
憫笑姫 -Binshouki-
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/08/25 (金) ~ 2017/08/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
ノンバーバルですが、ストーリーも分かりやすく、かつ舞台がヨーロッパぼいので衣装も華やかで、老若男女楽しめる作品だと思います。何度か戦争のシーンがあるのですが、ど迫力の集団殺陣は一見の価値ありです

賊義賊 -Zokugizoku-
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/09/22 (金) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
中村るみさん、めちゃくちゃ可愛い義賊でした!バトンみたいにクルクル小道具使って、キュートな表情で殺陣する姿にただただ釘付けでした🎵
しかし、主人公以外にも見せ場が何ヵ所もあり、岡村さん演じる裏切られても許す男には涙が止まりませんでした。ほんまに壱劇屋さんの作る舞台ってハンカチ必須ですよね😅

賊義賊 -Zokugizoku-
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/09/22 (金) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
中村るみさんの華麗なボアクションはもちろん、井立天さんと湯浅さんのキャラがコミカルで面白いかったですね。ホロリとさせられるところもありますが、基本的にはコミカルで純粋に楽しめる作品だと思います

憫笑姫 -Binshouki-
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/08/25 (金) ~ 2017/08/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
末満さん目当てで観た舞台でしたが、とにかくアクションモブが凄かった❗今までセリフある舞台しか観た事無かったからめちゃくちゃ新鮮でした。初めから最後まで、延々動いて演技して殺陣も本格的で…。ただただ圧巻でした…。

戰御史 -Ikusaonsi-
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/11/24 (金) ~ 2017/11/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
誰かにどんな内容か、はっきりと説明できない舞台です。でも、目が話せない程に面白かったです❗赤星さんの殺陣が半端ないくらいに速い!そして、絶対しんどいと思うのに、ラストまで笑いながらめちゃくちゃ楽しんで動く姿に観ている私までワクワクが止まらない!ほんまに面白かった❗

心踏音 -Shintouon-
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/10/27 (金) ~ 2017/10/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
壱劇屋さんの五彩の神楽で一番好きな舞台。
とてもとても心にくる話です。
主人公を取り巻く優しい人達に泣くし、最後の最後哀しくてそして、ホッとして…。
要するに延々泣いてました。今年一番の私の推し舞台はこれです❗

第25次笑の内閣『名誉男性鈴子』
笑の内閣
KAIKA(京都府)
2017/11/09 (木) ~ 2017/11/14 (火)公演終了
満足度★★★
かなり前に西部講堂で見たときはまさに腹筋がちぎれるほど笑いました。
今回も満席ですごく楽しみにしていたのですが、笑っていたのは一部の人でした。
話も出演者も作品としてすごく完成度が高いのは間違いありませんが、劇団名からさぞかし笑えるんだろうなと思って期待してただけに少し拍子抜け。
思想云々ではなく、好みの問題として表現がストレートすぎて自分の中では笑いに昇華できなかったかな。

楽屋ちゃん2017
中野劇団
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2017/07/21 (金) ~ 2017/07/23 (日)公演終了
満足度★★★★
人気劇団と言われる公演は何度か見てきましたが、概ね前列に陣取るファンと初見の温度差が激しく、それに引いてしまうことが多かったのですが、
この劇団は(少なくとも自分が見た回では)むしろ後方部からの笑いが大きく、比喩でなく、物理的に客席が揺れるほどの笑いが起き、まさに一体となっていました。
内容についてはいろいろ好みがあると思いますが、公演中の楽屋が舞台という、一見、演劇関係者向けの設定であるにもかかわらず、いわゆる「一般の人も楽しめるクオリティを有している」、当たり前のようですが、それが実践できる数少ない劇団の一つであることは保証します。

遠き山に陽は墜ちて
劇団肋骨蜜柑同好会
シアター風姿花伝(東京都)
2017/04/28 (金) ~ 2017/05/02 (火)公演終了
満足度★★★★
開演してまもなく、姉の述懐で過去のシーンへと遡る。弟がいなくなる一年前のことだという。
姉は、オレンジ色の髪の少年とも少女ともつかない奇妙な生き物と公園で出会う。正確に言えば、職務質問されていた「それ」を助ける形でともに団地に連れ帰ることになる。
姉と弟の暮らしに突然加わった「それ」は、ある日花屋で薔薇を見かけて言葉を話し始める。
続く赤いワンピースの女性と「それ」の2度目の会話。(『星の王子さま』じゃないか!)とそこでようやく気がつく。
それまでにもいくつかのキーワードがあったのに、と前の場面が脳裏をよぎる。ついたて、毛布、水。
でも、『星の王子さま』だけじゃない。
ロズウェル事件(墜落した未確認飛行物体をアメリカ陸軍が回収したと言われる)との関連を思わせるプレートを身につけていた。
それから『ジギー・スターダスト』、あるいは『地球に落ちてきた男』、そしてロックンロール。昨年亡くなったスーパースターだ。
オレンジ色の髪の「それ」は、さまざまな寓意を抱えつつ、寂しげな声で話しかける。
哀しいくらい綺麗な夕焼け。むかし愛した一輪の薔薇。故郷を離れて出逢う人々。登場人物はみなどこか歪んでいて、この地上では生き難そうに見える。
モチーフとなっている童話より少し可笑しくて少し痛々しいのは、大人になってしまったからだろうか。
夕焼けに染められた屋上に太陽風が吹く。低緯度オーロラが空を染める。遠い星へ帰っていったロジー。姉弟のうちの弟も一緒に行ってしまった。
『星の王子さま』のラストと同様、それは死であり帰郷であった。
降りそそぐ薔薇の花びら。客席まで染め上げる紅い光。ロジーの髪は王子と同じ小麦に似た黄金色かと思っていたけれどそうじゃない。オレンジだと再三言われてたじゃないか。それは夕陽の色で、薔薇の色だった。

ダズリング=デビュタント
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2017/04/19 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
エレガントで情熱的で、仕掛けも技巧もふんだんに使われているけれど、大事なところは直球ど真ん中で決める作・演出の腕力とそれに応えるキャスト陣の魅力がしっかりと詰まった約2時間半。
日本画版・西洋画版という2つの演出で見せた振り幅も面白くて、刺激的な観劇であった。
天然痘と梅毒を足して症状を重篤にしたような架空の病気 柘榴痘が題材になっている。観る前に、性病と聞いたときはピンとこなかったが、観ながら(なるほど……)と思った。その病は、情を交わした相手にしかうつらない。だからこそ、そこに現れる人間関係が物語を牽引することになる。
主人公であり語り手でもある医師は、友人の呼び出しを受けてヌイエという小さな町にやってくる。
友人がなぜ彼を呼んだのか。友人が怯えている訳から見えてくる歪んだ人間関係。ダジュリング公爵夫妻を、いやダジュリング公爵夫人を頂点とするヌイエの社交界の構造。
退廃的な貴族のサロンで悪趣味な見世物にされている石榴痘の病人。女は息も絶え絶えで、別の檻に入れられている男は女をかばおうと声を荒立てる。
1幕では、そういう一癖も二癖もあるある人々の濃密なやりとりを、広い舞台を縦横に使いこなして描いていく。
2幕は、その大半が審問室での出来事だ。教会と呼ばれた娼婦と、彼女を尋問する憲兵、そして彼女からあることを聞き出そうとする医師。
女の過去と侯爵との関係。憲兵の過去。そして、石榴痘との戦いに勝利を得るための突破口を見い出そうとする医師。
2つのバージョンのうち、ベースとなるのは西洋画版でろう。医師を演じた島田大翼さんのよく響く声と端正な佇まいが、物語の語り手として観客を病魔に襲われた架空の町にいざなっていく。
一方の日本画版では、男女シャッフルを含むややクセのあるキャスティングと西洋人の名前や設定を和装で演じる違和感が、どこかアングラめいた独特の雰囲気を醸し出している。
同じ脚本、同じセットで、まったく色合いの異なる作品を同時に創り出す様子に、作・演出の堀越涼氏が、いや、あやめ十八番というユニットが、またひとつのステップをあがったという印象を受けた。

弁当屋の四兄弟【平成二十九年版】
スプリングマン
シアター711(東京都)
2017/04/12 (水) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
ごく身近な、当たり前の家族の物語の中でしっかりドラマがあり、最後には収まるべきところに収まったという印象があるのは、伏線の引き方や展開がよくできているからだろう。
散りばめられた伏線がちゃんと回収されていく気持ちよさと、それに対する登場人物の反応の確かさが物語を支えた。
それぞれのキャラクターに魅力も欠点もある。特に、三男のダメっぷりとしだいに見えてくる思いやりとか才能とかに納得。血の繋がりのない親子だからこそ、似ているという逆説が愛しかった。

Double Flat
ジャンクション
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
聖書のカインとアベルの物語をベースに、やや寓話的なストーリーをたっぷりのダンスや歌などパフォーマンス中心で見せる舞台。少数先鋭のキャストそれぞれの持ち味を生かす演出で質の高い歌やダンスを堪能した。
タイトルにもあるとおり、フラットを2つ重ねたダブルフラットという音楽記号をモチーフにしている。半音下げる記号が2つなら、一音下げればいいんじゃな
い?二つ並べたこの記号の意味はあるの?そんな素朴な問いかけと、兄と弟という近いと同時に対立もしうる関係を重ねていく。
この規模の劇場で拝見できる機会は貴重だと思える顔ぶれのパフォーマンスと兄弟のせつない物語を堪能する約90分となった。

グリーン・マーダー・ケース
monophonic orchestra
Geki地下Liberty(東京都)
2017/04/11 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
過去の因縁と故人の思惑でがんじがらめにされた大きな屋敷。住人はもとより、周囲の人々もそれぞれにどこか歪みを抱えている。一度は終わったかに見えた連続殺人にはまだ続きがあって、「全知全能までもう少し」だという名探偵と友人がその謎を解く。
まずこういう道具立てにゾクゾクしてしまうのは、古き良きミステリーの愛好者だからかもしれない。
ミステリーの古典をベースに、その先のもうひとつの回答を描き出す野心的な戯曲を、安定感のある演出で立体化したこの舞台。懐かしい本格ミステリーの登場人物が眼の前に姿を現し、こじんまりした劇場が古めかしい大邸宅やその他の場所を無理なく具現化する。
創りこまれた虚構性の高い世界観が心地よい。古典の雰囲気を丁寧に活かしながら、物語は原作の終わったところから進んでいく。(登場人物にとっての)現在、事件が起こり始めた昨年のできごと、そしてそれらの元になる過去、などへと時間を行き来し、場所もあちこちに移しながら、きちんと観客を物語に引き込んでいく。事件を通して描かれる人々の想いが細やかでせつない。
そしてとにかくキャストがそろっている。大奥様をはじめとするそれぞれゆがみを抱えたグリーン家の人々、ひとクセもふたクセもある使用人たち、医師、霊媒師、若々しい刑事、誠実な検事と颯爽と謎を解く名探偵のコンビ。よくこれだけの俳優を集めたなぁ、と観ていて感嘆する。
このサイズの劇場でこの作品を観られるゼイタクさについて、終演後に観劇仲間と語り合ったりした。何年後に、この舞台の初演をこの劇場で観たのだと、自慢できるようになるかもしれない。そういう舞台だった。

南島俘虜記
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2017/04/05 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★
ホントに1時間半だったのか、と観終わってまず思った。もっと長い時間、あの暑い島で過ごした気がしたから。
過去の戦争の話ではない。これから先のいつかの話である。
戦争が続き、捕虜となった日本人が収容されている南の島。気だるい暑さ、保証された衣食住、おきまりの作業もサボりがちだが、監視する者たちもそれを黙認している。
帰るべき祖国は、戦火が続き疲弊している。
見馴れた顔ぶれの中の人間関係。収容所内での恋愛やセックスは禁じられているけれど、時間を持て余す彼らの感情のはけ口はどうしても互いの関係へと向かっていく。新入りが加わることで、状況が見えてきたりもする。
気だるそうな会話からにじみ出す閉塞感。終わらない、というひと言が浮かび上がらせる絶望。それぞれの経歴や家族についての思い。帰る目処の立たない祖国。
観ていた時間が長く感じられたのは、彼らの倦怠を共有していたからだろう。
そして、明確なメッセージの下のさまざまなモチーフや寓意。
面白かった。
無隣館(こまばアゴラ劇場と青年団が設置している若い演劇人のための育成機関)の修了公演だと伺ったが、どの出演者も危なげない演技で作品の世界観を支えていた。トリプルキャストだそうなので、他のバージョンも観たかったな、と思ったりした。

『悪女クレオパトラ』
花組芝居
セーヌ・フルリ(東京都)
2017/03/26 (日) ~ 2017/03/31 (金)公演終了
満足度★★★★
開演時間が近づいたとき、演出助手の大野さんによる「この辺りのお席の方は、役者に足を踏まれないようお気をつけ……あ、リーディングですけど」という謎の前説があった。
クレオパトラを題材にしたリーディング公演、いや花組芝居のHON-YOMI芝居がおとなしくリーディングにおさまるはずはないと思ってはいたが……それにしても、踊る!歌う!義太夫にJ-POPに立ち回り!!という、予想を大きく上回る奇想天外な舞台だった。
笑いも多めの破天荒な物語に、じんわり忍び込む切実さと怖さ。歴史や人物の解釈も濃くて、いったい加納氏の頭の中はどうなっているのかと思ったりもする。
加えて、多くの奇妙な登場人物を男女問わず魅力的に演じ分けるキャスト陣。
なんでもありの大盤振る舞いな怪作だった。

身毒丸
演劇実験室◎万有引力
世田谷パブリックシアター(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★
圧倒的な音と、壮麗な舞台のさまざまな階層でうごめく異形の者たちが、しんとくと継母との関係だけでなく、それを取り巻く奇妙に猥雑で禍々しい世界を浮かび上がらせる。
いろいろな意味で観る者を圧倒するような作品であり、語り継がれてきたというのも頷けるインパクトがあった。
観ることができてよかった、と思う。

ラクエンノミチ/ボディ
日本のラジオ
シアターシャイン(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
愛と暴力のみっしりと詰まった、濃密で切実な85分と35分。
いや、「愛と暴力」とひと口に言ってしまったけれど、愛にも暴力にもさまざまな形があった。
『ラクエンノミチ』
ファッションヘルスの待合室で交わされる、奇妙な人々の奇妙なやり取り。
軸になるのはタケの愛。十年経っても二十年経っても変わらない初恋。報われることを求めない、ただかたわらを歩き続けるだけで幸福だった。
彼だけでなく、彼ら彼女らはそれぞれそういう道を歩いていたはずなのに。いつのまに落ちてしまっている奈落の底。死ぬことも殺すこともそれ自体が悲劇なのではない、すがってきたものを失ったとき世界はこんなにも虚ろになってしまうのだ、と思った。
女たちの抱く孤独や閉塞感がじんわりと切なかった。
それと、村上さんが演じた篠原がものすごく怖かった。最初に登場した場面の温厚そうな見た目を裏切る突然の暴力。人を傷つけることをまったくためらわない人間がこんなに恐ろしいんだと思った。
ホントは痛そうなのとか見るのもイヤだし、観てる間はずっと手を握りしめていたけど、それでも観てよかった、と思う。
『ボディ』
愛することがそのまま殺すこととなってしまう不幸な男。劇中には登場しない父親の庇護のもとで、死体は処理され彼の行為は隠蔽されてきたけれど、罪の意識がない彼は何度も同じことを繰り返してしまう。
生きている人間とは思いを交わすことができず、死体に寄り添い語りかけるときだけ人を愛することができる。
彼の見せるある種の無垢と一途、そしてその終わり。底の見えない亀裂をのぞきこむような、ごく短い物語。

親愛ならざる人へ
劇団鹿殺し
座・高円寺1(東京都)
2017/03/02 (木) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
満足度★★★★
多少誇張されてはいるけれど、当たり前の人々の当たり前の想いがそれぞれに滑稽で、でも温かい。
母親役の久世星佳さんがとても魅力的だった。
披露宴はめちゃめちゃになってしまったけど、それでもそこから新しい暮らしを始めるのだ。
馬鹿馬鹿しさと切実さ、そして家族というどうしようもないけれど大切なもの。
観終わって温かいものが胸の内に残る、そういう作品だった。

炎 アンサンディ
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2017/03/04 (土) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
初演を見逃して残念に思っていたので、再演と聞いて喜んで観に行った。
レバノンでの内戦を背景に、母を亡くした男女の双子が、自らの家族のルーツを解き明かしていく物語だ。
麻実れいさんがその母として、1人の女性の10代から60代までを演じる。
カナダで暮らしていた年老いた女性。彼女は5年前のある日、突然心を閉ざし、言葉を失ったまま生きて死んだ。いや、5年の間に一度だけ、言葉を発したことがあった。その言葉の意味もあとになってからわかるのだけれど。
公証人から彼女の奇妙な遺言を聞かされた娘と息子は、反発や不本意な気持ちを抱きつつ母の言葉に従い、会ったこともない父と兄の消息を求めて母の母国を訪れる。
その国で双子は多くの人と出会い、話を聞く。双子はそれぞれに母の生涯を見出していく。そこで出会った真実。
世界はこんなにも残酷なのか。生きることはこんなにも過酷なのか。誰かを断罪して済むのなら、その方がよっぽど楽だと思えるのだけれど。
それでも。
知ることは残酷だ。しかし彼女はそれを乗り越えて、彼女自身に戻ったのだ。双子もまた真実を知り、真実を乗り越え、彼女をも乗り越えて、生きるだろう。
観終わったあと、胸の痛みとともにある種のカタルシスを感じたのは、そのためかもしれない。

赤い金魚と鈴木さん~そして、飯島くんはいなくなった~
九十九ジャンクション
インディペンデントシアターOji(東京都)
2017/03/01 (水) ~ 2017/03/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
うんざりするほど平凡な風景に、混じり始める不協和音。過去の連続殺人事件。残虐な連続殺人鬼はどういう人物だったのか。そして殺人犯の家族であるということはどういうことか。
急速に緊張感が高まり、観る側も身じろぎすらできなくなっていった。
いくつもの重い課題を抱えつつ迎えたラストシーンでの殺人犯の弟と、知らずに結婚したその妻の会話が鮮やかだった。
怒っても迷っても投げ出すのではなく、やるせない現実に眼を背けず、逃げ出しもせず、現状を見つめ考えようとする。平凡な人間の中の強さが描かれて、観る者の胸にある種の安堵感を与えた。
中盤の展開からは予想外の後味のよさがうれしく、同時に重い課題も忘れることなく抱えたまま、劇場をあとにした。