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散歩する侵略者

散歩する侵略者

Dove and Olive

スタジオ空洞(東京都)

2025/12/04 (木) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/12/07 (日) 13:00

価格3,000円

12月7日13時鑑賞。
同タイトルの映画も原作も、まったく知らないままに劇を観ました。

完成度の高い劇で感動しました。
何よりストーリーがとても面白いです。
宇宙人が登場しますが、決してSFのような夢物語ではなくて、
すごくリアリティーのある展開で、観客を退屈させません。

倦怠期の夫婦の問題、
隣国との軍事的緊張、
政治問題への無関心…
いろんな問題をあぶり出していきます。

シーンの合間に流れる効果音もグッドです。
舞台には一部に砂が敷かれていました。
演出にもこだわりがあって、素晴らしかったです。

役者さんの演技も素晴らしかったです。
寒い日曜日の午後でしたが、見応えのある、素晴らしい劇に出会いました。
ありがとうございました。
************************
役者さんの嶋村さん、以前どこかの劇で……
家に帰って過去のチラシを見て判明。
『気づいたら、宇宙だった。』
前回も今回もお上手でした♪~

あたらしいエクスプロージョン

あたらしいエクスプロージョン

CoRich舞台芸術!プロデュース

新宿シアタートップス(東京都)

2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/30 (日) 13:00

ベッド&メイキングスの初演(2017年)は未見。
6人の俳優が二役~三役を演じて描く戦後間もない時期に「日本映画史上初のキスシーン」を撮ろうとした映画人たちの騒動、その基本的な部分はオリジナルであるベッド&メイキングスの初演を踏襲したそうだが、舞台上に常駐するミュージシャン(1人)が多彩な楽器の生演奏で彩るのはいかにも堀越演出。
また、キャスターにより自在に可動するワードローブ的なものを活用して様々な場面を表現する手法に少し前に観た劇団桟敷童子「一九一四大非常」と通ずるものがあり「小劇場シンクロニシティ」的な。

横浜ヶ国

横浜ヶ国

雀組ホエールズ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/12/10 (水) ~ 2025/12/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2025/12/10 (水) 19:00

130分。休憩なし・25分の開演押しを含む。

シャイニングな女たち

シャイニングな女たち

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2025/12/07 (日) ~ 2025/12/28 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

なでしこジャパンが2011年女子ワールドカップで優勝を果たしたことに心打たれて
大学でサッカー部ならぬフットサル部を立ち上げることになった金沢の女子大生の
2024年に至る軌跡を描いた作品。

めちゃくちゃいい部分とちょっと駆け足というか唐突な部分があって評価が難しい。
ただ、吉高由里子はじめ出演陣の熱演は誰もが認めるところだと思うし、重く
なりすぎないように結構な笑いを放り込んでくるなど見る人の肩を叩いてくれる作品かと思う。

ネタバレBOX

地元でスポーツ振興系の非常勤職員を務めるかたわら、故人の「お別れの会」に紛れ込んで
食にありつくのを習慣にしているウミ。20回目に訪れた先は大学時代に設立した部の後輩の
お別れ会で、もう長いこと疎遠だったチームメイトたちとなぜか顔を合わせ、ぎこちない
やりとりを経て、キャプテンだった自分だけがなぜか会に招待されていないことに気づいてしまう……。

ウミ、明らかにフットサルの隠れた才能を持つ後輩で故人のヨシミ、中学校からずっと一緒にいる
「親友」のケイコがメインの狂言回しで、それぞれの視線で捉えた過去を回想する……という形式で
進行する一種の群像劇ですね。

みんな違った個性の人間なので、思いがすれ違ってしまっていたりする。個人的に女性同士の「親友」って
木爾チレン「二人一組になってください」(双葉社)でも書かれたように、男性同士のそれと違ってすごく
複雑な感情のもとに成り立っているな、と。

ウミとケイコの関係なんかまさにそうで、前者はケイコをいつも自分の言うことを一番に考えてくれて、
ずっと寄り添ってくれる親友だと思っているのに対し、後者はウミを自分の思うところが通らないと
気がすまない、常に自分優先でひっかき回す存在として不満を抱えている……というのがリアルだなぁと。
変に解像度が高かった。

ウミとヨシミの関係もまたすれ違っている。ウミは最初から「この子どこか合わないな~」と微妙なかみ合わなさを
疎ましく思う一方、ヨシミの方は自分を引き上げてくれた先輩のウミを尊敬できる人と捉えて出来る限りの
力になりたいと思っている。

一致しないリズムはそのうちズレて不協和音を発するようになるのが常で、フットサル部もそれが原因で
ではないけど、限りなく偶然に近い勝利でもって当初の約束通り解散する。解散してもわだかまりは
消えなかったようで、再会したメンバーはどうみても10年ぶりくらいにみえ、それが各人が少なくとも
当初この部に与えていた「総合評価」だったように思えた。

すごいいいなと感じたのは、決まって人の暗い部分の描写で、自分に自信が持てなかった部員のアキラが
「美人過ぎるフットサル部員」としてたまたま雑誌に紹介されて奮起したり、東京の芸能事務所にその後
入っても大成せずに地元のリポーターに収まってたり、

アキラの財布が盗まれた際、いよいよ後輩が面倒に思えてきたウミが、ヨシミのバッグの中に当該財布を
見たような気がしてならなかったり、

ケイコ彼氏とウミの急接近発覚が、フットサル部崩壊への最後の引き金だったり、

その辺の「人間あるある」が作中の言葉を借りれば「ごくありふれたこと」として見ているこちらに
スッキリと飲み込めるのがすごいなと。

逆にウミが大学卒業後、財団の非常勤職員になって以降、どんどん冷遇されて良くも悪くも覇気が
なくなっていく過程(部を立ち上げた理由、なでしこ優勝で心の奥に灯がともった、このまま
心を冷やさないまま火種を燃やし続けるにはどうしたらいいか考えた結果だ、って話してたけど
今の自分と重ねての後付けみたいなもので、実際はノリで作ったが正解だと思う)、

交通事故死したヨシミが皆には見えない(=観客には知覚できる)幽霊として現れて死の原因は
花粉症の薬による副作用だったことを明かす……などは時間割いたわりにごちゃごちゃしたので
観客に匂わせるくらいで良かった気がする。

それこそ最後に空からボールが降ってきた部分に直接つないじゃった方が良かったなと。公園での
各人の独白がちょっと「もういいよ」状態になっちゃった……。それまでの情報量が多すぎたので。

ヨシミ、興味深いキャラだったけど、生前のことはあんまり深掘りされずにむしろ死んだ後の心情の方が
語られるの多かったのちょっと残念だし、ケイコがウミよりキャラ的に興味深いんだよな。

演出や演技は良かったです。全員の衣装が喪服を模した黒なのに対し、忍び込んできたウミだけ深みがかった
青だったことから始まって、スクリーンにぶっ飛んだフキダシをふんだんに使っての劇中劇(ヨシミの
漫画を再現した荒唐無稽なコメディ、どうみてもウミは美味しい役回りだと思うんだけどな……)を
全身全霊で披露した女優陣、後で振り返って「あれ良かったよな」と思う要素が多かったように感じます。

あと、舞台が金沢なのなんでなんだろと考えてたら、最後の最後に能登の震災のことが
出てきておお!ってなった。
シッダールタ

シッダールタ

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2025/11/15 (土) ~ 2025/12/27 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

天井から降りて来る縦に連なる7本程の蛍光灯、水色と白の光。舞台上はスケートボードパークのボウルを思わせる急斜面の銀の半円、かなりの急傾斜。LEDディスプレイでもあり、世界中の様々な映像が流れる。隅に盛られた土塊を壁から滑り落ちて来た者達が蹴り飛ばし全体に広げていく。

草彅剛氏はひどい夢にうなされている。床下から音が聴こえる。地下鉄、工事、喧騒、暴徒、戦争、空爆、虐殺、悲鳴···。どうも友人の鈴木仁氏は戦場に行って死んだが草彅剛氏は行かなかったようだ。行かなかったことで自分を責めているのか?唯一の武器はカメラ。カメラで世界を切り取る。一瞬を永遠に、一瞬を永遠に。世界中の紛争や混乱や憎悪、絶望、嘆きを撮って回る。ストロボが焚かれる。彼の精神世界としてもう一つの物語、『シッダールタ』が描かれる。

ブッダになれなかった男の、まるで『杜子春』を思わせる物語。求道者として理想に燃え、全てを捨てて真理を求めた青年時代。禁欲苦行断食、死の手前まで行く。絶対的に求めていたこの世の真理は同じ名前の男、ガウタマ・シッダールタ(ゴータマ・シッダッタ)が見付け出した。シッダールタに会いに行き、その悟りの正しさを知るも彼の弟子になることでは悟れないと思う。シッダールタに答を教えて貰ってもそれは自分の答には成り得ない。答に至るまでの過程にこそ意味があるのだ。(良い曲を幾ら聴いてもファンどまり。自分で生み出す側にはなれない)。どうやって自分の答にまで辿り着くべきか考える。そして精神的に放浪する。心のアンテナ、欲望の炎だけが頼り。

駝鳥、いや孔雀か?と思ったら鹿だった。ダンサーの渡辺はるかさん。この人のマイムは強い。作品世界を濃厚に刻印する存在。手塚治虫ワールドに引き込まれる。
幼馴染のゴーヴィンダ(杉野遥亮〈ようすけ〉氏)が美しかった。同性愛的にシッダールタ(草彅剛氏)を求めているのだがその手の女性客はうっとりする筈。
高級娼婦カマラー(瀧内公美さん)は美人。最初から最後までいい女。
松澤一之氏が休演の為、父親役は有川マコト氏が兼役。有川マコト氏の本役、商人カーマスワーミは上島竜兵風味。寄せている気さえする。
渡し守のヴァスデーヴァ(ノゾエ征爾氏)の説得力。

草彅剛氏は清々しいね。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

『デーミアン』を挿入する意味がないと思った。デーミアン(鈴木仁氏)とエヴァ(瀧内公美さん)の話は混乱を招く。(原作ではエヴァはデーミアンの母親で主人公が恋する相手)。

原作通りなのだが、修行僧から俗世間に戻り高級娼婦に恋い焦がれる展開はちょっと戸惑う。

草彅剛氏の職業は報道カメラマン、世界中の紛争地域を撮って回るのであろう。それを自分は劇作と変換して観た。劇作家の長田育恵さんと演出家の白井晃氏の観点。この混沌とした世界を劇作すること、果たしてその仕事に意味はあるのか?毎日降り注ぐ膨大な現実のニュース、それを受け止めて再構築する行為の意味とは?ただ無力なだけじゃないか。草彅剛氏の苦しみは劇作家達の苦しみでもある。

BLANKEY JET CITYの『SOON CRAZY』の歌詞。
「君はもう知ってるかい?この宇宙はYESって言うのをやめるらしいんだ 君はもう知ってるかい?」

真っ暗闇の宇宙がひたすら「NO!NO!」と拒絶を続けている。未来永劫全てが否定されていく。

NIRVANAの『Smells Like Teen Spirit 』のラストでは「A denial(否定)」が9回繰り返される。

今作でいう「愛」とは肯定のこと。世界を肯定し自分を肯定し他人を肯定したい。否定ではなくこの世の全てをありのまま受け入れたい。その境地に至る為にずっと川の声を聴き続ける。川は世界であり時間の流れである。
「聴こえる?」
川の音が聴こえる。世界はあるがままにそこに在る。否定しようのない事実。そのままに肯定し世界と和解に至る。共存。世界の声、時間の声にただ耳を傾ける。肯定。

無論、そんな物語では観客は救われない。渡し守に出来るのはヒントと切っ掛け作り。後は自力。
「知識は伝えることが出来るが、知恵は伝えることが出来ない。」
「知恵を語り教えることは出来ない。」
ハムレット

ハムレット

SPAC・静岡県舞台芸術センター

静岡芸術劇場(静岡県)

2025/11/09 (日) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自分の中では最初に知った戯曲(中学の頃..勿論題名だけ)であり、最も有名であろう戯曲。ネタにしようがいじろうが揺るがない、ただし賢くアソバなきゃ弾かれる。話を知る者も「次」をドキドキで見守る事に。
上田久美子演出舞台は(常にメジャーで高いので)未見だったが漸く目にする事ができた。昨年蒲田温泉で大衆演劇とのコラボ?だか何かの謎のプロジェクトはニアミスで惜しくも観られなかったが、ボーダレスな試みを大上段に構えずやれるアングラ精神を具備しておる御仁と近く感じてもおり、どうにか最終ステージ観劇が叶った。二年近くご無沙汰した静岡芸術劇場へ。SPAC俳優が演出のリクエストに存分の遊び心で応え、改めて舌を巻くばかり。

四番隊

四番隊

グワィニャオン

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/11/26 (水) ~ 2025/11/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/28 (金) 14:00

確かに前半には笑いもあるが、冒頭の擬闘にしても後半のシリアスな展開にしても「本格時代劇」な印象。
そしてクライマックスで仲間内に倒幕側の間者がいたと判明した時の隊士たちの狼狽/困惑からの行動はいかにも若さ/未熟さゆえのものに感じられ、改めて新撰組というのは「若者集団」だったのだなぁ、と思ったり。
あと、プロローグ/エピローグの杉浦良衛/近藤勇のスイッチが上手い。

一九一四大非常

一九一四大非常

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/11/25 (火) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/12/04 (木) 14:00

価格4,500円

12月4日14時鑑賞
「社会派」とでも言うのでしょうか。
過去の出来事(歴史)をテーマにした劇は、
テーマにとらわれすぎて、ストーリー自体が
つまらないことが多いですが、
桟敷童子さんの劇はそんなことなかったです。

炭鉱で働く鉱夫たちの、さまざまな思いが表現されていました。
不甲斐なさ、諦め、希望、団結力、誇り…
そんな思いを持つ1000人もの人間が、炭鉱事故によって、
一瞬にして、地下300㍍の地底に呑み込まれたのです。

軽視されてきた安全。
“お国のため”として正当化される秩序。
虫けらのように死んでいく炭鉱夫たち。

脚本、演出、演技、いずれも観客を圧倒するような内容でした。
役者さんたちの「伝えたい」という気持ちが漲っていました。
あっという間の2時間でした。
いろんな事を考えさせる劇でした。
とてもよかったです。

**********************************
ひとつだけ。
会場内の椅子と椅子の間隔が狭くて窮屈でした。

ロカビリーに恋をして

ロカビリーに恋をして

タマかけるモノ

ザ・ポケット(東京都)

2025/12/04 (木) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

懐かしさを感じました。そして、人は元気で健康で有らねばならないなと切に想いました。もし、そうでなくなっても希望を捨てずに前向きに有りたいなと思いました。

あたらしいエクスプロージョン

あたらしいエクスプロージョン

CoRich舞台芸術!プロデュース

新宿シアタートップス(東京都)

2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしいバランスで泣かせてもくれますし、大好きなお芝居でした?

籠鳥ーCAGOTORIー

籠鳥ーCAGOTORIー

ショーGEKI

小劇場B1(東京都)

2025/12/03 (水) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めちゃくちゃ、楽しめました!元気を貰えました。合図の時にうまく、手合わせ出来なくてすいません。何か気まづかったです。

「驟雨」「屋上庭園Ⅱ」

「驟雨」「屋上庭園Ⅱ」

やしゃご

アトリエ春風舎(東京都)

2025/12/07 (日) ~ 2025/12/08 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観てきました。

岸田國士戯曲。

実験室。

これだけで高齢の演劇好きが来る要素は十分すぎるかも。

岸田國士は、僕の中では日本の劇作家のなかでほかに比べることの難しい全能感のあるバランサー型の天才で、他の芸術家で例えるなら、メビウス(BD)、シューベルト、プルーストなどが近い気がします。

若手にとって極めて危険な作家であることは間違いなく、普通に上演するだけでなんとなく舞台上で成り立ってしまうが、何も考えないとジャングルジムになってしまう危険で神聖な鳥居。

このような作家はほかに思いつくものはなく、ケラ…寺山…?誰とも違う。

フランス語の分析的な手法はあるがフランス演劇とは全く違い、どちらかというと登場人物のほとんどは平安貴族を昭和初期の山の手にそのまま持ってきたようでもある。(正直言うとフランス演劇よりずっとフランス的。フランス演劇よりむしろモンテスキューに近い)

極めて形而上学的だが、台詞のなかに完全にとけこんでおり、ゴドーより声高でない。構造自体が極めて反戦的だが、同時代の芸術人以外で気づくのは困難であり、何よりGHQですらおそらく全く気づかなかった。

シンプルだが、戦前の近代芸術のなかで最後に出現した世界水準の芸術の天才であることはおそらく疑いようもなく、いまだ日本演劇にとっては越えるのが極めて困難な壁であり、謎のエベレストにたとえても良い…つまり若手が遊びで登ると大怪我をするが、ためしに一度登ってみないと頂すら見えず(山だが巨大過ぎて壁そのものであることすら気づかない)、年寄り(過去に軽い気持ちで上演した経験があり、当然大怪我したが、意外と観客には好評で、おかしいな…と思いつつ自分の黒歴史になってる経緯あり)に止められ上演を諦めるとなんとなく『…なんだかよくわからない街外れにある謎の鳥居のまま』で、なんか演劇村のひとたちみんなありがたがってるけど、自分自身はよくわからないままこうべだけたれてる、それこそ謎の存在になりがち。

戦後は一瞬で過去の人になり、佐分利信のような人生そのものが岸田國士作品?みたいな奇特な人が残した映画…『慟哭』(1952)(ほぼ岸田國士の断末魔にも見える生々しい影響あり)とか成瀬とか、映画にうっすらと影響が残るのみで、戦後の敵味方プロレス政治の時代には生き残れなかった…かのように見えたが、バブルという不動産屋の祝祭ではなく中間層の発狂の時代(戦前と同じ社会病理)に、森田芳光の家族ゲームで再生を果たした。演劇ではなく映画に魂を持っていかれて演劇には名のみ残った…どうやら当時は演劇より映画人に岸田國士を熱愛する人が多かったのだと思う、大政翼賛会だったけども禁書を読むが如く。つまり恐ろしいことに後の演劇人は岸田國士作品を勉強するには演劇作品というよりかは慟哭や家族ゲームを見ないとその後の岸田國士の影響を受けた日本文化人の足跡を認識できない状態になったように自分には見えた…。

※岸田國士→佐分利の慟哭→森田芳光の家族ゲーム

上記は、日本の社会病理などを扱った文化表現の直系。なぜどの批評家も明確に指摘しないのか不思議なくらいはっきりしていると思う。続けて見て分析すれば、現在ならかなりの人がわかると思う。

いつも思うのだけれど、本来なら普通にノーベル賞取れたはずなのに惜しい…というのも岸田國士は戦争に向かって爆走する日本人のために、目の前の罪もない人を殺すのは空気がお前を駆り立てるのではない、と言わんばかりにノーリターンの素晴らしい戯曲を書いたが、それは日本人のためというより全人類のためだったこともあり、ナショナリズムの香りが劇作からあんまり漏れなかったからでもある…。(むしろノーベル賞より素晴らしい位置)

そんなイメージなので、岸田國士で実験します!とか言うと高齢の演劇好きが『また命知らずの若者が…』と思いながらもなぜかウキウキして集まってくる地元の公民館ぽくなる流れ。

そしてもちろん自分もその一人、という塩梅です。

前置き長くなったが、こらから書き出し足します、
(あとで書き足す予定…)

スリー・キングタムス

スリー・キングタムス

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2025/12/02 (火) ~ 2025/12/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今年の初め頃、シアタートラムでサイモン・スティーヴンスの作品を観たが、今回の新国立劇場もそれと同様、現代的で斬新な作品。第2幕から現実と幻想とが曖昧になっていく。発せられる台詞もわりとエグい。新国立劇場はこういう観客がついてこれるかどうかわからないような挑戦的・革新的な作品をしばしば舞台にかける。国立の劇場なのに進取の気性があってそこは良い(たまにコケていると思える場合もあるが)。中劇場の広い舞台の上に空間を区切った舞台をのせての上演なので、今ひとつ中劇場の規模が必要だったのか疑問に感じられるところはある。作品自体はギョッとさせられるほど刺激的で面白い。

800〜1200度のカタルシス

800〜1200度のカタルシス

げんこつ団

小劇場 楽園(東京都)

2025/10/29 (水) ~ 2025/11/02 (日)公演終了

実演鑑賞

ナンセンス喜劇を標榜する女性ばかりの劇団・げんこつ団の新作。今回で55回公演なのだそう。130分。11月2日まで楽園。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/12/post-4b5eda.html

交差点のプテラノドン

交差点のプテラノドン

演劇集団 Ring-Bong

座・高円寺1(東京都)

2025/12/03 (水) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初、素舞台にスクリーンが吊ってるだけの美術を見て、ちょっとこれは……になったけど、始まるとOPでおおっと、これは良い芝居だろうなって予感。そして最後まできちんと観られる芝居でした。
色々なテーマが盛り込まれてるけど、頭でっかちの芝居じゃなく、自分に引き寄せて考えさせられもしました。
やや説明的すぎるってセリフもあるけど、あれくらい丁寧に説明してくれないと伝わらない部分ってあるよな、とも。

ネタバレBOX

幽霊が二人いて、いっぱいしゃべります。
それでも見えてない芝居をするの大変だろうなって。
この仕掛けによって、家族の舞台に、楽しいシーンからシリアスなシーンまで色んな彩りが加えられていた。
ジェネレーション

ジェネレーション

山本試験紙

三越劇場(東京都)

2025/12/04 (木) ~ 2025/12/08 (月)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2025/12/08 (月) 13:00

時間と空間がめまぐるしく行き来する演習はみていて面白かった。

交差点のプテラノドン

交差点のプテラノドン

演劇集団 Ring-Bong

座・高円寺1(東京都)

2025/12/03 (水) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/12/05 (金) 19:00

 里中産婦人科クリニックの院長である里中こうたの通夜。長女の唯は、母の遺言もありクリニックを守ろうと必死。こうたは急死だったため、遺言状は遺されているか…?と遺産とクリニックの今後をめぐり3姉弟は意見がぶつかり、お葬式なのにてんやわんや。そんな中、唯の娘、花音が大きな秘密を抱えているようで…。
 葬式であぶり出される家族の本音から、母と娘、特別養子縁組…と、「家族とは?」を問いかけていくと言うような、CoRichに載っていたあらすじを読んだ感じだと、急死した里中こうたとその家族、親戚、関係者を巡るドタバタ喜劇であり、人情喜劇でもありつつ、社会問題を取り扱った演劇であって、不思議な要素など微塵もない作品だと思って、会場に観に行った。
 実際観てみると、里中産婦人科クリニック院長の急死の為、遺言状が残されているのかといった問題と、遺産とクリニックの今後を巡り3姉弟の醜い言い争いになるようなドタバタ喜劇な展開や里中家の娘が17歳にして望まぬ妊娠になりそうな問題、長女とその娘との関係などを丁寧に描いており、全体的にはあらすじとそんなに大きくは変わらない。
 急死した里中こうたが幽霊となって、時に感情的になったり(幽霊だから生きている人間には見えないにも関わらず)、時に人に見えない、自分の声も相手に届かないというような状況から客観的な視点に立って我が身を振り返ったり、自分のかつての言動や行動が相手を傷つけていたこともあると知って、我が身を恥じ、反省したりと、幽霊なのにも関わらず、その辺の生きている人間より、人間臭い感じに描かれ、幽霊が成仏してあの世に行くまでの期間、話し相手になったりする見守り係としてうら若く見えるさつきという女性とのやり取りを通して、里中こうたが気付くことも多かったりといったように、生きている人間には見えない幽霊と見守り係の視点がさり気なく入ることで、望まぬ妊娠になりそうな長女の娘の問題だったり、子どもの為と思って行動していた筈が子どもの将来や、子どもの意見や選択肢を親が勝手に縛って、親や世間が思うこうあるべきを過度に押し付ける問題や堕胎、特別養子縁組と言ったこと等、普通に描くとかなりシリアスで、観客にも緊張を強いる重いテーマが、もう少し緩やかに、時に笑いも交えながら、肩の力を抜いて、考える事ができるようになっていて、そのバランスがなかなか良かった。
 
 若い人でも、気軽に、社会問題や家族問題と言った重いテーマについて、身構えずに考えやすい劇となっていたのではないかと感じ、全体として社会問題、家族問題、世代による考え方の違いや何気ない未だに残る女性差別の構造の問題といったことを観客に押し付けるのではなく、時に劇に出てくる登場人物の言動、行動を誇張し、大いに笑いを誘いながら、さり気なく考えさせるようになっていて、若者が観ても、難しく考え過ぎず、こういった劇をきっかけに他の演劇にも興味を抱くような橋渡しとなる劇としてちょうど良いのではと感じた。

 また、里中こうたのとある秘密が劇の後半で明かされ、その内容が余りに予想を壊してくる展開が面白かった。
 あらすじには出てこない、里中こうたが幽霊として里中家の家族の問題や社会問題を生きている人間には見えないに第3者の視点で見守り係と共に見つめ続けるという描かれ方は、不思議な要素などないと思って劇を観た私に取っては大いに予想を裏切られたものの、その絶妙な間と、不条理、ブラックコメディの様相を呈する劇に共感しやすく、社会問題や根深い女性差別の問題についても、遠いことではなく、日常の延長線上にあるんだと我が事として考えることが出来て良かった。
 
 終演後の学生喋り場では、演劇集団Ring-Bong劇作家の山谷典子さんが司会となって、ゲストに劇作家、演出家、うさぎストライプ主宰の大池容子さんと演劇を学ぶ現役の大学生の2人を迎え、忖度なく、今の大学生が演劇に対してどういった思いを抱いているのかなどを引き出していて、普段は聞けないであろう、大学生の演劇に対する視点を聞けて良かった。
 演劇と観客席との間に距離があって、一方的に劇を観客に観てもらい、劇作家が伝えたいテーマや価値観を一方的に観客に押し付けるといったことでなく、劇中でもっと観客と対話したりして、観客も主体的に参加させていくことで、若い人でも気軽に劇を観に行けて、劇中の観客との対話による交流によって一体感を生み出し、誰をも取り残さない演劇が作れるんじゃないかというような、今の演劇に対する改善点を大学生が話しているのも興味深かった。

 家族や家族問題、社会問題、社会に根深く潜む女性差別の構造といった問題、そういった問題を取り上げた問題を取り上げた演劇は数あるし、姉弟のお婆さんがロボットや家族のことが心配で幽体離脱して様子を見に来たりといった不思議な要素や、SF要素を盛り込み、シリアスな展開になりやすい話をコミカルに展開し、感動要素も盛り込んだような劇もいくつか観たことはあるが、今回の劇のように、登場人物たちからは幽霊の里中こうたが全く見えない、声も聞こえないというような妙にリアリティーのあり過ぎる設定が加えられていることは他の劇ではなく、今回の劇のように時に感情的になったり、時に悔いたりする人間臭い幽霊として里中こうたが描かれながらも、あくまで第3者の視点に徹する描かれ方は他の似たようなテーマを扱った劇ではなかったので、新鮮だった。

ロボット、私の永遠の愛

ロボット、私の永遠の愛

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/12/05 (金) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

伊藤郁女(かおり)という名は舞踊に興味を持ち始めた頃目にして、思い出せば初めて観たのがスパイラルホールで(「ASOBI」というタイトルだったようだ)。その時は大勢の女性ダンサーを使ってあれこれ混み入った事をやっていた印象。
その後割と最近「綾の鼓」をKAATで観た時は仏在住のアーティストになって居り。幾分観客に目線を配っているのが好感であったが、客席へのアクセスを試みる演者の要素が今作ではダダ漏れに露呈して、客席と会話をなんぞ始めるに至っていた。
ロボット、というモチーフから何を汲み取り、表現したかったのか、ぼんやり観る目に明確には届いて来ず、本人的にももしや言葉、対話で埋めるしか無かったのかもであるが、装置と道具立てを使ったパフォーマンスは難易度的には高いものかも知れない。
続きはまた後日。

PANDORA’s BOX〜迷いの杜の玉手箱〜

PANDORA’s BOX〜迷いの杜の玉手箱〜

MIX UP カンパニー

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/12/05 (金) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めて観る劇団。フライヤーには「若手劇団応援企画」と記載のある作品だった。ストーリーは浦島太郎をベースにした展開で、とくに奇を衒ったものではなく、まぁ定番といえば定番といえるファンタジーもの。だが、キャパの小さなステージながら舞台美術は場面に合わせて違和感なく変化、そしてさりげなく場面展開を果たしていて、まるで映像を観ているような進行はなかなかに見事な造りだ。役者もそれぞれに個性的で、キャスティングの妙が生きていた。完全な暗転が無かったのも観る側からすれば集中力が途切れることなく最後まで楽しめた。演出としては最高の手法だ。ということで、ん〜、どう見ても「若手劇団」には思えないんですけど(笑)

一九一四大非常

一九一四大非常

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/11/25 (火) ~ 2025/12/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/27 (木) 14:00

大正3年12月に起きた炭鉱事故を描いた群像劇。
確かに事態そのものは悲劇だが、その状況下での人物それぞれを描いているので「濃密な人間ドラマ」という印象が強く重苦しさはあるが見応え十分。
そして坑道に残されて暗闇の中で脱出を試みる鉱夫たちと彼らを救助しようとしたり安否を気遣ったりする地上の人々を「舞台演劇として」交互に見せるのは今まで培ってきた桟敷童子の舞台美術のノウハウあってこそではないか。
思えば前作は従来の悲劇と趣を異にするいわば「軽悲劇」で、かつその後の進展を予期させる終わり方だったし「悲劇」の見せ方にバリエーションが出てきたのでは?(こちらの受け止め方が変わったのかもしれないが)
今後の「新たな悲劇」に期待♪

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