最新の観てきた!クチコミ一覧

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「月見ドロボー物語」

「月見ドロボー物語」

劇団暴創族

上野ストアハウス(東京都)

2016/10/12 (水) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★

収束できたのだろうか【Aチーム】
和菓子店「遠月堂」を中心にしたドタバタ騒動物語。主人公は人物というよりは、店そのもののようだ。この店の家族、従業員、近所の人、そして店を訪れた人々の勘違い、思い違いの連鎖が面白おかしく描かれる。
劇団暴創族の謳い文句...2016年「秋」公演 ドタバタゴーストシチュエーションコメディ‼、その物語は収束できたのだろうか。
(上演時間1時間50分)

ネタバレBOX

当日パンフに主宰・大坪雅俊氏が「『お月見泥棒』とは実際に日本に存在する風習のひとつで 月の使いとされる子供たちが近所の家々を回り お菓子やお月見のお供え物を貰い歩く」と書いている。そのファンタジックな雰囲気は感じられつつも、やはり騒動という娯楽重視の観せ方だと思う。その物語に引き込む舞台セットは、上手側に店の家族(遠野家)宅、中央奥は向かいの美容院・沼部、客席側は遠月堂店内(和菓子ケース、テーブル・椅子、暖簾など)で、和風の雰囲気をしっかり漂わす。

梗概...今日は亡き妻の七回忌前日。二人姉妹のうち、長女は引篭もりでインターネットによるマンガ配信。この長女に霊能力(オカルト研究家)がある来訪者。一方妹は東京で仕事をしている。帰省する妹を自称婚約者が追いかけてくる。周囲は、この婚約者の相手(姉妹)の取り違え・勘違いなどてんやわんやの騒動が起きる。他方、和菓子店「遠月堂」 は大手百貨店が主催する和菓子展への出展を目指し忙しい。さらに妻が亡霊として現れ、霊能力者とシンクロし、異次元(幽霊・子役)の世界まで出現させて...。これがお月見泥棒というタイトルの掛け合わせのようだ。

登場人物の中で、この錯綜した騒動を説明できる人がいるのだろうか。
たしかに現実においても全ての状況を掴んでいることは稀で、ほとんどは自分の見聞きした範囲、または自分勝手な思い込みによる辻褄合わせで判断していることが多いかもしれない。

しかし、これは芝居...観客として騒動の一部始終を知っている以上、この騒動をどう収束していくのか、という過程が楽しみになる。本公演では、散らかった騒動(誤解など)を回収しきれず、月に持って行ったようだ。その余韻とも思えないラストが少し残念である。

次回公演を楽しみにしております。
ひずむ月【本日千秋楽!当日券若干あり】

ひずむ月【本日千秋楽!当日券若干あり】

劇26.25団

OFF OFFシアター(東京都)

2016/10/12 (水) ~ 2016/10/17 (月)公演終了

満足度★★★★

地震学の先駆者
「関東大震災(1923)」の地震の前と後で、評価が大きく変わった学者...今村明恒東京帝国大学教授(博士)。 地震前は「ホラ吹き」と罵(ののし)られていたのが、地震後には「地震の神様」となった。

本公演は、地震やそれに連なる災害を描くというよりは、数奇な運命を辿った男の人生譚といった物語である。その家族や職場である東京帝国大学地震学教室の人物との交流を中心に展開していく。ほぼ年代順に進み、時々の風潮が織り込まれる。

タイトル「ひずむ月」...地震は地球上に起こる現象であるが、それは(歪む)月になぞらえて民衆の心(変わり)を投影しているような...。
(上演時間約2時間)

ネタバレBOX

公演やそれを取り上げた新聞記事等の中で、将来起こりうる関東地方での地震への対策を訴える。「ホラ吹きの今村」と中傷されるも、彼の警告は関東大震災によって現実のものとなる。その後、幅広い震災対策を呼びかける一方で、現在の「地震学会」設立に尽力する。本公演では、関東大震災までの辛苦の時代を中心に描き、地震に対する独自の視点と研究成果へ自信、その信念の強さを窺い知ることが出来る。

物語は、今村明恒が東京帝国大学地震学教室に勤務(無給)しているところから始まる。その後は、彼の家庭と職場、外部での公演とその新聞記事により騒動が交錯するように描かれる。この時代、金銭的に苦労したことにより子供を亡くしている。子(特に長男を通して)への愛情、接し方も明治男の気骨を思わせる。

また、今村の長男・武雄と朝鮮飴売りのアンさんの交流は、関東大震災時に流布された朝鮮人行動に結びつける伏線であることは明らかである。今村教授の職場内での不遇、家庭内の不幸、夫々への苛立ちも垣間見え、けっして聖人君子のような人物でなかったことも描き出す。そこに人間味=この芝居の魅力が表れていると思う。

役者陣の演技力は確かでバランスも良い。その演技をさらに効果的に演出しているのが、舞台セット・衣装(和服)である。上手側に段差のある舞台を設け、今村家や街路に見立てる。舞台中央は職場、そこに机が置かれている。また可動する背もたれの高い椅子、見ようによっては衝立をいくつか用意し、玄関戸、汽車内の座席。その簡易な道具によって見る面白さが加わる。

本公演まで名前さえ知らなかった男の半生...関東大震災以降、阪神淡路大震災、東日本大震災など幾度となく地震災害の痛みを受けている。今村教授の教訓は生かされていたのであろうか。冒頭や中盤でのダンスシーンが、災害対策への啓蒙と大正時代の遊興の対比(皮肉)として描かれているような気がして…。

次回公演を楽しみにしております。
カタロゴス-「数」についての短編集-【5454次回公演は11月後半!!】

カタロゴス-「数」についての短編集-【5454次回公演は11月後半!!】

劇団5454

劇場MOMO(東京都)

2014/07/03 (木) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★

「数」がどれほどあるのか?
観劇三昧という演劇オンデマンドでの鑑賞。6月に見た「洗」とはちがい、「数」ってどんなんだろうという4つの短編と、ラストの表現さで構成されており、結構面白さもあった、93分でした。

アイドルくの一忍法帖 ー風魔四姉妹の逆襲ー

アイドルくの一忍法帖 ー風魔四姉妹の逆襲ー

劇団「神保町界隈」

テアトルBONBON(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度

正直酷かったです。
長年様々なお芝居を観ていますが、近年稀に見るレベルで酷かったです。
お芝居としての見せ場が殆ど無いし、役者が練られるどころかそれぞれの役になりきってすらいない。アドリブ劇の方がマシ。
あまりにまとまりがなさすぎてキャラもブレてる。舞台監督や演出は何やってんの?って感じ。役者さんが可哀想すぎます。
音響も照明もタイミングがおかしい。
役者さんの中にも力関係か個性なのか「ああこの人好き勝手してるんだな」って丸わかりの女性が居たり。無駄な下ネタと客いじりも不快極まりなかった。
よく公演できたなと思います。

サクラサクコロ2016

サクラサクコロ2016

TAIYO MAGIC FILM

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/10/01 (土) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

今回も
大切な人を想う気持ちの大切に気付かされる物語。
心がぎゅっとなるそして暖かくなる物語でした。
次回作も映画も楽しみにしています。

時喰【東京・大阪共に満員御礼!ありがとうございました】

時喰【東京・大阪共に満員御礼!ありがとうございました】

劇団5454

OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

興味深いテーマ、楽しめました
時間、時の流れを分かりやすくかつ観る人によって多様な解釈ができるとても面白い内容でした。是非また大阪に来てください ^^

HON GURE

HON GURE

劇団くりびつてんぎょう

ウッディシアター中目黒(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★

つか的ヤクザもの
舞台装置は無く、黒幕を貼っただけの素舞台で30人近くのキャストが動き回るのはなかなかの迫力。全編通して力みなぎる演技を続けた役者さん達、お疲れになったと思います。主役の木崎氏は、いかにも主役といった感じで良かったです。和田氏の的確なツッコミも良いテンポを生み出していました。
始めのうちはコメディなのかシリアスなのか、どんな方向性を持った芝居なのかよくわかりませんでしたが、徐々に「あ、これは、つかこうへいを演っているのか」と合点がいきました。惜しいのは、つか作品と違って抑圧された者たちの悔しさや情念があまり表現されていなかったこと。勢いだけで押すのではなく、そのあたりが考慮されればもっと良かったです。

ネタバレBOX

内輪ネタは、その劇団をよく知らない観客にとっては理解しづらいです(私もそうです)。ギャグネタのしつこさも、ある程度に抑えないと観ているほうは疲れてしまいます。
るつぼ

るつぼ

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/10/07 (金) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

狂喜
少女たちの集団催眠的な言動が周囲の大人たちを巻き込んで、異常な世界をつくりだしていきます。冒頭の儀式の焚き火など、コクーンの舞台装置は多彩だなあと。

ネタバレBOX

簡単に言えば、マサチューセッツでの魔女裁判のお話。
黒木華さんの狂気もなかなか。(集中しているとイライラとしてしまいます)
少女たちの振り付けは黒田育世さん、野田地図にみるあんな感じです。
溝端さん演じる牧師の信じていたものがゆらいでいく、どうしょうもなさが、共感。
露出狂

露出狂

パルコ・プロデュース

Zeppブルーシアター六本木(東京都)

2016/09/30 (金) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★

テンション高い!
カラオケボックスでの情事は笑える。
それがチームワークに影響してくるとは。

ネタバレBOX

装置は、サッカーコート半分とサッカーゴールをかなりの傾斜にしています。フィールド内は選手が、外は男性マネージャーが位置してセリフがでていきます。
背面は、かなりの数の照明がとうたいを使って配置されていまして、使用時はかなり眩しい。
アフタートークの中屋敷さん、いつものピンクパンサーではないぬいぐるみを抱えてました。
幽霊

幽霊

シーエイティプロデュース

紀伊國屋ホール(東京都)

2016/09/29 (木) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★

戯曲を一読してのぞみました。
舞台は屋敷の応接間。通路で話すとエコーがかかります。そして、壁がスクリーンになる布素材になっていました。息子が、亡父の放蕩ぶりと似た行動を行い、幽霊と。近親相姦や脳腫瘍などの病気の話など徐々に重みが増す、全三幕です。

ネタバレBOX

2年前、ホリプロの幽霊を観た時に、内容がわかりにくかったのもあって、直前に戯曲を一読してのぞみました。
二幕四場が終了したところで休憩に。休憩が終わってからは少々リプレイしてありました。いいシーンではあります。
ミュージカル バイオハザード〜ヴォイス・オブ・ガイア〜

ミュージカル バイオハザード〜ヴォイス・オブ・ガイア〜

梅田芸術劇場

赤坂ACTシアター(東京都)

2016/09/30 (金) ~ 2016/10/12 (水)公演終了

満足度★★★

壁のこちら側の話。
ゲーム、映画とは違ったオリジナル。装置と映像もよかったし、アンサンブルの避難住民とアンデットの早変り、歌もよかったです。美術は、表は白ベース、裏は青ベースのアコーディオン的な何枚かの壁が、スクリーンになったり、柱になったり、いろんな顔をみせます。 上下の花道も幅が2倍でアクティングエリアで使ってます。

ネタバレBOX

音楽や歌で引き寄せられて静かになるという設定はマクロスかっ!とつっこみを入れて、血清がクジラの血を使うのもなんともまあでしたが、2.5次元ミュージカル的な仕上がりではなくて安心しました。
HON GURE

HON GURE

劇団くりびつてんぎょう

ウッディシアター中目黒(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★

勢い任せ、内輪向け。
ちゃんと台詞を語っている役者の方が少なく、主演の方は怒鳴ってばかりで何を言っているのか聞き取れない。他の役者の方は、普通に聞き取れない。
テンポは良いが、何を伝えたいのか、どのシーンに魅力を持たせたいのか不透明。
ヤクザの作り方が全体的に甘いと感じた。
座席、狭すぎ。他人の前を通れない。奥の方の席には後からでは入れたものではない。
この内容では、この料金は取れないと思う。

ネタバレBOX

迎えに来た子分との会話のシーンから、「あ、まるで会話になってないな」と分かる出来。一時間半の尺でもキツかった。
まず一言一言台詞をお客様に伝える所をキチッとやって欲しかった。
笑えないのに長々やっているギャグも辛かった。
存在感もあり、台詞を聞く気になれたのは、銃を発砲するもバットで弾き返されるアニキ、ミニスカートで綺麗な姐さん、奥さんを間違って拐われる三下ヤクザさん。この3人だけです。
北村想名作戯曲リーディング

北村想名作戯曲リーディング

流山児★事務所

Space早稲田(東京都)

2016/10/12 (水) ~ 2016/10/15 (土)公演終了

満足度★★★★

リーディングの愉楽
何年か前の山元清多特集リーディングの一つを見たときの多くの発見・・作品「海賊」の世界、俳優、「リーディングがこれほど沸騰する舞台になるのか・・・」という、この(まぐれかもしれない)遭遇を思わず期待したのは、今回の北村想特集4作品の一つにあの「海賊」の座組み(演出=東京ミルクホールの佐野バビ市=演出、黒テント片岡哲也その他)の賑やかな面々の名を見たからで。それ以外の演目・座組も気になりつつ、幸いお目当てのBチーム「DUCK SOAP」が観れた。
小アフタートークでの流山児祥・演出佐野氏のやりとりから北村想という作家の背景、演劇界での位置、人となりが知れて興味深い。
作品は演出による大きな加筆によりメタシアター(入れ子構造)化され、お笑いが勝っていたが、俳優が目一杯やっている舞台を作っている。「そう言えば台本持ってやってたっけ?」という位に動き回る印象。1演目をたった2ステージでは役者も淋しい事だろう・・と、「存分に楽しんだ」観客=私は勝手に想像する。

ネタバレBOX

そんな楽しげなステージ上ではあったが、入れ子の中身=北村戯曲の芝居 を終えて、ある会社の演劇サークルの面々に戻った所で(=素の役者に近い)、部長=進行役がいきなり「大喜利」をやると言い出す。
 ところで「DUCK SOAP」の物語、と言おうか何と言おうか、どんなお話か。ませた小学生の二人組やヤクザっぽい親分子分のとぼけた会話や、何やかやが登場し、確か中心には(擬似?)家族の物語が展開していたように思うのだが、殆ど思い出せない。理不尽な感情に埋もれそうになる瞬間や、理不尽さを逆手にとって飄々とした周辺の人々の風情だけが断片的に記憶に散らばっている(ような気がする)。笑いに走って「中身」が散漫になったせいもあるにはあるだろうが、私は大真面目にテキストを朗読されるよりは作者の筆の「角度」に近い角度を捉えた演出だったのでは・・と思った。いやそう思っておこう、、何しろ楽しい舞台だったから・・という訳。
で、このタイトル、正確には、「DUCK SOAP 家鴨石鹸あるいはセリフを覚えたあと役者は何をするかという問いをめぐる土曜日の黄昏と夜と夜中」という。
 「台詞を覚えたあと、役者は何をするか」が、大喜利のお題である。
 ただこの問いは、演劇の現場で実際にどうするか、という方法の問いであると同時に、台詞を覚えて役の役割をこなす、という俳優の「作為」(仕事)がそこにある全てではなく、役者という人間が既に見えているのであり、さてその人間である所の俳優は何をする者ぞ、というもう一つの問いが含まれている、とみえる。(そしてまさかその問いに「俳優をやってます」とは答えられまい)

この哲学的な問いを、大喜利のお題にした時点で、「哲学的」は霧散してしまうが、私はお遊びモードをそこに無理くり持って来たからと言って、作者を冒涜してもおらず、むしろ挑戦的であったかも知れない。問いを問いのままにせず、役者個人のひねり出した回答が卑近なものだったとすれば、それは想念と現実の落差であり、だからダメなのではなく現実とはそうしたものなのだ、と知るべきであったりする、そういう事ではないだろうか。。

という事で、大喜利は俳優にとっちゃ手に汗の時間に違いないが、その後の展開は ・・まず進行役(お笑いの人)が例を見せてコケる。その後、二人がアドリブで(自分で考えた回答を)答え、その後もう一人、二人の勇気を称えつつ、思い切り外した回答でコケた。
 (もっともここで言うコケた傷は勲章である。遊びが許される程度には舞台で楽しませたので。)
 惜しかったのは、場が引きのモードになっていて、ああいったものは空気であり、誰も座布団を投げる気持ちでは恐らくなかった、にもかかわらず、司会は役者からの「何やらせんだ」攻撃と会場の静けさに生汗をかいていたか、大喜利は早々に「ラストに繋げる展開」へバトンを渡してしまった。
 ・・・その事が惜しかった。とこれしきを言うために長々と書いてしまった。
今一度俳優達に拍手。
遠い国から来た、良き日

遠い国から来た、良き日

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

心にぐっときた力作
劇団が若手に胸を貸す、を通り越して、そっと見守ってるだけの状態。
私がこれまでに見たワンツーワークス7〜8作品の中で、最も抽象的で、最も結末が結末らしくなく、最もテーマをはっきりと述べてないものであるにもかかわらず、最も感動し、最も泣けて、最も恐怖を感じた作品でした。

ネタバレBOX

イラクから来た少年の最後のスピーチは、ボブ・ディランの風に吹かれてに通じるものがありました。
遠い国から来た、良き日

遠い国から来た、良き日

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/10/14 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

次代へどう語り継ぐか、それが問題だ
ずばりテーマは「平和」...プロパガンダになりそうな内容を中学3年生の視点から捉えることで、問題を素朴に浮き上がらせている。広島県は第2の故郷であり、夏に何度も行っている。そのたびに感じていること、特に原爆投下された日は、朝から地元TV、新聞はそのニュースが流れ続ける。

本公演は遠い国から来た転校生と、広島県の中学生が「平和」について向き合う場面が印象的である。「平和」が当たり前と思っている中学生、そのありがたさを自ら考える平和学習...。この公演は、観客も自ら考える、そんな投げかけがある。
(上演時間2時間)

ネタバレBOX

広島県の中学生にしても「平和」は空気のようなもので、その状況が当たり前のようである。一方イラクから来た男子転校生は自国での内戦で、平和のありがたさ、戦争の悲惨・痛みを十分すぎるほど体験してきている。しかし、そのギャップを際立った対立点として描かず、恋愛感情を織り込みプロパガンダを巧くコントロールしている。観客にも感性に訴える、または問いかけるという域に止めている。

日本国内の事情として、少し強引であるが大学生の就職活動を絡めている。一見無関係と思われる事柄を、国内の諸々の格差問題への不満を”イスラム国”への興味という形で結びつける。「ママの台所で爆弾を作ろう」...イスラム過激派組織が発行したとされる雑誌記事がインターネットで拡散。簡単に爆弾が出来るらしが、その蜂起を促すため、英語で書かれていたという。本公演でも英語で、という台詞があった。その平和を脅かす事(戦争とテロを同義語にできない)がこんなにも身近にあるという怖さ。

人は自分が見聞きした、その体験の範囲でしか実感できない。その先にある事を想像し我が事のように思いを馳せることは難しい。ましてや中学生では自国の悲劇を直視することは...。文献にあたり人の話を聞き、自分の中へ取り込む。机上学習のしたり顔になる怖さ、しかし現実に戦争を体験していないゆえの「平和」をどう次世代へ語り継ぐか、自分への問いかけでもある。

当日パンフにある作・演出の古城十忍氏の「『取りあえずやり過ごす』この処世術が自分がこれまで、どれほど大事なものを...」という思いは同感である。大きな感情の振幅があれば、と思う。

最後に、舞台セットは教室と山田家ダイニングキッチンがいとも簡単にイメージ転換する巧みさ。役者陣はワンツーワークス劇団員の確かな演技、若手役者の真摯な演技が光る。何より重くなりそうな言葉・台詞は方言(広島弁)という独特な柔らかさが緩衝の役割を果たしていたのも好ましい。
本公演は尻切れトンボ感のするラストシーン...過去の愚行・諦観から何を感じとるか、それを物語として描ききらず切って棄てたようだが、そこは思索と余韻として受け取ることにした。

次回公演を楽しみにしています。



LunaRossa

LunaRossa

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/18 (火)公演終了

満足度★★★

LunaRossa
歌ありダンスあり笑いあり涙あり...の盛り沢山な内容でした。一コマ一コマをクローズアップしたらそれぞれに良さがあり面白いものだと思います。でも、全体を通して作品として見た時、いくつかのシーンが邪魔だと感じてしまいました。観客を飽きさせないための配慮なのかもしれませんが多過ぎたように思います。もっとキャストの方々のお芝居を観たかったです。脚本演出が私には合わないと知れた事が一番の収穫でした。

ネタバレBOX

ラストが一番納得がいかなかった。その選択をした理由もそれを受け入れる母親も幼馴染も理解できず一気に冷めました。
泣けない二人に、快晴(ピーカン)の空が笑った!

泣けない二人に、快晴(ピーカン)の空が笑った!

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/10/12 (水) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

題名の意味に納得。
全編に溢れる長崎の方言が心地よく、2時間があっという間だった。息子に対して不器用な父親五郎と、自分の父親を重ね合わせながら、しんみりとした気分で観た。主人公健太の少年時代の、亡き兄邦宏との回想シーンに何とも言えない温かさを感じた。おせっかいやきの隣人達とのドタバタも楽しく、今回もTSTらしい良質の舞台だった。

~50とひとつの蝶結び~

~50とひとつの蝶結び~

Manhattan96

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2016/10/07 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

たまらなく愛しくなる時間でした。
絵空箱に入ると秋の夜のような虫の鳴き声が聞こえてさびしいような寒いような気持ちになりました。
芝居にダンス、歌に手品にタップダンス短いけれど美味しさが沢山つまってました。
短編集好きなんです。お話の後を想像したり、書いて無いことを思ったり。だから自分にとてもあってました。
こもださんの歌はパワフルでスパイシーでとても格好良かったです。
『問題と答え』の夫婦はステキな夫婦で、この二人に生まれてくる子は絶対幸せだと思いました。考えていることが全部一緒じゃないから、一緒じゃないからこそいいなって思いました。
『セミとキリギリス』は好き。言葉が刺さるし、大声をあげたくなる。
『ロミオとジュリエット』面白かった。
タップダンスめちゃくちゃ格好良かったです。
紙の可能性をみた気がします。紙の落ちる軌道が面白くて、音が面白くて、書いてある文字が面白くて、始まるまでただの紙束だったのが舞台のセットになっていくのが面白かった。
熱量があふれでてました。絵空箱に収まりきらないです。
舞台の段になっているところが本になっているところも注目。

あたま山心中 ~散ル、散ル、満チル~

あたま山心中 ~散ル、散ル、満チル~

近藤公園・平岩紙 二人芝居

駅前劇場(東京都)

2016/10/12 (水) ~ 2016/10/19 (水)公演終了

満足度★★★★

2日目観劇
中通路なし、壁際までほぼぎっしりの満員御礼客席。
照明ある天井にまで這うような巨大な桜の樹、日本語として触れた事のある童話「青い鳥」と古典落語「あたま山」が絡み、次々と変わる2人の演技。
狂気と清濁な間柄に、観ている者の深層心理を更に深みにハマらせるようなシュールだけど幻視的で清らかな舞台でした。
当日パンフ、感想アンケートなし、約95分。

売春捜査官

売春捜査官

稲村梓プロデュース

中野スタジオあくとれ(東京都)

2016/10/07 (金) ~ 2016/10/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

素敵な公演ありがとうございました
稲村梓さん、本当に素晴らしかったです。

ネタバレBOX

木村伝兵衛の(熊田留吉を一途に思い続ける)「女性的な部分」と親から強く期待された“伝兵衛”という名前が示す(一蹴で屈強な男を倒す)「男性的な部分」。
この2つの相反する部分を持つ人間の複雑な心理を見事に演じ切りました。
バストサイズの偽装がバレたときの表情や男にタンポンの挿入をせがむ表情に「女性特有の羞恥心」や「男性に対する征服感」に酔う可愛らしさが良く出ていました。
また「集団就職で上京し、五島の家族のために、そしてブスゆえに千円で男性の股に顔を埋めながらコンドームを付けることを生業とし、最後に大山金太郎に絞殺される」山口愛子の悲しさを本当に見事に演じ切りました。
繰り返しになりますが、本当に素晴らしい女優さんです。“不世出”という言葉は彼女の為にあるのではないでしょうか。
そして“つか作品と稲村さんとの融合”というこの上ない贅沢な時間を持てたことに強く感謝いたします。

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