太平洋序曲
梅田芸術劇場
日生劇場(東京都)
2023/03/08 (水) ~ 2023/03/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
異色のブロードウエイミュージカル。第一に複雑で前衛的な音楽に驚いた。口ずさめるようなメロディーは(最後の「NEXT」以外)全くない。第二に、出てくるのは男ばかり(メインキャストの唯一の女優の朝海ひかるの役は将軍慶喜)、恋も愛もない。第三に、物語らしい物語もない。狂言回し(山本耕史)のナレーションでつなぐ、ペリー来航~明治天皇登場までの日本の幕末史のエピソード集である。
古き良き日本の暮し、ペリー来航、ジョン万次郎(ウェンツ瑛士)と浦賀奉行(海宝直人)の俳句(ポエム)連歌、浜辺の小屋内での秘密外交交渉を覗き見た人々の「木の上で見た」などなど。攘夷派と幕府の剣劇シーンは見ごたえある。音楽が複雑で、最初はなじめないが、簡単に割り切れない分、見終わっても何となくあとをひく感じ。ソンドハイムの音楽は、他も意外と複雑なようだ。「リトル・ナイト・ミュージック」は大竹しのぶでさえ苦労したと聞いた。恐るべし。
バウムクーヘンとヒロシマ
ミュージカルカンパニー イッツフォーリーズ
俳優座劇場(東京都)
2023/03/26 (日) ~ 2023/03/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/03/29 (水)
バウムクーヘン大好きな少年颯太が、あのバウムクーヘンで有名なユーハイムの創業者カール・ユーハイムを似島で知ることによって戦争をも考えさる児童書をミュージカル化。
颯太の探求心の清々しさに一緒になって冒険しているように感じた作品でした。
豊後訛り節
劇団1980
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2023/03/25 (土) ~ 2023/03/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
状況証拠しかない中、世論も警察も、犯人と決めてかかる。その怖さがどれだけ伝わるか。保険金殺人の犯人とされた男の、ふてぶてしい反論が目立つ。そこに、犯人扱いされた反発はあっても、恐怖はない。真実はわからない。警察のハニートラップまがいの、拷問交じりの取り調べは面白い。しかし警察と男のどこまでも平行線の真向対決ぶりは、怒鳴り声の一本調子でどうも乗れなかった。
あでな//いある
ほろびて/horobite
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/01/21 (土) ~ 2023/01/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
注目のほろびてだが、漸く二度目になる今作は映像で鑑賞した。現代社会の矛盾が無言の内に噴き出す様を情景化した舞台。コンクリの床と正面奥の瓦解したコンクリ壁の残骸は物理的な破壊を表し、人物によって描かれる諸相はその背後の、荒涼たる人間の心の風景。両者の関係への考察が本作の原点である事が想像される。演劇が、芸術が掬い取る使命の核心を扱っている、というのが私の感想。
グッドラック、ハリウッド
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2023/03/29 (水) ~ 2023/04/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
アメリカのよくあるウエルメイド・コメディ。
すっかり売れなくなった脚本・監督(加藤謙一)が、会社の事務室で首をくくろうとしていると、そこへ、向かいの部屋を割り当てられた新人の契約脚本家(関口アナン)が部屋を間違えてやってくる。昔は少しは名作もある監督だが、頑固でうるさ型、時代からも取り残されてしまっているのだが、映画への情熱は消えない。助手(加藤忍)に慰められ、若者の提案に乗って、自分は陰に回って、自分の脚本を若者を表に出して実現させようと仕組む。なんだか、こんな話、マキノノゾミにあったなぁ(漫画家の話)と思いながら見た。
いろいろあって映画はできあがるのだが、老若二人は仲違い。しかし老監督は仕事をしたことで元気を取り戻しす、といういかにもカトケン好みのアメリカ的なコメディである。
加藤謙一はほとんど2時間台詞だらけなのに初日から全く噛むこともなくうまいものだ。
しかし相手役がいかにも非力で、安心して笑っていられない。加藤に対しきっちり若さで対峙しなければ面白くない若者新人の役は関口には荷が重すぎるし、加藤忍はこの事務所が生んだ良い女優だが、ベテラン中年女性を演じるには年齢が半端になってしまった。そういえば、加藤謙一も、つかこうへいの後、「審判」や「寿歌」をやった頃のちょっと不気味な迫力がなくなって、うまいだけの中年の俳優になってしまった(戯曲によってはどんな役も出来ると若い頃を知っているものは期待する。しかし、事務所を背負っていると、それは出来ない)。それはそれでいいのだが、芝居で生き抜くのはなかなか難しいとも思った。いずれは「バリモア」なんか、うまくやってのけるのかなぁ。演出・チョコレートケーキの日澤雄介というのも期待してみたが、格別どうというところもなかった。アメリカのウエルメイドというのはなかなか手強い「橋田壽賀子的なもの」を持っているのかもしれない。初日で六割強の入り。やはり中年女性が主。
K2
滋企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2023/03/24 (金) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#太田宏 #佐藤滋 #伊藤毅
(敬称略)
とっても楽しみにしていた。アフタートークで知ったが、日本での上演は4つめのカンパニーになるらしい。日本初演が菅原文太と木之元亮だというのだから驚き。それ観たかったなぁ。前回の上演がパブリックシアターの堤真一と草彅剛でチケット争奪戦で大変だった。
その作品を、アゴラ劇場の狭いスペースでやるのだからたまらない。臨場感を想像するだけでゾクゾクした。
結論から言うと、良いとか悪いとかではなく、冷静に落ち着いて観終えた。きっとそれは内容も結末も知っていたことが多分に影響している気がする。そしてやはり、舞台の余白が物理的に少ないことで標高8000mの絶壁における畳二畳に満たないスペースの孤独を、美術セットのコントラストから感じることは出来なかったことが大きい。加えて、陽気さ(恐怖心や葛藤からの裏返しであったとしても)やハイテンションに葛藤を受け止め難かったように思う。冒頭に孤独を感じさせる時間を長く入れたら違うモノを感じたかもしれない。
剥き出しの鉄パイプで組まれた舞台セットは、見えている時の活用法よりも、暗転時に響く音の利用に高山の孤独や恐怖を感じさせる効果があったように思う。
あのサイズの劇場で上演したことに価値があったし、二人の俳優さんも好演していた。空間とどう融合させるか、演出のアイデアが光った。
今作の内容を知らずに観る人を羨ましく思う。
ヨツバリベンジ
E-Stage Topia
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)
2023/03/28 (火) ~ 2023/03/31 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
登場人物一人一人キャラがぶっ飛んでいるところがあって最初から最後まで飽きずに観られる作品だと思います。観るか迷ってるなら絶対観て損は無いと思います。本当に楽しいです。ツボ浅い方は笑い泣き用のハンカチ必須かもしれません。
ラストアンコール ~死者の夜明け~
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)
博品館劇場(東京都)
2023/03/23 (木) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2.5次元の舞台ですが、原作を知らなくてもすごく入り込める作品だと思います。死生観についてすごく考えさせられる物語だなと観劇して感じました。
日本の大人【追劇グループ Something+】
追劇グループ Something+
布施PEベース(大阪府)
2023/02/11 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
高校演劇の演目で「日本の大人」を観ることが多く、今回高校生が演じるのと社会人が演じる「日本の大人」に良い意味で違いがあり観ててすごく面白かったです。舞台美術が素敵で開演前からドキドキしてしまいました。
セチュアンの善人
清流劇場
一心寺シアター倶楽(大阪府)
2023/03/09 (木) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
心の中で抱えている善と悪の気持ち、人間それぞれにあるものだと思うけど、一方的に振れ幅が向かってしまうと自分への害を与えてしまう。そんなことを色々考えながら作品に見入ってしまいました。神様は中和のキッカケを与えようとしたのかな。2時間半という長編でしたが、時間を感じさせないくらい素敵な作品でした。
R/J 〜 42時間のイノセンス
アートプロジェクト集団「鞦韆舘」
藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)
2023/03/18 (土) ~ 2023/03/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
知り合いが出演しているcastBを観劇してきました。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をヘビメタ系の歌とダンスを交えて、作品としての軸をしっかりさせながら演じている役者さん達に見入ってしまいました。作品として恋愛悲劇で有名なだけでなく、現代につながるメッセージ性があるということも作中で表現されており、全体を通して素敵な舞台でした。
てんしごと
劇団WAO!
国立文楽劇場(大阪府)
2023/03/18 (土) ~ 2023/03/18 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ノンフィクションの物語がミュージカルとなっていて、役者さん一人一人の表現にパワーや熱量を感じすごく感動しました。
劇場内の大きな空間だからこそ出来る舞台だと思いましたし、舞台セットの工夫もされていてすごく満足でした。
グッドラック、ハリウッド
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2023/03/29 (水) ~ 2023/04/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/03/29 (水) 14:00
座席1階
初日の舞台を拝見。
いろいろなことを考えさせられる、見事な作品だった。この戯曲を選んだ段階で、半分成功していたのではないか。もちろん、残りの半分は加藤健一ら3人の登場俳優が思う存分その力を発揮したことだろう。
加藤忍は今回はいつもにまして、情感がこもった演技だった。過去の栄光が大きすぎて次のステップに踏み出せない老映画作家の背中をそっと押す優しさ、包容力が演技から十分に伝わってきた。主役の加藤健一をしのぐ出来栄えだったと思う。
もう一人、若手で勢いのある新人作家を演じた竹下景子の息子・関口アナンもよかった。ちょっと雑なところもあったが、まさに勢いだけで突っ走る若者をうまく演じた。世代交代というか、時代の波に乗る感じをとても長い手足を存分に使って全身で表現していた。
冒頭から少し驚かされる。天井の梁からぶら下がったロープで老作家が首をつろうとしているのだ。そこにたまたま若手作家が「部屋を間違えた」と入ってくるのだが、この若手作家がプロデュース会社と作品を世に出す契約を取っていることを知った老作家は、作品のクレジットから撮影監督まで自分はすべて黒子でいいので自作を使うようにこの若者を説得する。
斜陽と日出る勢い。そんな対比だけでなく、引き際の難しさや、いい作品と世の中に受ける作品が異なるという、映画演劇の芸術性と大衆性のせめぎ合いみたいなところも存分に演じられる。
今回は爆笑場面はないのだが、カーテンコールの時に起きる拍手はいつもより力強かった。
橋の上で
タテヨコ企画
小劇場B1(東京都)
2023/03/08 (水) ~ 2023/03/12 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
タテヨコ企画の演目は去年から注目し始めていて、『家族のカタチ』、『ゾウとパンダと見えない虹のはなし』とシンプルなセットながらも役者たちの卓越した表現力で今もなお心に残っている傑作ばかりだけど、本作も当然と言おうかやはり超絶傑作だった!
上記二作では割と日常の何気ない光景にフォーカスしたものだったが、本作では【精神疾患の母による児童殺人事件】というヘヴィなテーマながらも不思議と「日常からの逸脱感」はなくてやはり日常のリアリティを突き詰めつつもそこに止まらぬ「光」を根底に感じられるのはこのタテヨコ企画 ならではだと思った。
「モモ」
人形劇団ひとみ座
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/03/23 (木) ~ 2023/03/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/03/28 (火) 19:00
75周年記念プレ公演という事で初観劇。
「モモ」は何となく物語を知っている程度でしたが、
人形劇は全くの初心者なので、楽しみにしておりました。
殺伐とした感じが全然ないのは、恐らくスタッフさん含め長い歴史の中で
皆さんが家族みたいになっているのかなと。仲の良さが伺える芝居です。
初見としては、主役の「モモ」「ジジ」の2トップの掛け合いやセリフ回しが
快活で、アニメのアフレコを舞台で聴いている様な心地よさがありました。
音楽と歌もPOPで可愛い。暖かく、まとまりがあって良い歌なのです。
自分の座席が真ん中よりも後ろだった為、舞台を見下ろすような形で観劇しましたが
欲を言えばもっと前側の席から、人形だけが映えるように観たかったかな。
席が狭く、お隣と結構密着しながら…と言うのも少し気を使いました。
総じて心が温まる公演であったことは違いありません。
あげとーふ
無名劇団
無名劇団アトリエ(大阪府)
2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了
あげとーふ
無名劇団
無名劇団アトリエ(大阪府)
2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
若い男の子達が、それぞれ悩みや
夢を抱えて青春してるやんの感じとか
最後はやっぱり、みんなで一緒に
旅…終わりたい感が、じんわりしました。
あげとーふ
無名劇団
無名劇団アトリエ(大阪府)
2023/03/17 (金) ~ 2023/03/21 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
みてきました!
アケミは本当に笑いっぱなし!!
ABC全公演観たいなぁと思いました。
配信楽しみにしています!!!
あげとーふは、熱い青春と友情を感じました。最後は泣きました💦
女性ばんのあげとーふも観たいなぁ~
と思いました。
本人たち
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
STスポット(神奈川県)
2023/03/24 (金) ~ 2023/03/31 (金)公演終了
実演鑑賞
#古賀友樹 #渚まな美
#西井裕美(敬称略)
開演前と前説と開演のボーダーレス。そこに休憩までも。上演部分自体も作品として構築するというコトを取り払ったような造り。感じる人…感じ方によっては、演劇なのかと疑問に思うのではなかろうか。そういう実験的な試みを続けてきた彼等の現状、今を観ることができた。
言葉は意味を成しているとも成していないとも感じる部分が交錯する。会話もバイオリズムや周波数の違う個々の人間が紡ぐものであり、噛み合ったり噛み合わなかったりを繰り返す。
紡ぐ言葉も、句点が失われ、文を完結せずに別のことを放り込むので、主述が迷子になって、真っ暗な宇宙に放り出されて帰還できなくなったアストロノーツの気分。脳が疲弊した。
身体表現は少なく、楽しさは求められない。
今回は、持ち帰るものをあまり手にできなかった。
挿話エピソオド~A Tropical Fantasy~
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2023/03/14 (火) ~ 2023/03/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ストーリーも台詞も難解なものではなかったが、一言一言に複雑なものが込められているのは、流石、文学座の俳優陣。
小島役を女性が演じていたが、全く性別などは気にならなかった。特に、素敵だった。