最新の観てきた!クチコミ一覧

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みんな鳥になって

みんな鳥になって

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2025/06/28 (土) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ワジディ・ムワワド作品の観劇は腰を据えて相応の覚悟で・・・というのも氏の戯曲は情報量が多く、長く、家族の物語だけに濃厚。情報的にも情緒的にも付いて行くのが大変なのでコンディションを整え、大きく息を吸って幕開きを待たねばである。
にも関わらず(午後は休みを取ったのだが)体調低下のタイミングに当ってしまい、前半何箇所か寝落ちした。が、それでも十分過ぎる情報と情緒とが終演時には自分を満たしていた。
過去目にしたムワワド作品「炎」「岸」「森」と若干趣きが異なったのは、(「家族」「民族」「他者」「人類の歴史と己の歴史(人生)」といった概念群についての壮大な問いかけである共通点はあるが)恋愛と性が「歴史」という大きな枠組みの中に組み込まれて叙述されていた過去(観た)作品に比べると、「恋愛と性の側から」歴史を規定しようとした事、である。即ちこれは男女の恋・愛の物語。作者はなぜそうしたのか・・
そんな事は判りはしないが、イスラエルを舞台にパレスチナ問題に触れる作品である事と当然無縁ではない。本作は2017年初演の作、とは後で知ったが、劇中時折伝えられる「自爆テロ」の報など、2023.10.7ハマスによるイスラエル攻撃以降すなわち現在をベースに語った物語かとも思いながら観た。(テルアビブからの脱出を話している家族の終盤の会話から少し時代が違うかな、とは思ったが、パレスチナ=イスラエルという「戦後」最も長く、最大にして最悪の紛争当事国をテーマに据え、作者が描こうとしているのは何か、凝視せざるを得なかった。)
作者ムワワドは「にも関わらず神は与えたもう」というのと同じ次元で、「にも関わらず二つの民族が壁を乗り越える時が来るだろう」と投げかけている。「今は離れざるを得なかった」二人を、いずれは再会せしめる事、又はその時の到来を約束すること(約束を真実たらしめるのは神であり人はそれを「信じる」しかないが、確信とは既にそれが(時を超えて)実現しているのと同義である)、執筆当時さえあまりに現実と乖離した「夢」だったろうその切望を終幕間際に作者は台詞に書き連ね、その筆致が生々しく痛々しい印象さえ残した。
恐らくそれは現在、地球上に存在する概念の内最も「悪」である名「悪魔」とでも呼ぶしかない某国の所行と、これを看過するしかない世界の絶望を前にすると、夢はあまりに儚く、それを語る意義も霞んでしまいそうで、痛々しいのだろう。
ただ私ら日本人の常識とかの国々の人々との違いも考える。悠久の時の中に己の(家族の)生を認知する宗教的な世界観と時間感覚は、引き裂かれた二人がなお結ばれようとする思いをリアルに受け止め得るのかも知れない。
ラストで見せたのは(過去作がそうであったような)世界という不動で深淵な摂理の中の二人、ではなく、この先の世界を見ようとする二人、であり、未来である限りにおいて希望が無いとは誰にも言わせない二人、である。

短篇集『四十五の事情』

短篇集『四十五の事情』

中野劇団

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2025/07/19 (土) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。3本ともとても良くできているお話の印象で、どれももっと長く拝見したい作品ですね。結婚の報告良いですね。これは今度長いものも上演されるとのこと楽しそうです。役者の皆さんのお芝居も、自然でコミカルで素晴らしかったです。
春に関西に異動になって何作か拝見していますが、関西押しの団体さんができました。次回作も機会があれば。

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

劇団 Rainbow Jam

シアター711(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
心が痛くなる場面や台詞が多く、それに共感できる部分が多々ありました。
人として、女性としての悩みや葛藤がリアルでした。
痛いけど、自分の人生を生きればいい、と前向きになれる作品でした。
良い舞台でした!

一騎当千ノ語リ

一騎当千ノ語リ

劇団fool

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台の上は役者の世界そのままに…演者全員の役柄が光っていて素晴らしかった
母を亡くした悲しみから強くなりたいと剣術を磨きピュアでポジティブでひたむきな少年ナギ、ナギの身を案じ見守る両親、ナギにそっと寄り添う清楚で控えめな少女ハナ、そんな二人を優しく見守るハートの熱い剣士シモン、強がっているが可愛らしいカレン、過去を秘めつつも懐の広い優しいゲン、父、ゲンを愛する凛々しい女剣士ラン、謎に包まれ一見クールだが激しく優しいトビ、怪演とアクションで目を引く姉妹ウーミンハイとウーミンシア、内なる正義を秘めながら苦悩しつつ徳川に従うカムクラ、狂気姫に溺れながらも情と正義はなくしていない徳川
そして、その美しさで徳川を取りこみエキセントリックで血を好み周りを恐怖で支配しながらも孤独と闇を抱える美しくも哀しいヒロイン狂気姫
ひとりひとりに目が話せない魅力的な演者と小気味いいストーリー展開に場面を盛り上げる音響効果も素晴らしい
迫力満点の殺陣のアクションシーンでの華麗な刀さばきは圧巻で映画などの特殊効果の一切ない生のピュアな舞台の良さを味合わせてくれた
本日千秋楽を迎える一騎当千ノ語リに足を運ばないのは勿体ない限りである

ネタバレBOX

多少のネタバレを含んでおりますのでご了承ください

恐怖と残忍さと美しさで徳川を取りこみ支配しながらも心に秘められた孤独と恐怖心から目を逸らす狂気姫…
彼女はソウジを愛していたのではないのだろうか
息絶える刹那に其の名を口ずさんだシーンに彼女の秘められた思いを感じ切なかった
短篇集『四十五の事情』

短篇集『四十五の事情』

中野劇団

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2025/07/19 (土) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

笑かしていただきました。楽しかったです。個人的には2本目の結婚の報告がよかったです。

執着の泡

執着の泡

good morning N°5

ザ・スズナリ(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

物語の繋ぎ部分を省いて場面場面を魅せる芝居でした
全員での全力アンサンブルや早口長セリフ
稽古から含めて毎日これをする疲労感と達成感は半端ないと思いました
ふんどし生尻や浮き乳首やらする女優さん達の汚れっぷりは生鑑賞ならではの特典かと♡
劇場にあまりに溶け込み過ぎてる階段の蜘蛛の巣は帰りに気が付きました
お時間ある方はぜひ

何回かついでにする?サワダラゲの全編は有料配信かDVDの特典にして欲しいです

宮沢賢治『フランドン農学校の豚』

宮沢賢治『フランドン農学校の豚』

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2025/07/09 (水) ~ 2025/07/13 (日)公演終了

実演鑑賞

ルティ・カネルという女性演出家とシアターXとの仕事は10年スパンに及ぶらしく、今回私はこの演目だった事で注目し、発見に至った訳である。座高円寺の上演はかの佃典彦脚色という事もあり宮沢賢治の世界観を美味しく味わった気になったのだが、原作は読んでおらず、今回例のアフターミーティングで観客の感想等を聞けば、例えば「この作品は宮沢作品でも異色である」事や、その原作の色合いを「忠実に再現した舞台であった」事など、自分が想定しない意見が述べられていた。
まず芝居としては「役作り」的な面は詰められていない。演出意図や趣向を具現する要員として立ち働いていた印象。その演出だが主人公である豚を訓育するためにムチを使い、そこだけ暴力的な音が出る。舞台装置や小道具が象徴的なのに対し、このムチはその象徴的であるはずの物(台)を力任せに叩いてパチーン!という音を出し、音量が突出している事もあって生々しい。が、叩いているものは偽物だからエセである。エセなのに本域で(リアルな動作として)叩くので、はっきり言って引いてしまう。
正直言えば例によって睡魔とも格闘していたので細部をかなり見逃している。そこで先の他の観客の感想と考え合わせると、宮沢賢治風のどけさは封印した、動物を食らう屠りの現実を無慈悲に描いたシリアス路線として見えたものだろうと推察。豚の叫びを賢治は皮肉を込めて描いたのか、寄り添うべきものとして描いたのか。仏教的な背景を考えると「殺生」とはこういうものだ、という賢治なりの、やはりシリアスな(子ども向けではあっても)ドキュメントであったのかも?
まずは原作を読んでみよう。

かもめ

かもめ

近代古典塾『芯劇』

バルスタジオ(東京都)

2025/07/18 (金) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

アフタートークでキャラメルボックスの畑中さんが「思ったより100倍よかった」とおっしゃっていましたが、私もそう思いました。全役者さんの台詞が明瞭で、とても聞きやすく素晴らしかったです。
若者の古典、とってもいいです。おすすめします。

815 君と、いつまでも

815 君と、いつまでも

Voice Works TOKYO

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

朗読劇初めて鑑賞!!
みんな素晴らしくてビックリ
中野サトシ最高!
サラちゃん可愛いかった😍
#ボイスワークス東京

執着の泡

執着の泡

good morning N°5

ザ・スズナリ(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

(笑えた度)4(今感)4(完成度)5

エンターテイナー澤田育子ここにあり。
前説で祭り気分を盛り上げる、
ミュージカル+演劇+ショー。

ネタバレBOX

歌とダンスにグダグダさはなく、ネタ曲もありつつの、かなりウェルメイド。
好みは分かれるところ。

演劇部分はお馴染みのハチャメチャ。
大好きなくだらなさ加減。
アングラ、80年代オマージュ、大衆演劇、シットコム、またアングラと様式を駆け抜けて、縦横無尽。

タクシー運転手であるところのキャンドルならぬハンドルジュンからのストリートピアノならぬリコーダーのくだりが秀逸。
上から楽器、下からオケピw w。
リコーダーで音外す強風オールバックがバズったの、もう2年前か、早いなあ。
尿もれw w。拙ムニとか遊園地とか、最初の頃、まだ20代だったもんね。ひらがなに変わった頃のどらま館。演者も観客も年取ったもんだ。
そしてトドメは、ツムラの漢方の番号暗記が役に立っている!! 
小劇場界広しといえど、およそ澤田育子しか思いつかないであろう若者置き去り渾身のネタ。
滋味深い。
〜女子会はじめました〜

〜女子会はじめました〜

劇団SUNNY

北池袋 新生館シアター(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/17 (木)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

ミュージカル「サンダーバード」

ミュージカル「サンダーバード」

劇団アカレンガ

クレオ大阪中央(大阪府)

2025/07/19 (土) ~ 2025/07/19 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

市民劇団のミュージカルチャレンジ
ミュージカル感が少なかった様な気がするが、フォープロットが上手く繋がり、まとまり感は有りました
衣装もゴージャスで、目の保養にもなりました
盛り上がり感が少し足りないかも

大塚ショートストーリー

大塚ショートストーリー

萬劇場

萬劇場(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

7/18観劇

或る阿呆ゥの終活

或る阿呆ゥの終活

らむらどぅプロデュース shared with 怪奇月蝕キヲテラエ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/07/18 (金) 19:30

奇を衒わない劇団「キヲテラエ」のVRストーリー。バーチャルの裏の人生って何だ、みたいな話。(前説2分込み)93分。
 VRが当たり前になってる近未来を舞台に、とあるVRのRPGゲームの中の人物と現実の人物がシンクロするようでいて…、の物語。VRの中なので、どんな出来事でも起こるが、現実とどう絡み合うのか、若干訳が分からずに終わった。達者な役者陣であることは間違いなく巧みな展開を見せてくれて、楽しめる1時間半。

役に立たない言葉が欲しい

役に立たない言葉が欲しい

GORE GORE GIRLS

駅前劇場(東京都)

2025/07/16 (水) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇とお笑いを足したような感じでしたねぇ。もっと笑いの要素を詰め込めば完璧かな~。次回作も期待しています。

消えていくなら朝

消えていくなら朝

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/07/10 (木) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

家族が集まってそこで過去がいぶり出されて葛藤が再燃しトラウマが露呈して・・・、という定番の舞台設定で、一日の中で全場面が展開するので「夜への長い旅路」などを連想させるが、この芝居の登場人物たちの感情の爆発はとても滑稽に表現され客席から笑いが起こる。劇作家を主人公にしている点も面白い。「この芝居がそれなのか」と思わせる。
俳優陣が素晴らしい。どの役も秀逸で違和感ないし、特に父親、母親役が出色。

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

この暮らしにタイトルを付けようとした、日々

劇団 Rainbow Jam

シアター711(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演劇人さんが観たら
自分より刺さるんじゃなかろうか
と思えた あっという間の
2時間の作品 全席自由
椅子箱自転車とシンプルな小道具のみの
舞台でしたが想像力膨らませて
楽しく観劇出来ました♫

ただ演出かと思えるくらいに
盛大に着信音無らした輩がいて
閉口しきりでした
マナーは守って欲しく強く思えたデス

ネタバレBOX

あと3週間で36歳になるという
独身コンビニバイトの主人公ー女性
店長と自分二人しかコンビニ店員が
残ってなくてバイト雇ってーの
辞めた演劇が後から
追いかけて来るような状況で
妊活中の友人の愚痴を居酒屋で聞いたり
たまたま観に行った芝居の稽古で
辛辣なこと言って関わりを深くしたり
主人公さんが人生に吠える作品だったかな

演出家のクズ男とか
新採用のコンビニバイトさんも変わってて
冷静な常識人のコンビニ店長さんとか
登場人物たちが魅力的でした

台本無いと上手く喋れない主人公役さん
松山ケンイチ氏みたいだなぁとか思った

主人公が憧れて演劇に入ったキッカケの
役者さんは身を持ち崩して
コンビニで万引きして捕まりーと
重い人生も垣間見せ=妊活の苦しさとかも
人生の生き方が良く描かれた作品でした
いきなり本読み!the Musical

いきなり本読み!the Musical

CoRich舞台芸術!プロデュース

三越劇場(東京都)

2025/07/14 (月) ~ 2025/07/14 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 俳優4名が初めて読む台本をもとにその場で芝居をする人気公演初のミュージカル版である。私は夜公演を鑑賞した。

ネタバレBOX

 スクリーンに投写される台本は大阪新世界の串カツ屋を舞台に店の常連や店主親子、看板娘に恋してドローンでやってくる男のやり取りが紡がれていく。執筆者は不明だが上田誠の感触に近いものを感じた。数章ずつ役替りで小松利昌、中山優馬 、五関晃一そしてシルビア・グラブが男女問わず演じ分けていく。進行は林希が担った。

 4名が皆白熱した演技合戦を繰り広げるなか、なかでも圧巻はどぎつい関西弁をまくしたてる常連からドローンの効果音までを巧みに演じ分けた小松の器用さである。またグラブの歌唱には客席から拍手喝采であった。即興で巧みなキーボード裁きを見せた鎌田雅人にも惜しみない拍手が送られた。

テン9

テン9

ペキニーズ・ドットコム

OFF OFFシアター(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/07/18 (金) 14:00

ペキニーズ・ドットコム『テン9』
最後列の一列前の下手通路横に座った。迂闊にもあのスペースがそう言うことだと気付けなかった。新部聖子さんのシャウトに鼓膜が震えた!なんなら足もぶつかった!その勢いから途中ホラーに転調して、10年間演劇を観続けて演劇漬けの脳が最後の佐藤有里子さんのシーン、激しい抗争を経た空へのシーンに反応して涙が止まらなかった!
これぞ演劇の醍醐味だと言う上演だった。満足満足!

あの夏の夜の夢

あの夏の夜の夢

演劇ユニットキングスメン

LIVE HOUSE 曼荼羅(東京都)

2025/07/18 (金) ~ 2025/07/19 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 べし観る! 華5つ☆
 曼荼羅は著名ライブハウス、JR吉祥寺南口(公園口)を出て直進できる道を真っ直ぐ。バスが通れる程度の道を抜け丸井やドンキが対面に見える大通り迄出て信号を渡らずに右折、対面のドンキを過ぎて少し歩くと地下への入り口がある。畳半畳程の入り口なので見落としやすい。
 ライブハウスでの公演であるから当然バンドは生。3人編成のバンドでドラム、ベース、リード各々のギター。場転や台詞の切れ目に、演じられている舞台に相応しい曲を選曲して演奏してくれて演劇と音楽が互いに混じる、或いは交感する、時に競合したり逆に引いて舞台の雰囲気を濃密にするなど、シェイクスピアにロックというのは初めての経験であったが実にフレッシュでグー。最終追記2025.7.20 10:04

ネタバレBOX


 そういえば半世紀程前、シェイクスピアに詳しい友人からシェイクスピアは実在していなかった、という説が出ているとの話を聞いたことが在った。その後学会でどうなったかは残念乍ら知らないが、数あるシェイクスピア作品の内、完全オリジナルは1本、殆どオリジナルが1本、この2本の内の1本が「A Midsummer Night’s Dream」である。もう1本の作品名とどちらが完全オリジナルとシェイクスピア実在説の研究者たちが考えているかは調べてみると良い。
 今作では、シェイクスピアを底本に脚本が作られているが、タイトルに“あの”が付いているように演出の篁さんが仕込んだ部分がある。今作終盤部に現れるが、このシーンが、始めっから「紳士・淑女の公式見解」からは懸け離れた若者たちの恋愛模様(現在ではディミートリアスとライサンダー二人の若者がハーミアを愛し、ハーミアの父イージアスが認めているのはディミートリアス。ハーミアが惹かれているのはライサンダー。而もハーミアの幼馴染であり仲睦まじかったヘレナはディミートリアスに恋していることが描かれ、アテネの法に照らして父の命に背けばハーミアは死刑か生涯僧院に入って神の僕となるかを選ばねばならぬ。父権の絶対な頃の父としては当然の判断に娘が逆らう設定等はエリザベス朝にあっても相当ぶっ飛んだ内容と思われる処から始まり、思い余ったハーミアは死か修道院かどちらかを選ばねばならぬ期限までにアテネの法が及ばぬ地にライサンダーと駆け落ちする為、郊外の森で落ち合う約束をする。
 一方森では妖精の王(オーベロン)、妃(タイテーニア)の夫婦喧嘩に端を発した惚れ薬の作用から物語はヒッチャカメッチャカな展開を遂げる、更に同夜アテネ公爵(シーシュース)と彼に強奪されたアマゾンの女王(ヒポリタ)婚礼の夜に催される演劇の募集に応じた民衆たちの段取りや稽古が森で行われていた。パックはタイテーニアの目にも惚れ薬を垂らしていたのでタイテーニアが目覚めて初めて目にしたのは祝賀上演の稽古の為、森に来ていたボトムであった。これら見事なシッチャカメッチャカぶりが物語をずんずん推し進めて行く。
 トリックスター顔負けのシッチャカメッチャカな各場面が篁さんの仕込んだワンシーンでいきなり収束する。シェイクスピアの優れた台詞の一枚上を行くと言っても過言では無いこの1シーンは見事という他は無い。実際にどんなシーンであったかは観てのお愉しみだが、その実態は終演後に追記する。以下が終演後の追記だ。
 {一つ、人間の論理で言えば矛盾と見えなくもない点はある(それは、パックがタイターニアの目に惚れ薬を掛けていた点だ*)が、妖精たちは人知の及ばぬ“魔法”の力を持つ異次元的存在、人間如きの判断で測ってはなるまい。}何れにせよこのシーンの圧倒的インパクトは、今作でシェイクスピアが多用している矛盾語法に紛れて多くの人が看過してしまっているかも知れない。
 今作のラストはシェイクスピアの台詞を活かした民衆演劇口上の見事な矛盾だらけの修辞などを通してハッピーエンドの大団円の安定感と天才シェイクスピアの大きな翼に護られたような幸福感に素直に浸れる人が殆どだろう。
因みに篁さんの仕込んだワンシーンは以下
 妖精の王オーベロンがパックに命じた最後の命令の如何を訊ねる席で、パックが頭部を覆っていたフードを脱ぐと、其処に現れたのは妃タイテーニア。これを見たオーベロンは、それ迄の堂々たる威厳を忽ち喪失してしまう。何故なら王は唯偉そうにパックを手足の如く使い、実際にその命令の手足となって、様々な行き違いや矛盾、抗争を丸く収め大団円を齎したのは、パック即ち妃(この場合女王と言った方が相応しいが)だということを悟るからである。更に深読みをするならこの解釈は己の存在について思考する総ての男女に納得されるものだと信じたい。何となれば女性は産む性であり、女性が産むのは単に子供というに留まらず未来そのものだからである。男性はこの為、即ち女性に奉仕する為に存在し、未来という名の子供たちを育てる為にこそ生きていることを知っているからである。
*無論、この部分を矛盾と見ることは容易い。然し本当にその解釈は正しいのか? ちょっと深読みしてみるなら、これは力では男性に劣る女性の生存与件に係る日常的大問題である。今作の中でも父権性や女性をもののように扱う男の姿が殆ど総ての男性登場人物に現れている。抗ってもどう足掻いても力では勝てない。それは恰も民衆が国家権力という名の暴力(軍・警察)に対する姿でもある。このような絶対的劣勢の下、正攻法で批判や念が表現できると考えるとすれば唯の世間知らずか愚か者に違いない。そんな時に用いられるのが反語法や矛盾語法である、ここで用いられているのがそれであると解するならば、これは力弱き者の問題提起の王道だと考えられる。言うまでも無く今作の演出家、篁さんは其処迄読んでこの手法を用いていると考える方が自然であろう。



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