RUIKON 公演情報 アロック・DD・C「RUIKON」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     基本的に科白は無い。擬音や擬態を表現するオノマトペは、無論用いられているが。それも頗る効果的に。(必見。花5つ星)第一回追記2017.11.22 02:10

    ネタバレBOX

    身振り手振りのみならず、表情や仕草、ダンサブルな身体表現と必要最低限のインフォメーション、効果音や雰囲気作りの為の音響、楽曲などと我々の想像力で作品は紡がれてゆく。
    観客がイマジネーションを最大限に、而も適確に羽ばたかせるには、大変緻密で的を射た舞台表現が為されねばならないが、Alokは、見事にそれを成し遂げてみせる。日頃の鍛錬と努力、そして感性を磨き知性を磨きありとあらゆるもの・ことを観察するのみならず、他人の仕草や物事に対する対応の仕方などから、所作やそこで生きて働く情動を学び取る姿勢がなければ、こういった表現はできない。
     だが、こういった訓練をキチンとこなし、それに形が与えられると、舞台上の表現と観客の想像力が紡ぎ出す物語は科白劇を凌ぐこともあるのである。

     今作で描かれているストーリーは、普通の鼠とオートマタと呼ばれる自動機械人形とが共存する世界の話だ。錬金術師の持つ能力によって魂を吹き込まれたオートマタは、愛し合ったり、子供を持つことさえ可能だ。だが、そんなオートマタと普通の鼠が共存する世界にも貧富の差があり、豊かな者はオートマタを差別した。そんな豊かな鼠の中にカギヌワが居た。彼女の財力は大したものであったが、子が無いのが彼女の最大の悩みでありコンプレックスの根源でもあった。彼女は召使たちに命じて町中から男を連れてこさせ、子作りに励んだが成功しなかった。そんな彼女が目を付けたのが、貧しいが幸せなオートマタの家族であった。彼女は召使たちに命じて、この家族の父を襲わせ拉致する。抗う父を従わせる為、戒めを解かぬまま、その眼前に彼の妻子迄拉致し・殺すと脅迫。結果、家族を守る為に抵抗することを諦めた父を自分の寝所へ連れ込み行為に及んだ。彼女は妊娠し、子を産んだ。だが、カギヌワは父をその後も監禁し続けた。生まれた子は、彼女がどんなに尽くしてもなつかなかった。食べ物でさえ、拒否されることが多かった。だが、偶々嫌々ながらも手にした林檎を持ったまま彷徨い歩く子は、あろうことか父の監禁されている場所を見付けてしまい、父とは分からぬまま、弱り切った男に何となく惹きつけられて持っていた林檎を与えた。
    その後、懐かぬ子にどうしても相手になって欲しいカギヌワは食べ物を与えても食べようとしないどころか手に取ることすらしなかった子が林檎に手を伸ばして取ったことに感銘を受けた。然し我が子が手に取った林檎を食べもしないで歩いてゆくのを不審に思って後をつけてゆく。すると子は、その父が閉じ込められている場所へ出掛けて行って林檎を与えた。父は、その林檎を2つに割り、半分を子供に与え、一緒に食べる。カギヌワは子の現場を見て、修羅を燃やした。自分には決して見せたことの無い子供のそのような様子を見て、強く父を妬んだのである。父を拉致した時同様、カギヌワはまたしても錬金術師に金を与え、遂に父の魂を抜いてしまった。魂を抜かれた父はロボトミー手術を受けた者のようにすっかりインセンティブを失くし廃人と化してしまう。その抜け殻を彼の家に遺棄させたカギヌワだったが、抗議する子供と争っているうちに子に首を絞められ絶命してしまう。子は人を殺したショックから林檎を一緒に食べた男が返された家へ、男が自ら子の首に掛けてくれた形見のような意味を持つペンダントを付けたまま訪ねるが。ペンダントを見た、妻と腹違いの姉が驚きながらも家族であることを示すそのペンダントを返そうとする子を、自分達の家族と認めた。一度は妻に渡された件のペンダントは、母自らの手で再度子の首に掛けられた。それでもまた返すのを今度は姉が子の首に掛けてやる。この直後、魂を抜かれた父が立ちあがり、手を広げて歩いてゆく。

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    2017/11/21 14:20

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