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解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話

解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話

映画24区

明石スタジオ(東京都)

2016/04/07 (木) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

格調高い舞台
女子大生が旧体育館で語り合う。惚れたハレたの大立ち廻りもヒーローもヒロインも主役もない。一部タイムスリップするけど話は淡々と進む。ひと昔前なら前衛なんて言葉もでるような舞台でした。
でも役者さん達の動きは大きく、舞台と5cmくらいしか離れっていない最前列観たので大迫力でした。再演されるのでしたら、また観たいと思わせる奇妙な魅力があります。

『Geeks Go Lucky!!!』

『Geeks Go Lucky!!!』

劇団ORIGINAL COLOR

新宿眼科画廊(東京都)

2016/04/09 (土) ~ 2016/04/13 (水)公演終了

満足度★★★★★

オタクが世界を変える!?
 今作は、破格の時給に応じてきたアルバイト募集の応募者1万人の最終選考に残った3人を面接する話として物語が展開してゆく訳だが、以下のような問題提起も為されており、眼科画廊のがらんどう空間を上手に処理し、シナリオ、演出、演技もハイレベルである。実に刺激的で面白い作品だ。(追記後送)

ネタバレBOX

Geekとは、やな奴とかうるさい奴、ばかを表す俗語だ。登場する主要キャラが、一風変わったオタクたちだし、日本ではオタクと言うと根暗だの変人だのと否定的に見られがちだから、このようなタイトルにしたのだろう。だが、世の中で平均的な生き方を選ぶことが、否そのように見られることを至上価値とする者の多い監視社会・日本では、価値を貶められていても、常に彼ら・彼女らは変革の糸口を持っているのも事実だ。平均的な人間などを装っているうち、大抵その仮面が本人になりすましてしまい、他の顔を乗っ取ってしまうものだから、凡庸そのものになってしまうのがオチである。気付いた時には、交換可能な歯車の一つとなって人生に意味を発見できず空しさだけを抱えて世を終えるのだ。
「幕末!天命、投げ売りのクマさん」「ニコニコさんが泣いた日」

「幕末!天命、投げ売りのクマさん」「ニコニコさんが泣いた日」

演劇企画ハッピー圏外

TACCS1179(東京都)

2016/04/01 (金) ~ 2016/04/14 (木)公演終了

満足度★★★★★

ニコニコさんが泣いた日 昼公演
今日は役者の皆さん、一段と気合入ってましたね!公演 始まった瞬間に感じました〜 お見事! 役者あっての舞台です。まだまだ期待してます。
それにしても魅力的な芝居です。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

インディペンデントシアターOji(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

何て贅沢な演劇体験
フロア中央にでんと構える立方体の四面舞台。
その内外で繰り広げられる不思議な密室からの脱出劇。

非常に面白かった!演劇を“観る”というよりは“体感する”作品。重低音のきいた音響と照明もクラブのようで空間丸ごと楽しめる。とりあえず様子見で初日をおさえていたが、気付けばチケットを買い増し四面すべてから観ることに。リピーターが多いのも納得。

観客の想像力を刺激するパントマイム・ダンス・ゴム紐を用いたパフォーマンスで、そこにないはずのものを見せてくれる。圧倒的な運動量は見ていて清々しい。身体表現が持つ強さとはこういうことかと感動すら覚える。舞台と客席が近いこともあり立方体のすぐ外側から覗き込んでいるようだった。

ストーリーもまた工夫を凝らしており、パズルのピースを集めていくかのような、複雑に絡み合った糸を手繰っていくかのような展開。一見ミステリー仕立てだが終盤訪れるカタルシスには胸にグッと来るものがあり(しっかり芝居でも魅せてくれた)、背中を押された気分だった。

関西で最も勢いのある若手劇団。
今後も定期的に東京公演が観られたら嬉しい。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

インディペンデントシアターOji(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすが!
DVD見てましたけど、中央に舞台あるの斬新です!
舞台の距離も物凄く近いし。東京公演全て観てますが、パフォーマンス・マイムが凄過ぎ。壱劇屋さんにはまった要因の一つです。期待外れ無しのお勧めの劇団です。
次回も早めに来て欲しいです。

【公演終了】箱の中身2016【感想まとめました】

【公演終了】箱の中身2016【感想まとめました】

映像・舞台企画集団ハルベリー

テアトルBONBON(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

箱の中にあったのは・・・
「後悔」だったように思えました。25年前の作品と言う事で、もっと訳の分からない(?)話になるのかなと思って行ったのでしたが、そうではありませんでした。アフタートークでわかばやしさんが「ヒロインの描き方が私が演出する事で前の舞台とは違っていたと思います」とおっしゃっていたので、昔の舞台も見てみたかったと思いました。別れるにしてもくっつくにしても覚悟が必要。それがないから後々迷惑をかける事になるのだと現実世界を見てても思うが、それが人間だから物語も生まれて来るのだろう。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

インディペンデントシアターOji(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

箱の中
面白い舞台を目撃できた!と言う感じでした。セリフが聞こえにくいシーンがあって残念でした。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

インディペンデントシアターOji(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

初・壱劇屋でした
初・王子小劇場、初・壱劇屋、初・SQUARE AREA。
観劇好きの知人に声を掛けて貰って、ようやく壱劇屋さんデビューをしました。

開演前から、舞台空間が面白い。
囲みの舞台というのは珍しいわけではないけれど、真ん中にドンと立方体の枠があって、絶えず変化する照明と鈍い音が四角の空間を包み込んでいる。その周囲をうごめく観客。
異様な空間が、もう既にインスタレーション作品みたい。舞台作品の世界観とか、いわゆる「空間づくり」に、開演前から成功しています。

それから驚いたのが音圧。地下だからなんでしょうか。
OPダンスの音量の余りの大きさに最初すこしビビって、だんだんその音量が心地よくなってくる。そうなってしまうともう作品の中ですよね。

パントマイム系の舞台を見た事が無かったので、やわらかい体の使い方がとても面白く感じられました。加えて、テクノっぽい硬質な音楽と、四角というエッジの効いた環境に、そのやわらかさが見事にマッチしている。
王子小劇場の地下という環境、非日常的で異様な作風、役者の熱量と観客の近さという箱の大きさ。
小劇場ならではの良さを見事に活かしきったすばらしい作品だと思います。
ぜひまた東京にいらしてください。東京を制圧できるのもすぐだと思いました。

DVDでお勧めするより、現地で見て欲しい作品です。
東京では、あと知名度が欲しい。そこからもっと伸びて欲しい。
そこに期待して★四つとさせて頂きます。

ネタバレBOX

作品内の話になります。
「SQUARE AREA」という洋風のタイトルに、まさか故事「四面楚歌」が絡んでくるとは思いもせず、中盤気づいた時に、柔らかい発想だなあと驚いてしまいました。
また、ルービックキューブから得た「一面・二面」とクリアしていく脱出ゲーム的な要素。
四角といいながら、実際には六面ある立方体であること、面だけで形作られているわけではなく、点と線から四角が生まれる事。
「四角」と「刺客」をかけていること。
「四角」という状態をありとあらゆる角度から考え、掘り下げて、一つの演劇作品にしてしまう。

様々な要素をゴテゴテつけたしたような演劇が多い中、一つの要素から掘り下げ、奥が深いと言える所まで持ってくる洗練されたシナリオでした。
【公演終了】箱の中身2016【感想まとめました】

【公演終了】箱の中身2016【感想まとめました】

映像・舞台企画集団ハルベリー

テアトルBONBON(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

箱の中に最後に残ったものは
 昨日、初夏のような陽気の昼下り、中野のシアターBONBONで、劇団おぼんろのわかばやし めぐみさん演出、ハルベリーオフィス特別公演:「箱の中身2016」を観て来ました。

 人は、心の中に開けてはいけない「パンドラの匣」と、開けられたくない「記憶の匣」を頭の中に持っている。

 その匣が開けられた時、噛み合ってはならない歯車が噛み合い、回らずとも良かった歯車が動き出す。

 舞台の幕が開くと目の前に広がるのは、歯車と振り子のある柱時計の中。

 それは、この物語の開けられたくない「記憶の匣」を開けられようとしている、夥しい血痕を残したまま姿を消してしまった妻の行方に大きく関与しているのではと疑われ、精神鑑定を受けている、無口だけれど、悲しいほどに善良で、切ないほどに妻を愛している時計屋の主人の頭の中であり、記憶の箱である。

 佐藤正宏さんの時計屋の主人佐藤の妻えみ子に手痛いほどに裏切られても、赦し続け愛し続ける姿が、最初から最後まで、哀しいほどに切なく、その切なさは、物語が進行するほどにしんしんと心に降り積もって来る切なさだ。

 さかいかなさんの妻えみ子は、離婚歴があり、子供を産めない自分と結婚してくれた夫に、最初は引け目を感じながらも夫の誠実な温かさに、夫を好きになろうと謙虚であったのに、ある日を境に夫のお金や財物を売ったお金を愛人に貢ぎ、夫を見下し、やりたい放題をする女へと変わって行く、ここだけを切り取ると、「なぜ?」という憤懣やる方ない思いを抱く妻になっている。

 が、この後に続くもうひとつの物語を見ると、そこには別れた夫への一途な想いとその夫が、偶然店番をしていた夫の店に訪れ、再開した瞬間に開けてはならない「パンドラの匣」が開いてしまったが故に、夫の財産を別れた夫へ貢ぎ、大量の血痕を残して姿を消す事へと繋がって行く、哀しい一途さが、夫佐藤への仕打ちになって行くことを知ると、妻えみ子の哀しい切なさもまた、胸に痛い。

 そして、もう一つ。かつては喝采を浴び今は落ちぶれたボクサーの物語へと流れて行く。

 その流れた先は、えみ子の別れた夫であり、愛人であり、今は収監されている大和さんのボクサーの「記憶の匣」とえみ子に再開したことで開けられてしまった「パンドラの匣」をたどって行く物語へと続く。

 そのボクサーと同じ房に入って来た、かつてのライバルであり、引退を余儀なくされた最後の対戦相手のさひがしジュンペイさんのボクサー。

 落ちぶれたボクサーの中に見える、身を持ち崩していない人の一抹の清潔さと生きる力が時々一粒の砂金のように光っていたさひがしジュンペイさんのボクサーが色っぽく見えた。

 終演後、演出のわかばやし めぐみさんとお話しした時、この舞台の作りはやはり、時計屋の主人の頭の中をイメージしたものなのだと感じた。

 それはまた、開けてはならない「パンドラの匣」であり、開けられたくない「記憶の匣」でもある。

 匣とは、ぴったりと蓋を閉じる箱の意味であり、箱はだけで編んだ隙間のあるもの、蓋のないもの。

 開けてはならない「パンドラの匣」が開き、噛み合ってはならない歯車が動き出し、開けられたくない「記憶の匣」に出来た隙間から零れ出てしまった記憶の行き着く果てのどうしようもない切なさと哀しさを描いたのがこの舞台である。

 「パンドラの匣」に最後に残ったのが希望ならば、この「箱の中身2016」に最後に残ったのは、哀しみ、怒り、絶望、苦しみ、憎しみ、痛さ、辛さだったのか、それらを纏った一抹の希望だったのだろうか?

 願わくは、一抹の希望であって欲しいと思って止まない。心にしみじみと降り積もる哀しい切なさに、涙が零れ落ちた心揺さぶる舞台だった。


文:麻美 雪


レドモン

レドモン

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★

「共存・共生」というテーマ
「共存・共生」というテーマは1年半前に観た「未開の議場」と同じだ。ただ前作は1つの場面でスリリングな論戦が続いたのに対して、今作は頻繁に入れ替わる場面で流れが分断されテンポが悪い。次の場面に移る際、役者が舞台上で椅子、支柱、ロープなどを移動させるのが見えて転換の切れの点で気になった。さらに道具を多目的に用いる点は転換の効率の面でも良いのだが、支柱やロープがじゃまだと感じる場面もあった。SFベースの割にストーリーはやや単調で、もう少し事件性や意外性が欲しい(逆に過剰なキャラと思える人物設定もあった)。登場人物の心理描写は立川家の3人をはじめとして役者さんが自然にそして的確に表現されていて素晴らしかった。

車窓(まど)の外は星の海

車窓(まど)の外は星の海

風凛華斬

シアターシャイン(東京都)

2016/04/08 (金) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★

面白かったけど・・
心温まるファンタジーと言えばそうかもしれませんが、少し違うかな?という感が残りました。妹の死に対する兄の想いや、妹の対する周りの想いが薄いような・・皆、自分の事ばかり?という感じでした。途中からサスペンス要素も入ってきて面白さはありましたが、何となく消化不良でした。役者さん達の演技力は差があったように感じ、主役の方には、もう少し熱演してほしかったです。と、色々消化不良な点はありましたが、面白かったです。

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

インディペンデントシアターOji(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

関西弁Verも観たかった
動きではなくタッチですっと引き出すような彼らが作る壁のしなやかさに一気に引き込まれ、様々な動きの創意に目を奪われたが、作品自体の一番の勝因は、物語を解いていく歩みのバランスの良さではないかと思う。

関西弁での上演もあったようだが、観に行くことかなわず。言葉が編むさらにふくよかな奥行きの予感があり、至極残念。

是非に東京で定期的に公演を打っていただきたい劇団がまたひとつ増えた。

ネタバレBOX

舞台上のちょっとした精度にはまだ研がれる部分を感じつつ、初日のアフターイベントで紐の扱い方を劇団員が改良する姿を観て、作品自体の完成度の高さをさらに歩ませる力がこの劇団にはあることを実感。
しかもここからの進化は足し算ではなく掛け算で舞台にある種のグルーブ感を与えていく予感があり、今後が楽しみになりました。
愛、あるいは哀、それは相。

愛、あるいは哀、それは相。

TOKYOハンバーグ

「劇」小劇場(東京都)

2016/03/30 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

答えのない問題を考え続ける
初演に続いての2度目の観劇。内容は全然色褪せてないですね。初演の時も唸らされましたが、震災から5年たった今の方がより一層考えさせられます。

イニシュマン島のビリー

イニシュマン島のビリー

ホリプロ

世田谷パブリックシアター(東京都)

2016/03/25 (金) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

女優陣のインパクト
卵攻撃の鈴木、アル中の江波、精神病一歩手前の峯村、と目立っていたが、平田のインパクト、存在感が非常に際立っている。
メインどころではないが、このキャラは唯一無二だ。

魔術

魔術

関西テレビ放送

本多劇場(東京都)

2016/03/27 (日) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★

ん~~
シリアスなコメディというか。
コミカルな不条理劇というか。

まぁ、それはそれとして、、バタバタ、ガタガタとやってることが浅く、ストーリー自体もどこかで聞いたことがあるような・・・

役者のポテンシャル、経験値に比べると脚本が弱いですね。。

『カガクするココロ』『北限の猿』二本立て公演

『カガクするココロ』『北限の猿』二本立て公演

こまばアゴラ演劇学校“無隣館”

こまばアゴラ劇場(東京都)

2016/04/07 (木) ~ 2016/04/24 (日)公演終了

満足度★★★

「北限の猿」
ミクニヤの「東京ノート」を観た後だったが、速射砲的会話劇か?というのは杞憂だった…けど、 ラボで猿を研究/観察する研究員・学部学生達を、客席から見ている自分たちは何者なのか、とか考えてしまふ。。。

人間は進化してるのか?と(苦笑

マハゴニー市の興亡

マハゴニー市の興亡

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2016/04/02 (土) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

享楽と陶酔
“東京演劇集団「風」”は初見になります。
高い天井を活かした舞台装置・演出が面白いと思いましたが、上段舞台の床の軋みが少々気になりました。
音楽劇というと、歌のメロディ・歌詞が聴き取りにくいものが多々あるのですが、
本作は、歌とオケのバランスがよく、聴きやすかったです。

笑いが随所に織り込まれ、楽しめた舞台でした。。。

車窓(まど)の外は星の海

車窓(まど)の外は星の海

風凛華斬

シアターシャイン(東京都)

2016/04/08 (金) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

意外性が・・・
ファンタジーな題名からは想像もしなかった後半愛憎劇ドロドロ?! にどんな結末になるんだろうと思ってしまったが安堵しました。 案内人の水無月のお衣装可愛かったです。主のハスキーな声いいですね。

2016-TSTクラシックス

2016-TSTクラシックス

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

久間ワールド
優しくて穏やか でも強い気持ちを持ったマスター。そんな人の周りに集まるのもやはり優しい人達。 おかしくて笑って、切なくて泣いて 見終わったあとは自分も優しい気持ちになれたように感じました。 久し振りの久間ワールドにはまりそうです。

愛、あるいは哀、それは相。

愛、あるいは哀、それは相。

TOKYOハンバーグ

「劇」小劇場(東京都)

2016/03/30 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

俳優=人物の実在感。「被災」に踏み込んだドラマ。
Genpatsujiiko-Banashi。舞台は伊勢。神宮のお膝元、うん年に一度の大掛かりな何やらを翌年(2013年?)に控えて、群舞的な何やらを披露(奉納?)するための地元民による練習も始まっている、そんな田舎町のとある喫茶店にある家族がやってくる。
 劇は喫茶店のみで通す(照明を駆使して別の時空を挿入する等は無かった)。 一場のみ、時系列に沿って進行するリアル系のストレートプレイである所に、「被災」を扱う芝居に取り組んだ作り手の誠実さが感じられた(たまたまかも知れないが)。
 
 原発事故の被災者を取り巻く事情として、忘れてならないのは「放射能汚染」をあげつらう話が地元福島では出来ないこと、除染して環境整備したら地域は元に戻る(住民は帰還する)、というシナリオ以外の可能性は語れないこと、避難した者は裏切り者とされること、間もなく県外避難者への援助が打ち切られること。。。
 この芝居では、(放射能からの)避難を助言したジャーナリストが当事者から「無責任」と非難される場面がある。この背景には、「避難」を妥当な選択とは認められず、公の支えを得られないという理不尽な状況がある。放射能被ばくが認定されない限り、避難を促した者は嘘つきであり、混乱を煽った迷惑な人間だという事になる。 殊勝な記者はその声を黙って受け止めるが、実際のところ避難民を苦境に陥れている張本人は無論彼ではなく放射能被害を認定しない政策担当者(政治家・官僚)だという平易な事実は、霞ヶ関の建物の奥の奥、地下の倉庫にでもしまわれて表に出てこないかのようだ。

 この構図を仄めかし俎上に乗せたことにより、この芝居の価値は相対的に高まっている。非情な社会の現実がある事の裏返しだろう。

ネタバレBOX

この本には鋭い示唆が幾つかある。
「被災者」を前に、恒例の年越しどんちゃん騒ぎをやって良いのか・・ 喫茶店に出入りする人たちが思い悩む場面がある。通常ドラマでは人の判断に誤りがあり、それが波紋を拡げドラマが展開するが、この問いには、有効な答えがない。観客も皆、彼らとどう年越しを過ごすべきか答えられないだろう。で、考える。「真剣に考える」動機を与えている、いたいけな娘二人の存在も脚本的にはうまく利用している。十代の娘はどんな場所でも(田舎町なら尚のこと)「主人公」となる資格を持ち、彼女らのために周囲は喜んで脇役となる。
 ドラマの人物たちが考えて出した結論は劇中盤の盛り上がりを作るが、私には若干、狙いが判りやすい分、入り込めなかった。作り手が「これは良いアイデアだ」と確信しているからか、受け手がそのように受け止める事に(台本が)なっているからか、、リアルな反応の交流がそこにあれば、良いのだ・・と、思うのだが。
 許嫁の遺体のある被災地に帰って行く長女を、母は引き留めあぐね、しかし叫ぶ。「外に出る時はマスクしろ」「玄関で埃を落とせ」「風の日はあまり出歩くな」・・ 芝居では、母は娘に対してそれを言わず、正面芝居で「向こう」に向かって、言わば心の声として、上の台詞を言う。 これは例えば、靖国の母が息子の戦死を嘆く事を許されない時代の、所作である。今の時代はまさにそれに等しい時代だ・・と揶揄する意図が作り手にあったか。
 否私の感じでは、「感動的な場面」の作りとして、「受忍」の姿を見せた、というだけではないかと訝ってしまった。 「受忍」の感動とは、「変えられない状況(悲劇的状況)」の哀れな犠牲者が耐え忍ぶ姿に対する感動だが、もっと言えば、本当は変えられる状況を、「変えられない状況」という事にして、その犠牲者の哀れな姿に「涙」する事で「変えようとしない」己自身を免罪する姿に他ならない。
 芝居の世界くらい(福島でなく伊勢という土地ならなお)、もっと大きな声で、娘に聞こえるように母はその言葉を言い、それに違和感を抱く観客がいたならその違和を目一杯味わうがよい・・・その位のチャレンジはしてほしかった。
 「そこまで自粛するか」という事だが、自覚的であったのかどうか・・いずれにせよ惜しい。

 示唆深かった別の一つは、ドラマの最終段階に判明する一つの事実から受けたものだ。オチに等しい部分なので具体的には伏せるが、被災者や被災地の支援に携わる人たち・・彼らは一般的な「正しさ」に従って行動しているのだろうか。否、個人的な動機で恐らくそれぞれ関わっており、本当の、というか継続的な行動というものは、「人として関わる」事実からしか生まれず、私たちはその事を問われているのではないか・・ この視点がドラマに組み込まれたのは人物の自然な行動としてだったかも知れないが(芝居としては「符号」による感動演出に流れた嫌いはあるが)、作品の質をぐっと高めた。

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