
喜劇王暗殺
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
1932(昭和7)年の五・一五事件と喜劇王チャップリン暗殺未遂、それを虚実綯交ぜにして描いた喜劇であり反戦劇。声高に反戦を訴えているわけではなく、舞台となる「カフェ ハル」の店主 春(ハル)の言葉が当時の空気感に対する警鐘に聞こえる。公演はコメディタッチだが、鏤められたチャップリンの映画のワンシーンや名言による揶揄や皮肉、さらに春の重石のような言葉が物語を引き締める。
公演には出てこなかったが、「人生は近くで見ると悲劇だが 遠くから見れば喜劇である」といった旨の言葉も残している。昭和7年といえば軍靴が高く鳴り響き始めた頃、近くの足元どころか 遠い将来も危ぶまれていた。今も、世界のどこかで紛争や戦争が起きている。けっして他人事ではないのだ。この公演には 喜劇の底に悲劇が見え隠れしており、観応え十分。
シンプルな舞台装置のワンシチュエーション、そこに集う人々の思いと優しさが きな臭い社会情勢の対比として描かれている。勿論、喜劇王を助けたい思いが中心だが、同じように傍にいる大切な人への思い遣りも しっかり描く。当日パンフにも記されているが、この物語は あくまでフィクションで人物や事件などとは無関係のコメディだと…。笑いと胸に迫るシーン、その感情の揺さぶりが みごと。
(上演時間1時間50分 休憩なし)

星の流れに
羽原組
赤坂RED/THEATER(東京都)
2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最高!すばらしかったです。ちょい長尺の2時間の舞台も短く感じられたほどです。素舞台ではありますが、演技と演出、そして脚本がしっかりしているので何もない舞台にいろんなものが見えました。ときおり始まるダンスも最高でした。ほんと最高の舞台を観させていただき充実の2時間でした。戦後間もない上野の話は漫画や小説でいろいろ知っていますが今回の舞台は非常にリアルで観ていて引き込まれました。最高の時間をありがとうございました。

第41回公演『テセウスの宇宙船』 第42回公演 『果てなしランデブー』
たすいち
スタジオ空洞(東京都)
2025/11/08 (土) ~ 2025/11/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/10 (月) 14:00
【テセウスの宇宙船】
懇意な知人たちが「どこか違う」ように感じ始めた主人公の顛末、一言で表現すれば「ハートウォーミングなボディ・スナッチャー」で、ちゃんとSFでちゃんとたすいち。
コミカルな表現の中に主人公の不安を描き「果たして真相は?」と観客に思わせるのが巧み
また、冒頭の会話の中の問いかけに「もしや自己アイデンティティがテーマ?(←これもたすいちは得意だし)」と思ったが、それが全編を通して通奏低音のように流れているような気もした。

MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!
KUROGOKU
シアターシャイン(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

出発の号砲、穴の向こう
劇団三日月座
横浜国立大学 第一食堂下 共用室3(神奈川県)
2025/11/15 (土) ~ 2025/11/22 (土)公演終了

Too Young
ワタナベエンターテインメント
紀伊國屋ホール(東京都)
2025/11/13 (木) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/11/18 (火) 18:30
脚本:古川健・演出:日澤雄介と、劇団チョコレートケーキコンビというので、観に行きました。
いつも自分の観る客席とはちょっと違っていてアウェイ感もありましたが、始まったらじっくりと物語を堪能していました。

狩場の悲劇
ニ兎社
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2025/11/07 (金) ~ 2025/11/19 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「妻は夫に殺された。妻を殺したのは夫。」
オウムが呪文のように繰り返す。
1884年、24歳のアントン・チェーホフが書いた唯一の長編推理小説。当時はモスクワ大学医学部を卒業し医師になる頃。戯曲で成功するのは1889年。
1880年のある夜、モスクワの新聞社に不意の来客、居眠りをしていた編集長(亀田佳明氏)は驚く。元予審判事(検察官と裁判官の一部を兼ねるような職業)セリョージャ(溝端淳平氏)は三ヶ月前に渡した自作の小説の採否を聞きに来たと。編集長はそんな事忘れていたしそもそも読んでさえいなかった。原稿を返そうとする編集長にセリョージャは今ここで冒頭部分だけでも読んでくれと迫る。自分の経験をもとに実際にあった事件を題材にした稀に見る物語なのだと熱弁。無理矢理原稿を読み上げ始めてしまう。
田舎の予審判事、セリョージャのもとに伯爵(玉置玲央氏)からの使い(ホリユウキ氏)が。伯爵とは昔からの悪友であったがここ二年間、彼がこの地を離れていた為セリョージャは静かな生活を満喫していた。また伯爵の屋敷に行けば酒池肉林、欲望に任せた暴力的な快楽に溺れ込んでしまう。理性で必死に抵抗するも気が付けば屋敷の中。沈鬱な顔をした有能な執事ウルベーニン(佐藤誓氏)、長年屋敷に仕える伯爵の元乳母(水野あやさん)、伯爵の傍に立つ見知らぬ謎のポーランド人、プシェホーツキー(加治将樹氏)。森の小さな家屋には精神を病んだ森番(石井愃一氏)が暮らす。その娘、赤いワンピースを着た19歳の美しいオーレニカ〈=オリガ〉(原田樹里〈きり〉さん)。「私の好きな五月初めの雷雨!」雷についての不思議な歌を歌っている。母が雷に打たれて亡くなったが落雷死は天国に行けるそうだ。自分もいつか雷に打たれて死にたい。誰をも夢中にさせる森の妖精オーレニカとの出逢いが全ての物語の発端。
セリョージャが原稿を読み始めると舞台上でそのままの芝居が始まってしまう。慌てる編集長。ツッコミを入れながらもセリョージャの小説の世界に立ち会う。
溝端淳平氏と亀田佳明氏コンビは『エロイカより愛を込めて』の伯爵とジェイムズ君の遣り取りみたい。このノリとボケとツッコミが作品を愛すべきものにしている。
玉置玲央氏は使い勝手が良い。どう役柄を振っても成立させてくれる。
原田樹里さんは格闘家のRENAに似てる。
加治将樹氏は見事なキャラ作り。
溝端淳平氏は沢田研二全盛期の色香。これは客を呼べるわ。非の打ち所がなかった。これぞスター。男の自分が観ても夢中になる程なのでその筋の女性には堪らんだろう。溝端氏の歌唱力を知らないが沢田研二役でミュージカルを演るべき。日本の耽美派芸能の歴史を世界に!
是非観に行って頂きたい。

喜劇王暗殺
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!
KUROGOKU
シアターシャイン(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白かったです。
不条理コメディ、支離滅裂なストーリーなのに、何故かどんどん惹き込まれる不思議な魅力がありました。
舞台全体の世界観や、役者さん達の熱演も良く、独特の世界を堪能しました。
ラストが本当に美しくて、訳も分からず泣きそうでした。
良い舞台でした。

THIS HOUSE
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2025/11/19 (水) ~ 2025/11/25 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
JACROWで翻訳物を初めて観たが、まるでJACROWオリジナルのようなテイストになっている。舞台設定はまさに今の日本の状況と見紛うほどだが、ストーリーはかなり面白いし、政治的駆け引きだけでなくちゃんと人間ドラマになっている。長大な歴史や政治の芝居は下手すると筋を追うだけの退屈な劇になりかねないものだが、本公演は字幕の使用や歌、俳優たちの動線など演出が良く考えられていて飽きさせない。こういう作品はJACROWが本当に巧い。

ヴォツェック
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2025/11/15 (土) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
舞台の上に小舞台をのせて、場面転換時はそれを動かして舞台を入れ替える、という、国の劇場の恵まれた条件を利用した演出。それが効果を上げているとは言い難いと感じるが、しかし、この劇場の舞台横のスペースはどれだけ広いんだ?
やはりこの作品は演劇よりベルクのオペラのほうがいい。こんな退廃的なストーリーなのに、最後、児童合唱を登場させて無調音楽を歌わせるとは。本公演では、それが冒頭シーンと同一の状況になっていて繰り返しを暗示する演出は興味深い。

再生ミセスフィクションズ3
Mrs.fictions
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了

注文の多いスポーツ用品店
劇団伽羅倶梨
KARAKURIスタジオ(大阪府)
2025/11/14 (金) ~ 2025/11/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
千秋楽拝見
宮沢賢治作品を劇団なりにオマージュした作品
バトンリレー バスケ 野球の3作品のオムニバス
有る有る感は有りましたが、ホッコリできました

雷ノ鳥
劇団カルタ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/11/07 (金) ~ 2025/11/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/09 (日) 12:00
凝ったツクリの犯罪サスペンス。が、事情が入り組んでいる上に登場人物も多いのでワカり難い憾みアリ。
その一方、映像作品のように短いカット/場を積み重ねるスタイルを可動式の重厚そうな2枚のドアとテーブル・椅子を駆使してスムーズに見せる手法が見事。(映画「ア・フュー・グッドメン」の原作舞台を想起)
あ、でも座り芝居が少なからずあるのに客席の勾配が緩いのは不親切……ってか配慮不足かもなぁ。

ジオノ
Project Nyx
芝居砦・満天星(東京都)
2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/17 (月) 19:00
昭和テイスト・アングラテイストいっぱいながら、エンターテインメント性もあり面白い。(3分押し)44分(11分休み)69分。
昭和40年、夢の島で生まれ育った地斧(ジオノ・二條正士)は戦争遺骨収集をしていた父親を探すが、「骨の声が聞こえる」特質を持つ。太田のサンザシが遺した財宝を探す四姉妹はジオノの力を使って財宝のありかを探そうとするが…、な話。19歳でデビュー作『酒乱お雪』(2022年上演)を書いた矢内有沙が万を持しての戯曲を、若手を軸としたメンバーで上演。戦争の名残りを感じる舞台は、昭和40年代の出来事を交えて、音楽劇っぽく作られて、(良い意味での)分けが分からん舞台になっていた(^_^;)。地斧とはジオノが地面を掘るシャベルのことか。多分26歳だと思う矢内がこういう戯曲を書く事にも驚き。しばらく追っかけてみたいと思う。

寺山修司生誕90年記念・第2弾レミングー四畳半の天文学ー
演劇実験室◎万有引力
ザ・スズナリ(東京都)
2025/11/14 (金) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
レミングとは北極圏ツンドラに生息するタビネズミ。レミング現象(死の行進)とは個体数が増え過ぎたレミングが本能的に集団で海や川に飛び込んで自殺する種の個体数調整行為のこと。1958年、ディズニー制作のドキュメンタリー映画『白い荒野』で世界的に広まった。だがこれは映画としての面白さを狙ったヤラセであり、実際にはそんな事実はないそうだ···。
今作は寺山修司の最後の演出作品であり天井棧敷の最終作品。「都市とはそこに住む人々の内面を外在化したものである」。この何重もの壁によって他者と隔絶を図る都市は人間の選別と拒絶の象徴。他者を拒絶しないと手に入らない安心。
現実世界の空間は壁によって隔てられているが、壁を無くしてみたところで人間一人ひとりの自意識が壁となって他者を遮る。そこまでして壁を作り守ってきた自身の内面とは実は空っぽ、無であった。人間は無に固執して自我を保つ。実はその執着こそが人間の形そのもの。個人的妄想を守り安心を得る為に必要な壁。
髙橋優太氏、中華屋コック見習いのワン(王)。
小林桂太氏、中華屋コック見習いのツー(通)。二人はアパートに同居している。
髙田恵篤氏、ワンが床下に隠して住まわせている母親。この時代、要らなくなった高齢者は回収業者に引き取られる。見つかって処分されることを恐れて匿っている。サザエさんカット(=モガヘアー)を頭の上にタワシ3個乗せることで再現。キャラが麿赤兒氏そのもの。(2015年のPARCO制作版ではまさに麿赤兒氏が演じていた)。
ある日、突然部屋の壁が無くなりアパートは筒抜けに。パニックになる二人。
隣室に住むのは望遠鏡を持った𫝆村博氏と顔の右半分に大きな赤い痣がある山田桜子さんの兄妹。だが壁が無くなった事には気付かない。(興味を示さない)。山田桜子さんは金星人と交信していると信じている。眠る彼女を夜な夜な性的に悪戯する兄。
いなくなったアパートの住人、出口氏のエピソードが語られていく。
沢山の妄想が世界を侵食していく。誰の話も自分に都合のいい嘘ばかり。無論、俺の話もそうさ。
セーラー服姿の前田倫さんが大きな本を片手にうろついている。口ずさむ歌が綺麗。
「世界の涯てまで連れてって - Come down Moses」(モーゼよ山から降りて来い)
Come down Moses ろくでなし
Come down Moses ろくでなし
take me to the end
to the end of the word
take me to the end
to the end of the word

寺山修司生誕90年記念・第2弾レミングー四畳半の天文学ー
演劇実験室◎万有引力
ザ・スズナリ(東京都)
2025/11/14 (金) ~ 2025/11/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
今年はこの劇団の奴婢訓見てしまったので
何を見ても見劣りする感じになってしまってる
しかしこの劇団で自分が魅力を感じる方を再認識した
まず三俣遥さん
まず声が素晴らしいのと見た目から想像出来ない身体能力でしょうか
そして森ようこさん
前回まではどちらかと言うと好きではない方でしたが
今回とてもはまってると言うか…なかなかいらっしゃらない存在だと再認識しました
ストーリーとしては
寺山修司なので、正直理解出来るとは思ってません

楽屋 -流れ去るものはやがてなつかしき-
あサルとピストル
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2025/11/07 (金) ~ 2025/11/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/08 (土) 13:00
通算9回目(今年2回目)となる本作、やはり古典/スタンダードな作品は解釈/演出により様々に変化するのが面白い。
まずは装置、あちこちに蜘蛛の巣がはっていてまるで「お化け屋敷」の如し。
内容を知っている身としてワカらなくもないが「それはやりすぎでは?」との感も。とはいえ「現実世界の人物には見えないもの」と解釈すればアリか(笑)。
また、最終場面で「喝采」を流すのはウケるし納得♪
それにしても本作、舞台に賭ける役者の執念を描いているだけに出演者は少なからず身につまされるのではあるまいか? 今作でも女優Cの前園さんを筆頭に演技に迫力(!)があって見事。
そんなことから小劇場系の女優4人が「楽屋」の役を取り合う二次創作「楽屋のジジョウ(←事情/二乗のダブルミーニング)」を思いついた(爆)。
ちなみにあの翌日「ウチのカミさんが学生時代に演劇部でニーナを演じたそうなんですがねぇ」などと言いながらヨレヨレのコートを羽織った中年刑事が女優Cを訪れる「続・楽屋」は以前思いついていたが
もしやこれって世代限定ネタ?(汗)

或る、かぎり
HIGHcolors
駅前劇場(東京都)
2025/04/02 (水) ~ 2025/04/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初めて見た舞台がこの作品でしたが、とても目が離せませんでした。感情が大きく動かされたし、心に深く残っています。初めて見た舞台がこの作品で良かったです。

再生ミセスフィクションズ3
Mrs.fictions
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
(笑えた度)5.15(今感)4.12(完成度)5.15(平均)5
短編5編@武蔵野芸能劇場。
小屋が広すぎ感があったけど、集中して観ることができました。