最新の観てきた!クチコミ一覧

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∞人姉妹/夜を泳ぐ

∞人姉妹/夜を泳ぐ

アムリタ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/10/11 (土) ~ 2025/10/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

超オススメ!!!素晴らしかった...(なんで、こうあってしまったんだろうという)こんな世界で日々で日常で、個として群れとして疲弊、絶望を重ねる人間の心身/内面を優しく掬って見せてもらいながら“それでも”という。例えば思想信条主義主張等の折り合う事が困難な対立が深刻な正に今、今日、明日、いずれに立っていてもこちらを観てみたらいいなって思った。とても慈しみあるやさしくパキっとした真摯な演劇。役者御三方素晴らしい。素晴らしい演劇の素晴らしい人達。身を委ねてた。そして、ふわぁっと拡がり巡る、そういう演劇が大好きだなぁ。

幸せになるために

幸せになるために

“STRAYDOG”

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/10/09 (木) ~ 2025/10/13 (月)公演終了

実演鑑賞

二度目のSTRAYDOG。毎回公演の案内を見るに予想がつかないこれも一つ。ただ想像の範疇は一度目に見た「俳優たち」の空気感、年齢層が20代~30代という所(ベテラン勢も若干数は居るのだろうけれど)から来る芝居の質感も固有のそれで、父役と子役を同じ年代のキャストがやるものだから、とりわけ今回のような群像劇は最初は混沌として見える。
だがそんな「見えにくさ」はやがて溶解し、ドラマがなだれ込んで来る。
メタ性を遊ぶ感覚(客への意識の顕在化)で軽やかさを出しながら、今作が取り上げるシビアな題材に直裁に語らせるという事がある。少なからず驚かされた。
観始めて「おや?」と見ると鳥居みゆきであった。異質な存在も包摂して成り立っている芝居。ドキュメントとフィクションの狭間で後者の強い作風にもかかわらず、強烈に芝居に突入してくるドキュメントも包摂される。後日ネタバレ含め追記。

ネタバレBOX

日航機墜落事件(1985年)を扱った舞台として思い出すのはNODAMAP「フェイクスピア」(シェイクスピア四大悲劇やイタコと絡めて最後の最後にこの事件がジャンボジェット機の機首が突如顕われるかのように顕われ仰天、震撼となったものである)。公演概要も読まずに観劇に及んだが、「あの事件」を描いた作品である事は序盤で説明され、回帰的に乗客それぞれの前日譚を描く形になっている。つまりはNODAMAPとは真逆のネタバレ先行だが、歴史事実と向き合う正当な順序ではあり、オーソドックスなドラマの構成でもある。冒頭そして最後を客室乗務員役として引受ける客演・鳥居みゆきが独特な演技だが不思議な存在感。そして本編の大部分は坂本九をモデルとした一家を含む五組の乗客家族の「死へと向う」それぞれの人生模様と日常であるが、事故を挟んだ「その後」の姿、証言もある。また予期せぬ要素として、一部で囁かれている救助を遅らせた真の原因=墜落原因は米軍機との接触でありその隠蔽のために時間を要したとの疑惑を取り上げ、語らせる。
時間を戻して5家族の群像・・九ちゃん一家は音楽畑の妻と娘。父母を離れて初めて三姉妹そろっての大阪旅行、細部は忘れたが家族思いの父を送り出す妻と長男とその妹、老父母が送り出した娘、そして別れた夫も同意で息子を一人で大阪行きの飛行機へ乗せた母(鳥居)。日航123号がついに飛び立つ。機体後部で激突音がする。事態が急を告げ、RED THEATERの縦二列の通路を客室乗務員が右往左往し、劇場全体が緊迫の空気に飲まれる。既に人物たちに共鳴している心がその現場へと同道させる。カウントダウン、地上激突の瞬間(閃光と衝撃音)、そして救助場面へとなだれ込む。その前段に救助に当った自衛隊員の、今まさにヘリから降り立った時点を描写する語り=証言がある。バラバラに散った肉片を見た救助隊員らの衝撃を迷彩服の男らが限界ギリギリの声量と速さで伝える。戦場や災害で衝撃的場面に遭遇した人間は反射的な落涙を経験するというその衝撃を、隊員らは言語化して伝え、観客はそれに共振して落涙に誘われる。作者なりの描写であるが前半思いも寄らない40年前実際にあった修羅場が再現される。
炭と化した遺体(従って誰のものかも判らない)と対面する遺族の証言と場面から、遺族同士の励まし合う場面、娘らが帰って来る日を待って40年を過ごした(乗り切った)という主婦が、飲酒依存となった姿も。だがドラマは収束して行く。亡くなった娘らが母に言う「帰って来るわけないじゃん。」けど「ずっと傍に居るよ」。五組の家族は一組、また一組死者と出会い、去って行く。最後に残った鳥居の前にも、やがて息子が現われる。人生の意味への問いに直面するのは必ずしも不条理な事故の経験者に限らず、不条理が日常化している人々が今この時にも生きている。その人たちとの共鳴、あるいは連帯というものを予感させる感動を紡いだ所に脚本家森岡氏の骨を見たような。
出演者多数であったが、場面転換に付随する衣裳の早替え(客室乗務員の制服へ、また迷彩服へ)も中々のもの。歌唱レベルも高く興醒めさせる事がなかった。
ジャンク・チャック・ハック

ジャンク・チャック・ハック

劇団身体ゲンゴロウ

千本桜ホール(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

私の「観たい!」はどうしてくれるんだー!!と思いましたが面白かったです。
多分脚本の迷いが舞台の迷いそのものなのではなかろうかと・・・

映画と舞台の1番の違いは料金ですね。なので、なかなか人を誘えません。

ネタバレBOX

フック船長の鉤爪、誰が回収するんだろうと気になってしまいました(笑)
223番のはなし 東京公演

223番のはなし 東京公演

劇団芝居屋かいとうらんま

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!(追記予定)

ネタバレBOX

男が迷い込んだのは河童の住む村だったんですね。
砂時計が落ちきる前に

砂時計が落ちきる前に

ポップンマッシュルームチキン野郎

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2025/10/09 (木) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/10/11 (土) 13:00

ポップンらしいタイムループファンタジーにほろりとさせるエピソードを絡め、
時に思い切り振り切れてぶっ飛ばす。
このメリハリと両極端が両立するのがポップンの素晴らしいところ。
NPO法人さん、頑張ったなあ!野口オリジナルさんも老け役頑張ったなあ!

ネタバレBOX

とある老人ホームが舞台。
入居者はみな個性あふれる人々だが、スタッフも負けず劣らず個性あふれまくり。
妻に先立たれて入居した影山一郎(野口オリジナル)は、なかなか周囲となじめずにいる。
時折訪ねてくる娘といつも喧嘩になっては婿が間に入ってなだめる、というパターンの繰り返し。
だがある日一郎は、昨日と同じことが今日も繰り返されている“タイムループ”に陥っていることに気づきパニックになる。
そんな彼の話を信じてくれたのは、SF好きの婿(辻響平)とホームのお調子者ドライバー(井上ほたてひも)だった。
婿の「誰かの、思いを遂げられない気持ちが残っていて、それが引き起こしているんじゃないか」という言葉に、3人はその“思い”を叶えて、タイムループから脱しようとする…。

“年寄りもの”はポップンの鉄板ジャンルだが、今回はまた強烈な爺さんたちが楽しかった。
“元大工で踊る(?!)”蓮台寺さん(岡野康弘)や“栗を拾って足で剥く”刈羽さん(今井孝祐)、
“上からゴージャス”な感じの赤城さん(増田赤カブト)と、バリエーション豊か。
タイムループから抜け出すために、初めて周囲の人とかかわらざるを得なくなった一郎が、
次第にほかの入居者と言葉を交わし、仲良くなって、態度が柔らかくなっていく様がほのぼのと描かれる。
ラストの怒涛のハッピーエンドがまた楽しくて、さっきまでじわっと涙が沸いていたのが吹っ飛ぶ感じ。

この泣いたり笑ったり手拍子したりがポップンなんだなあ!
老人たちとスタッフのやり取りがおかしい、それに婿のオタクっぷりも面白くて随所に笑いあり。
井上ほたてひもさん、今やポップンの重鎮なのにそれを感じさせない天然ぶりが(素なのか?)と思わせてほんと素敵。

終演後外へ出た時、昔このステージカフェ下北沢亭へポップンを観に来て、開演前に下で吹原さんとお会いして短いことばを交わしたことを思い出した。
長編でも短編でもいい、もっと毒ッ気があってもいいし、振れ幅大きく泣かせて笑わせてナンセンスでもいい。
NPO法人流ポップンテイストがこれからどんな進化を遂げてくれるのか、楽しみにしています。
で、二代目、次の公演はいつ頃でしょうか?(^^♪

白貝

白貝

やみ・あがりシアター

浅草九劇(東京都)

2025/10/08 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

謎解きのようなもので、かなり入り乱れた感じで類似の場面が何度も繰り返されながら少しずつストーリーが進んでいくが、設定が少々馬鹿げていても面白いし笑わされる。俳優たちは若く溌剌とした演技を見せてくれる。

ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル

ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル

ワンアクト・ミュージカル・フェス実行委員会

シアター風姿花伝(東京都)

2025/10/09 (木) ~ 2025/10/20 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「バディもの感のある『ロミオとジュリエット』」

 小劇場で日本語の新しいミュージカルを上演する「ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル」の企画でDAWN PROJECT「ロミオ アンド ジュリエット アット ドーン!」を鑑賞した。翻案・脚本・作詞はオノマリコ、演出と振付は小林真梨恵、音楽は後藤浩明である。

ネタバレBOX

 タイトルからわかる通りシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きにしているが、ロミオ(工藤広夢)をカミングアウトできないゲイ男性、ジュリエット(松尾音音)をレズビアンよりのクエスチョニング女性と設定し、二人の邂逅を恋愛ではなく友情に近しいものとして描いたことが本作の大きな特徴である。ここにバイセクシャルでロミオを誘惑し次第に陥れようとするマキューシオ(藤原章寛)や、娘のジュリエットを操り人形のように見ているキャピュレット王(植野葉子)という人間関係を織り込み、SNS社会で噂が噂を呼び次第に若い男女が追い詰められていく過程を歌と音楽で自在に紡いでいた。

 出演者は皆達者で見どころも多かったが、やはり主演二人のベランダの二重唱の場面が特に印象に残った。行場のない二人がお互いの一番の理解者を見つけたかのような前向きな感覚が、これまでの「ロミオとジュリエット」にはない新鮮さであった。

白貝

白貝

やみ・あがりシアター

浅草九劇(東京都)

2025/10/08 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

物語の意味が見えてくるとともに、
観客を一気に惹き込む舞台。

序盤は繰り返しの表現、登場人物が多さ、シリアス、コメディの切り替えなど
情報が一度に詰め込まれている印象を受けたため、集中力が一瞬途切れそうになったけど、
中盤以降は登場人物の関係性や物語の主軸が徐々に明確になり、一気に引き込まれていった。

特に伏線の張り方と、その回収の巧みさには感心させられ、
構成力の高さが光っていた。

ネタバレBOX

山で消えた理由は、最後まで謎のままにして幕を閉じるのだろうかと思っていたから驚いた。
帰りの電車の中で◯は、いくら丁寧に洗ってもアレルゲンを完全に除去できないという事実を初めて知り衝撃を受けた。

223番のはなし 東京公演

223番のはなし 東京公演

劇団芝居屋かいとうらんま

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

とても面白かったです。移民や環境問題の要素もあり、色々考えさせられました。ラストもちょっと寂しい感じが心を揺さぶります。終演後のキャスト全員での階段でのお見送りは、恐縮してしまいました。また次も行きたいなと思ってしまいました。

はざまっこ

はざまっこ

無名劇団

神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/14 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/10/11 (土) 19:00

お近くの方なら当日券に望みを託してもいいくらい、観て頂きたい!
すいません、私がそうでしたm(__)m
無常の世の中で、当たり前のよな今への感謝とちょっと優しくなれる自分がいます(^^)
劇団員さんたちや良いお仲間さんに恵まれているなって改めて感じる回になりました。

#三等カヨあがれ

#三等カヨあがれ

三等フランソワーズ×カヨコの大発明×ユニットまいあがれ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

期待値以上のめっちゃオモローイベントやった‼️この3ユニットは関西演劇界のミスチル、ドリカム、B'Zやと思ってるんでオモロくて当然っしょ👍このイベントはもぅメガネニカナウみたいに定期的に開催して欲しいです🎵3組混合じゃなく単独作品てのがそれぞれの良さが際立って良いネ✨️
【任務十年】プロットが既に面白いんで役者さんの味付けでドンドン面白さが増して行く作品🎵福田恵さんのコメディエンヌとシリアスを行ったり来たりする可笑しさはサスガ🤣刑事役の中川浩六さんは基本疲れ顔なんで実はハマり役なんよネ😉何日も家に帰ってない感じの刑事像がリアルでした♪
【こと座イプシロン星】感動のラスト泣いたー😭基本座った体勢での静の展開からリズムに合わせて動の会話に転換しストーリーの流れに動きを付ける凄い演出🎵その会話はさながら地球と宇宙を繋ぐテレパシーのように記号化されて聞こえる🛸クリクロ公演を思い出し良太おセンチな気分に😉
【Blue Bird】セットがタクシーコントみたいで既に面白い🎵情緒が一番安定してた新垣がラストで誰よりもぶっ飛ぶのが爽快🔥個人的に二朗松田さんの役名遊びが好きでBlue Bildがスピード出すのと役名が一致した時ニヤリとしました😎あの4人の行き先は東京?いやいやGoGoHeavenでしょ😉

夏の嘘×2

夏の嘘×2

ここ風

「劇」小劇場(東京都)

2025/10/08 (水) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

223番のはなし 東京公演

223番のはなし 東京公演

劇団芝居屋かいとうらんま

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

ネタバレBOX

面白かったです。
ジャンク・チャック・ハック

ジャンク・チャック・ハック

劇団身体ゲンゴロウ

千本桜ホール(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごくよかったです。私好みの舞台でした。ぶっちゃけ、難解でわかりやすくはなかったです。が、話のプロットはちゃんと追えますし話のコアなところはわかります。その意味では、舞台にちょうどあったほどよいわかりにくさでした。これ以上難解になると睡魔に襲われますし、これ以上わかりやすいと陳腐な話になってしまいます。難解さというてんではギリギリのところを攻めてるなーと思いましました。映画でいうとクリストファー・ノーランというよりデビッド・リンチ的な難解さがあったかなと。あと、最後の機関車いいですね^^ 

愛らしく

愛らしく

劇団くりびつてんぎょう

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

(笑えた度)3.06(今感)4.08(完成度)4.08(平均)4

往年の名曲に彩られたウェルメイドのハートフルコメディ。

平均年齢少し高めだけど、ベテランの、燻し銀の味。

演劇を愛してやまない人たちが創り上げる芝居は爽快で、とても居心地が良かった。

ネタバレBOX

ネタとしての買春捜査官。
つかといえば。昔はちょっとやれば大ウケのネタだったけど、今はあまり舞台で見なくなりました。
光陰矢の如し。

ゴースト。ろくろが回る。
これも定番だったなあ。調べたら1990年でした。
こちらはさほど、古くなかったね。一周回ってまったり面白い、というか、なんというか。
この時代のコメディはパンチが効いてるわ。帰ったら裸の銃をまた、観よう。

主人公がかます、渾身のびわ湖くんモノマネ。逆に誰も知らないだろw w
と思ったら、約2名ぐらいが大爆笑してました。
「誰もが知っているネタ」がYOUTUBEになる時代。恐るべし。
いや、でもさ、かなりニッチだよね。正直。

お話の方は、少ししんみりする場面もあったけど、
演劇愛と家族愛に満ちて、ほっこりハートフル。
楽しい時間が過ごせました。
ひとみのチャーム

ひとみのチャーム

ほぼ・シニア劇団コダカラ

アミュゼ柏(千葉県)

2025/10/04 (土) ~ 2025/10/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

熟女ガールズバーのドタバタ劇
出演者は声の出演も含め9名
笑いどころが多く、特に最後のダンスシーンは特に最高でした!

223番のはなし 東京公演

223番のはなし 東京公演

劇団芝居屋かいとうらんま

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。或る小説をモチーフにしていると思うが、原作のファンタジーに比べ この作品はシニカル・ファンタジーといった違いがある。物語には 現代社会(文明)への痛烈な皮肉と批判が込められている。勿論、本作のタイトルもその小説を連想させる。

説明にある「男が迷い込んだ場所は 何世代も前の生活をしていた 現代人が文明の豊かさと引き換えに失ったモノを彼らは持っていた」…その場所とは、失ったモノとは等、さまざまな問いと男の思いが交差する。その世界観が舞台美術によって惑わされそうだ。例えば現界か異界、または 現世か来世など、異なる世界を描くことによって、今を客観的に表出する。

少しネタバレするが、男が傍白する「見えないものが見える 不思議を信じる」そして「目を開いているのに 見ないふりをする」は、文明という便利さ豊かさの中に忘れてしまったものであり、諸々の不(不健全・不寛容など)や無(無感動・無関心など)を表しているよう。舞台という虚構に リアルな社会の歪を落とし込み 考えさせる好公演。
(上演時間1時間30分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、周りが青葉で繁った空間、そして側面が白と黒の箱馬がいくつか。冒頭 箱馬に何本かのポールを立て牢屋を表す。調査官が牢内にいる男 山岸に向かって、これからは223番と呼ぶ と。調査官の取り調べが、男の回想となって物語が始まる。

男は山奥の不思議な村へ迷い込んだ。後々 明らかになるが、会社ひいては社会に対して嫌気がさし 自殺しようとしていた。一方、村は自給自足で物質的に裕福ではないが、精神的には安らいでいる。村人は喜びや悲しみの感情が共有できるといった特性がある。コロナ禍を経て無関心・不寛容といった今の風潮への皮肉のような。村人が大切にしているのは「水」と「家族」。その大切な水が 最近汚染されている。村の上流に 男がいた街(世俗)の会社が、ソーラーパネルを設置したことが原因。森林を伐採し水質汚染、まさに環境破壊である。2年前に街の人間 是枝が来ており、彼の会社が設置したもの。是枝も村が気に入り その地の娘と結婚しようとするが…。

芥川龍之介の小説「河童」をモチーフにしているよう。村人は皆 和装で頭に円い髪飾りと水筒を持っている。説明にある「現代人が文明の豊かさと引き換えに失ったモノ」、その心の豊かさを面白可笑しく描破している。男223番は騒乱罪(ソーラーの駄洒落か?)で捕まったらしい。村人が街へ行き、要人の尻子玉(しりこだま)を抜いたことに関わっている と。

物語は、上演前から少しずつ始まっている。村人が独特の衣裳で現れ、箱馬を動かし不思議な世界観を構築していく。箱の側面が白と黒だから見(組み合わせ)方によって鯨幕=死後に見える。そもそも男 山岸が自殺しようとして迷い込んだ村は、既に黄泉の国だったのでは と思ってしまう。想像が膨らむ公演だ。
次回公演も楽しみにしております。
ハハキのアミュレット

ハハキのアミュレット

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2025/10/09 (木) ~ 2025/10/15 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

和歌山県の過疎化した町、大正時代創業の由緒ある棕櫚箒(しゅろほうき)工房、倉西商店。働くのは四代目の南果歩さんと弟子入りして一年目の橋爪未萠里さん。町興しの一環として神社の奉納返礼品、荒神箒(こうじんぼうき)を卸している。神主(福本伸一氏)は観光客を呼び込もうと子宝祈願の御利益を大々的にアピール中。地元のホテル経営者で町会長(?)の緒方晋氏。その娘の東宮(とうみや)綾音さん。南果歩さんの息子(田中亨氏)はIT企業の在宅勤務。そこに突然帰って来る南果歩さんの兄、平田満氏。高校を出て東京の大学に行ってから47年間で僅か三回しか帰郷しなかった男だ。

傑作2022年版『あつい胸さわぎ』の田中亨氏&橋爪未萠里さんコンビだけで嬉しくなる。

奏(かなで)=南果歩さん、穂香(ほのか)=橋爪未萠里さん、凛=東宮綾音さん。名前の響きが心地良い。

東宮綾音さんは松たか子と小川麻琴を足したような美人。長身スラリ。

福本伸一氏が会場の笑いをかっさらっていく。

横山拓也版『男はつらいよ』かと思わせて作家の狙いは別にあるようだ。人の心こそが故郷。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

荒神箒(こうじんぼうき)とは現在では小型の箒の総称。
棕櫚箒(しゅろほうき)は棕櫚の樹皮から繊維を取り出して作るもの。

ハハキ=「羽掃き」、音が変化して箒になった。
アミュレット=お守り。中世ヨーロッパでは三つ編みに魔除けの効果があるとされていた。

横山喜劇お馴染みの失恋賑やかしキャラ、福本伸一氏や東宮綾音さんに勘違い求婚するズレた田中亨氏。そういったネタを笑いで引っ張るいつもの作風ではなく、話はこれといってない。2時間10分、ある意味要らないシーンも多い。無駄を削ぎ落とすタイトな作風ではなく、無駄にこそ人々の心のうつろいが宿るとの視点。丹念に時間を塗り込んだ、ある懐かしい空間への郷愁を表現するかのような小津安二郎的世界。(風景が主人公で人はモブと言ったら『白貝』みたいだが)。今後横山拓也氏はこういう作品が増えそうな予感。
わが家の最終的解決

わが家の最終的解決

学園座

関西大学・千里山キャンパス内 凜風館 4階小ホール(大阪府)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

流石関西No.1学生劇団
今回は時代物ではなく、第二次世界大戦下のナチスを題材とした作品
途中休憩有りの長時間物では有ったが、飽きる事無く最後まで楽しめました
今週のMVP間違いなし🍐

223番のはなし 東京公演

223番のはなし 東京公演

劇団芝居屋かいとうらんま

OFF OFFシアター(東京都)

2025/10/10 (金) ~ 2025/10/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 必見、華5つ☆。終演後、色々深い作品故更に追記する。

ネタバレBOX

 板上、ホリゾント両側壁にはびっしり茂った樹木の葉が見える。板上はフラット。箱馬があちこちに置かれている。開演前、三味線の弦を爪弾くような音と金属を叩く音が聞こえ、折々水滴が垂れ金属に落ちるような音が混じる。なんとなく怪奇譚が始まるような雰囲気を醸し出している。
 幕が開くと和服を着た面々が寄り合い何かの儀式を行っている模様。着衣は皆和服である。場転、明転すると和服の者らが箱馬を幾つか整然と並べて、そこへ長い杖状の棒を差し込む。その向こう側には洋服を着た男が独り箱馬に腰かけ客席側を向いている。資料を挟んだしかつめらしいバインダーを持って女が尋問を始めた。ここは牢屋である。男は未決拘留されており女は事件の経緯についての尋問を行っているのだ。容疑は反逆罪等。然し、男は虫も殺せない、と妻が言うほど心優しくとても大それた事件を起こしそうなタイプには見えない。名を山岸という。機械等を扱う会社で営業をやっていた47歳のサラリーマンである。尋問している女は調査官。名は月守。
 冒頭のこの場面、舞台美術を極力簡素化し、簡素化した機材を見事な用い方で牢屋に変換する演出も舞台美術も秀逸でいきなり作品に引き込まれる。無論脚本も発想自体が素晴らしく細かい点迄よく書き込まれ骨太で構造のしっかりした建築物のようでもあると同時に生き物の持つ柔らかさが充満した少し不思議な安らぎを齎す優れもの。この脚本にして、この演技、それを上手く合致させたセンスの良い合理的な演出。これらを支える音響、照明、道具、衣装も村の住人は和服で統一して古を象徴し都市から来た者は洋服で統一して現在を象徴しているのみならず、村の娘と結婚を約している是枝という男の着こなしでは和服の下からYシャツの襟が覗いている点等細かい処で是枝がどういう人間か、上手く示唆している。(この辺り衣装担当の努力と工夫もみものだ)
 実に考えさせる内容であるから、この詳細については終演後に書き記すこととする。

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