紙風船文様5 公演情報 カトリ企画UR「紙風船文様5」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鎌田さん回
    入場すると舞台には便器だけが。トイレの室内で「紙風船」をやるのだろうかとか、開演までの時間も期待がふくらみました。(以下ねたばれBOXへ)

    ネタバレBOX

    「便器に指輪を落としたから取ろうとしたら腕が抜けなくなった。抜くのを手伝ってほしい」と言う妻と、それを信じず、手伝いもしないが、完全に放置するわけではない夫との会話劇として進行します。

    途中「そうやって嘘のディテールを積み重ねるのはやめろ」とか、昨年暮れに同じあさくさ劇亭であった「ホテル・アムール」を思い出すような場面があり、そういえば「ホテル・アムール」自体が「紙風船」ぽいのかも?? などと思いながら見てました。そして同時に、ナカゴーの作品でよくある、いきなり怨霊が出てくるみたいな唐突な飛躍も、岸田戯曲の電車に乗って旅する場面みたいなものだったのか、とかそういう気づきも。

    いずれにせよ、ぱっと見ではかなり違うことをやっているようで、しっかりと「紙風船」なのだな、と思えるようにはできていておもしろかったです。

    さらに、演出の中でメタな要素がいくつかあり、それもいろいろ考えさせるような、考えさせること自体を粉砕するような感じでした。例えば、戯曲では最後の最後に決め手となる小道具である紙風船が、かなり序盤にものすごく唐突に出てきて、夫によってあっという間に叩き割られます。これだけなら、戯曲での紙風船を使った物語の落とし方を拒否したのだ、とかいろいろ言えそうですが、さらに時間が過ぎた後に、夫が「あれ、ここで紙風船割るんだっけ? 段取りまちがえたか?」みたいな独り言を唐突に言う場面もあり、「紙風船」をめぐる議論が「段取りまちがえた」でひっくり返されて、全く別の地平でやってるんだ、みたいなことにも思えて興奮しました。最後の着地点も異常にあっさりしていて「え?」みたいな。

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    2014/05/22 15:23

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