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ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』

ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/11/03 (月) ~ 2014/11/06 (木)公演終了

満足度★★★

驚愕の3回コール
3回コールがあったことが驚愕です、2回目出てくるのはえーし。

裏マン寄席in中目黒

裏マン寄席in中目黒

劇団裏長屋マンションズ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2014/11/03 (月) ~ 2014/11/04 (火)公演終了

満足度★★★

ゆる~い笑い
赤塚真人座長をはじめとした落語好きによる、落語二席、落語芝居二物語。全てがゆる~い笑いに包まれる。今まで観た劇団裏長屋マンションズの公演は、泣き笑いの人情物だったが、今回は徹底的に笑いだけ。わざとなのか定かではないが、台詞忘れ、噛み、トチリなど普通の芝居であればヒンシュクもの。しかし、この劇団だけは大目にみてしまう。それは、観客を大切にしていることが十分感じられるからだろう。
常連客に愛され、支えられていることは一目瞭然だ。そして、赤塚座長の樂日打ち上げ会の誘いに、その会場案内を手にして嬉々とした観客がなんと多いことか…このサービス精神が集客力の源と実感した。

次回公演は、少し違う劇風になりそうな説明であった。それはそれで期待しております。

7 Fingers『TRACES』

7 Fingers『TRACES』

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2014/10/31 (金) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★

ドキュメンタリー的サーカス
シルク・ドゥ・ソレイユ出身の7人による身体能力を活かしたパフォーマンスで、手に汗握るエキサイティングな技には引き込まれましたが、舞台作品としてはまとまりが無く感じられました。

エアリアル・ストラップ、ポールダンス、シアウィール、ディアボロ、シーソージャンプといった定番の演目にダンス的なアクロバットや芝居を織り混ぜたスタイルでした。パフォーマー達は普段着のような衣装で、サーカスにありがちなエキゾチシズムやファンタジー性を打ち出さずに現代の若者として舞台に立っていました。
プロフィールを自己紹介したり(日本語でした)、幼少期の写真が映し出されたりと、タイトルのトレースの通り、各パフォーマーの足跡を思わせる演出が盛り込まれていましたが、テーマを描くという程には力点が置かれていなくて中途半端に感じられました。

舞台の真上から撮った映像を背後の壁に映したり、舞台上でのインタビューにテレビ番組風にテロップを付けたり、舞台の外に出ていったパフォーマーの様子をライブ中継したりと、映像の使い方が興味深かったです。

撮影可、途中退出可、飲食可と説明する開演前のアナウンスもユーモアがあって楽しかったです(KAATのアーティスティック・スーパーバイザーである白井晃さんによるものでした)。

穂の国の『転校生』

穂の国の『転校生』

穂の国とよはし芸術劇場PLAT【指定管理者:(公財)豊橋文化振興財団】

穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

見事な集団パラレル会話劇
 当初は、女子高生の本当にたわいもない会話が延々続くのかと思っていましたが、なかなかどうして深い話も多く、女子高生らしい稚拙な口調表現ゆえ、かえって感心してしまいます。繋ぎも巧妙で、まったく飽きさせない展開は見事でした。
 21人のリアル女子高生(しかも半分は演劇初心者とのこと)は、しっかり鍛えられている印象で、普通の小劇場劇団員に見劣りしません。何しろ女子高生としては現役のプロ(笑)ですから、まったく違和感無く話を楽しむことができました。
 本筋としては、人の生き死に、社会/人生における人の流れ・移り変わりの縮図を表現しているようにも見えましたが、私は未だ消化しきれずにいます。
 過去に他でも何度か上演される演目のようですし、いつかまた別演出も見てみたいと思いました。

柚木朋子の結婚

柚木朋子の結婚

studio salt

鎌倉/古民家スタジオ・イシワタリ(神奈川県)

2014/10/11 (土) ~ 2014/11/16 (日)公演終了

満足度★★★

内容と会場が合致し過ぎ
柚木家の長女・朋子が知的障害者と結婚すると言い出すが既婚の弟・妹は反対し…な物語。
会場である古民家の雰囲気と相俟って極めて日本的な印象、それも、外国人にはワカらないのではないか?というレベル。
あれこれ語り過ぎず、「そこはお客さんが自ら悟ってね」な脚本も日本的なのかしら?
で、細やかな家族の機微が浮き上がって来るものの、会場にハマり過ぎて逆に演劇公演らしからぬ「ナニカ」まで漂ってしまったような…。

あの脚本は、あの会場に合わせて書かれたものだそうだ。
なのであまりに「調い過ぎた」のではなかろうか。
乱暴な物言いをすれば、そういうのは映画の領域であって、芝居でやると邪道、みたいな。
思えば、σ(^-^)が今までに観た古民家で上演された芝居はチェーホフ作品、岸田國士作品、落語(を芝居にしたもの)など、どこかに「作り物」感と言うか、その場所にそぐわない要素があったのだ。
鳥公園の「おばあちゃん家のニワオハカ」にしても非現実的な要素があったのだ。
しかし本作は場所にしても時代にしても諸設定にしても、会場にあまりに合致「し過ぎて」、却って演劇らしさが薄れてしまった、みたいな…。
芝居自体は悪くなかったし、満足の行くものではあったのだけれど、どこかひっかかるモノがあったのは否めない。

裏マン寄席in中目黒

裏マン寄席in中目黒

劇団裏長屋マンションズ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2014/11/03 (月) ~ 2014/11/04 (火)公演終了

満足度★★★

ちりばめられてました
最初から最後まで笑いがちりばめられてました。落語×演劇でどうなるのか気になっていましたが、座長の赤塚さんを軸にお客さんを徹底的に楽しませようとするエンターテイメントでした。笑いが頭から最後までちりばめられてました。
最初、ぎくしゃくした印象を受けたのですが、テンポ良く流れてくると心地よかったです。

MEIDO IN HEAVEN

MEIDO IN HEAVEN

合同会社シザーブリッツ

サンモールスタジオ(東京都)

2014/10/28 (火) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

“他人”
舞台「MEIDO IN HEAVEN」の千秋楽…観劇
今日で3回目となりますが…
今回の舞台で印象に残った言葉は?と聞かれたら…やはり“他人”でしょうね。
直樹の言葉に対し、執事長が「“他人”という言葉だけは取り消して下さい!」というところは…涙なくしては観られませんでした。。😭
演技でグッときたのは、終盤に直樹が“他人”という言葉を言った瞬間…執事長がハッと顔をあげたところでした。

ネタバレBOX

面白かったのは、初対面…修一郎がなかなか直樹をハグしなくて…最後に強くハグするときに、清彦を冴子がハグし、冴子を佳奈がハグしてたところ😁
A→A→Bチームという順番で…今回やっと、荒木未歩さんのツインテール姿が見れました。可愛いっ!
舞台終演後、周りの人も…メイドさん、みんな可愛かったね!って言ってました。もちろん、マリリンも入っていたと思います😅
In The PLAYROOM

In The PLAYROOM

DART’S

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/10/31 (金) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★

スピーディーな話
時間が限られているストーリーなので、終盤になるにつれ焦りが出てきてより一層緊迫した演技でドキドキしながら見ました。状況を想像しながら見ているのでたまに話についていけないところもありましたが、それも見どころなのかと思いました。

不思議国家Q

不思議国家Q

点滅 舞踏

ザムザ阿佐谷(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/02 (日)公演終了

満足度★★★★

初めて舞踏を拝見しました。
良い機会を与えていただき感謝します。
見る前はおどろおどろしくて怖いのかな…?という印象だったのですが
びっくりするほどひとなつっこい愛らしさを感じてしまいました。(腹話術でハート撃ち抜かれました)
また、人間の動き、筋肉一つ一つをじっくり愛でる事が出来るなんて、
なんて貴重な機会(時間)なんだろうと感動しました。とても美しかったです。
そうか、美しいからじっくり見れると嬉しくなるのか…

観る側としての経験値が足らず、ストーリーや感情をうまく受け取ることが出来ませんでしたが
舞踏に興味がわきました。

愛を語る資格

愛を語る資格

ブートレッグ

Geki地下Liberty(東京都)

2014/10/30 (木) ~ 2014/11/05 (水)公演終了

満足度★★★★★

化学反応を起こした問題作!
少年犯罪の被害者と加害者、そして傍観者。
当事者でなくてはわかり得ない、心の葛藤を描いたこの作品は、
とても重いテーマを、ただ重いだけに終始しない“脚本と演出”、
そして、役者の“演技”とが化学反応を起こした問題作!
意外な結末では、さらに考えさせられることとなった・・・。

この“ブートレッグ”、これからの活動に目が離せない!

宇宙へのマーチ

宇宙へのマーチ

タッタタ探検組合

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/10/30 (木) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★

施設が一瞬で・・・に!
時折出てくる現代社会を突っつく台詞はタッタタらしい。
しかしながら、2年間の施設内生活での話がいまひとつインパクトがなく伝わってこなかったのは残念!
舞台セットの転換は、やっぱりやってくれました期待通り!

ネタバレBOX

選ばれた13人の自己紹介と司会者、記者のやり取りは面白い。
さらに、ほぼ毎日新聞、読み切り新聞、ワシントンポテトは私には大受け!
後で明かされる出鱈目な選び方、唯一の宇宙飛行士は4人を選ぶための審査員であったなどのオチはいい。
驚きました!
”閉鎖環境施設”が一瞬で”火星”に変わるとは・・・お見事!

カウラの班長会議 side A

カウラの班長会議 side A

燐光群

ウィルあいち(愛知県女性総合センター) ウィルホール(愛知県)

2014/07/25 (金) ~ 2014/07/25 (金)公演終了

満足度★★★★★

side Aという視点から
オーストラリアのカウラ捕虜収容所の集団脱走事件は、
日本で何度もドラマ化され、死ぬための悲惨な脱走が描かれています。
しかしオーストラリア側としては、その解釈に反論もあるようです。
捕虜たちは労働も免除され、自由な環境で厚遇されていた。
まさか死ぬために脱走を試みるとは思わなかった。
監視兵たちは予備役の再招集ばかりで、
しかも機銃陣地も日本兵の攻撃を受け被害が出るまで
発砲は許されなかったとか。
そうした状況を踏まえ、side Aというタイトルには、
オーストラリア側からの視点という意味が込められているのですね。
物語は、現代と当時の対比や、若者たちの感性の違い、
英語には字幕が映し出される演出などの工夫があり、
理解しやすくおもしろかったです。

メイツ! -ブラウン管の向こうへ-

メイツ! -ブラウン管の向こうへ-

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/10/29 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

輝いてる
子供の頃テレビで歌ってたアイドル達を思いだし懐かしい気持ちになり、すぐに物語に引きずりこまれてしまった。

キャラクター一人ひとりの成長や感情が伝わって来て、時に楽しく、時に切なく、涙があふれてしまった。
歌とお芝居のバランスの良さが、とても心地よく本当に楽しい舞台!

まだまだ後3回観に行くぞ〜

泥の子

泥の子

劇団 きみのため

劇場HOPE(東京都)

2014/10/29 (水) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

生きる望みと絶望!
そうそう、こういう芝居大好きです!
私には、大体群像もの=暗い、辛い、悲しい、切ないのである。
救いようのない絶望観を迎える度に流れるギター曲がそれをより感じさせる。
舞台セットに衣装ととても時代と戦後の悲惨な状況が良く感じられ素晴らしかったです。配役数も多すぎず設定が個性的で魅力的。
役者陣は見事に演じていました。

ネタバレBOX

自分さえも生きるのが困難な時代に弟の成長を生きがいに逞しく生きる姉の姿。隠し通したい過去をもち、本当の自分の姿だけで生きていくことがいかに難しかったということを踏まえて”小さくてもいいから望みをもって今を生きろ”と言われているようだ!



メイツ! -ブラウン管の向こうへ-

メイツ! -ブラウン管の向こうへ-

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/10/29 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

ハマったー、、
期待以上の作品。特にアラフォー以上には、ハマるツボ満載です。
演者さんのパフォーマンスに感激しました。
ぜひ、ぜひ、池袋へ。

泣いた雫を活かせ

泣いた雫を活かせ

ねじリズム

OFF OFFシアター(東京都)

2014/11/02 (日) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

ギターほしいんです!!
バンドを組もうと考えた14歳の少年・大谷が、エレキギターを欲しいと思ったがために、周りに巻き起こしてしまう悲劇。
それを後悔していると、一度きりと思っていた人生を何度もやり直すチャンスに恵まれるのですが、なぜか無限ループから抜け出せなくなってしまいます。
その中で気づく大切な人の存在。
果たして大谷は、無限ループから抜け出すことができるのでしょうか?
そして、大切な人を失わずにすむのでしょうか?
この作品を観て、人生って、どこかで微妙に影響しあっているんだろうなと改めて思いました。
大切な人の手を離すな!同じものを見るんだ!という田仲先生の言葉が心に残りました。
劇中で大谷が客席に配る『ギターほしいんです新聞』が、何気におもしろいです。(柊吾さんの手書き?)

水の戯れ

水の戯れ

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/16 (日)公演終了

満足度★★★

階段
この舞台、1番印象的だったのは“階段”。舞台中央の物言わぬものが、なんともいえぬ風情を出している“まさに物を言う”前半ラスト・後半ラスト共に印象深い。そして話はリアルに人間臭い。愛というより“固執”のような気がする
だから一度生まれた疑惑はなくなることなく、心に抑えきれなくなるくらい膨れ上がる。その苦しさは愛情の中に憎しみを産み出す。そんな生臭い人の心がよく見えて来る。演出は見事だったが、話としてはあまり好きになれない作品だった。

セカイを崩したいなら

セカイを崩したいなら

ねじリズム

OFF OFFシアター(東京都)

2014/11/01 (土) ~ 2014/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

熱血教師が島流しに
田仲という教師が、生徒がたった四人しかいない小さな島の学校へ左遷され、そこで起こるいろんな出来事のお話。
いきなり赴任してきた教師は、島で見つけた捨て犬のタロを相棒にして、島の学校でも熱血教師として、生徒たちに愛情を注ぎます。
でも、その島ではある不穏な出来事が水面下で着々と進行していました。
島と島民の未来は?熱血教師は生徒たちに何を伝えるのか?
捨て犬のタロと心を通わせることができるのか?
冒頭シーンが結末という構成ですが、その意味は最後まで観るとわかります。(一部謎が残りますが、それはもう片方の『泣いた雫を活かせ』を観てわかるようになっているという仕掛け)
観終ってみると、個性的な役者さんたちが演じる役が、どれもとても愛おしくなります。
通算10回目の記念公演とあって、今までの公演の思い出のシーンがあちこちに織り込まれていて、それを見つけるのもファンにはうれしいサービスで、記念公演を存分に満喫しました。

ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』

ピーター・ブルック、マリー=エレーヌ・エティエンヌ[フランス]『驚愕の谷』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/11/03 (月) ~ 2014/11/06 (木)公演終了

満足度★★★

「六根」は「空」である 「五蘊」は「空」である
『驚愕の谷』の先には、「般若心経」が見えた。



しかし、「王様は裸」になってしまうかも……は、さすがに言い過ぎか…。

ネタバレBOX

タイトルの『驚愕の谷』とは、ペルシャのアッタールの叙事詩『鳥の言葉』から来ているということは、前情報から知っていた。
ならば、目を通したほうがいいのかもしれない、と思ったのだが、どうやら長い作品らしいので、パスした。

簡単なストーリーを確認すると、「鳥たちが自分たちの王を探す旅に出る。その旅で7つの苦難(谷)を乗り越えていく。最後の谷が“驚愕の谷”」だという。物語のラストは知らない。
まあそんな前準備だけで公演に臨んだ。

キャサリン・ハンターは、前に『THE BEE』で見たが、今回もとても魅力的な女優さんであった。ほかの2人の俳優さんたちももちろんいい。彼らは何役もこなすのだが、さほど大きな変化をつけずに、さらりと別の人格を演じるのだ。白衣1つ、上着1つで。
そして、2人の演出家には、舞台に観客を惹き付ける力がある。

導入から展開、客いじりからラストまで、あるときは謎解きのように、またあるときはコメディのように楽しませてくれる。

物語の軸には、人間の脳(力)があった。

文字を見て色を感じたり、言葉を聞いて音を感じたりする「共感覚」を持つ人(々)が描かれる。
主人公は、共感覚を持つことでもの凄い記憶力を発揮する女性である。

この作品の中で、印象深いのは「無」について語るシーンだ。
「“無”は“無”」であるということに対して、共感覚を持つ女性は「“無”はある“”」と言う。
そして、劇中で行われたマジックで、観客に「伏せたトランプを当てろ」というシーンがある。
マジシャンは「nothing」と観客に言う。観客も何度か迷いながら「nothing」と言い、トランプを指す。
トランプは何も書いてないものであり、「nothing」であって、「nothing」のトランプは「ある」のだ。

このとき私の頭の中にあったのは、「空」である。
「色即是空」の「空」。
「般若心経」に出てくる「空」。
さらに「般若心経」には「色即是空」のあとに、びっくりするぐらい「無」が大量に出てくる。

「空」と「無」。

お釈迦様はすべてが「空」であると説き、さらにお釈迦様が達した悟りまでも「無」であると「般若心経」で説いたのだ。
「空」と言ったのは、「五蘊(ごうん)」であって、「六根(ろっこん)」である(と思う)。

「六根」とは、人の感覚のことを指していて、「目、鼻、舌、耳、身、意」のことを言う。
ここでこの作品につながったのではないか。

すなわち、「共感覚」という、「人の感覚」=「六根」が、普通の人とは違う形で働く人々の、その「感覚」も、「空」ではないか、ということなのだ。

共感覚によって脅威の記憶力を持った女性は、その能力によって苦しめられていく。
記憶したものが頭の中から消えないのだ。
彼女は、言葉や数字などを記憶するときに、「映像」に置き換えていく。
これは、円周率を覚える人が、数字を別の言葉に置き換えてストーリー化していくのにも似ている。なので、劇中でもテクニックではないか、と言われていたりもした。

しかし、彼女の場合はそうではなかった。
彼女はその能力によって仕事を失い、さらに窮地に追い込まれていく。
「A」が「ピンクだ」と言った男も、その感覚によって、孤独感を味わっていた。

彼らは等しく、その「能力」に振り回されていた(る)と意っていい。
(唯一異なるのは、舞台の上で演奏しているピアニストだったが)

共感覚がある彼女は、「無」を「ある」と言った。
つまり、彼女には「ある」のだ。

彼女にとっての、最後の試練、つまり「驚愕の谷」は「共感覚」ではなく、「ある」であったのではないか。

すべてが「空」とするならば、彼女は「驚愕の谷」を超えることができるのではないのだろうか。
しかし、彼女の「共感覚」が「空」とすればすべてが終わるわけでもない。
そういう考え方に立つこと、「空」の上に立つことができれば、の話であり、この先は、誰にも説明しようもない境地に達することになるのだろう。

だから、最後は、「演技」でもなく「台詞」でもない、「横笛の演奏」によって静かに終わる。
オリエンタルな響きの横笛は、やはり東洋的な「神秘」のようなものを感じざるを得ない。

この作品の演出は、非常にオーソドックスなものであった。
しかし、先にも書いたとおりに、静かな展開にもかかわらず、惹き付けるものがあった。

例えば、敷布の上に、計算されて置かれたイス。
「内」と「外」(物理的、あるいは意識的な)をうまく分けていた。
特に冒頭のシーンでは、両端の2脚だけが、敷布と外の両側にかかっていたりした。

脅威的な記憶力を発揮するシーンもうまい。
すべての単語を発するわけではなく、そのバランスがいいのだ。

とは言え、見ながら思ったのは、今の日本の演出家(特に若手の演出家)だったら、これをどう見せただろうかということ。
つまり、ブラシで床や壁に絵を描いていくシーンでは、照明だけでなく、ビデオプロジェクターで舞台に鮮やかな色彩を見せたのではないだろう。

あるいは、記憶力抜群の女性が文字にまみれていくシーンを描くときには、ビデオプロジェクターで文字を実際に映し、彼女を文字に埋めたのではないだろうか。特に後半、女性の中から記憶が消えなくなり、黒板の数字も消せなくなったシーンのときは、舞台は映像の文字まみれになったのではないか。
そのほうが、しっくりきたし、誰にでもわかりやすい。刺激的でもある。

この作品ではそうはせず、「台詞」と「演技」、そして最小限の「セット」と「照明」だけで、観客のイマジネーションを刺激した。
何でも具体的に(手軽に)見せてしまうことは果たして良いのだろうか、という問い掛けにも感じた。というわけもはないが。

もちろん、今の日本の作品には、先に書いたように「文字を溢れ出させる映像的な演出」の少年王者舘やハイバイの『霊感少女ヒドミ』なんていうのもあり、「単に映像で、説明的に見せる」の「先」へ行ってしまっているものもあるのだが。
ピーター・ブルックさんが、これらを観たらどう感じるのか知りたいところではある。

そして、「ピーター・ブルック」もまた「空」である。
(は、面白いから書いただけで、それほど意味はない)

とは言え、今回の作品を見て思うのは、正直、ピーター・ブルックさんを少し特別視しすぎていること。
私も、もちろん含めて。なにせ、静岡まで『WHY WHY』を見に行ったクチなのだから。

確かに、(それなりに)面白いとは思うのだけど、今回の作品で言えば、私は下敷きになっているアッタールの『鳥の言葉』をまったく知らないということ、さらに英語はネイティブではないということ、で作品の中に、うまく入り込めなかったのだ。

「アッタールの『鳥の言葉』ぐらい前もって読んでおけ」というのではたまらない。
それを知っていれば、「より楽しめた」ぐらいの作品でないと辛い。
特に冒頭のシーンと、不死鳥のエピソード、ラストのモノローグは『鳥の言葉』からの引用ではないのだろうか。
これらと、私のようなレベルの観客とを、もう少しつなげる「何か」の「工夫」がほしい。

英語だって、字幕があればいいということではない。
作品に届ける力があれば、その壁はやすやすと乗り越えられるはずだ。
かつて、台湾の作品で字幕がまったくない舞台を観たことがあったが、十分に伝わった。
それが誤った受け取り方であったとしても、「伝わった」のだ。

今回の作品では笑いがたびたび起こった。
中でもトランプマジックを見せるシーンが一番笑いが大きかった。

観客の中から3人が次々舞台に上げられ、トランプマジックの相手をさせられるというものだ。
この笑いの中心は、「英語がよくわからない」ということに尽きてしまう。
もし、日本語だったら、ああいう形での笑いは起きていないだろう。

「笑い」を意図していたかどうかは別として、当然「伝わらない(伝わりにくい)」ことは、折り込み済みではないのか。
だったら、このテーマにおいては、それを作品に生かせる方法はもっとあったと思う。
役者が、英語が伝わらないことにシビレを切らして、字幕を指さしてしまう、というのは面白いのだが、その「面白さ」の先がほしいのだ。
そうでなければ、英語の伝わり方が微妙な日本で上演する意味はない。

非難を恐れずに言ってしまえば、今回の作品は、「西洋人にとって神秘的でオリエンタルな素材(アッタールの『鳥の言葉』)を下敷きにして、人間の脳(力)に触れつつ、客いじりで笑わせて、それらしいモノローグと、オリエンタルな香りのする神秘的な笛の音で、意味ありげに終わらせた」ともいえてしまう。

演劇人の方たちや、目の肥えた観客の方たち、「『鳥の言葉』ぐらい常識だよ」の方たちは、また違った感想があると思う。
しかし、私は、この作品が下敷きにしている雰囲気や、投げっぱなしに感じてしまったラスト、つまり、「伝えること」をおざなりにしてしまった(と感じた)ことは好きになれない。

で、「ピーター・ブルック、また来年来るよ」と言われたら、どうするか。
私は「行く」と答えてしまうだろう。
だって、ミーハーだから。
パパのデモクラシー

パパのデモクラシー

劇団 江戸間十畳

ウッディシアター中目黒(東京都)

2014/10/05 (日) ~ 2014/10/13 (月)公演終了

満足度★★

心に沁みる
戦後の話し
飢えに困り果てたのが過ぎて、お金が欲しくなってきた時代の話し

2014年に、敢てこの時代の舞台を観ると、本当に有った事なのだろうか?
そんな気分になれる。

恐らく、リアルに時代を表現して居た舞台だったからだと思います。

混乱の時代を考えさせられる舞台でした。

非常に良いと思いますが、解り難い部分がどうしても、気になってしまいました。

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