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『私を知らないで』

『私を知らないで』

くろまく株式会社

ザムザ阿佐谷(東京都)

2017/07/12 (水) ~ 2017/07/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/12 (水) 19:00

価格4,500円

少し遡って感想を書いています。
松澤プロデュース作品としては3月に「わたしの、領分」を拝見していました。
非常にイイ印象に加えて、今回の「私を知らないで」は原作を読んでいたこともあり、興味が重なりました。

キヨコのために最後に決断したシンペー。過去に戻れるとしたらと語るキヨコ。切ないです。
シンペーが高野に訴える命の重さはやはり名シーン。プロローグから原作に近く、父より母、ミータンが走る場面のシンクロ。オリジナリティもあり期待以上の作品でした。

呪いならいいのに

呪いならいいのに

たすいち

シアター711(東京都)

2017/07/23 (日) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/07/26 (水) 19:00

価格3,300円

少し遡って感想を書いています。
今年10周年を迎えた劇団たすいちの記念公演。

Twitterから振り返ると感想は三分割されていました。
① 「芝居の前にこれはいいテーマだ」
←何を言いたいのかだいたい察してくれ。なんと表現していいかわからずこれが精一杯だ。
② 「一匹狼の猫」
←どうしてもこれが耳に残ってしまい、しばらく役者さんの台詞が耳に入って来なかった。
③ この公演は「3回見に来い」という目崎さんの呪いである。

この後に公演した「ヒラエス」も見ましたが、私はこの「呪いならいいのに」のほうが好み。
たすいちの作品は突出した激しさはないけど、すごく安定している。ハズレがない。
加えて演者さんの芝居が上手というのも付け加えておきたい。

怠惰なマネキン

怠惰なマネキン

MONO

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/17 (金) ~ 2017/11/21 (火)公演終了

満足度★★★★

10年ぶりくらい?ってくらい久々のMONO観劇。ふわっと耳触りの良い思いつきだけ巻き散らかしておいて後はほったらかし。実行能力はないくせに口八丁で何故か女にもてる「仙人」さん。こんな人の後始末ばっかりしてきた私の人生を思わず振り返った。
会話運びが流暢で、受動的で地に足の着いていない各登場人物が「こんな人いそう!」って思わせてくれる。可笑しいのにリアリティがあって引き込まれた。

それだけに、例の「虫」だけ妙に現実味がなくて若干の違和感が。普通にいる虫(ヒアリとか?)でもよかったんじゃないの?と思う。小さな部分だけどそこだけは引っかかった。・・とはいえとても楽しませて貰いました。面白かった!

「15」

「15」

雀組ホエールズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにもかくにも、笑えたのは良かった!俳優さんのキャラも皆さん際立っていて、あり得ないのが舞台らしく、コメディーまっしぐら⁉︎でしたね!笑わせていただきました!

ちょっと、まってください

ちょっと、まってください

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2017/11/10 (金) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/11/21 (火)

久しぶりに ナイロン100℃ を見れて満足です☆   今回は だいぶコメディー要素が多く、コントを見ているような爆笑シーンが何度もありました!  役者さんたちは みんな上手いし、 映像も凄かった。
ただ、ちょっと長く感じました。 特に 休憩後は 盛り上がりに欠け、尻つぼみ感があったかな~

ネタバレBOX

マギーさんが語り役で 金持ちの家の執事役。 さらに裏の顔はペテン師 という設定。
金を横領しようとするが、 部下に見つかり…  毒をもられた??    
金が入っていると思われたカバンの中には…何が!?
最後に 出て行った 乞食たちが持っていた荷物の中には…何が?? 

プラカードを掲げながら歌う人たちが意味するものは??  

やはり 単純には 理解できないケラさんの世界観。 だけど、単純に おもしろいから笑っていたり…。


劇団25周年ということで おめでとうございます!  
来年は 春と 夏に 公演があるみたいで、 そちらも楽しみにしています☆
見果てぬ月

見果てぬ月

文月堂

劇場MOMO(東京都)

2017/10/24 (火) ~ 2017/10/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/10/25 (水) 14:00

座席F列7番

価格3,300円

探偵事務所シリーズの2時間スペシャル的なフレームにダークだったりビターだったりな部分も挟み様々な人間ドラマを見せた感じ?
客入れBGMが70年代までは1つのカテゴリーを成していたあの系統だし、それをひいてのオーブニング曲からのあの懐かしきナレーション……どのあたりの世代まで通ずるかな?

ネタバレBOX

開場から開演まで流れていたのは「イージーリスニング」名曲集。そしてM0の「ミスター・ロンリー」に重ねて流れるナレーションは往年のFM東京(現・TOKYO FM)の長寿番組「ジェット・ストリーム」のオープニング。
知っている人はこれで時間が午前0時と察するシカケ。
グランパと赤い塔

グランパと赤い塔

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2017/11/18 (土) ~ 2017/11/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

すーっとした雰囲気の中で人のあたたかさがにじみ出るように感じました。

ネタバレBOX

人のあたたかさ、温もりが感じられました。一人の人に焦点を絞るのではなく、それぞれの人がそれぞれに、感じ、考え、行動する様が、共感できる部分もあり、また、考えさせられところもあり、目が離せない展開ではありました。
RUIKON

RUIKON

アロック・DD・C

アロック新宿アトリエ(東京都)

2017/11/20 (月) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★

セリフがなくダンスで描いていました。

ネタバレBOX

セリフがないのにストーリーがよくわかりました。表情とダンスがうまく絡み合っていました。切ないエンディングでした。ダンスはすごく華麗でした。
「15」

「15」

雀組ホエールズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

タイトルが「15」、確かに、いろいろ「15」がありました。先ず、15人の役者のキャラが良い。喜劇に登場する人物らしく存在感抜群。でも私は、最初で引っかかってしまいました。銀行強盗の犯行動機。喜劇とは言え、私は未消化のまま、ついて行けなくなりました。嘘でも「リアリティ」がほしい。いろいろ工夫している展開や構成、評価はできます。面白い! うん、もう一皮むければ。。。

愛と死をみつけて

愛と死をみつけて

劇団ハッピータイム

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2017/11/18 (土) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★

ホラー、ミステリー、コメディ、サスペンス。
思いは欲張りに広がるがやっぱり全てを拾うには少々無理があったのか。
しかしながら、サスペンスとしては面白い展開で、
疑惑の球磨子のようでミステリアスな感じが素敵でした。

ネタバレBOX

特に笑いの感覚が作者と演者で温度差がありすぎた感じ。
一昔前の笑いでも見せ方と演じ方で面白く出来ると思うので少々残念。
また、お芝居とはいえ、レンズの無いカメラで取材って…あまりにも小道具がひどすぎますよね。
きみなしで生きてみよう

きみなしで生きてみよう

BALLADs

明石スタジオ(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★

移転前のサンミュージックのビルが思い出される。
あの専務室はいまどなたが使われているのだろうか。
自分がいだく想いが届かないと同じく、人の重いにも気がつかない
そんな当たり前に不器用な生き物が人間なのだろうか。
濃厚で力強い人の気持ちを感じられる。

怠惰なマネキン

怠惰なマネキン

MONO

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/17 (金) ~ 2017/11/21 (火)公演終了

満足度★★★★

会場は白塗りの展示スペース。言ってみればワンルームの一室。
なので客席を含めた会場全体をステージとして機能させた方が据わりが良く、更に観客を「集められたマネキン」として見立てるのは巧く考えられたナイス設定。

まさにこの場所で大量のマネキンを利用したアートな展示会を画策する5人の若者。
中には有能そうに見える人材もいるというのに、一向にその先から進めない理由はどこにあるのか。
その一連を目の当たりにする展開は人間ウオッチングとしても若者のコミュニケーション観察としても非常に面白かったです。

いつも通りの観客としての感想は、自然と顔がほころんだりガクッとしたり臨場感ある公演として大納得でしたが、せっかくのナイス設定。
マネキンとしての哀しみも同時に味わえたなら・・・という欲もついつい芽生えてくるのでした。

自ずとMONOさんの今後の動向が気になってくる公演でもありました。

ネタバレBOX

役者さんとしては、やはり観客を物として捉えるには遠慮が出るのか、要所でしかその扱いをするシーンがなかったのが少し残念。
最初は期待のこもったアイテムだったのに、いつの間にやらただ場所を占領しているだけのガラクタに成り下がっていく我々(マネキン)。
雛段に並べられたマネキンとしては、あまりにも不甲斐なく理不尽な展開。
直接観客をいじって欲しいとまでは言わなくとも、我々を眺めまわす表情の変化を随所に投げかけてくれれば、かなりの一体感が生まれたのでは。
と思うものの中にはそれを不愉快に思うお客さんも出てくるかも。
リスクはなるべく回避するであろう彼らにとっては、それは避けたいところ・・・そう考えると彼らのキャラクターと作品が勝手にリンクしてきて面白く感じたりもするのでした。
 唱劇「レコードに刻まれた唱 - Victor 春香」

唱劇「レコードに刻まれた唱 - Victor 春香」

駐日韓国文化院

駐日韓国文化院ハンマダンホール(東京都)

2017/11/16 (木) ~ 2017/11/17 (金)公演終了

満足度★★★★

韓国では有名な春香伝、その実演を録音してレコードにする、その過程を1937年という時代を背景に描いた珠玉作。当時の技術では、レコードは数分しか録音できなかったらしい。春香伝は3時間を超える大作らしく、それをどう収録していくか、人々の知恵と苦労が垣間見えてくる。もっとも公演は、裏方作業よりも春香伝というドラマの魅力を伝えるという観せ方である。その意味では劇中劇と言える。
(上演時間1時間20分)

ネタバレBOX

中央に集音マイク、その後ろに腰高の横長台が置かれている。収録に参加しない、出番待ちの人達の控え場所といったところ。上手側には洋楽器、下手側には小太鼓(つづみ)という和洋の楽器を奏でながら物語は展開していく。衣装は洋装・韓服など違う衣装を着て、目を楽しませてくれる。1900年代、蓄音機の普及により現場でしか聞くことが出来なかったパンソリをどこでも楽しめる大衆芸術に発展させ、当時の名唱たちはレコードを通じ、爆発的人気を博し全盛期を謳歌した。

春香伝…府使の息子・李夢龍(イ・モンニョン)と、妓生(キーセン)である月梅(ウォルメ)の娘・成春香(ソン・チュニャン)は、広寒楼で出会い愛を育む。しかし、父の任期が終わり、夢龍は都に帰ることになる。夢龍と春香は再会を誓い合う。新たに赴任した卞(ピョン)府使は、春香の美貌を聞きつけて我がものとしようとするが、春香は夢龍への貞節を守ることを主張して従わない。激怒した卞府使は春香を拷問し投獄する。一方、夢龍は科挙に合格して官吏となり、暗行御史として潜入してきた。夢龍は卞府使の悪事を暴いて彼を罰し春香を救出する。二人は末永く幸せに…。

時と場所は、1937年の某日・日本VICTORレコード社の録音室。当時の名唱たちが集まった。そこに集まった名優によって春香伝が演じられ、それを収録している。春香伝を一気に演じきるのではなく、場面を区切り、その合間を設けることによって収録しているという本筋に意識を戻す。春香伝のイメージは、濃密な恋愛(感情)と悪弊な社会(制度)という異なった観点から成るようだが、録音室の様子は明るくカラッとしている。

物語の構成とそれを印象付けて観(魅)せる工夫、また演じている役者一人ひとりのキャラクターが魅力的で室内が、緊張・優雅そして微笑ましい雰囲気に包まれているようだ。当時を思わせる場面として、レコード録音完成を祝って集合写真を撮るシーンがあるが、その一枚が貴重であると思わせる。人の記憶に残る記録が出来たという達成感が、写真撮影をイメージさせる照明(照射)枠に収まったポーズに表れていた。
「15」

「15」

雀組ホエールズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

建前と本音、制度と心情といった対立しそうな軸を鮮明にすることで、問題の所在を明らかにして事の本質を鋭く突くような物語。しかし、観せ方は喜劇仕立てにすることによって楽しませながら考えさせるという巧みなもの。実に面白い。
物語は予定調和か、はたまた以外な結末か…。

ネタバレBOX

舞台は「SUZUME BANK」の某支店内。上手側に通路、正面奥が出入り口(閉店後はシャッター)、客席寄りにはクッション椅子数個、下手側に受付カウンターを設えロビーといったイメージ。床は白・赤・黒の太線格子模様、上手側壁には窓があり全体的に明るく、スラプスチツク・コメディのイメージと合致する。

物語はスクラム工業?の2人(社長と幹部社員:高校時代のラグビー部の先輩・後輩の関係)が新規技術開発のため融資相談のため来店しているところから始まる。結果は融資拒絶で社長は逃走してしまう。当時の金融背景として、ギリシャ国家破綻、大企業優遇の取り扱い等、典型的な銀行姿勢が描かれる。それから4年が経過した同銀行・支店で起こる事件を通して社会の理不尽・不道理、人の虚栄・無力を思わせる展開が次々に起こる。その都度、世の儚さと楽しさを輻輳して展開する。銀行強盗に押し入った兄弟、15歳の妹が拡張型心臓病で手術費用欲しさの犯行である。閉店間際(15時)にいた来店客を人質にして3億円を要求するが…。シャッターを閉めた後の行内は、一種の密室状態である。

人情に対して建前を主張する支店長の対応が当時の銀行の姿勢を如実に表している。自分で考えず、慌てふためき右往左往する支店長の姿は銀行の実態そのもの。コンプライアンス(法令順守)という尤もらしい説明は、銀行組織を守ると同時に顧客保護という謳い文句にもなっていると思う。義理人情で融資は実行できないだろうが、そこに知恵を絞ってという発想が求められるようになってきた。そんなことが最近の金融庁の行政方針(例えば、「ベスト・プラクティス」の追求)に見られるが…。そんな堅い話(金融庁、警察機構という国家権力との対峙)を軽妙洒脱なコメディとして観(魅)せる演出は見事。さらに冒頭の融資拒絶した真の理由を明らかにし、いつの間にか全員を善人のように描く、というヒューマンドラマ仕立てにホッとする。

次回公演を楽しみにしております。
「15」

「15」

雀組ホエールズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★

日本人は優しい人種なんだね・・・と思わず思ってしまう。残念ながら誉め言葉ではない。こういう話、舞台には多すぎる。せめて舞台の上ではなのか?そうあって欲しいのか?出来過ぎのお伽噺のように感じ、イライラした。もう少しリアルな展開の方が観ていて興味惹かれたのではないかと思う。始まってすぐにラストが見えてしまうようなものでは面白みが足りない。しかし、それでも出演者の熱気やキャラ作りの面白さは十分感じられた。次回はもう少し脚本と出演者のバランスが取れることを期待したい。

グランパと赤い塔

グランパと赤い塔

青☆組

吉祥寺シアター(東京都)

2017/11/18 (土) ~ 2017/11/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

物語にドラマチックな展開があったりすることはないのですが、心に残る本作。
その時代の世相や光と影をさりげなく描き出し、惹き付けて離さない脚本力は本当に素晴らしく吉田小夏さんの才能を改めて感じた作品です。

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

キ上の空論

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/08/31 (木) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/02 (土) 18:00

価格5,216円

少し遡って感想を書き留めています。

リジッター企画の作・演出を務める中島庸介さんの個人ユニット「キ上の空論」。
新宿眼科画廊からスタートし、ついに東京芸術劇場にて公演となった記念作品。
彼にとっては上京してきてから夢の舞台だったらしい。

観劇した日は開演一時間前に着いてしまいFireHDにて「ブルックリンの恋人たち」をリピートで見ていました。弟を想う姉のこころの作品。
偶然でしょうか。本公演は「妹を想う姉のこころ」の作品。
兄弟がいない私でも胸が痛くなりました。

突然大きな箱の公演となったキ上の空論。
このスケールに似合った作品(セット)を期待していた声もあったけど、私はこれでよかった。
思い切り背伸びはせず、いままでの作品の延長、いや成長したまま劇場を変えただけ。
初めて観た人には少し物足りなかったかも知れない。しかし最初の作品から見ている私にはその具合がとても心地よかったです。

『ありそうでなさそうな日常』。私は彼の作品を「時空パズル」と称しているが、とても細かいところまで意味を隠して作っているので、時に宝探しをしているような気分にもなります。
次作も期待。

RUIKON

RUIKON

アロック・DD・C

アロック新宿アトリエ(東京都)

2017/11/20 (月) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

 基本的に科白は無い。擬音や擬態を表現するオノマトペは、無論用いられているが。それも頗る効果的に。(必見。花5つ星)第一回追記2017.11.22 02:10

ネタバレBOX

身振り手振りのみならず、表情や仕草、ダンサブルな身体表現と必要最低限のインフォメーション、効果音や雰囲気作りの為の音響、楽曲などと我々の想像力で作品は紡がれてゆく。
観客がイマジネーションを最大限に、而も適確に羽ばたかせるには、大変緻密で的を射た舞台表現が為されねばならないが、Alokは、見事にそれを成し遂げてみせる。日頃の鍛錬と努力、そして感性を磨き知性を磨きありとあらゆるもの・ことを観察するのみならず、他人の仕草や物事に対する対応の仕方などから、所作やそこで生きて働く情動を学び取る姿勢がなければ、こういった表現はできない。
 だが、こういった訓練をキチンとこなし、それに形が与えられると、舞台上の表現と観客の想像力が紡ぎ出す物語は科白劇を凌ぐこともあるのである。

 今作で描かれているストーリーは、普通の鼠とオートマタと呼ばれる自動機械人形とが共存する世界の話だ。錬金術師の持つ能力によって魂を吹き込まれたオートマタは、愛し合ったり、子供を持つことさえ可能だ。だが、そんなオートマタと普通の鼠が共存する世界にも貧富の差があり、豊かな者はオートマタを差別した。そんな豊かな鼠の中にカギヌワが居た。彼女の財力は大したものであったが、子が無いのが彼女の最大の悩みでありコンプレックスの根源でもあった。彼女は召使たちに命じて町中から男を連れてこさせ、子作りに励んだが成功しなかった。そんな彼女が目を付けたのが、貧しいが幸せなオートマタの家族であった。彼女は召使たちに命じて、この家族の父を襲わせ拉致する。抗う父を従わせる為、戒めを解かぬまま、その眼前に彼の妻子迄拉致し・殺すと脅迫。結果、家族を守る為に抵抗することを諦めた父を自分の寝所へ連れ込み行為に及んだ。彼女は妊娠し、子を産んだ。だが、カギヌワは父をその後も監禁し続けた。生まれた子は、彼女がどんなに尽くしてもなつかなかった。食べ物でさえ、拒否されることが多かった。だが、偶々嫌々ながらも手にした林檎を持ったまま彷徨い歩く子は、あろうことか父の監禁されている場所を見付けてしまい、父とは分からぬまま、弱り切った男に何となく惹きつけられて持っていた林檎を与えた。
その後、懐かぬ子にどうしても相手になって欲しいカギヌワは食べ物を与えても食べようとしないどころか手に取ることすらしなかった子が林檎に手を伸ばして取ったことに感銘を受けた。然し我が子が手に取った林檎を食べもしないで歩いてゆくのを不審に思って後をつけてゆく。すると子は、その父が閉じ込められている場所へ出掛けて行って林檎を与えた。父は、その林檎を2つに割り、半分を子供に与え、一緒に食べる。カギヌワは子の現場を見て、修羅を燃やした。自分には決して見せたことの無い子供のそのような様子を見て、強く父を妬んだのである。父を拉致した時同様、カギヌワはまたしても錬金術師に金を与え、遂に父の魂を抜いてしまった。魂を抜かれた父はロボトミー手術を受けた者のようにすっかりインセンティブを失くし廃人と化してしまう。その抜け殻を彼の家に遺棄させたカギヌワだったが、抗議する子供と争っているうちに子に首を絞められ絶命してしまう。子は人を殺したショックから林檎を一緒に食べた男が返された家へ、男が自ら子の首に掛けてくれた形見のような意味を持つペンダントを付けたまま訪ねるが。ペンダントを見た、妻と腹違いの姉が驚きながらも家族であることを示すそのペンダントを返そうとする子を、自分達の家族と認めた。一度は妻に渡された件のペンダントは、母自らの手で再度子の首に掛けられた。それでもまた返すのを今度は姉が子の首に掛けてやる。この直後、魂を抜かれた父が立ちあがり、手を広げて歩いてゆく。
野芥子(ノゲシ)の家

野芥子(ノゲシ)の家

劇団回転磁石

シアターシャイン(東京都)

2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/06 (水) 19:30

価格3,000円

※少し遡って感想を書いています。

喜怒哀楽から2つバッサリ抜いたような非常にオリジナリティが高い作品。小さなSF演劇祭「ことづて」が印象深く本公演お初でした。
人権保障制度という法律を軸に話は進むが、それが死と直結するのが唐突過ぎて腹オチできず。
ここだけがもやもやしました。
でもまた見たくなる劇団ですね。

〜その企画、共謀につき〜『そして怒濤の伏線回収』

〜その企画、共謀につき〜『そして怒濤の伏線回収』

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/15 (金) 19:30

価格3,500円

振り返って感想を書いています。Twitterに書いたものに少しアレンジを加えているのですが、この作品の感想は「なんだこれは(笑)」しか書いていませんでした(笑)
そこまで伏線回収しますか!というクドイクドイクドイ作品だけど、そこが笑いどころ。

主宰/脚本/演出・富坂さんの頭の中ってどうなっているんでしょうか?どうしたらこんな展開に本が書けるのか感心します。
役者さんでは熊谷有芳さんのクールっぷりが大好き。沈ゆうこさんの突っ込みのうまさ、津和野諒さんのすっとぼけた演技も好きです。

小劇場のお芝居はアングラなイメージがありますが、この作品を見ると芝居のいろんな可能性を感じさせてくれます。次作も楽しみです。

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