グリーン・マーダー・ケース
monophonic orchestra
Geki地下Liberty(東京都)
2017/04/11 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★
原作未読。本格ミステリーってトリックありきな印象だけど、ちゃんと人間ドラマとして描かれていた。
このクオリティの芝居を至近距離で観劇できたのは幸せな事。
上演時間の長さと椅子だけなんとかなれば言うこと無しなんだけど。
かじもんは本当に安定してたし、須貝くんが良い声だった。
ホチキスの時とは違うシリアスな陽ちゃんも新鮮だったし、小玉さん、ざんさんと大好きな女優さんも堪能しました。
次再演するならレッドシアターとか椅子の快適な所が良いなぁ。膝が辛すぎて最後集中力を欠いちゃってすごく悔しかったのよね。
夜と夜
mizhen
Yoga&Kidsdance スタジオ RireRire (東京都世田谷区玉川台2-1-15 3F)(東京都)
2017/04/01 (土) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★
女性二人の気持ちの機敏を描いた小品。
ああいう感覚は身に覚えがありすぎてちと痛い。
身体表現、歌、ラップetc. 実験企画の名に違わずチャレンジングな感じでした。
この企画が次の本公演にどう生きてくるのか楽しみです。
NICE STALKER 短編演劇見本市
NICE STALKER
cafe&bar 木星劇場(東京都)
2017/12/27 (水) ~ 2017/12/31 (日)公演終了
満足度★★★★
Nice ver.
1話はくだらねぇな~って笑いながら観ているとオチが絶妙で素晴らしい。
2話は2019年公演予定よいうことでどう膨らむのか楽しみ。
3話は女子と算数は好きな話だったので好き。
鍵泥棒のメソッド
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2017/03/02 (木) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
満足度★★★
岡田×畑中コンビは安定の面白さ。そしてじっきーが可愛い!
初演の細かい演出は覚えていないんだけど、オープニングのあのシーンはスッキリ観やすくなりいい感じ。
逆にラストの車がクラッシュする場面はもうちょっと盛ってもいい気が。
個人的には編集部のシーンが大好き。あんな個人的なこと仕事みたいに振って、普通に「了解です」って本当に笑える。
今日は一番下手での観劇だったが、映像の文字が三分の一しか見えなかったのが残念。
新人抜擢ステージ>劇団初の試みだそうだが、抜擢された二人の緊張感がこちらにも伝わってくるような舞台だった。
山崎くんが小銭を2度3度と落とした時は客席が固唾を飲んで見守っていたと思う。お客さんが育ててるなぁという感じがひしひしと。
コンドウ役の面白さって入れ替わったときの強烈な違和感だと思うんだけど、石橋さんのコンドウは、割と普通に居そう。
香川さんとか岡田さんの「チェックのシャツとチノパン」の似合わなさはハンパないから。
そして山崎くんの服だったらズボン丈で自分のではないとわかりそうだ(笑)
岡田さんの工藤は、わたしには「楽しそう」に演じているように見えたのだが、
アフタートークで「初日なので緊張した」と話されていた。
緊張感も一生懸命さも見せないのがベテランの凄いところなんだなぁと感心。新人の皆さんも頑張れ!
ミラクル祭’17(ミラフェス’17)
新宿シアター・ミラクル
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/02/18 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★
Bversionのみ観劇。随分と振れ幅の大きな取り合わせでした。
こうなるとAがどんなだったかが非常に気になります。
ハセガワアユムグループ『CANDY CITY』>相変わらずアユムさんの短編は秀逸。
特に今回のような軽やかだけどなんかいろいろ深いぞってやつは大好物です。
反芻してニヤニヤが止まらない。次回のMUも楽しみです!
劇団ミックスドックス『やねうらコスモス』>初見の劇団でしたが、妙に既視感があるなぁと思ったら凄くキャラメルっぽい!
後で調べたら、ここって山根翼くんが以前所属してた劇団だったのね。
全体のこなれ感はともかくSFファンタジーとしてなかなか楽しかったです。
淵、そこで立ち止まり、またあるいは引き返すための具体的な方策について
カムヰヤッセン
ワテラスコモンホール(東京都)
2017/02/16 (木) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★
カムヰヤッセンはいつ以来かな?と思って調べてみたら2010年に観たのが最後らしい。
随分と間が空いた、というか観たことあるというレベルですね。
それはちょっと勿体なかったな、と思うくらいの良いお芝居でした。
深刻な内容なのに過激な言葉も過激な演出も一切無く、ただ染み渡ってゆきました。
俳優としての北川さんが良いなぁ。
昨日観た作品との地続きな部分とか、これからグルグル考えます。
ヒカリノ国
劇団星めぐり
ナンジャーレ(愛知県)
2017/03/24 (金) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★
星にアカリを灯す水配達人…
たぶん、これだけ聞くと何のことを言っているのかサッパリだと思いますが、絵本から飛び出したような設定の世界を、可愛い中に妙な現実味を漂わせる女の子たちが演じる舞台が、不思議に調和していました。
無理に辻褄を合わせたり、説明的なことをせず、「だって、実際にそうなんだもん。そういう世界だもん。」と臆することなく、堂々と世界を創造した空気が味わえました。
それでいて、メルヘン一辺倒ではない風刺の精神が仕込まれていたのがオツで、「童話」と言うより「寓話」の色が強いです。
また、星を掻き消すほどの…煌々と照る街灯り(=科学?)を嘆く空気に浸りつつ…、「星にアカリを灯す」方がむしろ超科学じゃ~んと思わせちゃうあたり、面白いバランスしてる作品だな~と思いました。
「どうか闇を、きみに」
空想組曲
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2017/02/16 (木) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★
ほさかさんらしい、ダークな作品。
覚悟はしていたのですが、いつになく刺さりました。
三浦涼介くんの舞台は初めてだったのですが、
これからが楽しみだなと思いました。
胎内
刈馬演劇設計社
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2017/03/23 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
刈馬作品をここ3年観続け、当初は緻密な戯曲に痺れていましたが、前作「猫がいない」の演出がかなり秀でていたので、演出専念・2種演出という好機にかなり期待していました。そして、期待を裏切りませんでした。
話の筋としては、極限状況の恐怖の中で、反芻される人間の思考が激しくぶつかり合い、自己正当化、責任転嫁、駆け引きとを繰り返しながら、いつしか懺悔や退行や自己肯定などに陥っていき、徐々に壊れていく過程がつぶさに描かれる感じ。
以降、ネタバレboxへ
ネタバレBOX
(続き)
それをカルマ・ストレートでは、奇をてらうことなく、役者3名の表現力に全てを注ぎ込んだ感じで、まさしくストレート真っ向勝負でグイグイ押してくる。3名ともが「見えないものを見せてくる」迫力は圧巻。
今津さんは、喉の掠れ声からして凄い存在感。それが佐山の置かれた過去・現在を体現するようで、全身全霊を注ぎ込んでいる印象がすごく伝わってきます。
岡本さんは、導入部で何かいつもと違う声色で入るのが印象的で、その後、延々と連なる生々しさが半端なかったです。初めて芝居を拝見した頃の影響で、すごく無感情のドール的な印象が個人的には根強かったのですが、遥か昔の話になりましたね。俳優A賞女優やし。
いちぢくさんには、もう何も言えないっていうか、やはり見えないものを見せる感は一番強力で、もがき、のたうちまわる様は圧巻という他はありません。
全般で一番好きなのは、佐山と村子が互いの想い人の幻影を…互いに投影して、二重に妄想の芝居を重ねるシーン…心の内面を吐露しながらも、根本的に食い違わざるを得ない切なさを見せながら、何か共通する要素が漂って、二乗で利いてきました。
さて、一方のカオス・ハイミックス。
アンサンブル・キャスト…すなわちコロスですかね、それを使うということで、…先述の「見えないもの」を視覚的に表現するのを予想していましたが、それだけに留まりませんでした。
「メインキャストの代弁」にまで及ぶ演技演出は、解釈の拡がりを感じさせてくれる…。個人の内面の吐露のみならず、「世の中の苦悩の代弁」にも見えました。本戯曲が戦後の苦悩を表わした社会派の作品にも見えることから、この表現は秀でてアリですよね。まるで怨霊の様なメイクと所作が、戦争で積み重ねられた闇を良く感じさせてくれる。
そういえば、音響も戦争を強く意識させる効果が追加されていたような気がします。総じて、ストレートが「人の闇と業」にフォーカスしたのに対し、ハイミックスには「暗澹たる世情」を見た気がしますね。
役者的には、
にへいさんの暗黒面の芝居は…少なくともよこしまブロッコリーでは絶対観れない気がして、すっごい貴重な機会でした。
元山さんは、やっぱり(?)こういう役どころにはピッタリの空気を醸し出してきますよね。
中村さんは、狂人めいた芝居が似合いそうな方で、佐山もハマりますが、もっと歳を取ったら花岡の方がよりイケるような予感を感じつつ観てました。
最後に共通の演出ですが、エンディングで使われる某歌が、すっごいインパクトありましたよね。
終演の空気との対照さが、切なさと皮肉感をいや増して、なんとも凄い後味となりました。
あ~、それにつけても、2演出という本企画はホント至福でしたね~。
ペール・ギュント
世田谷パブリックシアター+兵庫県立芸術文化センター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2017/12/06 (水) ~ 2017/12/24 (日)公演終了
満足度★★★★
初めてライブビューイングなるシステムで、冒頭は欠けたが何とか「観劇」にこぎ着けた。40~50人位の「観客」のうち、98%が女性(恐らくたいはんが主婦)。2%が私。映画館の画面ではアップもあって見やすく迫力もあるが、撮られた画(たとえ生でも)と判る映像では1枚壁を隔てた感じを否めず、熱量は伝わらない。終演しても拍手は起きない(多分外国なら起きる。根拠はないが)。逆に定点で撮影し、遠慮がちにパンやズームを使う程度なら、違ったか・・これも判らないが、「制約」の中で観ている共感が醸成されたかも・・だがそれだとチケット代に不服が漏れそう、そもそもDVD化を兼ねての撮影だろうし、云々とあれこれ考えた。
終演後の挨拶で日韓合作という文句を主役の浦(あれなんだったっけ)氏が連呼していたが、手練れの韓国人俳優たちも存在感を示す。日本語でも喋るが時折韓国語で喋り、そこであの韓流コメディ特有の甘えっぽく「文句を言う」抑揚が耳に入った時、韓流流行りの全盛期とは違って聴こえるのを感知。
韓流モードで聞けば笑えただろうが、笑いに繋げる表現、そのモードを作る難しさや、表現の彼我の違いを超える事、などについてふと考えた。米国式のらしい(振りの多い)表現というものもあるが、果して押し並べてそうなのか、万国共通普遍の表現とは、とか。。
考える余地が生まれるというのも、ライブビューイングならでは?などと「考え」たり。
韓国人演出家のとにかくも才気を感じさせる箇所が随所にあり、個人的には辻田暁の舞いがかくも秀逸に舞台上に嵌め込まれていて嬉しく、両国ともに魅力ある俳優の見せ場があり、ペール・ギュントの旅というフォームを借りた大々的見世物小屋の様相。
ペールの旅は最後に望ましい場所へ導かれる旅ではない。近代演劇の祖イプセンの異色の作品だが、どことなくの作者自身の人生を老境にあって見つめた作品に感じられて来る(何歳に書いたかは知らない)。人間の生き方を厳しく問うイプセンはそこにはなく、「お前は何者であった(あり続けた)のか」と問われて答えられない老いたペールを、否定も肯定もせず、優しく結末へと誘っていた。
てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。
マームとジプシー
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2017/03/18 (土) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★
スクリーンに流れる映像、舞台上に置かれる…時には役者が持つ「カメラ」による映像。本来、客席からの定点観測しか許されない観客に、視覚的に多彩な刺激を与えてくれます。
「同じシーン」を微妙に変えながら繰り返し、ジワジワと観る者の心を浸食してくる感覚も溜まりません。(あるいは観る側の印象の方が変わっていくだけなのかもしれませんが…)
以降、ネタバレboxへ
ネタバレBOX
幼馴染たちに降りかかった忌まわしき事件。
当事者とまでは言い難い彼女・彼らに、だからこそジワリと忍び寄り、圧し潰してくる無言の恐怖と嫌悪。
観客には、現実の災害・事件を想起させることで、彼女・彼らの心情に重ねさせている模様。
純粋で不器用な葛藤と抵抗と共感願望と選択。
忌まわしき場所から、出てゆく者がいる、留まる者がいる… 忌まわしきモノへの心の処し方、立ち向かい方の違いによる分岐を見せてくれました。思春期の苦悩に重なるような表現も多かった。
「私は成りたくない私に成ってゆく」という言葉が印象的です。
役者個体の演技による表現ではなく、感情を視覚化する多角的な演出も印象深いです。
点は人、線は人の繋がり、立体は社会、世界は人生、光は希望…ぐらいか…?
最後のはちと安易な解釈かなぁ…
なお、全般シリアスな空気が漂うのに、突如、爆発的に現れた「バスのドアに挟まれてブルブルしてるシーン」、「犬による探索シーン」の笑いに大うけ。あれは何だったんだろうねぇ。一瞬、過ぎ去った嵐(笑)
四色定理
廃墟文藝部
spazio rita(愛知県)
2017/03/09 (木) ~ 2017/03/11 (土)公演終了
満足度★★★★★
3作は初演当時に観ていた訳だけど、新作含めて4作並べると充実感ある。4女優が奏でる光と闇の感情の機微を堪能しました。
以降、4作ごとの感想をネタバレboxへ
ネタバレBOX
【私は小綺麗なゴミ箱】
「私」シリーズ元祖にして、最も切ない物語。
「私」を取り巻くIF(Imaginary Friend)と定義される3人は、精神医学上のIFよりは、「私」の自我を構成する要素の分解・解釈する手段の色合いが濃いように思われた。IFを含む4人の会話は、個人の葛藤や逡巡を分かりやすく可視化し、舞台として非常に見映えが良い。
IF3人で順繰りに言葉を継いでいくスタイルが多いせいか、初演の時は3人の性質の違いが「セリフでの表現」程の違いはないかなと思ったのだが、基本1個人の脳内であればIF相互に類似性があるのは当然と言えば当然。むしろ「私」の核たる個性を象徴するものかも。
自分を押し殺して生きてきたかにみえる「私」の、自身の行為の正当化・意義の合理化は、非常に危うい雰囲気を漂わせるが、彼を元気づけた「人生にifは無いよ」というセリフが、IFに依存する自分に言い聞かせる様でいて印象深い。
ラストの電話シーン。頭の中でIFが囁く「選択肢としての可能性」を静かに穏やかに制した理性。それを表現する「間」が好きだったな。初演の時は、ラストにもっと前進の予兆が欲しい…なんて思ったんだが、
今回はむしろ、穏やかながら…IFの囁きに揺らぐことのなかった「私」に力強さを感じた。
「結果は同じ」でも、選択したプロセスが違う…彼女は変われたんじゃないかと思えた。演出が微妙に違うのか、女優の演技が変わったのか、観客として受け取る私が変わったのか。本当にちょっとしたことで芝居から得られる印象ってのは変わるんだな。面白いよ、芝居ってヤツは。昨日も似たようなこと言ってるが、それが再演観劇の面白さだな。
【私は4色のクレヨン】
分かり易そうでいて、なんか一番捉えどころが難しい作品である気がしてならない。
起承転結の「転」となる「四姉妹の置かれた境遇」は、物語としてはそんなに意外性があるでなく、初演の時でも、途中からソレを予感させる展開だった。だから、きっとその「実は…」の設定そのものは核心じゃない気がしてきている。
でも、それ以外はさしたる事件がある訳でもなく、楽しく彩られてはいるけど、淡々とした彼女たちの人となりを示す日常の羅列。
だから、それに添えられている…半ば無意識の様な彼女たちの言葉を掻き集めて意味を探ろうと思った。
それで、観劇の感想としては邪道な気もするけど、購入した台本を読み返した。
姉妹の性格・好みがバラバラであることを強調し、それこそが共存の秘訣だったかの語り口。一方、性格の表現型はその人を表現する唯一の要素ではなく、各々の表現型が「誰にだって少しずつある」と言ってみせる。
バラバラの性格要素が個人を構成し、バラバラの性格の個人が集まることで家族という1個体がうまく機能する。面白い対照だ。血液型性格判定の話から、血縁の定めみたいなものへの懐疑へ展開するのも、設定への布石とだけ捉えるのは浅はかかな…
そして終始、「私たちは家族」という呪文を繰り返す姉妹。
舞台で見る限り、ほとんど理想的なコミュニケーションとバランスを持っているかにみえるのに…、バラバラの個人が集って機能することを実感として示していて、説得力もあるのに…、何がそんなに不安なのかと訝しく思えるほどに繰り返される「家族」のキーワード。
それほどまでに、今の幸せでは拭えないほどに、過去に背負ったトラウマが重いのか…。血縁への抗えぬ渇望を逆に感じさせて、とても切ない。
台本のおまけ小説「私はデニッシュ生地の氷塊」の終盤に出てくる「せめて…」のくだりがジンワリ沁みるのです。
姉妹に幸あれと願わずにはいられません。
【私は分裂するくらげ】劇闘版、新栄トワイライト版、そして今回の単独公演版と…都合3度観ていて、私の感じた印象がだんだん変わっていくのが不思議。
「最後、あんなだったっけ?」
というのが観た直後の感想だったのだ。劇闘版は、宮谷さん演出だから…というのもあるけど、奇妙な設定と4人の私の軽妙なコミュニケーションを楽しんだ感じが強くて、最後も天井からドサッと紙が落ちて敷き詰められ、まるで夢オチの様に「元通り」みたいな、ある種、爽快な後味だった。新栄版では、小屋の制約もあって地味めとなったが、廃墟文藝部らしいプロジェクター演出で、言葉の印象付けが巧みとの印象が主だった。
で、実はこの時のラストは
「何かさりげなく終わってしまった…」
って印象に過ぎなかったのだ、私には。そして今回。
その最終展開に、まるでサイコホラーの様な印象を強く受けて驚いた…
元に戻るのではなく、一切の自己の喪失。
穏やかな日常が始まるかの様に見えながら、
私のすべてを失って「もぬけのカラ」になった「私」がそこに居るだけ… 「今日もいい天気!」という最後のセリフがひどく皮肉に感じる…怖い後味を残した。
実は後で新栄の動画を見返したのだけど、基本やってたことは今回も変わらない。今思えば、新栄を観た時は、私は劇闘でのエンディングに意識を引き摺られてて、…核心のピースを拾えていなかったと感じた。まあ、私の目が節穴だったと言ってしまえばそれまでだし、今回の私の印象もおそらく一つの感じ方でしかないけど、ちょっとしたことで、こんなに受け取れる意味が変わるのかと…感動すら覚える。一つは女優の個性の影響も強いのかもしれない。新栄の「私」は天然癒し系の池場さんで悲壮感が薄まっていたかも。今回の瑠水さんの沈んだ虚無感の演技は、ダークな結末に相性が良かった。
それにしても、本作は、本当にエンディング次第で残す印象を大きく変えられそう。
切り捨てた私達が生き生きと活躍する様は、
「自分の嫌な性質も、切り出し方次第でポジティブに活かせる。」
みたいな前向きの結論も導き出せるし(廃墟文藝部にはひどく不似合いかも)、「分裂する私」って面白い素材だ。
【私はためらう環状線】
今回の新作。春子の感情が非常に微妙なところを漂うのを、瀧川さんが好演。彼女を取り巻く環状線は、無意識のうちに自己に形成してしまった「殻」ってトコなんでしょうか。
最初は、自分が庇護するべき相手であった冬子の成長に、戸惑い、置いていかれる焦燥感みたいなもの… 裏切られたかのような逆恨み感情みたいなものが出てくるのかと思って観ていたのですが、一切そんな感じじゃなかったですよね。
冬子は、どこまでいってもやっぱり愛おしい幼馴染であり、自分の歩んだ・選択した道に思うところはあっても、他者に責任転嫁しない春子の精神性は素敵だ。
ラストであっけなく超えてしまった線路で、春子が漏らすささやかな嘆息と笑みは、軽い自嘲なんでしょうか。彼女はこの先、環状線を超えていくのか、
それとも、なお留まってこの町で生きていくのか(それもまたアリ)…
色んな想像を掻き立ててくれますね。
なんか、4作で一番、等身大の物語な感じがしました。それはさておき、池場冬ちゃんの幼子芝居、完璧ですね。お姉ちゃんキャラと対極を行きそうなのに、なんなんでしょう、彼女に共存するこのキャラクター達は。美味しいとこだけさらっていく… ばみゅん…恐ろしい娘((((;゚Д゚)))))
ラブソング
劇団雪花火
ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)
2017/03/04 (土) ~ 2017/03/05 (日)公演終了
満足度★★★★
宇宙船で淡々とルーチンワークをこなす可愛いいでたちのキャラ達。隠された設定を少しずつ薄皮を剝がすように明らかにしていきますが、それを気づかせる「違和感」を日常にさりげなく…適切に仕込んだ展開が心地よい。結果としてSFよりはファンタジーに近い味わい。
以降、ネタバレboxへ
ネタバレBOX
黙々と働き…その価値の有無も定かでない使命をひたむきに全うしていくモノたちに、社会での我が身を投影している様でいてとても切なく、それでも生きる意欲を繋ぐ展開が慈愛に満ちていました。クレジット以外、一切表に出ない「ラブソング」というタイトルワードに…表に出さないからこその秘めた想いが託されている様で作演の心の芯を感じます。
演出で楽しかったのは、送信を模した数字のラップかな。ガイド映像も、印象としては「前説」を、意義としてはボイジャーやパイオニア探査機を想起してギャップが面白かったですが、そんなロマンで済まされる事態ではありませんでしたね。そこもギャップ良し。
また、一貫して舞台にある小道具の箱が、最後にとても重要な意味を持つのが心憎い。「キーアイテムを、それと気づかせず最初から無造作に置く」という細工が謎解きモノとして好感です。SF的モールドで舞台の装飾的な機能を一貫して担いながら、最後に「観客の目の前に拡がる光景の意味を180°転換させる効果」を持っていて、唸りました。
私はあの箱に「機能を失って隔離されたHDD上のクラスタ」を想起しました…
後味が深い作品でしたね。
『凪の砦』総収編
烏丸ストロークロック
ナビロフト(愛知県)
2017/02/25 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
結末があまりにも壮絶。絶句というのが終演直後の正直な気持ちでした。
以降、ネタバレboxへ
ネタバレBOX
「三ツ山養生所」と称する、見た目はいわゆるポスピスの様相だが、世話をする方も、される方も実は"ワケあり"ばかりの施設。肩を寄せ合い生きていく風情は、作中で語られる「落ち葉の下のてんとう虫」という表現が言い得て妙。介護に忙殺されながらも愚痴一つ言わぬ…楽しそうと言っても過言ではないスタッフの強く明るい振る舞いが、対照的に悲壮感を滲ませる。
舞台で幾度となく繰り返される「生死の輪廻」の言葉は、本来そんな悪い言葉じゃないはずなのに、あたかも無間地獄のイメージを刷り込んでくる。死者が今なお成仏せずに普通の生活を続けるラストのイメージは、その無限地獄の体現にも映り、強烈でした。それらの「空気」を作る「役者」の力量を強く感じた芝居でもありました。話の都合で人が順に動くのではなく、各々の生活の集合で舞台が成り立っている感覚が強く、「あぁ、この人たち、みんな各々で生きているんだなぁ」と現実なら当たり前のことを、…非現実の舞台で強く実感できました。
それ故に、やはり結末があまりにも皮肉で切ない。いや、だからこそ、この結末が活きるのか。
「生と死」ばかりでなく、震災を引き合いにした「施設の契機と終焉」、すべからく輪廻と対照が際立つ作品でした。
個別には、「まるでタイムスリップでその場に入り込んでしまったかの様に始まり、進行する回想シーン」の演出、「パイプ椅子を老婆に見立てた下の世話のシーン」、舞台をぐるりと囲む落ち葉、生演奏の音響、…様々に強い印象を残してくれました。
アイデンティティ
南山大学演劇部「HI-SECO」企画
ナビロフト(愛知県)
2017/02/10 (金) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★
Bキャストで観劇。
愛、社会、性別、様々なカテゴリーにおける…タイトル通りの「アイデンティティ」を巡る苦悩と葛藤が全編に溢れる。
それらが、すごく理屈っぽく展開されていくところが好み。
如何にも人の成長過程にありがちな精神本位の恋愛観や、無自覚な自己愛に主人公が翻弄されるのは当然として、周りがしっかり洗練された落とし所を持っていて、適切に手を差し伸べて自己肯定感を育む過程はとても好感。それらを糧にラストに繋げていく展開も、主人公の成長物語としても見応えあった。
ネタバレBOX
特にラス前に直面する危機に元カノ・キョウコがフラッシュバックして主人公を導き、拙いが故に心に響く言葉を主人公が紡いでミツキの危機を押し留めるくだりが最高に高揚する名場面。あのシーンが現実か否かの含みがあったが、どっちでもいいなぁ。
カーテンコールに入っても尚、感極まって涙を抑え切れない光起さん&明石さんがとても印象的で、別のドラマも観せて貰った思いでした。
総じて他の役者さん達も良く、中村さん、奥谷さんの両男優や、瀧川さん、人見さん辺りの存在感が素敵でした。けど、やっぱり今回の肝は脚本だねぇ。LGBTへの世の関心は今、非常に高いから、そういう作品も多く目にするけど、敢えて少し昔を舞台に作りこみ、更に他のアイデンティティ絡みも取り込んで、一般的な人格形成プロセスに統合したのが意欲的。
いかものぐるい
オレンヂスタ
千種文化小劇場(愛知県)
2017/02/10 (金) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★
地域振興、痴呆、介護、ニート、創作芸能での生き辛さ、家族分裂、不倫、ストーカー…世の中のあらゆる問題を「ごった煮」にし、誘致活動、落語、アイドル、バンド、漫画等の様々な媒体を通して、そのまま舞台に投影。まさしく「如何物食い」状態でしたね。印象で繋がるモチーフを敢えて消化せずに、一鍋に放り込んで連鎖させるかのような感覚は、観客の脳内を触媒にして、各々に何らかの闇を想起させる感じがあります。
ネタバレBOX
充足されぬ、ジンワリとした抑圧の中、人々の様々な足掻きが全編に漂い、蠢く。その空気感を何よりも雄弁に語るのがメインキャストの周りを彷徨うコロス(アンサンブル・キャスト)の一団でした。
表を演じているメインキャストの"脳内"を表出させるが如き、暗黒舞踏さながらの動きと、象徴的な黒いテープ・ビニール布、更にそれを照らす照明が、もやもや~とした心の内を見事に映して、観る者の印象を支配していましたね…
軋轢が一点に集約して起きた悲劇…。とことんまで崩壊した後に残る「家族ゴッコ」が、現代が軽んじてきた形式の真意を暗示するかのようでもあり、理想と乖離していても尚、断ち切るべきでない繋がりの尊さを感じさせます。
敢えて解放のモチーフに凧を選んでいるところが意味深なんだねぇ…
壊れなければ気づけない、優しくもなれない… あまりにも切ないですね、人間ってヤツは。
【雑感】悩んだ末の正面下手席。文乃さんのマヨネーズ和えが死角でよく見えない代償に、ラストシーンのジワリとうつろう文乃さんの表情の芝居が間近でラッキー。席で目にするものが相当に違う演出も面白い趣向だけど、生演奏のいちろーさんも見切れた!
ポン輔。何ゆえ彼は、何もかも背負い込むことになったのか…
単なる引きこもりでは説明のつかない重荷と足枷が、説明されないからこそ醸造される深みと強固さをもって伝わってきました。こういう芝居をさせると今津さんはハマるなぁ。
悪食プリン。劇本2のニノさん作品は本作からのスピンオフだったんだね。客席上空の高~い位置での生演奏は迫力満点で贅沢だった。あと、永遠の17歳おナツさんのアイドル姿、もっと観たかったぁ。そういえば、ミソゲキでセーラー服だったよなぁ(笑)
大脇ぱんださん。ご本人は癒し系の微笑ましいキャラクターなのに、ごっつうシビアな狂気まとうオバさん役で、存在感ハンパなかった。女優なんだなぁ…と痛切に感じた。
うぇってぃさんの進撃の巨人スーツに大ウケ。もっと暴れて欲しかった。
いきばなし
F's Company
津あけぼの座(三重県)
2017/02/11 (土) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★
細胞整形という新技術の治験希望者面接に集う3人。面接を待つ控え室で繰り広げられる、一癖も二癖もある人物達の駆け引きに息が詰まる。筋の通ったことを言っている様でいて、誰一人、本当のことは言ってなさそうな、ひりつくような空気が堪らない。いきる為に我が身を変えたいエゴのぶつかり合いは、じわ~りじわ~りと激しさを増し、綺麗事の一切つけ入る隙のない、まさしく身を削る空間でした。
ミステリー感もたっぷりで、結末の見えない展開も遂には一つの落としどころに辿り着きますが、な~んか、この話は色んなマルチエンディングが作れそうな面白みがありましたね。
ネタバレBOX
最後の、地獄から響くような敗者の咆哮と、生き残ったはずの勝者の憔悴の吐息が、非常ぉ~に複雑な後味を作ってくれて、実質は誰も生き残りはしなかった… 「しにばなし」的な感触を残しましたが、このせめぎ合いが「生きる」という事なのかも… 役者の芝居のディテールに感嘆です。
わずか1時間が本当に濃密で、どっと疲労感が滲む充実した時間でした。
ルーミー・イン・ザ・異世界・ウィズ・ダイナマイツ
天然求心力アルファ
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2017/02/03 (金) ~ 2017/02/05 (日)公演終了
満足度★★★
稀代のリアル中二病ドラマ(笑)
バカバカしさに渾身の力を込める作品作り…の態を装ってはいるが、話が結構 凝った展開になってたり、一転メタ芝居になったり、怪しげな見せ場もふんだんで、多彩な楽しみ満載。特に千秋楽は「羽目外し御免」で美味しい回でしたね~。ガツガツ、「脱線」を詰め込みまくって、バラエティ感を満喫。客入り・中休憩・客出し含めて3時間を優に超える七ツ寺滞在体験は初めてでした~。
ネタバレBOX
やっぱ、山場は「ガンバスターの音楽に乗ってせり上がってくる長沼さん登場シーン」ですが、この準備がまた秀逸。最初、何やっているのか全然理解できなかったけど、舞台でスンゴイ時間掛けて準備されたソレは、まるで古代ローマの奴隷労働さながら! コレだけでも観た甲斐があったw
カルデックの無駄にシンクロ感溢れる衣裳、ハイプの雛菊とかも面白かった~。
本番中にあんなに叱られてる人は初めてみたよ、高田さんw
アゲイン
長久手市劇団 座☆NAGAKUTE
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2017/01/28 (土) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★
想像以上にド派手で楽しめる展開。「かつてのヒーローが老いた姿」への役者さん達のハマリ具合が堪りません。そんな中で若さを取り戻す怪人二十面相に女性を登用したのは良かったなぁ。宝塚みたいな華々しさが添えられて良かったなぁ。
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ネタバレBOX
そして、私ぐらいの年代にはド真ん中ストライクの選曲がされていて、少年探偵団BD7のテーマやドリフ・コントのどたばた撤収時の曲とか、効果音含めて「音」に心揺さぶられる部分が大きい。色々忘れていても、音には反応するもんなんだなぁ。「さぁがせ(探せ)、追えっ、謎をとけっ♪」に湧き上がる高揚感が抑えられない。70年代テーマ、素晴らしい。
シリアスな部分でも「大人になれば、無傷じゃいられない」とかのセリフは刺さるわ。それでいて、そこが全肯定にならない厳しさも好き。幼い頃の「理想」と、歳を経てからの「現実」との対峙は、不思議に、その直前にひとひらり公演で観た星の王子様ベースの「たとえば明日の世界から」にも通じるところがあって、この日はそういう話に縁があるなぁと感じる一日でした。
「追悼」「たとえば明日の世界から~『星の王子さま』より~」
劇団ひとひらり
ユースクエア(名古屋市青少年交流プラザ) (愛知県)
2017/01/28 (土) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★
追悼(劇団ひとひらり)】過去にいわくありげな三姉妹の確執から、家族が繋がりを取り戻すまでを描くかに見えた前半… 割とありきたりな筋から一転、サイコホラーの色合いを強く帯びる後半に安堵。(私もかなり頭おかしいw)
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たとえば明日の世界から 〜『星の王子さま』より〜(豊橋南高校 with 劇団ひとひらり)】ホシノさんの存在感が印象的。冒頭でクラスメートがガヤガヤ騒ぐ中、後方で黙って佇んでいるだけなのに、目を離せなくなる不思議。
外見に何の変化もないが、小中高と年代を経るのを…後から記号的に理解していく仕組みも面白い。終始出てくる「美術の先生」のギャグにも繋がっているのね。
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ネタバレBOX
追悼(劇団ひとひらり)】(続き)面白いのはサイコパスが順に役にバトンパスされていくことで、何だ、この人たち皆おかしいじゃね~か…って思わせる構成。最初に一番サイコパスっぽかった岩田が一番マシに見えたのが印象的。
最終的に狂気を一身に担った次女の心持ちには、長女との因縁が影を落としているとは思うが、そうなった経緯がもうちょっと描かれると必然性が腑に落ちて後味すっきりすると思う。ただ、分からない方が狂気感が増す気もするね。
最後の演出は、幕のかぎ裂きや色合いに色々と想像を誘われて良かった。
なお、このネタ、現代なら全く違和感ないが、敢えて戦時中を舞台にした意図が興味あるところ。
あと、話の核心を握る謎の男性を、結局、舞台に登場させなかったのは面白い。お陰で色々、突拍子も無い方向にも想像を膨らませてました。(観てる最中、長女の男装説・性転換説まで可能性を考えてたw)
役者。綺麗どころ3姉妹、バランス良かったね。皆、歳そんなに変わらないんだろうに、関係性がしっかり滲み出てた。特に、全編で純朴感を醸してた杉浦さんが、最後に狂気を表出した瞬間が印象的。
岩井さん、存在感不思議。独特の雰囲気としゃべりは面白いね。掛け合う田中さんもピントずれてる感が可笑しい。
たとえば明日の世界から 〜『星の王子さま』より〜(豊橋南高校 with 劇団ひとひらり)】(続き)星の王子様はちゃんと読んだ事ないけど、原作における「大切なもの」と、学校での処世を重ね合わせているのだろうか。今回の「大切なものを忘れる」という事象は、新しく流れてくる環境に順応するためにオーバーフローする分を切り捨てる、いわば「適応性」の側面があって、周囲の存在や事象が、必ず個人の容量を超える以上は避け得ないことだよね。作中でフォーカスされること以外の事象も考慮すれば、何の選択をしても何かしらの後悔を含むので、せめて選択した方向に喜びを見出そう…。空虚感と物悲しさが漂う最後の「頑張ろう」に、そんな気持ちが込められていると信じたい。