公演情報
四喜坊劇集※台湾の劇団です!日本で公演します※「えがお、かして!」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
本多劇場グループが継続中の日台演劇交流の一環で、昨年は日本人舞踏家を演出に身体表現を主とした舞台であったが、今作は若い男女各3名計6名によるのっけから歌が奏でられるミュージカル仕立ての舞台。一気に引き込まれる。
煉獄のような場所に者どもが滞留しており、完全に死んでいない状態の者はある一角にとどめ置かれ、完全に死んだ者はオークション(転生先を競り落とす)に参加できる。ここを管理する者(美形女優がコケティッシュに演じる)に導かれて男が一人やってきた。前世に未練全く無し。オークションに早く参加したい・・。透明な囲いが解かれた男が、平場に降り、他の者に交じるとオークション開始。そして歌。「家」を選ぶことで自分が次の転生先が決まるのだが、琴線を揺らすコード進行のキャッチ―な音楽に乗ってそれぞれのこだわり、夢を語り、転生先を決めて行く。全コインをベット!とやると落とせるらしい(転生すればコインは不要なので実質「早い者勝ち」のオークション)。苦痛や失敗、不遇(に終わった人生)からの転生とは、今生において人間が描く夢のメタファーでもある。その構図にドラマ性が既に胚胎しており、一人ひとりと新たな人生へと飛び込んで行く都度(伴奏はずっと鳴っている)歌われる歌に、もう観客の幾人かは涙を拭っている。
・・これは中規模劇場で、簡素な装置で「空間的間合い」の情趣も味わいつつ観るのが「正解」では(小劇場B1は小さい)、とは思いつつも狭さへの違和感はすぐに溶解し、ドラマに入り込んで行った。本作は10年間上演しているという。姉役の女優が当初から参加している人とか。歌は音程が揺れる箇所もあるが気にならず、勘所を押さえて歌の心が十二分に表現され、何よりも演技が的確。秀作である。