公演情報
PSYCHOSIS「寺山修司生誕90年記念認定事業「盲人書簡◉上海篇」」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
PSYCHOSISの前に観た舞台は高取氏の作品で独自の文体を演出を駆使して飲み込み易く舞台化してくれた印象があった。アングラ劇世界の現代的上演という特色で集客を得、精力的に活動を展開(頻度も高い)と思しいが、さて今作。寺山作「盲人書簡」は初めてであったが、数組ある「登場人物/場面」が、順繰りに暗転を挟んで現れるが、組が多くて相互の関連がいまいち分からなかった。関連自体があるのかも・・
その意味では、各場面の人物(ら)によって具現される存在(人物)群と、その象徴となる言葉と、それらの素材を通して寺山氏が透徹する人間というものの本質・姿を想起する劇・・・とはなっていた。少年愛の嗜癖に溺れる明智小五郎と、彼に利用されまた捨てられる盲目の小林少年、暗躍する黒集団、不在の母へのマザコン魂がある娼婦と出会いで妙な発展を遂げる少年、部屋にこもる少女・・特徴的な人物/場面が衣裳、歌、踊り、ギミックと飽きさせない趣向で繋いでいたものの、物語叙述の面では(恐らく題材によるのだろう)追えなさがあり、やはり観客は物語を追いたくなる。原作を知る人には、どう見えたか分からないが。
今回も深海洋燈が美術を担当、音楽もレベルが高く、PSYCHOSIS初期(つっても何年か前)に比して全体に力量が上がったと感じさせる(人が入れ替ったのか人が変ったのかは不明だが)。ただ作品世界の精神を伝える目的に技術が先行する勿れ。
次作を楽しみに待とう。