穴ザワールド 公演情報 発条ロールシアター「穴ザワールド」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ”穴にはロマンがある”というのは劇中の台詞。何となく意味深であるが、穴ザワールドいやAnother World(外の世界)と捉えれば視野が広がる。外の世界を見てみたい、その興味というか欲求は人間の本能かもしれない。そんな面白さがあった。
    さて穴の目的とは…。
    (上演時間1時間25分)

    ネタバレBOX

    舞台は老朽化したアパートの一室。和室(畳敷き)の中央にミニテーブル、その上は雑然としている。周りにはダンボール箱が置かれている。
    自称、小説家(志望)の男・コノシロ(江戸川良サン)が寛いでいるところに見知らぬ男・鯵ケ沢(加茂克サン)が闖入して自分の部屋だと主張する。実は家賃を半年も滞納し夜逃げした前の住人。どうしても同居したいと懇願するが、その目的は部屋の真ん中に穴を掘ること。そして掘ること数ヶ月、深さも数メートルになったが…。

    何のための穴掘りなのか、その疑問が観客の関心を惹き物語を牽引する。同じように宅配便のスズキ(花見卓哉サン)も穴の中の事、欲の下心もあり強引に手伝う。たかが”穴”されど話の中心としての存在感を示す。そこに物語の不可思議な魅力がある。

    部屋には、コノシロの別居している妻と暮らしている高校生の娘・新子(かどのまるサン)も出入りしている。学校では苛められているらしいが、父には友達との間に線があるという表現で説明する。父は親子であっても線はあると、やんわりと娘の悩みを聞く。ギャンブル好きで不真面目と思える父親だが、杓子定規ではない態度が心地良いのかもしれない。ちなみに別居している妻の仕事は弁護士だという。少し強引だが、穴の意味や父親の威厳というよりは、その存在自体が重要だという描き方である。

    コノシロの飄々さ、鯵ケ沢の仄々さ、スズキの熱量、新子の溌剌さ、そして時々突っ込んでくる大家のイワシタ(則末チエサン)の演技が、物語を生き活きとさせている。ドタバタ騒動だけではなく、大家以外の人が台風の夜に肩寄せ合い毛布に包まって話をする。その少し不安な姿が、何となく微笑ましく滋味さえ覚える。また畳を返し穴から出てくる、後幕を捲り地中の岩場を見せるなど、観せる工夫に観客サービスが感じられる。

    さて、穴堀りの目的は…徳川埋蔵金、日本の裏側(ブラジル)まで掘り進めるか?いくつか荒唐無稽な紹介がされるが、答えはなし。観客の心に委ねた”ロマン”ということだろう。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/11/20 18:03

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  • この度はご来場ありがとうございました。だいぶ時間が経ってからのコメントお返し失礼いたします。
    見てほしいなあ、伝わるといいなあという点を読み取っていただけたようでとても嬉しいです。
    台風の場面は私も大好きです。
    ロマンを感じ取ってもらえたようで何よりです。コメントありがとうございました!

    2017/12/01 09:27

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