
月夜の陵で鬼は哭く
深海洋燈
多摩センター三角広場内特設テント(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/13 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
令和に生まれた新たなテント芝居の2年目。
昨年の、『燈のあたらない川に流れる人鳥(ペンギン)』は、自分がイメージするアングラってものそのままでして。エログロナンセンス、奇麗なものも汚いものも、混沌としていて。物語も混沌のなか、何かを感じ取る感じで。体感的にも水をかぶりまくったりで、個人的にはめちゃんこ面白かったのですが。
まあ、やっぱり誰にでもってのには敷居高いかもって気はした。
ただ今作は、非常に観やすいのです。
平将門や源平合戦、日本の昔話だったり、そういう一般常識程度の知識はあったほうが理解しやすいとは思うけど、無くても何とかなるかと。
特に一幕、二幕は、アンダーグラウンドなんて構える必要もなく、質の高いエンタメだった。
三幕になると演劇表現で裏返すテーマ性みたいなのがやや出てくるんですが、それも全体を崩壊させるようなことは無く、浪漫的な舞台として最後まで畳まれます。
昨年の水表現だけではなく、今作は火の演出も印象的で。
殺陣も踊りもある、3時間の大作。
休憩が二回あるので、トイレや腰の痛みも心配せず、大丈夫です。
体感的にはあっという間。
観劇の達人はもちろん。
気軽に演劇??みたいな人にも観て欲しいなあ。
そして、若い人にこそ、このテントでの一大スペクタルを味わって欲しいなあって。
撃ち抜かれる人、いるはずなんだ。

エーデ国記
Project Öde
萬劇場(東京都)
2025/05/07 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/08 (木) 19:00
『#明星のアリア』を観劇。世界観芝居を得意とする2劇団コラボだが、壮大な設定には圧倒される。(5分押し)109分。
独特の世界観に基いた芝居を得意とする荒井ミサ(演劇企画ヱウレーカ)と平安咲貴(route.©️)が同じ設定で2作品を書いて交互上演する企画で、エーデと呼ばれる国で人間とアンフィビオなる架空の生命体の関わりを描く。設定も壮大だが物語の展開も巧妙で多くの登場人物の描き分けもできている。役者陣も丁寧な演技だが、殺陣シーンの迫力が今一つの場面があったのは惜しい。顔馴染みの女優も数多く出演だが、推しの岡本麻妃呂は本作でもヴィジュアルどストライクだった。

「蜘蛛の糸」
Music Play Live
高津市民館ホール(神奈川県)
2025/05/06 (火) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/06 (火) 14:00
価格3,000円
生憎の雨天でしたが、ノクティーホールの懐かしさも相まって素敵なひと時を過ごしました。
今回は「演劇」というより「コンサート」寄りの公演内容。
木下牧子作曲のオペラではない「語り・歌唱」「クラリネット」「ピアノ」の室内楽小編成作品。
前半は音楽物語にちなんだ、組曲形式の作品を演奏。こちらはクラシックコンサートです。

花いちもんめ
劇団川口圭子
OFF OFFシアター(東京都)
2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/08 (木) 19:00
価格4,000円
旧満州に渡った一人の女性が、戦後の巡礼旅をしながら当時の記憶を再現した物語。
満蒙開拓の歴史を切り取った川口圭子の一人芝居は、歯切れの良い台詞回しと目力の鋭い表情、台本の役どころにも相まって見応えのある1時間でした。一人芝居は孤独な戦い。それを今回の題材と上手にマッチさせた「花いちもんめ」作品そのものも、文学的で良かったと思います。

「蜘蛛の糸」
Music Play Live
高津市民館ホール(神奈川県)
2025/05/06 (火) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
時間と交通費をかけて毎回都内に出かけて行く観劇の日々もそろそろ終止符をうつべか・・とふと思った雨の日。地元と言える場所で肩の力を抜いて味わうちょっとした非日常の時間がとても良い。(都内に勤務の者が少し足を延ばして下北沢の空気を吸いに・・と言うのも良き日常。頗る特別な時間も良いけれど日常性が大事に思うこの頃也)
ホールに入ると些か心許ない座席の安定感であったが、程よい広さの空間に程よい観客(もっと居ても良いが)、ピアノの置かれたステージを観ながら開演を待つ。
声楽とピアノ、クラリネットの三者が「出演」なので、俳優による熱演は期待せず、物語をどう紡ぐのかに関心。「蜘蛛の糸」は凡そ40分の出し物、原作のほぼ朗読だがどうやら「それ用」に書かれた譜面の演奏と共に語られ、言わば「既存の作品」であった模様。朗読については声楽家がゆっくりと、通る声で(歩いての移動程度の動きをまじえて)語って行くが、お釈迦様が糸を垂らす、カンダタが糸を登り始め、後続の者を蹴落としたら糸が切れた、といった部分だけは「間を挟んでガッと行く」位の「演技」はやはり欲しくはなった。
ただ何と言っても演奏が良い(巧いので後でプロフィールを読めば、中々の実力派のよう)。前段の演奏(ピアノ伴奏の歌、ピアノ伴奏のクラリネット、ピアノ演奏)特に二番目のクラリネット演奏が始まると胸に溶け入るようであった。三者とも選曲は童話チックな可愛らしい世界を狙っていたが、ピアノ独奏では技巧が優れていながら柔らかな感触。
ただ、音楽演奏で起きる拍手と、後段の「蜘蛛の糸」の後に起きる拍手では、違うのだな、という発見。技術的には演奏要素が秀でていた朗読ではあっても、紡がれたドラマが終幕した後に起きる拍手は熱が違う。コールで立つ三者の風情も違う。演劇が持つ「劇しさ」の種を見る思い。
この公演を認知したきっかけの俳優(今回の演出)森山太氏は表には出ず、インカムを持ちながら立ち動いていた。次もまた拝見したい(いつになるか分らぬが)。

Two Be or Not Two Be
祭文庫
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/04 (日) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
宗教家と獄吏という設定であるが、発する言葉はどちらかというと哲学。それらしく聞こえる言い回しを選んで使っている感じがあり、個人的には好みではない。言いたい(言わせたい)台詞、見せたいシーンを寄せ集めたようでしっくりとこないというのが素直な感想です。

ワトソンとスィートホームズ/皆目見当がつかない
かーんず企画
シアター711(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/06 (火) 16:00
かーんず企画第13回GW特別公演【ワトソンとスィートホームズ】と【皆目見当がつかない】の2作品を交互に上演している中で、前者の作品の千秋楽公演を観劇した。
CoRichのあらすじを読んだ感じだと、公園の片隅でゆるく暮らすホームレスの人々の生活を描く……だったはずが、新しい公園で暮らしたい人の登場で、やがて人間が向かうべき方向が露わになっていくという、タイトル除いたら、探偵小説『シャーロック・ホームズ』に出てくるワトソンもホームズも出てこないように一見えるが、『シャーロック・ホームズ』の亜流の話で、更に色々な要素を混ぜつつも、ワトソンとホームズが群像劇的な中で、さり気なく出てくるような劇かと思って、期待して観に行った。良い意味で裏切られた。
そもそもワトソンらしき人やホームズらしき人すら出て来ない。強いて言えば、シャーロック・ホームズ帽をホームレスの中の中心的な人物が途中で被って出てくるぐらいで、別にそれが劇の伏線回収になる訳でもなく、劇自体ミステリーの要素はからっきし無かった。但し、最後まで予想出来ない展開で、絶対的と思われた価値観や存在意義が変わってしまう不条理喜劇で、大いに笑えて、面白かった。
実際のホームレスになる人の大半は、ホームレスという何者にも縛られなくて、自由で、社会規範とも比較的無縁な路上生活に憧れてとか、人類の原点に帰ってというような考え方、在り方でと言うよりも、生活苦からそうなっていることが多く、好きでホームレスやっている人の割合は、特にこの日本においては顕著だと思う。
なので、劇中でホームレスの人たちが、不穏な現代社会で息苦しく、心も狭く、現状に満足せず、仕事も好きになれず、一人で塞ぎ込み、孤立感が高まり、想像力も思いやりもない人たちと対比して、どこか現代社会の病理の対極にある理想的な社会という風に描いているのは、普段街中でよく路上生活者を見かけて、身近なだけに、都合よく描き過ぎていないかという違和感は、少なからず感じた。
但し、その違和感以上に、途中で約1名除いたホームレスの人たちはホームレスになりきり、演じ切っていた、ということが劇の後半になって分かってくる。でも、例え最初の間口が不順な動機でも、途中からは本当のホームレスの生活が気に入り、いつの間にかコミュニティーに溶け込み、本当のホームレスのようになっていく人々の心の変遷、成長が丁寧に描かれていて良かった。
劇の終わりの方でただの普通のコーヒーを飲んでいただけな筈なのに、変な動きを始めたから、最初はゾンビになる展開かと思ったら違った。何と、予想外にも、新しく入った新入りを歓迎するホームレスたちによる路上飲み会で盛り上がってきたタイミングで、次々に類人猿になっていくという不条理で、不気味で、どこか不安だが、ユニークで突飛な終わり方になっていく。
そのホームレスたちや支援者弥生の心が綺麗に見えるが、実はホームレスが出してくれたコーヒーを飲むと見せかけて、こっそり隠して置いたり、自分がせっかく作ってきた手料理よりも、ホームレスの人たちが自分たちでゴミ箱漁って持ってきた食べ物で盛り上がっているのを見て、機嫌を損ねたりとどこか偽善者じみた令嬢までもが次々に類人猿になっていく様子に、その動き方の可笑しさに、今までと打って変わった不条理さに、馬鹿馬鹿し過ぎて大いに笑えたが、その後、類人猿への急な様変わりがある意味現代社会の人々の孤独や闇を炙り出している気がして、急にスーと背筋が凍り付くほどの恐怖を覚えた。

花いちもんめ
劇団川口圭子
OFF OFFシアター(東京都)
2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了

花いちもんめ
劇団川口圭子
OFF OFFシアター(東京都)
2025/05/08 (木) ~ 2025/05/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
『大地の子』の母娘版だったのですね。中国残留孤児ではいろんな人の思惑が絡んでいるのでオールキャスト版も見てみたかったな…とも舞台を観て感じました。あと、今回の舞台を観て『大地の子』の1人芝居も観てみたい…とも思いました。どの人物の視点で脚本書くかにより舞台かなり違ったものになるだろうな…と思いました。

Two Be or Not Two Be
祭文庫
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/04 (日) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

家族病3篇
Oi-SCALE
サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)
2025/04/21 (月) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/04/24 (木) 16:30
「顔のない家族」
勤務先の近くで一人暮らしをしている女性が特に行事のためとかではなく連絡もせずに訪れた実家で体験する不可解な事態。
その状況から某有名/人気推理劇(?)を想起したが、こちらはそれが複数だしそもそもそれで描く主題が異なる。
そして途中に「これは原因に関するヒントでは?」な台詞があったり終盤で真相を匂わせる場面があったりするが明確に真相を示さずに終わるもどかしさよ!(笑)
それにしても観客に主人公と同じ不安さを味わわせる語り口の巧みさたるや!

二都物語
東宝
明治座(東京都)
2025/05/07 (水) ~ 2025/05/31 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初日、観劇しました。素晴らしかったです。
ドラマチックなストーリー、圧巻の歌声に目が釘付けでした。
観劇前、内容や登場人物を把握していたので話に付いていけましたが、把握していないと少し難しいかも・・隣の女性2人は、難しくて分からないと話していました(幕間に)
演者の皆の歌声は本当に素晴らしく、やはり主演の井上芳雄さんの声は唯一無二に感じました。
帰る際、ずっと美声が頭を離れませんでした。素敵な舞台でした!

いつかの日の
こわっぱちゃん家
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2025/05/01 (木) ~ 2025/05/05 (月)公演終了

Two Be or Not Two Be
祭文庫
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/04 (日) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

明日、泣けない女/昨日、甘えた男
株式会社テッコウショ
シアターサンモール(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かったです。田舎特有なんでしょうか。あんなに「性」にある意味おおらかでいいんでしょうかと思いながら見ていました。そしていろんな問題が山積したまま・・・(以下ネタバレ)
スタッフさんの対応がとても良かったので★一つ追加します。観てきた!はあくまで芝居に対しての評価でというご意見もあるようですが、やはりお芝居に没頭できるための配慮があると
ありがたいものですから。

お歌とお芝居 「髑髏沼の女」
たすいち
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

「蜘蛛の糸」
Music Play Live
高津市民館ホール(神奈川県)
2025/05/06 (火) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前半が音楽で 後半が生演奏朗読劇でした
小品な感じでしたが衣装なども綺麗で
心に残る舞台芸術となっておりました♪
約90分で休憩15分

ワトソンとスィートホームズ/皆目見当がつかない
かーんず企画
シアター711(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「皆目見当がつかない」を観劇
会社の女子会ピクニックで
料理持ち込み酒類現地調達にて
良い場所取っての話が
闖入者が来てーのと
先の読めない展開する65分の作品

ワトソンとスィートホームズ/皆目見当がつかない
かーんず企画
シアター711(東京都)
2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ワトソンとスィートホームズ観劇
説明通りに
ホームレスの生活を描いた話で
新入りさんが入ってきて
いろいろと変わってくるトコが
何とも楽しい作品でした
約70分の話

明日、泣けない女/昨日、甘えた男
株式会社テッコウショ
シアターサンモール(東京都)
2025/05/03 (土) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
北海道の漁港町、憶測に噂話、田舎のイヤ~な感じがしても実際に性格の悪い人なんて一人もいないという
好感すら持てる人達をもってしても「性欲」が絡んでくると、こんな流れになってしまうのかという説得力に思わず唸ってしまいます
深刻と可笑し味、主人公女性の個性的な「性」について斬り込むと、必然的に男の「性」も浮き彫りになって、捉え方が決定的に違っているのが明白でとても興味深く
女性同志であっても受け取り方や関係性が全く変わってくるので更に興味深い
あやふやで魅力的な主人公女性
垣間見える「孤独」や「承認欲求」から抜け出すには確かな愛が必要ではないかと思うものの、実際やっている事で増々そこから遠ざかる羽目になるという ジレンマ
自分自身がどう見えているのか、間違ったものに救いを求めていないか、いくら言葉を尽くしたとしてもなかなか一筋縄ではいかなさそう
彼女を取り巻く家族や町民、町にやってきた人たちとの関係性がとにかく巧みに描かれグイグイ引き込まれます
心情の微妙な動きや移り変わりが自然に感じ取れる一級品の人間ドラマでした