最新の観てきた!クチコミ一覧

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まやかし

まやかし

ポポポ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/01/11 (木) ~ 2018/01/15 (月)公演終了

満足度★★★★

(女の場合を観劇)ちょっと難しく考えさせるし、ちょっと疲れる公演だったともいえる。しかし、引き込まされる力強さがあった。もう少し笑いの取れるコミカルさを取り入れるといいかも。館山はあれでは本当にキモイだけで、笑えない。

源八橋西詰

源八橋西詰

T-works

一心寺シアター倶楽(大阪府)

2018/01/12 (金) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/01/14 (日) 15:00

T-WORKS#1「源八橋西詰」大阪大千穐楽。あっという間にの90分。
それぞれの場面での没入感がスゴくて、自分も一緒に浮遊して観ていた感じ。河童○○の話なんて、もう、本当にドキドキしながら真剣に聞いていた。
とっても上質な時間、観に来て本当に良かった!

近松心中物語

近松心中物語

シス・カンパニー

新国立劇場 中劇場(東京都)

2018/01/10 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/01/12 (金) 18:30

 かの蜷川幸雄演出で、1000回以上上演された作品なので(私も寺島しのぶ・阿部寛のバージョンは観ているのだが)、演出のいのうえにはプレッシャーだろう。だが、そこは新感線での経験を活かし、少し別な印象の『近松心中物語』になっている。何と言っても、舞台美術の抽象性と転換で自在に舞台を動かし、「大騒ぎ」の印象を作り出すことができている。物語は単純で、心中しなければならない2組の男女の話だが、いのうえは、それが誰にでも起こりうることという解釈をしているように感じた。役者では、池田成志が出色の出来だが、江戸情緒を出す上で市川猿弥の存在感も大きいように感じた。

1万円の使いみち

1万円の使いみち

monophonic orchestra

Geki地下Liberty(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/01/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/01/14 (日) 14:00

座席1階3列

価格3,500円

二人のヤマト。男女のヤマト。東京に住むヤマト。
それぞれ雑踏から一万円の行方をたどりながら人と出会い、これまで抱えてきたものを見つめ直していく。序盤ポップな展開に冷や冷やしたが、徐々に心の内を見せていき、しっとりとしていく展開が心地良かった。
女性のヤマトが父の葬儀時を語るところが特に良かった。演者さんも上手、満足な観劇です。

それと。日替わりゲストがヨシケンさんと伊与勢我無さんでした。
私の好きなグリーンマーダーケースの出演者。嬉しかったです。

新人シリーズ16

新人シリーズ16

「ダンスがみたい!」実行委員会

d-倉庫(東京都)

2018/01/04 (木) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

価格0円

d-倉庫の「ダンスがみたい!新人シリーズ16」

個別にコメントする余裕がなく、昨日、36組の作品上演は終了してしまいました。今回は1/9を除いて8日間でした。

観たことがある方、初めてのチーム。、ソロが初めて..多彩な作品。結局は好みという点ではいたしかたなし。

今回から受付時に「整理番号札」が渡されるようになりました。60分前受付、30分前開場なのでありがたいことです。

上演時間が大幅に遅れる等、運営上の問題は特に感じませんでしたが、舞台からモノが飛んできました(2回)。最初は針金細工。振付として使っていたものを突然放り投げ、それが客席方向だったので接触。足元だったのですがお隣さんにも当たりました。当たる場所によっては怪我をする可能性がありました。ダンスはそのまま続けられましたがもし怪我をしていた場合、運営者側ではどのように対応するのだろうかと考えました。

また、一番の問題はダンサーがこのことを真剣に考えていなかったのではないかという態度であったこと。

もう一回は衣装が半ば飛んできたのですが、もちろん怪我をするようなものではありません。ただ、舞台を相当な勢いで飛び出すのはどうなのかと思いました。振付としてコントロールできていないということではないかと。

モノが飛んでくる前提のパフォーマンスでは事前の説明があります。(→<サイトの記述>水やわかめ、さらには豆腐までが飛び交う衝撃の空間の中で、観客はびしょ濡れ...)。また、以前、川村美紀子さんのダンスで「破片除けシート」が配られたことがありました。

もうひとつ、開演から終演までカメラで録画している客。頻繁にファインダーを確認、光がちらつく。
最初、トップバッターのダンサーの関係者かと思いましたが、ずっと続けていたのでどうも違うらしい。

13日と14日、多摩美の一期生卒業公演(勅使川原さんゼミ)を観ました。おなじ「新人」でありつつ、また違いが感じられるものでした。

デペイズモン

デペイズモン

Toshizoプロデュース

トシプロスタジオ(東京都)

2017/12/14 (木) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

木曜に観た後、残り公演日の中でどこをどうやりくりしたらまた観られるのか、真剣に(!)考えました。
まあそれくらいインパクトが深かった(大きいとは違う感じ)です。

解離性障害の妹を抱える兄(アルコール依存症を隠していた)の視点からの物語ですが、それだけでは納まらない普遍的なテーマを感じました。
妹の昌代(重松さん)が抱える病の深さが切なく伝わってきました。
特に切ないのはミルミルの人格になったときの語り。
幼いころから、ぬいぐるみや動物たちと交流しながら生きる支えにしてきたこと、そのことさえも中学生のころ否定されたこと。
この人格になっている時の無邪気な振る舞いと現実の病との落差がすさまじい。
トカゲのしっぽ切りのように、人格の一部を切り離しても生き残りをはかろうとするミルミルの空想物語は、育ちの中でどれほど深く傷ついたかを逆説的に浮かび上がらせてくれます。

多重人格の役は相当の難役だと思いますが、とにかくやられました。
涙が・・・・とにかく止まらない・・
「あんなところまで抜けていったんだ重松さんは・・・」というのが正直な感想です。
兄と妹の物語がともすれば重くなりがちなところに、トシさんの吉村役が長い入院生活から身についたのか、一服の清涼剤のように立ちふるまうシーンで救われます。
その人でさえも、一皮むけば自分をゴミのように思う闇を抱えていることが伝わるシーンもありましたね。

人は成長するにあたって育ててくれる身近な大人(両親が一般的か)にすがらざるをえません。
目の前にいる親をモデルとして自分を形成していくしかほかに方法がない宿命を負っています。
この共通のテーマが背景にあるので観ている自分の心がうずくのです。
親として子供に対してとった言動のこと、子供として両親から受けた影響のことなどなど・・・・が、複雑な思いが湧いてきました。
両親から、何を吸収して何を取り入れないかを判断できる意識がうまれる前に、無意識に吸収して身につけたことは「三つ子の魂百まで」のことわざ通りです。
あれだけ反発した父と自分がいつの間にか似ていることに気づく兄、そして妹は父と似た男を引きよせては苦しむ。
それと向き合う作業は、結構つらいことですね。
この兄妹は、兄がまず一歩を踏み出しました。
人生を器用に渡り歩くことが苦手な雰囲気と存在感が出てましたね。(兄の役の方)
「お互いが証人となって二人でもういちど生き直そう」という兄のセリフ、「両親からは負の遺産を引き継いだけど、正の遺産もあるんだな。これを治療代にしていこう」とつぶやくシーン。

ラストの独り言、「人生は思うようにはいかないもんだ」「エッ今なんて言った(吉村)」
静かな余韻の残る終わり方。(この二人に差してきたかすかな希望を暗示して)
明かりが落ちた後の「間の時間の長さ」は、観ている側からすれば、大事な部分だと今回思いました。

デペイズモンは意味深です。
最初「なんだこれは?どういう意味なんだよ」と思いました。
「日常の風景のかたわらに、さりげなく精神科入院病棟がある」そんなことを想像しました。

舞踊ゼミ上演実習

舞踊ゼミ上演実習

多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科

演劇舞踊スタジオA(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/01/13 (土) 12:00

価格0円

演劇舞踊デザイン学科 2017舞踊専攻 第一期生の卒業制作公演

1/13(土)12:00(プレビュー公演)、16:00
1/14(日)14:00

3公演を観ました。

最前列は(座布団)桟敷、うしろに椅子席が2列。
1/13の16:00が桟敷、あとの2回は椅子席で。

上演作品(休憩なし約80分)
藤木由衣「空」
石田満理佳「親愛なる」
山崎直子「はじまり」
横田みのり「Time Lapse」

藤木さんのみ観劇経験あり「スクランブル交差空間」2016/8ZEN展@東京都美術館 ※YouTubeに映像

多摩美との始まりは:
妖精大図鑑:「シアター21フェス vol.96 "春編"」(2014/5@セッションハウス)、きもけん(気持ち悪い研究会)「ぬちょぉ…」(2014/7@新宿眼科画廊)。この頃のメンバーは造形表現学部映像演劇学科卒業制作展「めっけ!」を経て卒業。

その後、妖精大図鑑は引き続き観続け、「赤鬼」2016/7@上野毛からはさらに拡大。

今回、某演劇で突然踊り始めた方がいらして終演後訊いてみると多摩美在学で勅使川原さんのゼミ、ということで本公演に。

学内の公演では他に日芸(江古田)「Modern Dance Performance」や桜美林(PRUNUS HALL)。外部での卒業公演になるとお茶の水女子(なかのZERO)、日本女子体育大学「第16回卒業公演Pile」は23日に府中で。

入ってみると開演前のアパラタスのような佇まい。衣装は、黒が2、白が2。順番も白→黒→白→黒。照明と衣装の組み合わせで印象が異なりました。白と黒は対立(際立ち)、黒と黒は融合(曖昧さ)。

ちょうど同じタイミング(1/4-14)でd-倉庫の「ダンスがみたい!新人シリーズ16」を観ていたのでこちらとの違いを感じました。なにがどのように違うのかはっきりとした根拠があるのではありませんが、吹いている風が違っているような、透明感の違いのような。

勅使川原さんは初日16:00の回で挨拶をされました。

同じキャンパス内で映像美術ゼミ3年次撮影セット制作実習「Frankenstein」をやっていたので観てみました。ものすごく手の込んだ仕上がりでした。映画の1シーン10分に展示物鑑賞。昨年は「ひみつのアッコちゃん」。

公演の間に「五島美術館」へ。茶道具などの展示、庭園を散歩。

秘密の花園

秘密の花園

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/02/04 (日)公演終了

満足度★★★★

テントでも狭い小屋でもなく芸劇で唐十郎をやる。蜷川はコクーンでやったし駅前劇場で所狭しとやった木野花演出のもあった。小屋っぽい場所でやるのは正統、大劇場でたっぷりやるのも趣向、だが芸劇イーストでどうやって・・
作品は82年本多劇場杮落としで初演、少し前の唐組テント上演がバッタ本の中でキラッと光った印象だったが、既成の枠に囚われない福原演出は、適役寺島しのぶを謎の女に配して、恐らく最大限頑張っていた。こうして見ると難しい芝居の世界だと思う。演出も演技も、唐十郎本人、あるいは唐の脳味噌を感覚的に飲み込んだ身体なら自然とやるのだろうそれを、折り目正しい現代俳優に精一杯寄り添わせ、再構成した手触り。忙しなくモード変転する台詞(照明変化と共に)、姿形が似る二人の女の彼女はどちらなのか次第に不分明になっていく過程、そこに絡む奇妙な人たちの奇行・・難物に挑み、現代的な処理もされ笑いを取っていた。

ネタバレBOX

よくやった、と思うが、ここまでやれば最後は屋台崩し(正面にある部屋の壁が取り払われる)を期待してしまう。音量等の最大値を、このラストに持って来るのが正統であったが、今回はラストを哀感漂う情景で閉じくくった。苦肉の策とも言えようが、その構成も、形としても、もう一段上がほしかった。
花の栞

花の栞

彗星マジック

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2018/01/12 (金) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

初彗星マジック。こういう作品をする劇団か~。
救いようのない物語か(でも暗くはない)と思われたが、最後にグッときた。
好きですね、次の公演も観てみたくなった!

源八橋西詰

源八橋西詰

T-works

一心寺シアター倶楽(大阪府)

2018/01/12 (金) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

期待通りにいい舞台でした。こんな作品が2018年の最初の観劇になるとは、幸先よし!
今回全国に売り出しをかける丹下真寿美さんは彼女の可愛らしさ面白さ哀しさを、ベテラン3人のオジサン達と一緒に魅せてくれました!
実に良かった!!

非国民的演劇

非国民的演劇

しあわせ学級崩壊

インディペンデントシアターOji(東京都)

2018/01/11 (木) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/01/11 (木)

11日ソワレ(90分)を拝見。

ネタバレBOX

しあわせさんの作品、以前、上野小劇場で『チル、幻滅。』を拝見しているので、ハウスミュージックな大音響「演劇?」への免疫はあったものの、正直なところ、今回もまた、只々圧倒される90分でした。
でぇ、聴覚(セリフや音楽)・視覚(役者の挙動、セット)などから、感覚的には伝わってきた、作者からのメッセージだったが、終演直後、あまりにも曖昧模糊とした頭ん中の状態が気持ち悪くて、思わず台本買って・勝手に解釈を試みてみたものの…余計に理解が遠ざかったかも?(苦笑)

誤った解釈だったら申し訳ないが、本作品、出自・思想・信条の多様性にあまりにも不寛容な、「普通」とみなされない存在は「排除」することでしか対処し得ない、今の日本の一定の人々への異議申し立て、だと理解しました。
イザナギとイザナミに「猥褻」「生理」の名を冠した、国生み神話のエピソードからは、プリミティブな「性」へのアプローチを経て、人々が平等に・平穏に豊かな暮らしを享受していくという、この国の理想の在り方を感じ取りましたが、ミサイル発射→警報発令の現実下にある、この舞台を体験された若い観客の心に、どう響いたのかなぁ…そんな思いにもかられる作品でした。

役者陣。
梢栄さんの佇まい、木村みちるさんの悲痛な叫び、サカモト一家(息子・飯田紘一朗さん、父・源馬大地さん、母・小島望さん)のもろかった家族の絆、そして福井夏さんの絶叫、が印象に残りました。
あなたのこと、わたしとのこと

あなたのこと、わたしとのこと

TCU Creative

at THEATRE(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★

明るくテンポよくまとめていておもしろかった。

ジャガーの眼

ジャガーの眼

パフォーマンスユニットTWT

上野ストアハウス(東京都)

2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

スピード感があるような感じで感じました
想いが 突き進むような な なかに
きれいな な 光景があって
ええと
おもしろかったのでした


ヒミコ

ヒミコ

劇団熱血天使

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

鑑賞日2018/01/14 (日) 13:00

価格3,500円

音楽の生演奏に生歌、そしてダンス。美術、音響、照明と、多方面に渡って才能を集め、結実した作品でした。
演技の面でもう一歩、踏み込むことが出来ればなお良かったと思います。

ネタバレBOX

難しい言葉が頻出する台本なので、それを伝えることが重要です。音楽の勢いに飲まれてしまったように見えました。
新人シリーズ16

新人シリーズ16

「ダンスがみたい!」実行委員会

d-倉庫(東京都)

2018/01/04 (木) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★

全体を通しての感想。一定の水準があり日々楽しむ一方でとっぴょうしもない個性派が少なくなってきている。また、若い舞踏家を観てみたいものだ。カーテンコールをしないものがいくつかあり、特に是非はないが、やれば顔を売る効果はあるはずだ。上演中にカメラの画面を点灯する撮影者がいたが鑑賞の妨げは厳禁に願いたい。

夜は短し踊れよ男と女

夜は短し踊れよ男と女

つくっておどろんぱ!部

神楽坂セッションハウス(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★

全12作。全員学生?若いダンサーの生き生きとしたダンスがたくさん見れた。歌への依存が高いとは思う。

あなたのこと、わたしとのこと

あなたのこと、わたしとのこと

TCU Creative

at THEATRE(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★

 僅か40分程の尺なのだから、(追記:前半余りに工夫がなかったので寝落ち、結果、自分の勘違いした点もあったので追記しておく。尚、追記部分は、ネタバレの最初のレビューから2行空けて書き始めてある。)

ネタバレBOX

物語にもっと緊迫感を持たせる設定にするなり、唯、退屈をやり過ごし、生きながら死んでいるような状況を描くなら完全にシャレノメス位のことをやらないと。科白を構成しているボキャブラリーが貧弱過ぎて唯でさえ平板な科白、状況設定が、尚ドラマツルギーから離れてしまった。美術も机と椅子である必然性が何処にも無い。座ったり、手を突いたりというだけなら、箱馬で充分。
 更に決定的な欠点は、人間観察の甘さが出てしまったことだろう。残念だ。


 タイトルに惹かれたのだが、殊に“のこと”と“とのこと”の対比に何かしらセンスを感じたのだ。だが、序盤余りにも扁平な“幸せ”・“愛してる”の多用が折角のセンスをぶち壊してしまった。この単語の一々に、感情や念いの千変万化を表現しているなら兎も角(これだけ多用すればそれも不可能)そういった配慮も見られずに、言葉の齎す印象に多少とも敏感な人間なら、この序盤だけで好い加減飽き飽きしてしまう展開である。
 男1と別れた女が男2と暮らし始めることで、小市民的な“幸せ”を成就することで、男1とは浮気関係に過ぎなかった男女関係自体はステイブルなものになり、それこそ、小市民的な幸せが成就しメデタシ、メデタシとなる訳だが、一方、手取り僅か18万の給料から不倫の代償として女は、男1の妻に対し300万の支払い義務を負うことになる。
 これがこの物語の粗筋だ。場転で机と椅子は対面に設置され、二人っきりでゆっくり食事を摂る場面等が展開するのだが、このどうしようもなく陳腐な“幸福感”を得る為に支払った女のリスクの大きさが漣のようなテイストで描かれる所が、如何にも日本ということか。
 残念なのは、序破急でも起承転結でもなく、前場、後場の作りになっていることだ。脚本で一場になっている部分は、導入というより前説の要素が強いのでイントロとしては頂けない。二場になっている部分が前場に当たるが、ここでもこれだけ同じ単語を繰り返す必然としての伏線が敷かれていないことが問題である。ここには、伏線としても、これらの単語を繰り返す必然を示すという意味でも他の言葉群に対してメタレベルで要になり、重心にもなるような一行がどうしても必要である。その上でなら、家裁の調停が入った上での示談にももっと説得力が出てこようというものだ。
 無論、主人公は女、市子である。何故なら男は、1,2という記号であるのに対し女は個人名であるからだ。それも市井の人を意味しているような名である。このことで、作家は女を般化したつもりなのだろうが、ポピュリズムに流れてしまっては、市井に埋没してしまうので、この点でも捻りが必要だ。演出レベルで言うなら、男が軽く扱われている分、1、2の区別をキチンとつける必要を感じなかったのかも知れないが、これでは観客が戸惑ってしまう。せめて片方には髭があるとかネクタイが違うとか、直ぐ様変わりできるような「記号」をつけるべきだろう。
 余りにも退屈な前半で寝落ちしてしまって、当初、その印象でレビューを書いたのが、配られた脚本を拝見すると自分のレビューにも誤解があった為、稿を改めた次第である。
【東京公演】三の糸

【東京公演】三の糸

ゴツプロ!

本多劇場(東京都)

2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★

最初のコメディタッチはイマイチすんなり入ってこなかったが
その後怒涛の展開で一気に惹き込む力はさすが。
連綿と受け継がれる芸道の厳しさと、翻弄される個人の葛藤が描かれる。
後半の浜谷さん、塚原さんのキャラの切り替えが鮮やかで目を見張った。

ネタバレBOX

舞台中央に1本の古木が天井までそびえている。
山深いこの場所は、津軽三味線の万沢流初代が幼くして捨てられていた場所。
二人の兄弟は盗みをして生きていたが、三味線と出会って新しい道を歩み始めた。
以来、家元を継いだ者はみな、この場所へ報告に来る習わしとなっている。
だが今の七代目だけは、ずいぶんと遅れて今日ようやくここへやって来たのだった。
やがて奇妙な男たちが現れる・・・。

言わばコメディとシリアスを合わせ持つ骨太ファンタジーと言えようか。
若干冒頭のコメディ部分が長く感じられるのは、人間関係が見えていないせいか。
やがて七代目との関係が明らかになり、それぞれの家元継承事情が語られると
物語は一気に緊張感を増して面白くなる。

それにしても後半、塚原大助さんのキャラの切り替えの見事さ。
また浜谷康幸さんの驚愕の事実を受け止める台詞の切なさ。
こういう人がいるからゴツプロ!はただの“男劇団”ではないのだ。

ラストの三味線は大変な努力の跡がうかがえる素晴らしい演奏だったが
やはりここはプロの小山会にも「三の糸」の音色を響かせて欲しかった気がする。
流派と家元の重みを印象付けるためにも。

郷愁の丘ロマントピア

郷愁の丘ロマントピア

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/01/11 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

105分。AT30分くらい。

ネタバレBOX

茂治(山田百次)…元炭鉱夫。大夕張が好き。謙三らのアニキ分。心臓の持病あり。展望駐車場で死亡。
謙三(松本亮)…元炭鉱夫。顔に似合わずロマンチスト。セツに片思いしてた。
三郎(河村竜也)…元炭鉱夫。事故で左腕を失い写真屋へ転向した。
紀男(武谷公雄)…元炭鉱夫。セツと結婚した。炭鉱閉鎖時、セツの治療費等に困っていたが茂治から大金をもらった。
セツ(長野海)…紀男の妻。紀男が事故現場へ行っている際に、炭鉱の危険をかみしめていた。
忠(斎藤祐一)…祖父が大夕張に住んでいた関係でツーリングに来た。今は札幌で飲食店店長をしている。
菊子(石川彰子)…忠の妻。茂治らの言葉に傷つき怒った。

炭鉱で栄えた夕張の中でも東側の「大夕張」は、三菱系企業が三菱大夕張炭鉱を開き、町として発展した。が、高度経済成長が進み、国もエネルギー転換を図り石炭の需要が減り、三菱も手を引き始め町は衰退していく。そんな中で三菱南大夕張炭鉱でガス爆発事故が発生し、衰退はさらに進み、地域はダムの底に沈むこととなった…。
そんなさびれた地域の高台にある大夕張メモリアル展望台に集まった元炭鉱夫の茂治だったが、茂治は持病で死亡してしまい、謙三らは茂治の死体を大夕張にあるシューパロ湖(今はダム?)に沈めようとするが…。

じじいらのキャラや会話の面白さと、大夕張の衰退や消失といった寂しさが、波状的に重なって迫ってくる舞台。昭和の過渡期にあった一地域の変動を、社会的・個人的な視点で描き出す良作。

炭鉱閉鎖が決定し、(三菱の建てた)神社も更地になったというエピソードとか象徴的だなと思う。もともと人が住んでいなかったであろう地区に炭田が見つかり、人や資本が流入し町となり神社も建てられたという流れがあり、炭鉱が用無しとなった以上、神社すら不要というのは自然なサマであるが、人の情が一度存
在してしまうと、ここにドラマが生まれることとなる。言い方は悪いけどやっかいだなと思う。
ATでゲスト(てがみ座の主宰)が話していた、宮崎のとある村は地域社会を維持できず、集団で移転することとなり、その移転助成をもらうためには自己の家屋を自己で壊さなくてはならないらしい。
日本の衰退(人口減少や高齢化など)の象徴の一つに地方の衰退もあるだろうけど、色々新しいモノが蠢く東京にいるとそこらへん鈍感になっているなと思う。

なんにせよ良い舞台だった。ラストの、大夕張を愛してる茂治の死体を湖に遺棄しようと話する面々に対して、それでいいと思うと純粋に思わせるチカラがあった。
あなたのこと、わたしとのこと

あなたのこと、わたしとのこと

TCU Creative

at THEATRE(東京都)

2018/01/13 (土) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★

これ、コメディーだったのかぁ。だったら、不倫女性の妄想・戯言でもっと笑わせるなり、怖がらせるなりしてくれないと。

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