
夕焼かれる
ピンク・リバティ
小劇場 楽園(東京都)
2018/11/13 (火) ~ 2018/11/18 (日)公演終了
満足度★★★
演出、音響、照明、効果、役者と非常に技術的なお芝居
物語が強く作られたなと感じたが、妄執が支配した世界は共有できない
それゆえ浮かび上がってくるのが本当に外っ側の皮一枚だけだったのはもったいなかった

『骨に触れる/スティレットと潜熱』
裃-這々
シーナと一平(東京都)
2018/11/17 (土) ~ 2018/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
「好き」とか「愛」ってのは個の中で完結される性質だと考える
例えば、どこまで好きになれるのか愛せるのかといった命題に
対象である相手を消して考えてみても、その存在も重さも決して価値を失わない
自然の摂理に反した感情、愛しい人は自分の中にいる
そういった感触を得られた作品だった
そうストーリーとか展開とかじゃなくて、何かに触れた感触を持って変える作品だなと

消える
中野坂上デーモンズ
OFF OFFシアター(東京都)
2018/11/14 (水) ~ 2018/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
泣くような作品じゃないのに途中ぼろぼろと泣いてしまった
たぶんそこに演劇が無かったから、そして僕のいないところに演劇があったから
2年前に初めてこの劇団を見た時僕は「精錬されていない剥き出しの不条理」という感想を抱いた
時がたって今、彼らは精錬しないさまを表現として人に衝動を起こさせるまでに高めてしまった
完全に僕は打ちのめされた、こんなにも僕の心を叩きのめす演劇は他にない
物語性とか表現方法とか台詞とかじゃなくあの場所に何が有ったのか?
エネルギーだけがあったのか、演劇だけがあったのか、何もなかったのか
舞台から押し出されて受け取った感情は確かにあって
僕は何故泣いてしまったのか
演劇は自分を表してる気がしたり、人生がわかった気になれたりするもので、それはすがりついている藁の様なもので
この作品は舞台にあげられた自分がその演劇に実は何もないことを見せられて、なのにそれでも好きだと思ってしまって
そんな自分への笑い泣きだったのかもと

自尊心の乱痴気騒ぎ
エンニュイ
CHARA DE asagaya(東京都)
2018/11/09 (金) ~ 2018/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
結局の所、みんな本当の意味では誰とも会話をしていない会話劇。自己防衛白書2018
あまり他で観ることのないタイプの劇で
コメディのような笑いどころじゃないのにあんだけ笑えるんだから不思議な魅力のある作品だなと
テキストの説得力が全てを下支えしてる

遺産
劇団チョコレートケーキ
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2018/11/07 (水) ~ 2018/11/15 (木)公演終了
満足度★★★★
まあとにかく上手い
構成も役者の芝居も照明も見せ方も
それぞれの場面の構図の美しさ
犠牲の上に繁栄があるのは間違いない
しかし繁栄のために犠牲を強いるのを漫然と受け入れてよいのか
誰かの罪を追求するのではなく、罪とは何かを考えさせられる作品だった

冗談だからね。の本当にマジでごめんな祭。
冗談だからね。
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2018/11/03 (土) ~ 2018/11/05 (月)公演終了
満足度★★★★★
「公開稽古~こんなんになるはずでした~」
上演する予定だった、病気だからね。と青春の延長戦の稽古の一部を見せる形
病気だからね。は前に見た時と全くの別物
片方だけ見るとベタで面白いけど、この劇団がやるなら重ねないと意味ないものだものね
「バーベキュー演劇」
まさかこんなに早く再演を見るとは笑
てか9月に観たやつが自分にとっては全部伏線になってて、多分世界で一番あの劇を楽しんだ自信がある
「誰も知らない。」
基本の部分の台本は変わってないんだけど、まるで今回の為に書いたかのようなフィット感
茶番部分が強化されつつラスト部分に劇団として色々経験してきたと言うのが構造としてがっちりハマっていた
キングオブ茶番であり劇団の基本形

両頬ペチンペチン謝肉祭
鼻雑技団
OFF OFFシアター(東京都)
2018/11/02 (金) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
地蔵中毒だけとかにこにこちゃんだけの時よりポップでコントチックだった
お笑い芸人のライブ的テイストも混じってたけど、最終的に頭がおかしくて笑い疲れた
地蔵中毒メソッドの部分は鉄板だし、ゲームパートの馬鹿な物語性は秀逸だった。終わり方も最高

背に描いたシアワセ
やみ・あがりシアター
APOCシアター(東京都)
2018/10/24 (水) ~ 2018/10/30 (火)公演終了
満足度★★★★★
いやぁこれは凄い良かった、お芝居の嘘に心地よく騙された
今年観た戯曲の中では一番良い本かも、リピートできないのを悔やむ
伏線や情報の出し方やコントロールが素晴らしいし、見えているフォーマットで面白く笑わせているのがまた凄い

桜の園=Everyone is a child
都市雄classicS
新宿眼科画廊(東京都)
2018/10/21 (日) ~ 2018/10/31 (水)公演終了
満足度★★★★
べろガンの時と同じようにどこか居心地の悪い意地悪さが感じられてなんか嬉しかった
まんま桜の園なんだけど、楽譜で言うと音符や音楽記号によって作られるものを楽しむんじゃなくて五線譜の面白さを楽しむ感じ
クラブのパーティーのような舞踏会のシーンが好きだった
作者と自分とで多分笑えるポイントが全然違うんだけど
自分の持ってる感情とか琴線とのズレを認識できるのが面白くて
桜の園という物語がある分、自由度が高くて、どのおもちゃが好きかという嗜好の違いのようで
周辺視を使いまくって全部一緒に重ねて楽しむ感じだった

るさあるかゔぉじゃのおい
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2018/10/24 (水) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
トワイライトゾーンから始まるまさに現実と別世界の境目の物語
いやぁこういうの凄い好みで笑いどころも多くて面白かった
おどろおどろしい雰囲気なんだけど新井舞衣さんのキャラが
一発で笑っても良い雰囲気に持っていって素晴らしかった

こどものうた
第27班
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/10/26 (金) ~ 2018/11/06 (火)公演終了
満足度★★★★★
Aグループ
「こどものうた」
物語ってのは決して留まってなくて、一昔前にどこかの物語で散々語られたテーマは
子供を産んでこうやって新しいテーマとしてまた物語を紡いでいくわけで
世代が下って、時々戻って、でも結局語る愛の温かさは変わらない
そうこれが第27班の物語
「30歳の制服デート」
横手慎太郎ファン垂涎の作品
正直舞台上の世界では、自分の性別とか役者の性別とか関係なく
キュンとしたり萌えたりするもので
破壊力の高い横手さんに何度も殺されそうになった
てか作品自体当然めちゃめちゃ良いし、なにこれ、好き
Cグループ
「平成舞姫 2018ver.」
今の時代の踊り子はYouTuber
舞姫はベースではなくて投影されたテクスチャ
わざと芯から外された柔らかい音が響くような展開で
中村つぐみさんの色の無い艶やかさが舞台上に映えていた
堕落だけが恋によって残されるただ一つの痕跡
「川原君で学ぶInstagram入門」
クズで学ぶシリーズ。説明台詞と薀蓄でまぶした実用的要素もクズフィルターを通すと台無しに
このシリーズでのもりみさきさん凄い好き
なんか人形が無くても本人自身がそういうキャラにも見えてくるし毒舌が似合う
新太さんの芸達者っぷりも最高だった
Dグループ「マリー・アントワネット」
ゾクゾクするほど最悪な樹七菜さんが最高な作品
歴史というフォームに乗ったうえでのある意味シチュエーションコメディであり、構図で笑わせる繊細な力技
大人になってしまって何もかもわかってしまう自分が嫌になる物語
Eグループ「I'm syrup」
ユウヤは性格が破綻してるクズで全然心が共有できないんだけど
そのコーティングを剥がした真芯にある部分は自分も持ってるもので
男こそ色んな好きを持ってるわけで
好きを忘れない為に曲げないために色々ごちゃごちゃ身体にまとっちゃうんだよなと
Fグループ「あの空に恋とかしながら6分間」
あぁこれはやられた、、、完全に泣いたし風景が心に飛び込んできた
なんか頭の中には、さよならポニーテールが流れながらずっと雲も流れてた
殻を剥いた自分がなんなのかわからなくて頭がスクランブルエッグだし
軽く重く好きだ

さよならノーチラス号
空想実現集団TOY'sBOX
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/10/17 (水) ~ 2018/10/22 (月)公演終了
満足度★★
数人以外の役者の演技がだいぶ厳しかった
基礎の部分が成り立っていない所が悪く目立ってて、物語としては面白かっただけに残念
もしダブルキャストにしてることで質が低下してるならシングルで質を高めたほうが良いのでは

大脱走~きゃっちゃ、いんざ、らい~
雨の一座
スタジオ空洞(東京都)
2018/10/19 (金) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★
面倒くさくて、鬱陶しくて、ややこしい、それなのに笑える
懐かしいくらいのスタイルなのに、逆に今他になくて面白い
夢を見させられたと言うか、狐につままれたような劇後感

古書パラレル浪漫譚
はらぺこペンギン!
神保町花月(東京都)
2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
パラドックス物で凄い好みだったし、良質なミステリー小説を読んだかのような劇後感
ヒナコがいることによる物語の深まりが良い
ギャグパートのいくつかが観客側の欲求とズレがあったり、ご都合主義的部分もあるけど、それを覆い隠す物語の面白さだった

みんなのへや・改
アガリスクエンターテイメント
CHARA DE asagaya(東京都)
2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
物語とか装置とかひたすら省略して
そして怒濤のその場しのぎ、という感じにシチュエーションコメディの型として笑える部分をひたすら紡いでる展開
「七人の語らい」の双子であって鏡である作品
物語なんて無いのに物語っぽく見せるシーンで逆に笑ってしまう
当て書きじゃないのに、役者さんのキャラに合わせて書いたかのようなハマりっぷり

暴走桜
革命アイドル暴走ちゃん
しもきた空間リバティ(東京都)
2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★
しもきた空間リバティぐらいの狭さの場所で暴走ちゃん見るのは初めてだったけど、いつもと変わらずガンガンでガーガーしててギャーッてワーがギューンってしてた
考えさせない!感じさせる!空間
暴走ちゃんを見る毎回、もっと自分は楽しめるのではと考えてしまう
演者側のパフォーマンスには何の不満も無くて
客席も含めての作品において、あの綺麗な空間に自分という異物がただ置かれてしまってる気がして
ノリ方とかもっと作品と一つになりたいなと考える

セイラム
sortie
新宿眼科画廊(東京都)
2018/10/12 (金) ~ 2018/10/16 (火)公演終了
満足度★★★★
小説と混じり合う舞台
場所や登場人物も虚実混じり合った舞台
架空の虚構に足元がぐらつく
舞台の嘘の奥深くに物語が続いてく
物語は頭の中で作られていく
だから思ってしまった、このセイラムという話は僕が作ったんだと
そしてこう書いている自分もいつか知っている自分なんだと

はしらない
劇団スポーツ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2018/10/04 (木) ~ 2018/10/08 (月)公演終了
満足度★★★★★
小ネタ小ボケお約束お約束破り満載でどの場面も楽しい
系統でいうとゴジゲンに近い風味
スキあらばボケて埋めてくる感じが凄い好きだった
徹底的にふざけて、衝動でぐるぐるして、自意識に操られて格好つけて失敗して
この作品はいつかの昔の若い日のそのもの

月極セイラ ゴールデン★ベスト
Dr.MaDBOY
スタジオ空洞(東京都)
2018/10/03 (水) ~ 2018/10/08 (月)公演終了
満足度★★★
設定的にキサラギを想起させるが、ホラーや80年台アイドル歌謡などが入り混じって不思議な劇後感
アイドルってのは女の子の一生を表しているんだと思うし
そういった意味でも色々な月極セイラが視覚的にもわかりやすく変わって見えるのは良い趣向

プラスチック・ピノキオ/モンストロ・メモリ
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/10/06 (土) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
プラスチック・ピノキオ
たすいちの作品にはいつも「大切な人との記憶」というのが根底にあって
薄れていったり忘れようとしたり思い出そうとしたり固執したり
自分を世界に認識させ、世界を自分が認識する為の記憶
そんな媒体に色々なキャラをぶち込んで火を付けて
向き合い方を探る物語
モンストロ・メモリ
情報を得られる速度とかテンポとか、どこまでも考えていられそうなテーマとか凄い好みで
細かい設定や各キャラの配置とか90分という時間に狭い舞台で本当に上手くまとまっている作品