母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ 公演情報 劇団 短距離男道ミサイル「母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     2011.4月、殆どの日本人がF1人災のショックに魂を抜かれたようになっていた時に立ち上げたユニットが母体となったこの劇団だが、よくあの中で立ち上げたな! と感心する。(追記後送)華4つ☆

    ネタバレBOX

    自分などは、メルトダウン、メルトスルーを心配して12日、13日辺りはもう日本が終わる、と深刻な精神状態で情報集めと分析に必死になっていた。偶々、フランス在住の知り合いから、13日深夜だったかヨーロッパの科学者たちがスパコンを使ってF1人災によって発生した放射性プルームの移動予測(スピーディの予測のようなもの)したものをメールに添付して送ってくれたので、そのデータを自分の親しい者達には拡散した。東電や官僚、政治のスポークスマンの言う事は無論信用できないから。菅首相(当時)は東工大の物理出身だから核暴走がどのような結末を招くか即座に判断して東電に報告や状況把握を求めたが、清水(当時の東電社長)は、自分達が逃げることばかり考えて碌な対応を取らなかったことは、当時も報道された。東電で頑張ったのは亡くなった吉田所長と現場の人々である。
     ところで、太宰の薬漬けは、無頼派青年の深刻な精神状態とその危機を如実に語るものとして我らを惹きつけてやまない訳だが、今作は、当にこの点にコミットしている。(無論、麻薬にということではない)作品をソフィストケートすることによって全体をパーフェクトでコンセプチュアルな様式に貶めるのではなく、あくまで今作のベースになっている「人間失格」を書いた当時の太宰の抱えた“破綻”に掉さしてゆこうとしているからである。何故、このように困難で未完な形式を選んでいるのかについては、3.11の深く、凄まじい体験があるからなのだと、自分は考えている。
     これらのことを描く為に彼らが採った方法とは、生身であることだ。2011年4月に結成されたユニットが旗揚げであったことは既に述べた。この時彼らは、生身を視覚的象徴的に表現する方途として脱ぐことを選んだのである。以来、この方法は、この劇団の伝統となっている。今回、演じられたBuoyが、元銭湯であるというジョークも気が利いている。実際、劇空間は、上階には元ボーリング場の、今作上演会場は、洗い場のタイルの上に組まれた畳2畳の部屋と下手にはカラン、部屋の奥には浴槽が残り客席床からは欠けたブロックと20㎝ほど底上げされたタイル面、切断された管などが丸見えのB1にある空間であり、入口から劇空間まで観客席を囲うように入口側を除く3方には、天井から帯状の紙に記された「人間失格」の一部“弱虫は、幸福をさえおそれるものです”などが書かれ吊り下げられている。その数100枚近いだろうか。BGMは、ちょっと変わった環境音楽といった感じのものが流れて、異空間を形作っている。更に、この部屋の奥の衝立は、スクリーンとして利用され演じ手としても登場する本田氏がパワポで拵えたイメージが映される。(何と、パワポで700メガ)

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    2018/04/20 12:22

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