
ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了
満足度★★★★
結構な出演人数の割に共通役無しで2チーム。「大事に作る」印象のことのはboxにしては・・制作上の事情か、とすれば稽古回数の圧縮が中身にしわ寄せを・・等と実は勘繰りながら観ていた。が、戯曲の本線がやがて浮上し、堂々たるメッセージ性が倒れた大木を起こすようにもたげ、元来飲み込みづらい超自然的要素をすっかり観客に飲み込ませて終幕した。
バブル時代を思わせる台詞に、若手中心の俳優は時代気分のシフトが出来ない様子、これが序盤のギクシャク感の事情と想像するが、戯曲を古いと感じさせなかった点において上演は成功と言えるかも知れない。貨幣や住居、所有に捉われない生き方・・・思い起こせば当時こういった視点がバブルに踊る自らへのアンチとして)巷間あった(『パパラギ』なんてのもあった)。
しかし今この時代にこの戯曲の言葉を据えると、バブル期からさらに転落した文明そのものの惨めな帰結を、深く深く思わされる。
このご時世に・・は決まり文句になりつつあるが、本舞台、この時世によくこの作品を蘇らせた。そしてよく中止にしなかった。

ゴドーを待ちながら【4/8(水)ー11(土)公演中止】
KARAS
KARAS APPARATUS(東京都)
2020/04/03 (金) ~ 2020/04/11 (土)公演終了
満足度★★★★
「ゴドー」をどう踊るのか・・興味津々で荻窪へ。公演はほぼゼロに等しいこの週末に上演をやっている事については、トークで言及があった。「特に状況に抗っている訳ではない。私たちの表現活動をやっているだけ」。そのKARAS公演も火曜以降は中止となり、6(月)夜を残すのみ。
2015年12月のシアターXでの初演は佐藤利穂子とのデュオで、今回も2人の名前があったが、日々更新されていく「update」、2ステージ目は勅使川原氏のソロとなっていた(1ステージ目は不明)。
上演時間1時間、とあったが終演後時計を見ると1時間半弱、トークが乗って10分程だったか。ダンスは二部構成で前半が長く、音声で流れる「ゴドー」の台詞に合わせて、ぼろをまとった勅使川原が動く。マイムっぽい動きもあるが、台詞を喋る人物を「演じる」ので、確実に演劇的な「演技」が入っている。舞踊では見ない表情が覗く。
何とも味わいがあるのが一人の男の声で吹き込まれた「ゴドー」のエストラゴンとウラジミールのやりとり。聴いてると勅使川原氏の声にも聞こえるが(トークでそうだと判明)、小慣れた噺家風の口調で互いを食い気味に、力みゼロでやってる。猪俣敏郎あたりが聞かせてくれそうなテキトー感横溢な喋りがイイんである。台詞は戯曲通りでないらしいが、ゴゴとディディの会話として聴ける、というか「本日の二人の会話」はこんなかも・・と氏が「再現」したような会話である。
出て来るはずの佐藤利穂子が出ないので、もしやポッツォかラッキー、又は少年で登場か・・と待ったが、その期待はかなわずであった。

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
く~たまらん。多国籍(?)人情ホームドラマ、グッときましたね。コロナ渦で、疎らな客席が実に残念。世間が落ち着いたら、是非再演して欲しいものです。

時を超えた愛の歌
劇団 FISH STORY’S
「劇」小劇場(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
ちょっとシュールな笑いをまとったタイムトラベル歌謡史。
自分の“歌”を課題に、過去の日本を彷徨う若い主人公兄妹の初々しさ。
これ以上無いくらいの安全対策もさることながら、
顔で笑って(笑わせて)、心で泣いて・・・自分にはとても真似できそうにない、FISH STORY’Sさんの生き様そのものがグレート。
辛い時こそ笑顔を。しっかり心に刻みました。

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
この大変な時に上演してもらえて嬉しかったです。行く前はどうしようかと悩んだのですが、入り口、トイレでの消毒薬設置、劇場内の換気、席の位置等かなり気を使っていて安心して観劇できました。心温まる話でウルっとしながら満足できました。

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了
満足度★★★★
まずは,公演を行ってくれたことに感謝。こういう時世ではあるけれど,自分にとって心の安全のために観劇は必要であり,観劇が出来たことは素直に嬉しくありがたい。ことのはさんの舞台は何度か見ており,この作品にはちょっと違和感が残るが,満足できるもの。検温や除菌,換気などの劇団さんの努力にも感謝。

新雪之丞変化
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2020/03/19 (木) ~ 2020/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
Pro-Nyxを昨年末に続いて観劇。今回は完全femaleで男役を月代かつら被ってでもやる。異形なはずだが普通に観れてしまった。上京した役者・雪之丞が実は素性を隠して亡き父母の仇を討ちに?と危険が匂えば序盤からもう目が離せない。非情そのものの敵(現奉行)、その娘に一目惚れされ・・。裏事情をかぎ取る鼻持つもう一人のやさぐれ女、そこまでの眼力はないが執念を燃やし続ける岡っ引、敵の娘を雪之丞に引き合わせた商人、またその商敵の何某と、役者に事欠かず。
情念を煽るBGMはBUCK-TICKだそう(イカ天世代には懐かしいバンド名..)。
金守珍得意の箱を使った美術では、歌舞伎並みの場面転換(具象を使った省略無しの)がスピーディに行われる。転換中は黒幕が引かれ、その前で芝居や踊りが出し物的に演じられる形だ。ちょうど中入りな時間では、客をいじったりと肩の力の抜けた佐藤梟の喋りがあり、雪之丞の一座が上演する劇中劇のこれも一つとして「やります」、と始めた一人芝居が物凄い。「女のどうしようもなさ」とでも名付けられよう挿話(出典「宇田川心中」)が、この「新雪之丞変化」の劇中人物(女)たちのみならず、これを演じる者(女優)たちの存在を包摂し、主役の女形(=男)の女性性(実際女)といった倒錯をも大づかみに包んでしまう。総員が目一杯演じるエネルギーに打たれる舞台であった。

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了
満足度★★★★
受付の隣で係りの方が非接触で検温してくれて、消毒液のスプレーで入場する前にシュッ、トイレから出てきたらシュッしてくれます。場内は窓を開けて換気していました。座席はいつもより間隔が広く、終演後の面会もなかったです。
本作品は何年か前に見たことがありました。応援している役者さんが出演していたと言う理由だけで見に行ったので、ことのはboxさんだったとは自覚していませんでした。その時はジプシーの正体を知らずに見ていたので、やっと家を買ったと言う夫婦に肩入れして「この人たちなんなの?」と言う気持ちが大きくてどうなるのかとハラハラしていました。今回はもう知っているので「そうそう、そうなるよね」とゆとりを持って、また、ジプシーたちにも心を寄せながら見ることができました。ずっと続いていく命の営みに泣けました。
それにしても前回反省したことをすっかり忘れていました。

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
後1回、4月5日14時開演の回を残すのみであるが、観ることができる方には観て欲しい作品である。(実際に実現可能な希望も描かれ、普遍性を持つ作品、こんな状況だが、大人の判断で観に行ってほしい作品である)

1958〜東京タワーが出来た日〜
劇団仮題
HEP HALL(大阪府)
2020/01/18 (土) ~ 2020/01/19 (日)公演終了

マクベスの悲劇【3/20(金)~4/3(金)に公演延期】
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2020/03/15 (日) ~ 2020/04/03 (金)公演終了

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/07 (火)公演終了
満足度★★★★★
カーテンコールの『ありがとうございました』を受けて、観客として『ありがとう』と感謝で涙が止まらない。
早口の台詞が見事に聞き取れる。効果音もよかった。ラストのシルエットがきれい。もうひとつのバージョンも是非みたい!。

【公演延期】四代目鼠小僧次郎吉
橋田ゆういちろうのカンパニー
ACT cafe(大阪府)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/06 (月)公演終了

白鳥先生と過ごした2日間
enji
吉祥寺シアター(東京都)
2020/04/02 (木) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
舞台のセットがとてもいい感じで作られていて、舞台美術さんすごいなあと思いました。作品はとても素敵で役者さんの演技力の高さに感動しました。でも、それよりも最後の脚本・演出の方の言葉のほうがなんか胸にジーンときて、役者さんともども涙がウルウルっとしてきました。

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2020/03/17 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/03/25 (水) 14:00
『歳月』
第一幕が昭和初期、そこから第二幕7年後、第三幕がさらに10年後。
第三幕で、次男の紳二が長男計一と遺産分配の額の均等割りの話をしているところから、その時には戦後を迎えているのだろう。
子供を身ごもり、男に結婚を拒まれて自殺を図った長女・八州子を中心とした、家族の物語。八州子の各幕での男への心持ちの違いが、物語の核となる。それに振り回されつつ、それでも頼りになるのかならないのかわからない兄2人。生後、第三幕では17歳になっている八州子の娘・みどり。八州子との結婚を拒んだ男は、結局籍だけを入れるが別れを申し出る。そしてついには復縁を迫る。家族間を漂う波風、心はそれぞれに少しくざわめくが、何かが起きるということでもない。観客が、家族の歳月の隙間を読み込む舞台である。
八州子役の前東美菜子の、幕ごとに歳を感じさせながらも、内面の成熟が見られない少女的な存在感。凡庸に見える生活の一編一編が、これからも続くであろう生活を予測させ、人には過去と明日があることを感じさせる。秀作。

歳月/動員挿話【3/28-29公演中止】
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2020/03/17 (火) ~ 2020/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/03/25 (水) 14:00
『動員挿話』
恐ろしい話。数代という存在が、この話全体に重くのしかかる。一見すると、夫を慕うあまり、主人に従って戦地に赴く夫を懸命に留めようとする健気な妻の愛情物語。
確かに、妻・数代は夫・友吉と内地に残り、共に生活をすることに、自らの全欲求を向け、そのためにはどのような代償もいとわない。明治の日露戦争期、この時代に夫への深い愛情をもって戦争を忌避し、生涯を共にまっとうしようという構図は、自由で先進的な女性像を描いているかに思われる。しかし、そうだろうか。
よし「戦争もいゝだらうけれど、死にさへしなけれやね。」
数台「それより、死ぬか生きるかわからないからいやなの。」
数代は、夫を愛しているから戦争に行かせたいのではなく、夫を常に存在として支配したいから、離れるのが嫌なのである。離れるということは、双方どちらの生死に関わらず、数代という自己の喪失に他ならない。数代は1人目の夫と死別し、2人目の夫は女と駆け落ちをしてしまった。彼女は3度目の結婚にして、けして夫と離れまいと決心し、それを全うすることのみが唯一つの善となったのだろう。夫人の口から仄めかされる2人の結婚でのひと悶着。
観客も初めは理解を示し、数代の懸命さに同情を寄せるのだが、彼女の言動を通じて次第に感じ出し始める居心地の悪さ。何かが捻じれているような、あるいはあらぬ方向に進ん営るような気味の悪さ。舞台上から落ちてくる出征のための荷物は、数代の心から漏れ落ちてくる大きな重い暗闇のようだ。
得体のしれない気味の悪い作品。
数代を演じる伊藤安那の、明瞭かつ溌溂とした演技が、周囲の登場人物との断絶や、肥大化する自我、周囲に振りまく狂気を一層際立たせる。突然に迎える異様な終幕が、観客の心理をささくれ立たせる。テンポ良い舞台進行と、キレの良い演技が演出効果を倍増する、驚くくらいに後味の悪い舞台。