最新の観てきた!クチコミ一覧

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夢一夜

夢一夜

加藤健一事務所

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2017/12/06 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

カトケンらしいウェルメイドな作品。

ニューヨーク州バッファローのモーテルが舞台。
女装の男たちとアーミッシュの人々が吹雪の中、一緒のモーテルに泊まることになる。

ネタバレBOX

フライヤーの写真から、ひょっとしたらシビアな内容なのかとも思ったが、カトケン楽しいほうの舞台で、笑いとペーソスがある作品だった。ドタバタにもならずに。
こういう作品ではカトケン事務所は確実に楽しませてくれる。

女装の男たちとアーミッシュという、異端とも思われる人たちを通して(こがポイントではなく)、働くこと、生活すること、そして生き方について描いていたと思う。
家族、友人、親子なんていう関係を踏まえつつ。

バービーを演じる横堀悦夫さんがやはり上手い。この方の公演は青年座でも拝見するが、どんな役を演じても上手いな、と思う。
私の観た日、カトケンさんはお疲れなのか、なんとなく迫力に欠けた。

ラストは誰もが思うとおりに収まって、その収まり方もカトケンの舞台らしい。

加藤健一事務所の公演は、観客の年齢が高い。そのためか夜の公演は空席が目立つときがある。余計なお世話かもしれないが、次の観客を育てるためにも、夜公演は若い観客(30代ぐらいまで)の料金を思い切って下げることをしてみてどうだろうかと思う。
〜その企画、共謀につき〜『そして怒濤の伏線回収』

〜その企画、共謀につき〜『そして怒濤の伏線回収』

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

狂気の大回収!

お得意の「屁理屈会議・シットコム」の展開で、「ん? 回収?」「回収って何?」と思っていたら、ラストへなだれ込む回収の大嵐!
面白すぎ。

もう「屁理屈」を超え、「狂気」と言っていいレベル。
会議&狂気・シットコムの誕生か!?

ハッピーエンド・チェイサー

ハッピーエンド・チェイサー

7thシアトリカル

テアトルBONBON(東京都)

2017/12/20 (水) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★

最近の流行りかな。こういう作品が多い。
登場人物達に感情移入出来なかった。

通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)

通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)

国立劇場

国立劇場 大劇場(東京都)

2017/10/03 (火) ~ 2017/10/27 (金)公演終了

満足度★★★★

『霊験亀山鉾』は、鶴屋南北が実際に起こった仇討ちをベースにして書き上げた作品。

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ネタバレBOX

「仇討ち」の話であると書いたが、このストーリーがかなり変わっている。
なにより、仇討ちが「返り討ち」にあう話だからだ。しかも2度も(!)。
2度とも返り討ちとなり、仇討ちする側が命を落としてしまう。

片岡仁左衛門さんは、この仇(藤田水右衛門)と、さらに瓜二つな(二役ですから・笑)小悪党・八郎兵衛の2役を演じる。
仁左衛門さんが演じるので、ニヒルで冷酷、しかも二枚目、という悪党に見事になる。

しかし、藤田水右衛門が主人公のピカレスク的な物語にならないのは、水右衛門が卑怯すぎるからではないか。
2度の返り討ちは、1度めは毒を盛る、2度めは偽情報でおびき出し、落とし穴に落として(手下にやらして自分は止めだけ刺す)相手を仕留める。

ただし、仇を討つ側にも観客は入れ込みづらい感じはある。それは、メインの話に登場する男が、子をなした女性(妻ではない)があるにもかかわらず、さらにいい仲になった女性がいたりするからだ。

とはいえ、歌舞伎らしい趣向もある。
水右衛門は敵討ちから逃げるために棺桶に入って運ばれるのだが(黒澤の『用心棒』にもあった、そんなシーン)、本当の棺桶と入れ替わってしまい、水右衛門は火葬されそうになってしまう。
その燃えさかる棺桶から水右衛門が飛び出すのが、見せ場のひとつでもある。炎などの派手さはないのだが。

また、最後に水右衛門を討つ子どもは、足腰が立たない病気だが、それを直すには「人の肝臓の生き血を飲む」という方法しかないという設定となっている。
こんな奇想天外な設定は歌舞伎ならでは。

歌舞伎の面白さは、こんな奇想天外な発想と、意外な展開が、考え抜かれた見せ場で繰り広げられるというところにある。
役者も皆上手いし、「何をどう見せると面白いか」に心血を注いでいるので、歌舞伎は面白いのだ。
ジ・アース

ジ・アース

十七戦地(2026年1月31日に解散)

ギャラリーLE DECO(東京都)

2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★

期待していた分だけ今回は?と思える作品でした。

白蟻の巣

白蟻の巣

新国立劇場

兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)

2017/04/04 (火) ~ 2017/04/05 (水)公演終了

満足度★★★

三島由紀夫の初の長編戯曲。
この作品、初めて観た。

ネタバレBOX

夫の視線で妻が語られていくが、実はその裏もあるのではないか。
どうして妻がそうなったのか、が。

後半の予定調和を大きく壊す展開には驚かされる。
笑っていいのか、迷う。
主人が運転手の妻の胸をいきなり揉みながらの展開だ。

旅行先での商売女との関係も、実は意外でもなんでもなかった。
これが、「妻を破滅」させる真因なのでは。

面白いとは思うが、なぜこの戯曲が「絶版」のままなのか、またあまり上演されていないのか、なんとなくわかる気がする。
ボス村松の竜退治

ボス村松の竜退治

劇団鋼鉄村松

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2017/06/03 (土) ~ 2017/06/30 (金)公演終了

満足度★★★★★

今回は(笑)脚本も演出も、きちんとボスのアンダーコントロールにあり、すげー面白い!

ネタバレBOX

四つ首の竜の設定が、ナポリ王国の物語に見事に絡む。
いつながらの台詞の濃さもとてもいい。
ボスさんは実に楽しそうに浪々と台詞を発していた。
やっぱり鋼鉄村松はこうでなくっちゃ! 

ボス村松のぐたぐた感がお好きな人にはお勧めできないかも(笑)。
ぐたぐたも、それはそれで面白いのだけど……。
(「いやいやいや、十分にぐだぐだしているじゃないか」という方はボスの本当のグダグダを知らないのだ・笑)
くるみ割り人形

くるみ割り人形

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2017/10/28 (土) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★

「少女の憧れが夢の中で…」の新演出が素晴らしい。
「呪い」なんかはなく、わかりやすいし楽しいしのだ。
今まで観たことのない『くるみ割り人形』だった。

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ネタバレBOX

少女クララは子役で、夢の中では大人になり、憧れの人と過ごすことができる。

くるみ割り人形と王子様の2役を1人がこなしたり、ドロッセルマイヤーおじさんが、現実のシーンでは手品を見せ、夢の中では魔法使いという設定だったりするのもわかりやすい。

ネズミたちは化け物のようだったが(笑)。

邸宅の外のシーンが入ることで広がりも出た。
セットも美しいし、夢がある。

クララの小野絢子さんの動きが優雅で美しい。
雪の精のシーンもとてもよかった。

「バレエを一度観てみたい」と思っている方が、最初に体験するバレエ公演として、今回のこの公演はいいのではないだろうか。きっとバレエが好きになるに違いない。
Dancing PLANETS

Dancing PLANETS

大駱駝艦

大駱駝艦・壺中天(東京都)

2017/06/30 (金) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

Jeff Millsのアナウンスから始まり、彼の音楽に合わせて繰り広げられる「水金地火木土天海冥」。
そして、惑星探査機ボイジャー。

ユーモアを交えながら宇宙への旅が舞台の上に広がる。
シンプルなセットで肉体を魅せる。
「水金地火木土天海冥」の行列が楽しい。

壺中天の花道設定は初めて見た。
これにより舞台の左右にプラスして前後の動きも出るし、本当にすぐ真横で踊る姿も観ることができる。
壺中天自体が小さな会場で舞台との距離は近いが、それがさらに近いのだ。

踊り手が手や足を伸ばしていくと、観客の頭の上をぎりぎりに通ることもあるが、踊り手が微妙に「すみません」という表情を見せたりするのもなかなか面白い。
近いだけに舞台の上でぐるぐる回す、大きな金属リングだけは少し怖い。

「標〜shirube〜」

「標〜shirube〜」

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/12/12 (火) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

楽日前のステージを観劇。公演期間終盤に足を運んだのは初桟敷の「海獣」以来だろうか。開演前から役者(会場案内に出張る)の熱が伝わってくる。それは芝居の中で情念の渦となり回転する独楽のようにぶつかって火花を散らしていた。
「体夢」以降、私は桟敷童子の「模索」の時と(勝手に)認識しているが、「蝉の詩」そして今作と、何にも囚われない桟敷童子らしさが追求され磨かれた舞台が現前したように思った。
お話は戦争末期、不遇の女たち(夫を戦争にとられた)七人が海に近い場所に集落を作り、幸福(夫)を海の向こうから呼び起こすための儀式を行うべく、古文書にある通り「人柱」となる者を探している所、自殺の名所でもあるその場所を脱走兵3人が訪れ、行き場を失って死のうとするがそこに立てられた看板の奇妙な文字「条件により相談にのります」に疑問が湧き、そうする内に七人衆に取り囲まれ、彼女らの不幸な身の上を聞いて「一度死のうとした身」、儀式に必要な生け贄となる事を約する(一人は消極的)。このあたりの展開、「自死」する羽目になった自らの境遇とまだ若くエネルギッシュな様子とのギャップも手伝い、笑える場面にもなっているが、その後、彼女らを良く思わない村人たち、また(海に落ちたのを見棄たので死んだと思っていた)彼らの上官、七人衆それぞれの事情も絡んで螺旋状にドラマが展開し、思いもつかない進み方をする。通常ドラマの葛藤は対立する二つの要素の相克に収斂されるところ、今作では登場人物が新たな要素を持ち込み、焦点そのものが遷移して行く。
役者としては、今回は客演に朴ろ美(漢字がない)と円の男優、朴は元娼婦の女リーダー役を(鬼龍院花子の夏目雅子ばりに)気を張って演じていたが「力み」を周到に桟敷女優らが中和、最後にはその力みも違和感なく人物らしく見え、総じた所の劇団の俳優の底力と、書き手の更なる成熟をみてホクホクと帰路についた。

試験管ベビーの勧進帳と身替座禅

試験管ベビーの勧進帳と身替座禅

試験管ベビー

G/Pit(愛知県)

2017/08/17 (木) ~ 2017/08/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

歌舞伎を原作に脚色…というよりは、「歌舞伎見物」という行為自体をモチーフしたエンタメ。
「歌舞伎」と「現代人(特に若者)の率直な感覚」を率直に結び付ける着想に好感を持ちます。いずれも超初心者向け手取り足取りな見事な掴みで、…講談師の役割は大きいですねぇ。

歌舞伎からのスピンオフというと近頃は木ノ下歌舞伎が旬ですが、ここまで徹底したコメディ脚色ともなると試験管ベビーの他に類を見ない。試験管ベビーの歴史的一歩となるか。ともに能や狂言からの…いわば2次創作の歌舞伎演目というのも象徴的で、あるべき文化の継承と言えるかもしれませんねぇ。

レパートリーとして、他の演目にもチャレンジして欲しい。
そしていつか御園座とコラボ…(勝手な妄想)

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ネタバレBOX

【勧進帳】
「歌舞伎見物モチーフ」というのは、こちらに強く感じました。今回のお客様参加システムは…歌舞伎でいうところの「大向こうの掛け声」。本来のものは割と決まり事があって、歴史の中で形式ができてしまっているが…、何せ試験管ベビーですから遠慮は無用(笑)
劇場であんなに大声出したの初めてです、楽し~。そして、どんどん砕けて跡形も無くなっていく「屋号?」の数々(笑)
更に良かったのは、その屋号を受けて繰り広げられるコント?…花火は良かったなぁ。丸山さんの飄々としたとこウケる…義経・新イメージ(笑)
…そして不意に素に戻るメタ的展開のボケとツッコミ…奥村さんの魂の叫びは、舞台と観客を繋げる…歌舞伎との距離感を0にする好演出。
勿論、奥村さんの長口上も見事で(何を言っているかは分からないけど笑)、勧進帳本来の見せ場もしっかりみせてくれました。
なお、事前に勉強したら、〆の「飛び六方」ってのも見せ場らしく、G/Pitにしては大きく開かれていた会場の入口は「花道」に使うのでは…と期待していましたが、流れ的にそれは無かったですね。
試験管ベビー流の六方は今後の期待にしましょう。

【身替座禅】
かこさんの作風にえらくマッチする驚きの原作。パンフで既に目を疑うキャスティングでしたが、情報として知るのと実物を見る衝撃の差はやはり別格。「百聞は一見に如かず」とはまさにこのこと。音響照明の効果を背負って、奥方かこ様の迫力は凄まじかったです。
それに対する三芳さん。情けない男の演技では右に出る者無しの好演でした。ホント、好きなんだよねぇ。
この両者対峙するシーンでは…
「いつも三芳さんは、演出かこさんにこんな風にダメ出しされているのかなぁ…」
って、想像が膨らんで楽しかったです。
なんかいつもコンビを組んでいる印象のある…今回のキレイどころ佐川さん・高橋さんコンビは、本来だったら肩入れする必要の無い右京を大目に見てあげている…不思議な母性的位置づけが妙に可笑しくて、いい呼吸で場を盛り上げてましたね。

そして、クライマックス。前説から謎を秘めていた「灰皿」が遂に脚光を浴びる…
いやぁ、もうトラウマっちゃって、ドンキホーテには怖くてもう入れませんね​(°_°)
あの音楽を聴いたら、なんか背後から飛んできそうな気がしてなりません(笑)
シアンガーデン

シアンガーデン

少年王者舘

七ツ寺共同スタジオ(愛知県)

2017/08/10 (木) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

言葉ばかりか時空まで巧みに連鎖し、舞台に吸い込まれていく感覚が凄まじい。洗練された繰り返しの技で思考を持ってかれる。
やっぱ夕沈さんの存在感は格別だし、プロジェクションにも魂抜かれる感じあったし、個人的には最後のアレの造型が心揺さぶる。

ノゾミの生まれた日

ノゾミの生まれた日

南山大学演劇部「HI-SECO」企画

G/Pit(愛知県)

2017/08/10 (木) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★★

過去に未来に…現実に虚構に…目まぐるしくシーンが切り替わり、時にラップする。
シナリオの構図そのものにミスリードを仕込む意欲的な脚本。

主に弟(信彦)パート、姉(頼子)パートに分かれるが、非情に意味深な繋がりを持つように思えた。

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ネタバレBOX

(続く)
まず、弟パート。
1つの芝居の中に「信彦」と「好感をもって信彦を支えようとする人」の関係が虚構も含めて多数現れて、この構図を印象付ける。更にはその存在感も重なりを感じさせ、虚構が何かのモチーフであることを匂わせる…それも多義的。
…気づかぬうちに、あの手この手でこの作品中に多層・多重の空間を作り上げて、観客を色々な解釈の中に吸い込んでいく構成に唸ります。

特に妙手なのが虚構の入り混じり方。
最初は、提示される順に従って、信彦の「今の現実の出会い」を元にして、…本人が今まさに描いている「ネーム」が並行して演じられているのかと思っていた。

つまり、主が「信彦-希」の現実で、従が「少年-少女」の虚構だと思っていた…が、終盤、虚構は実は過去の「処女作」であると暗示され、主従が逆転する構図に…。

更に解釈を多様化させるのが、徐々に疑いを増す「信彦の心神喪失状態」

信彦の発言、信彦の認識に基づく描写"全て"を疑って掛かる必要が生まれ、現実と思っていた部分も虚構との区別が危うくなる。
何処までが現実で、何処からが虚構?妄想?幻?…不確かな境目、すり替わる虚構と現実。どこが現実の基準となるのか曖昧になってきて、何を拠り所に観ていれば良いのか分からなくなってくる感覚が堪らなく面白かった。
ここまではシナリオの面白さ。

次に、作品に込められた想いのヒントとして、…
…本作には「自己否定の言葉」と、それを救済する「他者の価値を認める言葉」が数々現れる。

「私は居ない方が良い」
「生まれない方が良かった」
「認めて貰えない人間は無価値」


これらの発言に対し、更に「存在価値を与える言葉」が並ぶ。
「お前がいてくれて良かった」
「私が(君の作品を)好きなのに、君がそれ(私が好きであること)を否定するのは間違ってるよ」

これを結末にするだけで一作が成り立ちそうな言葉の数々に、観客のほとんどが心地よさを感じたのではと思うのだが、…
…本作はそれを大胆にひっくり返す!

結果として信彦は、これらの善意を殺める。

今宮に対しては事実は曖昧だが、希に対するソレは「本人が死を望んでいる様」には一切見えぬ衝撃的なシーンで、それまで観客の目に映っていた2人の関係を突き崩す。
実際、信彦絡みの描写には全て病的妄想の可能性があって、事実関係には多様な解釈の余地を残すが、「他人の自己否定を否定し、存在価値を与える言葉を贈ることが必ずしも救済にならない」という怖さを感じた。

死にたい人には反ってNGワードで、…
…むしろ追い詰めることになる…この展開は驚きだった。サイコパスとも異なる雰囲気。

この徹底的な自己否定意識の根源は何か。児童虐待とも窺えるが決定的描写はない。編集のダメ出しは大きなショックだが、その後も漫画は描いている… 謎めく。

さて、弟パートの対比となる姉パート。

ここで思い浮かんだ事が2つある。
弟の凶行に対する…観客が思い浮かぶであろう思考への反証と、弟に宛てた一つの回答だ。

信彦の凶行には、まだ「個人の弱さ」を非難できる余地が多分にある。…
…そこまで背景を明示していないだけだろうが、観客に敢えて非難させる隙を残しているのかも。
翻って、姉・頼子の境遇は、徹底的に「個人の強さ」では全くどうにもならない苛烈さがあった。どぎつい家庭内レイプシーンもその極限を理解させるためか。

で、1つ思い浮かんだのは、弟パートで「当人の弱さを責める思考」を呼び込んでおいて、姉パートで、そんなこと言っても「徹底的に個人ではどうにもならない状況」があるでしょ?と突きつけているという解釈。観客の甘い反論をシャットアウトする意図?
…もう1つは、逆に「より過酷な境遇」でも立ち上がった「頼子の意思」を信彦に示すため…という解釈。

ただ、信彦を責めるだけでは本作で積み上げてきたものとは逆な気がする…悩ましい。苦境から逃れるには、何か頼るべきものが必要なのは確か。…
頼子の最後の選択を巡り、リスクと非難を囁く周囲の声の中、それでも頼子が「自分の意思」ですがった危ういノゾミ。人によっては、それは自死であっても良いのかも…自分の意思であるならば。

かなり迷走した…。脚本を改めて読んでみたい作品でした。
サマータイムマシン・ブルース

サマータイムマシン・ブルース

妄烈キネマレコード

ナビロフト(愛知県)

2017/08/10 (木) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★★

"面白いこと"が全てに優先するコンパ的集団心理の妙。生産性のカケラもない馬鹿騒ぎっぷりがまさしく大学サークルの在り様を体現していて、本当に楽しくて面白くて…そして懐かしくて、愛おしくさえある。
歳食った人の方が沁みるんじゃないかな。ハイテンションの舞台を眺めつつ、私にもこんな時代があったと…頭の中ではSTMノスタルジーが展開していました。

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ネタバレBOX

(続き)

「研究をしないSF研」という設定が、SF要素をあくまでモチーフと割り切っている本作を象徴。
エンタメ性と意外性を最優先にしたダイナミックな展開に、役者陣が見事な触媒の役目を果たした。

定石の「元の時間に戻る」ことに拘らない大胆さも面白くて、とにかく繋がってればいい!的なパズル感が愉快。人間もリモコンと扱いが同じ!
過去は変わらない、未来は変えられない…説が印象深い形で使われ、照屋が救いの解釈を示すけど、元の説でも「人の努力」抜きで運命が決まるわけじゃないと思う。天は自ら助ける者を助く、かな。甲本の最後の発想は幼いけど、ほんのり安らぐ結末。

AB通すと、Wキャストで性格が結構変わっており、尚且つ微妙に人間関係に違いが生まれている感覚があって、パラレルワールドを思わせた。

年長キャラの照屋は、ABともに集団を見守る役割を果たして、他のハイテンションの動を受け止める…静のアクセントとなり、かっぱ伝説の語りや甲本を諭す等、見せ場多し。この重要キャラがABで一番色が異なる。
Aの松本さんが歳というNGワードに反応する等の人間らしさを残すのに対し、Bの藤さんは何か超然としたところがあった。自分のことはさておき、ただ集団を眺めて楽しみ・慈しむ雰囲気があり…なんというか…この部室の座敷童・守護神の様でした。カッパの頃からここに居て、25年後も実は居るんじゃないか…って気がしますね。童顔とのギャップも効いていました。

柴田も、Bの佐伯さんは「パピコをあげる」くだりで、甲本の今後に期待を抱かせる…なんか異性の心情が醸されていたが、Aの藤崎さんからは「脈無し」って空気が窺える。天真爛漫で同性の友達と話す様な屈託の無さが…良く動く表情から滲んでた。

伊藤は抑え気味の普通の娘なのに、AB共にクセ者役者の印象が強い役者が充てられ、キャスティングの妙を味わう。「カッパの首をかっぱらう」に対し…高木さんがマジウケ感あったのに対し、はらみつさんがジワジワうけてくる反応の違いが印象的。

甲本・タケジュンさんは、頭の血管が心配になるほどキレてましたが、最近各所でも見慣れていて安定のキレぶり。それとは一転して、Bのパピコ握りしめて嘆息する辺りは新鮮かつ良い芝居でした…好み。

新美・吉田さんはバッカスに引き続き…今年2度目の時間旅行。
一番ウケたのはBの「俺が行きたい時代はエロ時代だ」ってトコ(笑)
「君はこの世界の住人になれ」と…何か漫画か映画で聞いた様な台詞をナチュラルに吐いたりする性癖など、漫研出身としてはすごく共感する(笑)

小泉・坂口さんは派手さとダイナミックさが印象深いけど、一推しは…おそらく自分の観た回にだけ出現した…奇跡の「面接のバイト!」発言(笑)

曽我・森さんは、終始弄ばれ身悶えする怒涛の好演が光った。ユニセックス感のある彼ですが、…幾度もお姫様抱っこされる姿が目に焼き付いた(笑)

石松・ぴょんさんは、独特の価値観がその風貌にも相まって際立ちましたが、Bで丸椅子アートを完成させたのが印象深い。千秋楽では4つ積み重ねると豪語してたけど、どうなったのかな。

小暮・後藤さんはSF研の理性という立ち位置を終始クールに好演。一度切れるトコも見たかったが、タケジュンさんが全部持ってったね(笑)

田村・福田さんは、そのSF顔(笑)を活かし、未来感あふれる髪型でで未来人を演じましたが、口調が妙に昭和なのがウケる。色んなトコにギャップを作って楽しませてくれました。

結局、全員分語っちゃった。あ、ケチャ…

ケチャはええやろ(笑)

最後に…タイムマシーンの効果音が好き。古いエレベータを思わせる〆の音が特に。
憫笑姫 -Binshouki-

憫笑姫 -Binshouki-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/08/25 (金) ~ 2017/08/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

お互いを想いやり、互いに成長してゆく姉妹の姿。徐々に仲間との絆が生まれる経過に胸が熱くなりました。五彩の神楽シリーズで、お衣装がダントツで好みでした。ラストシーンの姉の姿は本当にカッコ良くて「ヒーローは男性だけじゃない」と実感。大好きな西分さんのカッコ良い姿が見れて嬉しかったです!

モンクス・デライト

モンクス・デライト

劇団「放電家族」

G/Pit(愛知県)

2017/08/04 (金) ~ 2017/08/07 (月)公演終了

満足度★★★★

出てくる情報の全てを疑って掛かる必要がある…そんな緊張感に浸れる90分間。
ありとあらゆる先入観をミスリードに使い、片っ端から当初の人間関係をひっくり返してくる。シンプルだったはずの登場人物の相関図が…最後にはエライことになっている!
観る方もずっーと集中・緊張を余儀無くされるので大変。でも疲労感に見合う心地よい面白さ。
天野さんの優しさが垣間見えるバランスでしたね。

賊義賊 -Zokugizoku-

賊義賊 -Zokugizoku-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/09/22 (金) ~ 2017/09/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

とにかく楽しい!!主人公がめちゃくちゃ可愛くて正義感が強くて、周りを取り巻くキャラも個性があって。お祭りみたいでカラフルな作品でした(*^^*)観終わった後にスッキリ笑顔になれる!元気を貰える!観劇初心者の方にも是非観ていただきたいです!可愛いは正義!

心踏音 -Shintouon-

心踏音 -Shintouon-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/10/27 (金) ~ 2017/10/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

五彩の神楽シリーズで一番好きな作品で、一番泣いた作品です。台詞が無いからこそ、更に胸に刺さる物語。誰にでも大切な人が居て、誰にでも幸せを望む権利がある。毎回夫婦で観劇させていただいてますが、この作品を主人と観れたことが幸せでした。色んなことを深く深く考えるきっかけになりました。

とおのもののけやしき

とおのもののけやしき

AI・HALL

三重県文化会館(三重県)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★

ターゲットが子供なので展開はド直球だが、怪談のコンセプトに古道具への興味、両親との関係性、祖母の情愛を窺わせる要素が詰め込まれて盛り沢山。結果、怖いモノという雰囲気は薄まりましたが、その分とても楽しい仕上がりに。
そんな中、序盤の1ピースに過ぎませんでしたが、「死に対する子供の曖昧な理解」なんかはリアリティを感じて、私には印象的でした。
お話以外も…緻密な舞台美術、怪談に合わせた派手な小道具効果、そしてメリハリがあってこなれた役者の演技…と満足感が高い。更に、前列に居並ぶ子供達のリアクションまで含めて楽しかった。観客からツッコミが入るのって、こういう芝居ならではだよなぁ。

演技で一番好きだったのは、2歳しか違わない微妙な力関係を背景とした兄妹2人の会話と表情でした。

戰御史 -Ikusaonsi-

戰御史 -Ikusaonsi-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/11/24 (金) ~ 2017/11/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

五彩の神楽シリーズのなかで一番壱劇屋さん色を感じました。物語を理解しようとするより全身で感じる!自分が好きなように受け止める!観る側に委ねてくれた作品でした。武器もカッコ良くて独特の世界観がたまらなく素敵でした(*^^*)

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