最新の観てきた!クチコミ一覧

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サマデーナイトフィーバー

サマデーナイトフィーバー

20歳の国

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/08/07 (月) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★★

台風3号の接近により、高校から帰宅できない生徒も出てきた夏休み直前の校舎内で展開する恋愛模様を中心テーマとして、揺れ動く微妙な青春の炎を巧みに描いた作品。

ネタバレBOX

不良先輩あり、一見、ズべ公あり、引き籠り、未来への夢、そしてその夢を明かすことへの羞恥あり、ぶきっちょな自分を晒す勇気が無く、はにかみに阻まれて中々一歩を踏み出せない臆病あり、それらの鬱屈を発散させるかのような水の滴る中で濡れそぼりながらのダンス。いきなり沸点に達したようなストレートプレイからミュージカルへの遷移等々、興味深い演出も為され、若い感性の柔らかく揺蕩うような心象と羞恥心を巧みに描き出している。劇団名ともぴったりの内容なのだが、齢を重ねてゆく今後は、劇団名を変じてゆくのだろうか? 25歳の国、30歳の国・・・という具合に。そんな老婆心を起こしたくなるような、可愛らしい感性の劇団。
ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

ハツビロコウさんの作品は初めてでしたが、あえてセット等を抽象化し、全神経を役者さんの演技に集中するよう仕向けたうえ、登場人物の内面を抉り出して観せる感じは、何度か拝見したTHE・ガジラさんの流れを強く感じました。
犯罪を犯した当人が憑依しているが如く、役者さんの渾身の演技に対しては、観る側も真剣に向き合わなければ!と襟を正す思いで拝見させていただきました。

崇拝者を否定したくないが為、矛盾や拒絶感に無理矢理フタをして、それでも噴き出してしまう感情の塊に絶句!の連続でした。

ネタバレBOX

殺害実行・・・おそまつに思える程のミスの連続。
この人達はやっぱり殺人など犯したくなかったんだなーと。
やめちまえばいいのに、というイライラ感と、引き返せない痛々しい想いが怒号と共に突き刺さります。
超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri. ~ 8月1日の冒険 ~」

超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri. ~ 8月1日の冒険 ~」

舞台「デジモンアドベンチャー tri.」製作委員会

Zeppブルーシアター六本木(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★

子ども時代にデジモンを見ていた世代の人ならおもしろいのだろうか。誰に向けて作られた舞台なのかよく分かりませんでした。あんな見づらい大きさのデジモンなら、いっそ着ぐるみにしたらと思ってしまった。

劇作家協会公開講座2017年夏

劇作家協会公開講座2017年夏

日本劇作家協会

座・高円寺2(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

 昨日に続く、劇作家協会主催公開講座第2部である。司会・進行に中津留 章仁さん、丸尾 聡さん。応ずるのは、演劇評論家・みなもと ごろうさん、青年座取締役相談役・水谷内 助義さん、チョコレートケーキ俳優・西尾 友樹さん。テーマは昨日に続いて新劇とは何か? である。新劇は骨太であるなど昨日同様の指摘は割愛する。時間的にも、話者の人数でも昨日より小規模ではあったが、昨日と重複しなかった見解として出てきていたのが、所謂、新劇の優れた舞台では、板上で「嘘」を描いているのだけれども、それがシャープなリアリティーや知性、ついては説得力を伴って観客に迫ってくるような表現様式を持ち得たという事実が在ったことを指摘したことである。殊に優れた役者の持っていた表現力(科白全体の中に於ける各品詞のバランスをキチンと意識し、それを発音の高低や強度、正確な発音、更に間によって適確に表現し客席に届かせる発声法など)、板上に置ける位置取りの差による効果の違いを明確に見極めて、効果的な位置取りをすること等々、実に示唆に富む話題も出た。演劇の難しさ、面白さが出たトークであった。

ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

あの事件を背景にした緊迫感に一瞬たりとも目が離せません。

ネタバレBOX

人というものは弱いものだと感じずにはいられません。人の心の奥底をえぐるかのような展開に、あまりにも衝撃的でした。目をそむけたくなるシーンがあるにも関わらず、何かに取りつかれたかのように行動する人の心理は、目が離せませんでした。心の中が暗く重たくなる内容のはずですが、それよりも観ることができてよかったと強く感じます。
プレイヤー

プレイヤー

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2017/08/04 (金) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

イキウメ初期作品を改作、私はオリジナルを知らないが宣伝文句によればプレイヤーとは即ち身体を失った者(=死者)の言葉を再生する者(いたこ的な)であり、改作版ではオリジナルの劇が劇中劇になっているという。
前川知大=イキウメのテイストはもちろん充満しているが、ある部分で長塚色(といっても三作品ばかりしか知らないが)が顔を出す。
超常現象の介在により、「科学」の仮面をかぶった「常識」の向こう側を予感させる時、イキウメの場合は不安と希望が混在した中、不可知領域に粛然としながらも「希望」にもなり得る可能性が救いとなるが、長塚圭史の人間観は暗い。プレイヤーという人間の新たな可能性が示されても、だから何だという感覚、それによって人間はどう存在し続けているのか、という眼差しが容易には変らない。だがその眼差しをすり抜けて事態が先行する可能性、そう考え得る余地は残される。
脚本としては主要人物の最後の行動は言行不一致に結果し、動機が分からないがドラマとしては引き締まる、という流れを優先していたかに見えるチョイスは、前川氏はやりそうになく、暗いが情緒的な劇世界に傾く長塚氏のチョイスというのは外れだろうか。

この芝居、ある地方作家の遺作であり未完成の戯曲を舞台化する稽古場が舞台。稽古風景と、劇中劇の展開がやがて交錯して劇だか現実だかが不分明となる。これはむろん意図的で、宣伝文句にも謳っている様相な訳だが、甚だ心地よい。もっとも目的は心地よくするためでなく、最終的なオチの迂遠な伏線であったという風にも言えるのだろうが、思いつく結語なのにかかわらず、意外に納得させられる終幕だった。
このお話が人間の体温の流れるドラマであった事を証しし、得体の知れなさも残るという、不安と希望の混在という本来の(人間にとって望ましい?)地点に帰着した。

『A-CAST×STAND FLOWER × 三等フランソワーズ』

『A-CAST×STAND FLOWER × 三等フランソワーズ』

火曜日のゲキジョウ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2017/08/08 (火) ~ 2017/08/08 (火)公演終了

鑑賞日2017/08/08 (火)

A-CAST × STAND FLOWER「初デート大作戦(仮)という名のマンハッタン」と三等フランソワーズ「真夏のアイドル」を拝見しました。前者の芝居は、私にはよくわかりませんでした。後者の「真夏のアイドル」は、二人のおかまと主演の女性とを対比させることにより、乙女チックな女性の所作がとても鮮鋭化されていました。笑いの数からいうと「トゥモロー」に軍配があがりますが、「真夏のアイドル」もよかったです。

ハイバイ、もよおす

ハイバイ、もよおす

ハイバイ

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/07/29 (土) ~ 2017/08/12 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/30 (日) 18:00

ハイバイ番外公演というよりはみ出し公演、というか在庫一掃セール。あるいはまた「もう一度ちゃんとやりたい」公演?
(私の記憶が正しければ)どれも新年工場見学会で披露された作品をKAAT用に仕立て直したもので、程よく作り込まれ、程よく力加減が抜けている。「もよおす」とはつい生理的にモヨオして生み出された作品集かと思えば、大スタジオに組まれたのがお祭りか縁日に境内に仮設されたような裸舞台で、どうやら夏らしくモヨオシをやるのらしい。
お馴染みの岩井氏の前説では「飴のチリチリ」は気にしない。途中携帯での撮影を奨励する場面があるので「機内モード」で結構。三演目の合間に岩井氏のMC入りというそんなユルい催しであったが、それでもこうやって正規に上演されてしまうと次回の工場見学会は・・と少し心配気にもなる公演であった。
アトリエヘリコプターでの「出し物披露会」でやったのと同じ笑いがこの劇場でも起きるのは作品のクォリティの証明でもあるだろうが、あの会で「こんだけ真剣に馬鹿やるか」とは、「立派な劇場」ではなりづらかったナ・・そんな感想は、半ば「秘め事」のように胸の中にしまっていた記憶が公式に開陳されたことの淋しさの反映か? よく判らないが、恐らく今なお「しまっておきたい」作品体験である事を、今回の上演で確認したという、自らの心理を解説すればそんな具合であったように思う。

ネタバレBOX

ゲームの中の世界を表現するのには、音響、照明の力は段違いであったし、大衆演劇の慣習のデフォルメにも劇場機構は決してアダでなく、最後のごっちんの哀しい物語も、笑いと切なさの絶妙な線が全く崩れずに再現され、つまり舞台はどれも失敗ではなかったように思うのだが、新作がなかった、あるいは大胆な改変がなかった事は、オリジナルを観ていた人間として一抹の寂しさは否めなかった。劇団ハイバイに求めるレベルが、元々高いわけであるのだ。

ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

描き方を変えればコメディになりますね。
それもかなり面白いものになると思う。

実話ベースだから、そのままではとても笑えないから、実話と切り離す必要はあるけど。

ジェイソン・ウィンターズ物語

ジェイソン・ウィンターズ物語

龍平カンパニー

シアター風姿花伝(東京都)

2017/07/29 (土) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★

何じゃこりゃ

ネタバレBOX

三種類のハーブティーを飲んで癌が治ったとする男の話。

確かに癌になった人が何かをして何かが起こったということは案内文で知ってはいましたが、まさかこんな話だとは思いもしませんでした。

代替医療を絶対的に支持するとまでは言い切っていないとは思いますが、こんな演目をやる姿勢には嫌悪感を覚えます。

そして、風姿花伝で7月だけでいかがわしいお芝居を二つ観たことだけは覚えておきます。
スーパースーハー

スーパースーハー

かえるP

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

立体組体操

ネタバレBOX

進化系コンテンポラリーダンス。

手を使わずに間に挟んだ人を持ち上げるなど、立体組体操が素敵でした。

ひげ太夫かっ!!
第20回公演 『君♡ふりーく』 第21回公演 『ジェニュイン・ケア』

第20回公演 『君♡ふりーく』 第21回公演 『ジェニュイン・ケア』

劇団天然ポリエステル

小劇場 楽園(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

『君♡ふりーく』観劇

ネタバレBOX

一人の地下アイドルを愛するストーカーたちの話。

ファンは全員がストーカーでした。ファンの数を数えるのに、一人を十人単位で数える何気ないあるある感に笑いました。
怒りをこめてふり返れ

怒りをこめてふり返れ

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2017/07/12 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

男と女は意外や意外でした。

ネタバレBOX

社会に対して文句ばっかり言う男は一応理屈が通っているのか知的にも見え、上流階級の娘が男に惚れて結婚したものの何か違うなと思っていたところ、女優をしている友人が彼女の父親に手紙を出し、結局実家に戻ることができたのですが、今度は女優が男と暮らすことになったという話。

辛気臭くて、休日などずっと一緒にいるのは敵いません。ぞっとします。でも知的にも見えるのでしょうね。

三津谷葉子さんを久し振りに見て、キャイーンの天野さんが写真集が出たときに、三冊買って、一冊は観賞用、一冊は保存用、もう一冊は云々と言っていたのを思い出し、三冊目は何だったっけかなと思って悩みましたが、後日写真集の帯を見て、もう一冊は外出用だったことが分かりました。
イヌの仇討

イヌの仇討

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2017/07/05 (水) ~ 2017/07/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

井上さんの解釈はこうでしたか。

ネタバレBOX

炭小屋と味噌蔵を改造した隠れ場所に隠れた吉良上野介が、たまたま入った泥棒から世間の評判を聞き、公儀を代表する将軍お下がりのお犬様の様子を見るうちに、自分も悪者、赤穂の浪士たちも世間を騒がす悪党ということで公儀に処理されてしまうであろうと考え、それならば自分が討たれることでこの騒動を美談にして見返してやろうと、自ら隠れ場所から浪士たちの許へ出向くという話。

高家という役職に相応しい品の良さには欠けますが、大谷亮介さんでぴったりだと思いました。癇癪持ちを野放しにしていた大石への恨み節も理解できました。
ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/08/08 (火) 19:00

座席1階1列

自身の欲望と権力欲を美辞麗句で巧妙に弱者に滑り込ませ、「教祖」となる。
批判する者・逆らう者亡き者とすることを、「浄化」という。
弱者の洗脳と忠誠を誓わせることを、「修行」という。
しかし、この実態を見破らせないように、実像をぼやかす意図でそれぞれを「グル」「ポア」「ワーク」という。
 2時間がっつりでした。姿を見せない声だけ出演のグルと、教団の体質を示す逸話に出てくる並木で計6名の登場人物と4人の役者さんたち。
不測の事態、杜撰な計画、決定意思なきままの散漫な責任所在によって実行された、行き当たりばったりの弁護士殺しのその後と「なぜ?」を描いた作品。
 このドラマは、1晩の話なのか、それとも数日の話か。どうも時間軸が定まらず、それでも悠久の時間が流れているようで、わずかな時間でもあるようにも思わせる。ひたすら夜明けを怖れ、相互の軋轢を増し続ける登場人物たち。海は近くにあるのか?グルの言う眩い光は一瞬でも見えたのか?
 死体役の人の皆さん、どう考えても千秋楽まで持ちませんよ。あんなに乱暴されちゃ笑。

ネタバレBOX

「ルート64」の「64」て何だろうと考えてみたが、どうも舞台での説明はなかったと思う。こちらの投稿でも指摘はなく。「無(6)」と「死(4)」への道?
彼らにはまだ、自身の良心に「戻る」という選択肢はあったはずなのに。死んだ自分の妻や子供のことを思い出す刹那、殺した赤ん坊を母親と一緒に埋めてあげたいと思い立った行動、など。 
ハツビゴロウさんの舞台は、まだ数少ないがすべて観たわけではない。でも、今のところあるフォーマットがある。
 まず、進行している現在→それがどのような事件に起因しているかが暗示される→登場人物の背景が独白調ないし登場人物相互の指摘で明かされる(心象描写)→事件の端緒が明示される(過去)→登場人物たちの戸惑いや深い絶望感(少し時間軸が進む、ただし過去)→事件の詳細な経緯(過去)→深い絶望感(現在)というような。
私は、この解きほぐされていく事実を時間軸を交錯させさながら見せていく手法は好きです。そこに待っているのは、抗うことができなかった弱き弱き救済されない魂。
ラストで心身共に憔悴しきった4人が深い眠りに落ちる。殺された赤ん坊が燃やされる中、暗闇の中で「起きて!」と3人に叫ぶ片桐の悲鳴にも似た1言。いったい何から起きるのか?
こちら、なかまがり署特捜一係

こちら、なかまがり署特捜一係

劇団カンタービレ

ウッディシアター中目黒(東京都)

2017/08/02 (水) ~ 2017/08/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

面白かったですね!ほんとに往年の刑事ドラマを思い出させてくれました。リアルタイムで観てましたから感動モノでしたね!キャラクターもちゃんと生き生きしていて、事件も絡み合ってドキドキしました。それに、中目黒ウッディならではの舞台や演出が効果的でいいですね。楽しかった!

ビリー・エリオット

ビリー・エリオット

TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW

赤坂ACTシアター(東京都)

2017/07/19 (水) ~ 2017/10/01 (日)公演終了

満足度★★★★

「市民」の付くミュージカルには何度か巡り合ったが、「本格的」なミュージカルは初めて(映像で『Rent』を見た位)。本格的、の範疇が「ある」と考えている理由はあるのだがそれはともかく・・。音楽(歌)、踊り、芝居(演技)の三要素が拮抗し、相乗効果をなして一つのドラマが構築されるミュージカルでは、技術の鍛錬や稽古、つまり努力によって合格ラインに到達するという舞台裏のストーリーがあり、洗練された技術、芸に対する感動にはこの要素が不可分にある。
今回の「ビリー・エリオット」はリトル・ダンサーという副題(原題)通り、ダンスに目覚めた少年が困難の中、その道を進むという話。イギリスの炭鉱町が舞台だ。
この英国ミュージカルの日本版、私は全国の応募者(確か1000人位)が一年間のワークショップを経て最終的に5人が勝ち残る、との報に触れて単純に興味が湧いた。「舞台裏のストーリー」をウォッチし始め、まんまと宣伝に乗せられた訳である。
「訓練期間」を兼ねたワークショップという手法もうまい。結果的に不合格となった子供たちも一年を無駄とは思わないに違いない。その子らやその親族関係者も一定程度観客動員に見込めるという制作上の戦術もありそうだ。

舞台は「Rent」や映画の「WestsideStory」もそうだが社会性が高い。エネルギー政策の転換時期を迎えた炭鉱町でストライキだ何だと会社との「闘争」に明け暮れる町の人々。日本では1950年代だったがイギリスではサッチャー時代、80年代に今で言う新自由主義路線へ舵切りがなされて労働争議が燃え上がる。その報道映像が冒頭に流される。
少年がダンスに触れ、教室の先生に見込まれていくストーリーと、炭鉱の物語が並行し、時に少年にとって障壁として立ちはだかるが、最初に流れるドラマの基調となる音楽は「闘争」の場面で労働者が機動隊と対峙して正義を問う歌だ。このモチーフが中心に据えられ、ユーモラスで多彩な場面・歌が展開する。そして披露される少年のダンス、そして「成長した(あるいは本人の夢の)ビリー」と競演するシーンには「舞台裏」のストーリーが重なる。「本格的」ミュージカルの本領が発揮される瞬間の一つでもある。だがそれだけでは「本格的」には達しない。楽曲がよくなければならない。ドラマの創造ともう一つの柱が楽曲であり、これが世界観を作る。
ミュージカルファンは(多分)、耳が捉える抵抗しがたい甘味な音を、想定して客席に座る。演劇にも音楽が大きい役割を果たすことがあるが、それは結果論で、ミュージカルを見ようとする心は、その結果を見越しているのだ。この種の感動が、演劇の感動の一つとは言えても中心的なものだと言えるかどうか(否、と私は言うが)。
だが、これはドラマであり、ドラマ性を濃縮した表現だ。

つぐない

つぐない

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/08/04 (金) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★

教会の場面が多いので、基本的には中央奥に十字架の掛かった祭壇が設えられたキリスト教教会の趣。裁判所の場面では、一瞬にして奥の十字架の掛かった壁が180°回転して裁判所の壁に変わる。

ネタバレBOX

 この壁の手前に説教壇、更に手前には、開かれた聖書の置かれた壇。やや、距離を置いて信徒たちが腰かけるベンチが縦3列、横2列に並べられ、中央通路に緋毛氈が敷かれている。中央祭壇脇の壁には明り取りの縦長窓。信徒たちの座るベンチの在る空間の側壁にはステンドグラスが嵌め込まれた窓。
 物語は、罪悪感を持たない姉と、その姉を庇い続けて来た健気な妹の話を主軸に、姉妹の恋は、恋相手男性が重複する。而もこれは仕組まれた男女関係であり、その消長と真実の姿が徐々に明らかになってゆく。
ずっとこの劇団のシナリオ、演出を担当、女優としても出演してきた鹿目 由紀が、恐らく初めて“地に足のついた”作品として仕上げてきたと思われる今作だが、作家が更なる飛躍を遂げる為には、一、二人称のシナリオに歴史を繰り入れ、三人称の歴史の大きな流れの中に揺蕩うように在りながら、尚キーマンとして歴史に不可避的に関与する主人公を据え、更にはその流れが現在の我々の生活や生き方にも通底するような世界を、女性ならではの世界観で描けるようになる必要があろう。そうなった時、作家としての彼女も、劇団としてのあおきりみかんも普遍性を持った存在として歴史に刻まれるであろう。このような骨太の構造を勉強するには新劇研究をしてみるのが良いかも知れない。彼女の才能を以てすれば、必ずや大きな発見があるであろう。
いと

いと

学園座

関西大学千里山キャンパス KUシンフォニーホール(大阪府)

2017/06/23 (金) ~ 2017/06/24 (土)公演終了

満足度★★★★

豪華な舞台セット・装置、いつもながら頭が下がります。

安定した上回生の演技、涙を誘う悲劇。
見応えありました。

欲を言えば(脚本の責任多分だと思いますが)、
話の展開が見えて、ドキドキ感が少し薄かった様な…。
それでも、後半かなり盛り返した様に思います。
愉しく拝見できました。

追伸、沢山の一回生が入部され、ご出演・ご参加。
今後がとても楽しみです。

ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

ネタがネタなのでそこそこエグイお話ではあります。
あそこに身を投じるとかそりゃぁ何かありますよね、と。
でも、それはいつ誰の身に降りかかってもおかしくない。
私だって今までああならなかったことこそが不思議なのかもしれない。
二時間ほぼずっとあのテンションを、四人が出ずっぱりで維持するのは単純にすげえなあと、そんな舞台。
見てるほうもそれなりに大変。しかもいろいろ刺さる。
私自身は多分人様とちょっと違う楽しみ方をしたような気もします。
その癖、寝る前にグルグルする奴。

人様の感想を見ると「ロードムービー」という単語もあってそういう側面もあるかな?とか。
欲を言えばさらに掘り下げて見たかったところもなくはないけど、あれぐらいがバランス的には限界な気もしますね。

新宿三丁目で11日まで。是非どうぞ。

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