グリーン・マーダー・ケース 公演情報 monophonic orchestra「グリーン・マーダー・ケース」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    過去の因縁と故人の思惑でがんじがらめにされた大きな屋敷。住人はもとより、周囲の人々もそれぞれにどこか歪みを抱えている。一度は終わったかに見えた連続殺人にはまだ続きがあって、「全知全能までもう少し」だという名探偵と友人がその謎を解く。

    まずこういう道具立てにゾクゾクしてしまうのは、古き良きミステリーの愛好者だからかもしれない。‬

    ミステリーの古典をベースに、その先のもうひとつの回答を描き出す野心的な戯曲を、安定感のある演出で立体化したこの舞台。懐かしい本格ミステリーの登場人物が眼の前に姿を現し、こじんまりした劇場が古めかしい大邸宅やその他の場所を無理なく具現化する。

    創りこまれた虚構性の高い世界観が心地よい。古典の雰囲気を丁寧に活かしながら、物語は原作の終わったところから進んでいく。(登場人物にとっての)現在、事件が起こり始めた昨年のできごと、そしてそれらの元になる過去、などへと時間を行き来し、場所もあちこちに移しながら、きちんと観客を物語に引き込んでいく。事件を通して描かれる人々の想いが細やかでせつない。

    そしてとにかくキャストがそろっている。大奥様をはじめとするそれぞれゆがみを抱えたグリーン家の人々、ひとクセもふたクセもある使用人たち、医師、霊媒師、若々しい刑事、誠実な検事と颯爽と謎を解く名探偵のコンビ。よくこれだけの俳優を集めたなぁ、と観ていて感嘆する。

    このサイズの劇場でこの作品を観られるゼイタクさについて、終演後に観劇仲間と語り合ったりした。何年後に、この舞台の初演をこの劇場で観たのだと、自慢できるようになるかもしれない。そういう舞台だった。

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    2017/12/30 14:04

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