厳冬 ―父殺し篇―、厳冬 ―子殺し篇―
鬼の居ぬ間に
古民家asagoro(東京都)
2016/01/27 (水) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
事実は小説より鬼なり。
肌寒い空間でしたがそれがよかったかと。
夜に観たらさらによかったでしょうか。
しかしまあ、事実に基づくと思うと胸糞悪くなる話であります。
ネタバレBOX
「父殺し編」となっているので
冒頭数分でどんな展開で最後どうなるか予想ついてしまった感はありました。
なので「どう見せるのかな」の方に気持ちがいってしまったというか。
「父殺し」というタイトルでなかったら「どうなるのかな」という展開への興味で最後まで観れたのかもしれませんね。
その流れを渡れ
各駅停車
小劇場 楽園(東京都)
2016/01/28 (木) ~ 2016/02/01 (月)公演終了
満足度★★★
大人の事情の恋愛物語
災害で孤立する旅館という稀有な密室空間の会話劇というプロット。
大学生のカップル、離婚前提の夫婦を導入に
、大雨の中訳ありで現れる男と、幼馴染の仲居
彼氏の存在を隠す仲居、そして女を捨てた男勝りでの女社長。
淡い恋とは違った人間の本性を赤裸々に投影する
大人の事情にまみれた恋愛物語に見えた。
日常を切り取ったホームドラマ的なテンポと
緊迫したシチュエーションが絡み合うアンバランス感は
狙いなのか?稚拙なのか?ちょっぴり残念なポイントに感じられた。。
ネタバレBOX
骨太でおもしろいお話なのに、
それぞれの会話が殊更に長く、その先の結論を見せない。
思いっきり深く考え想像させて次へ展開はフラストレーションが鬱積する。
その先を観客に投げるものありだが、
その展開一つ一つが長く重いそして多すぎると思う。
登場人物が何を思い何をして何になったのか…。
作者の思う形をもう少しみせてくれても良かった。
物語自体は面白く、味のある役者さんも揃っている劇団。次回作にも期待!
ペルセポリス
かもねぎショット
ザ・スズナリ(東京都)
2016/01/28 (木) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
良かったです。
時間と空間、現実と物語の中が混在、混沌。シュール感が素敵です。
ダンサーの3人の方が、他の劇団にはない、レベルでした。
パンフレットの写真が、ご本人と違い過ぎて、マッチングができませんでした。
わからなければモモエさんに聞け
劇団青い鳥
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2016/01/23 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★
とっても大人な感じ…。こんな風に歳を重ねたい♪
とっても大人な感じ、こなれた笑いで、安定感を感じました。
自分に正直で、こんな風に歳を重ねられたら良いな、と思います。
馬鹿とは、
多摩美術大学映像演劇学科3年表現ⅡAコース
多摩美術大学 上野毛キャンパス 演劇スタジオ(東京都)
2016/01/31 (日) ~ 2016/02/02 (火)公演終了
満足度★★★
もっと鍛錬が必要
多摩美Field Trial(FT)とは、演劇のA,映像のB,展示のCの3コース。年2回の発表を通して己の表現に挑戦するカリキュラム、ということである。(追記後送)
ネタバレBOX
自分は主にAを拝見してきたのだが、FAは廃科になるという。FA出身の劇団で自分が最も多く拝見してきたのがピャーなのだが、基本的に彼の劇団のやっていたことは“生存”である。即ち、飲み食い・闘争・セックスである。作家は、生みの苦しみに苦悩したが、自分なりの哲学に近いものを探り当てていた。だが、このような作家、表現者は、そう多くない。外部者の言うことではあるまいが、学科として本気で創設したのであれば、教導する側は、表現する為の基礎になる社会観察や己を対象化して観る者の位置に辿り着くための哲学、レトリックの基礎などについてはヒントを与えるようなことがあって良かったのではないか、と考える。無論、自分は、具体的なカリキュラム等一切知らないし、無責任なことを言っているのであろう。然し、出来上がった作品のいくつかを(ピャー以外の作品を含めて)拝見して、指摘させて貰った以上のようなことがカリキュラムとして組まれていなかったのではないかと感じたのである。言うまでもなく大学生にもなれば、そんなことは自分でやって当たり前という意見がある。然し、電車の中で話している高校生の会話からは、18歳で大学に入るまでにキチンと大人になる為の訓練を経ているとは思えないのである。自分もヨーロッパやアフリカで暮らし、十数ヶ国の国々を旅してきた。多くの子供達、ミドルティーン、ハイティーンをそれぞれの国、地域で見て来た。だが、日本の若者ほど幼稚な連中は居ないのが実情だ。而も、帰国した空港に降り立って、最初に感じるのが、日本の子供の目には光が無いことである。毎回、これには絶望しか感じない。どんなに貧しい国、地域にあっても子供達の目の輝きだけは我々を救ってくれるのが常なのだが、日本の子供に限っては、死んだ魚の目をしているのだ。そんな子供のなれの果てとしての18歳以降の受験者も幼稚であることに変わりはないだろう、というのが偽らざる自分の感覚である。
こういう道しるべを持たない子供達に完全な自由を与えようとすることには、殆ど意味がない。無論、一から十まで指導しろ、というのではない。Aコース15期生は26名。このくらいの人数なら、それぞれの個性に従ったヒント位与えられると考えるし、それが指導する大人の責任であるはずだと考える。(ここまでは、今まで多摩美出身で演劇を志した人々の作品を拝見し拝見することを楽しみにしてきた一観客から、教導する方々への意見である)
さて、今作のレビューに掛かろう。今作出演者の役者としてのレベルから言うと残念乍ら低い。滑舌の悪い者が多すぎる。がなれば良いというものではない。通れば良いのである。無論、通った上で、演じる役者に科白の意味する所がヴィジョンとして見えていなければならない。この辺り、プロデュース、演出レベルで滑舌の悪い者は、端役にすべき所だが、そうなっていなかった。それとも、シナリオに難ありと判じてこうしたのか? 何れにせよ、作品の制作段階での対話・討論が足りない。結果、演者各々にシナリオが「現実化」されていない為に表現が浅薄なものになってしまった。溜めの無い演技になったということだ。演劇をやるのに溜めがないということは、作品を殺すに充分である。演出は、もっと文学、哲学、社会学、核物理学、民俗学、政治学、歴史学、経済学等の本は、名著と言われるものを含めて、各ジャンル最低50冊ずつ程度は読んでおくべきである。時間的に無理だとするのであれば、せめてこの程度の目標は立てて、実現すべく努力すべきである。少なくとも表現のプロとして生き残りたいのであれば。実際、一つの大きな著作を読み込む為に参考になる本を50冊程度読むと大体自分なりの解釈ができるようにはなる。自分が初めてこの手のことをやった時は、資本論を読む為にヘーゲル哲学や実存哲学、他の経済学参考書、ギリシャ哲学や当時最先端の哲学的批評、世界情勢、歴史、実際に行われた革命関連本などだけで100冊程度は読んだ。
壊れたガラス
阿佐ヶ谷 Picasso
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2016/01/27 (水) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
上手い
このタイトルも無論、1938年11月9日~10日にかけてユダヤ人やシナゴーグ、ユダヤ人経営店などが襲撃された“水晶の夜”を暗示している。パリでユダヤ少年にドイツ外交官が銃殺された事件をゲッペルスらが利用してポグロムに発展させたと言われる、例の事件である。原作は、アーサー・ミラー。
ネタバレBOX
彼の書く作品の多くが家庭劇という体裁をとり、家族関係を通して社会の歪みや問題を浮かび上がらせてゆく手法は健在である。問題作であるから内容は自分で読んで頂くとして、今作を観た者の一人として、若干舞台に触れておこう。
医師、ハイマンのアプローチが見事である。海外の作品を日本人が演じる時、姓名の違いからくる違和感だとか、わざとらしさを感じる舞台が多いのだが、今作では、どの役者もキチンと役を自分のものにしており、弱者たちの在り様をキチンと描いている為、またハイマンが医師としての立ち位置から見事に狂言回しをして居る為に、こういう違和感を感じなかった。このことは、役者・演出の力量を高さを証明しているだろう。因みにアーサー・ミラー自身がユダヤ系アメリカ人だからユダヤ人のアイデンティティーや被差別に関する作品もかなり書いている。が、彼の作品は、人としての本質、生きる意味についてを考察するレベルに達している為、内容的に深く普遍性の域に達している。こういう作品をセレクトし上演した高い見識も良い。
音響、照明も上手に使われている。初めに“水晶の夜”に触れたが、舞台奥に新聞紙を鏡餅のような形にして一面に貼り付け、上手・下手同様ラップで覆った状態にし、側面にはずっと照明を当てていたのは、無論この夜を暗示しているだろう。更に医師、ハイマンの祖父がオデッサ出身のユダヤ人であることも興味深いではないか。
アメリカに於けるアーサー・ミラーの位置としては、ユダヤ人問題でのシルビアとゲルバーグの恋の営みに関する言い争いで、夫婦どちらもユダヤ人である今作に対するに、フォークナーならば片方は南部出身の保守主義プロテスタントを対峙させ、不能のゲルバーグに対し、或いは拒否するシルビアに対し、「このユダ奴!」などとの罵声を浴びせることで乗り越えようとするだろうが、ミラーは精神崩壊或いはその危機を扱っている点で実に興味深いと感じるのだ。
客
Interdisciplinary Art Festival Tokyo
某所(東京都)
2016/01/27 (水) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
「客」の意味するもの
精緻に言葉が配置され、構成も組まれていているが、そ
れらの演出を、観客の体験が、そこから想起される記憶が、
軽々と越えていく点にこそソ・キョンソク氏の面白さがある。
その時はじめて作者の言葉が響いてくる。
2014年の「From The Sea」ほどの衝撃はなかったけれど、
とても興味深い体験だった。
ネタバレBOX
「かつての自分、捨ててしまった〈子ども〉」がテーマ。
「客」が意味しているのは、「捨ててしまった〈子ども〉の自分」が今も住んでいる家につかのま帰省する観客の私。つまり、自分の家でありながら「客」(ゲスト)でしかない私のこと。
また、同時に舞台に立つ「〈子ども〉の自分」を見る観客役の私という意味も含まれている。もちろん、単に観客であるということも。
「客」にはそういう三重構造の意味がある。
実際の古い家全体が舞台で、観客は役者(「〈子ども〉の自分」役でもある?)に導かれながら、さまざまな部屋を巡り、体験と想像を繰り返す。
作品は観客に〈子ども〉の自分を想像せよと再三問いかけてくる。
だが、観客の私はうまく想像できないというだけでなく、
未知の体験をしているドキドキ感の方が作者のテキストを凌駕し、
作者の言葉受けて充分に想像力を膨らませることができない。
これはどこまで作者が意図していることなのか不明。ソ・キョンソク氏は自身の言葉を信用しているのか、あくまで補助線だと思っているのか。いずれにせよ、発せられる言葉は様々に異化される。伝達不可能なように解体されたり、ただの声のようになっていったり。その声がまた言葉に近づいたり。
更に、観客に「想像せよ」と言いながら、内省を拒むような仕掛けも見られる。コミカルな効果音が使われたり。
内省させたいのか、すべて含めて体験をさせたいのか、、、。おそらく後者だろう。
体験については、一般論を書くことができない。この作品に参加した者の数だけ、その体験、つまりこの作品があるのだから。
そのため、私は私の体験を書く。
私は正直、作者のテキストは充分には頭に入ってこなかった。いや、言葉の意味としては入ってきているけれど、それを深めて自分なりに想像することはできなかった。その代わり、役者がこちらに働きかけてくる様々な行動に意識が向かった。役者が私に近づいてくる時、そして目を見つめてくる時、恥ずかしくて仕方がなくなり、どうしても目を逸らしてしまった。すると、その瞬間、小さい頃の記憶がよみがえる。恥ずかしがり屋で、内気で、お客さんが来るとすぐに奥に隠れてしまった〈子ども〉の私が。ただ、この性質は今でも続いているので、「捨ててしまった自分」なのかどうかはわからない。
ある部屋で、「あなたは捨てられたことがありますか?」
「舞台上に独りとりのこされたことがありますか?」
「それを想像することができますか?」などと問われた。
私は幸い、小さい頃は寂しい想いをしたことが無かったと気づく。家族に守られていたのだ。その点では、むしろ大人になった今の方が、そのような孤独を日々感じている。
また、「〈子ども〉に大人の声は聞こえず、大人にも〈子ども〉の声は聞こえない」ということが示され、その上で「〈子ども〉に伝えたいことはありますか?」と役者に問われる。(役者は〈子ども〉でありながら、境界を行き来する存在でもあるのか?)私は何も答えられない。今更、伝えることが思いつかない。それほど彼と私の間は乖離してしまっているということか。
最後の部屋で、「子供を捨てることで大人になると言われるけれど、その本当の意味がわかりますか?」と問われる。「本当の意味?」。
「あなたはもう二度と戻ってこないでしょう」とも。
その意味を考えながら、部屋を出る。そして家を。
最後の部屋が日本間だったこともあり、昔の実家での昔の記憶がよみがえる。木木や木漏れ日の光について。空気の冷たさ。吐く息の白さを。
「子供は捨てられる準備を繰り返している。その日にそなえて。」という言葉が頭から離れない。私が彼を捨てたのは何年前だろうか。15年前?20年前?25年前?いや、もしかしたら、今あの部屋を出た瞬間だろうか、、、。
そういえば、役者が声として発せられず口パクのように言っていた言葉は何だったのか、、、
別の場面で聞いた「わたしをどこかへ連れてってください」という言葉だったのか。
私は彼を連れ出す機会を再度与えられながら、またしても彼を捨ててしまったのかもしれない。彼を舞台にたった独りのこして。
「あなたは捨てられたことがありますか?」
「舞台上に独りとりのこされたことがありますか?」
「それを想像することができますか?」
という声があたまの中をこだましていた。
神奈川かもめ短編演劇祭
神奈川かもめ短編演劇祭実行委員会
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2016/01/29 (金) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
次回は全ブロック観たい
Cブロック予選のみの観劇。各団体の短編を観られて講評もきける、貴重なイベントだなぁと思います。優勝した作品、観たかった…!!
審査員の方々の点数については随分な偏りを感じたので、点数はさておいて、講評に注目して拝聴。概ね納得し、観る側としても勉強になりました。個人的にはもじゃへらさんが素晴らしかった。ストーリーを言葉で説明したら、何か違うんだよな…(私の語彙力の問題ですが…)うまく言い表せないそのあわいにある、台詞のないシーンで伝わる感情が魅力。完成度が高かった、胸に迫り泣いていました。
「戦国北条記~虹は東に~」
劇団熱血天使
小田原市民会館大ホール(神奈川県)
2016/01/30 (土) ~ 2016/01/30 (土)公演終了
満足度★★★★★
一日だけなのはもったいない舞台
北条氏の地元、小田原ならではの客席込みでの一体感も感じた。歴史は私たちのなかに生きていると思えるような、人の思いは伝わって残っていくということを信じさせてくれる舞台でした。
ラストは涙が溢れてとまらなかった。
可能ならばもう何日か公演してほしかった…!!
「恋人がビッグフット」
無名劇団
ウイングフィールド(大阪府)
2016/01/14 (木) ~ 2016/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★
小さな物語が交差して面白かった♪
前回も楽しめたオープニングのパフォーマンス!
動きが不思議な世界の予感を感じさせる
色々な小さな物語が交差する展開
共通するのは自分の殻を破れない人たち
そこから一歩を踏み出せずもがいているの話
話の中に出てくる金魚鉢に掛けて?
魚のうんちくなども盛り込まれて変化のある流れ
ストーリーもオムニバスの様に興味深く面白かった♪
最後にもう一押しするシーンがあればもっとインパクト残せたかも?と思える作品
演技は全体的に若いなぁという印象
その中で1人、初々しい演技だなぁと気になっていたら
なんと!現役中学生⁈ これからますます期待高まります
勝負の年の最初の作品から次の作品が楽しみな劇団!
黒蜥蜴
SPAC・静岡県舞台芸術センター
静岡芸術劇場(静岡県)
2016/01/16 (土) ~ 2016/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
三島作エンタテインメント
SPACによるこのタイトルが初めての「黒蜥蜴」観劇。昨年にも美輪明宏版が演られているが、SPACが選んだ演目として興味を開かれた。三島由紀夫のきめ細かな脚本と台詞は「文学調」との先入観を退け、昭和の東京を舞台のサスペンスとして面白い。とは言っても三島である。黒蜥蜴ののっけの長台詞に彼の美に対する思想がしっかり書き込まれているし、気の利いた台詞と構成に無駄がない。 中で黒蜥蜴は「人」として特異な存在だが、対峙する一方の探偵明智小五郎も彼女に「同期」し得るものを秘めている(それが二人の結びつきを形作る)。この点がドラマにおいて二人の(探偵と盗賊の)対立に加えて、「ある種の真実」を共有する二人と、それを理解し得ない俗社会との対立という、もう一つの軸を引き込んでおり、最後には後者が前面に浮かび上る。
江戸川乱歩の世界を思わせる闇色を基調にした舞台上で、達者な俳優が縦横に躍動する怪しさ満載のヤバい三島作エンタテインメント。
夫婦
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/01/24 (日) ~ 2016/02/04 (木)公演終了
満足度★★★★
「て」の裏ドラマ的ドラマ
胸苦しいドメスティックな(殊に父をめぐる)逸話は、数年前同じ芸劇で見た「て」に通じ、作者の体験が色濃く投影されている、とみえる(人物名からして岩井である)。トーンや作りは「て」とは全く異なるが・・。家庭の中で「躓き」を授かったクチである自分には、ど真ん中を突いて来る話なのだが他の人はどうなのだろう・・と思いつつ毎回岩井ワールドを観ている。
「夫婦」のタイトルが徐々に的確に思えてくる「母」の浮上の仕方は、「岩井」の目線が憎悪の的としての父から、彼に寄り沿った母へと移行する変化を表しており、それ自体肯定されるべき「夫婦」という所に収斂されているのを感じる。その意味では最後には温かい風の吹く芝居だが、「父も人間なり」と安直な理解をアピールする事はなく、ただ嵐の後の安堵を呼吸し、遠くに「赦し」を射程とするか、しないか・・少なくともすぐにそれは訪れない感じではある。・・というのは自分の今の心の投影かも知れないが。
子供時代の兄(平原)と妹(鄭)との三人と、父の「戦い」は凄まじい。だが子供というのは親への抵抗を「歯向かう」形では遂行できない。年を重ねたある時「岩井」は父に怒りをぶつける事で溜飲を下げているが、受け止める側の父との言葉の交換は通り一遍では行かず、「世界」の不条理は解消されぬまま心の中にしまい込まれ、時の過ぎゆく中で熟成されるのか、消化されるのか・・。余韻が背中に残る。
ハイ・ライフ
真紅組
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2016/01/29 (金) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
関西小劇場での翻訳物、面白かった!
真紅組「ハイライフ」、すごく面白かったです。以前SENDAI座☆プロジェクトのを観に行きましたがそれとは全く違う印象・感触。役者、演出が違えばこれほど違うのかと感心しました。今回真紅組についていえば、若々しい感じ。役者4人の個性を生かして翻訳物をうまく消化していたと思います。演劇を楽しむようになって随分になりますが関西小劇場で翻訳劇を見るのは初めてかも。今後もトライしてほしいです。
プロキュストの寝台
Pカンパニー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2016/01/27 (水) ~ 2016/02/01 (月)公演終了
満足度★★★★
神は天に居まし 世は全て事も無し という感じでしょうか
世の救済を掲げる神様は小乗ではなく大乗での行動が主であり、
主人公家族は救われてはいないような気がします・・・。
四柱の立つ素舞台に近いセットで天保当たりの時代に即した衣装で、
リアルな市井の生活を垣間見せてくれてました。
しかし昔の人は何かって~と祈祷だ願掛けだと神頼みで、
情報とか知識ってのは貴重な宝だなぁと再認識(作品の趣旨とは異なる見かたですけど・・)した2時間10分の作品です
ネタバレBOX
開演時間は遅れましたね~
男性客が多めに思えました
不死の病を患った男が語る人の世の移り変わりと
人間の変わりの無さ・・・
馬鹿とは、
多摩美術大学映像演劇学科3年表現ⅡAコース
多摩美術大学 上野毛キャンパス 演劇スタジオ(東京都)
2016/01/31 (日) ~ 2016/02/02 (火)公演終了
満足度★★★
いいんじゃな~い。。。
“多摩美”は、そこら辺りが元々地元なのですぐそばはよく通るが、
中に入ったのは初めて。
“演劇スタジオ”が立派でちょっとビックリ。
さて、作品のほうですが、
“アバンギャルド風刺エンターテイメント”といった感じで、面白かった!
出演者の中に、顔もスタイルもバッチグー(古っ)の娘を発見!
水着姿も見れて、目の保養もバッチリ!ヨカッタですね~(笑)。
茶屋町サミット vol.10
茶屋町サミット
MBS ちゃプラステージ(大阪府)
2016/01/23 (土) ~ 2016/01/23 (土)公演終了
満足度★★★★
新年&祝10回、おめでとうございます。
新年明けまして、そして祝10回、おめでとうございます。
大パンパが襲来する中、大阪市内は雪が降らず、幸いでした。
最後の方、少しだけしか拝見出来なかったのですが、楽しかったです♪
敗者の罰ゲーム、お疲れ様でした…。
【追加公演決定!!】29日19時最高のおもてなし!
ゴツプロ!
駅前劇場(東京都)
2016/01/22 (金) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
やっぱり
やっぱり期待通り!
むしろそれ以上。
本当に楽しかったし、いろいろ考えさせられました。
「最高のおもてなし」して頂けました!
ありがとうございました
(*´艸`*)
ぜひDVD出してほしいと思っています。
ゴツプロ第2回公演が今から楽しみです。
その流れを渡れ
各駅停車
小劇場 楽園(東京都)
2016/01/28 (木) ~ 2016/02/01 (月)公演終了
満足度★★★
“結果”より“経緯”
ちょっと変わった視点で描かれた作品と感じた。
ネタバレBOX
100年に一度といわれる大雨によって、旅館に通じる橋や道が崩落し
足止めをくった宿泊客や旅館側の人間に切迫感がないのは、
完全孤立したわけではなく、電話による外部との連絡が出来、
食料の備蓄もあるという状況からだろう。
そんな中、再び雨が降るという予報をうけて、
「山道の下山は危険だ」という旅館の社長の反対を押し切り、社長先導の下、下山を試みる人たち、残る人たち。
下山を試みた人たちは無事下山できたのか?
残った人たちは・・・、その後は描かれていない。
作者は、其々事情を抱えた登場人物が選択した“結果”より、それまでの“経緯”を描きたかったのかもしれない。
軽い重箱
殿様ランチ
新宿眼科画廊(東京都)
2016/01/23 (土) ~ 2016/02/03 (水)公演終了
満足度★★★★★
B team
重箱の隅のような微妙な表現が面白い。演技力あってこそだ。
幸せはピンクのアメ車に乗ってやってくる
A.R.P
千本桜ホール(東京都)
2016/01/26 (火) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
とにかくテンポと間がイイ!
開場時間ちょうどに行ったら劇場前には既に長蛇の列。初めてのカンパニーさんだったが、人気のようで、自然と期待が高まった。
「コメディ」ということでしたが、そう簡単には笑わない自分をどこまで楽しませてくれるのか、それも楽しみでした。
舞台は古びた何の変哲もない喫茶店。マスターと、男女のバイト(?)の3人で切り盛りをしている。そこに訪れる客のすべてがキャラが濃い!そしてボルテージが異常に高い!これで本当に最後までこの熱を保てるのだろうか、と不安になったが・・・。公演終わったけど、一応このあとは、ネタバレボックスに書きます。
ネタバレBOX
キャラの濃い客の代表のような「たくや」が別れた彼女との再会を信じ、喫茶店で待つのだが、ストーカーを絵に描いたような、キレキレの状態。そして彼女が現れるが、性転換をして姿はまるっきり男になっていた。
ここで良かったと思うのは、キャラの濃さで完全に逆転したこの2人だったのが、実際には性転換したというのは嘘で、元カノが依頼した「便利屋」だった、という設定。キャラ逆転のまま展開してたら、たくやのキャラが「あれは何だったんだろう」という印象とともにあのままフェイドアウトしてしまう可能性があった。その展開になってたら、完全にまとまりのない散らかった作品になってたかも知れない。
便利屋は後半まで、笑いのネタとしていいスパイスになってた。
この登場の仕方も、あまりにも多いと「しつこい」と思われたり「押し付けがましく」感じさせたりするが、芸人さんが演出をしているだけに、さすがに放り込んでくる間の上手さがあり、素直に笑えた。
コメディでたまに困るのは、観客が「過剰に笑う」だったり、リピートしているため「予定調和的に笑う」など、周りを白けさせる効果を発してしまうことだったりするが、私が観に行ったときは観客も一体となってて、素直に気持ちよく楽しめた。
物語の落とし方が若干ベタでしたが、演者さんの力量と演出の上手さがいい感じでシンクロしていたように思う。