最新の観てきた!クチコミ一覧

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1984

1984

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/04/12 (木) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★

二十世紀文学の代表作の近未来SF、多くのデストピア小説の元祖的な作品である。この小説、イギリスでは、誰でも知っているが誰も読み通せないという小説だそうで(文庫解説)なるほど、仕掛けがたくさんあってムツカシイ。しかし、この劇化にあたっては、そこをうまく利用して舞台化、世情がきな臭いこともあって、イギリスで大当たり、ついでアメリカでも当たったと言う事で急ぎ、政情不安、小説そっくりの北朝鮮もみじかにある我が国での上演となった。
原作は1946年に書かれて、ほぼ四半世紀後のデストピアを描いている。今は2018年。小説の世界は固定しているから、かつて未来であった世界は今となっては過去、SFの世界が時代劇の世界になっているという奇妙なことになってしまった。もちろん舞台設定の時代を過去にして未来のデストピアとしても芝居は作れるが、この作品は一ひねり。小説の最後でさらに未来を予測してそこで使われる言葉(全体主義のための二重思考の言語、ニュースピーク)の解説が書かれているが、さらに未来にその言葉によって、この1984年という本を、人々が学習する、と言う枠を作っている。これで、SF的な物語の構造が落ち着いた。
この枠の中で、かなり忠実に手際よく原作の物語が進行する。しかし、映画でもないからデストピア社会を大セットで組むわけにもいかず、原作の全体主義管理社会の中で出会う男女のラブスト-リーが、ほとんどノーセットの舞台で演じられる。
演出は今秋から芸術監督になる小川絵梨子。せっかく時宜タイミングよく、全体主義志向の政府下の公演(それで英米でも話題を呼んだ)なのに文化庁官僚への忖度か小劇場風に小ぎれいにまとめている。時代感覚がないから客席もわかない。これでは井上芳雄ファン以外に客は広がらない。秋からのラインアップも発表されているが、エエッツと言う小粒な作品が並んで、全方位的な抱負は殆ど反映していない。官制劇場のヒラメ監督でなく、国民の方を向いてくれないと、公務員だけが観客ではあるまいし、先が思いやられる。

ネタバレBOX

この公演の演劇としての脚色の工夫は、この男女の人間回復の試みが暴露され、主人公がフツーの真人間になるよう拷問されるところに作品の主点をおいたことで、外側からでなく、内側からの全体主義の抑制がコワイと言う原作の主張を舞台で見せる。こういう肉体的な表現は確かに、小説、映画よりも劇場向きで、ニューヨーク公演では、拷問表現の強烈さに失神する観客が続出したという。ネット情報だが、写真を見ると国立小劇場の倍はある劇場でここで失神させるのは容易なことではないだろう。
日本の公演は、前半話はさらさらと進んで、管理社会描写もさして表現にならない。ビッグブラザーと言う独裁者がすべての国民を管理しているというのがキャッチフレーズなのだが、独裁者の政党のマークは出てくるがビッグブラザーの顔は出てこない。独裁者も、その反対者も抽象的存在としているので、具体的なものは邪魔になると考えたのかもしれないが、こういうものは、バカバカしくても顔を出すとついていきやすくなるのだが、控えたために、実際に社会を管理する管理者(大杉漣の代役)の役割が、芝居だけだとわかりづらい。管理社会の中で辛く生きている主人公たちがもっと描かれていないと後半の拷問シーンが生きてこないし、折角の懐メロの郷愁もただのオセンチになるだけだ。この主人公二人、商業演劇では悪くないのに、ここでは商業演劇っぽさがマイナスになっている。管理社会の中でギリギリに生きているという感じがないし、枠の中と外の演技に変化がないので、単純に話が分かりづらい。
この公演、せっかくの珍しくタイミングのいい新国の企画だったのに惜しいことをした。
R老人の終末の御予定

R老人の終末の御予定

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/19 (木) 19:00

毎回期待を裏切らない劇団さんです。
笑って泣いて、家電とご老人夫婦の愛にやられました。
脚本が本当に凄い!演者さんも素晴らしい方ばかりで心を奪われる110分でした。

ネタバレBOX

何で人がいなくなった世界なのに家電?と疑問になりましたが、ポットが可愛すぎてどうでもよくなります。
新宿コントレックスVol.19

新宿コントレックスVol.19

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/21 (土)公演終了

満足度★★

鑑賞日2018/04/20 (金) 19:30

座席1階2列

Aga-risk Entertainment『新宿コントレックスVol.19』新宿シアター・ミラクル

今回も色んな劇団さんが観られてお得イベントでした。楽しかったです。

上演時間は95分

ネタバレBOX

一番好みだったのは『角度の授業』かな
『ななめ島』の壁ドンが面白かった。
『キミはボクの光くん。』は意表を突く構成でした。
笑いは好みがあるので何ともいえませんが、今日は客席の温度差が大きかった気がします。
最後の炎

最後の炎

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2018/04/14 (土) ~ 2018/04/28 (土)公演終了

満足度★★★★

文学座はこれで3回目の鑑賞。

アトリエは初めて。
まず、素晴らしい空間に驚く。

あとはネタバレに

ネタバレBOX

舞台装置が抽象的な木が一本のみ。

小道具はいくつかあったにしろ、家具などの出道具はなし。
テンポ感と想像力を出したい演出家の意図が汲み取れる。

演出家と俳優陣がテキストにまっすぐ伝わったのがよく分かった。

男性陣も良かったが、特に女性陣が良かった。

ただ中盤、単調になるところが多々あり、年齢が上になるにつれて寝ている人が多かった。
忘却論

忘却論

華凛

ワーサルシアター(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

演者さんがキレイ!ダンスがキレっキレっ!とても激しいお芝居で 吸い込まれました。良かったです!

Life pathfinder 4th WALL

Life pathfinder 4th WALL

パスファインダ制作室

吉祥寺シアター(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

オフ・ブロードウェイの香りがする観客も一緒に参加意識型の公演。
『主役』は何と1名の観客代表。(事前に公募されていた様です)
『主役』は参加意識のみならず正真正銘舞台上に立ち(というか可動式特製椅子に座り)作中に取り込まれます。
結構いじられつつも、普通一生こんな事無いくらいの臨場感最大MAXのステージを体験する『主役』を我々は見守る様な形態でもありました。

吉祥寺シアターの会場はいつもの段々席が一切合切撤去され、まるでバレーコート1面分くらいの広さの体育館の様。
「模索」をテーマにしたストーリー(?)とミュージックナンバーは『主役』や外周を取り囲む客席に、もろダイレクトに向けられ、これは小劇場でしかあり得ない親近感と迫力。
役者さんと目が合う度にドキドキします。(『主役』のドキドキ感は一体これの何倍なんだろうか)
できれば「模索」する対象が自分にとって、もっと身近なものであれば、より強く入り込みやすかったかも。

さようなら

さようなら

オパンポン創造社

インディペンデントシアターOji(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

やっと生で見れた公演!
生で見ると全くの別物、泣いて笑ってハラハラして…
先の展開は知ってるはずなのに…
セットは、椅子だけ。なのに様々な空間が場面転換によって現れるのは、役者さんの表現力だと思います!

ネタバレBOX

私は、柴田に共感です。
どこか諦めてる。変わりたいと思っている人を冷めた目で見ながらも、でもちょっと羨ましい。
そして、色んなことをやらされる。笑
さようなら

さようなら

オパンポン創造社

インディペンデントシアターOji(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

舞台は映像で観るより生で観たほうが100倍面白いを実現してる舞台。

始まり方からラストまであっという間に終わってしまったように感じた。

役者が全員素晴らしすぎて誰がいいとか言えない。

観れば観るほど楽しめる舞台でした。

さようなら

さようなら

オパンポン創造社

インディペンデントシアターOji(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/20 (金) 15:00

会話や場転のテンポが凄い!
見ていて、気持ち良かった!!

そして、人間関係や距離感が現実味があり面白い。
共感できる部分や疑問に思う部分が出てくると思いますが、それは現実に限りなく近いからだと思います!

まだ、観てない人は是非見に行って欲しい!!
舞台の面白さが、いっぱい詰まっています!!

青春超特急

青春超特急

20歳の国

サンモールスタジオ(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/19 (木) 19:30

価格3,000円

卒業公演と銘打つだけにラグビー大会とか文化祭とかの個別行事ではなく「これが20歳の国的3年間の高校生活だ」と言わんばかりの内容で、冒頭からアオさとアツさ満載、青春真っ盛りな様子に胸がアツくなる。
以降、そんなコトあったな、あんなコトあれば良かったな、と観客に思わせたり、過去公演を想起させたりする行事が話題に出てくるのはズルい……もとい巧いし、劇中でも演劇同好会のメンバーが「卒業公演」について話すので本作とのリンクまで感じるんだな。
あと、学校用の机と椅子の組み合わせでいろんな場を表現する美術もステキ。
卒業、おめでとう!
さて、次回以降はどんな作品を見せてくれるのかしら?それもまた楽しみ♪

地底妖精

地底妖精

Q

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

すごく刺激的で面白かったです。目に見えていないものは存在していないのと同じ。人間の目には見えない(はずの)妖精と、目がないもぐらが登場して、私たちがあえて見ないようにしていること、見えてない振り(演技)をしていることを、乱暴に炙り出していきます。

青春超特急

青春超特急

20歳の国

サンモールスタジオ(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

自分としては、まず「え~、サンモールスタジオでやるのかよ~、天井高の空間を活かせるハコでの演出が売りなのにィ。」と始まる前からテンションが下がっていたけど、その辺を差し引いてもやっぱり良いです。私の隣の女性が後半からずっと、ハンカチを顔の位置固定で感情移入して泣きっぱなし状態で気になって集中できない(笑)
初日からダブルコールも納得の秀作でした。
取り敢えずあとニ回観る予定。
早速普段演劇とは馴染みが無い、職場の同僚に勧めまくってます。

R老人の終末の御予定

R老人の終末の御予定

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/20 (金)

老人を演じた三人が素晴らしかった☆ あと 久しぶりに復活した本編前の 寸劇が良かったです☆

ネタバレBOX

開演前の寸劇は 他では見れません。あれがあってこそのポップンだと思います。 そしてクオリティも高い! 今回はアンパンマンのパロディでしたが、 正直、本編よりも良かったくらい最高でした! 吹原さんは短編が得意なのだと思います。
感想ですが、 自分としては 元ネタのほうが好きでした。 あれは本当に傑作です☆  付け足したストーリーは なんだか薄っぺらで 間延びしちゃった感じもするし、 無理に被り物キャラをだしたり、笑いを取らなくてもいいのにな~と思います。 ただ、役者さんは 一人二役、三役やっていて、大変でしたね!  裏でメイクをしたり 取ったりと 大忙しだったのでしょうね!
最後、ギターの被り物姿の野口オリジナルさんが 汗だくで 物販の紹介をしていたのが印象的でした。お疲れさまでした☆
今度は 長編ではなく、短編集をやってみてはいかがでしょう!?  きっと面白いはず☆
狂犬-やまいぬ-

狂犬-やまいぬ-

officeZTON

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2018/04/05 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

凄まじいものを見ました。終わったあとの言葉が出ない、あの感覚。久しぶりに味わいました。まっすぐすぎる、純粋なまでの狂気が痛々しいくらいに、澄んでいて、怖くなりました。
歴史が好きな人にはたまらない、あのガッツリ感。いつもと客層も違う気がしました。あの歴史にこんな魅せ方があるのだと知りました。
そしてやっぱりダブルキャストって言葉に騙されちゃいけない(笑)

ネタバレBOX

ただのダブルキャストなはずはないと疑っていましたけど、まさか、結末違うだなんて思いもしないじゃないですか(笑)
してやられました!!
LOVE BATTLE FIELD

LOVE BATTLE FIELD

情熱のフラミンゴ

アトリエヘリコプター(東京都)

2018/04/05 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

桶川のパン屋一家をめぐる愛の戦争。法律と感情の相剋がよろめく身体と共に展開され、身障者のレイプ、過保護とネグレクト、冷凍冬眠、サイバースペースとあらゆる主題が戦場に放り込まれる。ノアの箱船を想起させるラストまで引っ張って行くスケールもいい。様々な方向性を潜在的に持つ作品なので、劇団がこの後どうなっていくのか気になります。

忘却論

忘却論

華凛

ワーサルシアター(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★

 レイアウトが少し変わっている。(追記4.25:04;48)華3つ☆

ネタバレBOX

板中央は十字路が通っており、その各コーナーには水を張った水槽が1個ずつ置かれている。無論台に載っている。これらの周囲を囲むように椅子と机が置かれているが、机は入口からみて右奥のコーナーを除く3か所に、机用椅子は机の手前に背凭れの無い物が置かれている。他の椅子は十字路への入口を除いて均等に置かれている。このひと回り外側総てが観客席である。天井からヨシキリ鮫の顎ほどの大きさ、形状の枠から吊り下げられたテルテル坊主が吊るされている。
 出演は女性ばかり10人。5人が姉妹、母、教職の研修に来ている国語教師、近所のおばちゃん、花屋、姉妹の彼氏役である。
 しょっぱな忘却曲線について語られるが、このデータを得る為の実験と結果の妥当性が今も古びずに用いられていることが緩やかな導きの糸となり、物語というものは作家の意図次第で結末をいくらでも改変できるという事実をもう一つの糸にして物語が紡がれてゆく。各出演者かなりの熱演で、その点は評価していいが、3~4 割の演者の科白は、がなられているだけで滑舌が悪く聞き取れない。演出はしっかりダメ出しをして少なくともゲネまでには改善するか、それができなければ舞台を通常の形にして滑舌の問題が余り観客の聴き取りに問題にならないよう、科白の聞き取り易さを優先すべきであろう。仮にこのような点にも気付いていないのであれば、演出を基礎からやり直すべきである。演出の役割とは、脚本に書かれていることを観客に最大限効果的・的確に伝えることだろうからである。熱意や勢いだけで演劇は成り立たない。
 ネタバレが楽日以降との要請があったので、この点については楽日以降に記すことにする。
 善悪は人間が勝手に決めるもの、一方人間はどんなことも考えることができ、罰を考えなければ簡単に実行に移すことができる。それを演劇という手法で見せた点が良い。
 但し様々の悪行は、己の内側の論理によって、己の総てを明澄化し、律していないことから来る。考える気になれば無意識のある程度迄を意識化できるし、八識についても認識できるのが人間である。またこのレベルに至って初めて無明の闇の入り口に立つことになろう。即ち己の無明を己の力で律するトバ口に立つことができるのである。今作は。この認識のとば口にも立つことのできない無明を生きる者たちの迷妄を描いた、と見た。熱演ではあるものの、この文の途中で注意したことなどを意識して更に高みを目指して欲しい。
母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ

母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ

MICHInoX(旧・劇団 短距離男道ミサイル)

北千住BUoY(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

 2011.4月、殆どの日本人がF1人災のショックに魂を抜かれたようになっていた時に立ち上げたユニットが母体となったこの劇団だが、よくあの中で立ち上げたな! と感心する。(追記後送)華4つ☆

ネタバレBOX

自分などは、メルトダウン、メルトスルーを心配して12日、13日辺りはもう日本が終わる、と深刻な精神状態で情報集めと分析に必死になっていた。偶々、フランス在住の知り合いから、13日深夜だったかヨーロッパの科学者たちがスパコンを使ってF1人災によって発生した放射性プルームの移動予測(スピーディの予測のようなもの)したものをメールに添付して送ってくれたので、そのデータを自分の親しい者達には拡散した。東電や官僚、政治のスポークスマンの言う事は無論信用できないから。菅首相(当時)は東工大の物理出身だから核暴走がどのような結末を招くか即座に判断して東電に報告や状況把握を求めたが、清水(当時の東電社長)は、自分達が逃げることばかり考えて碌な対応を取らなかったことは、当時も報道された。東電で頑張ったのは亡くなった吉田所長と現場の人々である。
 ところで、太宰の薬漬けは、無頼派青年の深刻な精神状態とその危機を如実に語るものとして我らを惹きつけてやまない訳だが、今作は、当にこの点にコミットしている。(無論、麻薬にということではない)作品をソフィストケートすることによって全体をパーフェクトでコンセプチュアルな様式に貶めるのではなく、あくまで今作のベースになっている「人間失格」を書いた当時の太宰の抱えた“破綻”に掉さしてゆこうとしているからである。何故、このように困難で未完な形式を選んでいるのかについては、3.11の深く、凄まじい体験があるからなのだと、自分は考えている。
 これらのことを描く為に彼らが採った方法とは、生身であることだ。2011年4月に結成されたユニットが旗揚げであったことは既に述べた。この時彼らは、生身を視覚的象徴的に表現する方途として脱ぐことを選んだのである。以来、この方法は、この劇団の伝統となっている。今回、演じられたBuoyが、元銭湯であるというジョークも気が利いている。実際、劇空間は、上階には元ボーリング場の、今作上演会場は、洗い場のタイルの上に組まれた畳2畳の部屋と下手にはカラン、部屋の奥には浴槽が残り客席床からは欠けたブロックと20㎝ほど底上げされたタイル面、切断された管などが丸見えのB1にある空間であり、入口から劇空間まで観客席を囲うように入口側を除く3方には、天井から帯状の紙に記された「人間失格」の一部“弱虫は、幸福をさえおそれるものです”などが書かれ吊り下げられている。その数100枚近いだろうか。BGMは、ちょっと変わった環境音楽といった感じのものが流れて、異空間を形作っている。更に、この部屋の奥の衝立は、スクリーンとして利用され演じ手としても登場する本田氏がパワポで拵えたイメージが映される。(何と、パワポで700メガ)
R老人の終末の御予定

R老人の終末の御予定

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

まさかの家電の、ロボットの、千年にわたるラブストーリー。たまらなく笑えるのに素直に泣けます。
キャストの皆さんのタフなエネルギーとサービス精神、確かな舞台です。
とにかく、楽しい、面白い!

ネタバレBOX

再起動しちゃうPSとか、ブレーカー攻撃とか、観てください、で笑ってください。
青春超特急

青春超特急

20歳の国

サンモールスタジオ(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★

初観劇。オバサンとはかなり世代が違うと思う反面、あぁそうだねぇとその懐かしい感覚を思い出していた。創作ダンスさながらのダンスに、勢いだけで唄う歌、どれもが青春している!って感じで、その時を突っ走っているような気がする。冷めているようで内側に有り余っているエネルギーのようなものも、舞台の上にあふれ出しているように思えた。

リチャード三世

リチャード三世

芸術集団れんこんきすた

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/19 (木) 19:00

座席1階1列


「リチャード三世」こんな構成、演出もあったのですね。
殺された者、恨みを持つ者の怨念によって、殺されるリチャード三世。
その怨念たちの回想によって綴られる物語、という展開には感心しきりです。
物語の進行も、ともすると終始、陰鬱に流れ一本調子になるところを(これも突きつめると、高い緊張感を保ててすごい舞台になるのですが)、適度にユーモアを混ぜ、緩急をつけてながらテンポよく展開する演出は、2時間半の舞台をけして飽きさせません。
役者さんの芝居も、その個性に合わせて過不足なく緊張感を持たせていますし、何と言っても、皆さん全体的にうまい。ツボを得ていると思います。

さてそこで注文です。
台詞の間違いや噛み、滞っている場面が多すぎです。進行のリズムが崩れるようなことはないのですが、どうしても観客としてはどうしても舞台への集中力を削がれます。
ちょっと、悪連鎖になっているような感じさえしました。

それと、前回の本作公演では、舞台が円形だったとのこと(前回公演の「観てきた」を読みました)。役者さんの席は舞台左右。
今回、役者さんの席が舞台後方になったことで、回想を眺める怨念の主たちの反応や表情が見やすくなったことは正解だったと思います。ただ一方、舞台を長方形にしたことで、役者の立ち位置がバランスよくなっているように推測しているのですが、舞台の周りを役者さんが回るときはちょっとぎくしゃくしませんか。(角を回るときにどうしても大きく方向転換をするので)。最前列の観客とすると、舞台正面の役者さんの導線の幅が狭く、役者さんが舞台下を前面に移動してきたとき、正面を回るのか否かが判りづらく、緊張を強いられます。(観客として足元が邪魔にならないか)

長方形の舞台はけして悪いとは思われないので、それであれば、舞台正面のスペースをもっとゆったりさせた方がよいと思います。今回であれば最前列1列をなくすというような。おそらく、役者さんも正面を回るときに、観客席を気にするでしょうし、(特に、女性は衣裳が宮廷調で大きいので)観客も安心して観ていられますので。

しかし、それでも面白かったですよ。ブラボーです。「リチャード三世」という作品が一層好きになりましたことに感謝します。

追記:また、熊坂理恵子さんを拝見しました。「白蟻の巣」「やとわれ仕事」そして先日「人形の家」本当に印象が変わるなあ。だから、アクターなんでしょうけれど。役の安定度が高い、と感心しきりでした。また、お会いしたいです。

ネタバレBOX

ラストの件がちょっと判りにくかったです。あの金髪は「ヨーク」であり「リチャード」ということは、あの傀儡というか死神というかの役は、分裂したリチャード三世の生霊みたいなものなのでしょうか。

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