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La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

劇団東京座

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/06/01 (木) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

近過去もの。
予想していたよりも深い内容。

ネタバレBOX

お父さんのエピソードをもっとみたかったかな。
ココノイエノシュジンハビョウキデス

ココノイエノシュジンハビョウキデス

日本のラジオ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

#宮崎雄真 #日野あかり
#澤原剛生 #神山慎太郎
(敬称略)犬組初日
綺麗なお姉さんが好きなら観なきゃ損。薄幸の美女が健気に生きる姿なんて、オトコにはこの上ないご馳走のはず。堪らない。薄幸の美女は、文字通り闇をかかえている。いや、闇に包まれている。それも真っ暗闇ではなく、薄ぼんやりとした靄のかかった闇。彼女は人生を手探りで生きている。それを支えるのは天使か悪魔か。
そこにいる人も居ない人も、人は皆それぞれの闇を抱えている。生き辛さの中でもがいている。
彼らは闇から抜け出すのか。アナタは⁉️

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

劇団東京座

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/06/01 (木) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

劇団東京座

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/06/01 (木) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タイトルにイタリア語がつかわれていることから察しがつくように、プッチーニ等の曲が使われる等選曲のセンスがグー。時代設定はバブル崩壊後、“リーマンショック”を経て日本に淀んだ空気と、何の未来も感じることができなくなった閉塞期に高校2年になった少年、少女たちの話である。若者たちが育った時代は、自殺者毎年3万人超え、中でもポスドクの自殺率は異常に高く確か当時平均の十数倍に上った。タイトルと物語のギャップに注目して観るべきだろう。追記後送

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

劇団東京座

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/06/01 (木) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「La Vita é Bella」…イタリア語を邦訳すると さしずめ「人生は美しい」だろうか。
しかし、物語はそう美しく簡単なものではなく、今を生きる若者たちの<現在>ある世界(情況や状況)ができる背景や要因について、その親の世代が若者だった頃に起きた<出来事>に遡ってリアルに描く。バブルに浮かれ、その崩壊で人生が狂う。今あるのは失われた20年の世界、これから真面目に生きても夢や希望が持てるのか。いや そもそも「真面目」に生きるとは…その価値基準は誰がどのように決めるのか。今の高校生たちは生き方を模索し始める。

少しネタバレするが、物語は1988年から2008年頃の社会情勢とか世相を背景に、高校生という年代特有の悩みや葛藤を軸に瑞々しく描く。そして今後の人生の選択をどのようにするのか。黒猫 幽霊の予言…お前の世界はもうすぐ壊れる。そして<扉>を見つけるだろう。その扉を開けるか否か。

劇中、アコースティックギターを弾いたり イタリア音楽が流れる。抒情的なシーンが思春期の甘酸っぱさを演出する。
当初 2時間30分の上演時間(予定)が15分程延びているが、敢えて高校卒業後の世界まで観せたかったのだろうか。ラストの描き方は観客の好みによって評価が分かれるかも。
(上演時間2時間45分 途中休憩10分)

ネタバレBOX

舞台美術は、上手に段差ある台、中央奥に透明なフィルム張の壁枠、中央から下手にかけていくつかの白い箱。場面に応じて箱を並べ 積み上げることで情景を変化させる。この劇団らしい手作り感に温かみを感じる。また時代を考慮し、小道具はガラケーを使用するなど細かい。

高校2年までの聡介は、地方の公立進学校に通う成績、素行の優秀な優等生だった。しかし、3年生になってから、アコースティックギターを弾き、酒を飲み、タバコを薫らせる。そんな不良生徒へ変わっていた。親友の綽名 キョーダイは家族全員が京大卒というプレッシャーの中で京大を目指している。もう一人の親友 将太はユキにラブレターを書く。聡介の恋する涼子は、予備校の講師と不倫をしているが、そのことを聡介は知らない。この5人の男女高校生が織りなす青春群像劇。

聡介は、髪を金髪に染めタバコを吸っているところを教師に見つかり停学処分。教師に染めた髪、喫煙は誰にも迷惑をかけていない。校則は自由を縛る拘束のようだと、教師に突っかかる。一方、涼子の不倫相手には、結婚しているのに女子高生と恋愛するのは といった倫理観を口にする。相手からは理屈ではなく感情が…自分の行動と思考の矛盾、その自己本位な姿が高校生らしい。

後半は1988年バブル期、聡介の父は株投資で儲け破綻した典型的な庶民。この時 聡介は10歳で、両親の苦悩する姿を見ている。派手な衣装、ジュリアナ扇子を振り踊る、札をばら撒くといった演出が当時を象徴している。一転 地味な割烹着、質素な暮らしへ。親は聡介に進学高校⇒難関<一流>大学⇒大企業といった希望を託し、聡介もそれに応えようとしていたような。

高校最後の夏、どこからかライオンが逃げたとのニュース。聡介と仲間たちは、ライオンを探すべく、ネット上で目撃情報のあったという山へ出かける。その夜、5人で語り明かす夢や希望が、その年代特有の苦悩や葛藤に苛まれながらも、懸命に生きようとする姿に重なる。そして夜明けにライオン(勿論 比喩)が現れ―。青春時代の印象深い思い出がクライマックスかと思ったが、10年後迄描く。
今28歳になった彼ら彼女らの姿、自己同一性は…ぜひ劇場で。
次回公演も楽しみにしております。
La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

劇団東京座

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/06/01 (木) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/01 (木) 18:30

「La vita è bella」これは「Life is beautiful」のイタリア語。
「人生は美しい」と言う直訳の副題には「とある優等生と壊れた世界」
一筋縄ではいかない人生には、自分の思い通りにならない事が沢山ある。
思春期ならではの葛藤、自己同一性、両価的感情、恋愛感など
想像以上に生々しい描写が舞台上で表現される。シンプルだが奥深い。
イタリアオペラの持つ、知的でずる賢いイタリア人女性と詩的で情熱的なイタリア人男性。
これを田舎の青年たちに照らし合わせて観てみると、より良作に感じられると思います。

ネタバレBOX

一見、日本の田舎話と西洋音楽の組み合わせはミスマッチかと思いきや
青春群像劇をオペラ作品の音響と合わせたのは心が揺れました。良かったです。
段々と観客側が登場人物の世界に没入して行けるような作品かと思います。

「気になったこと」
冒頭部で声楽曲を音響効果に使うのは、ちょっと無いかな。
音量を下げても、オペラ歌手の声が役者よりも気になります。ドミンゴかな?デルモナコかな?
聡介くんの声と敵対してしまうので、発声がより映えるような選曲をすべきと思いました。

涼子さんの不倫時に入るQuando me'n voだったかな。
あの演出はマッチしていてエロい。脳に刻まれるシーンです。

何度か出てくる聡介くんの弾き語り。
コードが合ってないフレーズが何か所かあって、個人的に気になりました。
せっかく泣ける所なのに成立してないコードで歌が入るとざわざわします。
声楽曲やクラシック音楽をモチーフにしているので、劇中曲も合唱曲のような
選曲にした方が統一感が出るのかなとも感じました。
アビリティイレブン

アビリティイレブン

Monkey Works

シアターサンモール(東京都)

2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

超能力者たちが繰り広げる果てしなきバトル
久々にここまで馬鹿馬鹿しい演劇を観たな~って感じ
これが悪口ではないのは公演を観れば分かってもらえるはず

Monkey Worksさんは、こういうタイプのコメディーも演るのですね
(本当は笑いだけではないのだけれど、そこはネタバレ注意)
若くて元気な役者さんが沢山集まれば、確かにアリか と思えました

コスモポリタン

コスモポリタン

U-33project

王子小劇場(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

平安さんが演るはずだった役、てっきり姫志望かと思ったら、実は漫画家志望かあ。
平安さんの姫志望役を見たいと思ったので。

ネタバレBOX

沼袋さん役が知り合いに似ていたから、もしやと思ったけど、別人だった。
海の木馬

海の木馬

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/05/30 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/01 (木) 14:00

座席1階

終戦直後に福岡で起きた爆発事故をテーマにした「飛ぶ太陽」。この事故では大手メディアが報じず事故そのものがなかったことにされようとしたというが、今作で扱った海の特攻隊「震洋」の爆発事故もあまり報道がなく、歴史のかなたに葬られたという共通点がある。「飛ぶ太陽」では舞台のイメージは赤色だが、今作はブルーの舞台美術で彩られている。

結論から言うと、これも傑作だ。いつもの桟敷童子に比べれば派手な舞台美術や演出はないが、兵隊たちが「自分たちは死んで真っ白な砂になるんだ」という言葉を象徴するように、天井から幾筋もの白砂が落ち続ける。砂に無言で語らせる悲しみ、涙、怒り、そしてむなしさ。戦争という愚かな行為を告発し続けている。
特攻兵器「震洋」はベニヤ板に車のエンジンを積んだだけというお粗末なもので、これでは敵艦に体当たりするどころか、うまく沖へも出られないというシロモノだった。よしんば特攻が軍事作戦の一つとして認められたとしても、こんなものに兵士を乗せて出撃命令を下した当時の軍部はあまりにも無能で、作戦の指揮に値しない。軍事作戦として成立しない出撃で命を失った当時の若者たちは本当に気の毒で、涙が出る。

軍事機密と言って震洋から村人たちを遠ざけていたが、村人たちはとっくにこの兵器のあほらしさを見抜いていて、海に入っても進むことができない「海の木馬」と揶揄していた。爆発事故は天皇の玉音放送があった翌日、戦争は終わっていたのに、玉音放送が雑音が多くて聞き取れなかったためか、あるいは玉砕まで戦い抜くという狂気の軍幹部の命令か、情報は錯綜して出撃命令が出ては待機ということが繰り返される。そして、震洋の漏れたガソリンに引火したことをきっかけに次々と爆発が起こり、部隊はあっという間に壊滅する。

この物語を、老境を迎えた生き残りの兵士が当時の震洋基地と時代を行き来して語っていく。この兵士を八十歳の小野武彦が演じきった(お見事でした)。脇を固めた桟敷童子の劇団員たちは相変わらずの熱演で客席を満足させた。今回、自分としては、特攻隊員たちを宿泊させたことで交流が生まれた村人たち(主に女性)で、勤労奉仕隊副隊長を演じた板垣桃子が出色の出来だと思う。また、旅館を経営する夫婦の次女を大手忍が演じたが、これまで彼女が見せてきた強烈な演技からするとおとなしい感じもするが、注目度は抜群だ。

チケットは千秋楽までほぼ完売という。桟敷童子に対する客席の期待の大きさを表している。

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

La Vita é Bella ──とある優等生と壊れた世界

劇団東京座

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2023/06/01 (木) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ギターの演奏がとてもよかった。
懐かしい感じで、自分の青春時代を思い浮かべながら観た。
観る前は高校生の物語で、ついて行けるかと心配したが、父母の話や、かなり大人っぽい話などもふんだんに入り、おもしろい。
高校生から年配の人まで観れる。
ストーリーもわかりやすくおもしろい。

2時間50分は長かった。
腰が痛くてバタバタしてしまいました。
もう少し短いと助かります。


個人的には、ギターを弾いていた風河駿さんの演技が、とても良かった。
いろいろなキャラの人がいて楽しい。
特に、[いつものくれ]と言っているおじさんがおもしろい。
お弁当の温めのところが、おもしろくて笑える。

[ライオン]は何を意味しているのか、今も考え中です。
これから観るかた、考えてみるとおもしろいかも。


フィクション・モテギモテオ 2023

フィクション・モテギモテオ 2023

ライオン・パーマ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/05/31 (水) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 前回のモテギモテオは下北上演ということもあって、どこかサーフィンのような軽やかさを感じさせる若者向けの笑いが本当に世の中を席巻してゆくような爆発的な面白さが連続の舞台であったが、今回大人の街、赤坂となると笑いも擽りも当然仕込まれてはいるものの、もっと大人っぽい。丁度映画「トータルリコール」が味わわせてくれたような恐ろしさ、と哲学的な思考にも繋がるような深さを見せてくれた。間に10分の休憩を挟み、2時間半を若干超える長編。無論、片時も目は離せない。様々な仕掛けもあるので、ここから先は観てのお楽しみ。追記は楽頃。

Endless SHOCK

Endless SHOCK

東宝

帝国劇場(東京都)

2023/04/09 (日) ~ 2023/05/31 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本編を観劇しました。
歌・ダンス・フライング・殺陣・和太鼓・階段落ちと沢山の要素が詰まっていて、正にエンターテインメントでした。
主役の堂本光一さんは、喉の調子が悪いのか、歌が本調子ではないように感じましたが、素晴らしかったです。
揃ったダンスは圧巻で、オーケストラの生演奏も豪華でした。
チケット入手が困難な作品ですが、観る事が出来て良かったです!

死んだら流石に愛しく思え

死んだら流石に愛しく思え

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/05/31 (水) 14:00

135分。休憩なし。

海の木馬

海の木馬

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/05/30 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
物語は、海の特攻隊「第128震洋隊の悲劇」を 昭和20(1945)年初夏から同年8月16日迄を中心に描いている。”人の噂も75日”というが、今年で戦後78年になるが けっして戦争という<不条理>を忘れてはならないことを訴える。今まで観た桟敷童子公演に比べると舞台装置はシンプル。しかし それゆえ人物が焦点になり、心情が鮮明に浮かび上がってくる。

舞台は高知県の秘密軍事基地と周辺漁村。特攻隊員が出撃するまで民家に投宿したことで芽生えた心情、民間人との交流を通して自分の家族への思いを馳せる。電波状況が悪く玉音放送が聞き取れず、情報が混乱したことで悲劇が…。演劇という虚構と実際の出来事、その虚実を実に巧く紡いでいく。軍人・民間人それぞれの立場や情況等の違いによって抱く思いは異なる。その心情を情感豊かに演じる役者陣の演技が凄い!

「海の木馬」は、震洋一型と名付けられた機体が海上を進めない<木馬>のようだ と。名は、太平洋を震わす を意味するが、実態はお粗末な機体に人を乗せて特攻させる。そこには期待もなく、<死>だけが横たわる という皮肉が込められている。天井から一筋の滝のように流れ積もる砂、その高さの分だけ悲しみが…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、葉に覆われている または氷柱が重なった様な妖しげな光景。まるで海中のシダ洞窟にいるような感じ。青白い照明があたると実に幻想的だ。この世とは思えない、そう、登場するのは18~19歳の震洋一型に乗る特攻兵4人、うち1人青柳周平(小野武彦サン)は生き残った。当時と今を生きる青柳を通して時代間隔を表している。物語では<戦時中>を遠くに追いやることなく、地続きの現代の事として描く。この4人と部隊長・艇隊長・整備隊員2人が軍人、投宿先は村上旅館、訳あって今は営業していない。そして勤労奉仕隊の女性たち。その軍人・民間人の温かく仄々とした交流を無情に引き裂くのが戦争(特攻)。

飛行機での特攻を志願したのにと …しかし震洋一型は薄いベニヤに車のエンジンを搭載という粗末な機体で、既に戦闘能力ある武器が製造できないことを物語っている。そして終戦の翌日、混乱した情報に翻弄された隊員達が出撃しようとするが、燃料引火による爆発で111名が死亡。自分はこの事実を知らず、この公演で知った。当日パンフでサジキドウジ氏が「あまり報道がなく、責任も追及されず、歴史の闇に埋もれた」と記している。この公演では「記憶の蒼が引き裂かれ、繋ぎ合わせてあの日辿る…」が謳い文句、同感である。

国家機密も軍事機密も軍民一体となった暮らしでは隠しようもない。同時に 人としての情愛が生まれるのもあたりまえ。焼酎をふるまい、少ない食材でカレーを提供する、軍人さんは 生き神様と崇める。逆に、特攻隊員は民間人を守るため 自分の命を…。ラスト、村上家の次女 珠子(大手忍サン)が青柳のあんちゃんに向かって「卑怯者、生きるのが怖いのか」と叫ぶ。青柳は、自分だけが生き残った無念、声にならない心の慟哭が痛ましい。そんな姿を見せる演技に心根が震える。

舞台技術、特に照明は 壁面に人影を映すことで多くの人の存在を表す。そこには地元民だけではなく、日本のいたるところにある光景を観せている。そして椅子を振り上げた人影こそ、無言の怒り。椅子に座る青柳、天井の至る所から砂が流れ落ちるが、それは人骨、その高さだけ悲しみがある。胸がしめつけられる思いだ。
次回公演も楽しみにしております。
ジャンポール・ゴルチエ『ファッション・フリーク・ショー』

ジャンポール・ゴルチエ『ファッション・フリーク・ショー』

ファッション・フリーク・ショー実行委員会

東急シアターオーブ(東京都)

2023/05/19 (金) ~ 2023/06/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台の衣装の数々を見る限り、今後もゴルチェの服を着ることはないと思いますがとても楽しかったです。使われていた楽曲も「ハートに火をつけて」「マイウェイ」「愛の讃歌」など思っていたより馴染みのものが多いし、ほんのチラッとピンクフロイドもあったりして嬉しくなりました。
ゴルチェの半生はそう詳しく描かれているわけではなかったですが、好きを通すことってすごいなと思いました。

進

演劇制作体V-NET

TACCS1179(東京都)

2023/05/24 (水) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

どちらもしっかり作られているのが感じられました。
面白かったです!

海の木馬

海の木馬

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/05/30 (火) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

号泣した。ほぼチケット完売らしいので、観客にとってこの劇団の評価はもう間違いないのだろう。それでも何とか観て欲しい。
主演の小野武彦氏(80歳!)の物凄さ。何かしらの賞を設けないと申し訳ない程の存在感。このキャスティングで今作の重厚感は保証済み。
戦後78年、気持ち悪くなる位現在の空気感とリンクしていく昔話。何度も何度も嫌になる程聞かされてきた太平洋戦争の話なのにそれでも涙した。岡本喜八に『肉弾』のように撮らせたいネタ。小野武彦氏が現在の姿そのまま、青年時代の回想に混じる演出は大林宣彦風味。これが効いている。吉田知生(ともき)氏、前澤亮氏、藤澤壮嗣(そうし)氏と共に一瞬の光芒をまたたかせてみせる。高知県の静かで美しい海辺の旅館にお世話になる特攻隊員達と住民の仄かな交流。

美術の塵芥(東憲司)氏の流石の舞台美術。会場に入れば水色の紐やビニールが中空に無数に張り巡らされている。幾何学模様の青いラインアート、海底から見上げた空のような鮮烈な美しさ。そして天井から砂時計のように一筋に降り積もる砂。

すぐ舞台上に出演する役者達がギリギリまで普通にチケットを受け付け、場内を案内している物凄さ。オンオフの切り替えがプロフェッショナル。衝撃のラスト、カーテンコールが終わるとすぐにスタッフに戻る姿に震えた。化け物か。

増田薫さんが印象的。いろんな年代の人達でバラエティに富んでいた方が共同体の厚みが出る。
ヒロインは大手忍さん。特高に拷問され、足をちんばにされてびっこを引く少女。
勤労奉仕隊隊長に任命された石村みかさんも映える。
何と言っても焼酎おばちゃんのもりちえさんは強キャラ。常に自家醸造した強烈な焼酎を飲ませたがる。

子供の頃、戦争についての教育を延々受けて、悪いのは指導者だ、軍部だ、無知な民衆だ、なんて思っていたがどうやら違うらしい。誰にもどうにも出来ない時代の流れ。訳が分からぬまま放り込まれて、訳が分からぬまま死んでいく。(周囲に合わせて必死に分かった振りはするが)。生き延びた今も、本当に訳が分からぬままの小野武彦氏。死んだ奴等が亡霊となって纏わりつく。只々訳が分からない、それこそが人生。

ネタバレBOX

玉音放送の翌日、1945年8月16日午後7時、高知県香南市夜須町で第128震洋隊は出撃準備に入る。震洋とは、ベニヤ製の小型ボートにトラックのエンジンを搭載、250kg爆弾を艇首部に積んで敵艦に体当たりをする一人乗りの特攻兵器。ラジエーターやファンがなく海水で冷却する仕様であった為、爆発事故が頻発。この時の事故で160人の隊員中、111名が亡くなった。

ヒロインと主人公の仄かな恋物語なんかをもっと描き込んでも良かったかも。こういう役は天野はなさんがよく似合う。

神坂次郎の『今日われ生きてあり』に収録されている「背中の静(しい)ちゃん」、大石清伍長のエピソードを思い出す。
いきてるみ

いきてるみ

安住の地

調布市せんがわ劇場(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

第29回OMS戯曲賞佳作受賞作にして 第12回せんがわ劇場演劇コンクール オーディエンス賞受賞の記念公演…見巧者向けのようだ。

物語は四章で構成されており、何となく関連していることは分かるが、意図しているところを読み解くの(自分に)は難しい。チラシに「あなたの痛みも苦しみも、他人だからわかりっこない」、そう 脚本家の脳内を覗いているわけではないので、何を描き伝えようとしているのか本当のところは解らない。それは どの公演についても言えること。しかし 本作は、独特な身体表現・台詞回し、曖昧な背景など、具体的な説明を削ぎ落し緊密・抽象的に描いており、その表現手法に手強さをおぼえる。

言えるのは、2021年に京都で初演した時、「身体感覚による身体感覚のための演劇」と銘打ったとあり、身体を巡る物語であることだけは分かる。当日パンフには、四章のサブタイトルもなく、一~四章という構成と登場するモノ(者)が記されているだけ。内容<世界観>の面白さは、観客の感性に委ねているため 評価が割れるだろう。
(上演時間2時間10分 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

初演時に「小説から戯曲化された濃厚な言葉たちと身体表現の融合」とあり、演劇の<骨格>だけを提供<観せ>、そこから派生する 若しくは想像することを観客に楽しんでもらう といった公演、ではなかろうか。
舞台美術は、章によって異なるが、基本は ほぼ素舞台。

【第一章】
上手 下手に衝立、下手に箱2つ。登場するのは「生」と「声」のみ。
ニオイから始まると前置き、照明で暗闇がだんだんと明るくなり、ムーヴメント<動作>が見えてくる。片足がなく という身体性が語られ、またフェードアウトするように暗闇へ。ラストは母親の胎内にいる赤ん坊のよう…仰向けになり 両腕・両足を天に向かって伸ばす姿。

【第二章】
上手 下手に衝立、椅子が2脚ある診察室内。登場するのは、医師・看護師・患者・子ども。
医師と患者、患者と看護師、患者と子ども、子どもと医師といった、何となく連環するように二人芝居が続く。夫々の心情は直接 台詞と舞台上にいるプロンプターのような存在によって情況・状況が語られる。内面を読み取る<読心術>の攻防、手術によって切断した片足をどうするか。生=身体は生<ナマ>もの、切断した足は焼骨し骨壺へ。生きている人間が 自分自身<足>を供養するような奇妙さ。

【第三章】
雑多な段ボール箱、その中にある薄布に包まれた楕円物体。登場するのは、7・24・205という3数字で呼ばれる人?
新たに205が配属され、先任に作業手順を聞くことで物語が進む。ここが何処で、ナイフで薄布を取り除き 剥いているモノは何なのか、そして居るのは 人かロボット(定型的な動作)なのか といった得体の知れない不気味さが漂う。そして時々リーダー<7>が別場所へ呼び出され、24が突然居なくなる。何となく臓器の保存・保管業務のような…。

【第四章】
素舞台。登場するのは発表者・胎児。
第一章へ、といった展開。そこには生命の誕生が連想できる。

作・演出の私道かぴ さんが当日パンフに「他者はもちろん、自分のことだって何もわかりません」と。人の内心は勿論、身体的な痛みー身体欠損をしたこともない未経験者が、身体表現を通して人間<生>を描いている。四章を通して、見えない<心>を見える<身体>で表現する。その奇妙というか奇抜な発想がこの芝居の特徴であろうか。
次回公演も楽しみにしております。
最後に、公演へのご招待ありがとうございました。
STAY“A T”Home

STAY“A T”Home

オフワンズ

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2023/05/27 (土) ~ 2023/05/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bチーム観劇。激しく、切なく、コミカルで、リアルな会話劇。コンパクトにまとまって、実にいい。身につまされました。

『メメントの森』

『メメントの森』

ウテン結構

六本木ストライプスペース(東京都)

2023/05/26 (金) ~ 2023/05/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

価格3,500円

世界情勢を取り上げた作品の中でダントツで響いた。鈍器で殴られたような衝撃が襲いかかってきました。「何か」を恐れる登場人物たちの焦りや不安、それに慣れること、いつか恐怖心を忘れて日常化してしまうことがひしひしと伝わって気付いたらわけもわからずボロボロ泣いてました。良い意味でとても怖い作品でした。鬱くしい世界でした。
アンケートを書きたかったのですが、余韻に浸ってしまい、安っぽい言葉しか浮かんでこずお渡しできなくて持ち帰ってしまったのが個人的に残念でした。再チャレンジしたいのでまた配布してくださると嬉しいです。12月も楽しみにしております。

ネタバレBOX

ミニスカポリスのお姉さんが最後に言っていた「クール」についての解釈は最終的にネガティブに行き着いたのかポジティブに行き着いたのか、はたまた新しい解釈を生み出したのか。個人的に心に残るシーンでした。

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