最新の観てきた!クチコミ一覧

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小刻みに 戸惑う 神様

小刻みに 戸惑う 神様

劇団ジャブジャブサーキット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

バタバタとほのぼのと、くすっと笑える台詞と。良かったです。あとちょっと感動がほしかったかな。

調和と服毒

調和と服毒

Ammo

上野ストアハウス(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/22 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/10/19 (土) 19:00

あっという間にルネサンスの世界に引き込まれました。
役者の皆様の素晴らしい熱がこもった演技で圧倒されました。
照明も綺麗でした。

リトル・ウェンズデイ

リトル・ウェンズデイ

関西大学劇団万絵巻

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2019/10/19 (土) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

赤鬼の作品を見事に自分たちの世界観として描ききってました!

『GUNMAN JILL 』&『GUNMAN JILL 2』

『GUNMAN JILL 』&『GUNMAN JILL 2』

チームまん○(まんまる)

萬劇場(東京都)

2019/10/03 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです!下ネタ満載という事でしたが、下品ではなく程良い(?)感じでした。ストーリー展開も面白く、登場人物のキャラクターも面白く、役者さん達の変態を熱演する姿が良かったです。面白くて、あっという間の2時間でした。大満足でした!

じゅうごの春

じゅうごの春

やみ・あがりシアター

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

今作もタイトルに色々なものを掛け合わせており、ぐいぐい引き込まれる舞台でした。コメディ調ではありますが、かなり人の弱さや本質を抉ったシーンもあり、脚本の奥深さを感じさせられます。役者さんは、同劇団の舞台で拝見した方も多かったのですが、引き出しの多さに感嘆させられました。

ネタバレBOX

お父さんの自由研究も辛く、また最後のシーンで、ここで引き金を弾いてしまうとは・・・。
少し悲しい終わり方でした。
調和と服毒

調和と服毒

Ammo

上野ストアハウス(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/22 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/10/18 (金) 19:30

座席1階2列

価格3,800円

お見事でしたパラゴーネ。
これも神が…いや人間が産み出した美ではないでしょうか。会話をしていない見ている人も心揺さぶられる。日頃私が思っていたことがここに詰まっていました。

幼少のときから「神さまはいる。でも助けてくれない。」と私は母に育てられました。その言葉はヒューマニズムを自分で探せというサインでもありました。そんな私にはこの作品の台詞のどれもが熱く私の胸に突き刺さって来ました。

私のハイライトはマルカントーニオの声のない笑いから。吉村さんはもうAmmo作品には欠かせない役者さんですね。今日も適役!
役者さんでは高木さん。何度か出演された作品を拝見してますが今日が一番カッコ良かったです。そして前園さん、今日は更に素敵でした。

私の推測だけで書きますが、これまでも南さんの作品には目に見えないものへの追求も感じます。もやもやしているものは声に出すことで具現化していくこともある…。この過程も美ではないでしょうか。そしてそれが戯曲として産まれる。
何か目に見えるものしか信じられない世の中、そんな風潮へのアンチテーゼにも感じます。

南さん、毎回同じ感想ですみません。
「今回も素晴らしい作品を世に出していただきありがとうございました。」

調和と服毒

調和と服毒

Ammo

上野ストアハウス(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/22 (火)公演終了

満足度★★★★

議論好きな工房の話。よく喋る。
イタリア・ルネサンスの時代背景と信仰、ラファエロのライバルを知ってると、面白味が増すかも。知識がなくても全然問題ないけど。
嫉妬の世界なんだけど、討論で解決してしまうのか個々人の関係性はやや希薄な感じ。ラファエロ工房の話だけど、主役はラファエロではない。

衝撃の絵画技法は実在するのが観劇後の衝撃。はわわ

『GUNMAN JILL 』&『GUNMAN JILL 2』

『GUNMAN JILL 』&『GUNMAN JILL 2』

チームまん○(まんまる)

萬劇場(東京都)

2019/10/03 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

お芝居がダメだったら崩壊しかねないシナリオを清水宗史さんが軸となって見事にまとめていた。もちろんそのほかの役者さん、衣装、舞台装置の説得力があってからこそだとは思うが。

ネタバレBOX

今回はちょっと球速頼みの組み立てだったようにも思える。相変わらず良い肩しているのだが。
ナイゲン

ナイゲン

果報プロデュース

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/10/16 (水) ~ 2019/10/21 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/10/19 (土) 13:30

各学年の立場や、それぞれのキャラクターが表現されていて、面白かった。
台詞のぶつかり合いの合間に入る、さりげない台詞が笑ってしまった。

ゴールデンエイジ

ゴールデンエイジ

KING&HEAVY

神戸アートビレッジセンター(兵庫県)

2019/10/18 (金) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2019/10/19 (土) 14:00

3人で色々配役を変えて頑張っていたと思います。
でも、話のつながりとかは無理矢理感があって、やはり作家がいないというのが悪い方向に出てしまったというざるを得ない。

ネタバレBOX

車に轢かれてから人生が始まると思ったのに、また同じことを繰り返して終わってしまった。70分だったからもっと劇の続きを描いても良かったのではと思いました。
じゅうごの春

じゅうごの春

やみ・あがりシアター

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

十歳刻みの時間軸、それぞれのドラマの絡み方・観せ方、素晴らしかったです。

ネタバレBOX

観劇前は平仮名の“じゅうご”については主人公の名前と十五歳の掛詞だろう、くらいの認識でした。よもや先の大戦を彷彿とさせる“銃後”はありえないだろうと。
しかし妙な予感は的中するもので本当に“銃”が登場、なおかつ今回のキーアイテムだったんですね。
そして進行するにつれ存在を増してくる“自由”という同じ韻を踏む言葉。この“自由”という言葉が繰り返されることによって、その明るく楽しいイメージがそれを真摯に求めることにより、苦しみに繋がることに気づかされるんですね。それは、先生曰く自由とは「自分の思ったとおりやってみる」ですが、思ったとおり生きることの難しさを示しつつ、逆に違う生き方をする一美が父から結婚について改めて問いただされた時に見せた表情だけで説明されるんですね。このシーンの演出と演技力、本当に素晴らしかったです。
 最後にその一美を演じた加藤さん、全体を通しても大胆かつ細やかな演技は流石でした。また主宰の笠浦さん、素晴らしい脚本と演出を観せてくれながら、空調の心配からブランケットの手配までの細やかな心配り、本当に痛み入りました。
ゴールデンエイジ

ゴールデンエイジ

KING&HEAVY

神戸アートビレッジセンター(兵庫県)

2019/10/18 (金) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

最初はコントなの?!って思ったけれど
お芝居でした!怒涛の70分!
とってもとっても面白かった!!
出演者さん御三方全てが素晴らしい!
観ないともったいない!

『Q:A Night At The Kabuki』inspired by A Night At The Opera

『Q:A Night At The Kabuki』inspired by A Night At The Opera

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2019/10/08 (火) ~ 2019/10/15 (火)公演終了

満足度★★★★

「ロミオとジュリエット」を源平合戦の中に置き換えた物語。クイーンの曲は「ボヘミアン・ラプソディ」のアルバム全曲使用だそうだが、意外にも解体して部分部分を使っていた。音楽より、物語を優先している。こんなことをして許されるのは野田秀樹へのクイーンの信頼があればこそだろう。そのなかでは「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」が主題曲と言える。

若さがまぶしい二人、広瀬すず(まぶしすぎて見とれてしまう)と志尊淳のロミオとジュリエットを、松たか子と上川隆也の「それから」のロミ・ジュリが支える。「それから」の二人がさすがの貫禄で、芝居を支えている。また二役を4人でやることで、様々なふくらみ、変化、二重化が起きて、それがこの舞台の一番の仕掛けだと思う。野田秀樹得意の、白い大きな布をふんわり、ベッドにかぶせ変えるごとに、若いロミジュリが「それから」の二人に代わり、また元に戻る場面など印象的だった。

前半は「夢の遊民社」流の走り回り騒ぎ回る、とっ散らかった舞台である。まるで幼稚園のお遊戯ではないかと、これがどうなるんだろうかと思っていると、後半、ググっとシリアスなテーマが浮かび上がる。それは「パンドラの鐘」以来の野田秀樹の絶妙な作劇術であった。そろそろ飽きてくるという人もいるかもしれないが、同じ「シリアスなテーマの浮上」でも、毎回違った趣向がある。「逆鱗」はアナグラムであったが、今回の趣向を何と言ったらいいのか。象徴劇というところか。

「Q」は野田芝居の中でも象徴性が高い。「俊寛」などの本歌とり、見立て、二重化が様々にしくまれている。シェークスピアへの批評があり、観客の欲望への批判がある、演劇についての演劇でもある。見終わった直後よりも、あとで思い返しては、人生と運命をあれこれ考える。そんな質の感銘がある。

ネタバレBOX

「運命」は変えられた。しかし、もう一つの「運命」に巻き込まれた―このセリフが芝居全体を語っている。
個々人が自分の「運命」を生きることは、たとえそれが悲恋であれ幸福だ。しかし、みんなをひとつの「運命」に束ねるのは不幸だ、というセリフの意味をかみしめた。ロミオに「その名を捨てて」というジュリエットの言葉が、見事に換骨奪胎されて、この名前の貴重さを突き付けてくる。
じゅうごの春

じゅうごの春

やみ・あがりシアター

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/10/18 (金) 19:30

 面白いじゃねえか、…、そんな印象の芝居である。1999年に15歳の「じゅうご」君は、ノストラダムスの予言を信じて世界が滅びるものだと思って、毎年表彰されている夏休みの宿題の自由研究を全くやっていなかった。8月に入って、世界は滅びず、予定がすっかり狂った「じゅうご」君は、どうすれば素晴らしい自由研究ができるかを考えるのだが…、という話はよくあるものだが、着眼点は素晴らしい。「じゅうご」君は父と姉と、あと2人の兄がいるようだが…、という展開は、異なる時間軸を同時に見せることの多い笠浦らしい作劇で、同じシーンを繰り返しつつ展開が少しずつ変わっていくのも笠浦らしいものと言える。エンディングは、もう少しスッキリ終わってもよかったように思う。
 当パンに役名が書いてないののは、それなりの意味があることが、脚本を読むと分かる。

小刻みに 戸惑う 神様

小刻みに 戸惑う 神様

劇団ジャブジャブサーキット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/10/17 (木) 14:00

 名古屋を中心に活動する劇団として名前は知っていたが、初見の劇団。ちょっとばかり不思議な感じの会話劇で、面白いことは面白い。劇作家が亡くなり、娘2人と若干の家族での質素な葬儀が行なわれいるが、なんだかバタバタしている…、という群像劇。展開はやや奇抜な印象もあり、人物によってはありえない言動もあるのだが、そのようなキャラクターにしなくても成立する芝居だと思えて、やや残念な印象がなくもない。独特の個性は出ているように思うが…。

パパ、I LOVE YOU!

パパ、I LOVE YOU!

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2019/10/11 (金) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

昨年の同じ加藤健一事務所公演「Out of Orderいかれてるぜ」が爆笑コメディであったように、今回は、さらに上をいく超爆笑コメディ。同じレイ・クーニー作。笑った。笑った。大満足であった。軽妙な洒落が多いのだが、小田島雄志・恒志の父子の翻訳が、実にこなれていて、翻訳劇だと思えないほど「死語到着」の死んだはずの女性が出て来て、「仕事横着」なんかしてないわよ、と叫んだり。この工夫に脱帽。

しかもクーニーさん、「これって同工異曲では?」というくらい、「Out of Order」とこの作の骨格・シチュエーションが似ている。地位のある男と、その不倫相手、妻。しりぬぐいをさせられる男、看護師、窓を使ったドタバタギャグなどなど。似ていても、これだけ笑えるのだから許そうという気になる。作者が舞台の奥から「わかるでしょ」とファンの客にウインクしているような気がした。それくらいのファンサービス。

俳優はみな、観客を笑わすツボを心得ており、見事見事の一言。車いすの老人患者を投げ飛ばすのは驚いたが、うるさい老人をそうしたくなる気持ちもわかるし、丸くなって転がる老人役(石坂史朗=実は若い)の所作が面白くて、嫌味はない。私は何度も笑ってしまった。

ネタバレBOX

最後の、友人医師の決断。そこにも実は昔の因縁があるという落ちには、主人公へのしっぺ返しが含まれている。この後味が良かった。ただ主人公だけがうまい目を見て得をして終わったら、もっともやもやが残ったろう。人生どっかで帳尻をつけさせられるものだ。
『Q:A Night At The Kabuki』inspired by A Night At The Opera

『Q:A Night At The Kabuki』inspired by A Night At The Opera

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2019/10/08 (火) ~ 2019/10/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/10/14 (月) 19:00

 そう来たか、という印象をまず持つ。Queenの "Night at the Opera" の楽曲を使い、『ロミオとジュリエット』をベースとした作品と聞いて、エンタメを予想した私の思惑は全く外れ、思いもかけないテーマを持った作品に仕上がっていた。プログラムによれば、このテーマは、野田が以前からやりたいものとして残していたものだそうで、このタイミングと状況でやるのが適切かどうかは分からないがインパクトのある舞台だったことは確かだ。志尊淳と初舞台の広瀬すずの身体能力の高さにはちょっと驚いた。
 ただし、休憩込み3時間は、さすがに長い。

じゅうごの春

じゅうごの春

やみ・あがりシアター

アトリエファンファーレ東池袋(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

初めての劇団、会場。最初、うわぁ、こういう人いるよなぁと引き気味で観ていて(とにかくうざい)、時代を限定するJK登場に吹き出しそうになり、どやどや登場する人物にこの家、何人住んでんの?と思って観ていたら、じわじわ明かされる現実。
多分物語は悲劇的なんだけど、音楽が暢気で暗くなり過ぎないで、シュールな幕引き。
とにかく構成の巧さに拍手。最初、唖然としてたけど、帰り道に内容を反芻していてそう思いました。

小さい会場で、役者さんたちの発声がよくて時々かなり耳に響く。生声で耳が痛いって初めての経験でした。
開場待ちの間に雨が降って来て、傘を用意してくれていたり、会場内ではブランケットの用意もされていて心遣いが素晴らしかったです。前説も面白かった。

組曲虐殺

組曲虐殺

こまつ座 / ホリプロ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2019/10/06 (日) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

井上ひさしの遺作となった小林多喜二の評伝劇。再再演で私も3度目に見る舞台だが、今まで以上に、小曾根真の音楽に惹きつけられた。歌の伴奏だけでなく、特高に追われるところなど、ピアノだけで緊迫感や悲しみを語るところもあって、今まで気づかなかった「組曲」の意味を再認識した。

戯曲も実は、モチーフの繰り返しが仕込まれていて、音楽的である。「胸の映写機」は2場の大阪での警察の取調室で提示され、8場の多喜二(井上芳雄)の最後の場面で豊かに展開される。「月」は3場の立野信之の家と4場の独房で繰り返され、「靴底の歌」も3場のあと、7場の地下生活で再想起される。二人の特攻警官(山本龍二、土屋佑壱)の貧しい生い立ちも、2場、5場、8場と変奏され、徐々に全体像が分かる。これなどは最後に種明かしする「闇に咲く花」などの作劇術とは違い、音楽的といえるだろう。

1場の小樽の三ツ星パン屋の歌も、伯父のもとで多喜二が働いたこのパン屋が、多喜二に貧しさと苦労を教えて「ホンモノの作家を焼き上げる」から「日本で一番のパン屋さん」と歌っているのも、改めて気づかされた。
7場の地下生活のアジトでは、多喜二に苦界から救われた田口タキ(上白石萌音)が「小林多喜二くん」と呼んで、キイワード「絶望するな」と言う。タキは恋人のはずなのに、普段は「多喜二兄さん」としか呼べず、精一杯「さん」づけにしようとしている。なのに、ここでは「くんづけ」である。「くん」と呼ぶのはここだけなのである。二人の関係性自体がここでは特別であり、だから、「絶望するな」と言えるのである。
噛めば噛むほど味が出る戯曲である。

ネタバレBOX

初演の時は、果たして井上ひさしが小林多喜二をどう描くか、多少不安を持ちながら見た。平野謙流の「非人間的な組織の犠牲」というような乱れがみじんもなく、多喜二のまっすぐなまなざしと志を描いたことに感動した。しかも、いくつもの奇想天外な笑い(警察からの原稿依頼、ふたりともチャップリンに変装した特攻と多喜二の取り違えetc)に大いに笑って。その思いは今回も新たにした。そしてさらに、井上ひさしのこの作品によって、小林多喜二は新たな命を吹き込まれ、さらに人々の中で生き続ける力を得た、と思う。

井上ひさしは小林多喜二を、戯曲の題材として長年温めてはいたが、実際に2009年の上演を決意した背景に、小林多喜二像についての新しい知見、研究の進展があった。そうパンフレットに島村輝氏が書いている。と同時に、もう一つ2008年の「蟹工船」ブームが作者の背中を押したことは間違いない。興行的にも注目度が高まるのは追い風になる。この時に書いていなければ、作者の病死によって多喜二劇は書かれずにおわった可能性は高い。間に合ってよかった。あれから10年過ぎてブームは去ったが、「組曲虐殺」は再演され続けている。「蟹工船」ブームが残した最大の遺産が「組曲虐殺」ではないだろうか。ブームに多少かかわった一人として、感慨深い。
なにもおきない

なにもおきない

燐光群

梅ヶ丘BOX(東京都)

2019/10/02 (水) ~ 2019/10/23 (水)公演終了

満足度★★★★

梅ヶ丘BOXの狭小空間の圧迫感を活用した舞台。チラシの時点で念頭にあった『屋根裏』(2002年以来再演を続けるヒット作)をやはり思い出させる、特徴ある空間に多彩なエピソードを盛り込んだ作り。四角の空間(屋根裏)や右から左へ下る坂(今作)じたいは、その実体をアピールしている訳だから、ひどく具体性を帯びるのに、言葉が喚起するイメージによって何かを象徴する抽象的な図形のように見えて来る。「屋根裏」のように、じっと見てると別物に見えて来る錯覚は、単なる傾斜の板だけでは起きなかったが、狭い斜面上を行き来する二次元感覚から、ふと奥行を見せる照明が入ったり、(観客を含めた)劇場空間を感じさせる演出など趣向は考えられている。
また今作では、奇妙な振り付けで無言で斜面を行進する姿や、シュールなシーンが多彩さを印象づける。失踪亭主や炭鉱、秘密の埋葬空間といったエピソードは具体的な「物語」に属するが、中でも炭鉱の筑豊方言を使っての台詞は書き手・坂手洋二の腕を見せつける名調子で、具体と抽象のバランスの崩れを巧みに回避していた。
ただ「なにもおきない」とはワードとして別物の「なにもしない」を接合するあたりは力技であった。伏線とその回収という点ではこのワードを示していれば収まりよかったかも知れないが、口当たりの良さを求めているのか君は、と一蹴され兼ねない気もする。

ネタバレBOX

坂手洋二・燐光群がしばしば作るアイデア舞台を思い出してみた。
1シーンを分数で縛った『8分間』、『3分間の女の一生』。
劇場の使い方に凝った『最後の一人までが全体である』(観客はステージ奥正面の少し高めの扉から入場、客席からの視線を浴びる。開演と同時に劇場に閉じ込められる)『ゴンドララドンゴ』(スズナリの何列目かに塀を据え、視界の下半分を見えなくした)、『お召し列車』(横長の座高円寺を列車の内部に。「8分間」は駅ホームだった)
そして特徴ある装置がコンセプトそのものである、『屋根裏』そして本作。
その他、翻訳物だが旅客機のコクピットのみで展開する、様々な航空機事故を再現する『CVR(チャーリー・ヴィクター・ロミオ)』。梅ヶ丘BOXだったが収容数僅かな間隔の空いた対面客席を作り、その間を役者が駈けずり回る『犀』。
梅ヶ丘で見た印象的な舞台には『象』『ブーツ・オン・ジ・アンダーグラウンド』もあった。長く観劇している劇団の一つではあるが観劇本数は最多かも。個人的な思い出に浸ってしまった。

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