最新の観てきた!クチコミ一覧

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零れ落ちて、朝

零れ落ちて、朝

世界劇団

三重県文化会館(三重県)

2025/04/12 (土) ~ 2025/04/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

広島公演を鑑賞しました。
圧巻の一言です。俳優から、舞台から、音響、照明から、力強いエネルギーを全身に浴び続ける100分。
いま世界に起きてる異変を知らず生きることは、無垢で無邪気なようで実はグレーなのかなと思いました。
多くの方に見ていただきたいです!

ピエ・イエス

ピエ・イエス

ミュージカル座

劇場MOMO(東京都)

2025/04/23 (水) ~ 2025/04/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ピエ・イエスとはラテン語で『慈悲深いイエス』という意味になるそうです。
はるか大昔の原作の世界ですが、今の出来事のように生き生きと描かれており、スッと物語に入り込めました。
生の歌声が登場人物たちの葛藤や叫びを鮮やかに描き出していて、ミュージカルとしての完成度の高さも感じました。
最後に今も戦争が起きていて、この歌を捧げますという言葉とともに静かに歌われたピエ・イエスが、雨模様の天気と重なって、印象に残りました。素晴らしい演劇を観させていただき、ありがとうございました。

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

レティクル座

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2025/04/18 (金) ~ 2025/04/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

<パセリ農家の悲願2025>
最近パセリ見ない気がする、というかみじん切りなら余裕…とか思いながら。これからは残さず食べます!
<ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡>
分からないけど分かるおじさんの悲哀。おかしいんだけど応援したくなるし胸が熱くなる不思議。

なんかの味

なんかの味

ムシラセ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/04/02 (水) ~ 2025/04/09 (水)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

ただいま 配信鑑賞中🎶

劇場で観て
それぞれが抱えるもの 想いを知っている分…
“どんな想いで あの言葉を聞いていたのだろう”
“どんな想いで 話していたのだろう”と…
登場人物 それぞれの 胸中考えると
観るたびに 涙が止まりません^^;

円盤化は難しいらしいので…
ぜひっ!!
再演 地方公演 してほしい 作品です♪♪

絵本町のオバケ屋敷 〜愛!いつまでも残るの怪!〜

絵本町のオバケ屋敷 〜愛!いつまでも残るの怪!〜

優しい劇団

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2025/04/19 (土) ~ 2025/04/19 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「舞台と客席をひとつにする熱狂」

 開演前の舞台上には出演者たちが談笑したり準備運動をしたりするなか、作・演出の尾﨑優人が客席に向けて前説を行っている。通し稽古をしておらずほぼぶっつけ本番であることに動揺の笑い声がたびたび起きた。

ネタバレBOX

 やがて開演時間になると明かりが落ち、舞台奥に設置された会場トイレのドアを開けて俳優が舞台へ足を踏み入れる。日常と地続きの非日常を感じられるこの幕開きがまずうまい。彼女は絵本町と呼ばれる町の住人(土本燈子)であり、誰も曲がらない三丁目の街角にある通称「オバケ屋敷」へやってきたという。別段なにも不思議なことが起こらないこの町をメルヘンあふれるものにしたいと願う住人に、そこにいた老婆(尾﨑優人)が幽霊たちを呼び出す。ピアノが置いてある部屋で座敷童子(石丸承暖)と出会ったお嬢様(夏アンナ)は、座敷童との交流と別れを回想する。プラモデルに熱中するあまり数々の人造人間を作るにまでなった博士(吉成豊)は、人造人間たちと合唱をして大騒ぎである。演劇部員(早舩聖)は俳優(好姫)から芸道を学び、大人気の子役(千賀百子)は芸能界の鬼(宝保里実)にみっちりしごかれる。幽霊たちの様子を見届けた住人は、いま見聞きした様子を絵本にすると誓ってオバケ屋敷を後にするのだった。

 本作の魅力は尾﨑を含む出演者たちの熱量のある芝居と、詩的かつナンセンスさもある独特の台詞である。特別な舞台装置はなく、簡素なスピーカーからブルートゥース経由で音楽を流し、スタッフが手で持ち運びできる照明を使い明かりを作るというなんともシンプルな作りながら、想像力を刺激された所以である。特に中盤、出演者全員で「ちゃぶ台」をモチーフに激しい台詞の応酬合戦見せたくだりは圧巻であった。もう少し声のトーンを落とし聞きやすい速度での台詞回しのほうがなおよいとは感じたが、冒頭の前説を含め客席は沸きに沸いていた。場面ごとに俳優の見せ場が設けられていて、さながらボードヴィルを見るような面白さがあった。
アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

まちがいない劇団さん。暗転でのモニターも秀逸。考えさせられるフレイズ。ラストまで目がはなせない。すばらしー!

遠巻きに見てる

遠巻きに見てる

劇団アンパサンド

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2025/04/18 (金) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「いくつもの不条理に翻弄される人々」

 登場人物が何気ない会話を重ねるなかで日常に潜む不条理をあぶり出す秀作である。

ネタバレBOX

 踏切下の急な坂道の麓でバイト終わりのユウコ(西出結)と小林(永井若葉)が談笑していると、坂の向こうからランニング終わりの手嶋(奥田洋平)が突進してきて口論となる。声を荒らげ責め立てる手嶋に気圧された彼女たちは、最近市民ランナーが公道を我が物顔で走っていることを非難する。しかし次第にユウコといい仲の溝部(重岡漠)や、はては小林までもが手嶋やランニング仲間の高田(岩本えり)と一緒に走るようになってしまう。予想もしなかった変化にユウコはただたじろぐばかりだ。

 数日後、いつものように手嶋がランニング中に踏切の向こう側に立つと、そこから急に並行世界へと消えてゆきかけてしまう事件が起こる。そしてユウコが友人のアケミ(安藤奎)とともに踏切の向こう側を調査していると、アケミが並行世界へ消えてしまうのだった。アケミを助け出せなかった後悔からユウコまでランニングをはじめるのだが、そこで彼女は小林が走り出した恐ろしい真意を知ることになる。

 本作は何気ない会話を重ねることで手嶋に象徴されるランナーの身勝手な論理や、横暴な人物に仲間をとられていく様、果ては平行世界に飲み込まれていく人間たちなどさまざまな不条理を重層的に、おかしみを交えて描いていく。小林が手嶋を殺そうとして市民ランナーしか使わない自動販売機の水に毒を仕込むものの、誤ってその水を飲んでしまった渡部が死んでしまうといった展開も周到に計算されている。この人間模様の示唆するところは観客によってさまざまであろう。数日間の話とはいえ暗転が多いのにはやや辟易したし、もう少し長い尺で観たいとは思ったものの、味読がいのある小品を愉しんだ。
アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度

4月28日観劇。

ネタバレBOX

舞台両端前方にモニターがあり、頻繁に文字が映し出されるのですが、最前列だとそれに気付かない&見にくいので、世界に入れませんでした。
逆光が聞こえる

逆光が聞こえる

かるがも団地

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/04/27 (日) 17:00

お気に入り劇団の新作。少しテイストが変わって、さまざまな形でのハラスメントを扱う。面白い。(3分押し、2分ほどの前説込み)121分。
 若手劇作家・演出家の不破は、高校時代の同級生・仙田と出会うが、仙田をいじめていたことを思いだし…、から始まる物語。さまざまなハラスメントが出てきて、良い意味なのだけれど、「後味」が悪い。劇団員・宮野が前説を語りつつ芝居に入る展開はいつもの通りだが、前半はテンポよく展開される物語は徐々にリアルになり、痛々しいシーンもあったりして、終わり方も納得できるというエンディングではないということで、「後味が悪い」。あえてその後味の悪さを追求したあたりが、ちょっとテイストが違うということ。とても楽しませてもらった気がする。
 本劇団は『意味なしサチコ、三度目の朝』を観て以来、7作連続で星5つを付けているのだが、星5つは1/10の私としては稀な劇団。本作品は同作品とちょっとテイストが似てる気がする。次回作が『意味なし…』の再演と言うのは非常に興味深い。
 手慣れた役者陣が多い中で、百瀬葉という逸材を発見。このあたりが、「女優系」の醍醐味だな。

拘ったところでたかが文字

拘ったところでたかが文字

劇団皇帝ケチャップ

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/16 (水) ~ 2025/04/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

昼にTeamクリームソーダ、夜にTeamホットケーキを同じD列5番で観劇。
とある文学賞受賞作品発表の日、偶々喫茶店に集ってしまった5人の作家と関係者、その中には店のオーナーと高校時代に文学サークルで同期だったが2年前から犬猿の仲である2人もいて……なワンシチュエーションコメディ。
賞の発表前の不安や犬猿の仲の相手と同席するいら立ちなどで暴言・悪態を口にする作家とそれに振り回させる担当編集や関係者という状況は自然でリアルな会話が特色の吉岡作品にぴったりだし普段は「もう少し間があっても良いのでは?」という速射会話もテンポの良さとなり追い風状態。
あと、悪気はないが思慮もない(毒)ので思ったままを口にして敵を作ったりトラブルのもとになったりする人物を配したのは見事♪

SEXY女優事変ー完結篇ー

SEXY女優事変ー完結篇ー

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

毎回「今やってるぞ」と泡食って観に行くパターンだから公演も後半になる。芝居も熟して来た頃合いを観ていたのかも。
今作は前説からの前口上で望月六郎が「全く書けない」と団員の前で白状し「力を貸してくれ」と頭を下げた、という導入である(語りは名調子)。やんわり覚悟をおし、と観客に含める魂胆かと様子を窺いつつ、観る。
これまでは話がぶっ飛んでいようが捻じ伏せていた鉄壁が揺らいで(ドガドガにそれ言うかと突っ込まれそうだが)何かと大変な舞台であった。が大技も繰り出して作者の居直りのようにも。伏線は回収を拒んで引っくり返るし、がっつり感情移入させたかと思えば引っくり返すし、で骨格まで砕いちゃドラマが残らないでしょ、という。。
あとこれはガチな不服になってしまうが、楽曲と踊りのカタルシスがドガドガでは毎度訪れそれが私には買いであったが、今回は沸点を超えるものがなかった。私は楽曲そのものの問題と感じていて、今作が作曲家を駆り立てるドラマツルギーに欠いたせいかと考えたり、芝居のボルテージとの兼ね合いなのか踊りのキレの問題か「東洋館での最後の公演」と聞いた寂しさがそぞろな観劇にさせたのか、等とも考えてみるが、何とも。
生きる場の厳しさが折節に吐露されるのは毎回の事とは言え、今作ではリアルな今に重なり、更に現実の(素の)彼女ら彼らに重なるように迫って来た故だろうか。。
何故か俳優ら一人一人の生々しい姿が俯瞰でなく間近な距離に感じられ、心配などしてしまったりしているに及んでは、これはアイドルとファンの構図にシフトしてないか?という否み難い感覚が(元々その気が濃厚な劇団ではあるのだが、、。)。

しかし梁山泊ゆかりの石井ひとみや小檜山(かなり昔になるが)、唐組所縁の岡田吾一等ドガドガ舞台を毎度彩る面々の面白さも個人的には買いであり、ドラマの骨格も大事にね、と願いつつ今少し見守りたい劇団である。

SEXY女優事変ー完結篇ー

SEXY女優事変ー完結篇ー

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

セクシー女優事変シリーズ 全5作の完結編。 あれやこれやの話がうまく纏まっている。しかし初めて見る人でもちゃんと楽しめるように随所に仕掛けがあるので大丈夫! タイトルみてドン引きしている方もいるかもですがまったくエロっぽくありません。 むしろ昭和から令和にかけて日本が進んできた道を総括さえしてくれます(勉強にもなるってことですね)。 でもって見終わったあとは「楽しい」。これがドガドガプラスの真骨頂です。 

神様の家庭菜園

神様の家庭菜園

夕方5時のチャイム

OFF OFFシアター(東京都)

2025/04/26 (土) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何でもない日常のあれこれを示唆を含めて演じるのは役者的には難しかったのではないでしょうか?後半で感情に軋みを感じさせてホロっとさせる辺り、込み込みで面白かったです。

幸せのかたち

幸せのかたち

+ new Company

調布市せんがわ劇場(東京都)

2025/04/23 (水) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

TEAM Coffeek観劇。喫茶店を舞台にした恋愛群像劇、大いに楽しめました。笑いも多いけど、DVやヤングケアラーのこともさりげなく入っていて、色々と考えさせられました。劇中の歌もよかったです。

浅草カルメン

浅草カルメン

歌舞伎オペラ実行委員会

浅草九劇(東京都)

2025/04/13 (日) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

歌舞伎オペラなんですが、これぞ大衆演劇ですね。ぶらっと楽しめて、飲食可も嬉しい。インバウンド対策の英語字幕も勉強になります。

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/04/26 (土) 14:00

価格4,300円

9-Statesの舞台は3回目。
今回は漁師町と組合によるヒューマンドラマ2時間もの…分かりやすく舞台作りも丁寧。
駅前劇場の両サイドに吊るしたモニターを場転で行う手法はおなじみかな。
まるで実家に帰ってきたかの様なほんわかした物語に、作為的で本質的な問いを投げかけるギャップが最初はドキリとするのですが、3度も観ると徐々に慣れてきました。慣れって怖い笑
本作も個性的な役者陣を迎え、時折クスリと笑みが魅えるBGMと小ボケは健在。

ネタバレBOX

当日パンフレットがQRコードになってました。
経費削減にもなるしエコだけど、A4用紙1枚でも記念に欲しい…というのは私だけでしょうか。
挟まれた他公演のチラシがメインになっている気がして少し残念。

今回の漁協組合の話、以前ドキュメンタリーとして放送された事もある元ネタがありそうです。
東京でコンサル系の仕事をしていたIT系の女性社長が漁業を通じて地方創生を行っていく…経済情報誌やTV放送から知見を得たのかな。ファーストペンギン!も女性が活躍する漁業経営の話だったと思います。最後のシーンの荒木さんと柚の関係が少しもやもや…続きが気になりますね!
天守物語

天守物語

ルーサイトシアター

ルーサイトギャラリー(東京都)

2025/04/26 (土) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

浅草橋駅徒歩数分、川縁にある趣きある建屋。ギシギシと階段を上ったそこはやはり空間が絵になって居る。舞台側となる正面には窓。時折電車の走行音(橋を渡るガードを響かせる音も)が重なり、音的な効果も面白い。
リーディングは泉鏡花作「天守物語」、これは戯曲ではなかった。多分もう十年以上前に新国立劇場主催公演の大型舞台を観ているが、同主催「テンペスト」と同じく会場が中劇場かつ白井晃演出の大がかりでダイナミックな(しかし演目に即さない)奇抜な演出で、話もよく分らなかった(新国立で二本続けて観た印象から白井演出舞台を完全に警戒するようになった)。
という訳で原作も読んでおらず作品も今回初めて知る事に。
あゝ・・「海神別荘」や「夜叉ヶ池」また「高野聖」に通じる見事な「異界」の描出。泉鏡花を異才たらしめる筆致は(上記作品群では)異界と人間界との接点を描き出して人間への痛烈な批評的視線を滲ませる。本作が鏡花の代表作の一つとされている所以が得心された上質なリーディングであった。

鏡花には「歌行燈」「婦系図」「日本橋」といったリアルな作品群(映画で観た)もあって自分はこの作家世界を知る端緒にあるに過ぎぬが、今回これを美味しく戴けたことは誠に満足至極。

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観劇前はかなり特殊な気質をもった漁船の町をイメージしていたのだけれど、そんな事はない地方のどこにでもありそうなコミュニティー
存続の危機に直面する中でそれぞれが主張する正義は、裏を返せばその主張が通らなければ自分にとって都合が悪いという事でもあり
それぞれの立場になって考えれば納得できてしまうものだから、そうなると正義の行方が混とんとしてくるのがとても面白く目が離せない

何っその言い方(笑)調子に乗り過ぎだろ(笑)などと沢山笑ったけれど、その笑ってしまう理由にはその人への共感が多分に含まれているので中々に味わい深い笑い
生活が懸かっている登場人物達にとっては深刻なのは当然だけれど、客席からはそれぞれの衝突が広い視野で見えているので何とも興味深く人生勉強になる公演でした

ネタバレBOX

とっても意外な人が「アルカの板」の話しを持ち出したのでビックリ
ミステリーでは「まさかこの人が犯人!」という面白さがあるけど、それに似た「まさかこの人が!」的な驚き
一筋縄ではいかない人の心理も巧く盛り込んでいて、より一層深い話に
なべげん太宰まつり『駈込み訴え』

なべげん太宰まつり『駈込み訴え』

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2025/04/27 (日) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

太宰治の『駆込み訴え』と映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』は自分のキリスト観を築いた作品。常にこういう視点で見てしまうのでユダに感情移入は避けられない。そしてあぶらだこの『PARANOIA』。かなり歪んだ感覚だろう。裏切り者の裏切らざるを得なかった純情を謳う。愛なのか復讐なのか、突き詰めればそれは同じ意味なのか。キリストの物語は未だによく判らない。死にたがりの救世主モドキとその一番の理解者との愛憎物語。ただハッキリしているのはキリストが無敵の神様ではなかったこと。純情を貫いた弱者だった。だから皆トラウマとしてずっと抱えることになったのだ。

①下山寿音さん一人芝居『駆込み訴え』
本編50分程度の原作を30分の下山寿音さん一人芝居に凝縮させた。下山寿音さんは友近の若い頃のようなド迫力と仙道敦子の可憐さが備わった美人。とにかく迫力があって目を奪われる。目力が強い。本当に瞬きをしない。三船敏郎か?
ユダがキリストを本当に愛していて他の誰にも触れられたくなかった気持ちが痛い程伝わる。この人の真の美しさを知るのは世界中で自分一人だけだと。こんな下らない救世主ごっこはもうやめにして静かに田舎で暮らしましょう。何も不自由はさせませんから。だがキリストは破滅に邁進する。自分のことなんて目もくれない。

②青森中央高校演劇部『駈込み訴え』
これはやられた。高校演劇大会の演目に『駆込み訴え』を選び練習を重ねる演劇部の物語。キツい部長(福井来寿々〈こすず〉さん)とこき使われる同学年の演出助手(丹羽桃嘩さん)。厳しい縦社会、嫌気が差して辞めていく下級生達。
福井来寿々さんは松岡菜摘似の美人で存在感がある。
主人公、丹羽桃嘩さんも負けていない。表情に力があって観客の心を揺り動かす。
何かゆるいギャグが散りばめられていてああ学生演劇と思わせといての狙いすましたキツい一撃。『駈込み訴え』の内容を現実の学生生活にだぶらせる仕掛け。これには太宰治も参ったろう。こっちも参った。『駈込み訴え』をお話ではなく、今の現実の一部として描写。これぞ天才の成せる技。台本も買いました。本当に叩きのめされた。こういう作品と出逢う為に皆足繁く劇場に通い詰めているんだろう。

ネタバレBOX

部長をキリストとだぶらせるにはちょっと描写が弱いな、と思って観ていた。主人公との間にもっと強い絆がないと成立しない。それがラスト、『駆込み訴え』を涙ながらに語り終えるユダ、丹羽桃嘩さん、その前に現れた部長、福井来寿々さんが「無理してんのはどっちだよ。」と抱き締める。泣き崩れる二人、ごうごうと降り注ぐ雪。これには理屈を超えたカタルシスで轟沈。

※ここから蛇足。青森中央高校元演劇部の人へ。
BUCK-TICKに「NEW WORLD」という曲がある。若い人達には未来に夢と希望を抱いて貰いたいがその為であろうと嘘はつきたくない。君達がこれから見るのは物凄く残酷で絶望的な世界。だがそんな世界であるからこそ逆に胸を張って生き抜いて欲しい、とそう願った歌。世界は闇、それを切り裂くのは君自身の人生だと。

夜空に煌めく星屑綺麗ね 誰も独りね
これが世界 君の世界 夢幻の闇 君は流星
眩い世界 君の世界 無限の闇 君は切り裂く

この曲を今、AA=(上田剛士のソロユニット)がカバー。上田剛士はTHE MAD CAPSULE MARKET'Sの核だった男。無名の時代、X JAPANのHIDE、BUCK-TICKの今井寿が絶賛して注目を浴びる。

AA= 「NEW WORLD」

(小さな世界)世界が現象し
(君の世界)過ぎ去る騒々しい日
(悲しい世界)それも時代と呼んでいた
(君は涙)枯れない夢にも酔っていた

(夢見る世界)西麻布で遊んで
(君の世界)六本木で見た朝日
(可笑しい世界)あの日彼も笑ってるさ
(君が笑う)今も彼等は笑ってるさ

NEW WORLD!!
落下のUnknown

落下のUnknown

点命

ライト商會三条店 2階ギャラリー(京都府)

2025/04/26 (土) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

完売回が相次ぎキャンセル待ちで拝見
バカバカしさは有るが、楽しめました!
有る有る世界では有るが、人生の虚しさ悲しさを感じる事が出来ました!
次回も是非に

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