
イェヌーファ
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2016/02/28 (日) ~ 2016/03/11 (金)公演終了
タイトルロールの若い女性と、その父の後妻(継母)との対比鮮やかな愛憎ドラマ。涙した…。リストフ・ロイ演出は洗練かつ雄弁。抽象化された白い箱の中で物語が展開し、閉塞感と開放感の両方が際立って、空気が濃密。スマートに可動する装置でメッセージが明確。
約百年前の作品だけど衣装は現代風。描かれる世間、親子、男女は今とぴたりと重なる。黒装束の継母(ジェニファー・ラーモア)はまるでブラックホール。負の感情を吸い込み爆発させる。自分を追い詰め孤立する姿が切実で、演技にも歌にも感動。音楽は人物の心情に沿うタイプで優しく温かい。無音の時間は演劇的効果絶大(私は音楽には全く詳しくないですが)
1904年チェコ初演のヤナーチェク作曲オペラで、演出はドイツ人。出演者の国籍は独、米、伊、日。チェコ語で歌えるオペラ歌手は貴重とのこと。2012年ドイツ初演版キャストがほぼ揃った贅沢な国際共同製作。オペラは国境を越えるのが前提なのだなぁと今さら改めて感じ入る。

胎内
マキーフン
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/01/27 (水) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
「胎内」を観るのは4度目。洞窟の表情を作る照明が巧み。男女3人が激しく触れ合い、命(生と性)を描くのが個性的。藤井咲有里さんの演技が細やかで美しい。90分と短くまとまった三好十郎体験。

黒蜥蜴
SPAC・静岡県舞台芸術センター
静岡芸術劇場(静岡県)
2016/01/16 (土) ~ 2016/02/07 (日)公演終了
大切に発せられるセリフを味わうごとに「三島由紀夫戯曲、めちゃカッコえー!」と脳内でのけ反る。演出で批評したりせず、ロマンティックで耽美な世界をストレートに立体化。主役のたきいみきさん超美しい!女盗賊の人生そのものが宝石なのだと思えた。約2時間55分休15分込。

城塞
劇団俳優座
シアタートラム(東京都)
2016/01/06 (水) ~ 2016/01/17 (日)公演終了
面白い戯曲でした…。やっぱり安部公房は凄いなぁ…。俳優さんの演技はもっと感情が小刻みに揺れ動いて、行動の振れ幅が大きい方が、スリリングで私好みです。他者をシャットアウトして逃げ込んだ心の隠れ家(=城塞)を、恐る恐る、でもこれ以上ないほど乱暴に、ぶち壊してほしい。

マクベス~The tragedy of Mr. and Mrs. Macbeth
wits
シアターX(東京都)
2016/01/15 (金) ~ 2016/01/16 (土)公演終了
チョウソンハさん(成河)と池田有希子さんによる、何もないと言っていい空間で2人だけのシェイクスピア。夫婦漫才風でアドリブ多そうだが実は原作に忠実。演じ分けの工夫と名台詞のアレンジが楽しい♪バーナムの森が迫ってくる場面は笑ったわ~。観客と交流し、共演者と息を合わせ、物語を伝える。人気も実力もある俳優が生身をさらして挑戦してる。今後の継続に期待。

アマルガム手帖+
リクウズルーム
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/01/08 (金) ~ 2016/01/13 (水)公演終了
思春期の女生徒、教師、親の妄想を材料に、数式、論理、動く身体で世界を立ち上げる試み。日本語に英語、仏語の数式を混ぜたセリフが面白い。セリフを壁に映写するから文字、絵としても楽しめた。知的好奇心を大いにそそるお芝居で、なぜか懐かしさも。難題に取り組み、実験、推敲を重ねた結果を見せてもらえた気がする。出自、特技の異なる俳優もまた世界の構成物なのかな。モーリー・ロバートソンさんの終演後のトークが凄かった。頭の回転に口の動きが間に合ってない感じ(笑)。知性がエンタメになってた。

夫婦
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/01/24 (日) ~ 2016/02/04 (木)公演終了
満足度★★★★
あまりの滑稽さにワハハと声に出して笑った途端、「ああ、他人を笑うなんて、私ってひどい!」と我に返って複雑な心境に。でもそういう心の動きを自分自身が客観的に観察し、自覚もしている状態でした。舞台と一緒に自分の中でも、自分が主人公の劇中劇が繰り広げられるような体験。

演劇研修所第9期生修了公演『嚙みついた娘』
新国立劇場演劇研修所
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2016/01/08 (金) ~ 2016/01/13 (水)公演終了
満足度★★★★
昭和11年の東京が舞台の三好十郎の喜劇。東北から出てきた女中が無邪気に富豪一家の裏を暴く90分。とても面白かった。チケットが安い!
各人物の陰影が濃いから、出てきた瞬間に空気が変わる。ドタバタ喜劇だけど、笑えない現実も突きつけられて怖くなる。私は戯曲の世界をひたすら誠実に立ち上げるお芝居が好き。研修所公演はありがたい。

三好十郎+宮沢賢治
J-Theater
小劇場 楽園(東京都)
2016/07/25 (月) ~ 2016/08/03 (水)公演終了

書く女
ニ兎社
世田谷パブリックシアター(東京都)
2016/01/21 (木) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
『書く女』は2006年初演。ヒロインに黒木華さんを迎えた全国ツアー。
主な装置は階段のみで上部の横糸たちが天に続く階段にも波打つ浜辺にも見える抽象空間。黒木華演じる樋口一葉は暗闇に灯る小さな光のよう。セリフから小説の風景がありありと浮かび、一葉の作品と人生を合わせて味わえた。私も彼女の「冷笑」が欲しい。

ミュージカル「手紙」
ミュージカル『手紙』製作委員会
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2016/01/25 (月) ~ 2016/01/31 (日)公演終了

フローズン・ビーチ
はまおとめ冬巡業
カフェ+ギャラリー can tutku(大阪府)
2016/12/22 (木) ~ 2016/12/24 (土)公演終了

ハッスル☆ライフ ~生暖かい部屋で~
無名劇団
ウイングフィールド(大阪府)
2016/12/22 (木) ~ 2016/12/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
80分の芝居 祖母と自分 メロス 紙飛行機 自分の心を映し出す 手紙 走る 重ねる物語 中身が濃い 観るたびに毎回芝居の雰囲気が変わる劇団 今回もまた違う感じのお芝居。とても優れた戯曲、面白かった。

モノクローム
May
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2016/12/17 (土) ~ 2016/12/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
オープニング キーボード:松岡沙也加 歌:金恵玲(劇団アランサムセ) 綺麗な声 キーボード演奏がすごい。
日本の焼け野原で生きた祖父 “焼け野原で頑張っている朝鮮人ですわ” 切り取られた0.25秒に映っていた祖父 黒いチョゴリ 次の世代へ引き継ぐことと、やめても良い事、心に正直にまっすぐに生きる事を感じた。

全裸物語 改め 実家物語
ろりえ
シアター風姿花伝(東京都)
2016/12/28 (水) ~ 2016/12/31 (土)公演終了
満足度★★★
それぞれの登場人物にちゃんと見せ場があって、終わってみればそれぞれに愛おしくなる。うまく利用できてない設定もあるし、もっとテンポよくすればダレることなく見られるとは思うけど、そんなことを含めて、80年台にやったり見たりしてきた「芝居」を思い出して懐かしかったりする。

地下10階の人々(当日券あります!)
THE EDGE
ライブハウス地下一階(大阪府)
2016/12/16 (金) ~ 2016/12/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
初演を見ている 頭の中に消しゴムがある、最後の映像のシーンへ向けて物語がミステリーのように進む 手紙での隠された事実 えっ コメディでミステリーで切なくて 友達を想う心 それぞれの個性と表現 友達がいる物語。 引き込まれて 涙が止まらなかった。
遺言状第7段 会長へ ダム子へ ヨウ子 ハート様 ノッコ学生って嘘 ごめん イソジンの忘れられない人は、そこは読めない 物語の不思議な部分がこんな事だったとは、ここの演技も上手く演じる。 夜の星を見に行く 満点の星、何も分からないマリアの目に涙 少しだけ笑った。

サンタが君にやってくる
演劇畑ハッピーナッツ
カフェ+ギャラリー can tutku(大阪府)
2016/12/17 (土) ~ 2016/12/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
強盗? パニクったサンタがやってきた。 占い通り?(馬を牛と読み間違え)運命的出会い?・・・ ドラマチックな出会いと、現実的な分かれ サンタが二人も 最後がとても乙女チックな夢物語 とても面白い あたたかい。

新年工場見学会2017
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2017/01/02 (月) ~ 2017/01/05 (木)公演終了
満足度★★★★
ハイバイのも味わい深くて良かったけれど、極めて時事的なネタに挑んで笑いをさらった五反田団のをより面白く鑑賞。時事的すぎてたぶん再演できないのが勿体ないくらい。

コーラないんですけど
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/12/30 (金) ~ 2017/01/02 (月)公演終了

糸あやつり人形芝居『ゴーレム』
糸あやつり人形「一糸座」
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2016/06/05 (日) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
日本・チェコ国際共同公演の糸あやつり人形芝居ということでしたが、とても深い内容の作品にもかかわらず、お茶目な演出もありかなり楽しかった。