film 9 公演情報 パフォーマンスユニットcoin「film 9」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。
    表情と身体表現のダンスパフォーマンスだけだが、そこに自分なりの物語性を想像することが出来る、そこが魅力の公演。自分の内で物語が自由に膨らんでいく心地良さ。まさに「踊りで物語を紡ぐイマーシブ・ダンスショー」の謳い文句にふさわしい。前作「東京夜行」が素晴らしかったが、今作も観応え十分。

    チラシとタイトルから映像(記憶や記録等)をモチーフにしたイマーシブ・ダンスショーを思い描いていた。確かにその通りのような気がするが、さらにダンスの形態そのものが物語に組み込まれている、いわば劇中劇のような表現になっている と感じた。
    (上演時間1時間15分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    会場入口側が正面、その左右にも客席を配した三面客席。正面奥には平台、上手奥にも別平台を設え、中央にアクティングスペース。正面右側にテーブル、収納BOXや飾棚があり、至る所にポストカードが吊るされている。下手の壁に「ナイン座」のプレート。
    全体的に昏いが ダンサーの衣裳はデザイン違いの白色系で統一。人によってはグレー系格子状のワンポイント飾りを着けている。前作も色彩に拘っていたが、本作も同様。ラスト、この配色によって或る世界観を連想したが…。

    始めは6人での群舞、お披露目的な意味合いもあるだろう。それから単独もしくは複数人によるダンスだが、それがクラシックバレエ・ソーシャルダンス・ダップダンスそしてコンテンポラリーダンス等といった多彩な形態で踊る。その度 衣裳を変えるが、基本は白・黒・灰の3色彩。

    タイトルから 既成の8㍉filmとは違った「9film」という独自の世界を描いているのだろうか。「ナイン座」というホールもしくはショークラブといった所が舞台。始めの群舞は賑やかな頃のイメージ、それから各自のダンスはそれぞれがショーで踊っていた頃の想いを込める。何となくウエスト・サイド・ストーリーを連想させるようなダンスもある。すべてのダンスシーンに音楽/音響が寄り添うように奏でられる。その活躍は 今は昔、寂れ廃れた追憶に過ぎない。吹き荒ぶ風のような音、それが荒涼感を表している。

    ラスト、7人目のダンサー(演出兼任の阿部さくらサン)が現れ 夜空に見えない星があることも忘れないでほしい といった言葉。ちなみにダンサーはノンバーバルコミュニケーションであるが、時々 詩の朗読が挿入される。衣裳の白は生、黒は死、灰は生死の狭間をイメージ。昏い中で白衣裳で等間隔に横並びすると鯨幕のよう。

    物語は 踊っていた若かりし頃、それがfilmに刻まれた記録と追憶になっている。皆が灰色のワンポイント飾りを外し舞台に置く、その行為はこの世(未練)と決別し昇華していくような清々しさ。人や物に永遠はなく、いずれ死や廃がくるが、他の人の中に思い出として生きる。それが見えない星のことを忘れないでに繋がるのでは…。舞台という視覚に訴える物語(虚構性)とは違ってダンスを通して、想像するという楽しみを味合わせてくれた好公演。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2026/02/14 06:45

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大