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椅子の見えないイス取りゲーム

椅子の見えないイス取りゲーム

劇団生命座

北本市文化センター大ホール(埼玉県)

2024/09/14 (土) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/14 (土) 14:00

めちゃくちゃ良かったです!!
今回は近未来モチーフとのことでしたが、時事ネタも含めながらの世界観にただただ引き込まれました。話題になる予感大なので当日券でも鑑賞する価値ありです(*´ `*)!!オススメ!!

『なおりくの遊び場 vol.11』

『なおりくの遊び場 vol.11』

なおりく

バルスタジオ(東京都)

2024/09/14 (土) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時間いっぱい司会者の方も参加するゲームショー。全員に発言の機会があってほのかに人となりが見えてくる気がする前半と、運や駆け引きがあるゲーム性のある後半のバランスが良かった。ホワイトボードとゲームの題材で観客も含めた全員が楽しめる、良い意味でレクリエーションのお手本のようでした。素晴らしい

シャイシャイマンションシャンソンショー

シャイシャイマンションシャンソンショー

劇団美辞女

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 う~~~~む。

ネタバレBOX

 Fluctuat nec mergiturはラテン語で、揺蕩えど沈まずという意味だ。パリの標語である。今作、一応パリを日本に移築するというコンセプトの基に建てられたマンション住人たちの話なのでフライヤーにもこの標語が記されているということだ。
 ただ、如何にも日本人のフランス被れらしくフランス語の間違いが多々ある。例えば友人などと別れる際、フランス人はau revoirを用い、決してadieuは用いない。後者は基本的に二度と会わない、会えない場合にのみ用いるからであるが、今作ではau revoirを用いるべき処でadieuが頻繁に用いられたのは実に嘆かわしい。またマンションの名前にLe appartement・・・という言い方をしているが、仏語は母音の衝突を嫌う為、正しい表記はL’ appartement となり定冠詞leのeが落ちる。こんな初歩的なミスがたくさんあるばかりでなく、台詞に‟パリのシャンパンは云々“というのがあって、これをパリで飲むシャンパンと解せば問題は無いのだが前後の関係からパリ産のとも取れる。後者の場合はフランスの法によって罰せられる。何となればシャンパンと名乗ることができるのはシャンパーニュ産のものだけだからである。日本でもスパークリングワインと呼ばれて製法が同じでも恰も異なる種類の酒と勘違いすることもできる呼称はこの法に縛られているからである。フランスを移入するという設定で而もパリで長く過ごしたという設定の人物が、こんなレベルで間違っていたのでは話にならない。
 1か所だけ感心したのは終盤に掛かる辺りでシャンソンの歌える店にマンション住人らが出掛けるシーンがあるが、この時歌を披露する店の歌い手の歌が、シャンソンの心根を表現して見事である。この歌1曲だけで星の数を1つ増やした。
アダルト≒チルドレン

アダルト≒チルドレン

表現集団 式日

麻布区民センター 区民ホール (東京都)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

問題意識と熱い思いのようなものは感じられるが、もう少し丁寧な説明というか展開があればもっと良かった。タイトル「アダルト≒チルドレン」は 感覚的には分かる気がするが、実は「大人」とは…「子供=劇中では<こどな>」とは…を定義することは難しい。年齢の区分によって形式的に行政が定めることと違い、その実質を問う内容になっている。

説明の「作家が人を操る力を持つ世界」…しかも<国選作家>というところに怪しさと怖さを覚える。何らかの恣意的な思惑や作意ある施策が潜んでいるように思えるが…。作家が書(描)く物語(世界)によって、より良い方向へ導く、そんな<力>が国選作家にはある。その一端を台詞で説明するが、その過程が描かれないため、説明にある「大人になるために 免許証が必要な町」での物語が、その町の人々と国選作家の個人的な話(レベル)へ矮小化したようで惜しい。

説明の「脚本通りに操る苦悩と救済。誰もを救う物語は、存在するのか」という問いは、子供に限らず、何も考えずに国是を鵜吞みにする国民への問い掛けではないか。
(上演時間1時間40分 休憩なし)9月17日追記

ネタバレBOX

舞台美術は、後景全面を張り合わせた抽象画(上手側にチルドレン、下手側にアダルトの文字板)のようにしているが、何故か上空から見た街というか空中地図のようにも思える。その前に台(直方体)、下手にソファが置かれている。

物語は作家が人を操る力を持つ世界。冒頭カンコ(樹サン)とハスミ(佐伯啓サン)が作家として活躍することを目指す、そんな語り合うところから始まる。時は流れ、国選作家として活躍するカンコは、助手と共に閉ざされた町を訪れる。その町は 大人になるために<免許証>が必要。そして大人になれない「こどな」達が多く住んでいる。公演は、脚本通りに操る苦悩と救済、誰もを救う物語は存在するのかを問うている。

作家の脚本によって人生が変わる、もしくは変えられるという妄想劇。この町には、大人になれない こどな達の自立を促す、その救済補助金が国から給付されている。町の為政者は その補助金を行政財源にしており、一方 こどな達は居心地の良い環境(義務も責任もない)で暮らす。どちらにもメリットがあり、状況を改めることには消極的だ。カンコの こどな達の過去を暴く脚本によって少しずつ状況に変化が…。

こどな達の過去、そしてカンコ自身の忘れていた過去、そこには虐め問題が潜んでいた。大人=社会人になる怖さ、そこには行動と責任、権利と義務という<自立>することが待っている。それは利害関係が絡む対人関係の煩わしさ、もっと言えば怖さがある。そのことから逃避したモラトリアム的な世界観が描かれている。その問題意識のようなものは伝わる。

作家が描く物語は、歴史もしくは自分史を紐解くことによって、今に至った現状を再認識する。舞台的には回想シーンとして描く。この町に来る時、助手が今まで脚本で解決してきた問題を列挙していたが、その中の1つに戦争・紛争の終結があった。今 世界中のどこかで起きている最悪の不条理、それを どのような脚本で解決に導いたのか。例えば、その手法(脚本)を観せ この町の問題解決のヒントもしくは繋がりがあれば解り易かった。その意味で もう少し説明シーンが欲しいところ。
次回公演も楽しみにしております。
ドリル魂2024

ドリル魂2024

公益社団法人日本劇団協議会

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/09/07 (土) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

『ドリル魂2024』

朝日新聞の劇評が良かったので観劇を決意。
無名な劇団をいつも取り上げているのが信用出来る証だ。

育成中の俳優など、若手の俳優陣を多数集めての公演だ。
不良少年、外国人の出稼ぎ労働、在日問題、恋愛模様、借金取り、耐震偽造など、建築現場内で起きる問題を社会の縮図として描いているので、展開には事欠かない。現場に使う道具で、がなり立てる音と激しい音楽が混ざり、興奮するミュージカルになっている。
タップダンス、大道芸、美しい歌声、バレエダンス、歌舞伎の技法などが満載で、一瞬たりとも飽きることがない。翌日になっても未だに興奮冷めやらないが、それ以上に若手俳優の熱気だ。『つかこうへいの所に行け!』と言いたくなるくらい熱く、最大の見所だ。彼らの姿を見てるだけで涙腺が緩む。
作・演出は横内謙介だ。彼はつかこうへい信奉者で、つかの戯曲を度々公演しており、『つかこうへい』を感じたいなら、今や横内謙介だけだろう。
なにはともあれ、興奮のるツボとはまさしく今作の建築現場だ。

お勧め。
娘が嫁ぐ日

娘が嫁ぐ日

Kトゥエンティワン

シアター711(東京都)

2024/08/28 (水) ~ 2024/09/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/08/29 (木) 14:30

両親(と叔父夫妻)に娘(姪)が結婚を前提に交際していると紹介した相手は20歳以上年上の会社経営の金髪男で……という状況から始まるウェルメイドな「ホームドラマ」。
当然の如く(セオリー通りとも言う(笑))両親は反対して当事者はパニックに陥るが叔父夫妻・娘の親友・保険外交員・興信所職員といった「やや距離を置いて事態を客観的に見ることができる人物」の配置が絶妙で、彼らの助言や直訴(?)などによって事態が好転して行くのがイイ。
また、主な舞台となる石川家のリビングとその奥の廊下を入口の「枠」だけで表現し、時として下手の一部分を階下の叔父夫妻の家として使い、それ以外の「外」の場面を客席との間で表す装置/照明効果と演出も「いかにも舞台演劇」で◎。

RUN TO YOU

RUN TO YOU

トリックスターエンターテインメント株式会社

ステラボール(Stellar Ball)(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

夢を諦めない若者を描いた、HIPHOPで繋ぐミュージカルでしたが、とても面白かったです。
歌もダンスも観応えがあり、役者さん達の身体能力が高く、観応えがありました。
芸能人として仕事をする上での葛藤、恋愛問題等、考えさせられる事もありました。
客席が一体となって楽しめる舞台で、あっという間の楽しい時間でした!

探偵ハ物語

探偵ハ物語

映像劇団テンアンツ

小劇場B1(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い!前説の熱い語りから本編へ。
観客を笑わせ楽しませること そのサービス精神に溢れた公演。勿論 タイトルからも分かる通り、有名作品のパロディを思わせるが、そこは捻りを利かせ観応えあるオリジナル作品にしている。

物語は笑いの渦に しっかり泣ける場面、その人の感情を揺さぶるのが実に巧い。昭和テイストだから、義理人情といった言葉を連想させるような場面に懐かしさ親しみを感じてしまう。素早い場面転換とアップテンポな展開、そして頻繁に挿入されるコント風の会話が面白可笑しい。そこには観ている人を飽きさせないといった 強い姿勢を感じる。

還暦とは思えない上西雄大氏の熱演・力演、そして多くのキャストに支えられた好公演。このだけ多いキャスト陣だが、1人ひとりの個性がしっかり表現されており、劇中に埋没しない。逆に登場する場面を気分良く盛り上げていく、そんなパワーが感じられる。
(上演時間2時間10分 休憩なし) 【遊戯編】

ヤマモトさんはまだいる

ヤマモトさんはまだいる

東京演劇アンサンブル

あうるすぽっと(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白いシーンと、よく分からないシーンが混在していたが、セットも含めてなかなか刺激的な舞台。

ネタバレBOX

正直に言うと、池辺晋一郎氏の劇伴が個人的にちょっと苦手な感じだった。だだし、全てというわけではなく、ニノとエリックのカップルのシーンで使われた劇伴だけ、油断していると睡魔に襲われそうになって困った。他のシーンの劇伴では問題ないのに、彼らが登場してあの劇伴になる度にまた…といった具合で、ある意味すごいとも言えるが。
失敗の研究―ノモンハン1939

失敗の研究―ノモンハン1939

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/23 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/13 (金) 19:00

座席1階1列13番

価格4,800円

タイトルからは戦争の歴史物のように感じられますが、話はもっともっと奥が深いです。今の日本でもしぶとく生き残っている日本の組織的体質、特に「日本のエリート組織の欠点」を活写した極めて完成度の高い作品でした。

夜の来訪者

夜の来訪者

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

日本で初演は戦後の初期、それから八十年近く。その間に日本的改変を繰り返しながら、再演が続いた珍しい戯曲の再演である。観客五百前後の会場公演にふさわしい内容で、公民館的劇場の地方周りの公演にはもってこいの内容の普遍性もある。あらすじはよく知られているが、改めてみると、二時間観客を引っ張る力は今もある。しかし、さすがに首をかしげたのは次の三点。
脚本的には原作が時代設定を一つ前の時代に置いていること(1945→1912)を理由に、今回上演版は昭和15年(1940戦争直前)に時代設定している。2024→1940である。また、日本初演時の翻案をなぞって原作のイギリスの地方の工業都市の設定を、日本の地方都市に設定している(県庁所在の町という感じである)。この時代設定と舞台設定が見ているとしっくりこなくなった。1940を実感として感じられる観客はもう非常に少ないだろうし、この戦前の時期を語る人もいない。いかにも空白の時代劇である。舞台の上はそれでも良いかもしれないが現在の観客と距離が出来てしまった。
二点.原作ドラマのテーマは四民平等の責任を問う社会倫理劇である。一つ間違えば学校教育ドラマになってしまうところを、サスペンスドラマ風の謎解きドラマを絡ませてテーマを生きた社会ドラマとして見せてきた。今回は謎解きとともに、社会劇から家庭劇(個人の責任を問う)へ比重が大きく傾いた。雇用の不平等や企業の横暴、女性差別、妊娠の責任などの通俗的道具立てと、経営者家族それぞれの勝手放題に犯罪の焦点が当たってくると、謎解きはわかりやすいがヘンに安っぽい。ヤスっぽくならないようにする工夫もあまりなく、実感のない社会情勢(典型的なのは死んだ女性の転落のスジである)で物語が組まれている。
三点。なんだか舞台の上が古めかしい。スジを運ぶ演出は的確だが、俳優たちが型にはまって分かりやすい演技になってしまっている。いつもは新鮮なところが見える尾身美詞(娘)も、時代に引きずられ、瀬戸口郁(警部)も、具象か抽象かはかりかね、現代に届いていない。
この三点を見ると、思い切って、原戯曲を現代に持ってきた方が良かったのではないかと思えてくる。社会問題そのものは現代にも生きているし、人間模様も合わせやすく芝居もやりやすかったのではないだろうか。それでは、戯曲が通用しないというなら、そこが現代劇の宿命で戯曲の寿命が尽きたと言うことになるのだろう。
ヒルの公演なのに、劇場は中年の観客も多く、まるで活気のない老婆、老爺の民藝の客とも、インテリ老人の多い文学座とも違う俳優座の客層で9割は入っていた。この客が劇場がなくなったとどうなるのか考えると折角の都市文化を潰す怨嗟が残る。


ネタバレBOX

この芝居は日本では犯人探しの娯楽作とも捉えられていて、そういう視点ではオリエント急行より先に全員犯人で解決した作品ですね。
アダルト≒チルドレン

アダルト≒チルドレン

表現集団 式日

麻布区民センター 区民ホール (東京都)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めて拝見しましたが、非常に良かったです。重たい話で割とクサイセリフが多いのに無理なく見られるというか。脚本演出もいいし、役者さんも安定してますね。あと、音響が全体的に好みでした。

フィストダイバー

フィストダイバー

幻灯劇場

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2024/09/13 (金) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

幻灯劇場さん初観劇
フィストダイバー、観劇時間の経過につれドンドン世界に引き込まれていく不思議な演劇でした!
あっという間の85分。楽しかったです!

探偵ハ物語

探偵ハ物語

映像劇団テンアンツ

小劇場B1(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです!
昭和感たっぷりで、最初から最後まで笑いが絶えないパロディー作品、本当に楽しかったです。
役者さん達の全力で笑いを取る(?)演技も良かったし、笑いの中に、ほろっとさせるストーリーも良かったです。
仕事の後で疲れていましたが、面白過ぎて疲れも吹っ飛びました!
大満足でした。

ヤマモトさんはまだいる

ヤマモトさんはまだいる

東京演劇アンサンブル

あうるすぽっと(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/09/13 (金) 14:00

劇団創立70年の記念公演2作目。劇団と交流があるドイツの前衛劇作家デーア・ローアーの書き下ろし。ブレヒトを演じ続けた東京演劇アンサンブルがどのようにして世代交代を果たしていくのかが注目されるが、劇団代表の志賀澤子がパンフレットに書いているように、この戯曲は劇団の70年そのものだという。次世代がメーンとなり背負う舞台はこれからのお楽しみというところなのかも。

ドイツの劇作家が「ヤマモトさん」というのは面白いが、舞台は欧州である。同じアパートの住人たちがヤマモトさんという高齢女性に関わっていく様子が、回転舞台による頻繁な場面転換で語られる。欧州でも独居高齢者は増えていると思われるが、ヤマモトさんは今の日本の世相を代表するようなキャラクターだ。
ヤマモトさんが半生を語る場面が印象的だ。何だが、ヤマモトを演じる志賀が劇団の後輩たちにとうとうと語っているような、そんな感じがした。ヤマモトさんは製材所に勤めた経験があるのだが、その中で「伐採」という言葉への反発を強く語る。あまりにも殺伐とした語感という中身だが、客席もこれは共感できたのではないか。

淡々と進む舞台だが、難解な部分も多い。これもパンフレットにあったのだが、演出の公家義徳が「劇団で上演される作品はブレヒトだとかチェーホフだとか、何が面白いのかさっぱり理解できないものばかり」と入団した当時の感想を書いていた。公家さんでも「さっぱり理解できない」んだと、何だかホッとしてしまった。今作で、なぜこの場面があるのか、舞台上の会話は何を意味しているのか、分からないまま過ぎてしまったところが複数あったのだが、まあ、それはそれでよいのかと演出家のモノローグに救われた思いで劇場を後にした。

思い込み

思い込み

中央大学第二演劇研究会

ひつじ座(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ベシミル! 華5つ☆
 SNSやユーチューバー、既に廃れたかに見えるブロガー等を含めてネット環境を利用しての発信、受容の拡大再生産は破竹の勢いだ。これに乗じて若い世代が稼いだなどという話も拡散されている。この物語はこんな時代の表層と表層の炎上や、既存メディアの報じる炎上を原因とする著名人の自殺等の社会現象の底にある生の生活を実に奇想天外且つショッキングな内容によって掘り下げ、現代資本主義の多くが実際には実践しているショックドクトリン下(ナオミ・クラインが指摘)の社会の暗部を照らし出したと捉えられる極めて深い作品。お勧めである。(追記後送)

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青色文庫‐其五、夜長月の童話集‐

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 Aチームを拝見、作品は2本、何れもオスカー・ワイルドの原作である。1本目は「小夜鳴鳥と赤い薔薇」2本目が「幸福の王子」。上演形態は朗読劇の体裁を採る。舞台美術は共有。板奥に天井から床まで届く布を下げ、布に等間隔の幅を設けた光の点を配して天井から床まで届く仕掛けだ。無論、同時に袖の役割も果たす。その手前観客席寄りの板中央辺りに丸椅子が等間隔に4脚並んでいるのは、登場人物各々が座る為である。板の最前部には下手、上手何れもシンメトリックに太い蝋燭が奥に2本、手前に2本重なるように置かれているが、奥の蝋燭は背が高く、手前の物は低い。これらの蝋燭の中間辺りに花で拵えた花壇状の造作。

ネタバレBOX


 作品内容については皆さんご存じだろうから触れない。ただ、ちょっと気になったのはオスカー・ワイルドの生没年と思われるリーフレットの表記についてである。ワイルドが生まれたのは確か1854年、亡くなったのは1900年だったと記憶しているがリーフレットでは全く違った表記になっている。
 何れにせよワイルドの生きた時代、多くの文学者が(詩人・作家等)ダンディズムを標榜していて、ブリテン出身の貴族でさえある時期迄フランスかイタリアに留学して大陸の文化を身につけなければ箔が付かないとされていたのに、仏文で発表した作品で態と間違えて書いてあるなどと生意気な口をきき反感を買っていたアイルランド出身のワイルドの歪みを感じるのは自分だけではあるまい。今回上演された2作はこのような「田舎者」としてのワイルドが一方で背伸びをしてダンディーを気取っていた反動とみることもできるような気がする。そのような作家の内面的な葛藤があったとしてその葛藤迄表現されていたかと自問してみたが、それは為されていなかったと判断した。
だいたいみんな躍ってる2024

だいたいみんな躍ってる2024

ユトサトリ。

小劇場 楽園(東京都)

2024/09/11 (水) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/09/12 (木) 19:30

観るの2度目のユニット。女子あるある、な展開かと思ったら、意外に凄い方向に進むのが面白い。(3分押し)105分。
 2021年に初演された作品の再演だが、初演は観てない。中堅女子社員2人が新人女子にリードされて、先輩の結婚式のサプライズで披露するダンスを練習しているが、当の先輩が来たり、主任と会計士が戻って来たりで、女子6人が展開するコメディ。最初は女子あるあるな話っぽく苦笑しているが、終盤でそれぞれが抱えるシビアな状況が展開され、それでも笑えるんだけど、どう収集するんだろう、と思っていたら力技で終了。やられました。

そして下北沢で我々は

そして下北沢で我々は

片岡自動車工業

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

凄く面白い。
劇団の疑似ドキュメンタリーな感じ。入団したそれぞれの女性の人生を切り取ってみせる。

女優を目指して上京したもののただのフリーター生活を送って腐っていた椎木ちなつさん。大阪で知り合いだった真壁愛(めぐみ)さんに劇団に誘われる。主宰は片岡百萬両氏。同世代の川嶋芙優さん、美鈴さん。ベテランの袋小路林檎さん、美津乃あわさん。客演の前川ゆう氏。キラキラとした目で劇団に入って来た新人、福澤音羽さん。

主催・演出・脚本の片岡百萬両氏は出演もこなす宮川大輔系。
真壁愛さんはハーモニカホルダーでIQOSを常時携帯する虻川美穂子系。気が利く理想の劇団の先輩。
川嶋芙優さんは親友4人組で集まり毎月カラオケBOXで夢を確かめ合っている。
美鈴さんは劇団の小道具の買い出しの帰りに異世界転移してしまう。
福澤音羽さんは真顔にコミカルな動きで台詞を繰り返す見せ場あり。
前川ゆう氏のデビルマンの被り物が良い。
袋小路林檎さんの「メ〜シ〜ア」「救世主」の合いの手。
美津乃あわさんは21歳のモデルを目指す役もハスキーにこなす。
椎木ちなつさんはアイドルフェイス。
MVPは衣装の植田昇明(のりあき)氏の爆発するセンス。この衣装抜きでこの世界は描けない。

細かい動作の振り付け一つ一つに手が込んでいる。
マチルダアパルトマンが好きな人は好きだと思う。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

前日に観たアイナ・ジ・エンドの武道館本編ラストは『きえないで』。全てを捨てて歌手になる為、進学せずに大阪から上京した。身銭を切って小さなライヴハウスで歌う日々。全く集客出来ず先の見えない焦燥。一体どうすればここから抜け出せられるんだろう?18歳、その時初めて書いた一番思い入れのある曲、『きえないで』。「この曲を10年以上掛けて武道館に持って来れました。凄く嬉しいです。」

今作の登場人物達の叫び声と重なる。暗闇の中でもがき苦しむ叫び。「暮らしを変えるより、暮らしを変えるより、夢を変えたいわ」とピーズは歌っていた。

短編を引き延ばした感じで構成がスカッとしないのが残念な部分か。
都合

都合

こわっぱちゃん家

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2024/09/12 (木) ~ 2024/09/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/09/12 (木) 19:00

初日を拝見。
最も殺伐とした世界である「係争」をトクダタクマさんが優しく、人間に対する愛をもって描いた佳作。
以下ネタバレBOX

ネタバレBOX

「法律」はあくまでも決めごとであって、心髄は「運用」。
必ずしも「正義」ではない。
頑な人たちが無批判に声高に「正義」を叫ぶ昨今の風潮に、優しく且つ敢然と棹さしていて好き。
そして成長も見せていくとかもう。

Mrs. GREEN APPLEの楽曲のような「事情があるんだよね」的な作劇が心地良かったです。

田中愛実さんとトクダタクマさんの掛け合いの妙。
そして場違いに見える西部さやかさんの役どころが効いていましたね。

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