ゴジラ
リブレセン 劇団離風霊船
一心寺シアター倶楽(大阪府)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ストーリーの設定が面白い♪
前から噂では聞いていた名作「ゴジラ」
30年の時を経て本家本元の再現⁈
ストーリーの設定が分かりやすく面白かった♪
凄く想像力が掻き立てられる話
それを役者さん皆さんが丁寧に演じる!
笑いも盛り込まれて魅せ方なども工夫がされていて
最後まで愉しめました!さすが名作!
この声
オイスターズ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/02/19 (金) ~ 2016/02/23 (火)公演終了
満足度★★★
大きな問いをはらむナンセンス・コメディー
おっとりした成人男性1人と、彼をいじめる若くて元気な女性3人が登場するナンセンス・コメディーでした。平気で嘘を重ねる小悪魔のような女性たちが男性を追い詰めますが、男性もうっかり調子に乗って作り話をするので、自業自得の滑稽さも際立っていきます。虚構(=物語)の楽しさと豊かな可能性を軽妙に伝えつつ、軽々しい嘘によって起こる事件に空恐ろしさもにじませました。
終演後に物販コーナーで戯曲(1,000円)を購入しました。読んでみると上演中にははっきりと理解できていなかった箇所があり、他の座組みでも観てみたい戯曲だと思いました。
終演後に作・演出の平塚直隆さんからお話を伺うことができました。4都市ツアーのうち、東京のこまばアゴラ劇場が空間的には一番小さいそうで、他劇場とはかなり印象が異なるかもしれないとのこと。言われてみれば確かに、大きな劇場にも合わせていたせいか、俳優の声は(こまばアゴラ劇場のキャパに対しては)ボリュームが大きい目だった気がします。その点は気にしないようにしました。
ネタバレBOX
開場時間には学校などの公的施設でよく聞くタイプのアナウンスが響いていました。選曲も懐かしく、さすがは昭和48生まれの俳優によって結成された劇団だなと思いました(私は同世代です)。平台をそのまま並べた床面が広がり、下手手前にイーゼルと木製のイス、そして絵画用品が置かれているシンプルな空間です。
暗転後に開幕すると、成人男性がイスに腰掛けてキャンバスに筆で絵を描いていました。上手からセーラー服を着た若い女性が登場し、開演前のアナウンスの効果もあって、すぐに学内の風景だと想像できました。ただ、演技が機械的で空気が固く、もしかすると男性の想像の世界の出来事であって、学校でもないし、劇中の事実でもないのかも…と、しばらく様子見をすることに。その後、特に演技方法などに変化がなかったので、こういう作風なのだろうと、細部にはこだわらない見方に落ち着けることにしました。
安易な思い込み、軽率なレッテル貼り、間違いだらけの伝言ゲーム、悪意の噂やデマの流布などは、インターネットがインフラ化してスマートフォンやSNSが進化した現代において、頻繁かつ容易に可視化されるようになりました。それらの行為がシンプルな会話劇にギュっと凝縮されている、面白い戯曲だと思います。喜劇だからニヤリとしてやり過ごせますが、実際に起こったなら、笑いごとでは済まされないことばかりです。
男性教師は自分を翻弄する女生徒3人が顔見知りの仲間だと思っていましたが、終盤で、顔も見たことのない他人同士だったとわかります。匿名のチャットのグループで男性の情報を共有をしていたのでしょうか。LINEやtwitter等を日常的に使っていれば、そういったことは可能で、自分の身にも起こり得ると想像できます。バーチャル(虚構)の虚言がリアル(現実)に影響を及ぼしたなら、その虚言は現実のはず。じゃあその虚言を発した声は実在するのか?その声の主は生きている、リアルな、人間なのか?…という具合に、一見くだらなくて軽々しいやりとりの中に、大きな問いを含んでいるのが巧みだと思いました。
彼らは死体となった人間が動き出し、生きた人間を襲うという有名なバケモノの“ゾンビ”の話をしていました。ゾンビは死体だが動く、だとしたら生きているのか? 息をしていることが生きている証だと思っていたが、そうでないなら人工知能も生命ではないか? やがて「生きているって何なのかしら」(16ページ上段の女2のセリフ)という風に、生きていることについて直接的な問いかけをしていきます。18ページ上段ではより具合的になります。
女3:そうですよね、死んでたら、その人の声は届かないですもんね。
女2:今私達は、生きている事と死んでいる事の違いについて考えているのです。
人間が生きている事とは何なのか。自分の存在を確かめるには他者の存在が不可欠です。そのかけがえのない他者と真実の言葉でつながらず、嘘で誤解を重ね続けることは不毛、つまり死を意味するかもしれない。それなら息をしていたって死んでいるも同然。生きながらにして死者にもなれる…などと考えを巡らせました。
俳優の演技については劇団独自の方針や方法論があるのだろうと思います。私は舞台上で生まれる俳優同士の交流を味わいたいと思っているので、振付どおりに進むように見える会話には興味が持続しませんでした。たとえば、自分が相手に向かってセリフを言っている時は言うことだけに意識を集中し、言い終えたとたんに息をつき、相手が話しかけてくる時間はただ休憩をして、自分の番を待つ…といった演技には惹かれません。
教師と生徒の日常会話と見せかけて、実はあり得ないような演技で構成されていました。もっと挑発的な試みを加えてもいいんじゃないかと思いました。たとえばジャンプするとか踊るとか、観客に向かって堂々と話しかけるとか。そういった飛躍を包容できる戯曲だとも思います。
女1(横山更紗)が勝手に1人で歌い出す歌が楽しかったです。下手奥でネジのように回転しながら、奈落に刺さって履けていく場面は印象に残りました。
女2(川上珠来)は髪の毛が顔に広くかかっていて、横顔の表情が見えなかったのが残念でした。
教師を演じた田内康介さんは愛嬌たっぷりなので、サンドバック状態が苦になりませんでした。終盤の長い一人語りは見どころでしたが、床に寝転んでじたばたしながら叫ぶだけでなく、声にも動きにも、もっと変化が欲しいと思いました。
兄弟の都市
MICOSHI COMPLEX
OFF OFFシアター(東京都)
2016/05/12 (木) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★
かなりアイロニカルなブラックコメディー
表向きは友好関係而してその実態は、利害と打算、政治と私有化。
ネタバレBOX
姉妹都市提携を巡り、貧しい側は一種の人質として豊かな側に娘を差し出す。後年、両姉妹都市の貧富は逆転。だが、貧しかった町が新たに富を蓄えることになった野菜には、中毒症状があり、その故に金と同じほど高価であるにも関わらず売れたのである。同時にこのことを告発すべく動く人間は、当然のことながら故なき罪に陥れられ、殺害、収監などの目に合う。
同時に異国の地で暮らさざるを得なくなった者たちの孤独と孤立無援による心的危機は、行った先の国に馴染むことによって克服されると同時に生来のものではない他者性を自らのうちに孕む者としては、他者性としての異国と生来の故郷を継ぐ者として我が子のみを同類とすることで狂わずに日常を送ることができる。
様々な政治的手管や、弾圧を含めた権力サイドの横暴に対し、親子の情や、異世界を内包するが故に架け橋となることのできる可能性を積極的に背負ってゆこうとする若者の姿を描いて、中々読み込めるのだが、惜しむらくは、各パートの連携がイマイチ。必然性が弱いのである。ブラックコメディーという形で描かれる今作、しょっぱなの下らないギャグは不必要だろう。それよりもっとスパイスを効かして辛辣であってよい。また尺は15分くらい縮め2時間ほどでよかろう。
ブラック メリーポピンズ
キューブ・東宝芸能・シーエイティプロデュース
世田谷パブリックシアター(東京都)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★
再演を待っていた甲斐がありました!
アンナが中川翔子さんと知ったときはどうなるのかいまいち想像がつきませんでしたが、全然問題なかった!すごくよかったです。歌はまだミュージカルっぽい感じではなかったけど、体当たりで堂々と好演。
ネタバレBOX
あの、ヘルマン→アンナへの感情の揺れときたら。直接的な言葉は少ないのに、どれほど彼女をたいせつに思っているのかがびしばし伝わってきます。だからこそ、彼女に反射で拒否をされた時の、驚き~悲しみ~怒り~苦しみの流れが秀逸。セリフもないし、ほんの数秒なのに全部わかる。初演と同じく、あのシーンでは胸が引き絞られるようでした。
それから一路真輝さんの存在感。すごくすごく出番が多いわけではないのに、子どもたちを縛り付ける「メリー」の思い出。あの夜、ソファをちらりと見てたじろぐ様子、あんなに一瞬なのにとても印象的でした。総じてその「一瞬」の印象づけ方が上手い舞台。その一瞬たちが積み重なって大きな作品を作っています。ヨナスの良知さんの振れ幅だったり、小西ハンスの言葉上ではない「長男らしさ」だったり(最後の「幸せになるために」「喜んで」受け入れます、は本当に素晴らしい)、セリフだけでない部分の説得力が素晴らしい作品でした。続けて観るのは精神的に辛すぎるんですけど、定期的に観たい作品です。
不幸の家族
立川志らく劇団・下町ダニーローズ
小劇場B1(東京都)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
評判通り!!
口コミの評判が良く、それを見て当日券で鑑賞。席はほぼ満席でした。
たくさん笑わせてもらい、最後にホロリ。
まさに人生賛歌。現代の人が失くしつつある人情というものを見させられました。
久々にもう一回、あらためて観たいと思った舞台です。
不幸の家族
立川志らく劇団・下町ダニーローズ
小劇場B1(東京都)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
衝撃の。。。
笑って泣いて笑って泣いて
あっという間の2時間でした。
何度も何度もクライマックス級のシーンが!
面白すぎた〜
不幸の家族
立川志らく劇団・下町ダニーローズ
小劇場B1(東京都)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
笑いと感動の2時間
ついに初日の幕が開いた、立川志らく師匠の演劇「不幸の家族」。舞台セット、小道具をはじめ、ストーリー内容、そして、衝撃のラストに至るまで、これぞ落語と演劇の融合と言うべき作品でした。笑って、泣いて、大満足の2時間でした。
SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】
壱劇屋
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
サービス満点!体験型の娯楽演劇パッケージ
真四角の謎の閉鎖空間“SQUARE AREA(スクエアエリア)”に閉じ込めらた、見知らぬ人々の攻防を描くSFサスペンス・ドラマでした。壁のない舞台の四方に客席があり、床の高さは60cm。角には4本の支柱が建っていて、最上部に全支柱を横につなぐ四角い枠があり、柱だけの立方体になっています。
作・演出・出演の大熊隆太郎さんはパントマイマーのいいむろなおきさん、小野寺修ニさんに師事し、京都でロングラン中のノンバーバルパフォーマンス『ギア-GEAR-』にも出演されています。シンプルな抽象舞台と伸び縮みする紐を使った身体表現が見どころで、パントマイムの群舞による空間の七変化もスリリングです。通路を走る役者さんから風が届いて、小劇場ならではの臨場感も味わえました。
私は関西出身ですが東京に住んで20年以上になります。普段は耳にしない関西弁の方がフィクションの世界に入りやすいだろうと思い、全編関西弁のスペシャルステージを選びました。それが功を奏したのかどうかは確認できませんが、終演後のワークショップも含めて、サービス満点の娯楽イベントとして楽しむことができました。
上演が1時間30分で、終演後に約30分のイベント(ワークショップなど)があり、計2時間の娯楽パッケージにしているところが素晴らしいです。劇場入り口の壁には俳優の名前ののぼりが何枚も貼られていて、導入部からわくわくしました。劇場階段の踊り場には、観客が自由に感想を書き込める色紙とカラフルなペンが置かれていて、なんと色紙は6枚貼り合わせた立方体(=SQUARE AREA)になっていたんです。観客が作り手とともに作品と公演に参加して、一緒に楽しめる仕掛けをたくさん準備してくださっていることに感動しました。
東京公演は3都市ツアーの最終地でした。東京公演専用のチラシを作成し、劇場への折り込みも活発に行っていました。劇場に入ってすぐ突き当りにあった黒い壁には、愛知公演、三重公演を観たリピーター観客が違う角度の客席を選べるように、ステージの向きを明記した各地の座席表が掲示されていました。なんて親切なんでしょう!
終演後に大熊さんと制作の西分綾香さんにお話を伺いました。西分さんからは「CoRich舞台芸術まつり!の最終選考に残ったおかげで東京公演にお客さんが大勢来てくれました」という言葉をいただきました。終演後のロビーでは、売り子の皆さんが観客に対してあまりに熱心に商品をお薦めされていたので、購入して応援したい気持ちになりました。強い意志を伴う行動は実を結びますね。
※東京公演では千秋楽の4/10(日)朝10:30開演の追加公演が決まり、ステージ替わりゲストは王子小劇場・芸術監督の北川大輔さん(カムヰヤッセン)でした。「CoRich舞台芸術まつり!2016春」最終選考のライバル同士で、なんと公演期間も丸被りだったにもかかわらず、壱劇屋を王子小劇場に呼んだ劇場職員として一肌脱いだ北川さん…男前!しかも前売り完売という成果を上げました。
ネタバレBOX
開演前に大熊さんがどしどし観客に話しかけ、そこまでしなくてもいいのでは…と思うほど(笑)和ませてくださいました。でも開幕してからは空気が一転。5分で神妙かつダークな雰囲気の異世界へと連れて行ってくれました。
見ず知らずの人々が突然“スクエアエリア”に放り込まれ、閉じ込められます。壁にある目に見えないノブを回し、ドアを開いて次の部屋に行くと、また同じスクエアエリアに戻ってしまうなど、観客に劇中のルールをわかりやすく説明し、少しずつ物語へと誘導していくのが巧み。短いセリフの応酬がリズミカルで、ギャグが沢山ちりばめられているので、大仰さや深刻さは控えめになり、軽やかに進行します。「残り50分」「残り10分」などと制限時間をカウントダウンしたり、謎の手紙を降らせたり、スリルを感じさせる仕掛けが周到です。
スクエアエリアの中で白いゴム紐を使って立方体を作り、人が入ったり出たりして変形させていくパントマイムは、大道芸、群舞として見ごたえがあり、物語とリンクしているのもとても面白かったです。白い紐をスクエアエリアに巻き付ける演出も良かったですね。ただ、俳優の演技およびパントマイム中の表情や動きについては、まだまだ改善、洗練の余地が大いにあると思いました。パントマイムは、役柄を演じたまま、さらりと、華麗に見せて欲しいです。
登場人物は皆、私生活で何かしらに追い詰められており、その原因が解消されるとスクエアエリアから脱出できますが、全員が脱出できなければ、また元に戻ってしまうという設定でした。彼らをつなぐ接点は病院に入院中の少女、小町(小刀里那)。どうやら入院中にお世話になった人々に恩返しをしたいという彼女の思いが、人々をスクエアエリアに召喚したようですが、そのあたりは上演中にはあまり理解できませんでした。最終的には相互に助け合いをすることで、全員が脱出します。他人を差し置いて自分だけ助かろう、自分だけ得をしようという生き方はみっともないです。誰一人置いてきぼりにせず、全員で幸せを目指す姿を描いたことが素晴らしいと思います。
強盗役とジャガー役を演じる、ステージ毎に異なるゲスト出演者は、塩原俊之さん(アガリスクエンターテイメント)でした。セリフと演技の両方で下ネタ炸裂…。私はもう40代の観劇オタクですから(苦笑)、慣れたものとはいえ、ドン引きしました。大熊さんに「20ステージ中、“最低”のジャガーでした!」と紹介されていて、さもありなんと思いました。ゲストの当たりハズレは運ですので気にしません(こりっち審査員の余裕をかましておくぜっ)。
俳優の中で動きにキレがあると思ったのは、幾度となく押し寄せる便意に困りまくる河村役の河原岳史さんでした。
エドウィン・ドルードの謎
東宝
福岡市民会館(福岡県)
2016/05/14 (土) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★
笑いの演出が多種多様。
なんでもありの笑い。でも、ミュージカルならではの歌唱には満足でした。観客参加型は楽しいのだけれども、ストーリーが途切れるのはいただけない。
翼とクチバシもください
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
アンディー
当日パンフに意味の無い言葉と動作とあったが、それを揃える役者さんの技量と舞台として成立させるクロムモリブデン。ああ、これがクロムワールドだなと感じた。ただ、以前よりだいぶ役者さんが代わってきた事に、少し寂しさも感じた。
兄弟の都市
MICOSHI COMPLEX
OFF OFFシアター(東京都)
2016/05/12 (木) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
観応え十分
兄弟都市という友好都市提携というハッピーイメージではない。どちらかと言えばブラック・コメディという印象である。何よりも都市という名があるが、その根幹には人間の有り様が描かれる。国(行政)益と個人(家族)の思惑がいつの間にか融合し、立体的な物語として展開する。そのさりげない交錯(耕作)劇は、演出こそコメディタッチであるが、多くの示唆を含んだ社会派ドラマのようである。
ネタバレBOX
セットは、上手に段差のある舞台...別場所(国)を表わしているようだ。特徴的なのは、ピクトグラムのような絵文字・絵単語と呼ばれるパネルが掲示され、さながらユニバーサルデザインの様相を示す。そこに兄弟都市という国際互恵が感じられる巧みさ。
梗概は、輝かしい未来のため、某密約を伴って互いを「兄弟」と認め合った2つの都市。 時は流れ現代日本が舞台。 一人の少女と一人の青年の交換留学をきっかけに 兄弟都市提携に亀裂が生じる!もっとも都市提携ではなく、企業提携といった商業ベースの話のようでもあった。
この芝居では二国間という設定...タンバヤマ市(日本)とアノコク市(途上国)であり、タンバヤマ市の支援と、一方アノコク市の農産物(似ブロッコリー生産)耕作が、いつの間にか発展と途上国の立場が逆転していく。そしてこの両国を擬人化した男女カップル(国際結婚)の話へ摩り替わっていく。この夫婦(妻が途上国の人のようだ)の生活・歴史・文化感を通して、人間本質が炙り出されるようだ。二人の間に出来た子は混血児。妻は母国語を忘れ、今生活している国の文化(例えば「言葉」)に同化していく。なぜ自分が生まれた国の言葉を子供に教えない?どちらの言葉で話させるのか?を意地悪に問う。アイデンティティはどうか。それらは子供による選択であるという。偏狭な信仰、考え方に対する痛烈な回答であろう。歴史や文化の異なる人々がどのように感じ、考え、行動しているか。国家は人の集合体。その最小の構成単位は家族かもしれない。その漠然とした器である国家を個という人の内側から生き生きと描いた芝居だと思う。
演技は、役者陣が登場人物のキャラクターを魅力的に体現するが、演出としては、どこにでも居るような典型的な人間像を描いている。
少し気になるのが、物語全体の流れ。場面毎は、含蓄ある台詞もあり観応えがあるが、全体を貫く主張したいことが分かり難くなった。場面が張り合わせのようで、メリハリが感じられないような…。人間というミクロの視点は面白いが、都市(国)というダイナミックなマクロ視点が暈けたように感じた。
次回公演を楽しみにしております。
昭和歌謡コメディ~築地 ソバ屋 笑福寺~Vol.5
昭和歌謡コメディ事務局
ブディストホール(東京都)
2016/05/12 (木) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしく楽しいひと時
今年は昭和の元号で言えば、90年にあたる。社会的には昭和20年までは軍事戦争、戦後は経済競争(高度成長期)、バブル時期を経て失われた何十年。時代環境は等しく人々の生活に影響を与えるが、その時に聞く歌は人によって受け止め方が違う。歌謡はその時代の人に寄り添うものであり、その思い出は千差万別であろう。と言っても、この公演の歌は昭和50~60年代が中心で、TV、ラジオで歌謡番組が多くあった時代のもの。その頃が青春時代であった人たち(今やりっぱな中年紳士・淑女)が、舞台に向かって声援、ペンライトを振り、テープを投げ、笛を鳴らす。時代が一気に40年ほど遡(若返)り、楽しいひと時を過ごした。
この公演はVol.5であるが、Vol.6を2017年1月に予定しているとの案内があった。次回公演に向けて気になることが...。
ネタバレBOX
梗概は、ネタバレに記すまでもなく、説明の通り...築地のソバ屋「寛兵衛(かんべえ)」前で、国籍不明の謎の美女(グレース美香)が行き倒れ。そして記憶を失っているらしい。 記憶を失いながらも、時々、突然に狂ったように踊り出す彼女。記憶を取り戻すカギは「ダンス」らしいと気づいた寛兵衛達だが...。 彼女を付け狙う中東人の影。いったい彼女の正体は...
今までの公演は、第1部「芝居」、第2部「歌謡」を完全に切り離していたが、今回は社交ダンス(シャル・ウィ・ダンスがやってきた!)というコンセプトで観せていた。第1部では芝居の中でもダンスシーンを入れ、第2部ではプロの社交ダンスを堪能した。
さて、気になるのは、舞台上で「でんぐり返し」を3人(江藤博利、石尾吉達、志子田憲一)で行っていたが、特別の理由(例えば、劇「放浪記」の森光子サン)がなければ、マットも置かずに行っており危ない。足にテープが絡まっていた。この公演は「昭和時代」を感じさせてくれる貴重なイベント。ぜひ長く続けてもらうためには「でんぐり返し」を止めてもファンは怒らないだろう。むしろホッとするのではないか。
次回公演も楽しみにしております。
わが家の最終的解決
アガリスクエンターテイメント
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
今作も傑作
テーマ的にはとても重いのだけど、見事にブラックで暖かく、残酷で笑えるコメディでした!アガリスクさんの舞台はどれも大変好きなのですが、今作も期待以上でした。プロローグ、1~3話、エピローグと切替のメリハリもあり、登場人物のキャラ立ちが流石です。そして、役者さんが皆上手い!台詞が無い時の演技が皆一様に上手く、惹き込まれます。
コメディではあるのですが、途中途中の熱い台詞だったり、エピローグのまとめ方だったりが、作品を引き締め余韻を残します。
最後のオチも効いていて、また是非再演を期待したい舞台でした。
8月の家族たち August:Osage County
Bunkamura/キューブ
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/05/07 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
バトル最高!
映画版の「8月の家族たち」を観ていたので、麻実れいと秋山菜津子のバトルに期待して劇場に足を運んだ。期待以上の壮絶なバトルで大満足。物語自体は救いようのない内容だが、大いに笑いもし、これぞブラックコメディと納得の3時間15分間だった。
わが家の最終的解決
アガリスクエンターテイメント
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
さすがでした。
題材が題材なだけに、中盤からラストにかけてはどうしても重くなっていきましたが、そこからの更なる笑いへのもって行き方が見事でした。
この攻め方好きです。
力のある作品でした。
星降る夜に猿は哭く
青年団若手自主企画 伊藤企画
アトリエ春風舎(東京都)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/19 (木)公演終了
満足度★★★★
開演前
どっちらけ
ネタバレBOX
茨城の循環器系病院の中庭を往来する人々、カップルの話。
開演前の小芝居が、喫茶店のアルバイトのぎこちなさがわざとらしくてつまらなく、その後の前説が、多分本当にたどたどしかったのだろうとは思いますが、白けてしまってそのたどたどしさに逆に苛立ちを覚えてしまいました。
心臓が悪くても子供を産もうとした女性のエピソードを基に膨らませた印象でしたが、成長する子供のためにビデオを残そうとする話自体に新鮮味はありませんでした。ただし、病室だと訪れることはできないが、中庭だといつでも行けるからと言ってビデオの場所に中庭を選んだのは良かったと思いました。4,5年後の答え合わせは必要ないと思いました。
ラジオドッグ
KING&HEAVY
HEP HALL(大阪府)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
スピーディー
テノヒラの作品を見慣れていると、
なんてスピーディーな展開なんだと驚いてしまいました。
熱量のあるお芝居に見入ったり、口での擬音に吹き出したり、
見慣れない役者さんのキャラに笑ったり、
2時間を楽しみまくりました。
渇いた蜃気楼
下鴨車窓
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/05/13 (金) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
暑かった
酷暑が凄く伝わってきました。
空調は心地良かったはずなのに、見てると暑くなってきました。
そして、高杉さんが登場してからの緊迫感が半端なかったです。
ドキドキしちゃいました。
翼とクチバシもください
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
大好き
大好きなクロムの公演ですが、
今回のパワーマイム的なのが物凄くツボでした。
何度も吹きだしちゃいました。
そしてクライマックスで重低音に身体がしびれました。
わが家の最終的解決
アガリスクエンターテイメント
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かった
ナチスとゲシュタポという重くなりがちなテーマなのに、
ここまで笑わせてくれるのが凄い。
キャストに常連の方も多く、
それぞれのキャラも分かってるだけに、
より笑えました。