最新の観てきた!クチコミ一覧

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消失

消失

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2015/12/05 (土) ~ 2015/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

演技巧者の舞台は
安心して作品に身を委ねられる。演出家の思いを見事に立ち上がらせる劇団員。緻密な舞台は信頼関係の成せるワザ。可笑しなことほど真面目にやるという鉄則を再認識した。八嶋智人さんの怒号にズシンと撃ち抜かれた。客席に、観られた感謝と、賞賛が満ちていた。

『うそつき』/『ジョシ』『紙風船』

『うそつき』/『ジョシ』『紙風船』

アマヤドリ

スタジオ空洞(東京都)

2015/12/21 (月) ~ 2015/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

うそつき
この劇団の虜になった作品。運命の出会いだった。これは、劇団内でキャストを入れ替えながらも、定期的にずっと上演し続けて欲しい傑作。スランプという人物が愛しい。看板女優の笠井里美さんが怪演した役を、中野智恵梨さんが挑んだ。スランプという役のイメージを新たにさせてくれた。最後のセリフがそれを確かなものにした。鳥籠のシルエットの下で遠い目をする彼女の目に映る未来に思いを馳せる。

『うそつき』/『ジョシ』『紙風船』

『うそつき』/『ジョシ』『紙風船』

アマヤドリ

スタジオ空洞(東京都)

2015/12/21 (月) ~ 2015/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

ジョシ
石井葉月さん双葉さんの双子による二人芝居。凄いことです。ザ・ピーナッツもマナカナもやってないでしょ。しかも、二人はやがて一人の役をする…いや、一人になる。そんなお話。イケイケの勢いで作品をリードする双葉さん。姉の葉月さんが、それをやや冷静に受け止めながら、ここぞというところでグッと踏み込んでくる。二人の関係は決して表と裏ではなく、その時々に使う方を選ぶ両刃の刃のよう。二人は動きだけでなくココロもシンクロさせていく。神業。

『うそつき』/『ジョシ』『紙風船』

『うそつき』/『ジョシ』『紙風船』

アマヤドリ

スタジオ空洞(東京都)

2015/12/21 (月) ~ 2015/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

新しい演出
もう何度も、色んな人が演出し出演された名作。それがこんなことになるなんて(褒めてます)。平体まひろさんが開場時から縫物。畳に座布団に正座…ではなく椅子という辺りから斬新。そして沼田星麻さんの歌舞伎ばりの見得で始まる。且つてない新しい『紙風船』を目撃した。台詞自体ははんなりとした文語調のままながら、驚くほどのドライブ感。その発語に呼応した踊るような身のこなし。まるでブレイクダンス。動きの速さと静止のキレ。なのに散りばめられたユーモアはまるで落語。二人の呼吸の良さに惚れ惚れする。30分とは思えない濃密な時間。

えのもとぐりむ作品集 第7部 人の類い、十二の亜種(卯・未・酉 編)

えのもとぐりむ作品集 第7部 人の類い、十二の亜種(卯・未・酉 編)

株式会社Legs&Loins

Geki地下Liberty(東京都)

2015/12/21 (月) ~ 2015/12/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

R指定
R指定の舞台は観たことがあっただろうか?過激な設定も思想も、エロティックなシーンも、舞台作品にはよくあるけれどR指定は記憶にない。だから逆に興味をそそられる。まんまと罠にかけられたかな?でも、こんな罠なら喜んでかかろう。大好きな藍澤慶子さんは、その魅力通りの役柄で美しくいじらしかった。キャストが皆、魅力的だったのは、キャスティングと演出のお手柄。舞台の上も、客席も、さまざまな覗きが仕組まれていた。でもそれは果たして、オトコの文化だろうか?頷ける部分は確かに多くあるけど、作品中にもしっかり、オンナが覗いている。イケナイことって甘美なこと。そっか、だからR指定か。

ネタバレBOX

オトナの作品だった。その照れ隠しのように笑いも散りばめられていた。何よりも、エンディングに瓜生明希葉さんの『フォークロア』に痺れた。🎵月夜の水面には…🎶うまいこと使うもんだなぁ。アレを通して存在を確認する隣人と囚われた女。アレの中に入れた指を舐める女の行為のなんとイヤラシイことか。ヘソの下の奥底が疼く。自分の中のオトコが疼く。男の目の前にいる純粋で健気で美しい女性を藍澤慶子さんが好演。彼女を手放す理由が見当たらないのが逆にリアル。売り言葉に買い言葉。言ってしまった罪悪感にマイは苛まれたのだろう。勿論、そこには嫉妬もすれ違った時間が作ってしまった溝も影響している。でも、あまりにも当然のことのように行われたFBやPC内の原稿の盗み見。イケナイことと自覚していても、感情が昂れば制御不能。客観視的オトコ目線で言えば、あんなに可愛くて愛してくれるマイを手放すなんてあり得ない。でも、マイにとっては、別の場所の風に吹かれた方がよかったのだと思う。過ごした時間と年齢が固執させていたものを振り払うためには、必要な痛みではなかろうか。彼女の幸せを願う。それにしても、なんでこうダメンズに美女は惹かれてしまうのか。マイを失っても佐藤さんが来るのだから、世の中理不尽だなぁ。確かに思わせぶりな佐藤さんだったけれど、どれほどの覚悟があっただろうか。彼は自棄になっていたけれど、結果、最も生きやすいカタチに身を委ねたように見える。未来への微かな希望を小指から得た二人には、容易そうに見えながらも超えることの出来なかった薄い壁。盗み見聞きしていたSEXを拒絶した時に、視線を失ったウサギは孤独の淵に沈み、自らオトコを求める。壁を挟んで、孤独からの救い主を求める二人…いや、四人。切ない。作品中では語られないけれど、佐藤さんが纏う憂いを長谷川葉生さんが好演。彼女の影にドラマを予感させる佇まいが妙に心をザワつかせる。ラストシーンの彼女の甲斐甲斐しさが希望を感じさせる。あの佐藤さんの姿が、作品の心臓に思えた。蛇から、禁断の果実と知った上で欲したウサギ。でもそれは鎖を首に巻く行為とは違うはず。ノアの方舟に乗せては貰えないと呟いた彼女が自ら漕ぎたした舟が泥舟でないことを願う。ここでしか生きられないと思ったエデンの園に「ここにワタシはいない」と言えた兎に幸あれ。★エロかったシーンベスト3★No.1は指舐め。そりゃそうでしょう。No.2は佐藤さんが望月に迫られ抵抗するも荷物を落とす場面。受け入れてしまう瞬間を見せられてゾワゾワした。No.3はマイの横顔を至近距離で見つめるオサムの視線。髪の匂いを嗅ぐのも含む。
黒いハンカチーフ

黒いハンカチーフ

る・ひまわり

新国立劇場 中劇場(東京都)

2015/10/01 (木) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

黒いハンカチーフ
観るつもりはなかったこちらの作品。
マチネに観たもので満足できなかったので
急遽当日券で観ることに。

気楽に楽しめて見終わった後のすっきりした感じ。
好きでした。
河原さんの演出はやっぱり好きだなと改めて。

ネタバレBOX

『TEXAS』『印獣』『万獣こわい』『ショーシャンクの空に』…
まだそんなに観てないけど。
河原さん演出なら信用してチケット買えるところある。

どう思うかは人それぞれだけど。

マチネ思いっきり小劇場もの観てのこちらを観ると
色んなことを実感。
演出が上手いのかもしれないけど。
見せ方が上手いのかもしれないけど。
差を感じた。

金額は違うにしても
満足したいという思いは変わらない。


この作品は
"映画『スティング』みたいなものを作りたいってマキノノゾミさんが書かれた"ってパンフで幕間に読み…
そう読んでしまったものだから
結末を先読みしちゃうよね。どんでん返し的なもの。
だけど騙された~!
騙されたからスッキリ出来たのかも。

座組みが良い雰囲気で役者全員素敵でした。

特に印象に残ったのは
いしのようこさん、おかやまはじめさん、伊藤正之さん
橋本淳さん、浅利陽介さん。

脇が素晴らしい方々で固められてる。
脇っていうか豪華すぎる面々。
それぞれがいい塩梅で舞台の上にいらして。


詐欺師が詐欺師にやられるって単純な話。
廻り盆で展開も早くて飽きないし
あまり深いところを追及せずに観て楽しめる作品。
こういうのがかえって難しいのかもしれない。


さらっと楽しめる心地よい舞台でした。




生涯

生涯

9PROJECT

劇場MOMO(東京都)

2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★

生涯
ポックリ往生したい舅。その息子の嫁と息子
そんな家族の物語。


9projectのお芝居を観るのは初めて。


ネタバレBOX

あと数冊しかないと言われてたパンフレットを開演前に慌てて買う。
少し折れていて
明らかに誰かの元へ1度渡った様子。

売り切れて役者から回収したと言ってたから
その中の1冊だったのでしょう。
こういうところから早くもガッカリ。


冒頭の岩崎祐也さんのモノローグのところで
いきなり泣きそうになった。

舅であるお父さんが出てきてドタバタし始めて
急に私の心は冷めていってしまった。

これは中屋敷さんの『飛龍伝』を観た時と似たような感覚。
奇しくも同じつか作品。

つかさんの作品はどうやら合わないらしい。


台詞も物語も響くのだけど
私がそのなかに入っていけない。

よくポックリ死にたいと言って
ポックリ寺にまで行ってた
亡くなった母のことを思い出したし
(本当にポックリ往生。私にほとんど負担なく…逝った)
色々とわかる内容だったから
入り込める作品なんだけど…ダメだった。


岩崎祐也さんは思い込めて最後の長台詞も伝わった。
丁度自分の席が視線が合うような場所で
訴えかけられる感覚でグッときた。


だけど…ダメだった。全体として。
私は揺さぶられなかった。この作品。

ぎゃんぎゃんと言い合う台詞の応酬もテンポが悪いように思ったし、
間がなんだか合わなくて違和感。

小川さんもこの短い公演で声を潰してらして。


色んなところで覚悟が感じられなく…


いのうえさん演出の熱海を近々観るのでそれでもダメなら
つか作品が私には合わないんだろう。

ラジオドラマの『生涯』は加藤武さんでとても良かったのだけどなぁ。

阿弖流為

阿弖流為

松竹

大阪松竹座(大阪府)

2015/10/03 (土) ~ 2015/10/17 (土)公演終了

満足度★★★★★

阿弖流為
新橋でも何度か観て大阪初日も観ました。

松竹座は新橋よりも舞台と客席が近くて
より熱を感じましたし
全体的に締まったのか、私が見慣れたからなのか、
とても満足した観劇となりました。

初見では少しの疑問もありましたが
わくわくする作品というのは間違いないですし
歌舞伎を観たことない方々を引き寄せたのは
やはりすごい作品なんだなと思います。

『心中天の網島』

『心中天の網島』

木ノ下歌舞伎

アトリエ劇研(京都府)

2015/09/16 (水) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★

心中天の網島
木ノ下歌舞伎は上演作品自体もわかりやすく見せて下さいますけど
それに加えサイトで事前に相関図なども載せたり、今回は音声ガイドなんかもあったみたいで。
それらをチェックしていなかったのですが
当日パンフにあらすじ、相関図が書かれてあり開演までの間に頭に入れて挑みました。

ネタバレBOX

まずチラッと耳にしていた舞台美術。
平均台がいくつも置かれている。
後でそれが網だとか川だとか橋だとかだったり、不安定な心情を表していたりということを知りました。

昔も今も人は皆そんな風にフラフラと危なっかしく生きているのかもしれません。


暗転からの明転。効果的でした。
何かが起こるだろうワクドキ感。

最初の曲は音程も怪しいような?ちょっと弱いなぁと感じてまだまだ没頭出来なかったけど
孫右衛門、治兵衛が出てきたくらいから
話が動きだし面白くなってきてすっかり入り込みました。

小春役の島田桃子さんは
『ロミオとジュリエットのこどもたち』で観たことあったけど
今回の役の方がこの方の良さが出てたように思う。
透明感が半端ない。
歌声も肌の白さも。
そら治兵衛も入れ込んじゃう。

小春も治兵衛を好きだったけど
おさんから手紙が届き…遊女という身から
治兵衛と離れる。

ここで歌われた『錆びた時計』良かった。

おさん(伊東沙保さん)と治兵衛(日高啓介さん)の二人のやり取りも良かった。
『箪笥の思い出』の歌もせつない。


そこから変化。
それまでは現代風な台詞だったけど
歌舞伎調になり、見得もきる。

ここでバイオリンを使っての義太夫節。

バイオリンの音で心情を表し、武谷公雄さんの義太夫節でより厚さ、深みが。
斬新なアイディアにこの作品に対する私のリスペクトはピークに。

五左衛門役の小林タクシーさん
前役の小春に横恋慕する太兵衛より
こちらの方が好きでした。

治兵衛と小春の道行きは
大好きな
糸井さん主宰ぐうたららばい『観光裸』そのもの。


いちゃいちゃしながら連なる橋を渡り歩く。
それは死に行く二人…


木ノ下さんが『観光裸』を観た時に感じた
「これは道行きじゃないか!」と。
そこから繋がった
糸井さんと木ノ下さんの縁。

『愛と死』は名曲でした。

4人がバックコーラスのように歌い始めるんだけど
長唄のようでもあり、コロスのようでもあり。
天から二人を見下ろしてるのか?神なのか?

ここの演出がとても好きでした。


木ノ下歌舞伎はいつも杉原邦生さんが演出されていましたが
この組み合わせも素敵でした。


西田夏奈子さんはやはり素晴らしかった。
FUKAI PRODUCE 羽衣『耳のトンネル』で歌の上手さは知りましたけど
バイオリンまで演奏出来るのは知らなかったのでびっくり。
声でも圧倒されました。
武谷公雄さんと西田夏奈子さんの存在はとても大きかった。


天邪鬼

天邪鬼

柿喰う客

大垣市スイトピアセンター・文化ホール(岐阜県)

2015/09/30 (水) ~ 2015/10/01 (木)公演終了

満足度★★★★★

天邪鬼
何回も観たけど
この会場でのこの日のものが最高に良かった。

音響、照明、色々とすべてにおいて素晴らしかった。

天邪鬼の世界に似合う劇場でした。

天邪鬼

天邪鬼

柿喰う客

AI・HALL(兵庫県)

2015/09/25 (金) ~ 2015/09/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

天邪鬼
柿喰う客の本公演は1度観ただけでは詰まってるものを拾いきれないことが多いけど
今回はまた一段とそんな作品。


結局5回も観てしまったのだけど
それでもなんだかよくわからないのです。

こんなこと書くと
そんな作品どうなの?と
思うかもしれないけど
私にとってはとっても面白くて好きで
やみつきでした。

ネタバレBOX

でも嫌いな人もいるはずだから観てみないとわからない。


今回は開演前の(開演してると思うけど)
ところでも
「来るもの拒まず 去るもの追わず」と言っていて。


『天邪鬼』は中屋敷さんが今までのものより
お客さんのことを考えずに書いたものとパンフに書いてあり
前述の言葉が響く。


それなりの覚悟を持って
来年10周年を迎えるこの団体が打ち出してきたもの
私は好きと思える作品で良かった。


前回の『世迷言』、女体シェイクスピアはそこまでガツンとこなかった。
世迷言は好きだったけど
そこまで衝撃的ではなく。

それが今回の『天邪鬼』は『無差別』に近い衝撃を感じて
また観たいって欲が出た。

劇団員だけというのも良かった。
世迷言客演の笹井さん、トミーさん、あっちゃんも良かったのだけど
柿喰う客劇団員のユニゾンの強みは
普段からの意思の疎通や共有がなせる技なのかなと思う。

公開稽古でウォーミングアップとしてやっていたゲームが高度過ぎて
アレを見ただけで他所の劇団とは意識が違うのかなって感じる。


初日観たあとは本当にどっと疲れて
(梯子観劇だったというのもあるけど)
ビックリした。

感想もまとまらない。
でもこういうのが私にとって好きであり良い作品なんだろうな。
何がどう良いかわからないんだけど
また観たいと思えるっていう。


涙が出る意味もわからず
ただ圧倒される。

「拍手はどうかご容赦ください。それは閉幕の合図」
ここのあまのじゅんやくん(玉置玲央さん)の圧にやられる。
虚構の世界に居させてくださいって懇願。

って思ったらしょうじきよしくん(永島敬三さん)の
「僕は本当は帰りたい」からの告白。

怖い。
何が実で何が虚なのか。
子どもなのか大人なのか。
もう何が何だかわからない。

いつもより笑いの部分が所々に織り交ぜられていて
こちらの気持ちが緊張と緩和の繰り返し。

それで余計に何だか
わからなくなってる気もする。
演劇的に何とか効果とか言うんだろうか。

育児放棄、幼児虐待、人種差別、侵略、戦争、
今の世の様々な問題の要素が含まれているのだけど
さらっとしているようにも感じる。

(しょうじきよしくんが灰皿代わりのすり鉢で殴られるところが3人っていうのは
前に聞いたその行為を軽く見せる効果なのか?
逆に重く見せてたりする?)

例えばポツドールの作品とかはすごく湿り気をかんじるのだけど
柿喰う客が残忍なことをしてるようなのでも
さらっとして見えるのは台詞のリズムとかが現実とは離れてるせいなのか。

圧倒的フィクション。

はじめて観た時、
あまのじゅんやくんはしょうじきよしくんが造り出した人物なのかなと思ったりした。
しょうじきよしくんは劇作家きどりってことだし。
最後の感じも。
月と太陽みたいな関係?
二面性みたいなの?

でも何回も観ると
違う?と思ったりもして。
わかんなくなってしまった。

ワケわかんないんだけども。
惹かれる。
なんだろうか。
大好きです。
ミュージカル「仮面ティーチャー SILVER MASK」

ミュージカル「仮面ティーチャー SILVER MASK」

Jnapi L.L.C.

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)

2015/09/16 (水) ~ 2015/09/18 (金)公演終了

満足度★★★

SILVER MASK
法月くん目当てで観に行きました。
アクションにちょっと物足りなさを感じましたが
全体的にうまくまとまっていて面白かったです。

小さいハコで観たかったかな。

南座 九月花形歌舞伎

南座 九月花形歌舞伎

松竹

京都四條南座(京都府)

2015/09/03 (木) ~ 2015/09/26 (土)公演終了

満足度★★★★★

あらしのよるに
とっても良かったです。
ずーっと面白くて飽きませんでした。
幕間も次がどうなるのか気になってワクワクしてました。

正直あまり期待してなかったのです。
最近、新作が多くて仁左衛門さんの言葉にも引っ掛かって
新作ばかりやる若手さんってのはどうなの?って思ってました。

だけどこれは歌舞伎でした。
歌舞伎の面白さがふんだんに散りばめられ
とても楽しかった。

阿弖流為より好きでした。

ネタバレBOX

色々と考えてみた。
阿弖流為はとてもかっこよくて面白いし
大好きないのうえひでのりさんの演出だし
照明も音楽もガンガンで良かったのですが
心の奥底で腑に落ちない部分があって…
中村屋も高麗屋も大好きなんだけど
なんだろう…この置いてきぼり感…って感じでした。
阿弖流為も良いのですけれど・・・

でも。
私の好きがいっぱい詰まった新作歌舞伎はこっちでした。

演出が藤間勘十郎さんでして
その世界のことを知る方々で作られたものは
"歌舞伎を観る"という様式があって
そこの美しさを感じました。

他とのコラボも好きですし
偏ってはいけないと思うけど。
こっちがしっくりきた!って感覚。

これは歌舞伎を観るのが初めての方にも良いと思ったし、
子どもさんにも観やすい作品だと思う。
そして大人も十分に満足出来ます。

絵本があることも、アニメになったことも
知ってはいたけど
作品には今回初めて触れました。
普遍的なテーマがあるから
これは古典歌舞伎になりそうな。

歌舞伎の古典は難しかったりするけど
これはとにかく楽しい♪客席降りもたくさんあって。


それでいて舞踊でちゃんと見せるところは見せて。
ちゃんと型を取り入れてあって歌舞伎なんです。



いっぱい笑ったし、いっぱい泣いてしまった。
松也さんの山羊めいの可愛さがたまらなく。
獅童さんの狼がぶの心根の良さと
二匹の友情…

市川月乃助さんの悪役狼ぎろがまた格好いい!
ここが格好いいから作品が成立するんじゃないかなと。

シェイクスピア劇ぽかったりもして。
萬次郎さんマクベスの魔女みたいでした。



絵本のあべ弘士さんの絵も劇場に飾られていてこれも素敵。
花道が緑!動物たちが駆け回る!

とても楽しい時間でした。






気づかいルーシー

気づかいルーシー

東京芸術劇場

兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)

2015/09/03 (木) ~ 2015/09/03 (木)公演終了

満足度★★★★

気づかいルーシー
松尾スズキさんが書いた絵本を基に作られた音楽劇。

なので子ども向けかと思いきや
大人が観ていて楽しいものをこっそり子どもが覗いて楽しむというスタンスらしい。

私はLINEスタンプから知りました。
なんとなく可愛かったのと松尾スズキさんが好きなので。




ベッド&メイキングス『サナギネ』で拝見した
岸井ゆきのさんがルーシー役。
『赤鬼』で拝見した小野寺修二さんがおじい役。
テレビや映画でも大活躍の山中崇さんが馬役。

このお三方が観たくて。


ネタバレBOX

ルーシーはとっても可愛くてちょっと変わってて
元気いっぱいに舞台で側転したり跳び跳ねたり。
岸井さんはサナギネの時の印象とは違って驚きました。

おじいの小野寺さんも
体の使い方はさすがに上手くて
(今回も多分振り付け担当されてるのかな?)
ちょこちょこ動くおじいがコミカルでとても似合ってました。

山中さんもこういう元気な感じ?(笑)を見たことなかったので新鮮で!
馬役だったのでゴロンと糞をしたり着ぐるみの姿が
面白かった♪


子どもはうんことか下ネタ好きだから
大喜びかと思うのですが
会場は大人がほとんどで子どもさんは両手でかぞえられるほど。

演者の皆様も残念に思ってたかもしれません。

ジェンガのようなセットで
カタチを変えてお城にしたり
そういう展開も見てて楽しかった。

色々と考えさせられました。
先日観た別のお芝居の家族の話でも
お互いの思いやり、気遣いが変な方へ行っちゃってたり
それが正解なのかどうかわからない思いの中で
この音楽劇もなんだかそういう気遣いが巡りめぐっていて…
それが良いことであったり…悪いことになったりもして。


"すぎたる気づかいはおよばざるがごとし"

なんだけど
それでも世界を平和にするのは気づかいだと
〆られてます。


我が、我が、と言っていてはダメなのですよね…
ちょっと耳が痛い…





くろねこちゃんとベージュねこちゃん

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

DULL-COLORED POP

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2015/09/01 (火) ~ 2015/09/02 (水)公演終了

満足度★★★★

くろねこちゃんとベージュねこちゃん
タイトルからはまったく想像つかないお芝居。
演劇というのは観た者それぞれの解釈が許されるから好きだったり。
たまに許してくれない時もあったりするけど…
このお話は家族の物語で
観る者がどこへ投影するかで全然違う捉え方をするだろうからそういうところも好きだった。

ネタバレBOX

境遇も近いとも美の気持ちに寄り添ってくやし涙。
同じシチュエーションでフラッシュバック。

私の母もよし子のように普通を望む母で。

「あなたはお兄ちゃんとは違うのよ」とかいう言葉に"あなたのためを思って言ってるのよ"感が見えたし、
知らない間に傷つけるようなこと言ってるのに気がついてない
自分と家族構成やら境遇が被りすぎて客観的に見られなかった。

女親は男の子を溺愛する。
普段、娘に頼るのに。
たまに帰ってくる息子にはとっても甘い。
甘い甘い卵焼きのように。

でも・・・
母というものは
家のこと、家事、家族のお世話をして当たり前で
それを誉めてもらうこともなく毎日毎日繰り返す。
そこには申し訳ない気持ちもあるけど
母を経験してないからちゃんとはわからない。

最後の嘘の手紙で認めてもらえたようで
円満な食卓になったのは
やっぱりけん太ずるいと思ってしまった。

とも美は口も悪いし笑顔も少ないけど
母を見に行く。 心配してる。

自分の思いとだぶらせてけん太への憎しみが出てしまった。


しかしまちこのしたたかさは怖いほど。
女なんてそんなもんか。
懲りずにお父さんの席に座ってたし。

お父さんはどうしたかったのか。
嫌いな仕事やめて好きなことしたかっただけ?

家族ってなんだろう。
すごいはちゃめちゃな思いがぐるぐるした作品でした。
ラスト§クローンズ

ラスト§クローンズ

Bratto coyote

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2015/08/21 (金) ~ 2015/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

ラスト§ クローンズ
当パンで劇団名の由来を知る。
“ぶらっと来ようって思ってもらえるように”
どの劇団も思ってることなのではないでしょうか。

「人間につくられ、人間にすてられ、人間になることを夢見たクローンたちの切なくも愛おしい会話群像喜劇」

ワンシチュエーションコメディ。
クローンたちはいくつかの島に隔離されて暮らしてる。
ナナが選ばれ人間昇格(だったかな?)することになり
迎えに来る人間の歓迎会をしようとしているところへそのことを内緒にしてたツネさん(島や、クローンの仲間を守るため人間に攻撃してる)がやって来て
色んなことが巻き起こる群像劇。


ストーリーが面白く飽きさせなかったし
最後までしっかりと集中して観れてとても楽しめました。

ネタバレBOX

セイジの声の大きさやナナの不自然に感じる動きに大丈夫か?と思いつつ観始めたけど
それも話が進むにつれてそのキャラクターの個性として見ることが出来て
脚本や役者のパワーがあったのかなと思います。

他のそれぞれクローンのキャラクターもしっかりと表現されていて
思いが伝わってきたし
そこに生きていたと感じました。

劇中劇というか即興劇が始まった辺りから客席も声を出して笑いやすくなり
そこからぐんと入り込めたように思いました。

ナツミと関本亜紀の二役も
上手く構成されていて面白かった。
ヤヨイが誤魔化そうとしてツネさんのことを好きっていう風になってしまうのも
話がおかしな方へ行って面白かった。

人間がクローンを利用しているとわかった時、ツネさんの過去も見えはじめ、
クローンたちの思いがそれぞれに揺らいで
悲しくなりました。

ボロボロと涙がこぼれました。


クローンたちはそれからも人間が迎えに来るのを待つ生活が続いてる様で
立場が弱くなった人間の関本亜紀さんがクローンたちのために奔走していた。


片付けをしていたクローンの一人が
「クローンのクローンが欲しいよ!」の言葉を残して暗転。終演。


ここは笑わせる意図だったのかわかりませんが
私はぞっとしました。

人間の遺伝子から作られたクローンにも
その欲望が継がれていくのかって。


喜劇と謳われていたけど悲劇にも見えた部分。
2時間とても満足した時間となりました。

もとの黙阿弥

もとの黙阿弥

松竹

大阪松竹座(大阪府)

2015/09/01 (火) ~ 2015/09/25 (金)公演終了

満足度★★★★

もとの黙阿弥
井上ひさしさんの作品は好きですが
ちくっと何か心に刺さるものはすべてにおいて。

世の中あまり変わっていないのか?
人間とはそういうものなのか?

この作品でも心の中がざわざわとしました。
喜劇なので終始笑ってはいるけれど
最後はずしんと。

歌舞伎、大衆演劇、新派、宝塚、アイドル・・・
色んな世界から集まった役者たちの競演
さながら異種格闘技のような舞台上はとても面白かったです。

ネタバレBOX

大沢健さんをを舞台で初めて見ましたが
とても口跡良く狂言回し的な役割をしっかりと果たされていて
ノンストレスでした。
日本舞踊もやられていたりするみたいで着物での所作もきれいでした。

早乙女太一さんと真飛聖さんのやり取りは日に日に面白くなっていて
その劇中の面白さが結末の哀しさに繋がり
最後の二人はつらかったです。

愛之助さんは常にコンスタントにやられていて
それもさすがでした。

一幕は説明台詞なども多くじれったいのですが
二幕からはオペレッタなどもあり楽しく面白く
三幕で哀しくはなりますが
とても充実した内容の舞台でした。

ドアを開ければいつも

ドアを開ければいつも

演劇ユニット「みそじん」

atelier.TORIYOU 東京都中央区築地3-7-2 2F tel:03-3541-6004(東京都)

2015/12/24 (木) ~ 2016/01/12 (火)公演終了

満足度★★★★★

それぞれの家族
シーズンごとに役者を変えながら年間を通してのロングラン公演。梅雨のころ、盛夏の頃に観て、今度は師走の公演。
戯曲も季節に合わせて絶妙にディテールを変えながら、なによりも役者の異なりが、その家族の色に変わっていくことが面白い。

同じフォーマットを供する戯曲に内包された企みが、役者達によって同じ筋立ての異なる豊かさに解かれていくことに強く惹きつけられました

ネタバレBOX

みるたびに四人姉妹のそれぞれの個性に加えて、登場しない父母の人物像までが導かれる戯曲のうまさに感歎。

それが、単に役者達それぞれの演技にとどまらず、それぞれの色の重なりのなかで、家族の肌触りとなり、翻ってその中にキャラクターそれぞれの個性を映えさせていく。

公演としては四季を一巡したそうで、この先どこまで続くのかはわからないけれど、長女、次女、三女、四女、役者ごとのそれぞれの描かれ方とその重なりの異なりを見続けることでの豊かさにも更に惹かれました。


天邪鬼

天邪鬼

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2015/09/16 (水) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

濃密な時間
ひと目でウソだとわかる虚構らしい虚構。独特のリズムで放たれるマシンガンのようなセリフ。身体性の高いステージング。

象徴性の高い物語にどっぷりひたる、たった90分とは思えない濃密な時間だった。

ネタバレBOX

子どもたちのイマジネーションが具現化し、戦争の道具となる。生き延びるために続けざるを得ない「ゴッコ遊び」の桃太郎が、撃ち倒すべき鬼とは何だったのか。

いやそれ以前に、少年たちのリーダー「あまの・じゅんや」とは何者だったか。彼だけが、内部被爆を受けず、桃太郎やシンデレラであり続けることを迷わない。

幾重にも重なり続ける虚構は、それなしには生きられなかった少年の叫びなのかもしれない。

しかし、膨大な「言葉」が紡ぎ出す神話めいた物語の意味を追おうとする前に、生身の役者の放つ熱に圧倒される。

象徴性の高い物語の中で描かれたある種の「痛み」は、観客が目を背けることを許さない。
マクベス

マクベス

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2015/07/12 (日) ~ 2015/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

ほぼひとり芝居のマクベス
精神病院という枠組み。そこでマクベスを演じ始めるひとりの男。

これまでに何度も観ているはずの『マクベス』が、まったく別の緊張感と切実さを感じさせる舞台となっていた。

こういう演出ができるんだなぁ、芝居ってホント面白いな、そんなことを思うと同時に、二十数人の登場人物(とその膨大な台詞)を演じきった佐々木蔵之介さんの熱演が印象に残った。

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