満足度★★★★★
うんざりするほど平凡な風景に、混じり始める不協和音。過去の連続殺人事件。残虐な連続殺人鬼はどういう人物だったのか。そして殺人犯の家族であるということはどういうことか。
急速に緊張感が高まり、観る側も身じろぎすらできなくなっていった。
いくつもの重い課題を抱えつつ迎えたラストシーンでの殺人犯の弟と、知らずに結婚したその妻の会話が鮮やかだった。
怒っても迷っても投げ出すのではなく、やるせない現実に眼を背けず、逃げ出しもせず、現状を見つめ考えようとする。平凡な人間の中の強さが描かれて、観る者の胸にある種の安堵感を与えた。
中盤の展開からは予想外の後味のよさがうれしく、同時に重い課題も忘れることなく抱えたまま、劇場をあとにした。