最新の観てきた!クチコミ一覧

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山犬

山犬

OFFICE SHIKA

座・高円寺1(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

純愛物語
もっと怖くても良かったです。

ネタバレBOX

給食のコックさんは電動ノコギリを使って人間を解体し、人肉を使ってカレーを作っていたし、気が狂った飯田は鍋から溢れんばかりの臓物を入れたカレーを作ろうとしたり、『丸ノ子ちゃんと電ノ子さん』のような、『カレー屋の女』のような気味悪さがありましたが、由貴を助けて死んだ目立たない同級生テラニシの10年越しの恋を成就させて人間になろうとした野良犬の純愛物語でした。

追い詰められた由貴が何を投げつけたのか良く分かりませんでしたが、ケンケン飛びをしてきて片足ですっくと立ち止まったときに全てが分かりました。由貴役の森下くるみさんのびくともしない片足立ちは見事でした。

山犬役、というか野良犬役のISOPPさんのブレイクダンス的動きも見事でした。斜めからすーっと起き上がるような動きは見ていて惚れ惚れしました。
殉職の夢を見る

殉職の夢を見る

アフリカン寺越企画

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

恐らく
存続決定の後が問題だと思いました。

ネタバレBOX

自殺しそうな人を見たら助けます。命を懸けて生きていくと言われたら応援します。

精神病院の正門脇にある警備員室奥の休憩所兼宿泊部屋が舞台。新聞販売店の住み込みの部屋と同じような巷の隅の隅、生きるのが下手なやや年を食った目がギョロンとした青年の話などこれまでの作品と共通点が多く、内容は悪くないのですがもういいかなとも思ってしまうのですが、アンケートで無印と×が多かったらやめると言われたら○をつけます。

一年契約で精神病院の警備員をしている32歳の男青田は、自殺志願者蛭田さんの自殺を防いだことで子供の頃からの夢を思い出し警察官になることを決意します。年齢制限ギリギリで一回限りの試験ですが、合格を目指して頑張っています。ただ、蛭田さんを助けたことがきっかけとなって患者たちが休憩所に出入りするようになり、逆に親しくなったことで例え合格しなくても彼女らの自殺を防ぐために見守る生活でもいいかなと思ってしまい、合格へのがむしゃらさが無くなった途端、そこを見透かされて蛭田さんに自殺されてしまいます。

自分の無力さに虚しくなった青田ですが、もう一度がむしゃらになろうと決意し直すのでした。

自殺志願者には生きる意欲のない人とかまってちゃんの二種類があるのですか。

資格を持ったスタッフが隠密裏に警備員をしているというのなら面白いと思いますが、医者が言っていたように普通は院内でチーム医療をしているわけで、警備員に心のケアの一端を担わせること自体そもそも有り得ない話です。

これからもアフリカン寺越企画を見守ろうと○が多かったところで蛭田さんのケースのように死なれてしまうこともあり、最後は演劇志願者の決めるところだと思いました。
恋する小説家〜映画と舞台のW上演〜

恋する小説家〜映画と舞台のW上演〜

Moratorium Pants(モラパン)

OFF OFFシアター(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/04 (月)公演終了

満足度★★★★

重なることで惹きだされる演劇と映画それぞれの良さ
最初に映画を観て演劇を観ました。
映画がまず面白く、でも、演劇にはその世界を受け継ぎながらも、異なる面白さがあって。

多くの役者がかぶっていても、ベースは共有されていても、同じ物語を2回観たという感覚はほとんどなく、それぞれの味わいが相乗効果としてやってきました。

ネタバレBOX

最初に観た映画、ちょっととほほな感じで始まるのですが、仕組が次第に見えてくると、その妄想の世界のふくらみと小説とのリンクのさじ加減のうまさが実に良く、どんどん引き込まれていく。
最初に現れる女子高生に不思議な実存感があって、そこにテイストの被ることなく被害者という次のキャラクターが現れ、さらに被ることのないキャラクターが差し込まれ広がっていく感じが、小説が研がれていくグルーブ感とうまく重なって、惹き込まれてしまう。
その結末もとても映画的で、観ていて全く飽きることがありませんでした。

そして、その後に観た演劇は、最初こそ、映画の記憶をどこかひきづっていたけれど、やがて、同じ設定の中に異なる世界が浮かび上がっていくことに心を捉われる。多くの役者さんが同じロールを演じていくのですが、そこには映画の世界とは異なる空気感や魅力があり、また、その顛末も演劇としての歩みや密度を持って舞台を満たしでいく。

観終わって、よしんばタイトルやベースにあるアイデアが同じであっても、これらは異なる語り口によって編まれた別々の作品だと感じました。
映画の風景におかれたものと演劇の空間に編まれたもの、なにか観る側に入り込んでくるものが異なっていて、でも、それが互いの作品のテイストにもう一段の深さを与えているようにも感じられて・・・。

同じ役者たちが演じるものにも、映画だからくっきり見える感覚と同じ劇場空間だからこそ受け取りうるひとりずつの肌触りがあって.。
映画と演劇の異なりを受け取ることで、それぞれの良さを再認識したりも。

観る側にとっても、とても面白く得るものの多い試みであったと思います。
千年マチコ~書房編~

千年マチコ~書房編~

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

家族
がテーマのものがたり・・・でも、友情あり、恋愛ありと、欲張った内容。でも、マチコさんがいると不思議としっくりときました。さーすが、千年生きてるだけのことはある(笑)。

たっぷり笑って、ちょっとジーンとさせていただきました。

神の左手

神の左手

キコ qui-co.

Ito・M・Studio(東京都)

2014/07/03 (木) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

左手に宿ったのは
生と性の話を、葬儀屋の事務所を舞台に展開するセンスに脱帽です。映画『アイ・アム・レジェンド』を連想しました。ある研究の失敗で人間が死の恐怖に脅かされる、そんな要素を介した男と女の話。葬儀屋か大忙しなのは、ある事件によるものです。射精すると絶命する男は「誰の胸で死ぬか」、女は「アイツのラストを誰が受け止めるのか」「男の思いを受け止めてやるか、生きていて欲しいのか」「延命して、夢精で死なせてもいいのか」それぞれの立場でのジレンマがヒリヒリしました。注目のキャラクター、葬儀屋を経営している社長の元夫人。男勝りでハイテンションで、男を悦ばすテクニックを女性スタッフに手解きするも、実は床下手が問題で離婚しているという難役。新国立劇場演劇研修所出身の渡辺樹里さんが熱演されていました。

短篇集:ノスタルジア

短篇集:ノスタルジア

waqu:iraz

APOCシアター(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/07/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

キラキラしてました
3本のオムニバス公演。歌あり、ダンスあり、芝居ありで、夏休みらしいテーマの作品でした。特にラストの作品 [未開の空、ゆれる] が素敵でした。あれ1本で2時間作れそうな話。それをテンポよく展開し、もっと観たいと思わせながらも、物足りなさは感じさせません。それは俳優を上手に動かすダンスの演出の賜物です。郷愁、ノスタルジーの世界にいざない、走馬灯のように現れる女性がみんな素敵です。生死の境目にたった一瞬に、駆け巡るかつての恋心。当然、辛い恋も悲しい恋もあるけれど、みんな美しい思い出になっています。自分の最期もそうだろうかと考えてしまいました。あんなに素敵な女性ばかりなら幸せだろうなぁ。特に、長尾純子さんのしなやかさに心奪われました。まるで十代の少年のようにときめいて、その美しさに釘付けです。愛する二人に新しい命が芽生えて三人になり、してあげたいこととしてほしいことが波のように寄せては引いていく感情を、笑顔の中に忍ばせた一瞬の物憂い表情で紡ぎます。ギューッと胸を締め付けられます。切なくて愛しい。ずっと観ていたい女優さんです。

マボロシ兄妹

マボロシ兄妹

悪い芝居

青山円形劇場(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

オープニング命
こんなにカッコイイ幕開けを観たことがあっただろうかと思いを巡らせています。円形劇場という箱の特色を生かした演出と言えるでしょう。客席後方のすべての扉から、バーンと登場するキャスト。爆音のBGMの中で、アバンギャルドな衣装を纏ったキャストのこの登場シーンに鳥肌が立ちました。Rockの過激性を思い出しました。

 す き  と お り

す き と お り

miel(ミエル)

スタジオ空洞(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

宣言●好きで居続けます
スタジオ空洞というフラットな箱でさまざまな工夫を凝らした素敵な公演だった。まずオープニング。BGMとのタイミングに細心の注意を図った照明にワクワク。音響もスピーカーの配置や、抜けたり籠らせたりさせた音質まで練り上げられていた。衣装も可愛いくて素敵。白いシャツを重ねているのだけれど、切ったり繋いだり、縫ったりつまんだりして、衣装だけでも楽しめる。着たいと思うもの多数。ダンスもキュートでクール。そのダンスが物語を紡ぎ出す。複数のテキストで構成されたオムニバス。テキストのテーマが「すきとおり」な訳だけれど、それは…。透きとおし、透きとおり。好きな通り。好きが通ったり通らなかったり。隙があったり無かったり。今はもう無くても、心にちゃんとあったりする。白い世界に、白い衣装の男女が透きとおった素敵な作品を創りあげていました。登場人物がみんな愛らしくて、観ているうちにどんどん俳優さんがカッコ良くなり、女優さんが可愛く見えてきて、好きになっちゃいます。誰かがではなくて、全員がカッコ良くて可愛い。これって、素晴らしい作品である証拠でしょ。次回公演も必ず観たいと思います。

熱海殺人事件

熱海殺人事件

MS2

劇場MOMO(東京都)

2014/08/05 (火) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

美しさが鍵
猥雑で、暴力的で、差別的で、政治的な要素が盛り込まれた作品。これをつかこうへい演出では過剰に声を張って、爆音のBGMで、汗を撒き散らして上演していたわけです。ポイントは美しく、スタイルのよい女優。その美しい女優が乱暴な台詞と乱暴な演技に身を投じるのが魅力。今回も芳賀優里亜さんの美しさは際立っていました。顔の小ささにビックリです。オカマ役を中丸シオンさんが好演。女優さんが演じるのを初めて観ました。中丸さん、キレがあって好きです。作品全体としては、もっと迫力があってもよかった気がします。そのバランスを逸した迫力が、この作品、いや、つか作品の特徴であり、魅力ですから。

Look At 山!

Look At 山!

天晴

SPACE EDGE(東京都)

2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

天晴
開場と同時に、スクリーンに映し出される桐島かれん在籍時のサディスティック・ミカ・バンドのライブ映像。これはたった2回しかやらなかったライブ東京ベイNKホールのライブ。会場にいたわたしはテンションが上がりまくった。やっぱり、そのつもりで劇団名を「天晴」にしたのですね。そのセンス、最高です。公演は、落語を演劇で上演するという企画。「あたま山」は中学生の時に読んだ。名作です。満員の客席。かなり窮屈で大変でした。

山犬

山犬

OFFICE SHIKA

座・高円寺1(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

結局・・・
怖いのは“人の狂気”だなと痛く感じました。“震えるほど恐ろしい”・・・“生臭く気持ちが悪い”の方が強かったのではと思います。だからと言って面白くないかといえば“面白い”。観ているうちに体に力が入るほど舞台に釘付けになっていました。特にISOPPさんの動きには感嘆!!軽く自在、そして寂しさを感じて切ない気持ちになってしまった。見応えありです!!ちなみに暫くカレーは食べられそうにありません。

ハイキングフォーヒューマンライフ2014

ハイキングフォーヒューマンライフ2014

劇団PATHOS PACK (パトス パック)

「劇」小劇場(東京都)

2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★★


軽い題名、しかし内容はかなり重い。死んでしまったもの、それへの想いを持つもの、双方の悲しみに溢れていた。取り残された者達の行き場のない想いが引き寄せる念、それが今そこにあるのか、ずっとそのまま残されたものか、それは分からない。救いを求めているのはどちらも同じ。不思議な空気が流れ続け、やがて、どちらもそこから離れるときが来る。生きていること、どんな人でも一人ではないということ、しっかり感じさせる作品だったと思う。

朝日のような夕日をつれて2014

朝日のような夕日をつれて2014

サードステージ

紀伊國屋ホール(東京都)

2014/07/31 (木) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

朝日#03
3回め。
まさかの2days
幸福です。
なので気がついた
昨日の客席と今日の客席
全く空気が違う。
本日のお客様の反応ったら半端無い
感度良好
盛り上がった
盛り上がった
だから演劇は面白い
ようやく真の部分がわかり始めてきた
まだまだ
奥が深い
次回が益々楽しみでしょうがない

解散

解散

江古田のガールズ

本多劇場(東京都)

2014/08/05 (火) ~ 2014/08/06 (水)公演終了

満足度★★★★

お初です。
お初です。芝居はレベルに差があり、ダンスはお世辞にも上手いとは言えない。しかし、観客を楽しませようとする徹底し姿勢がいい。また裏側のドタバタはなんとも観ていて胃が痛くなる気がした。私にはうまく入り込んできた舞台だったと思う。もう少し全体のバランスが良いともっとすんなり観れる気もする。

ガイコツ拳/わっと・あ・わんだふる・わーるど

ガイコツ拳/わっと・あ・わんだふる・わーるど

骸骨ストリッパー

ひつじ座(東京都)

2014/08/06 (水) ~ 2014/08/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

チョー楽しかったです(≧∇≦)
ガイコツ拳、わっと・あ・わんだふる・わーるど、両方観させていただきました!もうホントにずっと爆笑してました。それぞれ、笑わずにはいられない数々のパロディ
、爆笑ネタ満載の楽しい舞台。ただそれだけではなく、ガイコツ拳はアクションシーンが本格的過ぎて圧巻!ジャッキー映画の中にいる様な雰囲気を味わえました。わんだふる・わーるどは、自分の今の姿を少し考えさせられる様な言葉も舞台の中にとりいれられていて、どちらもしっかりと深みのある演出になっていました。また、ストーリーだけでなく、演者の皆様が作り出す“背景”にも見所が沢山!!そして、劇が終わった後日替わりで行われる観劇者参加型のイベントも凄く楽しめて、一回行くだけでもとっても満足できる、お祭りの様な舞台でした!!もちろん何回行っても毎回違う発見が絶対にありますよ!!!

坊っちゃん

坊っちゃん

NPO法人大阪現代舞台芸術協会-DIVE-

AI・HALL(兵庫県)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

AAFリージョナルシアター・大阪現代舞台芸術協会プロデュース「文豪コネクション・坊っちゃん」8/9@愛知 観ました
 
 愛知組「こころ」から二週間、今度は大阪組「坊ちゃん」。
 アウェイにも関わらず、出演者の半分が、一人芝居フェス・インディぺや芸創コネクトで見覚えのある方々という〈笑〉



 〈泉寛介(baghdad cafe)演出〉

 原点にほとんど忠実な流れながらも、小気味よく変わる劇空間と多視点。
 舞台上でも舞台外でも「語られる」「坊ちゃん」。
 難しそうにみえて、意外とエンタメ的に楽しめる新視点。

 劇中一人芝居状態が異常に多い一明一人さん〈ひとり12役ぐらいやってた!〉、が、まさにフィギュアスケート状態ww〈←ツイッターで自分で呟いてた〉


 〈くるみざわしん(光の領地)演出〉
 
 もともと漱石フリークで、この話以前から震災の影響を受けて自分で書いてたとの事。

 現実の漱石と空想の坊ちゃんの構造的レイヤード。どちらがどちらの見ている幻視なのか分からなくなってくるような場面も。
 取り巻く世界がじわじわ変わり、精神の迷宮に迷い込みそう。
 ミニシアター系の映画を観ているような気分。

 増田雄さんが、この作品だからこそ坊ちゃん役にハマっていました。



 ともに、主人公を包み込む清が重要なポイント。
 守護霊的に常につきまとう存在や、ひきずる価値観の象徴。
 どちらも、考えさせながらも、切り口にそれぞれの個性が出ている組み合わせでした。

 11月には神戸で再演されるとの事。短期間で三度目の公演、幸せだなあ。

殉職の夢を見る

殉職の夢を見る

アフリカン寺越企画

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

見届けたい
アフリカン寺越企画、第三作目。
腹をくくったアフリカン寺越をはじめとする役者陣の芝居に引き込まれた。

いまどきはやらない(かといって昔はやったというわけでもない)、泥臭い汗臭い笑いの要素も少なく、登場人物も愚かしかったり、嫌な奴だったり、めんどくさい人だったり、うっとおしい人だったりする(ある意味リアリティのある人物像ともいえるが)直球芝居。
見終わった後のカタルシスもなければ、さわやかな感動も私には感じられない。
(アフリカン寺越企画の芝居をみるたびに感じる印象がとても気になっていることがあるが、これは後ほどネタバレBOXへ)

でも、アフリカン寺越企画が「○」が過半数を超えて次の芝居をうつのなら、私はきっと見に行くだろう。
この垢抜けない芝居を私以外の人、いいかえれば社会がどのように受け止めていくのかを見届けずにはいられない。
それだけ、このゴールデン街劇場の空間での1時間半はインパクトがあるのだ。
(瑣末な感想だが休憩なしの1時間半という長さはちょうどいいと思う)

ネタバレBOX

以下、ネタバレというよりは私個人の主観を書いたものです。


アフリカン寺越企画の芝居を見るといつも思うことがある。
(アフリカン寺越が出演していたIQ5000のマンホールロケットでも思ったが)

(ごく一部の人をのぞいて)人が「誰を愛し、何を大切にして、どんなことをしていたか」というその人が生きてきたからこその重みや歴史など、その人のごく周りの数人にしかさして知られることもないのだと思う。

たとえばそれが痛ましい事件に巻き込まれて命を失った人でも事件によってはマスコミの報道したいように報道され実際の人物像とかけ離れた人物像になることもある。
(桶川ストーカー殺人事件の被害者の女性などは特に顕著な例である)

私には幾人かのすでにこの世にはいない人たちが、生きていた時、何を思い何を愛しどんな時に笑っていたのだろうか、と気になってたまらない人たちがいる。

天童荒太著の小説「悼む人」では主人公の青年が、亡くなった人を悼んで旅をする話であるが、それらの気になってたまらない人たちに「悼み」をしたい、あるいはしてもらいたいと強く思わずにはいられない。

話はアフリカン寺越企画の芝居に戻るが、この舞台の上で役者が演じる登場人物は、意図せずにその悼み(亡くなっているとは限らないが)を役者たちが大変丁寧に行っているように感じられてならないのである。

その登場人物がいい人かとか立派な人かとかはすっ飛ばして、
「どんな生育暦を持ち、どんな価値観で外界とコミュニケーションを取っているか」
を感じられる生きた人物として現れてくる。
(当日パンフが手元になく役名、役者名などはわからなくてすみません、あとで訂正するかもしれません)
あくまでも私の主観だが、(役者本人がどのように役作りしたかは知らないし、私の推測は笑っちゃうくらい外れてるかもしれない)
主人公の青田はハンバーガーなら照り焼きバーガー、カレーは中辛が上限、できたら甘口のほうがいい、というような子どもっぽい味覚をしていそうだとか、両親は忙しいかあるいは子どもに対して愛情はあるが、あまり興味を持たなかった人な気がしたし、
末廣和也氏(この役者さんは得体の知れない人をリアルに演じるのがめちゃくちゃうまい、うますぎる)演じる精神科医は味覚障害でなにを食べても同じかあるいは極端な偏食、一人っ子で、親御さんある程度高齢になって授かった子なんじゃないか、と感じた。

愚かだったり、失敗したり、不完全な人間が舞台上にいて、その舞台上ではやはり、愚かだったり、失敗したりを繰り返している。
そこを彼らが演じる時、なんだかその不完全ゆえのしんどさが浄化されるような、あたかも供養されるような、そんな気がしてならないのである。

・・・アフリカン寺越のスキンヘッドが供養を連想させるわけじゃないよなあ、と思いながら。
アルルカン、天狗に出会う

アルルカン、天狗に出会う

ディディエ・ガラス×NPO劇研

津あけぼの座(三重県)

2014/07/25 (金) ~ 2014/07/26 (土)公演終了

満足度★★★★

ディディエ・ガラス「アルルカン、天狗に出会う」観ました
 二年前の全国ツアーを見逃したので、まさに僥倖。

 私、名古屋で毎年、京都の金剛流能楽師・宇高竜成さん(アトリエ劇研とも関わり)のWSを受けているのですが、なんとガラス氏、その宇高さんのお父様の下で能を修行していた事もあるそうな。演劇的世間は狭い…


 一人で一時間舞台を保つ強度。
 確かなマイムやムーブメントが、仮面や道具のいろんな使い方を支える。
 モノとの共犯関係、仮面への委託。

 アルルカンの歴史的背景にも触れて、意外と語り芝居(日本語)。
 語り部分は、訪れる国の言葉を覚えて話しているとの事。脱帽。


 終演後に仮面を取ったガラス本人は、細面の渋いイケメンでした。

 自分の特異な身体操作をコアに、身軽なツアー公演。
 ああ、こういうのやりたいなあ。

 9月には京都・三重で、いろんなパフォーマーを集めての演出作品「ことばのはじまり」が上演予定。観たい!

【無事終幕】「とーく・おぶ・ざ・でっど ∞ ~廻~」【ご来場大感謝】

【無事終幕】「とーく・おぶ・ざ・でっど ∞ ~廻~」【ご来場大感謝】

JOHNNY TIME

エビス駅前バー(東京都)

2014/07/25 (金) ~ 2014/08/06 (水)公演終了

満足度★★★★

完結編
小さなバーから始まり
そして.....
そういう結末になったのですね!?
ま、良かったのではないでしょうか!
そして、次回のシリーズも想像させられる感じもよかったです!

ネタバレBOX

神が二人だった理由は?二大宗教ってことなのですかね!?
殉職の夢を見る

殉職の夢を見る

アフリカン寺越企画

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

対他存在であるということ
 かつてM.フーコーは「狂気とは純粋な錯誤だ」と言った。つまり健常者の精神世界と精神病者の世界は別物だと解釈したのである。かれの判断が究極的に正しいか否かを判断する立場に自分はいないので、正否の判断は保留するが、この言葉に出会った時、自分が衝撃を受けたのは事実である。このような経緯から、一応、フーコーの判断を正しいものと仮定して、話を進める。その前に、問題を一つ。我々、人間のレゾンデ―トル(存在意義)とは何か? である。(追記第一弾2014.8.9)(最終追記2014.8.12)

ネタバレBOX

 神でも仏でも無い一介の衆生に過ぎない我らヒトのレゾンデ―トル等無い、と為政者は言うであろう。然し、本当だろうか? 自分は、寧ろ、悩むこと、真摯に悩み得ることにこそ、人間のレゾンデ―トルはあるのではないか? そう思っている。
 ここで、上に挙げた問題と我々の存在意義を賭けての問いに戻ろう。人間が真摯に悩むのは、恋に落ちた時とか、大切な人を失って自らを振り返る時、失敗をして、自分が生きていて良いのか否かについて迷う時、仲間・恋人・親友など大切な人を裏切らざるを得ない状況に追い込まれた時などであろう。普通の人は、倫理を抱えている。して良いこと、悪いことの判断の分かれ目を持っているのだ。だから、悩む。そして悩むとは、自らが、社会的な価値・倫理に背いている、或いはそうなのではないかとの疑念から生じるのである。この意味に於いて、人間とはまさしく社会的(対他的)な存在なのだ。
従って、人間的に生きるということは、己に連なる総ての対他的存在と倫理的に径庭ない付き合いをすることに尽きる。そして、そのような付き合いが最も難しいケースこそ、今作が扱っている、コミュニケーション不成立という事例なのである。分かり易く言えば、接点がまるでない、と考えられる人々と如何に関わり得るか? という問いである。
 実際には、完全に共有部分が無いわけではない微妙なケースが扱われているわけだが、扱いを間違えば、命に関わる。(更なる追記は、以下)
 実際、アフリカン寺越扮する、警備員の青田は、自殺を本当にする可能性を唯一持っていた蛭田のメンタルを読み間違え不用意な発言をした結果、何とか上向きかけていた彼女の自殺傾向からの離脱を逆に端的に落ち込ませてしまった。それは、無論、青田の所為で、彼女の自殺願望が和らいでいたからである。彼女は裏切られたと感じたことで、決定的な一線を越えて、屋上から飛び降りた。青田の目の前でである。蛭田の死後、警備員室にやってきたかまってちゃんの一人、瓜生の指摘は、痛烈である。「一番大切なのは、命だろう!」と彼は言ったのだ。自殺を幇助しているという病院の秘密を明かしていた、あやめ病院の精神科医師、星川の追求も、難しい症例を相手に誠心誠意尽くして来た医師の心情を語って雄弁である。
 然し、今作に光が見えない訳ではない。どんなに共有しようとしてもコミュニケーションを共有できない者同士が、命を最上位の価値として如何に良くそれを全うするかについて真剣に追求し続けることの中に、矢張り希望があるからである。青田というネーミングは、未完成や若さをもその中に含んでいるだろう。その青田が、“死ぬ気で生きて行こう”と決意することで、彼の失敗を通しての成長と今作に込めた、作者そしてアフリカン寺越の明日を見ようとする意志を見た。


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