最新の観てきた!クチコミ一覧

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Blue moment

Blue moment

Theater Company 夜明け

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

1人の男 光(コウ)の人生を、フライヤーにあるバイクのタンデムツーリングに準えて描いたロードムービーならぬドラマ。時代ごとに 光のエピソードを描き、その生き様を時系列の回想録のように展開していく。タイトルにあるBlueが物語の肝。

物語は 「記憶と夢の中」といった台詞から始まる。人生は選択と決断の連続、光は思い立ったら後先考えずに行動する。その結果が良かろうが悪かろうが、その捉え方は本人次第。その時代の心情・心境をテンポよく描き、次の時代へ繋いでいく。光という一役を時代ごとに複数の役者が担い、変わらぬ性格等は一貫しつつ、成長とともに違った面を巧みに観せる。

舞台セットの高低を活かした躍動感、音響(エキゾーストノート等)・音楽(ビートルズ の曲 等)や照明の諧調で印象付ける。 何といっても舞台中央の重厚感ある「ロー&ロング」スタイルのバイクが迫力。
ラスト、光の台詞が切なくも 救いになっているような…。今の若者、かつて若者だった人々にカタルシスをもたらすかのようだ。
(上演時間2時間 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、左右から階段状にしたピラミット型で 頂上の下は出ハケの幕。その左右にも小さな幕。中央の出ハケを通ってバイクを出し入れ、左右の小さな幕は家の部屋であり秘密基地的な存在。天井は豆電球で夜空に輝く星。ピラミット型にした高低と、その前(客席寄り)を広いスペースにすることによって、上り下り、駆け回るといった躍動感を出す。それが、人生という旅(バイクが象徴)の疾走感を連想させる。バイクにうつ伏せている中年の男Kと不思議な少年との会話から始まる。この出会い、「星の王子様」(サン=テグジュペリ)を連想させる。

当日パンフによると、物語は5つの時代「(幼少期~小学生編)(中学生編)(高校生編)(青年編)(夜明け編)」で、具体的な年代(1989年~2025年)まで記している。小学生の時に、光が見つけた父の浮気の証拠によって 両親は離婚。以来 女手一つで育てられた。中学時代は 初恋相手目当てで吹奏楽部へ、高校は 有名進学校へ1年遅れで編入学。高校時代に付き合った彼女の家庭は、或る宗教団体(統一教会?)に入信しており、結婚には反対。大学は音大を中退し 演劇活動へ。その活動は紆余曲折を経て、だんだんと軌道に乗り 忙しくなってきた。演劇を通じて知り合った女性と結婚したが…。付き合った女性は、年代順に「春」「冬」「秋」「夏」で四季を表し、人生の彩に準えた様な名前。

妻が、劇団の男と一夜を共にしたことを告白、妊娠したが誰の子か分からないと…。バイクに乗って 暗転後、大きな衝撃音が響く。BlueはKに向かって言う、「お父さん、やり直したい時(代)はある?」の問いに、K=光は「ない」と答える。後悔のない人生だったのか、強がりなのかは判然としないが。恋に悶える者、自我と孤独な魂を持て余す者の心に響くような。

轟くような重低音、眩しいライトを照らすバイクに乗って、会うことがなかった父と子が旅する回想は余韻に溢れていた。Blueが 見ることのなかった景色、それを父を通して追体験するようだ。風を感じてのツーリング…そして「風」は時代毎に色々な風が吹き、評判や悪評といった「風評」に変化していく。
舞台技術は、ビートルズの曲や優しく癒すような音色、照明はスポットライトの多用で光の心情を強調する。演劇人の等身大の姿を抒情的に描いた好公演。
次回公演も楽しみにしております。
僕は肉が食べたくて裸(ラ)

僕は肉が食べたくて裸(ラ)

南京豆NAMENAME

新宿シアタートップス(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

確かにヴァイオレンスでした
アパートの一室を再現した舞台セットで
基本二組の男女を中心に
ジェットコースターのような
話の展開がされた2時間強の作品

ネタバレBOX

出だしの話と最後のエピローグが繋がってて
このアパートに暮らし始めてから
時間経過長く見せていった話でした
フィッシュボウル

フィッシュボウル

マチルダアパルトマン

水性(東京都)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

黒い金魚チームを、ゲネプロ無料招待で観劇。
身銭を切って無いし、あくまでもゲネプロなので満足度評価はしませんが。
居心地の良さを感じる芝居でした。

犬の観覧車

犬の観覧車

黒い犬

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/02 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

犬席💺で参加
よく分からん
比較的分かり安いクルミザワ作品としては…
誰か解説しては…

妄囚教徒の棲まう森

妄囚教徒の棲まう森

劇団Lacrimosa

STAGE+PLUS(大阪府)

2025/05/30 (金) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽ステ拝見
面白かった!
宗教的な話かつユートピアの話
学生運動なんか全く知らない世代(私も全く知らないけど…)が、こんな脚本を書くということは、今の日本政治に対しかなりの不満が有るんだろうな〜(私も有るが、今の日本 特に自民党を潰さない限り…)
アメリカ🗽ファーストでは無いが、もっと日本の将来を考えて欲しいです…
To be continue感も持たせた最後 次も楽しみです!
大奥様?ベル上手でした✨

優美な死骸の採集

優美な死骸の採集

劇団三毛猫座

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2025/05/30 (金) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

アート性が高すぎて、私には何の事やら…
インプロ形式のアート作品で、展示も…
京都市立芸術大を中心に構成された団体
アートが分からん人には…

秘密

秘密

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2025/05/30 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

用松亮氏と安川まりさんの父娘漫才からスタート。十八番の遣り取りに「待ってました!」と観客がどっと沸く。用松亮氏はずっと誰か架空の人間の物真似をしているようにも見える。
「なに?」(煙草の“ヤニ”のようなイントネーション)。
「ああ、そうなの」
「なあんだろ」
耳が遠いのか何度も聞き返す。同じ話を何度も繰り返す。日常風景の中にカメラをぶち込んで狙っていない笑いを掘り起こすような作風。
初演はコロナ真っ只中の2022年4月。その前に二度中止の憂き目に遭っての上演。

実家、茨城県の母親(坂倉なつこさん)が高熱を出して入院。家事が全く出来ない父親(用松亮氏)の世話の為、東京で結婚している娘(安川まりさん)が帰郷。子供はなく、仕事は在宅テレワークを会社が許してくれた。買物をして食事の準備、掃除と洗濯に庭の手入れまで。腰を痛めた神経質で口うるさい父親(用松亮氏)にイライラしながらも。

母の姉の息子、吉田庸氏は「さらば青春の光」の東ブクロっぽい。隣人の巨体・渡辺裕也氏はインディーレスラーに居そう。
坂倉なつこさんの病院のシーンは必見。もう役者が演じているとは思えない程のリアル。

安川まりさんはこのまま行けばとんでもない女優になる筈。

次作はいよいよ12月にシアタートラム。用松亮氏と安川まりさんも登場。この前に皆観た方がいい。チケット取れる内に小劇場で味わうべき。今なら間に合う。

ネタバレBOX

静かで小声なシチュエーションが多い為か、居眠り客多数。だが笑いの多いサーヴィス散りばめた作品だと思う。

肝となるシーンは、坂倉なつこさんが退院して安川まりさんに庭の手入れの方法を教える。だがそれを見た用松亮氏は怒鳴り散らす。女房が無駄に無理して倒れたと思っていて「余計な事するな!」と叫ぶ。その大声に驚いた隣家の渡辺裕也氏石黒麻衣さん夫婦が何事かと乗り込んで来る。その遣り取りが恥ずかしくなった安川まりさんは頭に来て外出、夜遅く帰る。ずっと帰りを待っていた父母、食事を催促。今から支度するのか、手が痛くてもう嫌だと返す。指の関節が曲がらない程痛んでいるのだと。坂倉なつこさんがその指をさする。「あんたは生まれつき手が小さいから人よりも痛むのかね」。涙ぐむ安川まりさんは食事の支度を始める。

2ヶ月ということは9月10月なのか?

石黒麻衣さんは小説を書くべき。それを本当に才能ある奴が監督して映画化すべき。ホン・サンスかな。
昭和から騒ぎ

昭和から騒ぎ

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2025/05/25 (日) ~ 2025/06/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/31 (土) 17:00

シェイクスピアの喜劇を三谷幸喜が翻案して、達者な役者陣での上演。とても面白い。107分。
 『から騒ぎ』を戦後すぐの鎌倉に置き換えて翻案しての上演。そもそもの戯曲を観たことがないので、どう変わっているのかは分からないのだが、とにかく笑った。オープニングからテンポの良いセリフの応酬で、とんでもない物語が展開される。軸は、びわこ(宮沢りえ)と木偶太郎(大泉洋),ひろこ(松本穂香)と定九郎(竜崎涼)の恋の成就だが、脇を固める4人もさまざまな活躍をする。宮沢りえの美しさに息を呑むが、舞台は3作目(だと思う)松本穂香の活躍は凄い。

Brother~another father~

Brother~another father~

“STRAYDOG”

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Bチームを観劇。最高!ブラボー!傑作!めちゃくちゃよかったです。私のようにサザンオールスターズファンには垂涎ものの舞台です。途中あったHOTEL PACIFICではアゲアゲで不思議と涙が出てしまいました。もちろん最後の愛の言霊でも目がうるうるしてしまいました。脚本も演出も演技も最高です。とくに、主人公の奥さん役の方の演技は最高でした。朝ドラに出れるレベルですね。最高の時間をありがとうございました。

Blue moment

Blue moment

Theater Company 夜明け

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ある演劇人の一生を描いたファンタジックで青春プラスアルファな舞台。大いに楽しめましたけど、リアルに思うと残念な人生だよな。本人にとってはいいけど。一生懸命に頑張る人は周りが見えない。反省しきりです。

リア

リア

劇団うつり座

上野ストアハウス(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

和洋ハイブリッドな濃厚な舞台ですね。かなり疲れましたが、ぐっときました。

フィッシュボウル

フィッシュボウル

マチルダアパルトマン

水性(東京都)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とっっても良かった。極めて素直に眼前のシーンを眺めるに尽くしても面白いし、架空の街づくりの取り組みがあれやこれやを表していると思って観てもまた。やさしい話だと思う。なんと18歳以下は無料だってよ!そうでなくても3,000円。家計にもやさしい。

ガマ

ガマ

劇団チョコレートケーキ

吉祥寺シアター(東京都)

2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

始まってすぐに沖縄戦の世界に引きずり込まれていくような感覚に陥った。
戦争の為に失ってしまうものの大きさに改めて気づかされ、二度と起きてはいけないことなのだと痛感。
演者さん皆熱演でかなり重いシーンが多かったが、大和田獏さん演じる知念さんの優しさに救われました。
初日に観劇したのだが、時間があれば再度見に行きたい。

Blue moment

Blue moment

Theater Company 夜明け

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

言わばがむしゃらに前にしか進めない若者の一生を誕生から死まで自叙伝的に描いている
短い場面を繋いでいくのが初め違和感があったが、だんだん慣れて楽しめた(手法に全面肯定はできないけど)
そう、常に全力で生きると空回りすることがあるよね
周りに良かれと思ってやっているのだけど、必ずしも結果はそうならない
Blueは生まれてこなかった彼の子だったのか
オープニングから登場するバイクが印象的(アメリカンとネイキッド~あの特徴あるフレームなんだっけ、思い出せない😢)
タイトルになっているブルーの照明が美しかった
音響がステージでは吹かせないエキゾーストノートを絶妙に表現していた
藤沢のS高とかすぐに「あ、湘南だ!」と分かってしまうし、土地勘あるから話聞いているだけで懐かしかった
時々ディテールに滅茶苦茶こだわっているところがあって、居酒屋シーンの後ろの方のバイトの動き、シフト終えて店長に挨拶して消えていくところとか感心して観ていた
キャスティングは良かったと思う
特にBlueの鳥羽瀬璃音花ちゃんは声も雰囲気もピッタリだった
時々星の王子さまの王子さまを彷彿とさせた
もう一度バイクに乗りたくなった

母

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

以前手にしたチャペック戯曲集の中に存在感ある作品として収められているのを見(読もうとはしたが読了したか不明)、その後オフィス・コットーネが増子倭文江を母役に配して上演。抉られた。
今回異文化に触れたい衝動で(A席のお値段に腹を括り)直前に劇場に赴きキャンセル席をゲット。最後列に収まった。記憶を手掛かりに字幕上演を辛うじて乗り切り(字幕を見ながらの観劇には後方席は悪くなかった)、終演時は痛くなる程拍手をしていた。
不眠のため一幕後半は秒単位での寝落ちに幾度も見舞われたが、俳優の声と身体はしっかり感知でき、文字読解の脳を駆使できた事(速くて読めない行もあったが広田篤郎の翻訳が恐らく良かった)、記憶の補助により付いて行けたのは幸いだった。
(予習は必須だったかも知れない。)
脚本をかなり刈り込んだ印象。コットーネ版は凡そ2時間との事だが今舞台は休憩20分含め1時間55分。
開幕時、母は軍人だった夫トマーシュを十数年前に失っており、5人の息子の長男オンドラも、医師として外地で亡くなっている。次男のイジーはセスナ乗りに明け暮れ、双子のコルネルとペトルは絶えず戦争もどきの喧嘩で張り合い、部屋を荒らして母の癇癪が飛ぶ。末っ子のトニだけは母の意に適い、他の兄弟が争うのを見て泣き、本に親しみ詩を書く文学青年。やがてイジーが飛行機事故で爆死。双子の兄弟も内戦の対立する陣営に加わり、いずれも死を遂げる。次男と三男四男の死までが一気呵成に進み、一幕が終る。
この作品では父の遺品が飾られる部屋が、ある特徴を担わされている。英雄然とした父の遺影、銃や剣といった「男心をくすぐる」アイテムもあり、息子らはこの部屋に入って遊びたがるのだが、母はそれを忌み嫌い、父が死後もなお息子らを悪しき道に導いていると恨みをこぼしている。母はこの部屋で夫と会話し、長男とも話す。原作では母がこの部屋に入る時間と他の空間の時間は当然区別されているが、この舞台では両者が地続きのような演出で、時短で目まぐるしく進めていたようであった。

二幕、外国の侵攻を受けたとの衝撃的ニュースがテレビから流れている。若く色の白い美しい女性が悲壮な表情でそれを伝え、トニがそれを見ている。母はトニの心境を問い質し、懸念を口にする。男たちよ立ち上がろうと呼びかけるアナウンサーに「母親じゃないから分からないのだ」と毒づく。だがトニは学校で友人たちが兵隊に志願すると言ってる、自分も志願したい、と言う。母はトニが如何に「そういう人間ではなかったか」過去の断片を一つ一つ挙げて思いとどまらせようとし、地下室に入るよう強く勧めるが、トニは「それとこれは違う」と答える。しかし母のあまりの剣幕に思い直し、母の「愛」を失うことを畏れ一旦は地下へと降りる。
そこから、死んだ息子らと父による「作戦会議」が始まる。「困ったことになった」「可哀そうなトニ」「可哀そうな母さん」・・ここはチェコの国民的作家チャペックの面目躍如、死んだ身空で国家の危機に「立ち上がろう」と気炎を上げるというコミカルなシーンなのだが、その彼らの動機の中に一抹の真実がかすめる。ここで敵国に負ければ(国を失えば)国に殉じた自分たちの犠牲が無に帰してしまう・・その一心から何かしないではいられない哀しい性を吐露しているのである。
彼らの姿が見える母は彼らに反論し、自分は報国の義にでなく家族のために命を賭ける、トニに居なくなってほしくない理由は「自分が淋しいから」と高らかに言う。永久に理解し合えない事だ、とも。母の剣幕の間に、男らはいつしか居なくなっているが、そこへトニが出て来る。「何を喋っていたのか」と。そしてその時、テレビからさらなる苦境が伝えられる。若い兵士ら何百人が乗った潜水艦が爆破された。そして母が毛嫌いしていた女性アナウンサーの顔色が変わり、自分の息子がそれに乗っているとこぼし、カメラに背を向けて動かなくなる。右に映された男性メインキャスターが冷静に状況を伝える。艦から「沈没中」との連絡が入った。「私たちのために国歌の演奏を望む」・・そして、連絡が途絶えた事を伝えると、女性アナウンサーが崩れ落ち、(母としての)嗚咽がTV画面から漏れ出て来る。
テレビが消され、母は置かれた銃を手にし、絶望にひしがれてトニに「行ってきなさい」と言う。何を思うのか読み取れない銃を捧げた息子の後ろ姿が、強烈な光の中へと消え、終幕。
母が決意を固めるまでの暫くの間、テレビ画面はテロップに流れて行く悲報の文字を映し出す。つぶさに読み取れなかったが、いずれも子供の死亡数を伝え、イスラエルのガザ攻撃による死者カウントに見合う数である事から、私はそれを想起する。「何故子供たちを?」・・・母の中で、現状を黙って見過ごす訳には行かない思いが起きたのか、大義名分に抗う事は出来ないと観念したのか、いずれにせよ母の絶望がこの作品の結語である。本作は母役が要だが、チェコ人の生活文化を知らないながらも家族の中の母の息遣いが伝わっていた。

朝、私は寝るよ

朝、私は寝るよ

グッドディスタンス

小劇場 楽園(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演者と観客が一体となる狭い空間での2人芝居。男女の”不倫”。
シニア女性からすると何を学び何に役立てるかの観点よりも
演者さんの技量が自分の想像と合っているかどうか。そして
それを盛り立てる装置と音響と照明の効力の意味が直後の感想です。
綱島郷太郎さんの誠実かつコミカルな演技(自然体)に惹き込まれあっという間の60分でした。
コミカルな綱島さんを発見です。
不倫する女性の内面を知らされた場面に凍りつき
今泉さんの可愛いキャラとのギャップに. . . さすが演者さんだなーと。

「朝、私はねるよ」なる程. . . . !!

朱の会Vol. 8 泉鏡花「夜叉ヶ池」

朱の会Vol. 8 泉鏡花「夜叉ヶ池」

朱の会

中野スタジオあくとれ(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです!
鯰入さんの科白廻しがいちばん好きでした。古風な言葉遣いがすごく体の深いところから出ているような……
宅膳さん最初の登場シーンで捌けるとき、さりげなく「池の鯉よ〜♪」と歌っているの芸コマ(笑)
鯉七さん、よく見たらネイルも青を塗っていてオシャレ!!
好きな戯曲ですが今回拝見してまた色々発見がありました。ありがとうございました!

乱鴉傷(らんあのいたみ)

乱鴉傷(らんあのいたみ)

チリアクターズ

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

かなり難解な舞台でしたが、その独特の世界観と人物描写に引き込まれました。キャストの皆さんは、膨大な台詞と人物背景を熱演されていて、観ごたえがありました。観劇後に、色々と考察が分かれるタイプの作品ですね。

ネタバレBOX

公演後に主催の方がおっしゃていましたが、脚本を1万字ほど削られたとのこと。その中に色々とヒントがあったのかも?公演台本買っておけばよかったかな(笑)
リア

リア

劇団うつり座

上野ストアハウス(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

重厚/骨太にして独特の世界観が観る者の心を打つ。
生と死、光と闇、女と男の境界をめぐる岸田理生 作品。それを構成・演出そして出演した篠本賢一 氏の詩的というか能的探究で観(魅)せる舞台にしている。「シェイクスピアの『リア王』を女性の視点で読み直した作品」という謳い文句、確かに その視点は感じるが、やはり人間そのものの存在を問う内容に重きがある。

漆黒の闇の中で蠢く人間、それも黒い衣裳を纏っているから五感を研ぎ澄ませて舞台を凝視することになる。そこに心地良い緊張感が生まれる。そして音響・音楽で情景を想像させ、優しい暖色照明で効果をつける。また、薩摩琵琶の岩佐鶴丈 氏が彼岸と此岸をつなぐ悠久の調べを奏でる。

登場人物は 「老人」「長女」「次女」等、具体的な名前は付けられていない。そこに年齢や性差は認められるものの、人間本来というか、その存在の何たるかを描いているようだ。冒頭、王位を奪われた老人が「自分は確かに死んだ、しかし悪夢の中で生きている」といった台詞から始まる。そこに生と死、そして 舞台の奥深さを表しているような…。
(上演時間1時間50分 休憩なし)

ネタバレBOX

ほぼ素舞台、奥に紗幕があり その内側に椅子と王冠があるだけ。冒頭、上手 客席寄りに岩佐鶴丈 氏が座り薩摩琵琶を奏でる。客席通路を使い演者が登場する。

シェイクスピアの「リア王」と違う 主なところは、娘が2人(長女・次女)ということ、そして長女が甘言によって王位を奪い取ったこと。言葉は「力」であり「権力」、それをどのように弄して使うか と嘯く。一方、父は 王という地位がなければ、ただの老人でしかない。地位も名誉も金もなく、1人の人間としての存在/価値が試される旅路へ。旅の従者は、忠義者と2人の道化(老婆の道化と若い道化)。

人間はそもそも愚かしい存在で、人は己の愚かさを自覚する必要がある。それゆえシェイクスピアの劇では道化(フール=愚者)が、人物たちの愚かさを指摘する。本作では、それまでの絶対的な権威を失い、哀れな一老人となって荒野を彷徨うことになる。そして己の愚かさを悟り、逆に王になった長女が孤独という病に蝕まれる という皮肉。

言葉には、表の優しさと裏の惨さがあり、人間の本性そのもの。長女は、強い言葉を発し 自己主張をする。一方 次女は無言で言葉を発しない。その精神的な描きとは別に、肉体的な描写が生生しい。長女に従う3人の男の家来と女3人の影法師(野望・虚栄・不測を表現)との肉感的な交わり。特に、長女(友竹まりサン)と家来(徳田雄一郎サン)の交感、その艶かしい姿態と喘ぎ声に息をのむ。その姿は影としても壁に映る。その光景は、肉と肉の交わりこそ 生であり死を分つ と言う。

孤独を癒す存在としての母、それは糸車を回す女という平凡な者。度々現れては糸車を回す仕草をする。権威はもちろん野望も虚栄も持たない、逆に持たないことが苦悩を生まない。素舞台、しかも役者は黒衣裳で特徴を出さない、その中で「言葉=台詞」によって この世界観を感じさせる。また 次女が亡くなり、その周りを老人(篠本賢一サン)が能の足運びで回る。実に感慨深い公演。
次回公演も楽しみにしております。
この眩い世界にネガは瞬く

この眩い世界にネガは瞬く

劇団サイエンスフィクション眼鏡

πTOKYO(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bチームを観劇しました。
朗読劇でしたが、役者さん達の感情豊かな表現に、どんどん惹き込まれました。
情景が目に浮かんでくるような作品で、ラストは切なくて涙腺が緩みました。
素敵な舞台でした。

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