満足度★★★★
タブーの陳列から命の理を導き出す戯曲
こまばアゴラ劇場を通常の状態で使うプロセニアムの舞台で、床はコンクリートが露出した灰色、壁は黒色、ロフトの手すり等のパイプ部分は白色に塗られています。舞台下手には洗濯機、中央には閉ざされた箱型の部屋があって、部屋の中も屋根の上も演技スペースになります。
ガーリーと言って差し支えない風貌の若い女優さんが4人登場し、可愛らしい仕草でギョっとするようなことを言い続けます。独白が多くてあまり会話劇にならないのは、人と人との交流が観たいと思うタイプの私には物足りなかったですが、演出意図だろうと思うので不満はありません。むしろ潔さが痛快なぐらいです。
2013年2月に横浜で上演された『いのちのちQ』も、扱われる題材とその提示方法が衝撃的でした。観劇後しばらく経って冷静になってから整理してみるまで、私は重要なテーマに気づかなかったんです。『迷迷Q』もまた、観終わった時は「ヤバいものを観た!」という興奮でいっぱいいっぱいでした。こうやって文章にする段階でやっと、戯曲にあらわされていた意味をじっくり考えることができます。獣姦や異種交配は今までにも取り上げられていましたが、今回は人間について、命について、さらに踏み込んだ内容になっていると思いました。
母を演じた吉田聡子さんは身体と声の力強さも生かしきって、いつもながらのド迫力でした。ただ、自分から発するものは大きくても、相手役や観客からはあまり受け取っていないように見えました。また、Qの公演でもマームとジプシーの公演でもあまり変化がないのはもったいない気がします。吉田さんであることに気づかないぐらいの演技も観てみたいです。
犬のフランシーちゃんを演じた吉岡紗良さんは、大きな目を開きながら、相手役と観客に対して心も開いてコミュニケーションをされているように見えて、他の共演者とは少し違う存在感があり、私は好感を持ちました。