『ドン・キホーテ・・・狂気を演じ続けて・・・』
劇団クセックACT
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/05 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
普通の舞台とは違うから、私的にはちょっとむずかった。
ワトソンとスィートホームズ/皆目見当がつかない
かーんず企画
シアター711(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「皆目見当がつかない」を観劇しました。
リアル感のある内容で、テンポ良い展開で、あっという間の時間でした。
人は誰もが何かしら嘘を付いていて、良い嘘も悪い嘘もあるという事を再認識しました。
役者さん達の元気の良い演技も良かったです。
面白かったです。
あるアルル
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
2回目。
全体像と筋書きが判っているので、それ以外に気を配って観ることが出来た。個人的に世話になった人が最近亡くなったこともあり、大槻ケンヂ的感傷で今作を眺める。死んだ人間の存在の喪失感を埋めることなど果たして出来るのか?
いずれ人は死ぬ。遅かれ早かれ消えて無くなる。足掻いても悔やんでも嘆いても人は死ぬ。筋肉少女帯の『リルカの葬列』に挿入された中原中也の詩、『春日狂想』。
「愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。
愛するものが死んだ時には、
それより他に、方法がない。
けれどもそれでも、業ごふ(?)が深くて、
なほもながらふことともなつたら、
奉仕の気持に、なることなんです。
奉仕の気持に、なることなんです。」
梶川七海さんは正しくヒロイン。
脳外科医・渋木耀太(ようた)氏の水商売の女を徹底的に見下したスタンスが大受け。
作家の細やかな優しさが会場中を覆っている。スタッフの高潔な人間性に感銘を受けた。優しい空間。
多分、三ノ輪駅近くの薬局だったと思う。ずっと前、お母さんが「ひまわり、ひまわり」と幼い娘を呼んでいた。凄い名前だな、と当時思ったものだ。
ネタバレBOX
一番、美しいシーンはスナック「リュミエール」に戻って来た梶川七海さん。自分がママ(川田希さん)から愛されてきたのは亡くなった娘に似ていたのが理由だったことにショックを受けている。言い合いになり、涙を零す川田希さん。
「ママ、泣かないで。」と涙ぐむ梶川七海さん。それを強く抱きしめる川田希さん。
前回、何で今作がイマイチに感じたかの理由が分かった。あるある仙人のお告げを出せるのが一日一回だからだ。その為、話の展開に時間が掛かる。もっとテンポよく進む筈の話が無理に時間を引き延ばすこととなる。(笑いも勘違いのズレばかりで弱い)。
斎藤ヒロシは予知能力者だった。一日一回、正午の時だけ、この世の全てを見通せる。彼女だった山本わかばを捨て、すぐ乗り換え結婚した相手は美大卒の渡辺ひまわり。だが、ひまわりは6年前に自殺してしまう。彼女は闇バイトでアーティストの遺体を扱った裏仕事をしていたが、取り返しのつかない失敗を犯してしまい自殺。南フランスのアルルに組織の本部があり、彼女の遺体遺品は全てそこに送られた。その詳細を何も知らされていない斎藤ヒロシは自室で廃人となった。理由も分からず自殺した妻の『あるある』を日夜探し続ける狂人。どれだけ彼女のことを考え続ければ解放されるのか?救われるのか?許されるのか?
amazarashi『小市民イーア』
絶望込めるシリンダー 汗して暮らす小市民だ
たった一つでいいんだ 冴えたやり方をしてイーア
守る為に切り捨てたんだ その結果に胸は痛むか?
次はきっと僕等の番だ 絞首台で笑って待つか?
暗い時代には明るい歌が流行するんだって
それは遠い星での話 音楽がそれじゃ耐え難い
恋焦がれて夢を見たんだ 救ってくれたのはロックスター
胡散臭い成功者が作る日陰は焼け野原
※この曲のリフは勿論、ブルーハーツ『未来は僕等の手の中』、更にその元ネタのリフはシャム69の『Rip Off』。ちなみに『チェインギャング』の元ネタはクラッシュの『いかさまカード師』。
いつかの日の
こわっぱちゃん家
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2025/05/01 (木) ~ 2025/05/05 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
おっと、こんな展開になるとは驚き。丁寧なストーリーとセリフにのめり込んでいましたが、ガツンときましたね。下手に書くとネタバレになりそうですが、とにかくおススメです。
女子と算数
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2024/12/25 (水) ~ 2024/12/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
12月29日〈日〉14時公演を鑑賞。
受付の際にいきなり一部返金があって「なに?」と思ったのですが、
劇が始まってようやく分かりました。
主役の方が体調不良で降板されて、代わりに等身大の段ボールが登場、
声を女性のキャスト(代役)が務めるということでした。
でもそういった変更を忘れてしまうほど、劇に吸い込まれました。
「自動計算機」をめぐるテーマと、「初恋」の成就というテーマから
ストーリーが展開しました。
数学大嫌い!の私としては、数学女子が輝いて見えました。
楽しかったです。
一緒に行った中学生の娘も満足していました。
明日、泣けない女/昨日、甘えた男
株式会社テッコウショ
シアターサンモール(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★
ネタバレ
ネタバレBOX
北海道の漁師町での様々な問題を描くが、全く回収せずに終わらせている。
どうしたらこのような戯曲が書けるのだろうか?
何を演出したいのだろう?
これじゃ、熱演する俳優陣が可哀想だ。
散らかした話を回収せずに、面白く展開出来るのは長塚圭史のみだ
そんな中で、関幸治という役者の上手さはピカイチだ。
Two Be or Not Two Be
祭文庫
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/04 (日) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
言葉は平易で 難しいと言う訳ではないが、自分には なかなか手強いといった印象の物語。内容は「ここは獄 囚われの宗教家の男と、獄吏の女 2人が織りなす会話劇。2人は出会い、響き合い、そして何処に行くのか」の通りだが、その会話が哲学的というか観念的で、「人間は何故生きるのでしょうか?」と問い掛けてくる。場所は、獄舎という逃れられない小さな空間、それを皮肉にも”楽園”という劇場に見立て緊密に紡いでいく。たびたび出てくる言葉「価値観を変える」は、人の心そのものを意味し、それまでの生き方を見直すということ。
手強いと感じるのは、この世界観である。過去なのか未来なのか判然としない、その足元が定まらない不安さが心をざわざわと落ち着かせない。立場や生き方が違う2人、相容れない会話がヒリヒリとした痛みとなって伝わる。綴られたその終点の見えない旅は、観る者の胸に深い爪痕を残し…そして「その先」を想像させるような。獄や刃物というリアルな場所や小道具にも関わらず、抒情的とも思える演出が特徴的だ。観客を選ぶ公演かもしれない。
(上演時間1時間10分 休憩なし)
ネタバレBOX
舞台美術は、舞台と客席の間に蠟燭を均等に置き火をつける。水が入った樽桶、奥に古書らしきものが数冊。登場人物は宗教家と獄吏の2人。ただ、上演前に体躯のよい男が舞台上で寝転び、古書を水の入った樽桶へ捨てようとするが 躊躇している。物語が始まり 蝋燭は消される。
宗教家は既に獄舎に収監されており、獄吏によって処刑されるのを待つばかり。何の咎で捕まったのか明らかでなく、重要視していない。むしろ「人間は何故生きるのか」といった生き様の問答に主眼がある。前任の獄吏は、宗教家との問答で精神を病んだが、今の獄吏は処刑することを苦にしていない。その強靭な精神力が宗教家の歓心(関心)を買う。
宗教家と獄史の生き様は対照的で、赦しの有無そのもの。だからこそ獄史は躊躇なく処刑してきた。その手は血に染まり 臭いは消えない。樽桶の水で手を洗うが、しみ込んだ血臭は獄史の体臭のようなもの。その得体の知れない不気味さ、それがジワジワと獄史の精神を蝕んでいく。一方、宗教家は母との辛い思い出、そのトラウマに苦悩している。言われるままに処刑してきた獄史、そこに何ら迷いはなかったが、宗教家の無条件の赦しに心が揺らぐ。
獄史は宗教家にナイフを突きつけるが、処刑することが出来ない。宗教家は獄史の手を取り自らナイフで刺す。生きるとは 怒り傷つけ、そして癒し赦しといった感情の繰り返しであろうか。ハムレットの有名な台詞を思わせるようなタイトル、そこに込めた思い願いは何か。普遍的とも思えるような物語は、現代において どのようなことを訴え伝えようとしているのだろうか。その曖昧とした問が、自分の中で消化できていない。分かることは<救いを求められ、ゆえに救いの道へ>、それが獄史の旅立ちのよう。
舞台技術は、獄舎という狭く薄暗い空間、その重苦しい中で宗教曲のような音楽が流れる。ラスト、獄史はフードを被り スモークが立ち込める中、劇場(楽園)の重い中扉を開け、その先から光が差す といった効果と余韻付けは好かった。
クロリスの花葬
劇団うぬぼれ
荻窪小劇場(東京都)
2025/05/04 (日) ~ 2025/05/05 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
タイムワープの時間差と演出が効いていて面白かったです。主人公達は(生死に関わらず)一度終わらせて、再生するのでしょうね。第三回本公演もタイトルから物語が計りしれず、とても楽しみです。
いつかの日の
こわっぱちゃん家
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2025/05/01 (木) ~ 2025/05/05 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
公演時間115分があっ!と言う間に感じるほど、キャラ一人一人がたっていて、それぞれに感情移入してしまいたくなりました。
いろいろな要素がギュギュッと詰まってるんだけど、いつもの日常はいつもある訳じゃないのを、痛感させられたお芝居でした。
ネタバレBOX
市役所を舞台に、二つの市の合併を通して、そこで働く人々や市役所に訪れる人々等の普通の日常が、ある日ガラッと変わってしまう。
戦争。
この国で?戦地に行かなければならないのか?
でも、誰かが行かなければ…そんな非日常の中でも、守りたいもののために動く人々。
いろいろ考えさせられるし、涙が止まらないお話です。
月曜日の教師たち
Cucumber
ザ・スズナリ(東京都)
2025/04/03 (木) ~ 2025/04/15 (火)公演終了
実演鑑賞
千葉雅子と土田英生による舞台製作事業グループに、劇作家・演出家でもある岩松了、桑原裕子、早船聡を加えた共同執筆・演出と出演、さらに役者荒澤守を加えた115分。4月15日までザ・スズナリ。
https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/05/post-d4ea88.html
ワトソンとスィートホームズ/皆目見当がつかない
かーんず企画
シアター711(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「皆目見当がつかない」を拝見。
ネタバレBOX
板上は凡そセンターの中ほどに円弧に沿って等間隔に並べてあるような箱馬が4つ、その手前客席側のセンターに1つ、下手の客席側とその奥に矢張り若干の間を空けて箱馬が1つずつ置かれている。出捌けは側壁に1つずつの計2か所。
尺は70分弱。
自分のレビューは敢えて粗探しはせず、どちらかと言えば良い面を見付けてそれを強調して点を付けるようにしている積りだが、今作ではそれが殆どできなかった。何故か? と自問すると脚本レベルで観客に対して作品をメタ化していないからである。一般的に演劇作品の醍醐味は虚と現の間に演劇作品という虚構を築き以て観客にリアルな内的体験をさせ何かを伝えることに成功して共感を得、人気や評判を獲得するのが常だが、今作のテーマは“訳の分からなさ”を描くことで畢竟(当にatyantaの意)現在日本を形作っている社会人の欺瞞の本質即ち嘘を形而下のみで描いてしまっていることの演劇的失敗を見せつけてしまった。メタ構造の大切さを指摘したのはメタレベルを欠いた今作の表出方法では観客は舞台の中に非日常をではなく、その反対の日常を端的に読み取ってしまう、ということである。無能・無策と自分の利益・権益だけを死守する構えの政治屋と公僕・官僚たちのあからさまな居直り犯罪、それを解消できない屑としての選挙民や偶に改革に乗りだす人々を潰しに掛かる下種共。これで社会が良くなるハズがない。この社会の約束事のように思い込まれている茶番の構図をあからさまにすることには成功したが、犠牲にしたものも多い公演と言えよう。
ヤギの歩みに戻らない。
内弁慶の立往生
水性(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
文化祭の企画書を考えているうちに、自分たちが何度も同じことを繰り返すループに嵌まり込んでいることに気付いた四人組の脱出奔走劇。妙に気になったので観にきたが、楽しませてもらった。
峠のバッキャロー!!
株式会社Ask
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/04/23 (水) ~ 2025/04/29 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
4月23日〈水〉鑑賞。
チラシの説明に、
「松五郎は『世の中から必要とされる人間になれ』という教育のもと少年時代を……」とありました。
ですから、そういうストーリーかと思って観に行きました。
でも実際には、最初からまったく違ったストーリー。
主人公は、千葉(鴨川)での田舎暮らしに憧れて移住するも、思い描いていたような生活ではなかった……
というものでした。
劇そのものはクオリティが高く、称賛に値するレベルですが、
ストーリーがあまりに違いすぎるので、戸惑った観客も多かったのではないかと思います。
『パラレルワールドより愛をこめて』 『パラレルワールドでも恋におちて』
ザ・プレイボーイズ
シアター711(東京都)
2025/02/02 (日) ~ 2025/02/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2月9日〈日〉15:30開演分を鑑賞。
パラレルワールドをテーマに、恋人同士の関係が展開していくストーリー。
軽すぎず、重すぎず。笑いあり、シリアスあり。
心地よく話が流れていく印象でした。
一昨年上演の「きみ、僕の世界のなんなのさ」のチラシを入手。
行きたいと思っていましたが、結局、忙しくて行けませんでした。
今回ようやく観る機会があって、よかったです。
中学1年の娘も一緒に観に行きました。
彼女も楽しんでいる様子でした。
また行きますね。
家族病3篇
Oi-SCALE
サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)
2025/04/21 (月) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「ハロー、レビー!!」
一昨年の初演は未見で今回初見。認知症の父の暮らす故郷の北海道に帰った男を中心としたまさに「家族」の物語。
控えめな照明の中で交わされるリアルな会話、そして劇中での実在が不確かな人物などオイスケール 風味満載。
3篇の最初にこれを観るのは「まず基本形から」的な?
ワトソンとスィートホームズ/皆目見当がつかない
かーんず企画
シアター711(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
【皆目見当がつかない】観劇。笑いの中に不気味さも…。それでいて、肩の力の抜け具合がよい。
説明では「それは平凡な人たちによる平凡なピクニックだったはずが、平凡ではない人々の乱入で平凡だった人たちの平凡ではない姿が露呈されていく」というものだったが、何方かといえば、嘘と真、建前と本音、そして誤魔化しや気遣いといった日常の暮らしが垣間見える内容。これを 人によっては訳の分からない屁理屈で尤もらしく言うだろう。
物語は、会社のOL4人が 花見ならぬ新緑を愛でるため公園で親睦会を行う。そこへ男2人、さらに自称プロの歌手が現れて…といった平凡な中に闖入者が現れたことによって起こる小さな波紋。暮らしの中にある、小さなウソや誤魔化しは必要悪なのであろうか。子供の頃にウソはいけないと教えられてきたが、大人(社会人)になると<建前>というウソをついている。しかし建前がないとギスギスした人間関係になることも、そんなアイロニーが描かれている。日常の一コマにみる可笑しみ。「ワトソンとスィートホームズ」とも関係しているようなGW特別公演、ぜひ劇場で…。
(上演時間1時間10分 休憩なし)
ネタバレBOX
舞台美術は、石のような箱馬が7つ 不均一に並んでいる。上手奥は一段高くなっており、下手奥は枯れ葉。公園の椅子であり高台といった光景。特に照明の印象はないが、音響は 鳥の鳴き声が それらしい雰囲気を漂わせていた。
会社のOL4人がピクニック、その中の1人が早く来て場所取りをしている。そして時間に遅れてきた女性は、外国人の子が迷子になっていたので保護対応していたと言い訳。持ち寄ったお弁当を披露し、飲物は近くのコンビニへ買い出しに行くが、ここ迄で いくつもの嘘が垣間見え、言葉遣いで 先輩後輩の関係が分かってくる。そこへ男2人連れが現れ、そのうちの1人が早く来ていた女性の元カレらしいが…。女は男をストーカーと言い、男は女が別れたくないと足に縋りついた と言い分が違う。
男2人は、ここで別の女性と待ち合わせをしている。元カレが友人のために女性を紹介するが、OLたちは その成り行きを興味津々で見守る。公園では音楽イベントを行っており、中座して見学に行ったりと人の出入りが頻繁になる。当人がいない時に本音がぽろっと…例えば、皆の(建て)前では 弁当が美味しいと食べていたが実(本音)は不味い。また 場所取りした女性は、そんな早く来ていないと嘘(気遣い)を言う。人間関係の潤滑油のような建て前、それを良しとせず<嘘>として使わなくなったら…。「噓も方便」は使い古された常套句だが、公演を観たら 妙に新鮮で説得力を感じる。
公園にボロ服を着た、自称プロの歌手(弾き語り)が彷徨いている。その陰気だが気になる歌が 明るく華やいだ雰囲気を損なう。説明にある 平凡でない人々とは、男2人組と歌手を指すのであろう。この乱入者によって、日常の多くの曖昧なことが嘘で成り立っているが露呈するよう。女のストーカー発言や男の縋る発言は、それぞれ嘘と言い 仲直りをする。嘘と真、建前と本音の使い方の可笑しさと難しさを上手く描いている。
次回公演も楽しみにしております。
なべげん太宰まつり『逃げろセリヌンティウス』
渡辺源四郎商店
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
『走れメロス』でメロスの代わりに人質となったセリヌンティウス。彼が捕らえられた牢獄に何故かディオニス王が足を運ぶ。
セリヌンティウス役、工藤良平氏はサンボマスター風味。
ディオニス王には三上陽永氏。
牢獄の中に現れる謎の女神(三津谷友香さん)。セリヌンティウスにしか見聞きは出来ない。
小舘史(ひとし)氏は山田恵一や鈴木桂治、新極真の鈴木国博、ジュニオール・ドス・サントスを思わせる格闘家顔。
小道具のイラストが大活躍。
ネタバレBOX
何かあんま面白くなかったかな。青森中央高校演劇部『駈込み訴え』と方法論は同じ。『走れメロス』と同時進行でもう一つの物語が進行していく。メロス抜きでどうやってこの話を組み立てるのかと思ったが前述作のユダのように複数で代わる代わる演じる仕掛け。
主人公はディオニス王(三上陽永氏)。憎むべき暴君の圧政者が実は詩を愛しギリシア悲劇に憧れる文学青年だった。国を守る為、軍人として蹶起し国家元首となる。(カダフィ大佐のイメージ)。早くに両親を亡くし、妹を溺愛していた。だが信頼していたどいつもこいつも平気で裏切る。誰も彼もが俺を殺して権力を奪おうとする。とにかく殺戮するしかなかった。見せしめに殺す。殺す。殺す。最愛の妹でさえも川で溺死させた。民衆に恐怖と暴力を印象付け、怯えさせるしか統治の方法がなかった。本当はもうこんな権力ごっこ、真っ平御免。美しく悲劇の中で死にたかった。
死んだ妹は川の底、水の祠で目を覚ます。大蛇になった気がしたが私は鮒になっていた。(太宰治の『魚服記』)。この場面の三津谷友香さんが印象的、今作の核。
メロス・パートがつまらないのが沈滞の一因か。一応メロスの話に観客を引き込まないと話が盛り上がらない。セリヌンティウスの存在に意味がないのも問題。『走れメロス』のツッコミでしかない。(メロスが妹への愛から短刀を入手していた説は面白い)。
『走れメロス』の昂揚は限界を超えて無私の精神に至り、個人を超越した大義なものを証明する行動に皆が興奮を覚える話。何だか分からないものに衝き動かされて人間は生きているのだと、理屈を超えた本能の行動。だが今作はその裏面。ディオニス王は間に合わなかったとセリヌンティウスを処刑し、激昂したメロスに己を殺させようとした。それでこそ悲劇が完遂する。
だがセリヌンティウスの助言により、『走れメロス』のまんまの感動的大団円。(何故、それを呑んだのかは疑問。作品内では語られない)。
エピローグ、妾にした身分の卑しい使用人(三津谷友香さん)が産んだ息子(音喜多咲子さん)によってメロスの短刀で暗殺されるディオニス王。使用人は亡き妹となって「貴方の本当の願いを叶えてあげた」と微笑む。
佐山聡が率いた頃の第一次UWFは「シューティング」という隠語を大々的に使った。元々はプロレスの「work(仕事)」に対しての「shoot(撃つ)」、相手に真剣勝負を仕掛ける意味。(その名は後に修斗という総合格闘技団体になる)。よりプロレスを競技化していこうというムーヴメントの中、老舗のプロレス団体社長、ジャイアント馬場はインタビューでこう言う。「UWFの選手はシューティングがプロレスを超えたものだと思っているのだろう。俺はシューティングを超えたものがプロレスなんだと思うんだよ」。
「友情」と「人間不信」、一周回ってそれを超えたものが「友情」となる。
気づいたら、宇宙だった。
P.S.Goodrag
テルプシコール(TERPSICHORE)(東京都)
2025/04/26 (土) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
4月26日〈土〉13時公演鑑賞。
幸多と波留の2人の関係、まさかそういう関係だったとは。
なぜ地下に住んでいるのか?他の家族はどうしたのか?職業は?…
こうした素朴な疑問も、ストーリーが展開すると明らかになります。
幸多と波留の心温まる日常をベースにして、最後は銀河まで…。
後味の良いフィナーレで、キャストの方々の熱意も伝わってきました。
観客全員に、フォトのプレゼントもありました。
お歌とお芝居 「髑髏沼の女」
たすいち
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ネタバレ欄に書き込みました。
ネタバレBOX
第一に、私の大好きな「昭和歌謡」を取り入れた,ミュージカル風演劇は、自分には"ド・ストライク",はまり過ぎるくらい自分好みの形式でした。大道具の看板,「名画座」,「紀伊国屋」,「高島屋デパートのマーク」,「オリオン」等はすべて昭和の産物で、ノスタルジーさえ感じます❗美術さんにもやられましたって感じました❗
歌は、振り付けも含めて,全て、ウインクなど私の知っている歌手風のモノばかりでした‼️これだけでもエンタメ要素たっぷりです❗
次にストーリー。11年前の初演にはなかったという"右脳VS左脳"の対決はコミカルだし、理屈に合っていて、うなずけるし、脚本家にも、してやられた、と思いました。
特に,ののみさん演じるダリさんにもやられました❗左脳専門にも、関わらず、左脳塾塾長の「右」腕❗これがまさか、ダリさんの裏切りにつながるとは、見ている人には絶対に予想できない想定外のストーリーを楽しむことができました❗楽しめた原因は、間違いなく、ののみさんの演技が自然だったからに違いありません。演出家の目崎さんも、ののみさんは、演技を磨き、ベストなパフォーマンスを作り上げる「真面目な」人だとエックスで、書き込んでいました。次に,ののみさんのファッション。斬新なデザインの衣装で、まるでファッションショーを見ているような気持ちになりました。しかも長身でスタイルも良いですから、正真正銘,モデルさんみたいでした❕メガネ👓️も知性的な雰囲気を醸し出していて、美人の顔立ちもあり、魅力的なキャラを演じていて、ののみさんのファンの自分にとってとても楽しむことができました❕
最後に、演者の皆さんの団結力‼️今回の公演では,演者の皆さん全員の強い団結力を感じました❗セリフだけではなく歌もあったり、場面転換時の道具の片付け・壁の変換等がたくさんあるので、演者の皆さんの呼吸がよほど合っていなければうまくいかない企画の演劇だと思います。しかし、最初から最後まで、全て"自然に"演じられていた、という印象でした。稽古を十分に重ねてこられた「賜物」だと思います。
本当に楽しむことができる公演でした❗ゴールデンウィークの良い思い出ができました❗演者の皆さん、どうもありがとうございましたm(__)m
あるアルル
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
今回も、やみ・あがりシアターらしい世界観が存分に詰まった舞台でした。
不思議な空気感で始まり、最初は戸惑うものの、物語が進むにつれて少しずつ全体像が見えてきます。そして終盤を迎える頃には、優しさと儚さが丁寧に織り込まれていて、観劇後はどこか温かくなる気持ちでした。
魅力的な役者さんたちが多く、舞台上の空気感がとても心地よかったです。また楽曲も印象的で気になって調べてみたら、あの「濫吹」の音楽も手掛けた方とのこと、納得の素晴らしさでした。