
エフェメラル・エレメンツ
ティーファクトリー
吉祥寺シアター(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/10/03 (火)公演終了
満足度★★★★
川村毅のスマッシュヒットである。80年代から鍛えられた小劇場魂。今だ老いず。
素材は使い古されたディック以来のアンドロイド物なのだが、この時期に見ると今の迫力がある。そこが演劇の怖ろしいところだ。
美術はクレジットがないから川村本人か。いつも川村の舞台は整理が行き届いていて、見ていて気持ちがいいが、今回も二百人足らずの小劇場の舞台に、廃炉の中から宇宙まで巧みな転換で見せていく。照明はベテランの原田保。音響が藤平美穂子で、いいスタッフを駆使するところなど、最近の若手の小劇場の及ぶところではない。さすが!!
堅い椅子で休憩はあるものの3時間は辛いが、飽きずに見てしまう。俳優も客演はあるものの、ベテラン新進でそれぞれの力を出している。
第三エロチカの80年代から、独自の演劇の世界にこだわってきた演劇人の作品に接すると、ある種の感動がある。MODEのカフカや、松本雄吉のジャンジャンオペラなど、唐や蜷川の大きな成功のもとに隠れた小さな宝石の輝きに触れたような懐かしさである。

METRO
劇団有馬九丁目
日本写真映像専門学校・実習棟1階ホール(大阪府)
2017/09/23 (土) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★★
音響照明すごい豪華!
廃退した感じがすごかった。
カイジみたくずっと頭の中でザワザワSE響いてた。
疾走感溢れる物語でした。

ニコニコさんが泣いた日
演劇企画ハッピー圏外
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2017/09/20 (水) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
ニコニコさんが泣いた日 拝見しました。
満足度の高い娯楽作品でした。笑いがあって、涙があって、最後に感動で席から立てませんでした。
動物がねぇ、まさかあのように描かれるとは(笑)
次回公演も観に行きたいです!ありがとうございました。

第4回大阪短編学生演劇祭
大阪短編学生演劇祭
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2017/09/23 (土) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★
今回は全く未知数な4劇団でしたが私の中では劇情ロマンスが一番、面白かった!
セリフや女優3人のキャラ設定など楽しめた^_^ タイトルはあまり関係なかったけど(^^; 役者さんが荒削りながらキャラを上手く演じていて笑いもいっぱい誘ってた♪

きゃんと、すたんどみー、なう。
青年団若手自主企画 伊藤企画
アトリエ春風舎(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★★
素舞台に近い使用法の多いアトリエ春風舎に、作り込まれたリアル美術が嬉しい。
畳の間から縁側、短い渡り廊下で奥の家屋とも続きになる。
縁側を降りた奥の下手は抜き板を縦に重ねた時代がかった塀。
畳の上の円卓に麦茶のポットとグラス、、やや斜めに傾いた日射が縁側を照らす。
開場時間(開演20分前)から既に奥側に二人の作業員が座り、部屋にはタオルを被って足を見せて横になる何物か。時折会話していた二人の声が、前説の後に大きくなり、上々の日常芝居の開幕。
余程時間が余っているのか、作業服の比較的若い男女の間にプライベートな時間が流れ始め、長い沈黙の中、見合う二人のキスの寸前に寝ていた某が奇声を上げて起き上る。(この絶妙なタイミングをどう図ったのか未だ不明。)
芝居は伏線と謎解きの構成もあるが、どちらかと言えば伏線抜きで強烈なキャラが登場して展開を見せるので、場当たり的、というか小説的?、ロードムービー的?予測できなさがある。そのためか、きちんと仕込んだ謎掛けの「解き」が今一つだったりもする。
その典型が序盤、男女の関係への想像を促して閉じる一言「元気出しなよ・・」という女の台詞。含蓄があるが、後の「謎解き」が待たれる「振り」にしては、中身はぼんやりしていた。・・男の傷心の源は震災時に帰宅困難者となった妻を自宅で出迎えた時に妻が発した咎めるような一言。・・二人は間もなく離婚し、その後妻は死に(死因には触れず)・・云々。
肩透かし気味なのだが、この「分からなさ」を大きな欠陥とは感じない。最初に張った伏線が意識に上らない程に、あれこれ強烈な刺激(謎掛け)がぶち込まれるからだ。「場当たり的」展開は他にも粗さを残したが、問題はその粗さより、話しがどのあたりに収斂して行くか、にある。
伊藤毅企画、前々作(第一作)以来の観劇は、第二作を飛ばして三作目。気まぐれ気分で観てみたら、障害者とその家族という設定が同じであった。
第一作の「アリはフリスクを食べない」では、軽度の障害を持ち作業所で働く兄と、婚約者の家族が出した条件に従って別居を決めてしまう弟、つまり家族内のやむ無き断絶が描かれる一方、彼に理解を示す女性スタッフが、彼との同居(結婚)を望んでいるらしい(が言い出せない)仄めかしの芝居をラストに置いていた。
今作も「障害者を抱える家族」問題が軸になる。
面白く観たが、この問題の視点から眺めると、物足りなさもある。またこれ(障害者)を扱う難しさを認識した舞台でもあった。

幻の国
劇団昴
Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)
2017/09/12 (火) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇団チョコレートケーキの評判を聞いてはいましたが、今回、まさか昴さんで観ることができるとは思ってもいませんでした。
久しぶりにどストレートにハードな作品を拝見できました。
当パンの用語解説を上演さ前に読んでいたので、元々は知らない言葉にも着いていくことができたと思います。
ベルリンの壁崩壊前後の東ドイツが舞台。
その時代を、あの瞬間をテレビや新聞で見ていたのを思い出します。
壁に日付が投影されるたびに、自分のその時を振り返り、こんな自分では選びようがない国で生きていた人々の暮らしをリアルに感じていました。
東ドイツのことをこれだけ真っ正面から書いたのが日本の方とは驚きです。

時分自間旅行
TAIYO MAGIC FILM
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/25 (月)
個人的に大好きな劇団の一つTAIYO MAGIC FILMさん。一度観ただけでは100%理解するのが困難なくらい、非常に複雑で奥が深い天才的な脚本に毎回驚かされています。今回は6組のカップルが登場する恋物語。様々なシュチュエーションで登場する6つのショートストーリーが、最後に1つのストーリーとして紐付く瞬間は圧巻であり、この緻密に計算されたストーリー展開はTAIYO MAGIC FILMさんの真骨頂だと思います。舞台セットも細部までよく創り込まれており、小道具に少し変化を加えるだけで全く別の空間を創り上げていたのもお見事でした。「時分自間旅行」というタイトルからもセンスの高さを伺える名作。思わず唸ってしまうような仕掛けが多い見応えのある1時間50分でした。劇中歌の選曲もオリジナル曲も蝶ネクタイを付けた正装で迎えてくれる会場スタッフさんも全てが◎。

『ZigZag 〜人生怪盗ノ話〜』
劇団コスモル
OFF OFFシアター(東京都)
2017/09/21 (木) ~ 2017/09/25 (月)公演終了

魔法の鏡、とその中身
the pillow talk
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
AV女優のお話と言うより、もうけるためにAV女優に仕立てたい男たちのお話と言う感じでした。アナウンサーになりたいなら各放送局をうければいいんじゃないの?っていうんではだめなんでしょうか?今時の就職事情はわかりませんが。ラストの鏡はどうしても使いたかったのでしょうが、労力と効果の比は?
監督役の人がずっと収録している映像がおもしろかったですが、座席によっては見えなかったのでは?

愚か者。たがらもの
獏天
Geki地下Liberty(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/25 (月) 17:00
いや〜、マジで面白い!話はもちろのことスピード感、アクション、それで一人一人の登場人物がこれまた曲者ばかりで。探偵もののテレビドラマ見てる感じがしました。楽しさ満点!次作もぜひ観たいです!

PTA
ホチキス
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2017/08/17 (木) ~ 2017/08/21 (月)公演終了
米山さんのホンらしい、どうしても、ほんわかとしてしまう空気。どんなに面白くっても、どんなに下ネタでも、何故か「じん」としてしまう。
「ホチキス」という空間がきちんとあるんだなと。
今回はとある小学校のある会議のお話。
参加してる人々(保護者や教員など)次第に「ホンネ」を語りだす
「学校」という一個のコミニティにおける「ルール」は、ある意味、どの場面にも当てはまる。
「良かれ」と思い、様々な「ルール」を設けていく事が結果としてどうなのか。
観ながら、ふと、自分の身の回りを思う。「ルール」は必要だが、果たして「ルール」に縛られてしまうのは幸せなのかな?と観ながら、そんな事を考えてしまった。
事の発端は、自転車事故によって亡くなった教員の事から
子ども達が事故の危険性を理解し、更に事故を防ぐための自転車免許をルールとして作ろうといった
既に、ほぼ採決など取らなくてもほぼほぼ、決まるような流れだった・・・・ハズ。
しかし、徐々にルールの細かなチェックに始まり、最終的には
賛成派VS反対派になってのメンドクサイ会議になり始めていた。
そう、メンドクサイのだ。
いちいと、予定調和で決まった事案をひっくり返す労力なんて、日常ではメンドクサイ。
だから、人はイエスマンになった方が「ハナシ」は進む。
今作、第三舞台の大高洋夫さんがご出演。イエスマンとして、中間管理職となった教頭先生がある意味日本らしい象徴のような役柄だったかなと。
最終的には、亡くなった教師の事故死の真相が分かるまでとなり、本来、何が
子供たちの心を掴み、尚且つ、どういった行動をするのが良いのか。
その答えが段々と引き出されていった。
最後、ポストの場面は暖かい色の照明がまるで、天国と学校を繋げているような感じで、涙が出てしまった。

penalty killing
風琴工房
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2017/07/29 (土) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
7/19マチネ観劇
スポーツはまったく興味が無い。
応援する団体も無い。
でも、この芝居はそんな人もきっと、最後は月光アイスブレーカーズを応援したくなる。
2時間15分の中に熱い彼らの気持ちがずどんと胸に残る。
再演と言う事だが、前回を観ていないため
実際どうだろうか?
専門用語とか出ても、ルールも分からないし、
そもそも、スポーツ興味ないし・・。
劇中の様々な登場人物の対比が面白い。
特に新人3名とベテランの描き方が良かった。
鼓舞する彼らの根底にある「自分の為」に、「チームの為」に、そして、実際のモデルになってるチームの背景にある「チームを応援する多くのサポーターの人たち」の為に。
応援する人たちとのエピソードを語る場面で、泣きそうになった。
ただ、熱いだけではなく、アイスホッケーというスポーツを通じての人との物語だった。
ロビーから未来チックな通路で客席にむかい、劇場内に入った時、一瞬、足が止まった。
「あれ?劇場じゃない・・・、アイスリンク?かっっこいい」
上からみる光景は特にそう感じる。
良い舞台は、第一印象が良いのだ。
劇中の音楽や、照明、特に電飾の効果は本物のリンクに居る様な錯覚に陥る。
激しい試合の描写は、ダンサブルに表現されていてリズムを足で取りたくなる。
小島 悠平役のクロムモリブデンの森下 亮さん。
クールな感じかと思いきや、熱い、そして、ヒーローの様な人にも
プロの世界での厳しさを体験している。
穏やかに微笑んでるけど、視線が鋭く、ぴしっと空気を変える。
瀬川英一役の岡野康弘さん。劇中で唄を歌われるシーンがあって、「おおお」となる。
この方も、色んな役柄を演じる方だが、今作は黙っていれば優勝チーム
から、移籍してきた経歴で、他からみたら、「なんで?」となるのだが、このチームだからこその充実感を感じさせる演技だった。
劇中、スティックを手に取り、踊るとある場面でスティックにキスをしたような仕草があった気がした。ミーハーな発言だとは思うのだが、きゅんとなってしまった。
織田 寅雄役の犬と串の板倉武志さん。何回か、犬と串で観劇しているが今回は板倉さんらしいというか、物凄くアテガキのような役柄と板倉さんがしっくりきていたように感じた。
大きな体と反比例したメンタルという、設定。そこからのどう成長していくのか、劇中母のような気持ちで見つめてしまった。
ファルコンズのメンバーも、ベンチにいる時(舞台上からはけているとき)
でも、かなり、細かい芝居をしていた。
(上手だったので、よく見えた)
そして、ダンスの場面は流石です。
本当に、一緒にリズムを刻んで乗りたかった。
ただ、五十嵐 結也さんが目の前にいらっしゃると、つい褌姿がオーバーラップしてしまうというトラップが・・・。
今作は、「スポーツ」=「根性」という鉄の法則を
0%にも100%にもしない。
「熱い」想いは受け取るんだが、「暑苦しい」とはならず、
押し付けがましい「すぽこん物」では無い。
なんという形容が一番適してるのだろうか。
スポーツやアイスホッケーに興味ある・なし、
知識ある・なし、
俳優を知っている・知らない
そんなのは関係なく観るとワクワクして、ドキドキして、楽しくて
ほろりとして・・・。
人と人の繋がりや、頑張りっていいなと思うような舞台だった。
あとは、色んな葛藤を皆が抱えて、そこは年齢の層で色々ちがうんだなっていう演出も面白かった。

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―
野生児童
小劇場B1(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
「死」だけが永遠に愛する人を愛する証となるのだろうか。
観ながら、そう感じ、悲しい想いが湧き上がる。
ただ、「恋しい、恋しい、貴方が恋しい・・・」
そう、お岩様は遠い昔に想いを伊右衛門に抱き続けた。
そして、2017年。
やはり「恋しい・・・」その想いがぶつかり、壊れ、崩れ落ち、辛い。
舞台は現代・下町なのだろうか。
夏の夜を彩る花火は、192年前も恋人たちを照らしていたのだろうか。
今年は奇しくも他公演でも、同じ「東海道四谷怪談」を観た。
お岩様の皮膚がただれて、醜い姿になっていく描写が今回も、涙が出てしまった。
怖いのではなく、気持ち悪いのではなく
「彼女」の気持ちが痛く、伝わってくる。その感情が伝わる事によって
「私」も悲しく、絶望的な気持ちになり、涙が出てしまう。
今作は様々な「想い」が入り組み、「想う」が故の悲しい物語だった。
田宮伊佐雄役:齋藤陽介さんの一途な「想い」も、三津谷石珂役:有田杏子さんのすべてを包み込むような「想い」も、みんなが自分の愛おしいと思う相手の事を考えて、「良かれ」と思ってる。
それは、ごく自然な事で、当たり前かもしれない。
でも、そこに「死」がひとつの解決策となるのは
本当の「愛」なのだろうかと。
人によっては、そう定義する人もいるかもしれない。
でも、「死」は続くものではないと私は思っている。
「死」は「無」になってしまう。
純粋にその人だけを想う事が罪なのか。
観ていると、切なさよりも悲しさが私は大きかった。
純粋に人を好きになると言う事はある意味、怖い事なのかもしれない。
いつも、明るい役柄でお逢いすることが多い齋藤陽介さんが今作はとても、鋭い
狂気すら感じる演技で怖くも有ったが、「愛」を感じた。
もう少し、こう、感じた事、書きたいのだが上手く「単語」に出来ない。
あの時間は花火みたいに一瞬の閃光の中の出来事だったんじゃないかって。
幻のような、何というか・・・・。
でも、悲しい気持ちになる物語は一瞬で消えてしまった方が良いのかもしれない。
人は、「生きて」こそ、大切な人と有限の時間を過ごすことが平凡だけど幸せじゃないかと。
虚構の劇団の木村美月さんも出演。
可愛らしい役柄であった。
今回お二人気になった方がいた。
伊藤槇子役:荻窪えきさんX-QUEST所属
不勉強で初見なのだが、かなり、劇中の空気を混ぜ込んで中和する役柄で大変素敵だった。
拓悦役:オザワミツグさん劇団居酒屋ベースボール所属
中盤からきっと、そうなんだろうなと思っていたが、あの感情のぶつけ方や、立ち位置はかなり、良かった。
あの中にあって、一番、ある意味均整の取れた役柄だったように思える。

きゃんと、すたんどみー、なう。
青年団若手自主企画 伊藤企画
アトリエ春風舎(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
一日の流れだとは思うのだが、とてつもなく長い時間が流れていて、その中で色んな事が起こった・・・筈。
そして、何故か違和感の感じる笑いが起こる芝居だった。
それは自分の保守的な考え方からなのか、それとも、自分の中の差別的な考え方からなのか・・。
例えば、知的障害者の動作などで笑いが起こる。
「笑う所?」と私は感じる。
でも、「笑う」という動作を制御する本来の私の概念は何だろうか?
例えば、その動作を健常者がわざとコメディーのようにやるのなら
笑ってもよい
障害者だから、笑ってはいけない
その境界線を自分が引っ張っているからなのだと思う。
「○○だから・・・」という葛藤は劇中でもワードとして出てくる。
私も、その線引きをすることによって差別をしているのだろうか。
劇中の3姉妹の姉は知的障害者。美談を語る必要は勿論無い。
第三者の気持ちと、身内の気持ちと、当事者の気持ち。
どこに心を置く事が出来るか劇中で「結婚」に関しての様々な葛藤は、当然起こり得る現実的な話である。
ただ、何か、違和感があった。
それを具体的に言葉に出来なくてもどかしいのだが、そのもやもやした感じで良かったのかもしれない綺麗ごとで、話が終わってしまうのなら24時間TVで良いのかもしれない。
ただ、きっと、こんな風に人は関わり合って、どこか、寂しい想いを溜め込んで、でも、毎日を生きてるのかなと思った。
そこには境界線はない。
色々考える種があった、芝居だった。

Regulation'sHigh
BLACK JAM
萬劇場(東京都)
2017/09/20 (水) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/21 (木)
初見のBLACK JAMさん。客席の座席数を削って組まれた非常に大きなステージ。その大きなステージを使っての迫力のある演出に圧倒されました。男性の役者さんだけで創られていたこの作品は、個人的には今年観劇した全ての作品の中でも上位五本指に入るくらい、良い意味で暑苦しさ且つ繊細さを感じる素晴らしい作品でした。教育のあり方を時代の変化とともに問いかけるメッセージ性の強い秀作。最初は体罰反対派側でしたが、ストーリーが進むにつれて最後は体罰教師がカッコ良く映りました。やはり生徒への愛情が大事。これは何事にも当てはまるかもしれません。役者さんの演技力も高く、全員がハマり役だと感じました。タイムスリップした先の時代背景などもよく研究され創られていたと思います。特に印象に残った何人かの役者さんは是非他の役も観てみたいです。

15 Minutes Made Anniversary
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
私はMrs.fictionsさんの事を知ったのがつい最近ですが、この15MMは本当に良い企画だと観劇する度に感激する。
今回は10周年ということで、参加団体も豪華。
今回ほどあっという間に時間が過ぎたと感じた公演は無かったかも。
どの団体も濃い15MM。
個人的にはキャラメルボックス、Mrs.fictionsが好きな内容だった。
柿喰う客
作品名: フランダースの負け犬
作・演出:中屋敷法仁
音楽:入交星士
出演:七味まゆ味、深谷由梨香、葉丸あすか、田中穂先
既にある戯曲を15分に。
24日のアフタートークで7000文字位詰め込んだと中屋敷さんがおっしゃっていた。
流石という言葉で括るのは大変失礼かと思うが、本当に、一瞬で「ぐっ」っと引き込む力が流石だった。
「次に本公演を観たい」と思わせるには十分すぎる。
吉祥寺シアター演劇部
作品名: ハルマチスミレ
作・演出:堀越涼
演出助手:金子侑加(あやめ十八番)、白石ほなみ(ましかく企画)
音楽:吉田能(花掘レ)
出演:市村友里江、伊藤美紅、内田幸花、紙屋陽子、齋藤龍之介、里吉うたの、庄司ゆらの、中野亜美、西室桃花、一楽、古川佑紀、室井美生
彼女たち、彼たちが、段々飛び方を経験を重ねると今は飛べなかったり、引っかかったりしてる「縄」も、飛べる力がつくのかなと。
ただ、若いとというだけではなく、それは、「大人」と呼ばれる年齢の自分も、そうなんじゃないかと、観ながら思う。
若いから純粋というのはある意味烏滸がましい大人の言葉かもしれない。
どうしても「高校生」が頑張って偉いという見方が出てしまうが、ある意味、舞台上にあがれば、そこは対等にみるべきだと。
そういった意味でも、とても見ごたえのある舞台だったと思う。
個人的に「ユラノ」役の庄司ゆらのさんが
目を引いた。彼女の中学時代に有った事柄が定時制進学を考えさえ、色んなバックボーンを巧く表現していたと思う。
梅棒
作品名: BBW
作・演出:伊藤今人、遠山晶司
出演:伊藤今人、飯野高拓、鶴野輝一、遠山晶司、遠藤誠、櫻井竜彦、野田裕貴(以上、梅棒)、池田遼(少年王者舘/おしゃれ紳士/ホナガヨウコ企画)、正安寺悠造(DACTparty/隕石少年トースター)、原田康正(劇団昴)、五十嵐結也、KENZO MASUDA(GANMI/X'RATED CREW)
梅棒はダンスは詳しく無い自分にとって、ある意味「びっくり箱」なイメージ。今回もとても、楽しく拝見出来た。
アフタートークでの梅棒の作品作りにおいての考え方など今人さんのお話を聞けたのも、良かった。
演劇集団 キャラメルボックス
作品名: ラスト・フィフティーン・ミニッツ
作・演出:成井豊
出演:筒井俊作、渡邊安理
今作は15MMの為の書下ろしとのこと。
中盤で、何故、この夫婦が動画を自分たちの娘にあてて撮っている意味が分かる。
限られた「15分」それは、この夫婦にとっての最後の「15分」
想いを伝えるには短すぎる時間で、でも、二人が愛する娘に届ける為に語り続ける。
愛が伝わった冬のある日から、二人の最後の瞬間に、雪は解けて涙となった。
観ながら、私は8/12に起こった日航機墜落事故を思い出す。
その時の乗客の方々は最後の時まで自分の大事なヒトへ想いを紙に残したという。
きっと、誰もが「何故、自分がこのような事故に巻き込まれなくてはいけないのか?」と理不尽さに絶望しているはずなのに
大勢の方は大事な、大事なヒトへの「最後の言葉」を書き残した。
そう、思うと、更に涙が出てしまった。
劇団「地蔵中毒」
作品名: 想いをひとつに
作・演出:大谷 皿屋敷
出演:栗原三葉虫、関口オーディンまさお、鈴木理子、かませけんた、宇都宮みどり、東野良平、フルサワミオ、hocoten、立川がじら(落語立川流)、武内慧(東京にこにこちゃん)、礒村夬(グッドラックカンパニー)
今回参加団体の発表後、かなり、話題になったこの劇団。
私も初見。
個人的には好きではないけど、面白いとは思う。
Mrs.fictions
作品名: 私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし
作・演出:中嶋康太
出演:岡野康弘、岡本篤(劇団チョコレートケーキ)、徳橋みのり(ろりえ)、森谷ふみ(ニッポンの河川)
もう、途中から涙が出てしょうがない。一回、一回、久太郎(岡野康弘さん)が指を鳴らし、月日が過ぎていくのと、優子(徳橋みのりさん)の想いが積み重なって、自分の涙が零れてしまう。
この場面、少しユーモラスな演出もあって、笑いも起こるのだが
逆にそれによって、更に泣けてしまった。
あの場面は、何となくドラマチックなことでは無く淡々と時が積み重なって、でも、その淡々とした中の切ない空気が漂うのが中嶋さんのホンの素敵さではないかと感じたそして、やはり、Mrs.fictions。「生」の側の人・「死」の側の人。優しいという簡単な語彙で括るのではない心の悲しさを鎮めてくれるような子守唄のようなホン。
劇中の台詞で優子さんが「溶けて乾いたみたいに忘れちゃうと思う」というと
久太郎さんが「早く、忘れちゃいなよ」って言うのです。
この台詞、ずきんとした。
残された側と逝ってしまった側。
久太郎さんは病死かもしれないし、もしかすると精神的な所からの自死かもしれない。
久太郎さんは「早く、忘れて欲しい」と思う。
残してきた人たちが大事だから。
優子さんは「代わりに景色をみて居たい」とも、言う。
逝ってしまった人が大事だから。
劇中使用された曲がまた、良い。
https://youtu.be/qL3LvKqQ06A
本当に各団体を一緒に観る事が出来るお祭りのような今回。
ロビーには過去公演のポスターや、フライヤー。

ウロボロス
Straw&Berry
新宿眼科画廊(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
始まりが終わりだった。終わりが始まりだった。
ずっと、ずっと、あの夜にいるのかもしれない。
でも、きっと、けしてHAPPYではないけど、皆の様に、彼も前に進もうとして、進もうとしたけど、でも・・・。
観ていて、物凄く胸が苦しくて、でも、みつめていたくて、まだ、感想はまとまらず、ぐるぐると。赤い星がみえる時間になったら、今一度、想い出そう。
何故?「シゲル」はあれだけ狼狽しているのか。
段々、時が戻されてるようで
進んでいるようで・・。
「シゲル」冒頭。タオルをもって
怯えるような、憔悴しきってるような、今にも
死んでしまいそうな、ココロが壊れかけてしまってる様な
すがりたい、叫びたい、泣き叫んで、消えてしまいそうな・・・。
「チエ」はもう、居ない世界で、「シゲル」は生きていて。
でも、まだ、始まりのあの一緒に音楽を聴いた時からぐるぐる、ぐるぐる
何度も、進もうとしてるけど、周りがどんどん進む中
あの「時」のまま。
でも、進んでしまったのかと。
あの狼狽した「シゲル」は
誰を殺したのか。
殺してないかもしれない。
殺したのかもしれない。
「チエ」を忘れ、前に新しく進もうと決めた「コバ」を殺したのかもしれないし、違うかもしれないし・・。
2度目の「シゲル」はタオルをもって、音にならない
呟きを続ける
「シゲル」はあの時、何といっていたのだろうか・・・。
「懺悔」なのか、「言い訳」なのか、彼があの時
なんと言っていたのか・・・。
知りたいと強く思った。
「コバ」は優しかった。
仲間の中で一番、大人になったのが彼だったのかもしれない。
人を許し、自分も許し、「未来」と呼ばれるものを
目指したのかもしれない。
「チエ」を間接的であるのかもしれないが
交通事故で死なせてしまった「ケンタ」と「ユッチ」。
(私はそう解釈している)
止まっていた時間を動かしたのは、「コバ」だった。
もう、前に進んでいいと・・。
「ケンタ」も、「ユッチ」も苦しんで、でも、二人で
進もうとしていた。
仲間の中で
「シゲル」だけ、ずっと、ずっと、止まったまま。
止まりたい訳では無いかもしれない
就職、結婚、過去を忘れる訳では無いが
仲間は皆、進む。
「シゲル」は過去に「チエ」と話した一度も行った事の無い「東京」にいて
好きな芝居も、もう、辞めている。
「自分」はどこにいるのか?
止まった時を動かせずに、居たのだろうか。
星に願いを呟いても
そこには、現実しかない。
私は、ラストシーンで
「チエ」が「シゲル」の頭を撫でたシーンが一番好き。
あのシーンで、やっと、息をつけた気がした。
きっと、私も「シゲル」の頭を撫でてあげたいと思ったから。
もう、いいんだよって。
もう、忘れてもいいんだよって。
弱くってもいいよ。
忘れちゃうと消えちゃうんだけど、
やっぱり、進めないのは見ていて辛い。
だから、忘れちゃっていいんだよって。
https://youtu.be/HKh6XxYbbIc
ああ、言葉が出てこない。
私が今まで体験した事の無い感覚だった。
考えるよりも、
感じる芝居。
「自然」に演じるって一番難しい。
でも、このStraw&Berryの俳優の皆さんは
それを具現化している。
そこに、今回、本公演を初めて観て
衝撃的だった。
同じ経験は無いけど
同じ痛感を感じる。
そんな、芝居だった。
心拍数が尋常ではないほど上がったのは
自分でも予想していなかった。
危険だ・・。
なんだよ・・・、これ・・。

覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】
劇団ZTON
インディペンデントシアターOji(東京都)
2017/09/14 (木) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/15 (金) 15:00
価格3,500円
三国志を元ネタとした伝奇時代活劇。五元素と縁のある龍が絡んだ覇権争いというストーリーを多彩な武器で単調にならないばかりかスピード感のある殺陣が彩るという娯楽性に衣装・メイクと音楽による重厚さがマッチして見応えたっぷり、ごちそうさまでした。
カプセル兵団の吉久主宰が客演されていたこともあって、ふと「臥龍頂上伝」三部作を思い出したし、気合いの入った(笑)衣装などによる重厚感と娯楽性の共存に劇団ショウダウンに通ずるモノも感じた。

ニコニコさんが泣いた日
演劇企画ハッピー圏外
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2017/09/20 (水) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
当初2回の観劇予定でしたが結果4回の観劇となりました。
前回のニコニコさんも何度もリピートしてて、展開もわかってるのに毎回ボロボロに泣かされましたよ。
いい歳のおっさんが涙だだ流れして体が震えてるの恥ずかしかったー(笑)
回想シーンとして描かれたラストの景色を観ると、まだ穏やかだった頃の動物達、飼育員達に会いたくなり、またラストを迎え、また、またの繰り返しで回数を重ねちゃいました。
はぁ~思い出してもうるうるする。
あの景色は本当に素敵なんですよ!!
全員で描いた一枚の絵は少し後方の席から観るのがベストでしたね!
笑って泣けるをモットーとしたハッピー圏外さんの作品、次回も楽しみです。
あと、ハピ圏さんは受付から場内案内まで本当に気持ちよく迎えてくれて、これから始まる世界をよりわくわくさせてくれます。これ重要です。

幻の女
劇団天動虫
MANDA-LA2(吉祥寺)(東京都)
2017/09/17 (日) ~ 2017/09/26 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/24 (日)
60分程度でサクッと見れる作品ですが、展開の幅もあって考えて楽しめる作品。
カフェ公演的な所もよくて、終演後も楽しいサービス精神旺盛な劇団さんです。
女性ばかりですが、そんなに甘くないですよ。
初心者にも安心してお勧め出来ると思います。もう明日最終日だけどイケる人はお勧め!