の会話。芝居というよりリアルな騒がしさ。そして、早口の台詞の乱舞!!下手から上手奥へとぐるぐる走り回る。なんという騒がしさ。そして小野寺ずるさんの身を振り絞った歌。始めから捕まった気がした。わいわい意味もなく騒いでいる女の子たち、ただ一人が怖くて同化する事にしがみついている。自分が言いたいことを飲み込み、自分の大事なものを否定されても、反論ひとついえずに、意味のない力関係に従っている。繋がっているようで、繋がっていない会話。適当のようで、適当に出来ない会話、こういうのが上手い!!誰もが感じる古傷、それに粗塩を塗りこむような
痛みのある舞台だった。いくつもの嘘の中にひとつだけ紛れている真実、知られたくないこと、自分でも忘れてしまいたいこと、だけど誰かに知って欲しいこと。ひとつの自己防衛。この辺りの見せ方も痛く身に迫った。

ずっと忘れない

ずっと忘れない

アンティークス

OFF OFFシアター(東京都)

2014/05/21 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

今回は
徹底的にあっち方面でした。

ネタバレBOX

大切な人に見守られていると思うことはいいことだと思います。ただし、トイレには付いて来ないでねということで。

ジーンと来る場面もありましたが、おぼんが宙を動いたり、幽霊が幽霊と名乗っていましたので、これは間違いなく私の嫌いな幽霊物でした。せめて幽霊本人が幽霊と名乗らず、妄想あるいは夢の中の出来事とも解釈できるような作りであったならと思いました。

妄想や夢は見る人のブドウ糖、エネルギーによってあたかも存在するかのように知覚しますが、幽霊には質量もエネルギーもなく、自ら存在したり動くことはあり得ません。私はインチキ占い師やインチキ宗教を利することに繋がる恐れのある幽霊の存在を肯定するかのような発想が嫌いです。

見えないものが見えたら病気で、見えないのに見えると言ったら詐欺です。図書館のシーンなどは本当に困ってしまいます。若年性アルツハイマー症の男性とその恋人をそれこそ見守る心優しいますみですが、妄想癖が強過ぎるとなると心理カウンセラー廃業の危機です。

ところで、お父さんが見守っていたのはますみ一人ではありませんでした。本当の目的を思い出し、そしてますみの懇願を受けて取り止めにしましたが、あっちに帰ってから処罰の対象にされたかもしれませんね。それはそれで心配です。
A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

三重県文化会館

三重県文化会館(三重県)

2014/05/10 (土) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★

百景社「斜陽」観ました
 A.C.O.A 「ジョン・シルバー」からの連続上演。
 こういう、渋い劇団をまとめて受け入れる三重県文の姿勢が男前。


 終始背景に投影されているカウントの、ラストにやられた…あんなパラダイムシフトが起きるとは!事前予想への大ドンデン返し。

 役者が全員、身体のキレがいい。きれいに動きつつ、瞬時にオブジェ。


 百景社のお家芸(借景、ポップソング、水)オンパレード。
 こういう、公共ホールが敬遠しそうなものを受け入れる三重県文、男前。

 笑えて悲しくなり、しかもどんなに追いつめられても消える事のない、人間の飽くなき生命力を見せてくれる。
 太宰治の原作を読んだ知人によると、小説の方がもっとえげつないとのこと(笑)


 こういう演目を、地域にいながら体験させてくれる三重県文の男前ぶりが光る公演でした。(←結局、三重県文の感想になってる)

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」×百景社「斜陽」

三重県文化会館

三重県文化会館(三重県)

2014/05/10 (土) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★

A.C.O.A.「ジョン・シルバー」観ました。
 昨年の「スピリッツ・オブ・~」を見逃したので楽しみにしていました。
 今回は、百景社「斜陽」との連続上演、舞台セットも共通。


 これは演劇なのか?なにが何だか訳が分からないけど、面白い。唐十郎の戯曲を読みたくなった。
 様々な身体のおもちゃ箱。観客席にまではみ出す出演者たち。


 東京デスロックではいじられ役の夏目慎也さん(なんと地元の隣町出身w)が、一番重要な役で、すごく立派な大黒柱。こんなにうまい人なんだなあ。
 
 セットのあちこちに点在する生演奏のバンドも、役者と共に弾けていい役者っぷり。


 三重県文の広い空間が似合う、妙にウキウキ楽しいアングラミュージカルでした。

婆VS女子高生

婆VS女子高生

月刊「根本宗子」

BAR 夢(東京都)

2014/05/03 (土) ~ 2014/05/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

BAR公演なんて…
BAR公演なんてつまらないじゃないの?と、思っていたけれど…
この作品はちょっと違ってました。
根本さんの作品は2回目なのですが、いつもタイトルが引き付けられます。
今回も何?ってタイトルですし。
まあ、その通りなのですがね。
BARで婆と女子高生のドタバタ劇、簡単に書いたらこんな感じで。
40分と短い作品ですが、役者の個性的な演技で楽しめました。
特に長井短さんの演技は凄かった!
台詞も噛まないし、テンション凄いし、良い役者さんです。
それと、劇中のカラオケの選曲も年代幅広く良かったし、客入時の音楽もスナック的でマッチしてましたね。
次回作も楽しみです。

キミノテノヒラ

キミノテノヒラ

虹の素

相鉄本多劇場(神奈川県)

2014/05/21 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

姫川風子さんは必見です!
初日観て感動しました!
LIVEアイドルユニット「ジュネス☆プリンセス」の姫川風子さん演じる
菜奈美(軽音部のボーカルで居酒屋の娘)は必見。
ストーリーの本題から離れて、姫川さんの天真爛漫な熱演ぶりに
惹かれました。高校生にして本当に将来が楽しみな女優さんです。

本題では、自分的には日ごろ忘れがちな身近な人への思いやりを
あらためて深く考えさせられました。。。夫として、長男として。。。

短いシーンの積み重ねで約2時間の舞台はとても見応えがあります。
役者陣は言うまでもなく、脚本演出・音楽・セット・照明etc…すべてに
お客さんの心をジーンと温かくしてくれるセンスの良さが光っていました!!

『ただいま会見中』

『ただいま会見中』

ダブルエッジ

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2014/05/20 (火) ~ 2014/05/23 (金)公演終了

満足度★★★★★

無題1112(14-151)
20:00の回(曇、風強い)。19:23受付、19:25開場。入って右が舞台、会議室テーブルが2つ繋げてあり、右端には「禁煙」のプレート。そうです、よくある会見用の質素な設定。

客席は最前列にミニ椅子が横幅いっぱいに、その後ろ3列は普通のパイプ椅子、満席。

19:53前説(70分)、20:00開演~21:08終演。

冴えない週刊誌記者が若手デザイナーの会見に絡んでくるドタバタ劇。最近話題になった「会見」のパロディ(笑う!!)、持ちつ持たれつの二人の関係がとても明るく楽しく描かれています。

こちらは初めてで、役者さんおふたりも初めて(好感度高い)。ふと観ようと思って前日深夜に予約メールを送ったら、日にち変わって45分後に返信が届きました。

『銀色テンポラルの中で鳴く』『Make it futten』

『銀色テンポラルの中で鳴く』『Make it futten』

Crackersboat

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/05/21 (水) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

2本立て
上演時間110分、休憩1回。1つめは女性5人の出演で、おなじみの力みのとれた作品。2つめはKENTARO!!ソロで、心の奥にあるものに触れるような作品。

「エッちゃん愛してる」 公演終了。ありがとうございました!

「エッちゃん愛してる」 公演終了。ありがとうございました!

Sky Theater PROJECT

劇場MOMO(東京都)

2014/05/20 (火) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

好みのSFものと思ったです
上手に学生時代のターニングポイントとなる日のドタバタを結構巧みに描けていたが、
いまいち細かさが後ひとつという感ありました。
でもとっても愉しめた1時間45分(^^)

”作品の雰囲気は梶尾真治さんの優しいSFものに近しい気がしました”
(自分が好きな「クロノスジョウンター」ものみたいな感じっす)
(コメディ色が強いのも気に入ってます)

ネタバレBOX

学生会館で学生が何をしてるかもう少し詳しく説明すべきでしたね~

死神のオチの選択を臭わす台詞とか設定を先に混ぜるべきかな

スマホの使い方の細かさが後ひとつって感じです
(オチで再生される動画の必然性を上手に織り込んで欲しかった。
でも使い方は上手だった)

バックパッカー君の身長と存在感+喋り方はユニークで必見っした(^^)

過去と現在のWキャストは「コールドケース」みたいで楽しめた

女性陣の逞しさとか性格などが結構自分的にツボでありました(^^)
お願いだから殴らないで

お願いだから殴らないで

MacGuffins

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/05/20 (火) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

愛情
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。90分。

ネタバレBOX

退職金2000万を強奪された譲治(水越健)は、バラバラになった家族の幸せを取り戻そうと、野口(遠藤昌宏)の誘いに乗り、タイジン(たたいてかぶってじゃんけんぽん)の企画に参加する。顔出しはまずいので、マスクを被り愛情仮面と名乗り、後が無い人生から抜け出すべく戦いを決意する。真面目に生きることしかない譲治の唯一の特技である誰にも負けないじゃんけん能力でトーナメントを勝ち進むが、準決勝で面倒見の良い猿渡(有村優太)と対戦することになる。いままでピコピコハンマーだった武器がナイフに変わり苦悩する譲治は、あいこで時間を稼ぎ、ナイフの柄で猿渡を撃破する。やっぱり不遇な人生を歩んできた企画参加者のサユ(山中沙織)の据え膳も喰わず決勝に臨むが、武器が拳銃に変わることとなる。そして息子の直樹(桜井翼)が対戦相手として目の前に現れる…。
常勝の譲治は一発目で負け、直樹が銃を譲治に突きつけると、後日談のようなシーンに変わり、幸せを取り戻した家族の姿があわられる。実際は、譲治は、妻・今日子(金魚)に抱かれヒーローとして死んでいた…という展開。

話の展開自体は好み。中盤からどんどん面白くなった。マスクな譲治の姿がどんどんかっこよく見えたとも言える。

金が無くなったことでの家族の崩壊と復元への希望、そして終焉という箇所で厚く描写してもらったら更に良かったかな。譲治が(家族にとっての)ヒーローとしてよりグッとくるラストシーンになったと思う。譲治の作文が直樹との戦いで流れるが、唐突といえば唐突かなと。全編通して家族の中の譲治という位置づけをハッキリさせてもらったほうが好みだった(今日子との回想もそうだし直樹との繋がりとかも濃い目で)。なんとなく、金が原因で人生破綻しそうな「男」というように見てしまってた。

とはいえ、家族のためであっても命を捨てる行為がヒーローなのかという正論もでそうだけど、劇中であった「正論は控えめに言え」という風情で良いかなと思う。

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